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ある日の部活の帰り道。
唯、ムギ、梓の後ろを見守るように澪と私はポツリポツリと歩いていた。

いつもと変わらぬ何気ない風景。しかし、昨日から澪の表情が優れない。


【#1 揺れる想い】

澪「・・・」
律「・・・澪?」
澪「ひゃうっ!」
律「うおっ!ど、どうしたんだよ?さっきから・・・顔色悪いぜ?」

澪の反応にたじろぎながらも私はその顔を覗き込む。

澪「いや、なんでも・・・ないよ・・・」
律「それなら良いんだけどさ。あ、そうそう・・・澪、明日は模試があるんだっけ?」

私が尋ねると澪は更に黙ってしまった。
どうやら、先ほどまでの元気のなさの原因はここにあったようだ。

澪「ああ・・・知ってたのか」
律「いや、ずっと前から言ってたろ(苦笑)」

元々内気で、自分の事はあまり話したがらない性格の澪だけど
ここ数日はずっと俯いてばかりで、何か不安に駆られたような表情ばかり浮かべていた。

(なんとかしてやらないと・・・そうだ!)

律「あ、ちょっとみんな〜」
唯「どしたの、りっちゃん?」
律「あのさ・・・今日、澪と大事な約束があるの思い出してさ・・・」
澪「ち、ちょっと!おい!律・・・」
梓「どうしたんですか?今日に限って・・・」
紬「うふふっ、二人っきりで何をするのかしら?」
律「ま・・・まあな。色々あって・・・はははっ」
澪「律ってば・・・!」
律「だから、先に帰っててくれないかな?じゃな!」

タタタッ・・・

唯「う、うん・・・変なの、今日のりっちゃん」

いきなりの出来事に焦る澪の腕を掴み、私達は足早にその場を去って行く。

澪「おい!ちょっと・・・引っ張るなぁ!」
律「今から澪のウチに行こうぜ♪」
澪「はあ?」

律「あの時みたいにさ・・・!」
(澪には元気になってもらわないとな・・・へへっ)


数分後、ブロック塀の連なる住宅街を進むと澪の家に到着した。
やや駆け足気味で走ったせいか、いつも歩いている大通りから10分かかる所を4〜5分で。

体中から汗がジトッと滲み出てきた。ちょっと急ぎすぎちゃったかな・・・?

澪「ホントに・・お前って奴は!」

ごつん!

律「あでぇっ!」

私の頭上に"いつもの"やつが飛んでくる。普段の澪が少し顔を覗かせてくれた。

澪「突拍子もなく・・・うちに来てもお前とは遊んでやれないぞ?」
律「えへへ・・・別に構いませんわよ♪」


【#2 マイ フレンド】

部屋に入るやいなや、さっそく問題集に手を伸ばし黙々と勉強に励む澪。
私は邪魔にならないよう、隅っこのほうで部屋にあった漫画を物色していた。

澪「私、推薦を貰おうかなと思って」

進路の事になると、澪はいつもこう話していた。
だけど、自分の力・・・自分がどこまで頑張れるかを試したかったんだろう。
どんな事にも一生懸命に取り組む澪には、ホントにいつもいつも頭が下がるばかりだ。

(ムギは全国のお嬢様が集まる女子大、和なんか超難関の名門大学って言ってたしなぁ・・・)

周りのみんなが次々に進路を固めていく一方で、時折不安に駆られそうになる。
この時期になっても進路が決まってないのは私と唯だけ・・・

今まで気の赴くまま、能天気に生きてきた私にとって「将来の事を考えろ」なんて言われたって。

(もう受験はコリゴリだぜ・・・)

思えば中学の頃、この桜ヶ丘を受験するときも私は毎日つきっきりで澪に勉強を教えてもらっていた。
テストの成績は学年でトップクラス。内申もよく推薦で2月の頭には早々に進路が確定していた澪。
時間的に暇を持て余していた事もあり、澪は私のお願いを快く承諾してくれた。

ケド・・・

澪「よし!勉強するからには、今日から気合いを入れていくぞ!」
律「そ・・・そだな」
澪「まずはテレビゲーム禁止!」
律「え、え?え?」
澪「漫画も全部没収!」
律「ち、ちょっと!待て!」
澪「そして、ドラムセットとスティックも私が預かる!」
律「大事なストレスの発散が〜・・・(泣)」

まるで鬼軍曹の如く厳しい"しごき"だった・・・
外界からの交流を一切遮断した山篭りのような毎日。
来る日も来る日も机に向かい、普段あまり使わない頭をフル回転させての猛勉強の日々を過ごした。

・・・でも、そんな澪だっていつもいつも鬼だったワケじゃない。

音楽のカンが鈍らないようにと、CDを持ってきてくれては休憩がてらコンポで流してくれたり
空腹で倒れそうな時には慣れない手つきで料理をしながら、夜食を作ってくれたり・・・

そして、一番嬉しかったのは
"私の受験が終わるまで、自分もベースを一切触らない"と約束してくれた事だったりする。

そんな澪の気遣いに後押しされながら、私は見事受験を突破し桜ヶ丘に入学出来た・・・というわけ。

(そうだよなぁ・・・澪の支えがあってこその"今"なんだよな)

感慨深げに昔を思い出していると、澪が「う〜ん・・・」と大きく背伸びをした。
どうやら、どうしても解けない問題があるらしい・・・


【#3 負けないで】

律「どした、澪?ちょっと休むか?」
澪「うん・・・そうしよっかな」

そう言うと、澪と私は1階のリビングへと降りて行った。
澪の父さんと母さんは仕事の都合で明日の朝まで帰らないという。

大きな屋敷のなかに静寂が流れていく。

澪「・・・ふう」
律「なんか、大変・・・だな」

ジュースを片手に私が何気なく呟くと、堰を切ったように澪が口々に語り出した。

澪「私・・・このまま勉強なんかしてて、一体どうなっちゃんだろ」

思いがけない一言だった。いつも真面目で気丈に振る舞う澪ならしからぬ、弱弱しい言葉・・・

澪「パパとママは"大学だけは出ておけ"って私にいつも言うんだ。
  確かに学歴はある程度必要だと思うし、私も期待に応える為に一生懸命やってきた。
  だけど、私が将来なにがしたいか・・・なんて具体的に決まってるワケじゃないしさ。
  それだったら、今できる事。本当にやりたい事を思いっきりやりたいなって・・・
  何だか、いろいろ考えてるうちに頭のなかいっぱいになっちゃって・・・はぁ・・・」

律「・・・」

澪「はは・・・ごめんね、律。せっかく来てくれたのに・・・なんだか愚痴っちゃって・・・」

律「そんな事ないっ!」

私は無意識のうちに声を荒げていた。こんな弱気で力ない澪を目の前にするのが、イヤだったから・・・

律「ほら・・・私の受験に付き合ってくれた時も、一夜漬けでテストに出る問題教えてくれた時だってさ
  凄くわかりやすく説明してくれて・・・"澪がいれば絶対安心"って心の底から思えたんだよ。
  なんていうか、言葉に言い表しづらいけどさ・・・パワーをくれてるって感じで、心強かったんだぜ?」

澪「律・・・」

律「まあ、プレッシャーに感じたりする事はあるだろうけどさ・・・そういう事も含めて、全部澪の努力の結果なんだよ。
  人に教えたり出来るって事は多分そういう事なんじゃないかと思うぞ!だから、胸張って頑張ってこいよ!
  休み時間も部活が始まる前も、ずっと参考書広げてる所・・・私等みんな知ってるぜ?」

あの時、澪が私と一緒になって勉強に付き合ってくれたように
今度は私から澪に力強く、精一杯の励ましの言葉を送ってやった。

勉強を教える事は出来ないけど、今の私に出来る最高のエールを・・・


翌日、私は部室に澪を呼び寄せ
唯、ムギ、梓と一緒になって各々澪に言葉をかけていた。

梓「澪先輩ならきっとやれるって信じてます!」
紬「自分を信じてGood luckよ、澪ちゃん♪」
唯「私に数学のテスト100点取らせた澪ちゃんだもんね♪」

律「よおーし!それじゃ行って来い!」

昨日までの鬱々とした表情とは打って変わって、この日の澪の顔はとても晴れ晴れとしていた。

澪「唯、ムギ、梓・・・そして、律。みんながいるから私は強くなれる・・・絶対に結果出してみせるよ」

出展
【けいおん!】田井中律はスイカうめぇ37【ドラム】



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