律「Shall we dance?」
とかっこ良く決めてみたは良いものの…どうしたものか
「グォォォォォ」
目の前には前のやつより獰猛そうなタイラントが一体
私はと言えば武器は残り弾の少ないコルトとマシンガン、手榴弾が4丁のみ
律「まあこれで何とかやってみるしかないか…」
「ウォォォ!!」
タイラントが律に向かって突っ込んで来る
律「右か左か…」
タイラントは右の爪を大きく振りかぶる
律「右か!」
律はその脇の間に素早く飛び込み回避
パァン!パァン!
後ろから二発コルトを撃ち込む
「ウガアア!!」
タイラントは振り向き様に左手で律を引っ掻く
律「くっ……」
胸の辺りが破け防弾チョッキにナイフで切り裂かれた様な跡が刻みつけられる
一旦間合いをとるため逃げ様にマシンガンをばら蒔いて牽制
10mくらいの距離が出来たところでようやく息を整えられた
律「はあ…はあ…はあ…。こりゃ…しんどいって…もんじゃ…ねーぞ」
弾はますます減り残り僅かになった。
「ウォォォォォォ!」
しかしタイラントは微塵も疲れを見せておらず今にも襲いかかろうとこちらを見ている
律「でもな…澪と約束したからな…絶対生き残るって」
なら、やるだけやらないと…後で怒られるな
「ウォォォォォォ!」
タイラントがまた突っ込んで来る────
律「(私の中にあるすべての力……今出さないでどうすんだよ!!!)」
火事場のバカ力、と言うものをご存知だろうか。人間は普段体に負担をかけさせない為に本来の1/10の力しか出せないようリミッターをかけている
だが、時と場合によってそれは外れる
それは自分が究極的に死が近づいた場合のみ、発動する────
タイラントが右腕を振りかぶる
全く避ける素振りを見せない律
「ウガァ!!!」
タイラントの攻撃が来ると同時に少しだけ動きそれをかわす…余りのギリギリ差に律の茶色の髪の毛が数本宙を舞う
コルトM19を構え、タイラントの顔面に、0距離
バァアン!
タイラント「グォォォォォギャア!」
さすがのタイラントもこれには悶絶する
更に律はタイラントのコアらしきところをマシンガンで撃ち続ける
ガガガガガガガガ
「ヌォォ!」
たまらずタイラントが律に爪を降り下ろす
が、律は冷静に見て、爪を降りそうとしている方の肘を左拳で殴りつける
するとタイラントの腕はピィンと真っ直ぐとなり…
また律の集中砲火が始まる
ガガガガガガガガ
「ウォォォ!!」
瞬時に学んだのかこのままでは殺されると言う動物の本能が働いたのか
今度は律を挟み込むように爪を左右から放つ
律は倒れるようにして回避、目の前を爪が通り過ぎるも顔色一つ変えない。
そしてギリギリ地面に背中がつく前に右足を後ろへ持って行き、踏ん張り体制を前へ移行する
目の前には渾身の一撃を避けられ体制を崩しているタイラント
手榴弾のピンを親指で弾く
律「お前、口開ける癖、治したほうがいいよ」
それを口に突っ込み、体制を崩したタイラントが地へつくと同時にそれは爆発した
律「いつっ…も~駄目だ、動けない。」
壁に倒れ込むように横になる律
タイラントは顔が吹っ飛び倒れたまま動かない
どうやら死んだようだ
律「はあ…やっぱり開かないか…ドア」
澪が進んで行った方のドアを見つめるも開く気配はなさそうだ
律「あ~ぁ…働き損だな」
肋骨が音を立てて軋むのがわかる。
律「そう言えば私…骨折れてたんだっけ…忘れてた」
律「そろそろ時間か…」
澪や他の人達は上手く逃げられたのだろうか…
律「私…死ぬんだな」
虚ろな瞳の中でタイラントが動いこっちへ来るのがわかる
律「顔潰しても生きてるなんて……凄いなお前……」
ゆっくりと、ゆっくりと、横になっている律へ近づくタイラント
律「まあいいさ……どうせ死ぬんだ……ここでお前に殺されても構わないよ」
ドス……ドス……ドス……
律「ごめん……澪。約束…守れなかった」
目から頬を伝い地面に涙が溜まる
タイラントが目の前まで来る─────。
今までもこんなシーンはあったけど…今回だけは絶対助からないってわかっていた。
だから、ゆっくり目を瞑り、その瞬間を待った
ドォォゥン…
律「銃…声…?」
誰もいるわけないのに…何で…
タイラントがふらっと倒れる
さっきまでタイラントが見えていた場所に、一人の男が立っていた
レオン「どうやら間に合ったみたいだな」
律「あんた…誰?」
レオンは黙って律に近づき肩を回す
律「いつっ…もうちょい優しく…」
レオン「そんなこと言ってる場合じゃないだろう。ここは後10分で爆発する。それまでにここを出るぞ」
律「それが出来ないから苦労してたわけで…ってあれ?じゃああんたはどうやって入って…」
レオン「普通に開いてたぞ」
律「えっ…」
レオン「まあ話は後だ。下に仲間もいる。少し走るが我慢しろよ」
律「走るなんてむっ…っつっ…」
レオン「全身ボロボロだな…。仕方ない、」
レオンは律の前でしゃがみこみ
乗れ、とだけ言った
───────。
律「しかし本当にあんた何者だ?全く知らない人のおぶられて行くのも嫌なんだけど…」
レオン「レオンだ。お前のしっかりとした友達にここへ来るよう言われていたんだが来たらこうなってた。本当に泣けるぜ…」
律「和が…」
本当に和には助けられっぱなしだったな…最初から最後まで
次に会ったらきっと何かお礼しよう
私のセカンドキスなんてどうだろう。ファーストはって?それは予約が入ってるから無理だよ
レオン「どうやらお友達はこれで全員みたいだな」
レオンは律を
クレア「そうみたいね。」
クレアは梓を
エイダ「急ぎましょう」
エイダは紬をかついでいる
律「梓ぁああああああああん!」
梓「率先輩…、生きてて良かった…」
律「むぎは…むぎは…大丈夫なのか?」
血が出ている紬を心配してレオンの背中から身を乗り出す律
エイダ「えぇ。傷は派手だけど幸い急所は外れてるわ」
律「良かった……でも一体誰が…。残りのみんなは上から脱出したのかな…でもあの部屋は確かにレオンが来るまでは密室だった…」
レオン「だが片方の方を見ても誰もいなかったぞ」
律「そう…か。きっとあんなえげつない部屋は私らのとこだけだったんだなきっと…よ~しとにかく脱出するぞー!ヒュウィゴー!」
律の指示で下へ向かって走り出す3人と上に乗る3人
紬邸爆発まで残り5分を切っていた────
レオン「このまま走ってたら間に合ない!ショートカットするぞ!」
レオンは律の持っている手榴弾を壁に向かって投げつける
ドォォゥ…
轟音とともに崩れさった壁を抜け一気に中央の大広間に出た
クレア「後は直線だけよ!みんなしっかり捕まって!」
大人三人は全力疾走
子供三人はしがみつくと言う親子対抗リレー絵図が大広間の中で完成している
だが、本当に休ませてくれないのがバイオハザードと言うものだった
グォォォォォォォォォォ!
律「あのタイラント…まだ生きてんのかよ!」
レオン達の後ろを猛追してくる
律「あぉっ!もう頭が再生してるし!」
レオン「やれやれ…。律、外すなよ」
レオンは手榴弾を手に持つ
律「任せとけって!」
もう一発しか弾が装填されてないコルトM19を握る
ポイッ
まるでジュースの缶を投げ捨てる様に後ろへ手榴弾を投げた
律「偉い偉い。ちゃんと口閉じてるじゃん!まあ関係ないけどさ」
その手榴弾がタイラントとぶつかろうとする瞬間を律は狙い撃った─────
パァン!
弾は見事に手榴弾に命中し、空中で爆発を起こしまたタイラントの顔をふっ飛ばした
後は一目散にただひたすら走る
律はそれを応援していた
後残り20秒と言うところで玄関を抜け外へ走り出す
バババババ…
上には丁度飛び立とうとするヘリが、下には全力疾走の三人
そして屋敷は、耳を裂く音と共に爆発し…崩れさって行った…。
律「お疲れレオンちゃん!」
ぺしぺしと頭を叩く律に何も言い返せないほど疲労していた。
梓「クレアさん、本当にありがとうございました」
クレア「いいのよ…私は恩を返しただけなんだから」
エイダ「終わったのね……」
レオン「いや、これからが始まりだ」
クレア「そうね……」
律「うん……。あっそうだ!澪達に連絡しないと!」
レオン「もうヘリなら行っちまったよ……俺らに気づく事なくな」
梓「またきっと会えますよ……生きている限り」
律「……だな」
律「あぁ!!!そうだった!大切なこと忘れてた…」
レオン「なんだ?もう何言われても今なら驚かない自信がある」
律「確か軍がここ一斉爆撃するんだよ!多分後一時間もしない内に!」
レオン「それを!」
クレア「先に!」
エイダ「言いなさい!」
律「ごめんなさい…」
でも、きっと何とかなるさ。今までも何とかなって来たんだから
そして澪、みんな。また、いつかどこかで必ず
会おう─────
生きている限り、どんな可能性だってあるんだから!
最終更新:2009年07月11日 21:09