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719 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/06/11(木) 00:00:13 ID:aynegRbG
~りっちゃんサスペンス劇場~

「・・・だれもこねぇ」
もうかれこれ30分は経つだろうか。
しっとりぬれたコンニャクだけでなく、極細の釣り糸に軽くて扱い易い釣竿と完璧に仕込んだというのにみんなは
一向に現れない。
「澪のやつ、怖すぎて途中で引き返したのかな?」
さっき蚊に刺された右腕がかゆい。これ以上ここにいると、あちこち刺されて「かゆいかゆい!うがぁ~!」
ってなりそうだ。
「あきらめるか、やれやれ」
とぼとぼと合宿所の別荘に向けて歩き出す。暗闇の中、風でザワザワと音を立てる木々は確かに不気味で、
怖がりの澪が来れないのも無理はないように思える。
「にひひ、なみだ目になってる澪を見れそうだな~」
飯をおあずけされた恨み晴らしたり! ついニヤけてしまう。
(続く)


724 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/06/11(木) 00:01:12 ID:ySb2eRan
やがて、別荘にたどり着いた。
「あれっ?」
誰も居ない。別荘も真っ暗で人の気配が無い。肝だめしの目的地へは一本道で、行き違いになったとは
思えない。
「ちょ、みんなでどっか遊びに行ったのか? ひどいな~」
部長であるわたしをおいて行くとは、なんて薄情な部員たちだ! まぁ、わたしも怖がり屋さんを驚かそうと
していたひどいやつだが。いやいや!それもこれも肝だめしを盛り上げるためにやろうとしてたわけで、部長
として立派に務めを・・・
と、ここでうだうだやっていてもしょうがない。電話するか。あ、携帯は部屋に置いてきたんだった。
んで、別荘の鍵はムギが持っている。
「困ったな~」
みんなが戻ってくるのを待つしかないか。 しっかし、こんな玄関の外でボーッと待つなんて退屈過ぎる!
何とか中に入れないかな? と取り合えずドアノブを回してみると、

ガチャ
「あれっ?」
カギ開いてる・・・
(続く)


727 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/06/11(木) 00:02:40 ID:ySb2eRan
みんな、帰ってるの? 中に入ってドアを閉めると真っ暗で何も見えない。
「みんな~ おーい」
返事は無い。物音も全くせず静まり返っている。明かりのスイッチの場所がわからないからそのままじっと
待つと、やがて目が慣れてきた。目を凝らしながら奥へすすんでいく。まったく、無駄に広い別荘だよな~ 
と、台所から明かりがもれているのが見えた。
みんな何やってんだ? 驚かすつもりはないけど、こっそり近づいて覗き込んだ。

居たのは1人だった。立っていない。床に仰向けに倒れている。床には赤い液体がこぼれて溜まっていて、
彼女はその中に倒れている。その液体は彼女の額から流れ出たもののようだ・・・

「・・ ムギ!?」
(続く)


728 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/06/11(木) 00:03:42 ID:ySb2eRan
我に返って、あわてて駆け寄った。
「ムギ! どうした!?」
「・・うぅ・・りっちゃん・・・」
「ムギ! しっかりしろ!」
「・・さわ子先生が・・・ またフラれたって・・ もうお終いだって・・ 逃げて・・」ガクッ
「おい!ムギ!おい!」

あまりのことに呆然となる。さわちゃん・・ イッてる人だとは思っていたけどまさかここまでとは!

キャー!

遠くから悲鳴が。あの声は・・ 澪!?

そう思った瞬間、全力で駆け出していた。

(続く)


729 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/06/11(木) 00:04:39 ID:aynegRbG
窓から差し込む月明かりを頼りに廊下を走った。
「澪!」
叫びながら、部屋を片っ端から開けていく。
「澪!どこだー!?」
幾度叫んでも返事は無い。鼓動が異様に高まった。
「澪! 返事をして! 澪ー!」
そんな・・・ 絶望が徐々にわたしの心を掴む。
そんな! 澪の身に何かあったら、わたし、わたし・・・!

キャー!

再び悲鳴が聞こえた。近い! この部屋か!

バタン!
「澪!」
「いらっしゃい、りっちゃん」
さわちゃんの声だ。ぞっとした。あまりに低い、冷徹な声・・・

バッ
いきなり部屋の明かりがついて目がくらむ。そして、そこにひろがっていたのは目を覆いたくなる光景だった・・・

(続く)


730 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/06/11(木) 00:05:41 ID:ySb2eRan
そこに広がっていた光景は・・・

「律、お帰り~」

ニコニコ笑っている澪。それに唯、梓、さわ子先生・・・

「肝だめし大会でした~ 夏の定番ですよね、先輩」
「・・・は?」
状況が把握できない。
「うふっ、ごめんねりっちゃん」
振り向くと、頭から血を流したムギがこれまたニコニコ笑って立っている。
「肝だめしするかもって言ったら、こんなリアルなメーク用意してくれてて」

ようやく理解した。力が抜けて、床に座り込んでしまった。
「みんな、やりすぎだろ~ 本気で、本気で心配したんだぞ!」
「あらっ? りっちゃんの目元に光るものが」
「ち、違うって! 汗だよ汗! 走ったから!」
「なみだ目ウルウルのりっちゃんかわいい~」
「澪!って呼びながら駆けるりっちゃん、素敵でしたわ・・・」
「肝だめし大会は律の一人負けだな。あははっ」

「お~まぁ~え~らぁ~」
激写してやる! 去年以上に! こいつらの恥ずかしい写真、撮りまくってやるぅーーーーーー!

~おしまい~




出典
【けいおん!】田井中律は蒟蒻可愛い19【ドラム】


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  • おあとがよろしいようで……。 -- (紅玉国光) 2009-09-29 19:24:51

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最終更新:2009年07月13日 22:24
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