SS > 短編-けいおん!メンバー > > 魔女旅に出る

今日私は駅前で買い物をしていたのだが、そのとき偶然夏期講習帰りの澪と会ったので、
行きつけと言ってもいいファーストフード店でしゃべりながら過ごしていた。

律「あー、結構暗くなってるなあ。そんな話し込んでたっけ」
澪「6時からいて・・・今7時半だから、そうでもないんじゃない?」
律「えっ、まだ7時半なのか!つい最近までこの時間も明るかったのになあ。」
澪「そうだな・・・・」

太陽は既に空の端に追いやられ、自慢げに月が顔を出し始めていた。

澪「今年の夏も・・・もう終わりだな。」
律「・・・・うん、そうだなあ・・・・」
澪「・・・・最後の、夏。」
律「・・・・・・」

高校生活、最後の夏だ。

律「・・・・澪、かえろ。」
澪「・・・うん。」


律は、少し暗い表情をしていた。笑顔で隠しているようだが、10年以上連れ添った仲だ
表情に違和感があればすぐわかる
こういうときはそっとしておくのが良い
私の隣にいる少女は、意外と心が細いんだ。

律「今年は祭りとかも行ってないよな。」
澪「でもまだ八月初めだよ?これからいっぱいあるよ」
律「どーせ夏期講習だろー。つれねえお嬢様だぜ」
澪「ううん、律が付き合ってほしいなら、そのときは休んでもいいよ。」
律「・・・・ん?珍しいな・・・そういう反応は」
澪「ふふふ・・・だって放っておいたら律が寂しがるからな。」
律「なっ・・・なんだよー!」


帰路を辿っていると、昔よく遊んだ公園に差し掛かった

律「ちょっと休んでいこ!」
澪「ああ、いいよ。」

見慣れた公園のベンチに二人並んで座った。砂場に近いほうが律、鉄棒に近いほうが私
10年以上定着している、このベンチでの位置関係

また他愛のない話をしていると、そのうちに律の表情が陰りを帯びはじめた


律「・・・・もう、お別れかな」
澪「・・・・え?」

律「澪は夏期講習行ってるくらいだし・・・目指すのは結構良い大学でしょ?」
澪「うん・・・まあ。」
律「私は勉強もろくにしてないし・・・一応音楽の専門行こうかなんて思ってるけどさ、そしたら・・・」

別々。私と律は、別々になってしまう

律「・・・・・心細くないか?」
澪「・・・そうだね。ハッキリ言って・・・怖い。律と別の道を歩くのって・・・」
律「・・・・・・」

私の隣にいる少女は、意外と心が細いんだ

律「・・・・私も・・・怖い」
澪「!・・・・・律」
律「澪と別の道なんて・・・歩きたくないよ・・・」

彼女の目から、雫が零れ落ちた。月明かりに照らされ、小さい光を発していた

澪「・・・・・ふふ、泣き虫」
律「・・・寂しいよ・・・私・・・心細い・・・」
澪「大丈夫だよ・・・大学だってそんな遠くの大学に行くわけじゃないし、会おうと思えばいつだって」
律「そうだけどさ・・・・うっ・・・やだ・・・」
澪「まったく・・・小学生か・・・。」

律は必死に目を拭っていた
もう目が真っ赤だ・・・
澪は、優しく律の頭を胸に抱いた

私に・・・涙を見られたくないんだよね
だったら見ない。見ないから・・・いっぱい、いっぱい・・・

律「澪・・・・な、なんだよぉ・・・ぐすっ」
澪「泣き止んだら離してやるぞ。泣き虫律・・・」
律「うっ・・・うう・・・バカ澪・・・」


ラララ・・・泣かないで ラララ・・・行かなくちゃ
いつでもここにいるからね

出展
【けいおん!】田井中律は向日葵可愛い59【ドラム】

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  • スピッツいいねえ -- (名無しさん) 2009-10-20 21:02:57

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最終更新:2009年08月05日 23:45
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