律「やっぱ軽音部は最高だぜ!」 第1章


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律「え?最近つけられてる気がする・・・?」

澪がしどろもどろに皆に打ち明けた悩みは、耳を疑うものだった。

澪「う、うん。一人で帰るときとか、なんか嫌な感じがして」
律「澪かわいいからなぁwもしかしたら澪のこと好きな男の人が――」
澪「じょ、冗談はやめろ!・・・真剣なんだよ」

少し涙目になって俯く澪に、紬が優しく問いかける。

紬「でも、つけてくる人を見たことはないんでしょう?一度そう思ってしまうと、思い込んでしまうことだってあるし・・・」
唯「何て言うんだっけ・・・き、き、・・・」
澪「杞憂、か・・・?」
唯「そうそれ!元気だしなよ、澪ちゃん」

唯のペースに励まされたのか、澪は暗かった表情にようやく笑みを浮かべた。

澪「うん・・・うん、そうだな。気にしすぎかな。それじゃ、今日は用事があるからこれぐらいで帰るよ」
紬「また明日」
唯「ばいば~い」
律「・・・・・・」


澪が部室を出て約一時間。皆それぞれの楽器の後片付けを終える。

紬「私達も、そろそろ帰りましょう」
唯「そうだね。ね、りっちゃん」
律「・・・へ?あ、あぁ。そうだな」
唯「大丈夫?りっちゃん。珍しいね、ぼーっとするなんて」
律「何でもない何でもない!さ、帰ろうぜ!」
紬「?」
唯「・・・・・・」

鞄を持って部室を出て行く律の背中を、唯は黙って見つめた。


一方澪は帰路の途中、スーパーに立ち寄っていた。

澪(今日からお父さんもお母さんも町内会の旅行で帰ってこないから、何か買って帰らないと・・・)

悩み事のせいで疲れていた澪は、料理を作る気にもあまりなれず、惣菜をいくつか買って帰ることにした。
スーパーと澪の家は、結構近い。家まであと少しの所まで来て、無意識に安堵の息を漏らす澪。

澪(ふぅ・・・)
澪「・・・・・・」
ジャリ
澪「・・・!」バッ

人気のない道にかすかに響いた音に、澪は反射的に振り返った。

澪(誰も、いない)
澪(何怖がってるんだ。唯や紬が言ってたじゃない。気にしすぎだ、杞憂だって)


自分に言い聞かせて再び歩きだす。自然と歩きが速くなった。
角を曲がり、前を見ると、道路の脇に車が止まっている。

澪(もし連れ込まれたら――)

首を振り、自分で否定する。しかし、足は車から遠ざかるように動く。
視線が無意識に運転席にいく。誰も乗っていなかった。

澪(――何やってるんだろ、私)

澪は自分の行動にうなだれて苦笑し、顔を上げた。その時だ。

澪(――・・・っ!!)

目に入った車のサイドミラーに、電柱の影から自分の様子を伺う人影が映っていた。


澪「っ!!」バッ

見間違えであると信じたい。澪はもう一度振り返った。電柱の影に、人はいない。

澪(思い込み・・・思い込みよ・・・)

何度も自分に言い聞かせる。だが、残酷な事実が澪の目に飛び込んできた。
カーブミラーに、走って逃げていく男の姿が映っていた。

澪「い、嫌・・・。嫌ぁっ!!」

澪は死にものぐるいで家に向かって駆けだした。


帰宅後、澪は家中鍵を閉め、自分の部屋に閉じこもった。
買ってきた惣菜など、食べる気にもならなかった。

澪(やっぱり、つけられてる!)ガタガタ
澪(・・・ス、ストーカー・・・だよな)
澪(どうしよう、どうしよう!?)

澪はベッドの上で毛布にくるまり、ただ震え続けた。


次の日

律「じゃあ・・・本当に、ストーカーが・・・」
澪「――どうしたらいいの・・・?怖いよ・・・」
律「澪・・・」
紬「ご両親は?」
澪「二人とも、連絡付かないんだ・・・。遠くに行ってて」
唯「とりあえず、誰か先生に相談した方がいいよ」
律「そうだぞ澪。とにかく、さわちゃんにでも言いに行こう」

肩に置かれた律の手を、澪はぎゅっと握った。


唯「えぇ!さわちゃん先生いないんですかぁ!!」
先生A「さ、さわちゃん?」
紬「あ、あの、いつ帰ってこられるんですか?」
先生A「研修だから、ちょっと長くなるかもなぁ。少なくとも二、三日は帰ってこないと思うよ」
澪「そ、そんな・・・」

落胆の表情を浮かべた澪を見て、先生Aは首をかしげた。

先生A「どうしたんだ?俺で良ければ聞くけど」
澪「・・・え、えっと・・・実は――」

澪は先生Aにストーカーについて説明を始めた。彼は初め驚愕の表情を浮かべたが、話が終わる頃には真剣な面持ちになっていた。


先生A「――・・・」
澪「・・・・・・」
先生A「このことを知ってるのは、ここにいる子達だけか?」
澪「・・・はい」
先生A「そうか・・・。これは大変な話だな。俺は新任だから良い対策を練ってあげるのは難しい」
律「そ、そんな――」
先生A「だけど、他の先生に相談してみるよ。今日は早く帰りなさい」
澪「はい」
先生A「それと、このことはあまり友達に言いふらさないように。噂に尾びれが付いたら、君に良くないことも起きる。俺たちの方から、生徒に順を追って説明するから」
澪「は、はい・・・」


唯「今日はみんなで帰ろう。その方が澪ちゃんも安心するよね?」
律「そうだな。それに今度から私が絶対一緒に帰ってあげる。それで良いよな?澪」
澪「・・・う、うん」
先生A「・・・・・・」
紬「さ、明るいうちに帰りましょう」
律「先生、失礼しました」

頭を下げて出て行く四人を、先生Aはしばらく見つめていたが、すぐに隣の先生Bに話しかけた。

先生A「――先生。大事な話が・・・」


澪「・・・・・・」ビクビク
唯「澪ちゃん・・・」
紬「タイミングが悪いというか・・・不安になるのも無理がないわ」
律「むうぅ・・・許せない」

歯を軋ませて拳を握り、律が小さく呻いた。

澪「律?」
律「影からコソコソつけてきて、澪を怖がらせる変態野郎め!絶対許さん!」
澪「律・・・」
律「澪、ぜっったい一人で帰っちゃ駄目よ。帰るときは、私を呼ぶんだぞ!」
澪「で、でも・・・もし律と帰ってるときにストーカーが来たら――」
律「そんときは私が澪を守る!」キリッ
唯「りっちゃん・・・」
澪「――・・・ありがとうっ」グスッ
律「だーっ!泣くなよぉ」


その日はつけられている感じもせず、澪は安心して家に辿り着くことが出来た。
晩ご飯もしっかり食べ、早めに入浴も済ませて、澪はベッドに横になった。

澪(みんな・・・私のこと心配してくれてる)
澪(律なんか私を守るなんて言っちゃって・・・)

胸を張って宣言した律の頼もしい表情が、閉じた瞼の裏に蘇る。

澪(ホント、昔っから優しいやつだな・・・)

澪はその日、久しぶりにぐっすりと眠ることが出来た。





律「やっぱ軽音部は最高だぜ!」
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