SS > 長編 > 君が私で私が君で

澪「よし、今日の練習はやめよう」

唯「仕方ないよね、ムギちゃんもあずにゃんもいないし」

律「せっかくケーキ作ってきたのになぁ」

澪「律、まさかそれ・・・・・・」

律「ギクッ、別にレーズンなんか入ってない・・・あっ・・・」

澪「もう、私がレーズン苦手なの知ってるだろ!?」

律「あはは、レーズン食べたときの澪、かわいいんだもん」

澪「なっ///」

唯「っす、すごい、りっちゃんってケーキ作れるの!?」

律「パウンドケーキなら、ね。唯、食べる?」

唯「うん、食べる〜」パクッ

唯「う〜、、おいひぃ☆」

律「いやー、唯が喜んでくれてよかったぜ」

唯「りっちゃん、お菓子作りの天才だよ」

律「そんなことないって//」

澪「唯、よかったら残りも持って帰りなよ」

唯「え、いいの?」

澪「私はレーズンだめだからさ。」

唯「ありがとー。憂と食べよぉっと♪」

澪「ほんと、唯は憂ちゃんと仲いいよなぁ」

唯「そうかなぁ?」

澪「そうだよ、まるで恋人みたい」

唯「なんか照れるかも//」

律「そんなことより早く帰ろうぜ。お腹空いたなぁっと」スタスタ


平沢家

唯「う〜ぃ〜、いいものあげる〜」

憂「なぁに、お姉ちゃん?」

唯「パウンドケーキだよ、りっちゃんが作ってくれたんだ」

憂「うわぁ、素敵。ご飯食べたら食べるね」

唯「うん、とぉっても美味しいんだよ☆」


食後

唯「ごちそ〜さまぁ。やっぱ、憂の作る料理は美味しいねぃ」

憂「えへへ、がんばったんだよ?」

唯「ありがと〜。わたしゃお風呂に入ってくるよ」

憂「うん。いってらっしゃい。・・・・・・私は律さんのケーキを・・・」ボトッ

憂「あ・・・落としちゃった。。もう食べられないや・・・」

憂「でも、お姉ちゃんに食べられなかったって言ったら悲しむよね?」

憂「食べたっていうことにしとこう・・・。律さん、ごめんね。」


翌日

唯「あぁ、りっちゃんのケーキ美味しかったなぁ」

唯「よし、私もりっちゃんに喜んでもらいおう!」

唯「でもどうすればいいんだろ・・・」

唯「うーん・・・・・・そうだ、澪ちゃんに聞いてみよう」

Trrrr Trrrr

澪『もしもし、唯?』

唯「あ、澪ちゃん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

澪『なぁに?』

唯「りっちゃんに昨日のお礼をしたいんだけど、どうすればいいかわからなくて。」

澪『ああ、それなら駅前のファンシーショップがいいかも』

唯「駅前の?」

澪『うん。今朝、にじ○ろジーンでやってたんだけど、幸せを呼ぶヒマワリのカチューシャがあるんだって。』

唯「へぇ〜」

澪『律ってそういう店入らないし、きっと喜んでくれるよ。後で写メ送っておくな。』

唯「わかった。澪ちゃんありがと〜。早速行ってみるよ」

澪『うん。じゃあね』

唯「カチューシャプレゼントしたら、りっちゃん喜んでくれるかなぁ」

唯「『ありがと、唯大好き!』とか言われたらどうしよう///」

唯「あれ、やだ、私何赤くなってるんだろ」

唯「りっちゃんはただの友達なのに・・・」

唯「友達・・・トモダチ?」

唯「うん、友達に喜んでほしいって思うの当たり前だよね」

唯「さて、買い物行ってこよう・・・」


駅前商店街

唯「うわぁ、なんかいっぱい人が並んでる」

唯「売り切れちゃったりしないかなぁ?」

唯「それにいつになったら買えるのか検討も付かないや」

唯「やっぱテレビの効果ってすごいな」

唯「でもりっちゃんのため、がんばるぞ!」

紬「あら、唯ちゃん」

唯「あ、ムギちゃん!おいっす!」

紬「おいっす☆今日は1人?」

唯「うん。あのお店の、ヒマワリのカチューシャがほしくてきたんだけど・・・」

紬「この行列、ってわけね。ちょっと待ってて。」

唯「ほぇ?」

紬「こんにちは」

店員「っ!紬お嬢様、ご無沙汰しております。本日は何かご所望でございますか?」

紬「ええ、あのヒマワリのカチューシャがほしいのだけれど」

店員「申し訳ありません。その商品は現在品切れでして・・・」

紬「あそこにあるのは?」

店員「あちらは商品見本でして・・・・・・」

紬「本物とは違うのかしら」

店員「いえ、本物ですし、色褪せもしておりません」

紬「じゃあ問題ないじゃない。頂くわ。」

店員「か、かしこまりました。どうぞお持ちください」

紬「梱包までしてもらってごめんなさいね。」

店員「いえ、とんでもございません。ありがとうございました。またおこしくださいませ。」

紬「唯ちゃんおまたせ。はい、これ」

唯「うわぁ。ありがとう、ムギちゃん。」

紬「どういたしまして。でもそれどうするの?」

唯「えへへ、りっちゃんにプレゼントするんだ」

紬「まあ///」カァ

唯「明後日の部活が楽しみだぁ」

紬「私も楽しみだわ」


月曜日

律「あー、終わったぁ!むこう一週間は数字見たくないや」

唯「私もー。数学なんて嫌い」

紬「今日まだ月曜日よ?」

律「じゃ、私帰るね」

唯「あれ、りっちゃん部活いかないの?」

律「うん。今日歯医者なんだ。私抜きで適当にやっててよ。じゃな」スタスタ

唯「あ・・・」

紬「唯ちゃん、いこ?」

唯「うん・・・」


澪「そっか、律は休みか」

唯「うん・・・」

梓「律先輩抜きでも練習しませんか?」

紬「ええ。たまにはお茶なくてもいいわよね」

ジャジャッジャジャッジャーン♪

澪「唯、パワー足りないぞ?」

梓「いつもみたいにケーキ食べたら元気になるんじゃないですか?」

紬「はい唯ちゃん、あーん」

唯「あーん・・・」パクッ

澪「よし、練習再開するか」

ジャジャッジャジャッジャーン♪

澪「あれ?」

唯「ごめん、みんな。なんか調子悪いから帰るよ。」テクテク

紬「唯ちゃん・・・」

梓「なんか元気ないですね、唯先輩」

澪「ああ。どうしちゃったんだろうな。」

紬「まさか唯ちゃん・・・」

梓「何か心当たりあるんですか?」

紬「う、ううん、そんなことないわ。」

澪「さすがに三人じゃ練習にならないな」

梓「そうですね。なんかあの二人がいないと調子が狂うです」

紬「まあ、お茶にしましょう?」


唯「(つい部活抜けてきちゃった・・・)」

唯「(なんでだろう、りっちゃんがいないだけなのに・・・)」

唯「(りっちゃんにプレゼント渡せなかっただけなのに・・・)」

唯「(どうしてこんなに気分上がんないんだろ)」

唯「(・・・なんだろう、胸が苦しい・・・)」

唯「(りっちゃんに会いたいよ・・・・)」トボトボ

律「よぉ、唯。こんなところでどうしたんだ?」

唯「っ!りっちゃん!?」

律「なぁーんか元気いぞ。どうしたんだよ?」

唯「べ、別になにもないよ?」

律「そっか。ならいいんだけど」

唯「あ、あの、りっちゃん!」

律「なに?」

唯「え、えっと、その・・・//」

律「ん?」

唯「こ、こないだのケーキおいしかった!あり、ありがとっ!こ、ここれ、受け取って///サッ

律「なにこれ?開けていい?」

唯「うん//」

律「うわぁ、可愛いカチューシャ。ありがとな、唯」

唯「よかった。りっちゃんが喜んでくれた」

律「そりゃ、嬉しくないわけなんかないだろ?」

唯「うん///」

律「あ、私もなんかお礼しないとな」

唯「いいよぉ、お礼なんて。これだってケーキのお礼なんだし」

律「いいっていいって。・・・そうだ、いいとこ連れてってやるよ」

唯「いいとこ?」

律「うん、いいとこ。」タッ

唯「あ、ちょっと、りっちゃん待って!」タタッ


唯「うわぁ、きれいな夕陽」

律「どうだ、ここ私だけの秘密の場所なんだ。星空も綺麗なんだぜ?」

唯「素敵だよりっちゃん//でもどうして私をここに?」

律「いやぁ、思いついたのがこの高架橋からの景色だったんだ」

唯「・・・・ありがと」

律「え?」

唯「私に秘密の場所を教えてくれて///」

律「いーって、気にすんなよ」

唯「・・・あのね、りっちゃん」

律「ん?」

唯「私、りっちゃんに伝えたいことがあるんだ」

唯「私、りっちゃんのことが好きです」

律「・・・えっ?」

唯「女の子同士って変かもしれないけど、友達じゃない好きな気持ちになっちゃったの///」

唯「私と、付き合ってもらえませんか?」

律「・・・いいよ」

唯「えっ・・・」

律「おっけーだよ、唯」ギュ

唯「ありがと、りっちゃん///」ウルウル

律「こぉら、泣くんじゃない」

唯「へへ、だって嬉しいんだもん。//」

律「ふふ、二人だけの秘密だぞ?」

唯「うん//」

律「・・・そうだ、この場所も二人だけの秘密にしようぜ?」

唯「二人だけの?」

律「そ、イヤ?」

唯「ううん、とても嬉しいよ//」

律「よかった、喜んでもらえて」チュ

唯「ふにゃあ///」

律「改めてこれからよろしくな、唯」

唯「うん//よろしくね、りっちゃん//」


翌日

唯「あー、やっぱりムギちゃんの入れてくれたお茶は美味しいねぇ、りっちゃん」ホワホワ

律「そうだなぁ。このケーキもおいしいぞぉ、唯ぃ」ポワポワ

紬「二人とも、おかわりもあるわよ」

唯「ほんと!?いただきまぁす」

律「ちょ、唯ずるいぞ!」

澪「って、久しぶりにそろったと思えばこれかっ」

梓「二人が居ても居なくても練習はかどらないなんて・・・」


澪「・・・結局練習できなかった・・・」

唯「大丈夫だよ澪ちゃん、まだ次のライブまで時間あるし」

律「そうだぞ、ライブの予定なんて入ってないからな」

澪「お前はそれを考えろ!」ゴッ

律「ってぇ・・・」

唯「りっちゃん大丈夫!?」

律「大丈夫だよ。慣れてるし」

唯「よかったぁ。」

唯「澪ちゃん、思いっきり殴るんだもん」ギロッ

澪「っ・・・!?(なんだろう、この殺気)」

紬「ぽぉ///」

梓「そろそろ学校出ないと怒られちゃいますよ?」スタスタ

澪「あ、ああ、そうだな。帰ろっか・・・」スタスタ

紬「そうね」スタスタ

律「そうだ唯、今度唯の家遊びに行っていい?」

唯「うん、いいよ。今日にする?明日にする?それともア・タ・シ?」ウフッ

律「んー、ボケが微妙だから日曜に行くよ」

澪「おーい、早くしろよー」

律「おーぅ」

唯「りっちゃんっ」チュ

律「なっ」

唯「へへっ」タタッ


日曜日平沢家

ピンポーン

律「おじゃましまーす」

憂「あ、お義姉ちゃんいらっしゃい」

律「は、おねっ!?」

憂「律さん、お姉ちゃんと付き合ってるんでしょ?だったらお義姉ちゃんです」

律「お、おぅ」

憂「今お姉ちゃん呼んで来ますね」タタッ

律「唯のやつ、憂ちゃんに喋ったのか・・・。唯らしいや」


唯の部屋

律「ゆ〜い〜?憂ちゃんに私たちのこと喋っただろぉ?」

唯「ごめん、嬉しくてつい喋っちゃった」

律「ふ〜ん、他の人には?」

唯「言ってないよ?」

律「ホントに?」

唯「ホントに!」

律「そっか、ならよかった」チュ

唯「あ///」

律「もう誰にも言っちゃダメだぞ?」

唯「うん///」

律「さぁて、これからどうするかね?」

唯「私はりっちゃんとくっついてたいよ//」

律「よし、じゃあ、そうするか」

唯「うんっ」

律「・・・・・・」

唯「・・・・・・」スヤスヤ

律「で、やっぱりこうなるわけか」

律「・・・そーっとそーっと・・・」

律「よし、抜け出した。後は下に行って」


憂「あ、お義姉ちゃん。お姉ちゃんは?」

律「上で寝ちゃってるよ。」

憂「そう。お腹出したりしてない?」

律「大丈夫だよ、ちゃんとブランケットかけてきたし」

憂「でも、お姉ちゃんなら蹴飛ばしちゃうかも」クスッ

律「そうかもな。それで、憂ちゃんに話があって降りてきたんだ」

憂「私に、お義姉ちゃんが?」

律「うん。っていうか、そのお義姉ちゃんってやめてくれない?」

憂「あ、ごめんなさい。・・・それで律さんのお話っていうのは?」

律「その、なんて言ったらいいかわかんないんだけど」

律「去年勉強会に行ったときから憂ちゃんのことが気になってて」

律「それで、だんだんその思いが大きくなっていって・・・」

律「憂ちゃんのことが好きなんだ//」

律「いつも気遣いを絶やさないところとか」

律「かわいらしい笑顔とか」

律「料理が得意なところとか」

律「憂ちゃんの全部が好きなんだ//」

律「私と付き合ってくれっ」

憂「・・・・・・言いたいことはそれだけですか?」

律「え?」

憂「私のことが好きなら、なんでお姉ちゃんと付き合ってるんですか」

律「憂ちゃんに近づきたかったんだ。唯には悪いことをしたと思ってる。」

憂「なっ・・・じゃあ、こないだのケーキも私に食べさせるつもりでお姉ちゃんに持たせたんですか?」

律「うん、そうだよ。・・・ねえ、憂ちゃん。怒ってないで笑ってよ。私・・・」

憂「笑顔が好きなんですか?でも、律さん相手に笑う気にはなれません。あのケーキだって、落として食べられなくてよかった・・・帰ってください」

律「ちょっと待って、憂ちゃん」

憂「待ちません。お姉ちゃん騙して傷つけるなんて最低です!帰ってください」

律「うん・・・ごめん、私帰るよ・・・」

憂「・・・・・・可愛そうなお姉ちゃん・・・」ウウッ


憂「お姉ちゃーん、起きてる?」ガチャ

唯「あーういー、おはよー。あれ、りっちゃんは?」

憂「・・・お姉ちゃん、そのことなんだけど、話があるの」

唯「ほぇ?」

憂「律さんは、私と近づくためだけにお姉ちゃんと付き合ってたの。お姉ちゃんは騙されてたの・・・」

唯「ウソだ・・・」

憂「本当だよ。さっき、律さんが言ってた。」

唯「ウソ言わないでよ!」

憂「・・・っ!」

唯「りっちゃんがそんなことするわけないじゃん!」

唯「りっちゃんは私を好きって言ってくれた」

唯「私を秘密の場所に連れて行ってくれった」

唯「ギュって抱きしめてキスしてくれた」

唯「そんな酷いことするわけないじゃん!」

憂「でも本当に・・・」

唯「そんなこと言う憂なんて知らない!出てって!」

憂「お姉ちゃ・・・」

唯「出てってよ!!」

憂「う・・・ごめんね。お姉ちゃん」スタスタ

唯「・・・・・・(信じていいんだよね、りっちゃん)」


翌日部活終了後

澪「また今日も練習できなかった・・・」

梓「最近だらけすぎですよ!」

澪「みんな、梓の言うとおりだぞ!」

律「わーってるよ、血豆がつぶれるまでがんばりますよ、澪ちゅわん」

澪「痛い話はやめろって言ってるだろ!」ゴッ

律「ってぇ・・・」

唯「りっちゃん、大丈夫?」

律「あー、なんとかなー」

唯「澪ちゃん、最近りっちゃん殴りすぎだよ?」

澪「そ、そうか?ごめんな、律」

律「いーっていーって。」

梓「そろそろ鍵閉められちゃいますよ?」スタスタ

澪「あ、ああ、そうだな。帰ろっか・・・」スタスタ

紬「そうね」スタスタ

唯「ねぇ、りっちゃん」

律「何?」

唯「話したいことがあるんだけど、この後ちょっといい?」

律「ん、別にいいけど、改まってどうしたんだ?」

澪「おーい、早くしろよー」

律「おーぅ」

唯「今行く〜」


律「それで、話ってなに?」

唯「うん、昨日憂から聞いたんだけど、憂に近づくためだけに私と付き合ってるって本当なの?」

唯「あの時抱きしめてくれたのも、キスしてくれたのも、ウソだったの?」

律「そんなこと、ないよ」

唯「じゃあ証拠をちょうだい・・・」

律「わかった。」ギュ

唯「ふあっ///」

律「好きだよ、唯」チュ

唯「んっ//」

唯「私も好きだよ、りっちゃん」


平沢家

憂「お姉ちゃんお帰り。」

唯「・・・・・・」ツカツカ

憂「お姉ちゃん?」

唯「なんでもなかったよ、憂」

憂「え?」

唯「りっちゃん、私のこと好きっていってくれた」

唯「抱きしめてキスしてくれた」

唯「昨日のは憂の勘違いだったんだよ」

憂「お姉ちゃん、騙されてるんだよ?わからないの?」

唯「どうしてそういうこと言うの!?わからずや!」

憂「わからずやはお姉ちゃんだよ!どうして信じてくれないの?」

唯「好きな人を信じるのは当たり前だよ!」

憂「っ・・・私のこと好きじゃないの・・・?」

唯「そんなことないけど・・・りっちゃんの方が好きなの!」

憂「お姉ちゃん・・・私はただお姉ちゃんに目を覚まして欲しくて・・・」

唯「私は正気だよ、憂」

憂「えっ?」

唯「もしかしたら、本当にりっちゃんは私のことを好きじゃないかもしれない」

唯「私と付き合うことで、憂との距離を縮めたいだけかもしれない」

唯「そんなことわかってる。」

唯「でも、だったらなんだっていうの?」

唯「私はりっちゃんが好きだっていう気持ちは変わらない」

唯「もしそうでも、私が騙されてりっちゃんが幸せになれるならそれでいい」

唯「それでいいんだよ。憂」

憂「お姉ちゃん・・・」

唯「それに、私はりっちゃんのこと信じてるから」

憂「じゃあ、お姉ちゃんはどうなるの?」

憂「それじゃお姉ちゃんが幸せになれないじゃない」

唯「りっちゃんが幸せならいいんだよ、それで」

憂「いやだよ、そんなの!お姉ちゃんが幸せじゃないなんて・・・」

唯「そっか・・・。憂はわかってくれないんだね?」

憂「うん・・・ごめんね」

唯「謝るのはこっちだよ、憂。」クルッ

憂「お姉ちゃん?」

唯「しばらく憂の顔も見たくないんだもん。」ガチャバタン

憂「お姉ちゃん!・・・・・・行っちゃった・・・」


Trrrr Trrrr

律「おー、唯。どした?」

唯『ねぇ、今からりっちゃんち行っていい?』ヒグッ

律「今から?別にいいけど・・・泣いてるのか?」

唯『そんなことないよ。じゃあ、今から行くから』ガチャ

律「どうしたんだ、唯のヤツ。」

律「まさかまた憂ちゃんに何か言われたんじゃ・・・」

律「とにかく、部屋片付けないと・・・」


唯「こんばんは、りっちゃん」

律「こんばんは。あがりなよ?」

唯「うん・・・」

律「で、何かあったのか?」

唯「わかるの?」

律「わかるさ。」

唯「憂と、喧嘩しちゃって・・・顔も見たくない、って家飛び出してきちゃった」

律「うん。」

唯「憂わかってくれないんだ、私の気持ち。」

律「唯の気持ちを?」

唯「うん、私がどれだけりっちゃんを好きなのかって」

唯「私何があってもりっちゃんを信じてるって言った」

唯「もし、憂が言うようにりっちゃんが私のことを騙していても、いいって。」

律「・・・え?」

唯「私が騙されるだけでりっちゃんが幸せになれるならそれでいいの」

唯「りっちゃんにはずっと笑顔でいて欲しいから・・・」

律「・・・」

唯「でも憂、このことわかってくれなくて・・・飛び出してきちゃった」

唯「どうしよう・・・どうすればいいかな・・・」グゥゥ

唯「あ//」

律「まー、飯食ってから考えようぜ?」

唯「うん//」


律「昨日作ったパウンドケーキしかなかった。面目ない・・・」

唯「大丈夫、私りっちゃんの作ったケーキ好きだから」ニコッ

律「お、おぅ//」

唯「はぁ、でも憂とのことどうしよう。顔合わせづらいよ・・・」

律「そのことなんだけどさ、私に考えがあるんだ」

唯「考え?」

律「そ、私が唯の代わりに謝るんだ」

唯「そんなことできるの?」

律「もちろん。ちょっと髪留め貸して」

唯「え?うん」

律「カチューシャを外して、髪留めをつけて、と」

唯「おおっ、私そっくり」

律「それと唯、カチューシャつけてみ?」

唯「こう?」

律「そ。後は、少し髪をいじって・・・」

律「できた!鏡見てみろよ」

唯「すごい、りっちゃんみたい!」

律「私はさらに声を変えられるんだよ、りっちゃん」

唯「うわぁ。私にはそんなの無理だよ。りっちゃん怪盗20面相になれるよ」

律「後は服と持ち物を入れ替えれば、そうそうバレないぜ?」

律「この格好と声で仲直りしてくるよ」

唯「ありがとう、りっちゃん」

律「じゃあ、服とかも取り替えちゃおうぜ」

唯「え?ここで脱ぐの?」

律「うん。下には家族もいるし。」

唯「恥ずかしいよ//」

律「恋人同士なんだからいいだろ?」

唯「うん//」ヌギヌギ

律「あー・・・胸の大きさでばれるかもな」

唯「それはいわないで、りっちゃん//」

律「よし、じゃー行ってくるわ。」

唯「うん。りっちゃん、お願い。」

律「あー、私の携帯auじゃないけど使えるよな?なんかあったら連絡ちょうだい?」

唯「うん、ありがとね」

律「いいっていいって。じゃ仲直りしたら電話するから」

唯「いってらっしゃいっ/」チュ

律「いってきます//」


律「ただいま〜」ガチャ

憂「お姉ちゃん・・・心配してたんだよ」

律「さっきはごめんね。意地張りすぎちゃった」

律「明日ちゃんとりっちゃんと話してみるよ。」

憂「私こそごめんね。お姉ちゃんの気持ち、わかろうともしないで」

律「いいんだよ、憂。そんなことよりア〜イ〜スぅ」

憂「今持ってくるから、居間で待ってて?」

律「はあ〜い」

憂「はい、お姉ちゃん。アイス」

律「ありがと〜。う〜ん、おいひぃ」

憂「ところでお姉ちゃん、どこ行ってたの?」

律「あ〜ちこち歩いてた。時間が時間だし、行く宛てもなくてさ。」

憂「そっか。ごはんは?」

律「アイス食べたからもういいや」

憂「もう、お姉ちゃんったら」クスッ

憂「ねぇ、お姉ちゃん、くっついてもいい?」

律「い、いいよ//」

憂「ありがと。お姉ちゃんあったかいや」

律「///」

憂「ほんとは、私やだったんだ」

律「何が?」

憂「お姉ちゃんが律さんに取られちゃったみたいで」

律「りっちゃんに?」

憂「うん。律さんと付き合ってる、って言われたとき、なんだか淋しくなったの」

憂「私の恋も終わっちゃったんだな、って」

律「えっ?」

憂「私、ずっとお姉ちゃんと一緒にいたいって思ってたんだ」

憂「ずっとお姉ちゃんの笑顔の側にいたいって。」

憂「それが全部なくなっちゃったって思った」

律「・・・」

憂「でも、それは違った。」

憂「律さんの話をしているお姉ちゃんはとても生き生きしていて」

憂「私が側にいたい笑顔だった。」

憂「律さんはお姉ちゃんを幸せにしてくれる、って思った。」

憂「だから、律さんに告白されたとき、すごく怒っちゃったんだ」

憂「ごめんね、お姉ちゃんの大事な人にそんなことして」ウルウル

律「いいんだよ、憂。私も憂の気持ちを知らないで意地張っちゃってごめんね?」

律「(何やってるんだろ、私・・・)」


律の部屋

唯「こうして見ると、ホント私りっちゃんにそっくり」

唯「鏡にキスとかしてみたりして//」チュ

唯「うーん、なんか落ち着かない」

唯「そうだ、携帯でりっちゃんの写真見てよう」

唯「ロックフォルダのパスワード・・・0821・・・」

唯「って、これりっちゃんの携帯じゃん。忘れてたよ。」

唯「あれ、フォルダ開いてる・・・これは・・・」

唯「憂の写真・・・?何十枚もある・・・」

唯「まさか、りっちゃん・・・・」ダッ


唯「りっちゃん、この写真どういこと!?」ガチャ

憂「え、律さ・・・お姉ちゃん?」

律「私の、携帯?」

唯「なんで憂の写真がこんなにあるの?」

律「・・・」

唯「憂の言ってたことはホントなの?」

律「・・・」

唯「答えてよ、りっちゃん!」

律「・・・」

唯「酷いよ・・・信じてたのに!」ダッ

律「あ、唯っ」

憂「律さんは来ないで!待って、お姉ちゃん!」ダッ


唯「うぅ・・・ひっぐ・・・りっちゃん、りっちゃん・・・・・・」

憂「お姉ちゃん・・・」

唯「憂・・・私だめだね。口では偉そうなこと言ったけど・・・すごく辛いんだ、今・・・」ヒッグ

憂「お姉ちゃん・・・」ギュ

唯「ねぇ、憂はりっちゃんのことどう思ってるの?」

憂「・・・嫌いだよ。お姉ちゃんのこと利用して傷つけたんだもん。最低だよ」

唯「・・・そっか。悔しいなぁ」

憂「え?」

唯「私が憂だったら、りっちゃんを幸せにしてあげられるのに・・・」

憂「お姉ちゃん・・・」

唯「ねえ憂、少し1人にしてもらえる?」

憂「うん。じゃあ、私部屋に戻ってるね・・・」


律「(私何やってるんだろ)」トボトボ

律「(あんなことしても、憂ちゃんに好きになってもらえるわけないのに)」トボトボ

律「(・・・なんだろう、胸が苦しい・・・)」

律「(唯はわかってたんだろうな、私が憂のこと好きだって)」

律「(それでも私を好きでいてくれて、信じてくれて、幸せを願ってくれて・・・)」

律「(憂ちゃんもそうだ。自分のことは二の次にして唯のことを懸命に考えて・・・)」

律「(何やってるんだろ、私・・・どうすればいいんだろ)」

律「(今日、唯の本心を聞いて私は・・・)」

律「(嬉しかった。こんなに好いてくれる唯がとても愛おしくなったんだ)」

律「(・・・だったら、もう決まってるじゃないか)」


律「(無意識に来ちゃったな、ここ。)」

律「(ああ、曇ってて星空も見えないや)」

律「(そういえば、唯に告白されたのもここだったな)」

律「(あの日カチューシャを貰って、そのお礼にこの景色を一緒に見て・・・)」

律「(あの時から唯の気持ちは真っ直ぐだった・・・)」

律「(それなのに私はなんてひどいことをしてしまったんだ・・・)」

律「(カチューシャだって、結果的に失ってしまって・・・)」

律「(きっと、私が居たら唯は幸せになれない・・・)」フォーン

律「(列車の音・・・?下に落ちたら、私の罪も許されるのかな・・・)」ギシ

律「(唯、悲しむかな・・・?でも、私がいるよりは幸せになれるよね・・・)」ギシ

律「(さよなら、唯・・・)」タンッ

律「(・・・私落ちて・・・ない!?)」

憂「だめです、律さん!」ギュ

律「(この声・・・)」チラッ

憂「そう簡単に死んじゃだめです!」

律「・・・憂、ちゃん?」

憂「律さんがいなくなったらお姉ちゃんが悲しみます!」

律「・・・」

憂「それに、私でよかったら律さんと付き合いますよ?」

律「え?」

憂「私も気づいたんです。あの時から律さんのこと好きだったんだって」

律「憂ちゃん・・・・・・」

律「私のこと、許してくれるの?」

律「あんなに唯のことを傷つけちゃったのに・・・」

憂「っ・・・今、お姉ちゃんはとても辛いんです。」

憂「好きな人に裏切られて、でもその人のことがまだ好きで・・・」

憂「律さんが幸せになるにはどうすればいいのか、必死に考えてるんです」

律「・・・」

憂「律さんを傷つけることばかり言ったのに、好きだなんて言ってすみません・・・」

憂「そう簡単に許してもらえるとは思ってません。でも、もし許してもらえるなら・・・」

律「じゃあ、お願い。私のことは律さんじゃなくてりっちゃんってよんで敬語はやめて?」

憂「・・・りっちゃん・・・好きです。あのときのパウンドケーキ美味しかった・・・また、焼いて欲しい」

律「・・・っ!私も好きだよ」チュ

憂「///」

憂「そうだ、りっちゃん、これ忘れ物」

律「これは・・・ヒマワリのカチューシャ・・・ありがと。もう戻ってこないと思ってた」

憂「へへ、やっぱりカチューシャの方がりっちゃんらしくて好きだよ」

律「そ、そうか///」

律「じゃあ、この髪留めは・・・つけてよ?」

憂「え?」

律「きっと、似合うよ。私もその方がらしくて好きだよ//」

憂「うんっ」

FIN

出典
【けいおん!】田井中律は白ビキニ可愛い82【ドラム】


このSSの感想をどうぞ
名前:
コメント:

すべてのコメントを見る
  • 最後のって唯?? -- (ゆうき) 2011-05-25 00:58:21
  • もしかして最後の「憂」は唯がなりすました人物、とかだったりして・・・なんて -- (名無しさん) 2010-04-18 20:27:48
  • 最後の憂は唯かと思った・・。 -- (noy) 2010-03-29 22:24:11
  • “りつゆい”で話を作ったら、憂が絡まない訳には行かなくなるだろうなぁ……。(て言うか紅玉は“ゆいうい”派だ)それに……(りつみお命の人達に脳内チョーク確定?) -- (紅玉国光) 2009-10-06 17:32:49

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2009年10月05日 19:25
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。