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「マルチ、遭遇、軍事基地にて、ターミネーターと。」(2008/03/30 (日) 16:21:20) の最新版変更点
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**マルチ、遭遇、軍事基地にて、ターミネーターと。 ◆56WIlY28/s
「はわわ……。私はこれから先一体どうすれば……」
ここは会場の北西に位置する軍事基地内のとあるビルの一室。そこにマルチはいた。
来栖川エレクトロニクスが開発したメイドロボットである彼女は何故自分がこのような場にいるのか分からなかった。
マルチたちメイドロボは、もともと人間の身の回りのお手伝いやお世話をするために開発されこの世界に生み出された存在だ。
そんな彼女が自己の存在意義とはまったく関係のない戦いの場に放り込まれるなど、いったい誰が予想しただろうか。
それも他者を全て破壊し、最後の1機になるまで潰し合うバトル・ロワイアルなどという戦場に――
「と、とりあえずまずは落ち着いて現在の状況を確認しなくては……!
え、ええっと……。今私がいるのはA-1で……」
支給されたPDAを手にまずはMAPを表示して自分が今いる場所を確認し、次に先ほどシグマが言っていた参加者にランダムで与えられるという支給品を確認する。
画面に最初に表示された品は――――
「? これは盾でしょうか?」
画面に最初に表示されたものは一見盾のように見える蒼いプレートであった。
外見だけではさすがにどのような物なのか分からないため、早速それの説明に目を通す。
PDAの説明によると、これはライディングボードといって盾の他にサブフライトシステムや砲撃装置も兼ねた汎用装備とのことだった。
「サブフライトってことは……これに乗れば空も飛べるってことなんでしょうか?」
もし説明の通り空を飛ぶことが可能ならば、これはかなりの当たりアイテムなのではないだろうか。
そう思ったマルチは早速それを転送する。
すると、マルチの目の前にひとつの大きなプレートが転送された。
「うわぁ……随分と大きいんですね。あ、でもそれほど重くもないです」
そう言いながら転送されたライディングボードを手にすると、マルチはまずは外に出ようと廊下へ足を運んだ。
「早速これを使ってまずはセリオさんを探しましょう。でも私でも使えるかどうか正直不安です~……」
一人そのようなことを言いながら廊下を歩くマルチ。ちなみに、今彼女がいるのは一階だったためビルの出入り口はすぐ見つかった。
――だが、マルチが出入り口の自動ドアを通り抜けようとしたその時、背後からポーンという音が聞こえた。
「はい?」
なんだろうと振り返ってみると、そこにはエレベーターの扉が二つあった。
そして、先ほどの音はそのうちのひとつ――マルチから見て左側のエレベーターが上の階から下りてきたことを知らせる音であった。
ゆっくりと開いていくエレベーターの扉。
出てきたのは…………
ビシュン! ビシュン!
「はわぁ~っ!?」
エレベーターから最初に飛び出したのは数発のレーザー弾。
マルチはとっさに持っていたライディングボードを盾に防御の体勢をとる。
そしてマルチがライディングボードを構えたのとほぼ同時にレーザー弾の一発がライディングボードに直撃した。
「きゃああああああああああああ!」
ライディングボードが壊れることはなかったものの、着弾の衝撃は凄まじくマルチは背後に吹っ飛んでしまう。
当然現在のマルチの背後にあるのは自動ドアだ。吹っ飛んだマルチはその自動ドアのガラスを叩き割り、強制的にビルの外に叩き出されてしまう。
「い、痛いです……」
自身がロボットであることと衣服(制服)を着用していたためため割れたガラスで怪我をすることはなかったが、コンクリートの床に思いっきり背中を打ってしまったマルチ。
それでも何とか起き上がると、マルチの前方――先ほどまで自身がいたビルの中に一人の男の人影があった。
しかも男の右腕には重火器と思われるシルエット……それを目にした瞬間、マルチは今自身を攻撃してきたのが彼であると確信した。
そして――男はシグマに言われたとおり自分以外の存在を容赦なく破壊しようとしていることにも――――
「ひいっ!?」
マルチは立ち上がるとすぐさまその場から逃げ出そうと走り出した。
当然男の方もマルチを逃がすまいと走り出す。
現在マルチと男との間の距離は大体十数メートル。だがマルチを追う男は人間ではないとしても信じられない足の速さでマルチに徐々に接近してくる。
しかも右手に装備する重火器から容赦なくレーザー弾をマルチに向けて撃ってくる。
「ひいいっ!!」
男の右腕から放たれる何発ものレーザー弾がマルチの横をかすり抜けていく。
マルチに搭載されている試作用AIは先ほどから彼女のCPUに『恐怖』という感情を伝え続けていた。
(逃げないと……何としてもここから逃げないと……!)
チラリと一度後ろを振り返るマルチ。男との距離はすでにあと数メートルというところまで詰まってきている。
そして、当の男の表情はというとまるで能面のごとく無表情。氷のような瞳を標的であるマルチに向け続けていた。
――ふと、きっとあの人には自分とは違って『感情』という存在とはきっと無縁なんだろうとマルチは思った。
だが、そのようなことを考えてしまったせいで、マルチの思考に一瞬の隙が生まれてしまう。
「あっ!?」
マルチの足が一瞬宙を舞った。
足元に注意を向けていなかったせいで転んでしまったのだとマルチの演算装置が瞬時に結論する。
「あうっ!?」
その場にうつ伏せに倒れこむマルチ。もちろんその隙を男が見逃すはずがない。
男は自身の左腕を日本刀のような刃物状の形に変形させる。
そして次の瞬間、その左腕を容赦なく倒れこんでいるマルチの背中に振り下ろした。
「あああああああああああああ!?」
背中にはしる『痛み』という衝撃に声にならない悲鳴を上げるマルチ。
さらに男は追い討ちとばかりに今度は腰に左腕を突き刺した。
「があああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
再びマルチの口から絶叫が基地全域に響き渡る。
それとともにマルチの視界と思考は強制的にブラックアウトした。
■
軍事基地内部の軍事倉庫。そこに先ほどの男――液体金属製ターミネーター・T-1000はいた。
現在彼は椅子に腰掛け、手に持っているソレを終始無言で操作していた。
――高性能探知機。T-1000がシグマから与えられた強力な支給品のひとつだ。
同エリアに参加者が存在する場合、どこにいるかを探知し、さらにその参加者が誰であるか詳細に画面に映し出す今回の戦いにおいて間違いなく最強クラスに位置するの一品だ。
「…………」
探知機が映し出す画面を確認するとT-1000はそれの電源を一旦切り、それをズボンのポケットにしまい込んだ。
そして立ち上がると今度は近くに停めてあった軍用ジープに乗り込み、それのエンジンをかけた。
このバトル・ロワイアルにおいてT-1000がスカイネットに与えられた使命は3つ。
ひとつはシグマに協力し、このデスゲームを円滑に進めるように行動すること。
もうひとつは自身に与えられた最終任務――『ジョン=コナー抹殺』の最大の障害になるであろうT-800の破壊。
そして最後のひとつは――――
「…………」
T-1000は無言でジープのアクセルを踏み込んだ。
ジープは猛スピードで走り出し、倉庫のシャッターを突き破って外へ踊り出る。
そして、あっという間に軍事基地の外へと飛び出していった。
■
「…………あれ?」
T-1000が軍事基地を去ってしばらくした後、軍事基地の敷地内でマルチは目を覚ました。
いや、正確には強制終了してしまったCPUが再起動したのであるが。
「ええと……確か私はビルの外に出ようとして…………あれ? 何があったんでしたっけ?」
数刻前の記憶を思い出そうとするマルチであったが、なぜかビルを出ようとした瞬間から先の記憶が思い出せなかった。
――と、その時になって彼女はあることに気がついた。
「……ん?
ってあああああああああああああああああっ!? わ、私の制服があああああああああああ!!」
そう、先ほどのT-1000から受けた攻撃により彼女の制服の上着は破れ、もはや衣類と呼べる代物ではなくなっていたのである。
つまり、今のマルチは上半身裸ということになる。
「うう……仕方がありません。まずは何か着替えになるものを探しましょう…………
それからセリオさんたちを見つけて――――」
ボロ切れと化した制服の上着を脱ぎ捨て、手元に転がっていたライディングボードを拾い上げながらマルチは再びこれからの予定を計画する。
しかし――――
「破壊しなきゃいけませんねぇ……」
苦笑いを浮かべながらマルチは、普段の彼女を知るものが聞けば間違いなく己が耳を疑いたくなるような恐ろしい言葉を口にした。
■
T-1000に与えられた最後の使命――――それはシグマから与えられた『あるもの』の効果を調査し、そのデータをスカイネットに持ち帰るというものであった。
シグマから与えられたもの、その名は『シグマウイルス』。シグマ自身を媒介として誕生した最強最悪のロボット破壊プログラムである。
あの時、T-1000がマルチを完全に破壊しなかったのはそのウイルスの効果が本当に発揮されるのかを確かめるためである。
そして、T-1000の期待通り、早速マルチにその効果は現れ始めていた。
【A-1 軍事基地/一日目・深夜】
【マルチ@To Heart】
[状態]:上半身裸。背中・腰部損傷(行動に特に支障はない模様)。シグマウイルスに感染
[装備]:ライディングボード@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:支給品一式(不明支給品0~2)
[思考・状況]
基本:???
1:うぅ……着替えが欲しいです……(泣)
2:急いでセリオさんたちを見つけて破壊しますっ♪
3:ライディングボードを使いこなせるか不安です……
【A-2 道路/一日目・深夜】
【T-1000@ターミネーター2】
[状態]:異常なし
[装備]:レーザーガン@メタルギアソリッド、高性能探知機、シグマウイルス(残り2回分)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本:バトル・ロワイアルが円滑に進むように行動する。シグマとスカイネットの命令には絶対服従
1:他の参加者に出会ったら容赦なく攻撃
2:可能ならば他の参加者にシグマウイルスを感染させる。不可能ならば破壊する
3:ただし、T-800は最終的に破壊する
【その他】
※シグマウイルスはT-1000の体内に装備させられた状態で存在し、T-1000の体が相手の体内に侵入した際に感染させることが可能
*時系列順で読む
Back:[[本件は拉致事件であってゲームではない]] Next:[[フランシーヌ、仮面ライダーと出会う]]
*投下順で読む
Back:[[本件は拉致事件であってゲームではない]] Next:[[フランシーヌ、仮面ライダーと出会う]]
|000:[[オープニング]]|T-1000|043:[[雷電激震]]|
|&color(cyan){GAME START}|マルチ| |
**マルチ、遭遇、軍事基地にて、ターミネーターと。 ◆56WIlY28/s
「はわわ……。私はこれから先一体どうすれば……」
ここは会場の北西に位置する軍事基地内のとあるビルの一室。そこにマルチはいた。
来栖川エレクトロニクスが開発したメイドロボットである彼女は何故自分がこのような場にいるのか分からなかった。
マルチたちメイドロボは、もともと人間の身の回りのお手伝いやお世話をするために開発されこの世界に生み出された存在だ。
そんな彼女が自己の存在意義とはまったく関係のない戦いの場に放り込まれるなど、いったい誰が予想しただろうか。
それも他者を全て破壊し、最後の1機になるまで潰し合うバトル・ロワイアルなどという戦場に――
「と、とりあえずまずは落ち着いて現在の状況を確認しなくては……!
え、ええっと……。今私がいるのはA-1で……」
支給されたPDAを手にまずはMAPを表示して自分が今いる場所を確認し、次に先ほどシグマが言っていた参加者にランダムで与えられるという支給品を確認する。
画面に最初に表示された品は――――
「? これは盾でしょうか?」
画面に最初に表示されたものは一見盾のように見える蒼いプレートであった。
外見だけではさすがにどのような物なのか分からないため、早速それの説明に目を通す。
PDAの説明によると、これはライディングボードといって盾の他にサブフライトシステムや砲撃装置も兼ねた汎用装備とのことだった。
「サブフライトってことは……これに乗れば空も飛べるってことなんでしょうか?」
もし説明の通り空を飛ぶことが可能ならば、これはかなりの当たりアイテムなのではないだろうか。
そう思ったマルチは早速それを転送する。
すると、マルチの目の前にひとつの大きなプレートが転送された。
「うわぁ……随分と大きいんですね。あ、でもそれほど重くもないです」
そう言いながら転送されたライディングボードを手にすると、マルチはまずは外に出ようと廊下へ足を運んだ。
「早速これを使ってまずはセリオさんを探しましょう。でも私でも使えるかどうか正直不安です~……」
一人そのようなことを言いながら廊下を歩くマルチ。ちなみに、今彼女がいるのは一階だったためビルの出入り口はすぐ見つかった。
――だが、マルチが出入り口の自動ドアを通り抜けようとしたその時、背後からポーンという音が聞こえた。
「はい?」
なんだろうと振り返ってみると、そこにはエレベーターの扉が二つあった。
そして、先ほどの音はそのうちのひとつ――マルチから見て左側のエレベーターが上の階から下りてきたことを知らせる音であった。
ゆっくりと開いていくエレベーターの扉。
出てきたのは…………
ビシュン! ビシュン!
「はわぁ~っ!?」
エレベーターから最初に飛び出したのは数発のレーザー弾。
マルチはとっさに持っていたライディングボードを盾に防御の体勢をとる。
そしてマルチがライディングボードを構えたのとほぼ同時にレーザー弾の一発がライディングボードに直撃した。
「きゃああああああああああああ!」
ライディングボードが壊れることはなかったものの、着弾の衝撃は凄まじくマルチは背後に吹っ飛んでしまう。
当然現在のマルチの背後にあるのは自動ドアだ。吹っ飛んだマルチはその自動ドアのガラスを叩き割り、強制的にビルの外に叩き出されてしまう。
「い、痛いです……」
自身がロボットであることと衣服(制服)を着用していたためため割れたガラスで怪我をすることはなかったが、コンクリートの床に思いっきり背中を打ってしまったマルチ。
それでも何とか起き上がると、マルチの前方――先ほどまで自身がいたビルの中に一人の男の人影があった。
しかも男の右腕には重火器と思われるシルエット……それを目にした瞬間、マルチは今自身を攻撃してきたのが彼であると確信した。
そして――男はシグマに言われたとおり自分以外の存在を容赦なく破壊しようとしていることにも――――
「ひいっ!?」
マルチは立ち上がるとすぐさまその場から逃げ出そうと走り出した。
当然男の方もマルチを逃がすまいと走り出す。
現在マルチと男との間の距離は大体十数メートル。だがマルチを追う男は人間ではないとしても信じられない足の速さでマルチに徐々に接近してくる。
しかも右手に装備する重火器から容赦なくレーザー弾をマルチに向けて撃ってくる。
「ひいいっ!!」
男の右腕から放たれる何発ものレーザー弾がマルチの横をかすり抜けていく。
マルチに搭載されている試作用AIは先ほどから彼女のCPUに『恐怖』という感情を伝え続けていた。
(逃げないと……何としてもここから逃げないと……!)
チラリと一度後ろを振り返るマルチ。男との距離はすでにあと数メートルというところまで詰まってきている。
そして、当の男の表情はというとまるで能面のごとく無表情。氷のような瞳を標的であるマルチに向け続けていた。
――ふと、きっとあの人には自分とは違って『感情』という存在とはきっと無縁なんだろうとマルチは思った。
だが、そのようなことを考えてしまったせいで、マルチの思考に一瞬の隙が生まれてしまう。
「あっ!?」
マルチの足が一瞬宙を舞った。
足元に注意を向けていなかったせいで転んでしまったのだとマルチの演算装置が瞬時に結論する。
「あうっ!?」
その場にうつ伏せに倒れこむマルチ。もちろんその隙を男が見逃すはずがない。
男は自身の左腕を日本刀のような刃物状の形に変形させる。
そして次の瞬間、その左腕を容赦なく倒れこんでいるマルチの背中に振り下ろした。
「あああああああああああああ!?」
背中にはしる『痛み』という衝撃に声にならない悲鳴を上げるマルチ。
さらに男は追い討ちとばかりに今度は腰に左腕を突き刺した。
「があああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
再びマルチの口から絶叫が基地全域に響き渡る。
それとともにマルチの視界と思考は強制的にブラックアウトした。
■
軍事基地内部の軍事倉庫。そこに先ほどの男――液体金属製ターミネーター・T-1000はいた。
現在彼は椅子に腰掛け、手に持っているソレを終始無言で操作していた。
――高性能探知機。T-1000がシグマから与えられた強力な支給品のひとつだ。
同エリアに参加者が存在する場合、どこにいるかを探知し、さらにその参加者が誰であるか詳細に画面に映し出す今回の戦いにおいて間違いなく最強クラスに位置するの一品だ。
「…………」
探知機が映し出す画面を確認するとT-1000はそれの電源を一旦切り、それをズボンのポケットにしまい込んだ。
そして立ち上がると今度は近くに停めてあった軍用ジープに乗り込み、それのエンジンをかけた。
このバトル・ロワイアルにおいてT-1000がスカイネットに与えられた使命は3つ。
ひとつはシグマに協力し、このデスゲームを円滑に進めるように行動すること。
もうひとつは自身に与えられた最終任務――『ジョン=コナー抹殺』の最大の障害になるであろうT-800の破壊。
そして最後のひとつは――――
「…………」
T-1000は無言でジープのアクセルを踏み込んだ。
ジープは猛スピードで走り出し、倉庫のシャッターを突き破って外へ踊り出る。
そして、あっという間に軍事基地の外へと飛び出していった。
■
「…………あれ?」
T-1000が軍事基地を去ってしばらくした後、軍事基地の敷地内でマルチは目を覚ました。
いや、正確には強制終了してしまったCPUが再起動したのであるが。
「ええと……確か私はビルの外に出ようとして…………あれ? 何があったんでしたっけ?」
数刻前の記憶を思い出そうとするマルチであったが、なぜかビルを出ようとした瞬間から先の記憶が思い出せなかった。
――と、その時になって彼女はあることに気がついた。
「……ん?
ってあああああああああああああああああっ!? わ、私の制服があああああああああああ!!」
そう、先ほどのT-1000から受けた攻撃により彼女の制服の上着は破れ、もはや衣類と呼べる代物ではなくなっていたのである。
つまり、今のマルチは上半身裸ということになる。
「うう……仕方がありません。まずは何か着替えになるものを探しましょう…………
それからセリオさんたちを見つけて――――」
ボロ切れと化した制服の上着を脱ぎ捨て、手元に転がっていたライディングボードを拾い上げながらマルチは再びこれからの予定を計画する。
しかし――――
「破壊しなきゃいけませんねぇ……」
苦笑いを浮かべながらマルチは、普段の彼女を知るものが聞けば間違いなく己が耳を疑いたくなるような恐ろしい言葉を口にした。
■
T-1000に与えられた最後の使命――――それはシグマから与えられた『あるもの』の効果を調査し、そのデータをスカイネットに持ち帰るというものであった。
シグマから与えられたもの、その名は『シグマウイルス』。シグマ自身を媒介として誕生した最強最悪のロボット破壊プログラムである。
あの時、T-1000がマルチを完全に破壊しなかったのはそのウイルスの効果が本当に発揮されるのかを確かめるためである。
そして、T-1000の期待通り、早速マルチにその効果は現れ始めていた。
【A-1 軍事基地/一日目・深夜】
【マルチ@To Heart】
[状態]:上半身裸。背中・腰部損傷(行動に特に支障はない模様)。シグマウイルスに感染
[装備]:ライディングボード@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:支給品一式(不明支給品0~2)
[思考・状況]
基本:???
1:うぅ……着替えが欲しいです……(泣)
2:急いでセリオさんたちを見つけて破壊しますっ♪
3:ライディングボードを使いこなせるか不安です……
【A-2 道路/一日目・深夜】
【T-1000@ターミネーター2】
[状態]:異常なし
[装備]:レーザーガン@メタルギアソリッド、高性能探知機、シグマウイルス(残り2回分)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本:バトル・ロワイアルが円滑に進むように行動する。シグマとスカイネットの命令には絶対服従
1:他の参加者に出会ったら容赦なく攻撃
2:可能ならば他の参加者にシグマウイルスを感染させる。不可能ならば破壊する
3:ただし、T-800は最終的に破壊する
【その他】
※シグマウイルスはT-1000の体内に装備させられた状態で存在し、T-1000の体が相手の体内に侵入した際に感染させることが可能
*時系列順で読む
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|000:[[オープニング]]|T-1000|043:[[雷電激震]]|
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