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「漆黒と紅の零地点(後半)」(2009/03/28 (土) 19:29:36) の最新版変更点
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**漆黒と紅の零地点(後半) ◆2Y1mqYSsQ.
「ぐ…………」
ハカイダーは火花の散る傷口を抑えながら、ゼロを睨みつけている。
だが、その視線には恨みのような、負の感情はこもっていない。
むしろ、逆である。ここまで骨のある相手に、一日で二度も出会ったことを幸運だと感謝する感情が、視線にこめられていた。
ゼロは無言で刃をこちらに向けている。この程度でハカイダーが戦いをやめる存在ではないと理解しているのだ。
ハカイダーの回路(こころ)が踊る。左腕に装着した二連キャノンを構えて、ゼロに向かって放った。
銃弾が一発切り捨てられるが、ハカイダーは予測済み。一瞬できる隙に乗じて、ゼロへ向かって蹴りを放つ。
見事にゼロの鳩尾を打ち据えた蹴りが、ゼロを吹き飛ばす。
怪我を負ったが、ハカイダーの動きは鈍るどころか、さらに鋭くなっていった。
「クッ……!」
「甘いな、ゼロ!!」
ゼロは苦し紛れにセイバーを振り下ろすが、ハカイダーにとってその程度の攻撃を避けるのはたやすい。
コンクリートの地面が綺麗に裂かれ、悔しげな表情を浮かべるゼロの胸板に、右ストレートを打ち込む。
強打されたゼロがブレーキをかけ体勢を整える。
続いて、ハカイダーが三連射する二連キャノンを、地面を左右に駆けながら巧みに避ける。
大穴が開いた地面を蹴って、溶鉱炉にコンクリートの破片がパラパラと落ちて燃え尽きた。
空円斬がハカイダーの身体を突き飛ばす。だが、ハカイダーとゼロの距離が詰まったとき、零距離でハカイダーは二連キャノンを放った。
それぞれ、辛うじて身を捻ったため、傷は浅くなっている。
しかし、今まで出来た傷が、疲労が二人を追い詰めていた。
(決めれて……あと一撃か)
ハカイダーは、ゼロも同じことを考えていると確信している。
お互いダメージも疲労も、戦闘能力も互角。そして、これはハカイダーの推測だが、ゼロは自分と戦う前に戦闘をこなしていた。
あっさりとひびの入った日本刀がいい証拠である。いくら日本刀が攻撃を受け止めるのに不向きとはいえ、ゼロの技量を持ってすれば力を受け流すことくらいは簡単だろう。
それが、メカ沢を庇うさいにもらったハカイダーの一撃で、ひびが生まれた。
刃こぼれも若干だが、見て取れた。つまり、ここに来る前ゼロは戦闘をしていたのだ。
ハカイダーは神に感謝する。ゼロはとことん、自分と同じ条件で全力で戦ったのだ。こんな機会、この殺し合いではそうないだろう。
最大の礼を持って、ゼロを葬る。仮面ライダーZXの時と同じだ。
ハカイダーはゼロを見据え、攻めるべきタイミングを計り始めた。
二人はお互い、無言で睨みあう。
おそらく、次の一撃が最後の一手になるだろう。その確信があるからこそ、慎重になる。
溶鉱炉の熱気が二人に伝わり、熱によって陽炎のように景色が歪む。
ボコボコと溶鉱炉が沸騰する音だけが、二人の間に流れていた。
一際大きい水疱が、溶鉱炉に浮かびあがる。一瞬で破裂、二人は身体を反応させた。
ハカイダーは左腕のニ連キャノンを、神速の勢いで振り上げて、銃口をゼロへと向ける。
ゼロは放たれるであろう銃弾を切り裂いて、攻撃に移るために、地面を蹴ってハカイダーに迫る準備をする。
攻撃の爆発する瞬間、その刹那、ゼロの足元の銃弾や斬撃でボロボロになったコンクリートの床が、ゼロの踏み込みに耐え切れず崩れ落ちた。
ゼロは歯を食いしばって、足場のない空を蹴る。
空円舞を使い、溶鉱炉に飲み込まれるのを阻止しようと考えたのだ。
だが、現実は無情にもゼロの左膝が爆発し、空円舞の失敗を招く。
Xとの戦いのときにかかった負荷が、ハカイダーとの戦いでさらに大きく負担がかかり、耐え切れず爆発を起こしたのだ。
バランスが崩れたゼロは、溶鉱炉に突っ込まざるをえなくなる。
(俺は……ここまでなのか? エックス……ノーヴェ……)
仲間を想い、ゼロは無念そうな表情を浮かべる。
シグマの野望を止めれなかった。アイリスやカーネルのような、悲劇がまた生まれるかもしれない。
そのことに、シグマが嘲笑している姿が目に浮かんで、本当に悔しかった。
(エックス……悪い。俺はここまでのようだ。シグマを倒せ……。
ノーヴェ……できればそこにいた旧式のレプリロイドたちと、頑張ってくれ。アイリス…………)
伸ばした右手は、虚しく空を掴む。誰かが掴んでくれることを期待したわけではない。
ただ、自分の手は救いを求める手を、無慈悲にも絶っていたのではないだろうか、という自責の念が絶えたことはなかった。
アイリスを斬った、あの日から……。
(もしも、俺たちレプリロイドにあの世とやらがあるのなら、そこで君に謝ろう)
ゼロは静かに目を瞑り、身体が熱に溶かされるのを待つ。覚悟は決まった。
突如、ゼロの身体は落下をやめる。右手には、誰かが握る感触があった。
不思議に思い、目を開いた先には右手を地面の淵に掴み、ニ連キャノンを投げ捨て、左手でゼロの右手を掴んだハカイダーがいた。
誰も掴むことを期待していなかった右手は、今しがた命を狙っていたはずのハカイダーによって、掴まれたのだ。
ハカイダーは落下していくゼロを見つめて、焦燥に包まれる。
(ゼロが……俺とここまで戦いを繰り広げた男が、溶鉱炉に落ちてあっさりと死ぬだと……?)
ハカイダーはかつて、キカイダーが死んだと思い込んだとき、自己崩壊が起きかけたことがある。
キカイダーを殺すことが、キカイダーを己の手で倒すことこそが、自分の生きがいだと信じている。いや、依存しているといってもいい。
ゆえに、キカイダーを失うことは、ハカイダーにとって何もかも失うと同意義であった。
幸い、そのときのキカイダーは修理が可能だったため、後一歩のところでハカイダーは己を取り戻した。
ハカイダーはキカイダーに依存していることに気づいていない。
だが、本能ではそのことを気づいており、キカイダーを失うことを恐れていた。
事実、ハカイダーはキカイダーとの戦いを繰り広げたとき、キカイダーを見逃したことが多い。
仮面ライダーZXこと村雨良を倒したときも、寂寥感が支配したことがある。
キカイダーの存在と、村雨以外の仮面ライダーの存在を知らなければ、ハカイダーは少なからず、回路(こころ)に癒えない傷を負ったであろう。
ある種、ハカイダーは純粋な存在であった。
その彼が、思ったのだ。自分と互角に戦った、ゼロが決着をつけることなく、死んでしまうかもしれない。
現実が多大なストレスとなってハカイダーの回路(こころ)に襲い掛かる。
もはや猶予はない。ハカイダーは地面を全速力で駆け、左腕に装着していたニ連キャノンを何の未練もなく捨てた。
そのままエアークラフトを起動させようとするが、左太腿を斬られたさいに制御回路が断たれたらしい。上手く起動しない。
ハカイダーは舌打ちして、右手で淵を掴んで、左手を伸ばした。
ガシッっと、たしかにハカイダーはゼロの腕を掴んだ。
「ハカイダー…………?」
「黙れ。今引き上げてやる」
ハカイダーは己の行動に疑問を孕みつつも、ゼロを落とさないように左手に力をこめる。
右腕だけで自分を引き上げて、ゼロの身体をしっかりした地面へと寝かせた。
ハカイダーは自分の行動に苛立つ。
なぜかは分からないが、ゼロが助かってホッとしている自分がいるからだ。
「…………続き、やるのか?」
「興が削がれた。今回はここまでだ」
ハカイダーは告げて、工場を降りるために階段へと向かう。
ハカイダーの背中に、ハカイダーが知る由もないが、複雑な思いを抱えるゼロは思わず呼びかけた。
「お前はまだ、この殺し合いを続けるのか? ハカイダー」
「俺は元の世界に帰って、キカイダーを倒す。それだけだ。
ゼロ、次に会えばお前を倒す。勝つのは俺だ」
「……一つだけ約束しろ。ノーヴェやあの旧式のレプリロイドたちには手を出すな」
「もとより女子供、弱い連中に興味はない。そいつらから仕掛ければ別だがな」
ハカイダーは言い捨てて、その姿をサブローに変える。
変身タイプのレプリロイドか……とゼロが呟くのを聞き逃さなかった。
「待て……ハカイダー……」
「覚えておけ、ゼロ。この姿のときの俺は、サブローだ。まあ呼び名程度、ハカイダーでも構わないがな」
「ハカイダー。俺たちと手を組め……と、言ったらどうする?」
「断る。俺は群れるのが嫌いだ」
「そうか……」
サブローはあっさりと返し、踵を返して階段を下りていく。
背中でゼロが腰を下ろしたのを確認し、サブローは振り向かずに大声で告げた。
「ゼロ、日付が変わる頃、俺は生きていればここに来る。お前に決着をつける気があるのなら、ここで再戦しよう」
「……ああ。分かった」
サブローの言いたいことはすべて告げた。もう用はないと、階段を下りていく。
サブローは工場の出口へと辿り着き、PDAより呼び出したバイクに跨り、キーを回した。
バチッと、身体の傷口が爆ぜる。修理が必要だろう。
(確か修理工場があったな。敵が集まるかもしれないが……構わない。
仮面ライダーや、ゼロとの戦いに備えるのも、悪くはないからな)
バイクの排気音が轟き、サブローはアクセルグリップを捻り上げる。
朝日が昇り始めた工場地帯を、漆黒の影となってサブローは駆け抜けた。
(いったか……)
闇に解けるように去っていくサブローの背中を見つめ、ゼロは壁に背を預ける。
サブローの告げた、日付の変わる頃にここにここで決着をつける、と言う約束。
サブローは守るだろう。ゼロは応えるべきかどうか、思考する。
ゼロはカーネルのセイバーを見つめ、サブローに大きな借りがいくつもあることを思い出した。
セイバーだけでなく、命まで助けてもらった。
悪と自称するとは思えないほど、甘い行動。その戦闘能力は、修羅場を潜ったものでありながら。
少しだけ、エックスに似ているかもしれないとゼロは思う。
戦いの最中でも、相手を助ける甘さ。最終的な目的は違えど、少しだけ、ほんの少しだけ、エックスを重ねてしまった。
だから無意識に、サブローの消えた先の闇を見つめて呟く。
「ハカイダー…………死ぬなよ……」
告げ終えて、しばらくは動けないな、とゼロはただ静かに壁に背を預けたまま目を瞑る。
眠るわけではない。眠る必要もない。ほんのちょっと、身体を休めるだけだ。
(待っていろよ……ノーヴェ……。少しだけ休んだら、すぐに行く……)
空が闇の終わりを告げ、赤く染まっていく。
赤く染まったその色は、下方で全てを溶かす熱を有する、溶鉱炉を思い出す。
同時に、赤い髪の少女の笑い顔も思い出した。
□
「人はいないのかな?」
空色のセミロングの髪と、瞳。小柄な身体に、ひらひらとしたゴスロリ衣装を着る可憐な少年。
人を殺し、生命の頂点に立たんと付けねらうネオ生命体ドラスであった。
彼はスバルと別れ、闇が晴れていき、紫色に染まる工場地区を物見遊山で回る。
別に目的はない。スバルに疑心暗鬼を植えつけ、タチコマとの接触がどうなるかは見ものだが、今は確かめるべき時でない。
それに、重力を操り、鉄壁の防御と大火力の銃を持つ名も知らない男を相手にするような愚は冒したくない。
ドラスはZOに負けたことにより、慎重に動く。タチコマと仮面ライダーの戦いを見るに、ZO以外の仮面ライダーが存在していることも分かった。
この容姿と自分の生い立ちを利用して、仲間を集める。
そして振りまくのは不信と不協和音。自分への保護心。
スバルとタチコマを見捨てたのは、重力を操る男への囮とするため。
怪我人を抱えて、遠くへいけなかったスバルたちなら、あの男に見つかるのも時間の問題だ。
片腕のスバルと、タチコマではどう足掻いても勝てはしない。
幸運にも生き残るのなら、悪評を振りまくか、自分で殺しに向かえばいい。
スバルとの出会いはこの姿を使うメリットと、魔法を自分である程度使えるようになる、という戦闘能力の向上に繋がった。
(お兄ちゃん、僕は二度と負けない。帰って神になるんだから)
まずは保護してくれる相手を探そう。
ドラスの目的は単純だった。
□
「おい、メカ沢! こっちじゃない!!」
「うるせえ! 道が入り組んで、分かりにくいんだよ!!」
「二人とも、オチツイテ!」
いい争いを続けるノーヴェとメカ沢が狭い運転席で暴れて、ロボが仲裁する。
奇妙なバランスを取りつつ、タンクローリーは進み続けていた。
ロボがメカ沢をサポートしようとナビを勤めるが、メカ沢は勘に頼る性格なのか、あさっての方向に突き進んでいた。
ノーヴェはノーヴェで、メカ沢と相性が悪いのか、先ほどから口喧嘩ばかりをしている。
とはいえ、ロボはノーヴェがここまで元気になったことを嬉しく思った。
姉が殺し合いに乗り、ゼロが自分たちを守るために敵を惹きつけた。
その事実が、父親が裁判に駆けられると知ったときのマールの落ち込んだ表情と似ていたからだ。
自分が慰めようとしても反応がない。
どう知ればいいのか、答えを検索しようとしたとき、メカ沢が横から入っていった。
メカ沢はノーヴェを責めているようで、実はそうではない。
メカ沢は叱咤激励をしていたのだ。まるで、人間のように。
自分と似た外見を持っているのに、人間の心を100%理解できる。
もしメカ沢がそういう存在であるなら、彼から色々学びたいものだとも思う。
「ところでメカ沢、お前これ運転できるのか?」
「今更聞くか? バイクと似たようなもんだろ。気合だ、気合」
「ぜんぜんちげえよ! だいたい、バイクも気合じゃ動かないだろ!」
「うるせえ! 黙っていやがれ!」
ロボは二人の微笑ましいやり取りに、胸が温かくなった。
マールやクロノ、ルッカたちのやり取りを見ていた頃を思い出したからだ。
とはいえ、ゼロたちが向かった方向とはズレ過ぎている。東に向かわねばならないのに、今は北に向かって行っている。
そろそろ軌道修正しなければ、ゼロは本格的にまずいだろうと、ロボが声をかけようとして……気がつく。
「メカ沢!! 前方ニ人がイます!! ブレーキをかけてくだサイ!!」
目の前に、黒いひらひらのゴスロリ衣装を着る、少女がいることに。
「うぉぉぉぉ!!」
メカ沢が叫び、タイヤが悲鳴をあげて、ハンドルを思いっきり切った。
三人の身体が、多大のGに振り回される。
「ちょっとびっくりした~」
ドラスは目の前で柵を破壊し、工場に突っ込んだタンクローリーを見つめる。
幾らか呆れた視線を乗せているのは、前方不注意に対して責める意味合いもあるからだ。
下手すれば自分は轢かれていたのだ。死ぬことはないにしても、ダメージは負う。
(ちょっと文句でも言いに行こう)
ムッとしながら近付くドラスは、傍から見れば微笑ましい光景だろう。
内情は、スバルの腕を奪い、人を殺すことをなんとも思わない冷血な怪人であるのだが。
そのことを知るものはいない。唯一知るスバルの精神は不安定にした。
今のドラスは不気味な虫の怪人ではない。女装をした可憐な少年そのものなのだ。
タンクローリーのドアが開き、人が出てくる。いや、人かどうかは怪しい。
(ブリキ人形の玩具? いや、そっちの方がまだハンサムだよねー)
「わ、わりい。怪我は無いか?」
「気をつけてよ。不細工」
「ぶ、不細工…………!?」
メカ沢がやけに落ち込んでいる姿に、ドラスの胸がスーッとする。自分を傷つけようとしたのだ。
万死に値する。そのまま死ねばいいのに、と考えながら、他にどんなメンバーがいるか警戒する。
自分の容姿を見て保護してくれる、麻生勝のような正義感溢れる相手が望ましいのだが。
値踏みするように、次に現れるものをドラスは待つ。粉塵が舞う中、タンクローリーから現れたのは、
「ケホッ、メカ沢、お前気をつけ……」
ドラスにとって、格好の獲物だった。赤髪の、全身をぴったり覆う強化スーツを身にまとう少女。
スバルから得た情報と、最初の広間で行われた惨劇により、自分の姿の元となった少女の姉妹。
ノーヴェが、ドラスの前に現れた。神なるための餌として。
ノーヴェは目の前に現れた、セインの姿をした幼い子供を見て混乱する。
セインは死んだ。目の前で、確かに。
なのに、まるで亡霊のように、水色の髪と瞳を持って自分の前に現れた。
(セイン……お前、死んだはずだろ? 何で…………)
ノーヴェの心が再び揺れる。
二度と会えないと思っていた人物に、チンクを殺し合いに乗せた人物に、再会できたのだから。
だが、目の前の存在は、彼女の姉妹ではない。
残忍な怪物。
(けど……セインなら……セインが生き返ったなら…………)
ノーヴェの渇きを満たす、妖しい魅力を持つ外見。
(あたしも……チンク姉に…………)
それは夢。桃源郷の、姉妹たちと笑い合う日々。
少し前なら当たり前だったその日々を、求めるようにノーヴェは手を伸ばす。
ノーヴェの恐る恐る伸ばした手が、ドラスの右頬に届いた。
目の前の存在が、悪魔と知らずに。
【F-2 スクラップ工場 早朝】
【ハカイダー@人造人間キカイダー】
[状態]:全身に裂傷。エアークラフト回路破損。全身にダメージ大。エネルギー消耗大。 サブロー形態。
[装備]:スズキ・GSX750S3 KATANA@仮面ライダーSPIRITS
[道具]:支給品一式(ハカイダーのPDA)
[思考・状況]
基本思考:元の世界へ帰ってキカイダーと決着をつける。
1:とりあえず、修理工場によってみる。可能なら、修理。
2:村雨良の遺言を伝える。そのため、仮面ライダーに会い、破壊する。
3:参加者を全て破壊する(ただし、女子供、弱者には興味が薄い)。
4:日付の変わる頃(二日目00:00)にゼロと決着をつけため、スクラップ工場に再度向かう。
5:シグマを破壊する。
6:キカイダーに迫る、戦士に敬意。
※参戦時期は原作死亡後(42話「変身不能!? ハカイダー大反逆!」後)です。
※血液交換が必要のない身体に改造されています。
※二連キャノン@サイボーグクロちゃんは溶鉱炉に落ちました。
【ゼロ@ロックマンX】
[状態]:左膝を破損、エネルギー消費(大)、全身のアーマーに大きな傷、疲労(大)
[装備]:チャージキックの武器チップ@ロックマンシリーズ カーネルのセイバー@ロックマンX4
[道具]:支給品一式 PDA×2(ゼロ、村雨) 不明支給品0~3(未確認)
[思考・状況]
基本:シグマを倒す
1:ノーヴェの様子が気になる
2:日付の変わる頃(二日目00:00)にハカイダーと決着をつけため、スクラップ工場に再度向かう。
3:膝を修理するため修理工場を目指す
4:エックス、チンク、スバル、ギンガを探す
5:シグマ、何を企んでる?
6:ハカイダーに……
※ノーヴェたちを生体パーツを使用したレプリロイド(のようなもの)と解釈しました。
※ノーヴェから時空管理局と平行世界に関する知識を得ました。
※参戦時期はX4のED~X5開始前のようです
※野太刀「夕凪」@魔法先生ネギま!は破壊されました。
【E-1 道路 早朝】
【ノーヴェ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:疲労(中)、精神的動揺(弱)
[装備]:スタームルガー レッドホーク、装弾数4/6@ターミネーター2
[道具]:支給品一式、不明支給品0~1(未確認)
[思考・状況]
基本:チンク姉と会って話しをする
1:チンク姉を救う! ゼロを助ける! 両方達成する!
2:目の前の子供は……セイン?
3:メカ沢、ロボを信頼。
※本編終了後の参戦です。
※ゼロからゼロの世界及びシグマに関する知識を得ました
【メカ沢新一@魁!クロマティ高校】
[状態]:全身打撲。疲労小
[装備]:タイムストッパー@ロックマン2in体内
[道具]:
[思考・状況]
基本思考:シグマにヤキ入れる!
1:俺……不細工……
2:ノーヴェの様子がおかしい
3:ゼロとか言うキザな金髪男を助けに行く
4:チンクに軽い失望。だが、正気に戻させる!
[備考]
※携帯端末の使い方を全く理解していません。よって現在位置、参加者、支給品を把握していません
※メカ沢の携帯端末が修理工場内のどこかに落ちています。
※タイムストッパーが使用できるかどうかはわかりません。
【ロボ@クロノトリガー】
[状態]:健康
[装備]:液体窒素入りのタンクローリー@ターミネーター2
[道具]:支給品一式、PDA×3(ロボ、アラレ、シュトロハイム)、ぎんのいし@クロノトリガー
HARLEY-DAVIDSON:FAT BOY@ターミネーター2(E-3道路に放置):ロボのPDA
はちゅねミクのネギ@VOCALOID2(E-3道路に放置)
メッセージ大砲@ドラえもん(E-3道路に放置)、アタッチメント@仮面ライダーSPIRITS(シュトロハイムの右腕)
拡声器@現実(E-3道路に放置):アラレ、及びシュトロハイムのPDA。転送可能
[思考・状況]
基本思考:打倒シグマ。
1:目がマワル……
2:ゼロを助けに向かう
3:メカ沢と共に行く
4:協力できればストライクスピンが撃てるかも……
[備考]
※少なくともクロノ復活以降からの参戦です。
※現在位置、参加者名簿を確認しましたがメカ沢も把握済みだと思い伝えていません。
※メカ沢が携帯端末を失くしたことを知りません。
※ロックマンの武器チップの使い方を誤認しています。
【ドラス@仮面ライダーZO】
[状態]:健康 右腕がスバルのもの。
[装備]:荷電磁ナイフ@マルドゥックスクランブル。ラトゥーニのゴスロリ服@スーパーロボット大戦OG。
セインを四、五歳幼くした状態に擬態。ただし、生えている(両方ついているかは、お任せします)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本思考:自爆装置とリミッターを外す。その後参加者を全員殺す。優勝したあとシグマも殺す。
1:スバルとノーヴェを利用尽くす。
2:T-800の排除。悪評を広める。
3:仮面ライダーとおよぼしき参加者の排除、もしくは吸収。
4:自爆装置、リミッターの解除。
【支給品紹介】
【カーネルのセイバー】
カーネルが使用していたセイバー。
ゲーム中は赤い刀身、ムービーでは白い刀身である。
衝撃波、電撃を全方位に撃つことが出来たが、おそらくはカーネル自身の技である。
*時系列順で読む
Back:[[漆黒と紅の零地点(前半)]] Next:
*投下順で読む
Back:[[漆黒と紅の零地点(前半)]] Next:
|059:[[漆黒と紅の零地点(前半)]]|ゼロ|068:[[運命交差点(前編)]]|
|059:[[漆黒と紅の零地点(前半)]]|ハカイダー|076:[[男の世界(前編)]]|
|059:[[漆黒と紅の零地点(前半)]]|ノーヴェ|068:[[運命交差点(前編)]]|
|059:[[漆黒と紅の零地点(前半)]]|ロボ|068:[[運命交差点(前編)]]|
|059:[[漆黒と紅の零地点(前半)]]|メカ沢|068:[[運命交差点(前編)]]|
|044:[[DEVIL A/Beginning]]|ドラス|068:[[運命交差点(前編)]]|
**漆黒と紅の零地点(後半) ◆2Y1mqYSsQ.
「ぐ…………」
ハカイダーは火花の散る傷口を抑えながら、ゼロを睨みつけている。
だが、その視線には恨みのような、負の感情はこもっていない。
むしろ、逆である。ここまで骨のある相手に、一日で二度も出会ったことを幸運だと感謝する感情が、視線にこめられていた。
ゼロは無言で刃をこちらに向けている。この程度でハカイダーが戦いをやめる存在ではないと理解しているのだ。
ハカイダーの回路(こころ)が踊る。左腕に装着した二連キャノンを構えて、ゼロに向かって放った。
銃弾が一発切り捨てられるが、ハカイダーは予測済み。一瞬できる隙に乗じて、ゼロへ向かって蹴りを放つ。
見事にゼロの鳩尾を打ち据えた蹴りが、ゼロを吹き飛ばす。
怪我を負ったが、ハカイダーの動きは鈍るどころか、さらに鋭くなっていった。
「クッ……!」
「甘いな、ゼロ!!」
ゼロは苦し紛れにセイバーを振り下ろすが、ハカイダーにとってその程度の攻撃を避けるのはたやすい。
コンクリートの地面が綺麗に裂かれ、悔しげな表情を浮かべるゼロの胸板に、右ストレートを打ち込む。
強打されたゼロがブレーキをかけ体勢を整える。
続いて、ハカイダーが三連射する二連キャノンを、地面を左右に駆けながら巧みに避ける。
大穴が開いた地面を蹴って、溶鉱炉にコンクリートの破片がパラパラと落ちて燃え尽きた。
空円斬がハカイダーの身体を突き飛ばす。だが、ハカイダーとゼロの距離が詰まったとき、零距離でハカイダーは二連キャノンを放った。
それぞれ、辛うじて身を捻ったため、傷は浅くなっている。
しかし、今まで出来た傷が、疲労が二人を追い詰めていた。
(決めれて……あと一撃か)
ハカイダーは、ゼロも同じことを考えていると確信している。
お互いダメージも疲労も、戦闘能力も互角。そして、これはハカイダーの推測だが、ゼロは自分と戦う前に戦闘をこなしていた。
あっさりとひびの入った日本刀がいい証拠である。いくら日本刀が攻撃を受け止めるのに不向きとはいえ、ゼロの技量を持ってすれば力を受け流すことくらいは簡単だろう。
それが、メカ沢を庇うさいにもらったハカイダーの一撃で、ひびが生まれた。
刃こぼれも若干だが、見て取れた。つまり、ここに来る前ゼロは戦闘をしていたのだ。
ハカイダーは神に感謝する。ゼロはとことん、自分と同じ条件で全力で戦ったのだ。こんな機会、この殺し合いではそうないだろう。
最大の礼を持って、ゼロを葬る。仮面ライダーZXの時と同じだ。
ハカイダーはゼロを見据え、攻めるべきタイミングを計り始めた。
二人はお互い、無言で睨みあう。
おそらく、次の一撃が最後の一手になるだろう。その確信があるからこそ、慎重になる。
溶鉱炉の熱気が二人に伝わり、熱によって陽炎のように景色が歪む。
ボコボコと溶鉱炉が沸騰する音だけが、二人の間に流れていた。
一際大きい水疱が、溶鉱炉に浮かびあがる。一瞬で破裂、二人は身体を反応させた。
ハカイダーは左腕のニ連キャノンを、神速の勢いで振り上げて、銃口をゼロへと向ける。
ゼロは放たれるであろう銃弾を切り裂いて、攻撃に移るために、地面を蹴ってハカイダーに迫る準備をする。
攻撃の爆発する瞬間、その刹那、ゼロの足元の銃弾や斬撃でボロボロになったコンクリートの床が、ゼロの踏み込みに耐え切れず崩れ落ちた。
ゼロは歯を食いしばって、足場のない空を蹴る。
空円舞を使い、溶鉱炉に飲み込まれるのを阻止しようと考えたのだ。
だが、現実は無情にもゼロの左膝が爆発し、空円舞の失敗を招く。
Xとの戦いのときにかかった負荷が、ハカイダーとの戦いでさらに大きく負担がかかり、耐え切れず爆発を起こしたのだ。
バランスが崩れたゼロは、溶鉱炉に突っ込まざるをえなくなる。
(俺は……ここまでなのか? エックス……ノーヴェ……)
仲間を想い、ゼロは無念そうな表情を浮かべる。
シグマの野望を止めれなかった。アイリスやカーネルのような、悲劇がまた生まれるかもしれない。
そのことに、シグマが嘲笑している姿が目に浮かんで、本当に悔しかった。
(エックス……悪い。俺はここまでのようだ。シグマを倒せ……。
ノーヴェ……できればそこにいた旧式のレプリロイドたちと、頑張ってくれ。アイリス…………)
伸ばした右手は、虚しく空を掴む。誰かが掴んでくれることを期待したわけではない。
ただ、自分の手は救いを求める手を、無慈悲にも絶っていたのではないだろうか、という自責の念が絶えたことはなかった。
アイリスを斬った、あの日から……。
(もしも、俺たちレプリロイドにあの世とやらがあるのなら、そこで君に謝ろう)
ゼロは静かに目を瞑り、身体が熱に溶かされるのを待つ。覚悟は決まった。
突如、ゼロの身体は落下をやめる。右手には、誰かが握る感触があった。
不思議に思い、目を開いた先には右手を地面の淵に掴み、ニ連キャノンを投げ捨て、左手でゼロの右手を掴んだハカイダーがいた。
誰も掴むことを期待していなかった右手は、今しがた命を狙っていたはずのハカイダーによって、掴まれたのだ。
ハカイダーは落下していくゼロを見つめて、焦燥に包まれる。
(ゼロが……俺とここまで戦いを繰り広げた男が、溶鉱炉に落ちてあっさりと死ぬだと……?)
ハカイダーはかつて、キカイダーが死んだと思い込んだとき、自己崩壊が起きかけたことがある。
キカイダーを殺すことが、キカイダーを己の手で倒すことこそが、自分の生きがいだと信じている。いや、依存しているといってもいい。
ゆえに、キカイダーを失うことは、ハカイダーにとって何もかも失うと同意義であった。
幸い、そのときのキカイダーは修理が可能だったため、後一歩のところでハカイダーは己を取り戻した。
ハカイダーはキカイダーに依存していることに気づいていない。
だが、本能ではそのことを気づいており、キカイダーを失うことを恐れていた。
事実、ハカイダーはキカイダーとの戦いを繰り広げたとき、キカイダーを見逃したことが多い。
仮面ライダーZXこと村雨良を倒したときも、寂寥感が支配したことがある。
キカイダーの存在と、村雨以外の仮面ライダーの存在を知らなければ、ハカイダーは少なからず、回路(こころ)に癒えない傷を負ったであろう。
ある種、ハカイダーは純粋な存在であった。
その彼が、思ったのだ。自分と互角に戦った、ゼロが決着をつけることなく、死んでしまうかもしれない。
現実が多大なストレスとなってハカイダーの回路(こころ)に襲い掛かる。
もはや猶予はない。ハカイダーは地面を全速力で駆け、左腕に装着していたニ連キャノンを何の未練もなく捨てた。
そのままエアークラフトを起動させようとするが、左太腿を斬られたさいに制御回路が断たれたらしい。上手く起動しない。
ハカイダーは舌打ちして、右手で淵を掴んで、左手を伸ばした。
ガシッっと、たしかにハカイダーはゼロの腕を掴んだ。
「ハカイダー…………?」
「黙れ。今引き上げてやる」
ハカイダーは己の行動に疑問を孕みつつも、ゼロを落とさないように左手に力をこめる。
右腕だけで自分を引き上げて、ゼロの身体をしっかりした地面へと寝かせた。
ハカイダーは自分の行動に苛立つ。
なぜかは分からないが、ゼロが助かってホッとしている自分がいるからだ。
「…………続き、やるのか?」
「興が削がれた。今回はここまでだ」
ハカイダーは告げて、工場を降りるために階段へと向かう。
ハカイダーの背中に、ハカイダーが知る由もないが、複雑な思いを抱えるゼロは思わず呼びかけた。
「お前はまだ、この殺し合いを続けるのか? ハカイダー」
「俺は元の世界に帰って、キカイダーを倒す。それだけだ。
ゼロ、次に会えばお前を倒す。勝つのは俺だ」
「……一つだけ約束しろ。ノーヴェやあの旧式のレプリロイドたちには手を出すな」
「もとより女子供、弱い連中に興味はない。そいつらから仕掛ければ別だがな」
ハカイダーは言い捨てて、その姿をサブローに変える。
変身タイプのレプリロイドか……とゼロが呟くのを聞き逃さなかった。
「待て……ハカイダー……」
「覚えておけ、ゼロ。この姿のときの俺は、サブローだ。まあ呼び名程度、ハカイダーでも構わないがな」
「ハカイダー。俺たちと手を組め……と、言ったらどうする?」
「断る。俺は群れるのが嫌いだ」
「そうか……」
サブローはあっさりと返し、踵を返して階段を下りていく。
背中でゼロが腰を下ろしたのを確認し、サブローは振り向かずに大声で告げた。
「ゼロ、日付が変わる頃、俺は生きていればここに来る。お前に決着をつける気があるのなら、ここで再戦しよう」
「……ああ。分かった」
サブローの言いたいことはすべて告げた。もう用はないと、階段を下りていく。
サブローは工場の出口へと辿り着き、PDAより呼び出したバイクに跨り、キーを回した。
バチッと、身体の傷口が爆ぜる。修理が必要だろう。
(確か修理工場があったな。敵が集まるかもしれないが……構わない。
仮面ライダーや、ゼロとの戦いに備えるのも、悪くはないからな)
バイクの排気音が轟き、サブローはアクセルグリップを捻り上げる。
朝日が昇り始めた工場地帯を、漆黒の影となってサブローは駆け抜けた。
(いったか……)
闇に解けるように去っていくサブローの背中を見つめ、ゼロは壁に背を預ける。
サブローの告げた、日付の変わる頃にここにここで決着をつける、と言う約束。
サブローは守るだろう。ゼロは応えるべきかどうか、思考する。
ゼロはカーネルのセイバーを見つめ、サブローに大きな借りがいくつもあることを思い出した。
セイバーだけでなく、命まで助けてもらった。
悪と自称するとは思えないほど、甘い行動。その戦闘能力は、修羅場を潜ったものでありながら。
少しだけ、エックスに似ているかもしれないとゼロは思う。
戦いの最中でも、相手を助ける甘さ。最終的な目的は違えど、少しだけ、ほんの少しだけ、エックスを重ねてしまった。
だから無意識に、サブローの消えた先の闇を見つめて呟く。
「ハカイダー…………死ぬなよ……」
告げ終えて、しばらくは動けないな、とゼロはただ静かに壁に背を預けたまま目を瞑る。
眠るわけではない。眠る必要もない。ほんのちょっと、身体を休めるだけだ。
(待っていろよ……ノーヴェ……。少しだけ休んだら、すぐに行く……)
空が闇の終わりを告げ、赤く染まっていく。
赤く染まったその色は、下方で全てを溶かす熱を有する、溶鉱炉を思い出す。
同時に、赤い髪の少女の笑い顔も思い出した。
□
「人はいないのかな?」
空色のセミロングの髪と、瞳。小柄な身体に、ひらひらとしたゴスロリ衣装を着る可憐な少年。
人を殺し、生命の頂点に立たんと付けねらうネオ生命体ドラスであった。
彼はスバルと別れ、闇が晴れていき、紫色に染まる工場地区を物見遊山で回る。
別に目的はない。スバルに疑心暗鬼を植えつけ、タチコマとの接触がどうなるかは見ものだが、今は確かめるべき時でない。
それに、重力を操り、鉄壁の防御と大火力の銃を持つ名も知らない男を相手にするような愚は冒したくない。
ドラスはZOに負けたことにより、慎重に動く。タチコマと仮面ライダーの戦いを見るに、ZO以外の仮面ライダーが存在していることも分かった。
この容姿と自分の生い立ちを利用して、仲間を集める。
そして振りまくのは不信と不協和音。自分への保護心。
スバルとタチコマを見捨てたのは、重力を操る男への囮とするため。
怪我人を抱えて、遠くへいけなかったスバルたちなら、あの男に見つかるのも時間の問題だ。
片腕のスバルと、タチコマではどう足掻いても勝てはしない。
幸運にも生き残るのなら、悪評を振りまくか、自分で殺しに向かえばいい。
スバルとの出会いはこの姿を使うメリットと、魔法を自分である程度使えるようになる、という戦闘能力の向上に繋がった。
(お兄ちゃん、僕は二度と負けない。帰って神になるんだから)
まずは保護してくれる相手を探そう。
ドラスの目的は単純だった。
□
「おい、メカ沢! こっちじゃない!!」
「うるせえ! 道が入り組んで、分かりにくいんだよ!!」
「二人とも、オチツイテ!」
いい争いを続けるノーヴェとメカ沢が狭い運転席で暴れて、ロボが仲裁する。
奇妙なバランスを取りつつ、タンクローリーは進み続けていた。
ロボがメカ沢をサポートしようとナビを勤めるが、メカ沢は勘に頼る性格なのか、あさっての方向に突き進んでいた。
ノーヴェはノーヴェで、メカ沢と相性が悪いのか、先ほどから口喧嘩ばかりをしている。
とはいえ、ロボはノーヴェがここまで元気になったことを嬉しく思った。
姉が殺し合いに乗り、ゼロが自分たちを守るために敵を惹きつけた。
その事実が、父親が裁判に駆けられると知ったときのマールの落ち込んだ表情と似ていたからだ。
自分が慰めようとしても反応がない。
どう知ればいいのか、答えを検索しようとしたとき、メカ沢が横から入っていった。
メカ沢はノーヴェを責めているようで、実はそうではない。
メカ沢は叱咤激励をしていたのだ。まるで、人間のように。
自分と似た外見を持っているのに、人間の心を100%理解できる。
もしメカ沢がそういう存在であるなら、彼から色々学びたいものだとも思う。
「ところでメカ沢、お前これ運転できるのか?」
「今更聞くか? バイクと似たようなもんだろ。気合だ、気合」
「ぜんぜんちげえよ! だいたい、バイクも気合じゃ動かないだろ!」
「うるせえ! 黙っていやがれ!」
ロボは二人の微笑ましいやり取りに、胸が温かくなった。
マールやクロノ、ルッカたちのやり取りを見ていた頃を思い出したからだ。
とはいえ、ゼロたちが向かった方向とはズレ過ぎている。東に向かわねばならないのに、今は北に向かって行っている。
そろそろ軌道修正しなければ、ゼロは本格的にまずいだろうと、ロボが声をかけようとして……気がつく。
「メカ沢!! 前方ニ人がイます!! ブレーキをかけてくだサイ!!」
目の前に、黒いひらひらのゴスロリ衣装を着る、少女がいることに。
「うぉぉぉぉ!!」
メカ沢が叫び、タイヤが悲鳴をあげて、ハンドルを思いっきり切った。
三人の身体が、多大のGに振り回される。
「ちょっとびっくりした~」
ドラスは目の前で柵を破壊し、工場に突っ込んだタンクローリーを見つめる。
幾らか呆れた視線を乗せているのは、前方不注意に対して責める意味合いもあるからだ。
下手すれば自分は轢かれていたのだ。死ぬことはないにしても、ダメージは負う。
(ちょっと文句でも言いに行こう)
ムッとしながら近付くドラスは、傍から見れば微笑ましい光景だろう。
内情は、スバルの腕を奪い、人を殺すことをなんとも思わない冷血な怪人であるのだが。
そのことを知るものはいない。唯一知るスバルの精神は不安定にした。
今のドラスは不気味な虫の怪人ではない。女装をした可憐な少年そのものなのだ。
タンクローリーのドアが開き、人が出てくる。いや、人かどうかは怪しい。
(ブリキ人形の玩具? いや、そっちの方がまだハンサムだよねー)
「わ、わりい。怪我は無いか?」
「気をつけてよ。不細工」
「ぶ、不細工…………!?」
メカ沢がやけに落ち込んでいる姿に、ドラスの胸がスーッとする。自分を傷つけようとしたのだ。
万死に値する。そのまま死ねばいいのに、と考えながら、他にどんなメンバーがいるか警戒する。
自分の容姿を見て保護してくれる、麻生勝のような正義感溢れる相手が望ましいのだが。
値踏みするように、次に現れるものをドラスは待つ。粉塵が舞う中、タンクローリーから現れたのは、
「ケホッ、メカ沢、お前気をつけ……」
ドラスにとって、格好の獲物だった。赤髪の、全身をぴったり覆う強化スーツを身にまとう少女。
スバルから得た情報と、最初の広間で行われた惨劇により、自分の姿の元となった少女の姉妹。
ノーヴェが、ドラスの前に現れた。神なるための餌として。
ノーヴェは目の前に現れた、セインの姿をした幼い子供を見て混乱する。
セインは死んだ。目の前で、確かに。
なのに、まるで亡霊のように、水色の髪と瞳を持って自分の前に現れた。
(セイン……お前、死んだはずだろ? 何で…………)
ノーヴェの心が再び揺れる。
二度と会えないと思っていた人物に、チンクを殺し合いに乗せた人物に、再会できたのだから。
だが、目の前の存在は、彼女の姉妹ではない。
残忍な怪物。
(けど……セインなら……セインが生き返ったなら…………)
ノーヴェの渇きを満たす、妖しい魅力を持つ外見。
(あたしも……チンク姉に…………)
それは夢。桃源郷の、姉妹たちと笑い合う日々。
少し前なら当たり前だったその日々を、求めるようにノーヴェは手を伸ばす。
ノーヴェの恐る恐る伸ばした手が、ドラスの右頬に届いた。
目の前の存在が、悪魔と知らずに。
【F-2 スクラップ工場 早朝】
【ハカイダー@人造人間キカイダー】
[状態]:全身に裂傷。エアークラフト回路破損。全身にダメージ大。エネルギー消耗大。 サブロー形態。
[装備]:スズキ・GSX750S3 KATANA@仮面ライダーSPIRITS
[道具]:支給品一式(ハカイダーのPDA)
[思考・状況]
基本思考:元の世界へ帰ってキカイダーと決着をつける。
1:とりあえず、修理工場によってみる。可能なら、修理。
2:村雨良の遺言を伝える。そのため、仮面ライダーに会い、破壊する。
3:参加者を全て破壊する(ただし、女子供、弱者には興味が薄い)。
4:日付の変わる頃(二日目00:00)にゼロと決着をつけため、スクラップ工場に再度向かう。
5:シグマを破壊する。
6:キカイダーに迫る、戦士に敬意。
※参戦時期は原作死亡後(42話「変身不能!? ハカイダー大反逆!」後)です。
※血液交換が必要のない身体に改造されています。
※二連キャノン@サイボーグクロちゃんは溶鉱炉に落ちました。
【ゼロ@ロックマンX】
[状態]:左膝を破損、エネルギー消費(大)、全身のアーマーに大きな傷、疲労(大)
[装備]:チャージキックの武器チップ@ロックマンシリーズ カーネルのセイバー@ロックマンX4
[道具]:支給品一式 PDA×2(ゼロ、村雨) 不明支給品0~3(未確認)
[思考・状況]
基本:シグマを倒す
1:ノーヴェの様子が気になる
2:日付の変わる頃(二日目00:00)にハカイダーと決着をつけため、スクラップ工場に再度向かう。
3:膝を修理するため修理工場を目指す
4:エックス、チンク、スバル、ギンガを探す
5:シグマ、何を企んでる?
6:ハカイダーに……
※ノーヴェたちを生体パーツを使用したレプリロイド(のようなもの)と解釈しました。
※ノーヴェから時空管理局と平行世界に関する知識を得ました。
※参戦時期はX4のED~X5開始前のようです
※野太刀「夕凪」@魔法先生ネギま!は破壊されました。
【E-1 道路 早朝】
【ノーヴェ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:疲労(中)、精神的動揺(弱)
[装備]:スタームルガー レッドホーク、装弾数4/6@ターミネーター2
[道具]:支給品一式、不明支給品0~1(未確認)
[思考・状況]
基本:チンク姉と会って話しをする
1:チンク姉を救う! ゼロを助ける! 両方達成する!
2:目の前の子供は……セイン?
3:メカ沢、ロボを信頼。
※本編終了後の参戦です。
※ゼロからゼロの世界及びシグマに関する知識を得ました
【メカ沢新一@魁!クロマティ高校】
[状態]:全身打撲。疲労小
[装備]:タイムストッパー@ロックマン2in体内
[道具]:
[思考・状況]
基本思考:シグマにヤキ入れる!
1:俺……不細工……
2:ノーヴェの様子がおかしい
3:ゼロとか言うキザな金髪男を助けに行く
4:チンクに軽い失望。だが、正気に戻させる!
[備考]
※携帯端末の使い方を全く理解していません。よって現在位置、参加者、支給品を把握していません
※メカ沢の携帯端末が修理工場内のどこかに落ちています。
※タイムストッパーが使用できるかどうかはわかりません。
【ロボ@クロノトリガー】
[状態]:健康
[装備]:液体窒素入りのタンクローリー@ターミネーター2
[道具]:支給品一式、PDA×3(ロボ、アラレ、シュトロハイム)、ぎんのいし@クロノトリガー
HARLEY-DAVIDSON:FAT BOY@ターミネーター2(E-3道路に放置):ロボのPDA
はちゅねミクのネギ@VOCALOID2(E-3道路に放置)
メッセージ大砲@ドラえもん(E-3道路に放置)、アタッチメント@仮面ライダーSPIRITS(シュトロハイムの右腕)
拡声器@現実(E-3道路に放置):アラレ、及びシュトロハイムのPDA。転送可能
[思考・状況]
基本思考:打倒シグマ。
1:目がマワル……
2:ゼロを助けに向かう
3:メカ沢と共に行く
4:協力できればストライクスピンが撃てるかも……
[備考]
※少なくともクロノ復活以降からの参戦です。
※現在位置、参加者名簿を確認しましたがメカ沢も把握済みだと思い伝えていません。
※メカ沢が携帯端末を失くしたことを知りません。
※ロックマンの武器チップの使い方を誤認しています。
【ドラス@仮面ライダーZO】
[状態]:健康 右腕がスバルのもの。
[装備]:荷電磁ナイフ@マルドゥックスクランブル。ラトゥーニのゴスロリ服@スーパーロボット大戦OG。
セインを四、五歳幼くした状態に擬態。ただし、生えている(両方ついているかは、お任せします)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本思考:自爆装置とリミッターを外す。その後参加者を全員殺す。優勝したあとシグマも殺す。
1:スバルとノーヴェを利用尽くす。
2:T-800の排除。悪評を広める。
3:仮面ライダーとおよぼしき参加者の排除、もしくは吸収。
4:自爆装置、リミッターの解除。
【支給品紹介】
【カーネルのセイバー】
カーネルが使用していたセイバー。
ゲーム中は赤い刀身、ムービーでは白い刀身である。
衝撃波、電撃を全方位に撃つことが出来たが、おそらくはカーネル自身の技である。
*時系列順で読む
Back:[[漆黒と紅の零地点(前半)]] Next:[[強者をめぐる冒険]]
*投下順で読む
Back:[[漆黒と紅の零地点(前半)]] Next:[[強者をめぐる冒険]]
|059:[[漆黒と紅の零地点(前半)]]|ゼロ|068:[[運命交差点(前編)]]|
|059:[[漆黒と紅の零地点(前半)]]|ハカイダー|076:[[男の世界(前編)]]|
|059:[[漆黒と紅の零地点(前半)]]|ノーヴェ|068:[[運命交差点(前編)]]|
|059:[[漆黒と紅の零地点(前半)]]|ロボ|068:[[運命交差点(前編)]]|
|059:[[漆黒と紅の零地点(前半)]]|メカ沢|068:[[運命交差点(前編)]]|
|044:[[DEVIL A/Beginning]]|ドラス|068:[[運命交差点(前編)]]|
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