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*ゲームを大いに盛り上げるためのあ~る君の計画 の巻 ◆hqLsjDR84w
主催者がバトル・ロワイアルの為に用意した会場の右下部。
その内の一画。F-7地区の南半分は、殆どが湖により構成されている。
湖でないのは、本当に少しだけ。湖に浮かんだ孤島部分のみ。
孤島には、小さな民家が一つ。
その民家に――誰もいないはずのその民家に、いま異変が!
ピィーーー!!
突如として民家の中から、何かしらの電子音が鳴り響いたのだ。
とはいえ、音が鳴り響いたのは、僅か十数秒間だけ。
再び辺りを支配する静寂。数刻が経過するが、民家内には動くものは全く存在しない。
ならば、今の音の正体は一体何だったのか?
種明かしてしまえば、その疑問の答えは何とも面白みのないもの。
先程響いた音は――――炊飯器より発せられたものだ。
細かく言えば、炊飯器が米が炊き上がったのを知らせる音。
つまり、バトル・ロワイアルの参加者の一人がこの民家を訪れ、炊飯器のスイッチを入れて出て行ったのだ。
その炊飯器のスイッチを入れると、炊き上がるのを待たずに、この民家から出た参加者はいったいどこにいってしまったのか。
そもそも何を考えているのか。
おそらく……彼を作った男に聞いても、彼と同じ部活に所属していた友人達に聞いても、こういうだろう。
『アイツの考えていること……そんなもん、まったく分からん』と。
「痛いではないか!」
湖に浮かぶ孤島が存在する場所から南方へ一キロほどいった場所で、少年が壁に向かって言葉を投げる。
この壁に向かって講義している、下駄に冬服の学ランという少し奇妙なファッションセンスの少年こそ、件の『考えていることの全く分からん』参加者。
いや、少年というのは少しおかしいかもしれない。正確には、少年型のロボット――本人はロボットではなく、アンドロイドだと主張するが――、名はR(あ~る)・田中一郎。
Rがこうまで壁に対して怒っているのは、ただ己が前方を確認していなかったが故に、壁にぶつかってしまったからだ。
……ロボットならば、前方の注意くらいちゃんとしろというかも知れないが、Rはロボットでありながら人並の頭脳しかないのだから仕方がない。
ちなみに、少し壁にぶつかったくらいでは、Rは痛みを感じない。尤も関節技でも極められれば、本当に痛がるわけだが。
いまRが痛がっているのは、『何かが当たれば、痛いものである』と知識で知っているからだ。
暫し壁に怒りをぶつけると、衝撃で百八十度逆方向を向いてしまった首を戻し、次の行動を思案する。
(さて、首は治ったわけだど、行き止まりみたいだし……どうしようかな。
とりあえず、あの小さなテレビみたいなものをいじってみよう。
水の上を歩ける道具の時みたいに、壁を登れる道具が出てくるかもしれないな)
そんなことを考えながら、RはズボンのポケットからPDAを取り出す。
しかし、RはPDAが一体どのようなものであるかを知らない。
なんせRが元々いた時代は、西暦一九八四年。
PDAなど、小説や漫画の世界にのみ存在するものでしかない。
……まあ、Rを生み出したマッド・サイエンティストのような奇妙な存在もいたことには、いたのだが。
彼がPDAのような実用的なものを作るわけもなく。故に、RはPDAを『テレビのようなもの』と認識していた。
ポチ、ポチ、ポチ、ポチ――――……
十数回、Rがボタンに触れさせた親指に力を込めた時、Rが驚いているのか喜んでいるのか判断しがたい声をあげる。
■
「おお」
テレビみたいなものに、何かが映し出された。
少し考えて、やっと分かった。表示されたのは、地図だ。
いつも持ってる埼玉県の地図とは違うから、すぐに気付かなかった。
どうやらこのゲームの会場全域が詳細に描かれているみたいだ。
さっき炊飯器のスイッチを入れた家も、ちゃあんと載っている。
見てみれば、会場は四つに分けられていて、外は壁で囲まれているんだな。
なんとゲームにおあつらえ向きなのだろう。
思えば、ゲームの主催者役の人――シグマでしたか?――は、自分の役に入り込んでいた。
こんな会場まで用意して……、よっぽどゲームが好きなんだなあ。
あの人はあんなに頑張ってたのに、最初に会ったお爺さんは……まったく。
ゲームってものを知らないのかな?
まあ、いいや。
僕はちゃんとわきまえてるから、ちょっとでも攻撃を食らったら死んだフリをしよう。
「どうしやうかな」
口に出して、考える。
地図によると、近くにテレビ局があるなあ……そうだっ!
あれだけ大きい場所なら、誰か一人くらいいるに違いない!
「よーし、いきますよー」
今日中に一人ぐらいは殺そうと決めましたしね。
テレビ局を襲撃しましょう。
人が沢山いたらいいなあ。
そして、今日のゲームが終わったら――――みんなでご飯を食べよう。
死んだ人も、生きてる人も、敵も、一緒に。
ゲームをしたら疲れる。そして疲れたら、おなかがすく。
でも、大丈夫なのです。
ご飯を炊いておいたから……って、失敗したなあ。
今日のゲームが終わる時には、ご飯が堅くなっちゃうじゃないか。
仕方ない。
ご飯が堅くなってしまったなら、おかゆにすればいい。
おかゆを堅くなったご飯にかけて――おかゆライスなんてのを出してもいいかもしれないな。
でも、まずは――ゲームに集中しなきゃ。
「あはははははははははははははは」
■
「あはははははははははははははは」
高笑いしながら、グロスフスMG42を携えたRは駆ける。テレビ局を襲撃するために。
NIKU・Q・マックスを履いたことによって手に入れた、異常な跳躍力を行使しつつ走る。
飛んで移動していたために気付かなかった――頭部を破砕された王ドラの亡骸に。
それを見ていたなら、彼は勘違いをしていることに気付いたかもしれない。
だが、気付かなかった。
故に、バトル・ロワイアルというものを履き違えたまま――――Rは進み続ける。
【F-8 森林/一日目 早朝】
【R・田中一郎@究極超人あ~る】
[状態]:健康
[装備]:グロスフスMG42(予備弾数不明:本人も未確認だが、まだ十分あると認識)
NIKU・Q・マックス@サイボーグクロちゃん
[道具]:支給品一式、不明支給品(確認済み)
[思考・状況]
基本思考:他のプレーヤーを探して攻撃、攻撃を食らったら死んだフリをする。最後の一人を目指す。
1:E-8の連絡通路を通り、テレビ局へと向かう。
2:今日のゲームが終ったら、ごはんを食べに湖の小島へ帰る。皆も誘う。
[備考]
※原作3巻終了時からの登場です。
※この事件を3巻冒頭のサバイバルゲームのようなものだと勘違いしています。故に、誰も死なないと思っている。
*時系列順で読む
Back:[[アナタノナキガラヲ…]] Next:[[全ては、破壊のため]]
*投下順で読む
Back:[[分けられたモノ]] Next:[[全ては、破壊のため]]
|[[あ~る君の作戦?の巻]]|R・田中一郎||
*ゲームを大いに盛り上げるためのあ~る君の計画 の巻 ◆hqLsjDR84w
主催者がバトル・ロワイアルの為に用意した会場の右下部。
その内の一画。F-7地区の南半分は、殆どが湖により構成されている。
湖でないのは、本当に少しだけ。湖に浮かんだ孤島部分のみ。
孤島には、小さな民家が一つ。
その民家に――誰もいないはずのその民家に、いま異変が!
ピィーーー!!
突如として民家の中から、何かしらの電子音が鳴り響いたのだ。
とはいえ、音が鳴り響いたのは、僅か十数秒間だけ。
再び辺りを支配する静寂。数刻が経過するが、民家内には動くものは全く存在しない。
ならば、今の音の正体は一体何だったのか?
種明かしてしまえば、その疑問の答えは何とも面白みのないもの。
先程響いた音は――――炊飯器より発せられたものだ。
細かく言えば、炊飯器が米が炊き上がったのを知らせる音。
つまり、バトル・ロワイアルの参加者の一人がこの民家を訪れ、炊飯器のスイッチを入れて出て行ったのだ。
その炊飯器のスイッチを入れると、炊き上がるのを待たずに、この民家から出た参加者はいったいどこにいってしまったのか。
そもそも何を考えているのか。
おそらく……彼を作った男に聞いても、彼と同じ部活に所属していた友人達に聞いても、こういうだろう。
『アイツの考えていること……そんなもん、まったく分からん』と。
「痛いではないか!」
湖に浮かぶ孤島が存在する場所から南方へ一キロほどいった場所で、少年が壁に向かって言葉を投げる。
この壁に向かって講義している、下駄に冬服の学ランという少し奇妙なファッションセンスの少年こそ、件の『考えていることの全く分からん』参加者。
いや、少年というのは少しおかしいかもしれない。正確には、少年型のロボット――本人はロボットではなく、アンドロイドだと主張するが――、名はR(あ~る)・田中一郎。
Rがこうまで壁に対して怒っているのは、ただ己が前方を確認していなかったが故に、壁にぶつかってしまったからだ。
……ロボットならば、前方の注意くらいちゃんとしろというかも知れないが、Rはロボットでありながら人並の頭脳しかないのだから仕方がない。
ちなみに、少し壁にぶつかったくらいでは、Rは痛みを感じない。尤も関節技でも極められれば、本当に痛がるわけだが。
いまRが痛がっているのは、『何かが当たれば、痛いものである』と知識で知っているからだ。
暫し壁に怒りをぶつけると、衝撃で百八十度逆方向を向いてしまった首を戻し、次の行動を思案する。
(さて、首は治ったわけだど、行き止まりみたいだし……どうしようかな。
とりあえず、あの小さなテレビみたいなものをいじってみよう。
水の上を歩ける道具の時みたいに、壁を登れる道具が出てくるかもしれないな)
そんなことを考えながら、RはズボンのポケットからPDAを取り出す。
しかし、RはPDAが一体どのようなものであるかを知らない。
なんせRが元々いた時代は、西暦一九八四年。
PDAなど、小説や漫画の世界にのみ存在するものでしかない。
……まあ、Rを生み出したマッド・サイエンティストのような奇妙な存在もいたことには、いたのだが。
彼がPDAのような実用的なものを作るわけもなく。故に、RはPDAを『テレビのようなもの』と認識していた。
ポチ、ポチ、ポチ、ポチ――――……
十数回、Rがボタンに触れさせた親指に力を込めた時、Rが驚いているのか喜んでいるのか判断しがたい声をあげる。
■
「おお」
テレビみたいなものに、何かが映し出された。
少し考えて、やっと分かった。表示されたのは、地図だ。
いつも持ってる埼玉県の地図とは違うから、すぐに気付かなかった。
どうやらこのゲームの会場全域が詳細に描かれているみたいだ。
さっき炊飯器のスイッチを入れた家も、ちゃあんと載っている。
見てみれば、会場は四つに分けられていて、外は壁で囲まれているんだな。
なんとゲームにおあつらえ向きなのだろう。
思えば、ゲームの主催者役の人――シグマでしたか?――は、自分の役に入り込んでいた。
こんな会場まで用意して……、よっぽどゲームが好きなんだなあ。
あの人はあんなに頑張ってたのに、最初に会ったお爺さんは……まったく。
ゲームってものを知らないのかな?
まあ、いいや。
僕はちゃんとわきまえてるから、ちょっとでも攻撃を食らったら死んだフリをしよう。
「どうしやうかな」
口に出して、考える。
地図によると、近くにテレビ局があるなあ……そうだっ!
あれだけ大きい場所なら、誰か一人くらいいるに違いない!
「よーし、いきますよー」
今日中に一人ぐらいは殺そうと決めましたしね。
テレビ局を襲撃しましょう。
人が沢山いたらいいなあ。
そして、今日のゲームが終わったら――――みんなでご飯を食べよう。
死んだ人も、生きてる人も、敵も、一緒に。
ゲームをしたら疲れる。そして疲れたら、おなかがすく。
でも、大丈夫なのです。
ご飯を炊いておいたから……って、失敗したなあ。
今日のゲームが終わる時には、ご飯が堅くなっちゃうじゃないか。
仕方ない。
ご飯が堅くなってしまったなら、おかゆにすればいい。
おかゆを堅くなったご飯にかけて――おかゆライスなんてのを出してもいいかもしれないな。
でも、まずは――ゲームに集中しなきゃ。
「あはははははははははははははは」
■
「あはははははははははははははは」
高笑いしながら、グロスフスMG42を携えたRは駆ける。テレビ局を襲撃するために。
NIKU・Q・マックスを履いたことによって手に入れた、異常な跳躍力を行使しつつ走る。
飛んで移動していたために気付かなかった――頭部を破砕された王ドラの亡骸に。
それを見ていたなら、彼は勘違いをしていることに気付いたかもしれない。
だが、気付かなかった。
故に、バトル・ロワイアルというものを履き違えたまま――――Rは進み続ける。
【F-8 森林/一日目 早朝】
【R・田中一郎@究極超人あ~る】
[状態]:健康
[装備]:グロスフスMG42(予備弾数不明:本人も未確認だが、まだ十分あると認識)
NIKU・Q・マックス@サイボーグクロちゃん
[道具]:支給品一式、不明支給品(確認済み)
[思考・状況]
基本思考:他のプレーヤーを探して攻撃、攻撃を食らったら死んだフリをする。最後の一人を目指す。
1:E-8の連絡通路を通り、テレビ局へと向かう。
2:今日のゲームが終ったら、ごはんを食べに湖の小島へ帰る。皆も誘う。
[備考]
※原作3巻終了時からの登場です。
※この事件を3巻冒頭のサバイバルゲームのようなものだと勘違いしています。故に、誰も死なないと思っている。
*時系列順で読む
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