「エンカウント」(2008/09/27 (土) 19:35:56) の最新版変更点
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**エンカウント ◆d.NbLKVxEc
茂は今、体験した事のない史上最大の危機に陥り、明らかに恐怖していた。
それは生命の危機では無い、そんなもの茂は今までに何度も乗り越えている。
ならば、歴戦の戦士である茂をそこまで恐怖させるものとは?
そう、それはガチムチのホモ野郎による、自分の貞操の危機であった。
(やべえ、やべえよおやっさん。掘られる未来しかうかばねぇ)
T-1000との戦いで使ったチャージアップ。
その時の疲労が残っており、茂は満足に動くことが出来なかった。
それさえなければ、今すぐ逃げだすなり戦うなり出来るのだが、生憎そうもいかなかった。
戦う事はおろか、逃げる事も出来ない。
もはや茂は、まな板の上の鯉であった。
目の前の筋骨隆々とした西洋人男性、そう思われる人物が茂を見つめ、いや舐めまわすように眺めながら問いかける。
「これから俺が問いかける事に、『はい』か『YES』で答えてもらおう。……やらないか?」
男はそう言い放つと、茂の返答を聞く事も無く茂に向って歩を進める。
もとより問いの中に、反論する余地を奪っているのだから、聞く気があるのかも怪しい。
男は歩きながら、ライダースーツの股間部分のファスナーを下ろし、『ソレ』を取り出す。
『ソレ』は太さと言い、長さと言い明らかに人間のものでは無かった。
それを見て、さらに顔を青くする茂に向って、男が宣言する。
「怯える事は無い安心しろ、俺はノンケでも喰ってしまう男だ。さらに言えば、俺のモノには震動や回転等様々な機能が搭載されている」
最悪の死刑宣言に、茂の心が折れかける。
このままでは不味い、何か手は無いかと心だけが焦り空回りする。
しかし今の茂に、状況を打開するすべは無かった。
「だが俺は機能だけでは無いテクニシャンだ、何故なら相手を満足させる為、ある自動車修理工のテクニックをインストールされている、死角は無いぞ」
茂は焦る。
このままでは、あの世でユリ子に会わせる顔が無い、というか会わせたくない。
こうなれば一か八かと、茂は変身を試みる。
しかし、疲労で動きが緩慢だったのと、男がそれを察知していた事が重なり、あっさりと止められてしまう。
コイルアームを掴んでも平気な事から、男のライダースーツには高い絶縁性があるのかもしれない。
「何をするつもりかは知らんが、大人しくしろ。さあ、天国に逝かせてやる」
「くっそぉぉぉぉ!! こんな、こんな野郎にぃぃぃ!」
目の前の絶望に茂は必至で抗う。
しかしその絶望を乗り越えるには、茂はあまりにも無力だった。
男はもがく茂を押し倒しズボンと下着を引き裂くと、『ソレ』を茂の尻にあてがう。
そして腰を前へ突き出した。
「……アッーーーーーーー!?」
茂の悲鳴がこだまする。
それから一時間後
「む、やり過ぎたか…」
そこには無残な姿をさらした、茂の屍が転がっていた。
T-800は少し自己嫌悪をする。
いくら茂の肉体に魅せられたからと言って、貴重な戦力を潰してしまうとは。
「…自重せねばならんな」
そう呟くと、T-800は衣服を整えその部屋を後にした。
【B-3 民家/一日目・朝】
【T-800@ターミネーター2】
[状態]:健康 気分爽快
[装備]:滝和也のライダースーツ@仮面ライダーSPIRITS、コルトS.A.A(6/6)
[道具]:支給品一式、コルトS.A.Aの弾丸(30/30発)、テントロー@仮面ライダーSPIRITS
[思考・状況]
基本思考:シグマを打ち倒して殺し合いを破壊し、本来の任務に戻る。
その為に仲間を集める、殺し合いに乗る者には容赦しない。
1:街を目指して南下する。
2:スバルと合流する。
3:男とやるのを自重する。
4:スバルの仲間(ギンガ、チンク、ノーヴェ)を見つけ、合流する
5:T-1000の破壊
6:ドラスをT-1000でないか、疑っている。
※本編開始直後からの参加です。
※スバルに、ボブと呼ばれています。
※ライダースーツのナックルとその弾丸は、スバルに手渡されました。
※スバルの住む世界、魔法、ギンガ、チンク、ノーヴェに関する情報を得ました。
※シグマの背後にはスカイネットがいて、スカイネットの妨害行為によって
自分はこの場に連れてこられたのではと考えられています。
|&color(red){【城 茂@仮面ライダーSPIRITS 破壊確認】}
【残り 37人】
等というふざけた展開が実際に起こる筈も無く、以前茂とT-800の間には緊張した雰囲気が漂っていた。
■ ■ ■
その部屋の空気は、ピンと張り詰めていた。この部屋にいるのは二人。
一人は、相手が疑心暗鬼に陥り、自分の事を酷く警戒されている、そう思っているT-800。
もう一人は、目の前の男を自分の貞操を狙う、ガチムチのホモ野郎と誤解する茂。
二人のかなりズレた互いの認識が、この場に奇妙な緊張感を形成していた。
(どうする?このまま黙ってやられる位なら、奥の手の『アレ』を使っちまうか?)
疲労の為、満足に戦闘できない事を自覚している茂は、焦りと混乱の為か少々思考が暴走しかけていた。
だが、それを遮ったのはT-800の一言だった。
「何を警戒しているのかは分らんが、俺はこの殺し合いに乗っていない。お前が殺し合いに乗っていないのなら、危害を加えるつもりは無い。」
てっきりまた、“やらないか?”とでも言われると思っていた茂は、ハトが豆鉄砲を食らった様な顔になる。
茂はT-800をじっと見つめ、大きく一つ深呼吸をする。
(うし、少し落ち着け。とりあえずあの野郎は、今すぐ俺とやろうとかそういうつもりじゃねぇらしい。大体、俺の聞き間違いって事もあるよ…な?)
件のセリフを聞いた時の自分は、意識がはっきりとしていなかった。半分起きて半分眠っている、そんな状態だったのだ。
相手の言葉を聞き間違えている可能性も、無くは無いのだ。なら、話を聞いてからでも良いだろう。
それに、会話で時間をとる事で、少しでも体力を回復させる狙いもある。
「…じゃあ、二、三程質問させてもらうぜ。なんで俺の服を脱がした」
T-800は少し首をかしげる。
まずは名前や能力やら、色々と他に聞く事はあるだろう。
それが何故、最初に衣服の事なのか。
自分には分らないが、には何か思う事があるのだろう。
そう結論づけて、T-800は答えた。
「お前が殺し合い乗っているかどうか分らなかった、故に身体的特徴から少しでもお前の能力を推し量ろうとしただけだ」
その言葉に茂は納得する。
確かに、殺し合いに乗っているかもしれない相手に、何もしないというのもおかしな話だ。
調べれば自分なんかは、変身能力はともかく、コイルアームから電気を操る事位、簡単に推測できるだろう。
しかしそれだけでは、相手のガチホモの疑いがはれたとは言え無い。
「お前がこの部屋に入って来た時、お前は俺に何て声をかけた?」
「……どうやら気がついた様だな。…おい、こちらの声が聞こえるか? だった筈だがそれがどうかしたか?」
頭の中でこの台詞の中の文字を、順番に抜き出していく。
すると、一応件の台詞に一致する事は一致する。
茂は、何でこんな嫌な聞き間違いをしたのかと、自己嫌悪に陥った。
「わりぃな、ちょっとボーっとしてからよ、さっきの台詞を変な風に聞き間違えていたみてぇだ。……ああ、ちなみに俺も殺し合いには乗っていねぇ」
茂の謝罪にT-800もいくらか納得する。確かにあの時の茂は、意識がはっきりしているようには見えなかった。
聞き間違いを起こしても、おかしくはない。
だが…
「後学の為、どのように聞き間違えたか、教えて貰っていいか?」
T-800には自分の台詞が、どのように警戒される様に聞き間違えられたのか、どうしても分からなかった。
しかし、それを聞かれた茂は、恥しそうに少し赤くなりながら、
「聞くなっ! いや、本当に何でも無いから…な?」
明らかに何でもなさそうには無かったが、ここで話を蒸し返して場が荒れても何なので、T-800は深く追求する事をやめた。
■ ■ ■
その後、お互いに自分の出会った人物や世界について、情報交換を行った。
茂にしてみれば、T-800から得た情報は自分の予想外のものが多かった。
シグマの協力者の名前―T-1000―とその後ろに控える組織『スカイネット』。
相手にする組織が増えたがそれはいい、それよりもその『スカイネット』が、未来の世界で人類と機械の最終戦争で、人類の抹殺目論む軍事用コンピュータ。
T-1000は人類側の指導者を殺す為に、未来から送られてきた殺人アンドロイド。
目の前のT-800は、抵抗軍に捕獲され人類の味方側になる様再プログラミングされた、元殺人アンドロイド。
正直未来だのタイムマシンだのは、茂にとって信じがたい話ではあるが、嘘言っている様にも思えない。
作り話にしては出来過ぎている。
さらにT-800が出会ったスバルという少女。
どうやら、チンクの知り合いであるようだが、彼女の語った内容もこれまた非常識だ。
彼女の知り合いである、ギンガ、チンク、ノーヴェの事はいい。戦闘機人はいい、自分も似たようなものだから。
だが、時空管理局に魔法、そして異世界。ある意味T-800の話より内容がぶっ飛んでいる。
だが、これらの事が全て真実であったなら?
自分の常識が全く通用しない、そんな世界からやって来た者がいるかもしれない。
そして、そんな人物達をも手玉に取って見せたシグマの組織力は、自分が想像していたものより遙かに高いのかもしれない。
茂の顔が獰猛に歪む。仮面ライダーの一人として、この殺し合いに反逆を誓った茂の心は、この程度の困難でくじける事は無い。
むしろますます闘志を燃やしている、そういった表情だ。
(せいぜいふんぞり返ってこっちを見下してやがれ、必ずその面を後悔で歪ませてやるからよぉ)
決意を新たにする茂。
それはそれとして、T-800のであった残り二人の人物に思考を移す。
タチコマとドラスの二人。
タチコマ―彼? は水色の蜘蛛の様なシルエットしており、とりあえず殺し合いには乗っていないようだ。
そしてドラス―最初に殺されたセインをいくらか幼くした容姿の少女。
彼女も殺し合いには乗っていないようだ。
二人に関しては、情報が少ない。
もっとも、その原因はT-800にあるのだが。
「それはそうと、いくらT-1000の野郎である可能性があるからって、いきなり鉛玉打ち込もうとするのはいたただけねなぁ」
「……あの時点では他に判断材料が無かった。俺としては最低限T-1000だけは、破壊しておかなくてはならない。妥協は出来ん」
茂からの非難に、冷静に反論するT-1000。
この殺し合いの中で、決して手を取り合う事は無いと分かっている相手だからこそ、疑いがある人物には自然と厳しい対応になってしまう。
「もっとも、お前の証言でドラスに対する疑いは晴れた訳だ。……機会があれば謝罪しよう」
「まっ、それが筋だろうな」
茂から得た情報を元に、T-800は思考する。
まず、『仮面ライダー』のコードネームを持つ、四人の改造人間。
茂の先輩にあたり、この殺し合いに乗る人物では無いようだ。
また、高い戦闘力―あくまで茂の主観、この殺し合いにおける平均的な戦闘力がどれ位かは不明―を保持しており、合流すれば戦力の増大を期待できる。
次に、名前の分らない緑色の髪の少女。
エネルギー刃の剣と、砲塔の付いた盾と当りに入る部類の支給品を持ち、殺し合いにのっている人物。
服装が半裸だったのは、すでに何者かと戦闘したためだろうか?
ともあれ、早急に排除しなくてはならない危険人物だ。
そして、一番関心がある人物、T-1000についてだ。
自分の近くのエリアに居たのも意外だが、なによりも目の前の男―茂―が奴と戦い、勝利を収めている事が一番驚いた。
奴を破壊する事が、いかに困難であるかは、自分が一番よく知っている。
もっとも
「それで、完全に機能が停止したのを、確認した訳ではないのだな」
「まあ、そうなるな。……あれで倒せたと思うが」
茂の返事は、どこか歯切れが悪い。
それもその筈、制限によるチャージアップの強制解除。
これによって最後の一撃は、威力が削がれてしまった、その事が茂にいま一つ確信を持たせないのだ。
「まあ、時間の問題か…」
「ああ? そいつはどういう事だ?」
「午前六時まで残り一時間を切った、六時になれば放送が始まり、死者の名前が発表される。奴の生死はそこで確認できる」
放送の事を聞いて、茂は苛立ち始めた。そんなクソッ垂れな放送もあるのかと。
そんな茂様子を尻目に、T-800は淡々と告げる。
「今の内にルールを確認しておけ、足元を掬われかねんぞ? 後は体力の回復に努めろ、放送後奴の生存が確認されたら…」
「ああ、さっさと見つけ出して今度こそ確実にブっ潰す。」
チャージアップの制限は確認した、次があるなら同じ様なへまはやらねぇ。
そんな茂の意気込みを確認しつつ、T-800は同意するように頷いた。
■ ■ ■
約一時間後、PDAから流れる悪夢の放送が終わりを告げた頃。
結果だけを言えば、茂もT-800も自分の知っている名前が呼ばれる事は無かった。
だが…
「10人もだと? 俺達がここでのんびりしている間に、10人も死んじまったっていうのか? くっそぉぉぉぉぉおおぉぉ」
「全体の約五分の一、思ったより殺し合いに乗っている参加者が多いのかも知れん。しかも…」
「…ああ、あの野郎の名前が呼ばれてねぇ。奴はまだ生きてやがる」
重度の疲労の為戦う事が出来ず、休息を入れなければならなかった茂。
あの状態で無理に戦い続けようものなら、死体が一つ増えていた。
そんな事は茂も頭の中で理解している、だがそれで心が納得できるかと言えば話は別。
なにか出来る事はあったのではないか? 行動を起こしていれば犠牲者は減らせたのではないか?
無力感と後悔が湧き上がる、しかしそれで足を止める茂では無い。
むしろそれらを起爆剤として、反逆の意思をさらに燃え上がらせる。
一方T-800も思案する。
自分が今まで出会った人物は、全て殺し合いに乗っていなかった様だから、多少楽観視していた部分もある。
だがその考えは、かなり厳し目に修正しなくてはならないようだ。
早急に危険人物の排除、及び協力者の確保が必要である。
戦力としては、支給品が無くてもある程度戦闘能力が期待できる、仮面ライダーと合流するのが望ましい。
その一方で、戦闘力は無くとも爆弾を解除できる人物の確保、これも重要である。
危険人物を全員排除出来ても、体内の爆弾を解除できなければ詰みである。
ならばこれからするべき行動は…
「茂、これからの行動方針について提案がある、お前の意見を聞かせてくれ」
T-800が淡々と説明を開始する。
まずT-1000についてだが、生きていたと言うのであれば流石に修復も完了し、どこかに移動している可能性が高い。
即座に撃破しておきたい所であるが、想像以上に殺し合いに乗ったものが多い様だ。
あてもなくT-1000を探して、時間を浪費するのは避けたい。
故に遺憾ではあるが、T-1000の追撃は一時断念する。
そしてこれからの事だが、修理工場か南下して街に向かおうと思う。
人が集まり易い街に向かえば、協力者との合流や弱者の保護が見込める。しかし、人が集まり易い分、危険人物との遭遇する可能性も大きい。
一方修理工場は、街よりは他の参加者に会える可能性は低いだろう。
だが、危険人物から逃れた者や手傷を負った危険人物が来る可能性がある。
どちらにせよ、他の参加者との接触は必要だ。
「確かにな…」
T-800の言葉を受け、茂は考える。
既に10人も犠牲者が出たってのに、全然動じてねぇ所が気にくわねぇが、言ってる事は間違ってねぇ。
確かにT-1000の野郎を今すぐにでも見つけ出して、今度こそ倒しておきたいが、奴の行方を見失った今下手に探し回るのは、時間の浪費だ。
犠牲者の数からいって、殺し合いに乗っているのはあいつだけじゃねぇ、緑色の髪の少女の事もある。
たった一人の敵に拘って、救える筈の人を死なせちまう、そんな訳にはいかねぇな。
ならば一刻も早く、他の参加者と合流し、弱者は保護し殺し合いに乗った奴はぶっ飛ばす。
これしかねぇな。
ならば行く所は…
「茂後ろだ! 避けろ!」
何かに気がついたT-800が、警告の叫びをあげる。
茂が慌てて振り返ると、窓の外から巨大な犬がこちらに向かって突っ込んできた。
「ちぃっ!」
幾ら休憩を挟んだとはいえ、茂の体力は完全に回復しきった訳では無い。
故にとっさの回避行動が鈍かった。
その鈍さは、攻撃の回避を失敗させるには十分だった。
窓と壁を突き破り、哮天犬が茂に襲いかかる。
茂に避ける術は無かった。
■ ■ ■
探知機に映し出された人物、茂とT-800.ナタクは早速この二人の元に向かおうと思ったが、やめる事にした。
放送までの時間が、あまりある方では無かったからだ。
戦闘に没頭するあまり、放送を聞き逃す可能性がある、それは避けたい所だ。
ナタク本人としては、別に誰が死のうと関係ないのだが、間違って禁止エリアに入って爆死はごめんである。
それに自分のであった強者―KOS-MOSとシグマの影武者―、生きているならまた戦う事もあるだろうし、探す価値はある。
しかし、死んでいるなら探すだけ時間の無駄である。その為、休憩も兼ね行動は放送が終わった後にする事にした。
幸い、二人との距離はそんなに離れていない。哮天犬なら直ぐに辿り着ける距離だ。
万が一移動を開始したとしても、こちらには探知機があるのだ逃がしはしない。
獲物を狙う猛獣の様な笑みを浮かべながら、ナタクは体を休めた。
いくらか待つと、PDAから女性も声が流れ始め、放送が開始される。
KOS-MOSとか言う、青い髪の女の名前は呼ばれなかった。
影武者は……チッ、アイツの名前は分からん。
まあいい、禁止エリアも聞いた、あの二人も移動していない、ならここに居る理由はない。
ナタクは哮天犬に跨ると、二人の居る場所に向かって一直線に飛び立った。
■ ■ ■
ナタクは、茂とT-800の居る民家の近くの上空までやってきた。
ある程度まで近づくと、もう探知機無しでも気配を感じとれた。
強そうなにおいと、それより明らか劣る強さのにおい。
(成程、弱い奴が強い奴に守られている訳か、……邪魔だな)
茂とT-800、どちらかが弱者でそれを強い方が守っている、ナタクはそう捉えた。
正確に言えば茂は本調子じゃない上に、変身もしていない為、戦闘力が低く見られてしまっているのだが。
ナタクはそんな事は知る由もない。
ただ強い奴と戦う時に、傍で余計なちょっかいを出されたうっとおしい、その程度の事でしかない。
感じた限りでは弱い方は窓際に居る様だ、ならばする事は一つ。
ナタクが茂達の居る民家の近くに降り立つと、窓際に居る男に向って哮天犬を繰り出した。
ナタクの狙いは単純。
この一撃で死ぬなり気絶するなりして、戦いの邪魔にならない様に出来れば良い、ただそれだけだ。
目論見通り、窓際にいる男は哮天犬を避けるのに失敗したようだった。
これで攻撃され、怒った強い方が自分に戦いを仕掛けてくるだろう。
強者との戦いに、自然と頬がつり上がるナタク。
ここでナタクの予想外の事が起こった。
目の前の家には、弱い方のにおいが残り、強い方が遠ざかって行ったのだ。
強い方が弱い方を庇った、即座にそう判断してナタクは舌打ちした。
これでは意味が無いと。
そう思った次の瞬間、弱い方のにおいの強さが、まるで膨張するかのように膨れ上がった。
その強さは、もう一人の強い方と同じかそれ以上だ。
(どういうことだ?)
どういうことかは良く分からない。
ただ分るのは、弱いと思っていた奴でも戦いが楽しめそうだと言う事だ。
哮天犬の一撃で舞い上がる雪煙りと瓦礫の粉塵。
その中から一つの影が、咆哮と共に飛び出してきた。
その人物はナタクがさっきまで戦っていた、シグマの影武者そのものだったからだ。
■ ■ ■
(―っ、しくじった。)
自分の失態を呪いながら、茂はせめて少しでもダメージを減らそうと、ガードして身を固める。
すると、哮天犬の攻撃が当たる直前、思いもよらぬ方向から衝撃を受け、攻撃の射線上から外れる。
茂が哮天犬の攻撃を避けそこなったその時、間一髪でT-800が茂を突き飛ばし、哮天犬の攻撃を代わりに受けた。
T-800は哮天犬を受け止めようとした、だがT-800の思った以上に哮天犬の威力は高く、直ぐに足が地から離れる。
成す術のないT-800は、茂に向かい何事かを呟いた。
哮天犬とT-800は、部屋の反対側の壁を突き抜け外へ出ると、そのまま他の民家も貫いて行く。
そのまま数軒の民家を貫いた処で、哮天犬は止まった。
「T-800!!」
茂は即座にT-800の元に向かおうとして止めた。
自分を庇った時、T-800が呟いたのを確かに聞いたのだ、「問題ない」と言うその声を。
ならば今茂がする事はT-800の言葉を信じ、外に居るであろう襲撃者を倒す事だ。
「無事でいろよ、T-800」
茂は襲撃者が居るであろう方向を睨みつけると、革の手袋を脱ぎ棄て両手をこすり合わせる。
「変・身――ストロンガー」
雷の戦士は咆哮と供に駆け出す。
■ ■ ■
ストロンガーは空中前方宙返りと供に、体を雷光に包みナタクに向かって一直線に進む。
「電キィィィク!!」
雄叫びをあげてストロンガー突撃する。
その攻撃を避け様とし、ストロンガーの姿を見たナタクは一瞬驚いた。
初めて会う相手の筈が、その姿には見覚えがあった。
シグマの影武者と同じ姿なのだ。
驚きによって、回避が一瞬遅れる。
避けきれないと判断し、ナタクはガードに切り替える。
両腕に強い衝撃と雷を受け、数m程後ずさる。
腕は幾らかしびれて動きは鈍るが、全く戦闘に使えない訳では無い。
哮天犬がナタクの元に戻り、傍に待機する。
「いきなり奇襲とはやってくれるじゃねぇか、こんな真似をするからには、ブチのめされる覚悟は出来ているんだろうな?」
「……」
「おい、なんとか言ったらどうだてめぇ!」
自分の話を完全に無視するナタクに、激昂する茂。
当のナタクは目の前の男、ストロンガーについて思考する。
目の前の人物が、シグマの影武者と違うのはたしかだ。 ならば何故、こいつはシグマの影武者と同じ姿なのか。
そこでナタクは気付く。
目の前の男がシグマの影武者と同じ姿なのでは無く、シグマの影武者が目の前の男の姿を真似ていたのだと。
シグマの影武者は自分と戦う前に、誰かと戦った形跡があった、それは誰だ? 恐らくは目の前の男。
おそらく目の前の男に化ける事で、こいつが不利になるように仕向けるつもりだったのだろう。
「…お前、シグマの影武者と一度戦っただろう?」
「なっ、…てめえ、何でその事を知ってやがる」
自分とT-800しか知らない事実を言い当てられ、動揺する茂。一方ナタクは自分の予想が当たり、内心胸を躍らせる。
しかも丁度良い事に、もう一人の強そうな奴は哮天犬で少し離れた所まで飛ばされている。
目の前の男を庇ったのだから、全くの無傷ではあるまい。ならば目の前の男との戦いに集中できる。
「城茂もしくはT-800か? どちらでも構わんがオレと戦ってもらうぞ」
ナタクは凶暴な笑みを浮かべ宣言した。
【B-3 町/一日目・朝】
【城茂@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:腹部に刺し傷、左肩に火傷、全身に小ダメージ、疲労(中)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本:殺し合いを潰す
1:何でこいつ俺やT-800の名前を? とにかく殺し合いに乗っているなら容赦しねぇ。
2: T-800が無事か気になる。
3:街を目指して南下するか、修理工場を目指して東に向かう。
4:本郷猛、風見志郎、神敬介と合流する
5:チンクと呼ばれた少女に会い、保護する
6:全部終わったらセインのちゃんとした墓を作る
※参加時期は仮面ライダーSPIRITS本編開始前より
※制限は攻撃の威力制限、回復速度制限です
※チャージアップに課せられた制限は効果時間短縮、および使用後の疲労増大です
※自身にかけられた制限(威力制限・チャージアップ制限)には気がつきました
※スバルの住む世界、魔法、ギンガ、チンク、ノーヴェに関する情報を得ました。
※T-800の世界についての情報を得ました。
【ナタク@封神演義】
[状態]:頬にレーザ痕(行動に支障無し)、全身にボムによる火傷(行動に支障無し)
[装備]:哮天犬@封神演義、M.W.S.(ボム残り七発 ビームランチャー エネルギー87%)@ゼノサーガシリーズ、高性能探知機
[道具]:支給品一式、ランダム不明支給品1
[思考・状況]
基本思考:強い敵と戦う。弱者に興味はない。馴れ合うつもりはない。
1:城茂…どれだけ強いか楽しみだ。
2:武器を探す(宝貝優先)
3:回復を終えたT-1000とは、また戦いたい。
[備考]
※仙界大戦終了後からの参戦。
■ ■ ■
瓦礫の中からT-800は身を起こす。辺りを見回すが、自分達を襲った巨大な犬はいない様だ。
おそらくは襲撃者の元に戻ったのだろう。
「損傷チェック……損傷率十数パーセント。戦闘行動に支障なし、……茂の援護に移る」
PDAを操作しテントローを転送すると、すぐにそれに跨りアクセルを全開にして走り出す。
茂の戦闘能力が高くても、体力の回復が完全では無い。
相手の能力はどれ程のものか分からないが、実力が互角と仮定した場合長期戦に陥れば、茂の敗北の可能性もある。
ならば自分が援護に入れば、勝率は高くなる。
高い戦闘能力を持つ貴重な協力者だ、ここで死なせるわけにはいかない。
T-800は、友情でも連帯感でもなく、ただただ使命の達成の為に茂の援護に向かう。
【T-800@ターミネーター2】
[状態]:健康 小程度損傷
[装備]:滝和也のライダースーツ@仮面ライダーSPIRITS、コルトS.A.A(6/6)
[道具]:支給品一式、コルトS.A.Aの弾丸(30/30発)、テントロー@仮面ライダーSPIRITS
[思考・状況]
基本思考:シグマを打ち倒して殺し合いを破壊し、本来の任務に戻る。
その為に仲間を集める、殺し合いに乗る者には容赦しない。
1:茂を援護し襲撃者を倒す。
2:街を目指して南下するか、修理工場を目指して東に向かう。
3:スバルと合流する。
4:スバルの仲間(ギンガ、チンク、ノーヴェ)を見つけ、合流する
5:T-1000の破壊
※本編開始直後からの参加です。
※スバルに、ボブと呼ばれています。
※ライダースーツのナックルとその弾丸は、スバルに手渡されました。
※スバルの住む世界、魔法、ギンガ、チンク、ノーヴェに関する情報を得ました。
※シグマの背後にはスカイネットがいて、スカイネットの妨害行為によって
自分はこの場に連れてこられたのではと考えられています。
※仮面ライダー(本郷、風見、敬介)についての情報を得ました。
*時系列順で読む
Back:[[交錯する想い、その行方]] Next:[[荒野を渡る風]]
*投下順で読む
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|053:[[とっても嫌な聞き間違い]]|城茂||
|053:[[とっても嫌な聞き間違い]]|T-800| |
|060:[[強者をめぐる冒険]]|ナタク| |
**エンカウント ◆d.NbLKVxEc
茂は今、体験した事のない史上最大の危機に陥り、明らかに恐怖していた。
それは生命の危機では無い、そんなもの茂は今までに何度も乗り越えている。
ならば、歴戦の戦士である茂をそこまで恐怖させるものとは?
そう、それはガチムチのホモ野郎による、自分の貞操の危機であった。
(やべえ、やべえよおやっさん。掘られる未来しかうかばねぇ)
T-1000との戦いで使ったチャージアップ。
その時の疲労が残っており、茂は満足に動くことが出来なかった。
それさえなければ、今すぐ逃げだすなり戦うなり出来るのだが、生憎そうもいかなかった。
戦う事はおろか、逃げる事も出来ない。
もはや茂は、まな板の上の鯉であった。
目の前の筋骨隆々とした西洋人男性、そう思われる人物が茂を見つめ、いや舐めまわすように眺めながら問いかける。
「これから俺が問いかける事に、『はい』か『YES』で答えてもらおう。……やらないか?」
男はそう言い放つと、茂の返答を聞く事も無く茂に向って歩を進める。
もとより問いの中に、反論する余地を奪っているのだから、聞く気があるのかも怪しい。
男は歩きながら、ライダースーツの股間部分のファスナーを下ろし、『ソレ』を取り出す。
『ソレ』は太さと言い、長さと言い明らかに人間のものでは無かった。
それを見て、さらに顔を青くする茂に向って、男が宣言する。
「怯える事は無い安心しろ、俺はノンケでも喰ってしまう男だ。さらに言えば、俺のモノには震動や回転等様々な機能が搭載されている」
最悪の死刑宣言に、茂の心が折れかける。
このままでは不味い、何か手は無いかと心だけが焦り空回りする。
しかし今の茂に、状況を打開するすべは無かった。
「だが俺は機能だけでは無いテクニシャンだ、何故なら相手を満足させる為、ある自動車修理工のテクニックをインストールされている、死角は無いぞ」
茂は焦る。
このままでは、あの世でユリ子に会わせる顔が無い、というか会わせたくない。
こうなれば一か八かと、茂は変身を試みる。
しかし、疲労で動きが緩慢だったのと、男がそれを察知していた事が重なり、あっさりと止められてしまう。
コイルアームを掴んでも平気な事から、男のライダースーツには高い絶縁性があるのかもしれない。
「何をするつもりかは知らんが、大人しくしろ。さあ、天国に逝かせてやる」
「くっそぉぉぉぉ!! こんな、こんな野郎にぃぃぃ!」
目の前の絶望に茂は必至で抗う。
しかしその絶望を乗り越えるには、茂はあまりにも無力だった。
男はもがく茂を押し倒しズボンと下着を引き裂くと、『ソレ』を茂の尻にあてがう。
そして腰を前へ突き出した。
「……アッーーーーーーー!?」
茂の悲鳴がこだまする。
それから一時間後
「む、やり過ぎたか…」
そこには無残な姿をさらした、茂の屍が転がっていた。
T-800は少し自己嫌悪をする。
いくら茂の肉体に魅せられたからと言って、貴重な戦力を潰してしまうとは。
「…自重せねばならんな」
そう呟くと、T-800は衣服を整えその部屋を後にした。
【B-3 民家/一日目・朝】
【T-800@ターミネーター2】
[状態]:健康 気分爽快
[装備]:滝和也のライダースーツ@仮面ライダーSPIRITS、コルトS.A.A(6/6)
[道具]:支給品一式、コルトS.A.Aの弾丸(30/30発)、テントロー@仮面ライダーSPIRITS
[思考・状況]
基本思考:シグマを打ち倒して殺し合いを破壊し、本来の任務に戻る。
その為に仲間を集める、殺し合いに乗る者には容赦しない。
1:街を目指して南下する。
2:スバルと合流する。
3:男とやるのを自重する。
4:スバルの仲間(ギンガ、チンク、ノーヴェ)を見つけ、合流する
5:T-1000の破壊
6:ドラスをT-1000でないか、疑っている。
※本編開始直後からの参加です。
※スバルに、ボブと呼ばれています。
※ライダースーツのナックルとその弾丸は、スバルに手渡されました。
※スバルの住む世界、魔法、ギンガ、チンク、ノーヴェに関する情報を得ました。
※シグマの背後にはスカイネットがいて、スカイネットの妨害行為によって
自分はこの場に連れてこられたのではと考えられています。
|&color(red){【城 茂@仮面ライダーSPIRITS 破壊確認】}
【残り 37人】
等というふざけた展開が実際に起こる筈も無く、以前茂とT-800の間には緊張した雰囲気が漂っていた。
■ ■ ■
その部屋の空気は、ピンと張り詰めていた。この部屋にいるのは二人。
一人は、相手が疑心暗鬼に陥り、自分の事を酷く警戒されている、そう思っているT-800。
もう一人は、目の前の男を自分の貞操を狙う、ガチムチのホモ野郎と誤解する茂。
二人のかなりズレた互いの認識が、この場に奇妙な緊張感を形成していた。
(どうする?このまま黙ってやられる位なら、奥の手の『アレ』を使っちまうか?)
疲労の為、満足に戦闘できない事を自覚している茂は、焦りと混乱の為か少々思考が暴走しかけていた。
だが、それを遮ったのはT-800の一言だった。
「何を警戒しているのかは分らんが、俺はこの殺し合いに乗っていない。お前が殺し合いに乗っていないのなら、危害を加えるつもりは無い。」
てっきりまた、“やらないか?”とでも言われると思っていた茂は、ハトが豆鉄砲を食らった様な顔になる。
茂はT-800をじっと見つめ、大きく一つ深呼吸をする。
(うし、少し落ち着け。とりあえずあの野郎は、今すぐ俺とやろうとかそういうつもりじゃねぇらしい。大体、俺の聞き間違いって事もあるよ…な?)
件のセリフを聞いた時の自分は、意識がはっきりとしていなかった。半分起きて半分眠っている、そんな状態だったのだ。
相手の言葉を聞き間違えている可能性も、無くは無いのだ。なら、話を聞いてからでも良いだろう。
それに、会話で時間をとる事で、少しでも体力を回復させる狙いもある。
「…じゃあ、二、三程質問させてもらうぜ。なんで俺の服を脱がした」
T-800は少し首をかしげる。
まずは名前や能力やら、色々と他に聞く事はあるだろう。
それが何故、最初に衣服の事なのか。
自分には分らないが、には何か思う事があるのだろう。
そう結論づけて、T-800は答えた。
「お前が殺し合い乗っているかどうか分らなかった、故に身体的特徴から少しでもお前の能力を推し量ろうとしただけだ」
その言葉に茂は納得する。
確かに、殺し合いに乗っているかもしれない相手に、何もしないというのもおかしな話だ。
調べれば自分なんかは、変身能力はともかく、コイルアームから電気を操る事位、簡単に推測できるだろう。
しかしそれだけでは、相手のガチホモの疑いがはれたとは言え無い。
「お前がこの部屋に入って来た時、お前は俺に何て声をかけた?」
「……どうやら気がついた様だな。…おい、こちらの声が聞こえるか? だった筈だがそれがどうかしたか?」
頭の中でこの台詞の中の文字を、順番に抜き出していく。
すると、一応件の台詞に一致する事は一致する。
茂は、何でこんな嫌な聞き間違いをしたのかと、自己嫌悪に陥った。
「わりぃな、ちょっとボーっとしてからよ、さっきの台詞を変な風に聞き間違えていたみてぇだ。……ああ、ちなみに俺も殺し合いには乗っていねぇ」
茂の謝罪にT-800もいくらか納得する。確かにあの時の茂は、意識がはっきりしているようには見えなかった。
聞き間違いを起こしても、おかしくはない。
だが…
「後学の為、どのように聞き間違えたか、教えて貰っていいか?」
T-800には自分の台詞が、どのように警戒される様に聞き間違えられたのか、どうしても分からなかった。
しかし、それを聞かれた茂は、恥しそうに少し赤くなりながら、
「聞くなっ! いや、本当に何でも無いから…な?」
明らかに何でもなさそうには無かったが、ここで話を蒸し返して場が荒れても何なので、T-800は深く追求する事をやめた。
■ ■ ■
その後、お互いに自分の出会った人物や世界について、情報交換を行った。
茂にしてみれば、T-800から得た情報は自分の予想外のものが多かった。
シグマの協力者の名前―T-1000―とその後ろに控える組織『スカイネット』。
相手にする組織が増えたがそれはいい、それよりもその『スカイネット』が、未来の世界で人類と機械の最終戦争で、人類の抹殺目論む軍事用コンピュータ。
T-1000は人類側の指導者を殺す為に、未来から送られてきた殺人アンドロイド。
目の前のT-800は、抵抗軍に捕獲され人類の味方側になる様再プログラミングされた、元殺人アンドロイド。
正直未来だのタイムマシンだのは、茂にとって信じがたい話ではあるが、嘘言っている様にも思えない。
作り話にしては出来過ぎている。
さらにT-800が出会ったスバルという少女。
どうやら、チンクの知り合いであるようだが、彼女の語った内容もこれまた非常識だ。
彼女の知り合いである、ギンガ、チンク、ノーヴェの事はいい。戦闘機人はいい、自分も似たようなものだから。
だが、時空管理局に魔法、そして異世界。ある意味T-800の話より内容がぶっ飛んでいる。
だが、これらの事が全て真実であったなら?
自分の常識が全く通用しない、そんな世界からやって来た者がいるかもしれない。
そして、そんな人物達をも手玉に取って見せたシグマの組織力は、自分が想像していたものより遙かに高いのかもしれない。
茂の顔が獰猛に歪む。仮面ライダーの一人として、この殺し合いに反逆を誓った茂の心は、この程度の困難でくじける事は無い。
むしろますます闘志を燃やしている、そういった表情だ。
(せいぜいふんぞり返ってこっちを見下してやがれ、必ずその面を後悔で歪ませてやるからよぉ)
決意を新たにする茂。
それはそれとして、T-800のであった残り二人の人物に思考を移す。
タチコマとドラスの二人。
タチコマ―彼? は水色の蜘蛛の様なシルエットしており、とりあえず殺し合いには乗っていないようだ。
そしてドラス―最初に殺されたセインをいくらか幼くした容姿の少女。
彼女も殺し合いには乗っていないようだ。
二人に関しては、情報が少ない。
もっとも、その原因はT-800にあるのだが。
「それはそうと、いくらT-1000の野郎である可能性があるからって、いきなり鉛玉打ち込もうとするのはいたただけねなぁ」
「……あの時点では他に判断材料が無かった。俺としては最低限T-1000だけは、破壊しておかなくてはならない。妥協は出来ん」
茂からの非難に、冷静に反論するT-1000。
この殺し合いの中で、決して手を取り合う事は無いと分かっている相手だからこそ、疑いがある人物には自然と厳しい対応になってしまう。
「もっとも、お前の証言でドラスに対する疑いは晴れた訳だ。……機会があれば謝罪しよう」
「まっ、それが筋だろうな」
茂から得た情報を元に、T-800は思考する。
まず、『仮面ライダー』のコードネームを持つ、四人の改造人間。
茂の先輩にあたり、この殺し合いに乗る人物では無いようだ。
また、高い戦闘力―あくまで茂の主観、この殺し合いにおける平均的な戦闘力がどれ位かは不明―を保持しており、合流すれば戦力の増大を期待できる。
次に、名前の分らない緑色の髪の少女。
エネルギー刃の剣と、砲塔の付いた盾と当りに入る部類の支給品を持ち、殺し合いにのっている人物。
服装が半裸だったのは、すでに何者かと戦闘したためだろうか?
ともあれ、早急に排除しなくてはならない危険人物だ。
そして、一番関心がある人物、T-1000についてだ。
自分の近くのエリアに居たのも意外だが、なによりも目の前の男―茂―が奴と戦い、勝利を収めている事が一番驚いた。
奴を破壊する事が、いかに困難であるかは、自分が一番よく知っている。
もっとも
「それで、完全に機能が停止したのを、確認した訳ではないのだな」
「まあ、そうなるな。……あれで倒せたと思うが」
茂の返事は、どこか歯切れが悪い。
それもその筈、制限によるチャージアップの強制解除。
これによって最後の一撃は、威力が削がれてしまった、その事が茂にいま一つ確信を持たせないのだ。
「まあ、時間の問題か…」
「ああ? そいつはどういう事だ?」
「午前六時まで残り一時間を切った、六時になれば放送が始まり、死者の名前が発表される。奴の生死はそこで確認できる」
放送の事を聞いて、茂は苛立ち始めた。そんなクソッ垂れな放送もあるのかと。
そんな茂様子を尻目に、T-800は淡々と告げる。
「今の内にルールを確認しておけ、足元を掬われかねんぞ? 後は体力の回復に努めろ、放送後奴の生存が確認されたら…」
「ああ、さっさと見つけ出して今度こそ確実にブっ潰す。」
チャージアップの制限は確認した、次があるなら同じ様なへまはやらねぇ。
そんな茂の意気込みを確認しつつ、T-800は同意するように頷いた。
■ ■ ■
約一時間後、PDAから流れる悪夢の放送が終わりを告げた頃。
結果だけを言えば、茂もT-800も自分の知っている名前が呼ばれる事は無かった。
だが…
「10人もだと? 俺達がここでのんびりしている間に、10人も死んじまったっていうのか? くっそぉぉぉぉぉおおぉぉ」
「全体の約五分の一、思ったより殺し合いに乗っている参加者が多いのかも知れん。しかも…」
「…ああ、あの野郎の名前が呼ばれてねぇ。奴はまだ生きてやがる」
重度の疲労の為戦う事が出来ず、休息を入れなければならなかった茂。
あの状態で無理に戦い続けようものなら、死体が一つ増えていた。
そんな事は茂も頭の中で理解している、だがそれで心が納得できるかと言えば話は別。
なにか出来る事はあったのではないか? 行動を起こしていれば犠牲者は減らせたのではないか?
無力感と後悔が湧き上がる、しかしそれで足を止める茂では無い。
むしろそれらを起爆剤として、反逆の意思をさらに燃え上がらせる。
一方T-800も思案する。
自分が今まで出会った人物は、全て殺し合いに乗っていなかった様だから、多少楽観視していた部分もある。
だがその考えは、かなり厳し目に修正しなくてはならないようだ。
早急に危険人物の排除、及び協力者の確保が必要である。
戦力としては、支給品が無くてもある程度戦闘能力が期待できる、仮面ライダーと合流するのが望ましい。
その一方で、戦闘力は無くとも爆弾を解除できる人物の確保、これも重要である。
危険人物を全員排除出来ても、体内の爆弾を解除できなければ詰みである。
ならばこれからするべき行動は…
「茂、これからの行動方針について提案がある、お前の意見を聞かせてくれ」
T-800が淡々と説明を開始する。
まずT-1000についてだが、生きていたと言うのであれば流石に修復も完了し、どこかに移動している可能性が高い。
即座に撃破しておきたい所であるが、想像以上に殺し合いに乗ったものが多い様だ。
あてもなくT-1000を探して、時間を浪費するのは避けたい。
故に遺憾ではあるが、T-1000の追撃は一時断念する。
そしてこれからの事だが、修理工場か南下して街に向かおうと思う。
人が集まり易い街に向かえば、協力者との合流や弱者の保護が見込める。しかし、人が集まり易い分、危険人物との遭遇する可能性も大きい。
一方修理工場は、街よりは他の参加者に会える可能性は低いだろう。
だが、危険人物から逃れた者や手傷を負った危険人物が来る可能性がある。
どちらにせよ、他の参加者との接触は必要だ。
「確かにな…」
T-800の言葉を受け、茂は考える。
既に10人も犠牲者が出たってのに、全然動じてねぇ所が気にくわねぇが、言ってる事は間違ってねぇ。
確かにT-1000の野郎を今すぐにでも見つけ出して、今度こそ倒しておきたいが、奴の行方を見失った今下手に探し回るのは、時間の浪費だ。
犠牲者の数からいって、殺し合いに乗っているのはあいつだけじゃねぇ、緑色の髪の少女の事もある。
たった一人の敵に拘って、救える筈の人を死なせちまう、そんな訳にはいかねぇな。
ならば一刻も早く、他の参加者と合流し、弱者は保護し殺し合いに乗った奴はぶっ飛ばす。
これしかねぇな。
ならば行く所は…
「茂後ろだ! 避けろ!」
何かに気がついたT-800が、警告の叫びをあげる。
茂が慌てて振り返ると、窓の外から巨大な犬がこちらに向かって突っ込んできた。
「ちぃっ!」
幾ら休憩を挟んだとはいえ、茂の体力は完全に回復しきった訳では無い。
故にとっさの回避行動が鈍かった。
その鈍さは、攻撃の回避を失敗させるには十分だった。
窓と壁を突き破り、哮天犬が茂に襲いかかる。
茂に避ける術は無かった。
■ ■ ■
探知機に映し出された人物、茂とT-800.ナタクは早速この二人の元に向かおうと思ったが、やめる事にした。
放送までの時間が、あまりある方では無かったからだ。
戦闘に没頭するあまり、放送を聞き逃す可能性がある、それは避けたい所だ。
ナタク本人としては、別に誰が死のうと関係ないのだが、間違って禁止エリアに入って爆死はごめんである。
それに自分のであった強者―KOS-MOSとシグマの影武者―、生きているならまた戦う事もあるだろうし、探す価値はある。
しかし、死んでいるなら探すだけ時間の無駄である。その為、休憩も兼ね行動は放送が終わった後にする事にした。
幸い、二人との距離はそんなに離れていない。哮天犬なら直ぐに辿り着ける距離だ。
万が一移動を開始したとしても、こちらには探知機があるのだ逃がしはしない。
獲物を狙う猛獣の様な笑みを浮かべながら、ナタクは体を休めた。
いくらか待つと、PDAから女性も声が流れ始め、放送が開始される。
KOS-MOSとか言う、青い髪の女の名前は呼ばれなかった。
影武者は……チッ、アイツの名前は分からん。
まあいい、禁止エリアも聞いた、あの二人も移動していない、ならここに居る理由はない。
ナタクは哮天犬に跨ると、二人の居る場所に向かって一直線に飛び立った。
■ ■ ■
ナタクは、茂とT-800の居る民家の近くの上空までやってきた。
ある程度まで近づくと、もう探知機無しでも気配を感じとれた。
強そうなにおいと、それより明らか劣る強さのにおい。
(成程、弱い奴が強い奴に守られている訳か、……邪魔だな)
茂とT-800、どちらかが弱者でそれを強い方が守っている、ナタクはそう捉えた。
正確に言えば茂は本調子じゃない上に、変身もしていない為、戦闘力が低く見られてしまっているのだが。
ナタクはそんな事は知る由もない。
ただ強い奴と戦う時に、傍で余計なちょっかいを出されたうっとおしい、その程度の事でしかない。
感じた限りでは弱い方は窓際に居る様だ、ならばする事は一つ。
ナタクが茂達の居る民家の近くに降り立つと、窓際に居る男に向って哮天犬を繰り出した。
ナタクの狙いは単純。
この一撃で死ぬなり気絶するなりして、戦いの邪魔にならない様に出来れば良い、ただそれだけだ。
目論見通り、窓際にいる男は哮天犬を避けるのに失敗したようだった。
これで攻撃され、怒った強い方が自分に戦いを仕掛けてくるだろう。
強者との戦いに、自然と頬がつり上がるナタク。
ここでナタクの予想外の事が起こった。
目の前の家には、弱い方のにおいが残り、強い方が遠ざかって行ったのだ。
強い方が弱い方を庇った、即座にそう判断してナタクは舌打ちした。
これでは意味が無いと。
そう思った次の瞬間、弱い方のにおいの強さが、まるで膨張するかのように膨れ上がった。
その強さは、もう一人の強い方と同じかそれ以上だ。
(どういうことだ?)
どういうことかは良く分からない。
ただ分るのは、弱いと思っていた奴でも戦いが楽しめそうだと言う事だ。
哮天犬の一撃で舞い上がる雪煙りと瓦礫の粉塵。
その中から一つの影が、咆哮と共に飛び出してきた。
その人物はナタクがさっきまで戦っていた、シグマの影武者そのものだったからだ。
■ ■ ■
(―っ、しくじった。)
自分の失態を呪いながら、茂はせめて少しでもダメージを減らそうと、ガードして身を固める。
すると、哮天犬の攻撃が当たる直前、思いもよらぬ方向から衝撃を受け、攻撃の射線上から外れる。
茂が哮天犬の攻撃を避けそこなったその時、間一髪でT-800が茂を突き飛ばし、哮天犬の攻撃を代わりに受けた。
T-800は哮天犬を受け止めようとした、だがT-800の思った以上に哮天犬の威力は高く、直ぐに足が地から離れる。
成す術のないT-800は、茂に向かい何事かを呟いた。
哮天犬とT-800は、部屋の反対側の壁を突き抜け外へ出ると、そのまま他の民家も貫いて行く。
そのまま数軒の民家を貫いた処で、哮天犬は止まった。
「T-800!!」
茂は即座にT-800の元に向かおうとして止めた。
自分を庇った時、T-800が呟いたのを確かに聞いたのだ、「問題ない」と言うその声を。
ならば今茂がする事はT-800の言葉を信じ、外に居るであろう襲撃者を倒す事だ。
「無事でいろよ、T-800」
茂は襲撃者が居るであろう方向を睨みつけると、革の手袋を脱ぎ棄て両手をこすり合わせる。
「変・身――ストロンガー」
雷の戦士は咆哮と供に駆け出す。
■ ■ ■
ストロンガーは空中前方宙返りと供に、体を雷光に包みナタクに向かって一直線に進む。
「電キィィィク!!」
雄叫びをあげてストロンガー突撃する。
その攻撃を避け様とし、ストロンガーの姿を見たナタクは一瞬驚いた。
初めて会う相手の筈が、その姿には見覚えがあった。
シグマの影武者と同じ姿なのだ。
驚きによって、回避が一瞬遅れる。
避けきれないと判断し、ナタクはガードに切り替える。
両腕に強い衝撃と雷を受け、数m程後ずさる。
腕は幾らかしびれて動きは鈍るが、全く戦闘に使えない訳では無い。
哮天犬がナタクの元に戻り、傍に待機する。
「いきなり奇襲とはやってくれるじゃねぇか、こんな真似をするからには、ブチのめされる覚悟は出来ているんだろうな?」
「……」
「おい、なんとか言ったらどうだてめぇ!」
自分の話を完全に無視するナタクに、激昂する茂。
当のナタクは目の前の男、ストロンガーについて思考する。
目の前の人物が、シグマの影武者と違うのはたしかだ。 ならば何故、こいつはシグマの影武者と同じ姿なのか。
そこでナタクは気付く。
目の前の男がシグマの影武者と同じ姿なのでは無く、シグマの影武者が目の前の男の姿を真似ていたのだと。
シグマの影武者は自分と戦う前に、誰かと戦った形跡があった、それは誰だ? 恐らくは目の前の男。
おそらく目の前の男に化ける事で、こいつが不利になるように仕向けるつもりだったのだろう。
「…お前、シグマの影武者と一度戦っただろう?」
「なっ、…てめえ、何でその事を知ってやがる」
自分とT-800しか知らない事実を言い当てられ、動揺する茂。一方ナタクは自分の予想が当たり、内心胸を躍らせる。
しかも丁度良い事に、もう一人の強そうな奴は哮天犬で少し離れた所まで飛ばされている。
目の前の男を庇ったのだから、全くの無傷ではあるまい。ならば目の前の男との戦いに集中できる。
「城茂もしくはT-800か? どちらでも構わんがオレと戦ってもらうぞ」
ナタクは凶暴な笑みを浮かべ宣言した。
【B-3 町/一日目・朝】
【城茂@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:腹部に刺し傷、左肩に火傷、全身に小ダメージ、疲労(中)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本:殺し合いを潰す
1:何でこいつ俺やT-800の名前を? とにかく殺し合いに乗っているなら容赦しねぇ。
2: T-800が無事か気になる。
3:街を目指して南下するか、修理工場を目指して東に向かう。
4:本郷猛、風見志郎、神敬介と合流する
5:チンクと呼ばれた少女に会い、保護する
6:全部終わったらセインのちゃんとした墓を作る
※参加時期は仮面ライダーSPIRITS本編開始前より
※制限は攻撃の威力制限、回復速度制限です
※チャージアップに課せられた制限は効果時間短縮、および使用後の疲労増大です
※自身にかけられた制限(威力制限・チャージアップ制限)には気がつきました
※スバルの住む世界、魔法、ギンガ、チンク、ノーヴェに関する情報を得ました。
※T-800の世界についての情報を得ました。
【ナタク@封神演義】
[状態]:頬にレーザ痕(行動に支障無し)、全身にボムによる火傷(行動に支障無し)
[装備]:哮天犬@封神演義、M.W.S.(ボム残り七発 ビームランチャー エネルギー87%)@ゼノサーガシリーズ、高性能探知機
[道具]:支給品一式、ランダム不明支給品1
[思考・状況]
基本思考:強い敵と戦う。弱者に興味はない。馴れ合うつもりはない。
1:城茂…どれだけ強いか楽しみだ。
2:武器を探す(宝貝優先)
3:回復を終えたT-1000とは、また戦いたい。
[備考]
※仙界大戦終了後からの参戦。
■ ■ ■
瓦礫の中からT-800は身を起こす。辺りを見回すが、自分達を襲った巨大な犬はいない様だ。
おそらくは襲撃者の元に戻ったのだろう。
「損傷チェック……損傷率十数パーセント。戦闘行動に支障なし、……茂の援護に移る」
PDAを操作しテントローを転送すると、すぐにそれに跨りアクセルを全開にして走り出す。
茂の戦闘能力が高くても、体力の回復が完全では無い。
相手の能力はどれ程のものか分からないが、実力が互角と仮定した場合長期戦に陥れば、茂の敗北の可能性もある。
ならば自分が援護に入れば、勝率は高くなる。
高い戦闘能力を持つ貴重な協力者だ、ここで死なせるわけにはいかない。
T-800は、友情でも連帯感でもなく、ただただ使命の達成の為に茂の援護に向かう。
【T-800@ターミネーター2】
[状態]:健康 小程度損傷
[装備]:滝和也のライダースーツ@仮面ライダーSPIRITS、コルトS.A.A(6/6)
[道具]:支給品一式、コルトS.A.Aの弾丸(30/30発)、テントロー@仮面ライダーSPIRITS
[思考・状況]
基本思考:シグマを打ち倒して殺し合いを破壊し、本来の任務に戻る。
その為に仲間を集める、殺し合いに乗る者には容赦しない。
1:茂を援護し襲撃者を倒す。
2:街を目指して南下するか、修理工場を目指して東に向かう。
3:スバルと合流する。
4:スバルの仲間(ギンガ、チンク、ノーヴェ)を見つけ、合流する
5:T-1000の破壊
※本編開始直後からの参加です。
※スバルに、ボブと呼ばれています。
※ライダースーツのナックルとその弾丸は、スバルに手渡されました。
※スバルの住む世界、魔法、ギンガ、チンク、ノーヴェに関する情報を得ました。
※シグマの背後にはスカイネットがいて、スカイネットの妨害行為によって
自分はこの場に連れてこられたのではと考えられています。
※仮面ライダー(本郷、風見、敬介)についての情報を得ました。
*時系列順で読む
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*投下順で読む
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Wake Up . The ヒーロー その1
|053:[[とっても嫌な聞き間違い]]|城茂|094:[[Wake Up . The ヒーロー その1]]|
|053:[[とっても嫌な聞き間違い]]|T-800|094:[[Wake Up . The ヒーロー その1]]|
|060:[[強者をめぐる冒険]]|ナタク|094:[[Wake Up . The ヒーロー その1]]|
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