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「ココロの在処(後編)」(2009/03/02 (月) 23:52:09) の最新版変更点
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**ココロの在処(後編) ◆9DPBcJuJ5Q
▽
予想外の事態の連続に、ギンガは困惑していた。
戦闘力など皆無に等しいと判断したロボットの、予想以上の粘り。
突如として戦闘を中断し、ロボットを庇い、その直後に何故か行動を停止した銀色のカメンライダー。これによりカメンライダーを無力化できたのは良かった。
だが、己が戦っていた相手が倒されたことに激昂し、今、自分へと襲い掛かってくる、カメンライダーと同等の力を持つ黒いサイボーグ。この存在が最たる計算外だ。
何者にも気取られぬ内にロボットを破壊し、その後は身を隠して銀と黒のサイボーグの決着を待つはずが、このような事態になってしまった。
しかし、カメンライダーとロボットの撃破は失敗したものの無力化には成功。黒いサイボーグもカメンライダーとの戦闘で消耗している。結果だけ見れば、当初の予定と大差ない。
ギンガは計算違いの展開を悔いるような無駄な思考をせず、現状の打破のみを考えた。
逃走――現状では却下。敵の機動力、戦闘スペックを鑑みるに、下手に逃走しようとすれば撃破されかねない。撤退するにしても、確実に撤退できるタイミングを見計らうべきだ。
ならば、この場で取るべき行動は、戦闘。相手が肉弾戦を得手とするのならば、自分も不得手な武器は用いず、シューティングアーツによる格闘戦を選択。
ギンガは天王剣をその場に投げ捨て、構えを取る。
その様子にハカイダーは、ピクリ、と反応を示したが、無言のまま。
先に仕掛けたのは、ハカイダーだ。真っ直ぐに突っ込んできたそれを、ギンガはダッシュジャンプによって回避した。
「なに!?」
通常のジャンプではありえない瞬発力に、ハカイダーは困惑する。だが、これが相手の能力であるならば、それをも打ち破り、破壊するまでのこと。
ギンガは空中でフットパーツの機能を用いて方向転換すると、ハカイダーに向けて乾坤圏を発射する。
猛烈な勢いで迫る乾坤圏に、ハカイダーは舌打ちをしながらバックステップで回避した。それでも、ギンガの着地の瞬間を狙って再度仕掛ける。今度はあの奇怪なジャンプにも戸惑うことはない。
ギンガは着地すると、拳に魔力を収束させ、ダッシュによって勢いをつけ、擦れ違い様、ハカイダーへとベルカ式近接魔法・ナックルバンカーを放つ。ハカイダーも同様に、憤激を込めた拳をギンガに放った。
交錯の後、ハカイダーは肩の装甲を掠められ、僅かに壊されていたことを悟ったが、動じず、ゆっくりと振り返る。
その視線の先には、脇腹を抉られ、鮮血を滴らせるギンガがいた。
「ほう……よく、かわしたな」
ハカイダーが敵へ贈る純粋な賞賛の言葉も、今は底冷えするような恐ろしさがあった。
銀の仮面ライダーは、己に巣食う悪との戦いの最中だった。自分は、言わばその立会人に過ぎなかった。なればこそ、仮面ライダーに戦いを全うさせねばならなかった……それなのに!!
目の前の女は自分達の戦いに割って入るならばいざ知らず、あろうことか力の無いフランシーヌを襲った。
戦いの場に居合わせている弱者とは、最初から人質であるか本人が己の意志で動かぬ限り、悪であっても手出しをしてはならない戦いの見届け人だ。それに手を掛けるなど、言語道断。悪の風上にも置けぬ小悪党だ。
悪を誇るが故に、ハカイダーは目の前の女を許せなかった。
……何より不意打ちというものには、苦すぎる思い出がある。
対してギンガは、今の一撃に驚愕していた。
このサイボーグのスペックは、恐らくはカメンライダーと同等のはず。にも拘らず、攻撃の鋭さは数段上だった。
その原因は、本郷猛の優しさにあった。本郷は最初から、名も知らぬギンガの更生を願い、決して殺さないようにと戦っていたのだ。
途中で本郷も、ギンガを止める為ならばと本気で戦ったが……それでも、少女の姿そのままに戦うギンガに対して、彼はどうしても全力を出せなかったのだ。
だが、ハカイダーは違う。喩え相手が女子供であろうが、それが破壊すべき相手ならば容赦なく破壊する。そこに同情などと言った感情が入る隙など一分も無い。
ハカイダーの悪魔回路に満ち溢れ、機械の身体に漲る感情は――破壊衝動と殺意、そして憤激のみ。
加えて、今の一撃の明暗を分けたのは、疲労の度合いであった。
ハカイダーは直前に仮面ライダーX……もとい、怪人Xカイゾーグと戦っていたとはいえ、途中からは本気ではあっても全力を出していなかった。加えて、Xカイゾーグが度重なる戦闘で疲労していたこと、なにより修理工場で回復していたことが大きかった。
ギンガもXカイゾーグ程ではないにせよ、連戦に次ぐ連戦で疲労していた。それは多少の休息を挟んだ程度で、自分と同格以上の存在との戦いを誤魔化せるものではなかったのだ。
ギンガの脳裏に、撤退の選択肢が強く浮かぶ。だが……どうしても、目の前の男から逃げ切れる確信が持てなかった。
初めて肌で感じる、濃密で冷淡な殺意が、戦闘機人の感覚をも震わせていた。
「来んのか?……では、いくぞ!」
怒りを湛え、殺意を迸らせながら、ハカイダーは動いた。
それを聞いて、ギンガは自分が呆けていたことに気付く。自らの失態に舌を打つ間も惜しみ、ハカイダーの蹴りを踏み込んでかわす。そのまま、膝に拳を叩き込もうとした……が。
「はぁっ!」
裂帛の気合と共にハカイダーは前蹴りの軌道を強引に変更し、ギンガの頭を刈り払うようにした。ギンガは寸前でこの脅威を察知し、しゃがみ込んで回避する。
刈り払われたハカイダーの右足が地面に着くより先に、ギンガは残った左脚を払おうとしたが、これも回避される。この隙に、体勢を整える。
「女だてらに鍛えられた見事な体術だ……が、使い手の性根が腐っていては、な」
ハカイダーは残念そうでもなく、ただ淡々と語る。戦士の戦いを穢した下衆に対する敬意など、この世に存在しないかのように。
ギンガはその言葉にも動揺せず、目の前の黒いサイボーグをAランクの警戒対象に認識し、その戦闘能力はオーバーSランクと同等と判断した。漆黒のサイボーグから放たれるプレッシャーは、時空管理局のエース・オブ・エースもかくやというほどだった。
加えて、この戦場に非殺傷設定など存在しない。敗北は即ち機能停止だけではなく、死を意味する。それでは、ナンバーズとしての任務を遂行することは不可能になってしまう。
「……貴様の実力は認めてやる。だから、これで最後だ」
宣言し、ハカイダーは構えを取る。それは、仮面ライダーZXのゼクロスキックをも正面から打ち破り、村雨良を屠った、必殺と呼ぶべき技の構えだった。
ギンガはハカイダーの言動と強さを増した殺気とプレッシャーから、次の一撃こそがこの戦いの天王山と悟り、回避と防御に専念することを選択した。生半可に反撃を狙っているようでは、この一撃を凌ぐことが出来ないと、本能のような何かが警鐘を鳴らしたのだ。
▽
「しっかり! しっかりして下さい!」
フランシーヌはハカイダーと青い髪の女性が戦いを見届けることはせず、自分を庇って動かなくなった仮面ライダーの安否を気遣った。
この銀の仮面ライダーは、自分が苦しみの中にあるにも拘らず、フランシーヌを死に物狂いで助けてくれた。その姿にフランシーヌは、エレオノールを助ける為に自動人形に立ち塞がった人々の姿を見た。
彼らのような素晴らしい人間が、自分の為に死のうとしていることが、フランシーヌには理解できなかった。
正二達が命懸けでエレオノールを守ったのは、かけがえのない大切な存在だったからだ。それなのに、この銀の仮面ライダーは見ず知らずの自分を助けて、その代償として死に瀕している。
分からない。人間の心は、やはり人形の自分には分からない。
だからこそ、分かりたい。そうすれば、人形の自分もきっと、本郷やエレオノールのように笑えて、ミクのように歌えるようになれると思うから。
そこでふと、フランシーヌは斬り落とされた自分の右腕を見た。別段、痛みや喪失感は無い。右腕の切断面からの止血の措置も終わっている。
なのに、それに興味を向けたのは、その切り口から滴る液体――『生命の水』を見るためだ。
『生命の水』は万物を溶かす危険なものでもあるが、同時に、それを飲んだ人間に強靭な生命力を与えることを、フランシーヌは『しろがね』という実例から知っていた。
フランシーヌの体内を巡る体液は、見様見真似で作った他の自動人形の擬似体液とは違い、創造主が作り上げた紛れもない、本物の『生命の水』。ならば、これを飲ませれば……
そこまで考え、フランシーヌは細腕に宿るか弱い力で、一所懸命に仮面ライダーをうつ伏せから仰向けの状態にした。そして、いざ自分の腕を握って……仮面ライダーがその名の通り仮面を被っていることを思い出した
仮面を被っているということは、当然、口元も塞がれているということだ。これでは、彼に『生命の水』を飲ませることも出来ない。
フランシーヌが己の短慮を嘆いた、その時、2つの場所で動きがあった。
1つは、ハカイダーが必殺の構えを取ったこと。
もう1つは……仮面ライダーがゆっくりと、苦しそうに起き上がり……フランシーヌの首を鷲掴みにしたのだ。
「くっ……!?」
迂闊だった。彼は、つい先程まで自分の意思に反して戦わされていたのだ。自分を助けてくれたことで、その呪縛を打ち破ったとばかり思っていたが、それは間違いだったのだ。
フランシーヌは己の間抜けさを呪い、仮面ライダー……否、怪人・Xカイゾーグはそのか細い首を圧倒的な力で握り潰…………さなかった。
Xカイゾーグの右腕はガッチリとフランシーヌの首を鷲掴みにし、今にも握りつぶさんとしている。
しかし――仮面ライダーXの左手がXカイゾーグの右手首をしっかりと握り締め、そうはさせまいとしていた。
▽
暗闇に包まれた空間の中で、2人の改造人間が対峙していた。
2人の容姿は完全に同一であり、その違いは、赤い複眼に光が灯っているか否かだ。
「また、殺すのか……暗闇よ」
――ああ、殺すとも。我らBADANの世界に、このようなワームなど必要ない。
神敬介の問いに、暗闇の意志は当然のように頷いた。それを聞いた敬介の仮面は、寸毫も変化はしない。ただ、その瞳の光が揺らぐだけだ。
「俺の目の前で、女を殺すのか……」
思い出すのは、3人の女性。
水城涼子と、水城霧子。かつての敬介の恋人と、その妹。彼女達はインターポールの捜査官としてGODに潜入して……仮面ライダーXに協力して、殺された。
そして、グレコ爺さんの息子の花嫁――ロッサ。銀の髑髏に全てを奪われ、利用された悲しい女性。敬介は、彼女の肉体を破壊することでしか、彼女を救えなかった。
その誰もが、暗闇に――BADANに奪われた、悲しい命だった。
「俺の手で、また、人を殺させるのか……」
思い出すのは、名も知らぬ3人――怪人の少女を守るために立ち塞がった、丸みを帯びたボディのロボット、赤い髪の少女、学ランを身に纏ったドラム缶のようなロボット。彼らの誰もが、大切な者を守るために戦い……散って逝った。
そして……恐らくは、悪との戦いに全てを出し尽くしたが故に倒れていた、口は悪いが気風はいい、手は掛かるが頼れる後輩だった――城茂。
暗闇の意志に操られていたとはいえ、それは紛れも無く、仮面ライダーXの肉体が為した所業だった。そうと分かっていながら、抗うことの出来なかった自分の罪だ。
それを、暗闇の意志は鼻で嗤った。
――人を、だと? 滑稽だな。貴様が手にかけた者の中に、生粋の人間などおるまいて。この女にしても、一切の血の通わぬ、古臭い木偶人形ではないか。
言われて、自らの右手の感触を確かめる。
硬く、脆い、温かさのない感触。明らかに、人間の感触ではなかった。
だが、そんなことは敬介も百も承知だった。
「彼女のどこが人形だ。先程まで襲いかかろうとしていた俺なんかを気遣ってくれる優しさを持つ彼女の、どこが人形だと言うんだ」
敬介には聞こえていた。必死に呼びかけてくれる、彼女の声が。
それに応えられなかったのは――今の自分の有様を見れば、一目瞭然だ。
「……人形は、俺の方だ。暗闇に飲まれ、その暗闇が薄らいでも尚、抵抗できず、抵抗を諦め、流されるまま、ただ死ぬことを望んでいた俺こそが……心の死んだ、人の形を真似ただけのモノだった」
仮面ライダーXの瞳に灯った光が一瞬薄らぎ、すぐに更なる輝きを放った。
「だが、今は違う。俺は……俺は!」
仮面ライダーXは暗闇を突き破るように天高く跳躍し、そして。
「俺は神敬介――仮面ライダーXだ!!」
渾身のXキックを、怪人Xカイゾーグに叩き込んだ。
――ぐぅおおおおおおおお!? お、おぉぉぉおおおのれぇぇぇぇ! 仮面ライダァァァァァァァ!!
断末魔の叫びが響き渡り、Xカイゾーグは暗闇と共に跡形も無く消え去った。
そして、暗闇を2つの光が打ち払う。
その光は、闇を切り裂き、闇に孔を穿ち、光を齎した。
その光は、稲妻の光。そして、見たこともない赤い閃光。
打ち払われ消え去ろうとしている暗闇の切れ間に、見慣れた顔と見覚えのある顔が、ちらりちらりと見え隠れする。
「そうだぜ、先輩。なんとしてでも戦い抜いてくれよ。なんせ俺達は……まだ、勝っちゃいねぇんだからな」
「神先輩。貴方は――俺達の分も戦ってください。仮面ライダーとして」
赤の映える2人の仮面の戦士はそう言って、暗闇が消え去ると、光に溶けた。
「…………ありがとう、茂。そして……10号ライダー」
後輩達からの激励に、仮面ライダーXは涙を流しながら礼を言った。
その心地良い涙に浸ることもせず、すぐに拭い取り、気を引き締める。
暗闇は執念深い。一度打ち払われた今も尚、再び甦らんとしている。
その根源は――仮面ライダーXの胸の中。そこで、暗闇が蠢いている。
「さぁ、仕上げだ」
仮面ライダーXはフランシーヌを解放すると、そのまま立ち上がり――砕かれた胸に、己の右手を突っ込んだ。
「うぅがあああああああああああああ!!」
凄まじい激痛が、敬介を襲う。
だが、自分は2度死んだのだ。今更、この程度の痛みに耐えられないはずがない!
仮面ライダーXは、自分の胸の奥深くに手を突っ込み、掻き回す。そして、己が身の内に巣食っていた異物――“暗闇の種”を引き摺りだし、握り潰した。
本来ならば、自分の力では決して為し得なかったであろう、暗闇の意志の打倒。それを神敬介が為しえた理由は幾つかある。
1つは、暗闇の種が半分になっていたこと。
1つは、この会場に暗闇大使がおらず、暗闇の種による支配力が弱まっていたこと。
そして、最たる要因は、神敬介の不撓不屈の正義の心――仮面ライダーSPIRITSとも言うべきものが、悪の戦士ハカイダーの激励によって甦ったこと。
他にも要因は、探せば幾つかあるだろう。
だが、純然たる事実は唯一つ。
仮面ライダーXは、遂に、暗闇に打ち克ったのだ。
▽
ハカイダーが仮面ライダーZXを打ち破った月面飛行蹴りを放たんとした、正にその瞬間であった。
仮面ライダーの、絶叫のような雄叫びが聞こえてきたのは。
見ると、そこは調度、銀の仮面ライダーが自分の胸の中からおぞましい異物を取り出している場面だった。フランシーヌはそれを呆然と見ていたが、ハカイダーは歓喜に打ち震えた。
甦ったか……悪を打ち破ったか! 仮面ライダーよ! それでこそ……それでこそだ!!
しかしその直後、仮面ライダーの変身は解けて人間の姿に戻ってしまった。恐らく、とうに限界を超えていたのだろう。
ハカイダーがその一部始終を見届けた、その隙に、ギンガは動いた。
ロボットやカメンライダーへのトドメは、ハカイダーからの追撃に対応できなくなる可能性が高いので放棄。この場は、撤退を選択。
ギンガは左腕の乾坤圏をカメンライダーに向けて発射した。
「ちぃ!!」
ハカイダーは予想通り、それを遮った。その隙に、ギンガはダッシュジャンプと空中ダッシュを活用して、学校から離脱した。
「尻尾を巻いて逃げ出すか! この卑怯者が!!」
全力で逃げ去っていくギンガに罵声を浴びせながら、しかし、ハカイダーはそれを追おうとはしなかった。
背中を見せて逃げる者に襲い掛かるなど、誇りに反する。そして何より、今この場に、傷付いた仮面ライダーと決闘の証であるフランシーヌを置いて行くわけにはいかない。
仮に、この直後に逃げたと見せかけて奇襲を仕掛けられようとも、あの女は接近戦を得手としている。ならば、どのように不意を討たれようとも、返り討ちにする自信はある。
……白骨ムササビの時のようなヘマは、二度としない。
学校から去っていくギンガの姿が見えなくなると、ハカイダーは踵を返して仮面ライダーとフランシーヌの下へと向かった。
▽
フランシーヌは、銀の仮面ライダーが自分の胸から何かを引きずり出し、その直後、人間の姿に戻って、再び倒れる様子を、呆然と見届けていた。
やがて、状況を理解すると、仰向けに倒れた仮面ライダーの男の容態を確認した。
はっきり言って、酷いものだった。特に、胸の傷が酷い。胸に穿たれた穴からは今も血が流れ、自動人形とは異なるパーツを露にしていた。このままでは、命の危険もあるだろう。
フランシーヌは今度こそ、男に自分の斬り落とされた腕に残っていた『生命の水』を飲ませた。これで彼の命は確実に繋がり、回復も早まるはずだ。
実際、彼の顔色は僅かだが良くなった。それを見て安堵すると、後ろから声を掛けられた。
「……自分の体液など飲ませて、何のつもりだ?」
フランシーヌの行動を理解できないのだろう、人間の姿となったハカイダーはそのように問うた。
確かに、この反応は『生命の水』を知らぬ者からすれば当然の反応だろう。そう思い、フランシーヌは丁寧に説明をした。
「私の体に流れる『生命の水』は、それを飲んだ生物に力を与える特別な液体なのです。半ば人間とは違う彼にも、きっと効果があると思いました」
実際、男の出血は止まりつつある。胸の傷が塞がるのは無理だろうが、それでも、確実に効果があった。
「ほう、それは便利だな。……それで、どうしてそんなことをしたのだ?」
「え?」
重ねて問われ、フランシーヌは思わず聞き返してしまった。ハカイダーは更に続けて言った。
「その男は、紛れも無く仮面ライダーだ。だが、恐らくは洗脳によって肉体の自由を奪われ、お前に襲い掛かった。そんなやつを、お前はどうして助けたのだ?」
そのように問われて、フランシーヌは初めて自分の思考の歪さに気付いた。
自分を襲った者を助けるという行為は、確かに異常だろう。
だが、彼は苦しんでいた。己の意思に反して動く体に、それ故に犯してしまったのだろう罪に深く傷付き、苦しんでいたのだ。
しかし、その苦しみの中、彼は自分の身を擲って、フランシーヌを命の危険から救ってくれた。
そして先程も、彼の体を動かしていた彼とは別の意志を阻み、フランシーヌを助け、絶叫を上げながら、その意志の根源であろう醜悪な物体を自分の意思で引き摺り出した。
そんな銀の仮面ライダーの姿を見続けて、フランシーヌは助けたいと思った。……それ以外に、理由は思い浮かばなかった。
「……分かりません。ただ、苦しんでいたこの人を、私などを助けて下さったこの人を、私も助けたいと思った。だから、助けたのです」
正直に、自分の考えをハカイダーに伝えた。すると、ハカイダーは、ニヤリ、と不敵に笑った。
「成る程。つまり、お前の心にも灯ったわけだ」
「私の、心……?」
ハカイダーの口から何気なく告げられた言葉に、フランシーヌは驚愕した。だが、そんなものは気にも留めず、ハカイダーは言葉を続けた。
「なんのためでもなく、ただ人を救うため、助けるために行動する。その原動力は正義の心に他ならない」
そう言って、ハカイダーは倒れている青年へと歩み寄った。
「流石だ、仮面ライダーよ。お前の正義が、この女にも力を与えたようだぞ」
ハカイダーは気絶している相手に、届くはずのない賞賛の言葉を贈る。ハカイダーは呆然としているフランシーヌからゼロバスターを回収すると、そのまま仁王立ちし、周囲を警戒しつつも仮面ライダーの目覚めと、次の放送を待った。
しかし、そんなハカイダーには目もくれず、フランシーヌは思考に没頭していた。
「正義の、心……。私に、心が…………?」
ハカイダーが何の気なしに口にした、ほんの些細な言葉は、しかし、フランシーヌに重大な衝撃を与えていた。
【C-6校庭/一日目・昼(放送直前)】
【ハカイダー@人造人間キカイダー】
[状態]:全身打撲。エネルギー小消耗
[装備]:スズキ・GSX750S3 KATANA@仮面ライダーSPIRITS 、ゼロバスター@ロックマンX
[道具]:ハカイダーのPDA(支給品一式)、風見志郎のPDA(支給品一式)、バタフライナイフ@現地調達(左足に収納中)
[思考・状況]
基本思考:元の世界へ帰ってキカイダーと決着をつける。
1:放送を聞いた後、D-5シャトル発射基地に行く。
2:銀の仮面ライダー(敬介)が起きたら、その状態によっては決闘を申し込む。
3:第三回放送までD-5シャトル発射基地で1号を待つ。
4:V3以外の仮面ライダーを探す。
5:村雨良の遺言を伝える。そのため、仮面ライダーに会い、破壊する。
6:参加者を全て破壊する(ただし、女子供、弱者には興味が薄い)
7:日付の変わる頃(二日目00:00)にゼロ、V3、凱と決着をつけため、スクラップ工場に再度向かう。
8:青い髪の女(ギンガ)は、次に会ったら確実に破壊する。
9:シグマを破壊する。
10:キカイダーに迫る、戦士に敬意。
※参戦時期は原作死亡後(42話「変身不能!? ハカイダー大反逆!」後)です。
※血液交換が必要のない身体に改造されています。
【フランシーヌ人形@からくりサーカス】
[状態]:全身打撲、疲労、足首負傷、ギガアタックのダメージ、右腕損失、深い悲しみ、激しい動揺
[装備]:なし
[道具]:PDA(支給品一式):未確認支給品(0~1)
[思考・状況]
基本思考:罪滅ぼしのために、主催者を倒す。
0:私に……心が…………?
1:銀の仮面ライダー(敬介)が起きるのを待つ。そして、彼と話をしたい。
2:ハカイダーを止める。
3:本郷たちと合流。
4:私は生命の水に溶けて無くなった筈では……
5:いつか、本郷やミクのような笑顔をしてみたい。
6:いずれラミアにあの歌を聞かせたい……ミクにも。
7:本郷が心配。
※原作死亡後(25巻第32幕微笑(後編))から参戦。
※コロンビーヌの姿を旧式のものだと勘違いしています。
※銀の仮面ライダー(敬介)は城茂を殺したのではないかと考えています。
闇は、晴れた。
機鎧(きかい)の海に、今は光が差し、穏やかな潮騒が響く。
――だが、努々忘れる無かれ。
その魂に咎は無くとも、その肉体に罪は有り――
それを知らしめるかのように、決して忘れさせぬかのように、機鎧の海の一部は、赤潮よりも、赤く、黒く、染まっていた。
……これは夢だ、ただの夢だ。
…………そう、夢だ。夢だけど、嘘でもない。
………………この罪。この痛み。この苦しみ。この悲しみ。
この想い、忘れはしない……ずっと。
【C-6校庭/一日目・昼(放送直前)】
【神敬介@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:胸部破損(特大)、疲労(大)、全身に大ダメージ、生命の水を摂取、強い罪悪感、深い悲しみ、気絶中
[装備]:テントロー@仮面ライダーSPIRITS(校庭に放置)
[道具]:マグネット×2、支給品一式およびPDA×6(アルレッキーノ、神 敬介、ロボ、アラレ、シュトロハイム、城茂)
スモールライト@ドラえもん(残り四回)、阿紫花の長ドス(折れた)@からくりサーカス:アルレッキーノのPDA
ぎんのいし@クロノトリガー、液体窒素入りのタンクローリー@ターミネーター2 (D-3基地に放置)
タイムストッパー@ロックマン2(メカ沢の胴体部):ロボのPDA
はちゅねミクのネギ@VOCALOID2(E-3道路に放置)メッセージ大砲@ドラえもん(E-3道路に放置)
拡声器@現実(E-3道路に放置):アラレ、及びシュトロハイムのPDA。転送可能
HARLEY-DAVIDSON:FAT BOY@ターミネーター2(城茂の死体付近):城茂のPDA
[思考・状況]
基本:仮面ライダーとして戦う。罪を償う。
0:気絶中
1:エックス……
[備考]
※阿紫花の血により回復速度が促進され、胸の出血が止まりました。他に全く影響が無いのかは、次の書き手様にお任せします。
※第一放送の内容を知りません。
※フランシーヌ人形の『生命の水』を摂取し、自己治癒力が促進されています。“しろがね”と同じようになるのか、その他の影響があるかは次の書き手様にお任せします。
ギンガは生体レーダーに目を落とし、校庭に残っている3体の動向を探った。
生体反応は2つ。このことから、カメンライダーは生存しているものと判断。しかし、重大なダメージを与えたのは確実。
だが、カメンライダーと黒いサイボーグは当初、交戦していたにも拘らず、何故か黒いサイボーグはカメンライダーの破壊を良しとしていなかった。
そのことから、恐らくはカメンライダーへの応急処置等のために、黒いサイボーグと女性型ロボットも残留していると判断。
この状態からの奇襲は、不適当。あの黒いサイボーグはカメンライダーと同等かそれ以上の力を持つAクラスの警戒対象だ。迂闊に仕掛ければ、返り討ちの可能性が高い。
ならば、ここは当初の目的を優先し、D-5の建造物を調査。その後はチンクやノーヴェと合流するべくスクラップ場を目指す。打って出るのは、他のナンバーズと合流してからの方が良い。
状況の整理を終えると、ギンガはまず脇腹の傷の処置から始めた。それを終えると、再び、D-5へ向かうべく移動を開始した。
【B-5学校付近/一日目・昼(放送直前)】
【ギンガ・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】右腕に刺し傷、脇腹から出血(手当て済み)、全身にダメージ、疲労中、魔力消費小
【装備】フットパーツ@ロックマンX、乾坤圏@封神演義
生体センサー@メタルギアソリッド、時空管理局の制服@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【道具】支給品一式×2(ギンガ、王ドラ) 天王剣@クロノトリガー(C-6校庭に放置・転送可能)
【思考・状況】
基本思考:敵(ナンバーズ以外)の破壊
1:学校を迂回しつつD-5の建造物に向かう。探索し、その後スクラップ場を目指す
2:他のナンバーズと合流
3:敵を探し、破壊する
※外壁が異常に堅いことに気づきました。
※“カメンライダー”と黒いサイボーグ(ハカイダー)をAクラスの警戒対象として認識しました
※ダッシュジャンプをマスターしました。
かくして、1人の戦士は闇を打ち払い、光を掴んだ。きっと彼は、これからその力を多くの人々を守るために、そして罪滅ぼしの為に振るうだろう。
だが、同じ呪縛を負った少女は未だ、闇の中にいる。その闇に誘われるまま、さながら闇に操られる懸糸傀儡の如く、少女は破壊を継続する。
【登場アイテム紹介】
【生命の水(アクア・ウィタエ)】
錬金術の集大成である秘薬。これを飲んだ生物は強靭な肉体と生命力を得、成長や老化が遅延され、体毛や瞳が銀色になる。また、ゾナハ病という病気の唯一無二の特効薬でもある。
同時に、この世の万物を溶かすという危険な液体でもある。それならフランシーヌ人形とか、飲もうとした人とかも溶けるんじゃ? と思うだろうが、経口嚥下による摂取なら大丈夫という公式設定がある。
溶けるものは物質だけでなく、溶けたのが人間の場合は、その人の心や記憶まで溶け込む。
今回登場した『生命の水』はフランシーヌ人形の体液。フランシーヌの心や記憶が溶けているかは不明。
*時系列順で読む
Back:[[ココロの在処]] Next:[[待ち人来らず? ならば往くのみ!!]]
*投下順で読む
Back:[[ココロの在処]] Next:[[待ち人来らず? ならば往くのみ!!]]
|112:[[ココロの在処]]|ハカイダー| |
|112:[[ココロの在処]]|フランシーヌ人形| |
|112:[[ココロの在処]]|神敬介| |
|112:[[ココロの在処]]|ギンガ・ナカジマ| |
**ココロの在処(後編) ◆9DPBcJuJ5Q
▽
予想外の事態の連続に、ギンガは困惑していた。
戦闘力など皆無に等しいと判断したロボットの、予想以上の粘り。
突如として戦闘を中断し、ロボットを庇い、その直後に何故か行動を停止した銀色のカメンライダー。これによりカメンライダーを無力化できたのは良かった。
だが、己が戦っていた相手が倒されたことに激昂し、今、自分へと襲い掛かってくる、カメンライダーと同等の力を持つ黒いサイボーグ。この存在が最たる計算外だ。
何者にも気取られぬ内にロボットを破壊し、その後は身を隠して銀と黒のサイボーグの決着を待つはずが、このような事態になってしまった。
しかし、カメンライダーとロボットの撃破は失敗したものの無力化には成功。黒いサイボーグもカメンライダーとの戦闘で消耗している。結果だけ見れば、当初の予定と大差ない。
ギンガは計算違いの展開を悔いるような無駄な思考をせず、現状の打破のみを考えた。
逃走――現状では却下。敵の機動力、戦闘スペックを鑑みるに、下手に逃走しようとすれば撃破されかねない。撤退するにしても、確実に撤退できるタイミングを見計らうべきだ。
ならば、この場で取るべき行動は、戦闘。相手が肉弾戦を得手とするのならば、自分も不得手な武器は用いず、シューティングアーツによる格闘戦を選択。
ギンガは天王剣をその場に投げ捨て、構えを取る。
その様子にハカイダーは、ピクリ、と反応を示したが、無言のまま。
先に仕掛けたのは、ハカイダーだ。真っ直ぐに突っ込んできたそれを、ギンガはダッシュジャンプによって回避した。
「なに!?」
通常のジャンプではありえない瞬発力に、ハカイダーは困惑する。だが、これが相手の能力であるならば、それをも打ち破り、破壊するまでのこと。
ギンガは空中でフットパーツの機能を用いて方向転換すると、ハカイダーに向けて乾坤圏を発射する。
猛烈な勢いで迫る乾坤圏に、ハカイダーは舌打ちをしながらバックステップで回避した。それでも、ギンガの着地の瞬間を狙って再度仕掛ける。今度はあの奇怪なジャンプにも戸惑うことはない。
ギンガは着地すると、拳に魔力を収束させ、ダッシュによって勢いをつけ、擦れ違い様、ハカイダーへとベルカ式近接魔法・ナックルバンカーを放つ。ハカイダーも同様に、憤激を込めた拳をギンガに放った。
交錯の後、ハカイダーは肩の装甲を掠められ、僅かに壊されていたことを悟ったが、動じず、ゆっくりと振り返る。
その視線の先には、脇腹を抉られ、鮮血を滴らせるギンガがいた。
「ほう……よく、かわしたな」
ハカイダーが敵へ贈る純粋な賞賛の言葉も、今は底冷えするような恐ろしさがあった。
銀の仮面ライダーは、己に巣食う悪との戦いの最中だった。自分は、言わばその立会人に過ぎなかった。なればこそ、仮面ライダーに戦いを全うさせねばならなかった……それなのに!!
目の前の女は自分達の戦いに割って入るならばいざ知らず、あろうことか力の無いフランシーヌを襲った。
戦いの場に居合わせている弱者とは、最初から人質であるか本人が己の意志で動かぬ限り、悪であっても手出しをしてはならない戦いの見届け人だ。それに手を掛けるなど、言語道断。悪の風上にも置けぬ小悪党だ。
悪を誇るが故に、ハカイダーは目の前の女を許せなかった。
……何より不意打ちというものには、苦すぎる思い出がある。
対してギンガは、今の一撃に驚愕していた。
このサイボーグのスペックは、恐らくはカメンライダーと同等のはず。にも拘らず、攻撃の鋭さは数段上だった。
その原因は、本郷猛の優しさにあった。本郷は最初から、名も知らぬギンガの更生を願い、決して殺さないようにと戦っていたのだ。
途中で本郷も、ギンガを止める為ならばと本気で戦ったが……それでも、少女の姿そのままに戦うギンガに対して、彼はどうしても全力を出せなかったのだ。
だが、ハカイダーは違う。喩え相手が女子供であろうが、それが破壊すべき相手ならば容赦なく破壊する。そこに同情などと言った感情が入る隙など一分も無い。
ハカイダーの悪魔回路に満ち溢れ、機械の身体に漲る感情は――破壊衝動と殺意、そして憤激のみ。
加えて、今の一撃の明暗を分けたのは、疲労の度合いであった。
ハカイダーは直前に仮面ライダーX……もとい、怪人Xカイゾーグと戦っていたとはいえ、途中からは本気ではあっても全力を出していなかった。加えて、Xカイゾーグが度重なる戦闘で疲労していたこと、なにより修理工場で回復していたことが大きかった。
ギンガもXカイゾーグ程ではないにせよ、連戦に次ぐ連戦で疲労していた。それは多少の休息を挟んだ程度で、自分と同格以上の存在との戦いを誤魔化せるものではなかったのだ。
ギンガの脳裏に、撤退の選択肢が強く浮かぶ。だが……どうしても、目の前の男から逃げ切れる確信が持てなかった。
初めて肌で感じる、濃密で冷淡な殺意が、戦闘機人の感覚をも震わせていた。
「来んのか?……では、いくぞ!」
怒りを湛え、殺意を迸らせながら、ハカイダーは動いた。
それを聞いて、ギンガは自分が呆けていたことに気付く。自らの失態に舌を打つ間も惜しみ、ハカイダーの蹴りを踏み込んでかわす。そのまま、膝に拳を叩き込もうとした……が。
「はぁっ!」
裂帛の気合と共にハカイダーは前蹴りの軌道を強引に変更し、ギンガの頭を刈り払うようにした。ギンガは寸前でこの脅威を察知し、しゃがみ込んで回避する。
刈り払われたハカイダーの右足が地面に着くより先に、ギンガは残った左脚を払おうとしたが、これも回避される。この隙に、体勢を整える。
「女だてらに鍛えられた見事な体術だ……が、使い手の性根が腐っていては、な」
ハカイダーは残念そうでもなく、ただ淡々と語る。戦士の戦いを穢した下衆に対する敬意など、この世に存在しないかのように。
ギンガはその言葉にも動揺せず、目の前の黒いサイボーグをAランクの警戒対象に認識し、その戦闘能力はオーバーSランクと同等と判断した。漆黒のサイボーグから放たれるプレッシャーは、時空管理局のエース・オブ・エースもかくやというほどだった。
加えて、この戦場に非殺傷設定など存在しない。敗北は即ち機能停止だけではなく、死を意味する。それでは、ナンバーズとしての任務を遂行することは不可能になってしまう。
「……貴様の実力は認めてやる。だから、これで最後だ」
宣言し、ハカイダーは構えを取る。それは、仮面ライダーZXのゼクロスキックをも正面から打ち破り、村雨良を屠った、必殺と呼ぶべき技の構えだった。
ギンガはハカイダーの言動と強さを増した殺気とプレッシャーから、次の一撃こそがこの戦いの天王山と悟り、回避と防御に専念することを選択した。生半可に反撃を狙っているようでは、この一撃を凌ぐことが出来ないと、本能のような何かが警鐘を鳴らしたのだ。
▽
「しっかり! しっかりして下さい!」
フランシーヌはハカイダーと青い髪の女性が戦いを見届けることはせず、自分を庇って動かなくなった仮面ライダーの安否を気遣った。
この銀の仮面ライダーは、自分が苦しみの中にあるにも拘らず、フランシーヌを死に物狂いで助けてくれた。その姿にフランシーヌは、エレオノールを助ける為に自動人形に立ち塞がった人々の姿を見た。
彼らのような素晴らしい人間が、自分の為に死のうとしていることが、フランシーヌには理解できなかった。
正二達が命懸けでエレオノールを守ったのは、かけがえのない大切な存在だったからだ。それなのに、この銀の仮面ライダーは見ず知らずの自分を助けて、その代償として死に瀕している。
分からない。人間の心は、やはり人形の自分には分からない。
だからこそ、分かりたい。そうすれば、人形の自分もきっと、本郷やエレオノールのように笑えて、ミクのように歌えるようになれると思うから。
そこでふと、フランシーヌは斬り落とされた自分の右腕を見た。別段、痛みや喪失感は無い。右腕の切断面からの止血の措置も終わっている。
なのに、それに興味を向けたのは、その切り口から滴る液体――『生命の水』を見るためだ。
『生命の水』は万物を溶かす危険なものでもあるが、同時に、それを飲んだ人間に強靭な生命力を与えることを、フランシーヌは『しろがね』という実例から知っていた。
フランシーヌの体内を巡る体液は、見様見真似で作った他の自動人形の擬似体液とは違い、創造主が作り上げた紛れもない、本物の『生命の水』。ならば、これを飲ませれば……
そこまで考え、フランシーヌは細腕に宿るか弱い力で、一所懸命に仮面ライダーをうつ伏せから仰向けの状態にした。そして、いざ自分の腕を握って……仮面ライダーがその名の通り仮面を被っていることを思い出した
仮面を被っているということは、当然、口元も塞がれているということだ。これでは、彼に『生命の水』を飲ませることも出来ない。
フランシーヌが己の短慮を嘆いた、その時、2つの場所で動きがあった。
1つは、ハカイダーが必殺の構えを取ったこと。
もう1つは……仮面ライダーがゆっくりと、苦しそうに起き上がり……フランシーヌの首を鷲掴みにしたのだ。
「くっ……!?」
迂闊だった。彼は、つい先程まで自分の意思に反して戦わされていたのだ。自分を助けてくれたことで、その呪縛を打ち破ったとばかり思っていたが、それは間違いだったのだ。
フランシーヌは己の間抜けさを呪い、仮面ライダー……否、怪人・Xカイゾーグはそのか細い首を圧倒的な力で握り潰…………さなかった。
Xカイゾーグの右腕はガッチリとフランシーヌの首を鷲掴みにし、今にも握りつぶさんとしている。
しかし――仮面ライダーXの左手がXカイゾーグの右手首をしっかりと握り締め、そうはさせまいとしていた。
▽
暗闇に包まれた空間の中で、2人の改造人間が対峙していた。
2人の容姿は完全に同一であり、その違いは、赤い複眼に光が灯っているか否かだ。
「また、殺すのか……暗闇よ」
――ああ、殺すとも。我らBADANの世界に、このようなワームなど必要ない。
神敬介の問いに、暗闇の意志は当然のように頷いた。それを聞いた敬介の仮面は、寸毫も変化はしない。ただ、その瞳の光が揺らぐだけだ。
「俺の目の前で、女を殺すのか……」
思い出すのは、3人の女性。
水城涼子と、水城霧子。かつての敬介の恋人と、その妹。彼女達はインターポールの捜査官としてGODに潜入して……仮面ライダーXに協力して、殺された。
そして、グレコ爺さんの息子の花嫁――ロッサ。銀の髑髏に全てを奪われ、利用された悲しい女性。敬介は、彼女の肉体を破壊することでしか、彼女を救えなかった。
その誰もが、暗闇に――BADANに奪われた、悲しい命だった。
「俺の手で、また、人を殺させるのか……」
思い出すのは、名も知らぬ3人――怪人の少女を守るために立ち塞がった、丸みを帯びたボディのロボット、赤い髪の少女、学ランを身に纏ったドラム缶のようなロボット。彼らの誰もが、大切な者を守るために戦い……散って逝った。
そして……恐らくは、悪との戦いに全てを出し尽くしたが故に倒れていた、口は悪いが気風はいい、手は掛かるが頼れる後輩だった――城茂。
暗闇の意志に操られていたとはいえ、それは紛れも無く、仮面ライダーXの肉体が為した所業だった。そうと分かっていながら、抗うことの出来なかった自分の罪だ。
それを、暗闇の意志は鼻で嗤った。
――人を、だと? 滑稽だな。貴様が手にかけた者の中に、生粋の人間などおるまいて。この女にしても、一切の血の通わぬ、古臭い木偶人形ではないか。
言われて、自らの右手の感触を確かめる。
硬く、脆い、温かさのない感触。明らかに、人間の感触ではなかった。
だが、そんなことは敬介も百も承知だった。
「彼女のどこが人形だ。先程まで襲いかかろうとしていた俺なんかを気遣ってくれる優しさを持つ彼女の、どこが人形だと言うんだ」
敬介には聞こえていた。必死に呼びかけてくれる、彼女の声が。
それに応えられなかったのは――今の自分の有様を見れば、一目瞭然だ。
「……人形は、俺の方だ。暗闇に飲まれ、その暗闇が薄らいでも尚、抵抗できず、抵抗を諦め、流されるまま、ただ死ぬことを望んでいた俺こそが……心の死んだ、人の形を真似ただけのモノだった」
仮面ライダーXの瞳に灯った光が一瞬薄らぎ、すぐに更なる輝きを放った。
「だが、今は違う。俺は……俺は!」
仮面ライダーXは暗闇を突き破るように天高く跳躍し、そして。
「俺は神敬介――仮面ライダーXだ!!」
渾身のXキックを、怪人Xカイゾーグに叩き込んだ。
――ぐぅおおおおおおおお!? お、おぉぉぉおおおのれぇぇぇぇ! 仮面ライダァァァァァァァ!!
断末魔の叫びが響き渡り、Xカイゾーグは暗闇と共に跡形も無く消え去った。
そして、暗闇を2つの光が打ち払う。
その光は、闇を切り裂き、闇に孔を穿ち、光を齎した。
その光は、稲妻の光。そして、見たこともない赤い閃光。
打ち払われ消え去ろうとしている暗闇の切れ間に、見慣れた顔と見覚えのある顔が、ちらりちらりと見え隠れする。
「そうだぜ、先輩。なんとしてでも戦い抜いてくれよ。なんせ俺達は……まだ、勝っちゃいねぇんだからな」
「神先輩。貴方は――俺達の分も戦ってください。仮面ライダーとして」
赤の映える2人の仮面の戦士はそう言って、暗闇が消え去ると、光に溶けた。
「…………ありがとう、茂。そして……10号ライダー」
後輩達からの激励に、仮面ライダーXは涙を流しながら礼を言った。
その心地良い涙に浸ることもせず、すぐに拭い取り、気を引き締める。
暗闇は執念深い。一度打ち払われた今も尚、再び甦らんとしている。
その根源は――仮面ライダーXの胸の中。そこで、暗闇が蠢いている。
「さぁ、仕上げだ」
仮面ライダーXはフランシーヌを解放すると、そのまま立ち上がり――砕かれた胸に、己の右手を突っ込んだ。
「うぅがあああああああああああああ!!」
凄まじい激痛が、敬介を襲う。
だが、自分は2度死んだのだ。今更、この程度の痛みに耐えられないはずがない!
仮面ライダーXは、自分の胸の奥深くに手を突っ込み、掻き回す。そして、己が身の内に巣食っていた異物――“暗闇の種”を引き摺りだし、握り潰した。
本来ならば、自分の力では決して為し得なかったであろう、暗闇の意志の打倒。それを神敬介が為しえた理由は幾つかある。
1つは、暗闇の種が半分になっていたこと。
1つは、この会場に暗闇大使がおらず、暗闇の種による支配力が弱まっていたこと。
そして、最たる要因は、神敬介の不撓不屈の正義の心――仮面ライダーSPIRITSとも言うべきものが、悪の戦士ハカイダーの激励によって甦ったこと。
他にも要因は、探せば幾つかあるだろう。
だが、純然たる事実は唯一つ。
仮面ライダーXは、遂に、暗闇に打ち克ったのだ。
▽
ハカイダーが仮面ライダーZXを打ち破った月面飛行蹴りを放たんとした、正にその瞬間であった。
仮面ライダーの、絶叫のような雄叫びが聞こえてきたのは。
見ると、そこは調度、銀の仮面ライダーが自分の胸の中からおぞましい異物を取り出している場面だった。フランシーヌはそれを呆然と見ていたが、ハカイダーは歓喜に打ち震えた。
甦ったか……悪を打ち破ったか! 仮面ライダーよ! それでこそ……それでこそだ!!
しかしその直後、仮面ライダーの変身は解けて人間の姿に戻ってしまった。恐らく、とうに限界を超えていたのだろう。
ハカイダーがその一部始終を見届けた、その隙に、ギンガは動いた。
ロボットやカメンライダーへのトドメは、ハカイダーからの追撃に対応できなくなる可能性が高いので放棄。この場は、撤退を選択。
ギンガは左腕の乾坤圏をカメンライダーに向けて発射した。
「ちぃ!!」
ハカイダーは予想通り、それを遮った。その隙に、ギンガはダッシュジャンプと空中ダッシュを活用して、学校から離脱した。
「尻尾を巻いて逃げ出すか! この卑怯者が!!」
全力で逃げ去っていくギンガに罵声を浴びせながら、しかし、ハカイダーはそれを追おうとはしなかった。
背中を見せて逃げる者に襲い掛かるなど、誇りに反する。そして何より、今この場に、傷付いた仮面ライダーと決闘の証であるフランシーヌを置いて行くわけにはいかない。
仮に、この直後に逃げたと見せかけて奇襲を仕掛けられようとも、あの女は接近戦を得手としている。ならば、どのように不意を討たれようとも、返り討ちにする自信はある。
……白骨ムササビの時のようなヘマは、二度としない。
学校から去っていくギンガの姿が見えなくなると、ハカイダーは踵を返して仮面ライダーとフランシーヌの下へと向かった。
▽
フランシーヌは、銀の仮面ライダーが自分の胸から何かを引きずり出し、その直後、人間の姿に戻って、再び倒れる様子を、呆然と見届けていた。
やがて、状況を理解すると、仰向けに倒れた仮面ライダーの男の容態を確認した。
はっきり言って、酷いものだった。特に、胸の傷が酷い。胸に穿たれた穴からは今も血が流れ、自動人形とは異なるパーツを露にしていた。このままでは、命の危険もあるだろう。
フランシーヌは今度こそ、男に自分の斬り落とされた腕に残っていた『生命の水』を飲ませた。これで彼の命は確実に繋がり、回復も早まるはずだ。
実際、彼の顔色は僅かだが良くなった。それを見て安堵すると、後ろから声を掛けられた。
「……自分の体液など飲ませて、何のつもりだ?」
フランシーヌの行動を理解できないのだろう、人間の姿となったハカイダーはそのように問うた。
確かに、この反応は『生命の水』を知らぬ者からすれば当然の反応だろう。そう思い、フランシーヌは丁寧に説明をした。
「私の体に流れる『生命の水』は、それを飲んだ生物に力を与える特別な液体なのです。半ば人間とは違う彼にも、きっと効果があると思いました」
実際、男の出血は止まりつつある。胸の傷が塞がるのは無理だろうが、それでも、確実に効果があった。
「ほう、それは便利だな。……それで、どうしてそんなことをしたのだ?」
「え?」
重ねて問われ、フランシーヌは思わず聞き返してしまった。ハカイダーは更に続けて言った。
「その男は、紛れも無く仮面ライダーだ。だが、恐らくは洗脳によって肉体の自由を奪われ、お前に襲い掛かった。そんなやつを、お前はどうして助けたのだ?」
そのように問われて、フランシーヌは初めて自分の思考の歪さに気付いた。
自分を襲った者を助けるという行為は、確かに異常だろう。
だが、彼は苦しんでいた。己の意思に反して動く体に、それ故に犯してしまったのだろう罪に深く傷付き、苦しんでいたのだ。
しかし、その苦しみの中、彼は自分の身を擲って、フランシーヌを命の危険から救ってくれた。
そして先程も、彼の体を動かしていた彼とは別の意志を阻み、フランシーヌを助け、絶叫を上げながら、その意志の根源であろう醜悪な物体を自分の意思で引き摺り出した。
そんな銀の仮面ライダーの姿を見続けて、フランシーヌは助けたいと思った。……それ以外に、理由は思い浮かばなかった。
「……分かりません。ただ、苦しんでいたこの人を、私などを助けて下さったこの人を、私も助けたいと思った。だから、助けたのです」
正直に、自分の考えをハカイダーに伝えた。すると、ハカイダーは、ニヤリ、と不敵に笑った。
「成る程。つまり、お前の心にも灯ったわけだ」
「私の、心……?」
ハカイダーの口から何気なく告げられた言葉に、フランシーヌは驚愕した。だが、そんなものは気にも留めず、ハカイダーは言葉を続けた。
「なんのためでもなく、ただ人を救うため、助けるために行動する。その原動力は正義の心に他ならない」
そう言って、ハカイダーは倒れている青年へと歩み寄った。
「流石だ、仮面ライダーよ。お前の正義が、この女にも力を与えたようだぞ」
ハカイダーは気絶している相手に、届くはずのない賞賛の言葉を贈る。ハカイダーは呆然としているフランシーヌからゼロバスターを回収すると、そのまま仁王立ちし、周囲を警戒しつつも仮面ライダーの目覚めと、次の放送を待った。
しかし、そんなハカイダーには目もくれず、フランシーヌは思考に没頭していた。
「正義の、心……。私に、心が…………?」
ハカイダーが何の気なしに口にした、ほんの些細な言葉は、しかし、フランシーヌに重大な衝撃を与えていた。
【C-6校庭/一日目・昼(放送直前)】
【ハカイダー@人造人間キカイダー】
[状態]:全身打撲。エネルギー小消耗
[装備]:スズキ・GSX750S3 KATANA@仮面ライダーSPIRITS 、ゼロバスター@ロックマンX
[道具]:ハカイダーのPDA(支給品一式)、風見志郎のPDA(支給品一式)、バタフライナイフ@現地調達(左足に収納中)
[思考・状況]
基本思考:元の世界へ帰ってキカイダーと決着をつける。
1:放送を聞いた後、D-5シャトル発射基地に行く。
2:銀の仮面ライダー(敬介)が起きたら、その状態によっては決闘を申し込む。
3:第三回放送までD-5シャトル発射基地で1号を待つ。
4:V3以外の仮面ライダーを探す。
5:村雨良の遺言を伝える。そのため、仮面ライダーに会い、破壊する。
6:参加者を全て破壊する(ただし、女子供、弱者には興味が薄い)
7:日付の変わる頃(二日目00:00)にゼロ、V3、凱と決着をつけため、スクラップ工場に再度向かう。
8:青い髪の女(ギンガ)は、次に会ったら確実に破壊する。
9:シグマを破壊する。
10:キカイダーに迫る、戦士に敬意。
※参戦時期は原作死亡後(42話「変身不能!? ハカイダー大反逆!」後)です。
※血液交換が必要のない身体に改造されています。
【フランシーヌ人形@からくりサーカス】
[状態]:全身打撲、疲労、足首負傷、ギガアタックのダメージ、右腕損失、深い悲しみ、激しい動揺
[装備]:なし
[道具]:PDA(支給品一式):未確認支給品(0~1)
[思考・状況]
基本思考:罪滅ぼしのために、主催者を倒す。
0:私に……心が…………?
1:銀の仮面ライダー(敬介)が起きるのを待つ。そして、彼と話をしたい。
2:ハカイダーを止める。
3:本郷たちと合流。
4:私は生命の水に溶けて無くなった筈では……
5:いつか、本郷やミクのような笑顔をしてみたい。
6:いずれラミアにあの歌を聞かせたい……ミクにも。
7:本郷が心配。
※原作死亡後(25巻第32幕微笑(後編))から参戦。
※コロンビーヌの姿を旧式のものだと勘違いしています。
※銀の仮面ライダー(敬介)は城茂を殺したのではないかと考えています。
闇は、晴れた。
機鎧(きかい)の海に、今は光が差し、穏やかな潮騒が響く。
――だが、努々忘れる無かれ。
その魂に咎は無くとも、その肉体に罪は有り――
それを知らしめるかのように、決して忘れさせぬかのように、機鎧の海の一部は、赤潮よりも、赤く、黒く、染まっていた。
……これは夢だ、ただの夢だ。
…………そう、夢だ。夢だけど、嘘でもない。
………………この罪。この痛み。この苦しみ。この悲しみ。
この想い、忘れはしない……ずっと。
【C-6校庭/一日目・昼(放送直前)】
【神敬介@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:胸部破損(特大)、疲労(大)、全身に大ダメージ、生命の水を摂取、強い罪悪感、深い悲しみ、気絶中
[装備]:テントロー@仮面ライダーSPIRITS(校庭に放置)
[道具]:マグネット×2、支給品一式およびPDA×6(アルレッキーノ、神 敬介、ロボ、アラレ、シュトロハイム、城茂)
スモールライト@ドラえもん(残り四回)、阿紫花の長ドス(折れた)@からくりサーカス:アルレッキーノのPDA
ぎんのいし@クロノトリガー、液体窒素入りのタンクローリー@ターミネーター2 (D-3基地に放置)
タイムストッパー@ロックマン2(メカ沢の胴体部):ロボのPDA
はちゅねミクのネギ@VOCALOID2(E-3道路に放置)メッセージ大砲@ドラえもん(E-3道路に放置)
拡声器@現実(E-3道路に放置):アラレ、及びシュトロハイムのPDA。転送可能
HARLEY-DAVIDSON:FAT BOY@ターミネーター2(城茂の死体付近):城茂のPDA
[思考・状況]
基本:仮面ライダーとして戦う。罪を償う。
0:気絶中
1:エックス……
[備考]
※阿紫花の血により回復速度が促進され、胸の出血が止まりました。他に全く影響が無いのかは、次の書き手様にお任せします。
※第一放送の内容を知りません。
※フランシーヌ人形の『生命の水』を摂取し、自己治癒力が促進されています。“しろがね”と同じようになるのか、その他の影響があるかは次の書き手様にお任せします。
ギンガは生体レーダーに目を落とし、校庭に残っている3体の動向を探った。
生体反応は2つ。このことから、カメンライダーは生存しているものと判断。しかし、重大なダメージを与えたのは確実。
だが、カメンライダーと黒いサイボーグは当初、交戦していたにも拘らず、何故か黒いサイボーグはカメンライダーの破壊を良しとしていなかった。
そのことから、恐らくはカメンライダーへの応急処置等のために、黒いサイボーグと女性型ロボットも残留していると判断。
この状態からの奇襲は、不適当。あの黒いサイボーグはカメンライダーと同等かそれ以上の力を持つAクラスの警戒対象だ。迂闊に仕掛ければ、返り討ちの可能性が高い。
ならば、ここは当初の目的を優先し、D-5の建造物を調査。その後はチンクやノーヴェと合流するべくスクラップ場を目指す。打って出るのは、他のナンバーズと合流してからの方が良い。
状況の整理を終えると、ギンガはまず脇腹の傷の処置から始めた。それを終えると、再び、D-5へ向かうべく移動を開始した。
【B-5学校付近/一日目・昼(放送直前)】
【ギンガ・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】右腕に刺し傷、脇腹から出血(手当て済み)、全身にダメージ、疲労中、魔力消費小
【装備】フットパーツ@ロックマンX、乾坤圏@封神演義
生体センサー@メタルギアソリッド、時空管理局の制服@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【道具】支給品一式×2(ギンガ、王ドラ) 天王剣@クロノトリガー(C-6校庭に放置・転送可能)
【思考・状況】
基本思考:敵(ナンバーズ以外)の破壊
1:学校を迂回しつつD-5の建造物に向かう。探索し、その後スクラップ場を目指す
2:他のナンバーズと合流
3:敵を探し、破壊する
※外壁が異常に堅いことに気づきました。
※“カメンライダー”と黒いサイボーグ(ハカイダー)をAクラスの警戒対象として認識しました
※ダッシュジャンプをマスターしました。
かくして、1人の戦士は闇を打ち払い、光を掴んだ。きっと彼は、これからその力を多くの人々を守るために、そして罪滅ぼしの為に振るうだろう。
だが、同じ呪縛を負った少女は未だ、闇の中にいる。その闇に誘われるまま、さながら闇に操られる懸糸傀儡の如く、少女は破壊を継続する。
【登場アイテム紹介】
【生命の水(アクア・ウィタエ)】
錬金術の集大成である秘薬。これを飲んだ生物は強靭な肉体と生命力を得、成長や老化が遅延され、体毛や瞳が銀色になる。また、ゾナハ病という病気の唯一無二の特効薬でもある。
同時に、この世の万物を溶かすという危険な液体でもある。それならフランシーヌ人形とか、飲もうとした人とかも溶けるんじゃ? と思うだろうが、経口嚥下による摂取なら大丈夫という公式設定がある。
溶けるものは物質だけでなく、溶けたのが人間の場合は、その人の心や記憶まで溶け込む。
今回登場した『生命の水』はフランシーヌ人形の体液。フランシーヌの心や記憶が溶けているかは不明。
*時系列順で読む
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*投下順で読む
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|112:[[ココロの在処]]|ハカイダー|118:[[贖罪のススメ]]|
|112:[[ココロの在処]]|フランシーヌ人形|118:[[贖罪のススメ]]|
|112:[[ココロの在処]]|神敬介|118:[[贖罪のススメ]]|
|112:[[ココロの在処]]|ギンガ・ナカジマ|123:[[それは些細なすれ違い]]|
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