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「飛びます、飛べます、飛ばします0」(2009/02/26 (木) 13:08:05) の最新版変更点
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**飛びます、飛べます、飛ばします ◆2Y1mqYSsQ.
「ビーストモードア~ンドビークルモード!」
メタルボディのティラノサウルスが叫び、背中に金髪の少女を乗せて背部の飛行ユニットを起動させた。
勢いよく地面から離れ、ぐんぐんと高度を上げていく。コロニーの天井にぶつからないように気にしながらも、背中の少女へと恐竜は話しかけた。
「ほ~ら、見てよ! コロンちゃん! 俺様の華麗な飛行を!」
「言われなくても見ているわ……背中に乗っているから見ないといけないんだけど」
コロンビーヌの金の髪が後ろに流れ、妖艶な表情でため息をついた。自慢の金髪はところどころ焦げている。
コロンビーヌが出会った時点のメガトロンは、飛行能力も輝くメタルボディでもなかったのだ。
なのに、彼女は今メタルボディの恐竜に変身したメガトロンの背中に乗って、風を感じている。
なぜこうなったのかは、放送直後まで遡る。
□
「禁止エリアねぇ……」
「これで一つのコロニーに一つの禁止エリアがあるってわけか……」
高速道路のトンネル内部のような通路を、コロンビーヌとメガトロンは二回目の放送を聞きながら進んでいた。
メガトロンは念のため周囲を見回す。襲撃を受ける様子はないようだ。
破壊大帝メガトロンは慎重な性格なのだ。ちょっと調子に乗りやすいのが玉に傷だが。
それはともかく、残り半分とは幸先がいい。予想以上に壊しあいは順調のようだ。
メガトロンがそう考えていると、コロンビーヌは渋面を作ってPDAを見つめていた。
放送に何かしら不利になる点があったのだろうか? メガトロンはコロンビーヌに直接尋ねることにした。
「コロンちゃん、どうした? 難しい顔をして」
「……死にすぎなのよ」
「人数が減って楽できていいじゃん」
メガトロンの答えに、コロンビーヌは不満を示した。やばいことを言ったか? とメガトロンは焦りながらコロンビーヌに必死で言い訳をする。
組んでいる自分が無能だと思われて、コンビを解消されては今後の戦いが面倒なのだ。
「いや、コロンちゃんがしかめっ面するのもわかるよ?」
「へぇ。じゃあ何で私は、死にすぎが問題といっているのか、答えてみせてぇ」
やけに可愛らしい仕草でコロンビーヌが尋ねてくるが、これは馬鹿にされているな、とメガトロンは思った。
悔しいのと、馬鹿と思われるのは嫌なのでズバリ答える。
「あれっしょ? 壊しあいに乗っている奴が数が多くても、強すぎる奴がいても最終的に優勝にたどり着くには障害となるから、死に過ぎってのはまずいって思ったんだろう?
死んでいる奴がたくさんいるってことは、めちゃくちゃ強い奴がいるか、壊しあいに乗っている奴が多いのか、その両方かだからな」
「……正解よ。厄介なことねー」
「まあ、俺様はその辺は心配していないけどな。正義の味方は俺様が見る限り多いみたいだし、どちらもぶつかって消耗していくだろうしな。
いま修理工場は正義の味方が占領しているから、強い殺戮者も回復は難しいって。つまり、メガちゃんとコロンちゃんの黄金タッグの前には敵はなーい!!」
「そううまく、ことが運べばいいんだけどね」
コロンビーヌの返答は厳しかったが、声色に険が取れている。どうにかしばらくは手を組めるとメガトロンはホッと胸をなでおろした。
漫才のようなやり取りと、腹の探り合いをしている二人は先を進む。
「なあ、コロンちゃん。あれ見える?」
「見えなければ眼科に行ったほうがよくて?」
「どこに眼科があるのぉ!?」
「……ツッコミそっち?」
いや、先に進もうとした二人の視界に、奇妙な丸い機械が入った。
「分からないものはIDを読み込ませる。説明文が出るからなぁ。メガちゃんナイスアイディア!」
「悪くない判断ねぇ……で、なんて書かれているかしら?」
「エイリアンの小型装置……クオンタムサージと同様の効果を得て、トランスメタルスを引き起こす。……なるほどなるほど」
「どういうこと?」
「まあ、素敵なメガちゃんがさらにパワーアップってことか? ここには他にサイバトロンの連中も、デストロンの部下たちもいないしな」
「へー、なら使いなさいよ」
コロンビーヌが冷たく言い放つと、メガトロンは視線を向けてきた。
表情は特に変わっていない。顔に感情が表れやすいメガトロンにしては珍しい。
「何か問題があるかしら?」
「いやー、使うのはいいんだけど、もし無防備になってその間に攻撃受けるか心配で……」
「その間くらい私が何とかするわよ」
「そ、そう? じゃ、お言葉に甘えて!」
メガトロンがさっさとトランスメタル・ドライバーを発動させようと行動をする。
コロンビーヌはそれを見つめて、ため息を吐いた。強い相手が殺戮者でも困る、といったのは事実であり、メガトロンも対象だ。
メガトロンは馬鹿ではない。その上今以上の力を手に入れては、今後邪魔になるのではないか。
懸念が持ち上がるが、今以上の戦力は必要だ。コロンビーヌはそっと、勝の名前を呟く。
(待っていてね。優勝して人間となって、失恋した勝ちゃんを慰めに行くから……)
そのため、コロンビーヌは勝たねばならない。愛ゆえに。
(さあて、どう起動させたものか)
トランスメタル・ドライバーを手に入れたメガトロンの疑問は、その一点に尽きた。
だからこそ、コロンビーヌが起動させろ、といった時にどもったのである。
本来なら、オーガニック・トランスメタル・ユニットに取り付けられる装置である。そのままでは機動できないのだ。
しかし、トランスメタル・ドライバーは単体で作動したことがある。
ブラックウィドーが死んだとき、前触れもなく動いてメタルス2へと進化させた。
その事実をメガトロンが知るよしもないのだが。
「トランスメタル・ドライバーちゃ~ん、起動してくださーい! 出ないとおじちゃんが悪戯しちゃうよ~ん」
「もしかして……起動の仕方がわからないの?」
「ギクッ!」
メガトロンが声に出して動揺し、思わず叩いてしまう。
打ち所が悪かったの良かったのか、突如、トランスメタル・ドライバー沈黙を破って震えだした。
あ、と声を出すと、トランスメタル・ドライバーから光が放たれ、メガトロンへと送られた。
「そんなに悪戯されるのが嫌だったのか。って、なに? これ結構痛い……お、おぉぉぉぉおおおぉぉぉぉぉぉ!?」
未来でクオンタムサージがメガトロンに照射されたときと同じように、トランスメタルへと生まれ変わろうとする。
光の本流が通路にて行なわれ、エネルギーの高まりが頂点へと達した。
「え? もしかしてこれって……爆発するの?」
コロンビーヌの呟きの一瞬のち、メガトロンは爆発音を耳にする。
爆煙が通路から勢いよく噴出し、通路周囲を汚した。
爆発が収まり、粉塵が舞い上がる中、巨躯がのっそりと立ち上がる。
人型のシルエットを持つその存在は周囲を見回し、両手を見つめて満足気に頷く。
ティラノサウルスの頭部を模した右手は、レーザーライフルの機能を持つ尾へと変わっている。
ビーストモード時の頭部は胸部へと収まるよう、変形構造が変わっていた。紫色に茶色のアーマーが施された、メタルボディの姿。
メガトロンは己がさらに進化したことを実感する。自然と笑い声が漏れた。
「フッフッフ……この俺様でも爆発するのは意外だったが、コンボイたちに先駆けてパワーアップ!
見よ、このメタルスボディ! 視聴者の悪い子のお友達ぃ~! カッコイイメガちゃん誕じょ……」
「爆発するならするって言いなさいよ!」
死角から現れたコロンビーヌは、胸を反らしてカメラ目線のメガトロンへと、グラーフアイゼンを思いっきり叩き込んだ。
鈍い音が周囲に響き、メガトロンが痛みでうずくまるが、コロンビーヌは冷ややかな視線を向けている。
爆発に巻き込んだのがやはりまずかったらしい。当然であるが。
「し、舌噛んだー!!」
「ねぇ、メガちゃ~ん。勝ちゃんに会うまで綺麗に整えていた髪を、今焼け焦げにされたんだけど……どうしてくれようかしらぁ~?」
「ちょ、ちょっとコロンちゃん。落ち着いて」
「落ち着く~? 充分落ち着いているわよぉ~。ねえ、メガちゃん。首を絞めるのと頭殴られるの、どっちが好き? リクエストを聞いてあげる。私ってやさしいぃ~」
「撲殺天使コロンちゃん……って言っている場合じゃねえ! ま、まあ落ち着いてくれ! 俺様が素敵な空の旅をプレゼントするから!」
メガトロンの必死の交渉も虚しく、コロンビーヌの手のハンマーが顔面とぶち込まれた。
それから数分は撲殺音が響いたが、幸いにもそれに気づく者はいない。メガトロンにとっては、不幸なことだった。
□
予定していた時間よりも早く、F-5エリアの軍事基地へとメガトロンたちはたどり着いた。
メタルス化してビークルモードが追加されたことにより、移動速度が大幅に上がったのだ。
これは重宝する。メガトロンは空を飛べなかったことが悔しかったのか、ご機嫌に飛んでいた。
もっとも、頭に大きなたんこぶがいくつも出来ていたのだが。
「まあ、とりあえずこの中を探索しましょう。茶々丸の言っていることが正しかったら、分割ファイルが見つかるはずだし」
「OK~ぃ。変身!」
メガトロンがロボットモードへと変形をする。細かい作業はそっちの方が得意とのことだ。
ふと、気づいたようにコロンビーヌはメガトロンへと向く。
「メガちゃん、先に行ってくれる?」
「いいけど、なんで?」
「ここに敵が潜んでいるかもしれないでしょ? 盾になってくれないかしらあ~? ねえ、メガちゃんはか弱い私を守ってくれるわよねぇ?」
メガちゃん、の発音に冷たい殺気を乗せて、コロンビーヌが『お願い』をする。
メガトロンがガクガク壊れたブリキ玩具のように頷き、先行するのを確認してコロンビーヌも歩みを進めた。
コロンビーヌは目の前のパソコンのファイルを探すが、分割ファイルと思わしき物はなかった。
さほど期待はしていなかったとはいえ、収穫がないことに苛立つ。メガトロンの方も何も得れなかったようだ。
茶々丸の情報が正しいのか、疑わしく思ってきた頃にメガトロンのだみ声がコロンビーヌの耳朶を打つ。
「なあ、コロンちゃん。このシャトルって何台もあるのかな?」
「私が茶々丸と出発した頃、適当なの一台使ったけど、十台以上はあったわねぇ。探したらもっとあるんじゃない?」
「ほう、それはいいことを聞いた……」
メガトロンがクックック、と低く含み笑いを漏らす。
悪巧みを思いついたような態度に、コロンビーヌは興味を持った。
「何を考えているのよ?」
「聞きたいか? この天才メガトロン様の会心のアイディアを聞きた……ごめんなさい。すぐに教えますからハンマー向けないで」
コロンビーヌは苛立たしげにグラーフアイゼンを降ろし、顎で続きを促す。
メガトロンは悪そうな笑顔のまま、話を続けた。
「コロンちゃん。このシャトルの説明を読んで思いついたんだが……目的地の設定をいじれるように改造しようぜ」
「出来るの?」
「まあ、やれんこともない。シャトル一台のコンピューターをがめてから、敵を減らしながら解析すればいい。その辺は任せてくれ」
「それで、目的地を変更できるようにしたらどうするのかしら?」
「シャトルを……ミサイル代わりに使う!」
メガトロンの答えに、コロンビーヌは一瞬呆ける。いずれシャトルで地図の真ん中に存在する要塞へと向かわねばならないだろう、とは考えていた。
それをミサイル代わりに使う、なんていう発想は素直に柔軟だと感心する。
「けど、私の目的は……」
「ああ、わかっている。優勝の褒美をかなえる方法は、シグマが握っている。シャトルであの要塞を攻撃して、俺たちで主催者になろうじゃないか!
そうやって願いの叶える方法を奪って二人で山分け、って寸法よ。そうだ、コロンちゃん。正義の味方連中を乗せたシャトルをミサイルにすれば、一石二鳥じゃないか!」
「なるほど……悪くわないわねぇ」
優勝しても願いを叶えてくれるかどうか、保証のないシグマを信頼するよりも、主催の地位を奪い取るほうが現実的だ。
なにより、目の前のメガトロンとも敵対せず最後まで組むことも出来る。
美味しい話だ。コロンビーヌは妖艶に微笑む。
「乗ったわ」
「そう来なくてはな。じゃあ、とりあえず分割ファイルとやらを探しに行くか!」
「そうねえ、茶々丸が見つけた基地に行きましょう。そこなら確実にあるしね」
ニヤリ、と二人は微笑みあう。次の目的地が決まり、シャトルへと乗り込んだ。
途中、メガトロンはシャトル数台の内、一つ制御コンピューターをもぎ取った。
解析を進め、シグマを出し抜く算段をコロンビーヌとともにたてる。
元々シグマを信用できる者などいない。褒美を目指す二人なら、特に。
だからこそ、二人はシグマに成り代わる道を選択した。悪の花道は飼いならされるところにあらず。
犬は飼いならせるが、二人の悪党を従わせることは出来なかった。
【F-5 基地/一日目 日中】
【コロンビーヌ@からくりサーカス】
[状態]:健康
[装備]:グラーフアイゼン(ハンマーフォルム)@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:基本支給品一式×2、PDA(コロンビーヌ(通信機能付き)、パンタローネ、絡繰茶々丸(分割ファイル一つ))
不明支給品1~5個(確認済み1~5(銃はない)) 、 スタングレネード(3/3)
床屋セット(鋏、櫛、鏡) 開天珠@封神演義 たずね人ステッキ@ドラえもん 、アカネハウス11号@パワプロクンポケット8
補給装置@スーパーロボット大戦OG(4/5)、PDAの通信機能付加ソフト、タブバイク@ゼノサーガシリーズ
[思考]
基本:優勝者の報酬を奪い、勝の下へ戻る
1:シャトルをミサイル代わりに使い、シグマから主催の地位を奪う。
2:メガトロンと共闘。メガトロンの性根を知るものに会えば、騙されているふりをする。
3:アルレッキーノと協力出来るようなら協力する。
4:やっぱり人間は殺せない。人形は壊す。お人形みたいな人間も壊す。
5:もし結果的にアルレッキーのと自分が生き残った場合、自分を優勝させてもらうように懇願する。
[備考]
※参戦時期は死亡後です(原作40巻)
※フランシーヌ人形はサハラ編時の偽者だと確信しています
※全てのゾナハ蟲(コロンビーヌらが吐き出すものも)には以下の制限が掛かっています。
また会場の全域には十分なゾナハ蟲が漂っています。
1:外部には一切の害はありません(ゾナハ病の感染や機械類のダメージなど)
2:コロンビーヌが自分の武器として使用するのには問題なく使用できます
※タブバイクは飛行できません、他にも色々制限されています
※補給装置@スーパーロボット大戦OGは制限により、五回のみ補給が可能です
※二エリア以内なら、メガトロンのPDAと通信が可能です。
【メタルスメガトロン@ビーストウォーズメタルス】
[状態]:全身打撲、ダメージ中程度、エネルギー(96%)、弾薬(96%)、疲労小
[装備]:ハイパージャマー@スーパーロボット大戦OG
[道具]:PDA(メガトロン(通信機能付き))、草薙素子のスペア義体@攻殻機動隊S.A.C、ランダム支給品0~1(確認済)
シャトルの制御コンピューター。
[思考・状況]
基本思考:優勝者の報酬を奪い、サイバトロンの抹殺。シグマも倒す。
1:コロンビーヌと共闘。
2:シャトルの制御コンピューターの解析。
3:シャトルをミサイル代わりに使い、シグマから主催の地位を奪う。
4:参加者を減らす、自身による直接戦闘はしばらく避ける。しかし己の正体を知る者を殺せる状況なら、別。
5:チンク達へいつか復讐する
6:二度とハカイダー、仮面ライダーV3、凱に会いたくない。逃げる。
7:D-5の基地へ。分割ファイルを得る。
[備考]
※二エリア以内なら、コロンビーヌのPDAと通信が可能です。
*時系列順で読む
Back:[[それは些細なすれ違い]] Next:[[戦っちゃいますか?]]
*投下順で読む
Back:[[それは些細なすれ違い]] Next:[[戦っちゃいますか?]]
|109:[[↓↓ ↑ →]]|コロンビーヌ|126:[[このまま前へ進むのみ]]|
|109:[[↓↓ ↑ →]]|メガトロン|126:[[このまま前へ進むのみ]]|
**飛びます、飛べます、飛ばします ◆2Y1mqYSsQ.
「ビーストモードア~ンドビークルモード!」
メタルボディのティラノサウルスが叫び、背中に金髪の少女を乗せて背部の飛行ユニットを起動させた。
勢いよく地面から離れ、ぐんぐんと高度を上げていく。コロニーの天井にぶつからないように気にしながらも、背中の少女へと恐竜は話しかけた。
「ほ~ら、見てよ! コロンちゃん! 俺様の華麗な飛行を!」
「言われなくても見ているわ……背中に乗っているから見ないといけないんだけど」
コロンビーヌの金の髪が後ろに流れ、妖艶な表情でため息をついた。自慢の金髪はところどころ焦げている。
コロンビーヌが出会った時点のメガトロンは、飛行能力も輝くメタルボディでもなかったのだ。
なのに、彼女は今メタルボディの恐竜に変身したメガトロンの背中に乗って、風を感じている。
なぜこうなったのかは、放送直後まで遡る。
□
「禁止エリアねぇ……」
「これで一つのコロニーに一つの禁止エリアがあるってわけか……」
高速道路のトンネル内部のような通路を、コロンビーヌとメガトロンは二回目の放送を聞きながら進んでいた。
メガトロンは念のため周囲を見回す。襲撃を受ける様子はないようだ。
破壊大帝メガトロンは慎重な性格なのだ。ちょっと調子に乗りやすいのが玉に傷だが。
それはともかく、残り半分とは幸先がいい。予想以上に壊しあいは順調のようだ。
メガトロンがそう考えていると、コロンビーヌは渋面を作ってPDAを見つめていた。
放送に何かしら不利になる点があったのだろうか? メガトロンはコロンビーヌに直接尋ねることにした。
「コロンちゃん、どうした? 難しい顔をして」
「……死にすぎなのよ」
「人数が減って楽できていいじゃん」
メガトロンの答えに、コロンビーヌは不満を示した。やばいことを言ったか? とメガトロンは焦りながらコロンビーヌに必死で言い訳をする。
組んでいる自分が無能だと思われて、コンビを解消されては今後の戦いが面倒なのだ。
「いや、コロンちゃんがしかめっ面するのもわかるよ?」
「へぇ。じゃあ何で私は、死にすぎが問題といっているのか、答えてみせてぇ」
やけに可愛らしい仕草でコロンビーヌが尋ねてくるが、これは馬鹿にされているな、とメガトロンは思った。
悔しいのと、馬鹿と思われるのは嫌なのでズバリ答える。
「あれっしょ? 壊しあいに乗っている奴が数が多くても、強すぎる奴がいても最終的に優勝にたどり着くには障害となるから、死に過ぎってのはまずいって思ったんだろう?
死んでいる奴がたくさんいるってことは、めちゃくちゃ強い奴がいるか、壊しあいに乗っている奴が多いのか、その両方かだからな」
「……正解よ。厄介なことねー」
「まあ、俺様はその辺は心配していないけどな。正義の味方は俺様が見る限り多いみたいだし、どちらもぶつかって消耗していくだろうしな。
いま修理工場は正義の味方が占領しているから、強い殺戮者も回復は難しいって。つまり、メガちゃんとコロンちゃんの黄金タッグの前には敵はなーい!!」
「そううまく、ことが運べばいいんだけどね」
コロンビーヌの返答は厳しかったが、声色に険が取れている。どうにかしばらくは手を組めるとメガトロンはホッと胸をなでおろした。
漫才のようなやり取りと、腹の探り合いをしている二人は先を進む。
「なあ、コロンちゃん。あれ見える?」
「見えなければ眼科に行ったほうがよくて?」
「どこに眼科があるのぉ!?」
「……ツッコミそっち?」
いや、先に進もうとした二人の視界に、奇妙な丸い機械が入った。
「分からないものはIDを読み込ませる。説明文が出るからなぁ。メガちゃんナイスアイディア!」
「悪くない判断ねぇ……で、なんて書かれているかしら?」
「エイリアンの小型装置……クオンタムサージと同様の効果を得て、トランスメタルスを引き起こす。……なるほどなるほど」
「どういうこと?」
「まあ、素敵なメガちゃんがさらにパワーアップってことか? ここには他にサイバトロンの連中も、デストロンの部下たちもいないしな」
「へー、なら使いなさいよ」
コロンビーヌが冷たく言い放つと、メガトロンは視線を向けてきた。
表情は特に変わっていない。顔に感情が表れやすいメガトロンにしては珍しい。
「何か問題があるかしら?」
「いやー、使うのはいいんだけど、もし無防備になってその間に攻撃受けるか心配で……」
「その間くらい私が何とかするわよ」
「そ、そう? じゃ、お言葉に甘えて!」
メガトロンがさっさとトランスメタル・ドライバーを発動させようと行動をする。
コロンビーヌはそれを見つめて、ため息を吐いた。強い相手が殺戮者でも困る、といったのは事実であり、メガトロンも対象だ。
メガトロンは馬鹿ではない。その上今以上の力を手に入れては、今後邪魔になるのではないか。
懸念が持ち上がるが、今以上の戦力は必要だ。コロンビーヌはそっと、勝の名前を呟く。
(待っていてね。優勝して人間となって、失恋した勝ちゃんを慰めに行くから……)
そのため、コロンビーヌは勝たねばならない。愛ゆえに。
(さあて、どう起動させたものか)
トランスメタル・ドライバーを手に入れたメガトロンの疑問は、その一点に尽きた。
だからこそ、コロンビーヌが起動させろ、といった時にどもったのである。
本来なら、オーガニック・トランスメタル・ユニットに取り付けられる装置である。そのままでは機動できないのだ。
しかし、トランスメタル・ドライバーは単体で作動したことがある。
ブラックウィドーが死んだとき、前触れもなく動いてメタルス2へと進化させた。
その事実をメガトロンが知るよしもないのだが。
「トランスメタル・ドライバーちゃ~ん、起動してくださーい! 出ないとおじちゃんが悪戯しちゃうよ~ん」
「もしかして……起動の仕方がわからないの?」
「ギクッ!」
メガトロンが声に出して動揺し、思わず叩いてしまう。
打ち所が悪かったの良かったのか、突如、トランスメタル・ドライバー沈黙を破って震えだした。
あ、と声を出すと、トランスメタル・ドライバーから光が放たれ、メガトロンへと送られた。
「そんなに悪戯されるのが嫌だったのか。って、なに? これ結構痛い……お、おぉぉぉぉおおおぉぉぉぉぉぉ!?」
未来でクオンタムサージがメガトロンに照射されたときと同じように、トランスメタルへと生まれ変わろうとする。
光の本流が通路にて行なわれ、エネルギーの高まりが頂点へと達した。
「え? もしかしてこれって……爆発するの?」
コロンビーヌの呟きの一瞬のち、メガトロンは爆発音を耳にする。
爆煙が通路から勢いよく噴出し、通路周囲を汚した。
爆発が収まり、粉塵が舞い上がる中、巨躯がのっそりと立ち上がる。
人型のシルエットを持つその存在は周囲を見回し、両手を見つめて満足気に頷く。
ティラノサウルスの頭部を模した右手は、レーザーライフルの機能を持つ尾へと変わっている。
ビーストモード時の頭部は胸部へと収まるよう、変形構造が変わっていた。紫色に茶色のアーマーが施された、メタルボディの姿。
メガトロンは己がさらに進化したことを実感する。自然と笑い声が漏れた。
「フッフッフ……この俺様でも爆発するのは意外だったが、コンボイたちに先駆けてパワーアップ!
見よ、このメタルスボディ! 視聴者の悪い子のお友達ぃ~! カッコイイメガちゃん誕じょ……」
「爆発するならするって言いなさいよ!」
死角から現れたコロンビーヌは、胸を反らしてカメラ目線のメガトロンへと、グラーフアイゼンを思いっきり叩き込んだ。
鈍い音が周囲に響き、メガトロンが痛みでうずくまるが、コロンビーヌは冷ややかな視線を向けている。
爆発に巻き込んだのがやはりまずかったらしい。当然であるが。
「し、舌噛んだー!!」
「ねぇ、メガちゃ~ん。勝ちゃんに会うまで綺麗に整えていた髪を、今焼け焦げにされたんだけど……どうしてくれようかしらぁ~?」
「ちょ、ちょっとコロンちゃん。落ち着いて」
「落ち着く~? 充分落ち着いているわよぉ~。ねえ、メガちゃん。首を絞めるのと頭殴られるの、どっちが好き? リクエストを聞いてあげる。私ってやさしいぃ~」
「撲殺天使コロンちゃん……って言っている場合じゃねえ! ま、まあ落ち着いてくれ! 俺様が素敵な空の旅をプレゼントするから!」
メガトロンの必死の交渉も虚しく、コロンビーヌの手のハンマーが顔面とぶち込まれた。
それから数分は撲殺音が響いたが、幸いにもそれに気づく者はいない。メガトロンにとっては、不幸なことだった。
□
予定していた時間よりも早く、F-5エリアの軍事基地へとメガトロンたちはたどり着いた。
メタルス化してビークルモードが追加されたことにより、移動速度が大幅に上がったのだ。
これは重宝する。メガトロンは空を飛べなかったことが悔しかったのか、ご機嫌に飛んでいた。
もっとも、頭に大きなたんこぶがいくつも出来ていたのだが。
「まあ、とりあえずこの中を探索しましょう。茶々丸の言っていることが正しかったら、分割ファイルが見つかるはずだし」
「OK~ぃ。変身!」
メガトロンがロボットモードへと変形をする。細かい作業はそっちの方が得意とのことだ。
ふと、気づいたようにコロンビーヌはメガトロンへと向く。
「メガちゃん、先に行ってくれる?」
「いいけど、なんで?」
「ここに敵が潜んでいるかもしれないでしょ? 盾になってくれないかしらあ~? ねえ、メガちゃんはか弱い私を守ってくれるわよねぇ?」
メガちゃん、の発音に冷たい殺気を乗せて、コロンビーヌが『お願い』をする。
メガトロンがガクガク壊れたブリキ玩具のように頷き、先行するのを確認してコロンビーヌも歩みを進めた。
コロンビーヌは目の前のパソコンのファイルを探すが、分割ファイルと思わしき物はなかった。
さほど期待はしていなかったとはいえ、収穫がないことに苛立つ。メガトロンの方も何も得れなかったようだ。
茶々丸の情報が正しいのか、疑わしく思ってきた頃にメガトロンのだみ声がコロンビーヌの耳朶を打つ。
「なあ、コロンちゃん。このシャトルって何台もあるのかな?」
「私が茶々丸と出発した頃、適当なの一台使ったけど、十台以上はあったわねぇ。探したらもっとあるんじゃない?」
「ほう、それはいいことを聞いた……」
メガトロンがクックック、と低く含み笑いを漏らす。
悪巧みを思いついたような態度に、コロンビーヌは興味を持った。
「何を考えているのよ?」
「聞きたいか? この天才メガトロン様の会心のアイディアを聞きた……ごめんなさい。すぐに教えますからハンマー向けないで」
コロンビーヌは苛立たしげにグラーフアイゼンを降ろし、顎で続きを促す。
メガトロンは悪そうな笑顔のまま、話を続けた。
「コロンちゃん。このシャトルの説明を読んで思いついたんだが……目的地の設定をいじれるように改造しようぜ」
「出来るの?」
「まあ、やれんこともない。シャトル一台のコンピューターをがめてから、敵を減らしながら解析すればいい。その辺は任せてくれ」
「それで、目的地を変更できるようにしたらどうするのかしら?」
「シャトルを……ミサイル代わりに使う!」
メガトロンの答えに、コロンビーヌは一瞬呆ける。いずれシャトルで地図の真ん中に存在する要塞へと向かわねばならないだろう、とは考えていた。
それをミサイル代わりに使う、なんていう発想は素直に柔軟だと感心する。
「けど、私の目的は……」
「ああ、わかっている。優勝の褒美をかなえる方法は、シグマが握っている。シャトルであの要塞を攻撃して、俺たちで主催者になろうじゃないか!
そうやって願いの叶える方法を奪って二人で山分け、って寸法よ。そうだ、コロンちゃん。正義の味方連中を乗せたシャトルをミサイルにすれば、一石二鳥じゃないか!」
「なるほど……悪くわないわねぇ」
優勝しても願いを叶えてくれるかどうか、保証のないシグマを信頼するよりも、主催の地位を奪い取るほうが現実的だ。
なにより、目の前のメガトロンとも敵対せず最後まで組むことも出来る。
美味しい話だ。コロンビーヌは妖艶に微笑む。
「乗ったわ」
「そう来なくてはな。じゃあ、とりあえず分割ファイルとやらを探しに行くか!」
「そうねえ、茶々丸が見つけた基地に行きましょう。そこなら確実にあるしね」
ニヤリ、と二人は微笑みあう。次の目的地が決まり、シャトルへと乗り込んだ。
途中、メガトロンはシャトル数台の内、一つ制御コンピューターをもぎ取った。
解析を進め、シグマを出し抜く算段をコロンビーヌとともにたてる。
元々シグマを信用できる者などいない。褒美を目指す二人なら、特に。
だからこそ、二人はシグマに成り代わる道を選択した。悪の花道は飼いならされるところにあらず。
犬は飼いならせるが、二人の悪党を従わせることは出来なかった。
【F-5 基地/一日目 日中】
【コロンビーヌ@からくりサーカス】
[状態]:健康
[装備]:グラーフアイゼン(ハンマーフォルム)@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:基本支給品一式×2、PDA(コロンビーヌ(通信機能付き)、パンタローネ、絡繰茶々丸(分割ファイル一つ))
不明支給品1~5個(確認済み1~5(銃はない)) 、 スタングレネード(3/3)
床屋セット(鋏、櫛、鏡) 開天珠@封神演義 たずね人ステッキ@ドラえもん 、アカネハウス11号@パワプロクンポケット8
補給装置@スーパーロボット大戦OG(4/5)、PDAの通信機能付加ソフト、タブバイク@ゼノサーガシリーズ
[思考]
基本:優勝者の報酬を奪い、勝の下へ戻る
1:シャトルをミサイル代わりに使い、シグマから主催の地位を奪う。
2:メガトロンと共闘。メガトロンの性根を知るものに会えば、騙されているふりをする。
3:アルレッキーノと協力出来るようなら協力する。
4:やっぱり人間は殺せない。人形は壊す。お人形みたいな人間も壊す。
5:もし結果的にアルレッキーのと自分が生き残った場合、自分を優勝させてもらうように懇願する。
[備考]
※参戦時期は死亡後です(原作40巻)
※フランシーヌ人形はサハラ編時の偽者だと確信しています
※全てのゾナハ蟲(コロンビーヌらが吐き出すものも)には以下の制限が掛かっています。
また会場の全域には十分なゾナハ蟲が漂っています。
1:外部には一切の害はありません(ゾナハ病の感染や機械類のダメージなど)
2:コロンビーヌが自分の武器として使用するのには問題なく使用できます
※タブバイクは飛行できません、他にも色々制限されています
※補給装置@スーパーロボット大戦OGは制限により、五回のみ補給が可能です
※二エリア以内なら、メガトロンのPDAと通信が可能です。
【メタルスメガトロン@ビーストウォーズメタルス】
[状態]:全身打撲、ダメージ中程度、エネルギー(96%)、弾薬(96%)、疲労小
[装備]:ハイパージャマー@スーパーロボット大戦OG
[道具]:PDA(メガトロン(通信機能付き))、草薙素子のスペア義体@攻殻機動隊S.A.C、ランダム支給品0~1(確認済)
シャトルの制御コンピューター。
[思考・状況]
基本思考:優勝者の報酬を奪い、サイバトロンの抹殺。シグマも倒す。
1:コロンビーヌと共闘。
2:シャトルの制御コンピューターの解析。
3:シャトルをミサイル代わりに使い、シグマから主催の地位を奪う。
4:参加者を減らす、自身による直接戦闘はしばらく避ける。しかし己の正体を知る者を殺せる状況なら、別。
5:チンク達へいつか復讐する
6:二度とハカイダー、仮面ライダーV3、凱に会いたくない。逃げる。
7:D-5の基地へ。分割ファイルを得る。
[備考]
※二エリア以内なら、コロンビーヌのPDAと通信が可能です。
*時系列順で読む
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*投下順で読む
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|109:[[↓↓ ↑ →]]|コロンビーヌ|126:[[このまま前へ進むのみ]]|
|109:[[↓↓ ↑ →]]|メガトロン|126:[[このまま前へ進むのみ]]|
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