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「バタフライエフェクト」(2009/04/26 (日) 19:00:30) の最新版変更点
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**バタフライエフェクト ◆8shu5JAH6I
「ここは俺が受け持つ。行け」
振り返ることなく、背後のチンクに告げるゼロ。
躊躇するチンクを急き立てるかのように、語気を強めて再度。
「ドラスを、罪に染めたくないのだろう」
血に染まった弟の姿を夢想し、僅かに俯いてチンクが走り去る。
すまんと、一言残して。
「もう一度言う、頼みがある」
数分の後に、サブローが切り出す。
完全にチンクが離れるのを待っていたサブローに、ゼロは変わらないなと胸中で一人ごちる。
「詳しく話せ。後ろに座っている女性についてもな」
ゼロの言葉通りにサブローが説明しようとするが、同時に始まった放送と声が被る。
サブローはほんの数ミリ眉を吊り上げるも、放送を無視するわけにはいかない。
放送が終わってから話そうとの提案に、ゼロも頷いた。
かくして、サブローは耳を傾ける。
自分を退けた金色の勇者に、下衆を打たんと肩を並べた紅い戦士。
其の名が呼ばれる可能性など、思考の片隅にすら置かないで――――――。
【D-3 路上(中心部)/一日目 夜(放送中)】
【ゼロ@ロックマンX】
[状態]:シグマウィルスにより回復。T-800を敵視。シグマウィルス一個に感染
[装備]:チャージキックの武器チップ@ロックマンシリーズ、カーネルのセイバー@ロックマンX4、謎の金属片(マルチの残骸から回収)
[道具]:支給品一式、PDA(ゼロ)、空っぽの平凡なデイバッグ@ゴミ処理場
[思考・状況]
基本:シグマを倒す。イレギュラーに容赦はしない。
1:放送を聞き、ハカイダーに対処。
2:ナタクとドラスを追い、北上。
2:凱を殺したボブ(T-800)を最大の敵と認識。
3:チームの立て直しのためこのまま基地へ。特にドラスは気をつける。
4:ハカイダーを更生したい。更生に失敗したなら凱の分も、自分がハカイダーを倒す。
5:ハカイダーに再会できない場合、日付の変わる頃(二日目00:00)にハカイダーと決着をつけるため、スクラップ工場に再度向かう。
6:本郷、エックスと合流。ボイルド、メガトロン、グレイ・フォックス、ボブ(T-800)は警戒。
7:シグマ、何を企んでる?
8:左上コロニーまで行き、そこから虱潰しに全エリアを巡る。
[備考]
※ノーヴェたちを生体パーツを使用したレプリロイド(のようなもの)と解釈しました。
※参戦時期はX4のED~X5開始前のようです。
※液体金属が参加者に擬態している可能性に気づきました。
※支給品にゾンダーメタルがある可能性を考えています。
※城茂を殺したのを、T-800だと思っています。
※シグマウィルスに感染しましたが、発症するのにウィルスが足りないのか、それとも潜伏期間に入ったのかは、後続にお任せします。
【ハカイダー@人造人間キカイダー】
[状態]:全身打撲。中ダメージ。エネルギー小消耗。ある程度メンテナンス終了。右肩を負傷(バイクの運転に支障は無い)、激しい憤怒と憎悪
[装備]:スズキ・GSX750S3 KATANA@仮面ライダーSPIRITS 、ゼロバスター@ロックマンX
[道具]:ハカイダーのPDA(支給品一式)、風見志郎のPDA(支給品一式)、バタフライナイフ@現地調達(左足に収納中)
[思考・状況]
基本思考:元の世界へ帰ってキカイダーと決着をつける。
1:放送を聞き、ゼロにフランシーヌを託す。
2:メガトロンとコロンビーヌを破壊し、アルレッキーノとラミアの仇を討つ。
3:エックスと遭遇し、エックスに正義の使者としての心が残っていないならその場で破壊する。
4:村雨良の遺言を仮面ライダー全員に伝えた。仮面ライダーに会い、破壊する。
5:参加者を全て破壊する(ただし、女子供、弱者には興味が薄い)
6:日付の変わる頃(二日目00:00)にゼロ、V3、凱と決着をつけため、スクラップ工場に再度向かう。
7:青い髪の女(ギンガ)は、敬介に任せる。
8:シグマを破壊する。
9:キカイダーに迫る、戦士に敬意。
※参戦時期は原作死亡後(42話「変身不能!? ハカイダー大反逆!」後)です。
※血液交換が必要のない身体に改造されています。
【フランシーヌ人形@からくりサーカス】
[状態]:全身打撲、疲労、足首負傷、ギガアタックのダメージ、右腕修復(ただし、反応と動きが鈍い)、深い悲しみ、強い無力感
[装備]:なし
[道具]:支給品一式及びPDA:未確認支給品(0~1)
[思考・状況]
基本思考:罪滅ぼしのために、主催者を倒す。
1:自分の無力さがただただ悔しい。
2:せっかく笑えたのに、歌えない。
3:本郷たちと合流。
4:私は生命の水に溶けて無くなった筈では……
5:本郷が心配。
6:本郷達に敬介やドラスのことを伝える。
※原作死亡後(25巻第32幕微笑(後編))から参戦。
※コロンビーヌやアルレッキーノと参戦時期が異なることを知りました。
※自分が笑えることに気付きました。
◇ ◆ ◇
残骸の名と侵入禁止区域を告げ、PDAの画面が通常の状態へと戻る。
歯痒い表情を見せるドラスの横手で、神敬介は神妙な面持ちで思案を巡らす。
(アルレッキーノにラミア・ラヴレス、フランシーヌの仲間が二人も……。
アルレッキーノ、君は俺が武器を奪った所為で倒れたのか……? だとしたら、俺は―――)
フランシーヌ人形に託したPDAは、アルレッキーノの手に渡ったのだろうか。
はたして誰に倒されたのか、よもや操られていた自分を救おうとしてくれた青い男ではなかろうか。
小さな軋みが重なった結果、修羅となったらしい、あの――――――。
敬介の中で疑問は肥大化するが、回答を導き出せるはずも無し。
思考の螺旋に巻き込まれていく敬介。
尋常ならぬ様子を気遣ったドラスの声で、現実に引き戻される。
「何だ?」
「いや、やけに険しい顔をしていたからね」
言葉を濁そうとする敬介の目を、ドラスは見つめる。
「アルレッキーノさんの事?」
ズバリと言い当てられ、敬介は目を白黒させる。
「―――っ、何故分かった?」
「さっき、これまでの同行を聞いていたから。……僕も、あの人には謝っときたかったんだけどね」
アルレッキーノは自分を庇おうとしてくれたというのに、ドラスはアルレッキーノを背後から撃った。
当時は何も感じなかったというのに、その過去が今になってドラスに圧し掛かっているのである。
両者沈黙のままで時計の短針が数回動き、敬介が遠くを見つめながら拳を握り締める。
「これで許されるとは思っていないが、彼の分まで俺は人を守ろう。出来るだけ多くの人を」
はっとしたように目を見開いたドラス、強い意志を込めた視線を敬介に向ける。
「……そうだね。僕も、人を――――――」
あえて口に出さず、ドラスは噛み締めるように決意を固めた。
「それにしても」
思い出したように、口を開く敬介。
「怪我人は邪魔だから治ってから来い―――とは、自分でやっておきながら」
傷が塞がりかかっているとはいえ、未だに痛覚を刺激する胸に視線を向ける。
両腕の骨折も回復途中であり、着替えたはずの服も既に血塗れだ。
しかしドラスから話を聞いていた為に、敬介に怒りの感情は無かった。
「無茶をするんだな、彼は」
軽く頬を緩ませた後、ドラスは妙に真剣な表情になって呟く。
「うん、本当にナタクはやってくれるよ。……本当にね」
◇ ◆ ◇
余計な体力消耗を阻止しようとベルトコンベアの上で佇んでいたエックス、急遽走り出す。
彼のいる場所が、立ち入り禁止区域に設定された。
実際に禁止区域となるのは一時間後だが、道中で足止めをされてしまう恐れも無きにしも在らず。
必ず平和な社会を実現させる為に、エックスは危険なルートを最短で抜けようと断を下した。
連絡通路を全速力で駆け抜けて雪原ゾーンに到達、シャトル発着場を目指す。
イレギュラーを破壊する鬼として彼が取るのは、凍て付いた機械的思考だった。
連絡通路を抜けたエックスは、南下する前に周囲を見渡す。
破壊すべきイレギュラーが潜んでいるのは、シャトル発着場だけとは限らない。
何度か首を捻った時、彼は知った者を視界に捉える。
方向は北。異なる区域とはいえ、その最北端と最南端にいるが故に、エックスの瞳に彼が知る参加者が映し出される。
「……X、何故―――」
エックスが呟いたのは自分の名前ではなく、仮面ライダーXこと神敬介。
かつてエックスは、暴走していた神敬介と死闘を演じた。
最終的に、敬介は息を引き取った―――はずだった。
ところが落命したと伝えられた敬介は、少女と談笑している。
無作為に他人に襲い掛かるイレギュラー、そしてイレギュラーと戯れる少女。
半日前は神敬介を止めるために戦ったが、今のエックスは冷え切った眼差しを敬介に向け―――、
「今更生きていたところで、何も変わらない」
気付かれぬうちに息の根を止めようと、エックスは備え付けられたバスターを構える。
エックスには、右腕がかつて敬介と戦った時よりも、遥かに軽くなっているように感じられた。
しかし、エネルギーを蓄え終え、いざ撃つという時だ。
軽い炸裂音に気付いたエックスが、両脚をバネとして雪を蹴る。
既に発射しかけていたエネルギー弾は止められず、跳躍の衝撃であらぬ方向へ。
結果、エックスが狙っていた二人―――敬介とドラスはエックスの存在を悟ってしまう。
だが、エックスは自分の行動を後悔したりはしない。
何故なら―――エックスがいた場所を、無数の銃弾が通過していったから。
状況を見定めようとするエックスだったが、落ち着きを取り戻すのを先立てて、声がかけられる。
その方向には岩があっただけなはずだと、エックスは着地するや否や首を回す。
「―――いい反応だ」
声の主は、右腕を機関銃へと転換させた蓮花の化身。
体毛を風に揺らす白い長毛犬の上で、彼もまた引き上げた赤い髪を靡かせていた。
岩陰に潜んでいたナタクは、彼の持つ嗅覚でエックスの接近に気付いたのである。
ナタクの乗る犬の巨大さに呆然とするエックスに、ナタクは話を続ける。
まるで、遊具を前にした子供のように。
しかし湧き立たせるのは、無邪気とは言い難い気配。
「ちょうどいい、俺と戦え。貴様から仕掛けてきておいて、断るとは言わさんぞ」
対する白い皮を被った青鬼、一切の返答は無い。
されどエックスの氷塊じみた視線は、十二分に応戦の意を含有したもの。
纏う“ファルコンアーマー”の持つ自在移動の名を冠する特殊技能にて、高く跳躍して空中で静止。
エックスは、右手に備え付けられた砲台にエネルギーを充填する。
目の前の光景に、ナタクは微笑を隠すことが出来ない。
チャージする様子が、“金磚”という元の世界での所持兵器に酷似していたからだ。
エックスを殺すのは既に決断済みが、それだけでは済まさない。
その後に――――――装甲と右腕を千切り取る。
さらに装備品が充実する未来に、ナタクは胸を高鳴らせる。
「消えろ、イレギュラー」
限界まで蓄えたエネルギーをエックスが解き放つも、ナタクは“哮天犬”の敏捷な動作で回避。
回避動作の隙を狙って、“フリームーブ”でにじり寄らんとしていたエックスだが、“マシンガンアーム”の乱れ撃ちに戦略的撤退を迫られる。
苦々しい表情で宙を旋回するエックス。
追随しつつ、笑みを絶やさずに釣瓶撃ちを止めようとしないナタク。
一見しただけでは、先手を打った方がどちらなのか間違えてしまいそうな―――そんな奇妙な光景だった。
「どういう……こと……」
気が抜けたように、上空で繰り広げられる空中戦を見守るドラス。
ゼロから本来のエックス像を聞いているので、エックスの不意打ちに困惑するのは尤もな事だ。
一瞬悩んだ後に、敬介は彼の知ることを話す。
修羅に堕ちたエックスを、止めようと思っていたのだ―――と。
それを聞いたドラスは、空中を駆け抜けるナタクに声を張り上げる。
「ナタク。そのエックスって人は、元は悪い人じゃないっ。何かがあって、変わってしまったらしいんだっ」
しかし返ってきた言葉は、ドラスにとって予想外な物。
「だろうな」
初めてシグマと対面した時のエックスを、ナタクは覚えていたのである。
返答しながら、ナタクはマシンガンアームから弾丸を放つ。その勢いは、例えるなら驟雨。
エックスが放った貯め無しのエネルギー弾は、全てがナタクの放った銃弾と相殺。
飛び散る薬莢を意に介さず、エックスが放つよりも遥かに多くの銃弾を、ナタクは撃ち続ける。
しかしそれらはフリームーブのエネルギーに阻まれ、エックスに届くことは無い。
第四の組織に所属する真紅の怪人の銃剣ならば、阻止されようとも弾丸は届くだろうが―――、
四番目の正義愛用の機関銃は、生憎なことにそこまでの威力は持ち合わせていなかった。
「イレギュラーは―――戦おうとする者は、全て排除する。
全てのイレギュラーを排除しなければ、平和も自由も訪れない―――そう、悟ったんだッ」
決意を改めて口にしたエックスは、双瞼を見開いてコロニーの天井を蹴り飛ばす。
作用反作用の法則に従い、蹴った威力の分だけ下方向へと急加速する。
囲まれていた弾幕から逃れて、雪を踏み締める。
一方的に攻め立てていたように見えるナタクだが、放った弾丸は一発もエックスに命中していない。
マシンガンアームの火力に舌打ちして、ナタクは再びドラスに話しかける。
「平和に自由―――か。こいつと同じことを考えている馬鹿が、俺の知り合いにいる。
人間界と仙人界の両方の平和を求めている、太公望という大馬鹿がな。
奴は確かに馬鹿だが、このエックスは間違いなく奴より弱い。こいつは奴の足元にも及ばない雑魚だ」
ナタクの暴言に、バスターにエネルギーをチャージしているエックスが吐き捨てる。
「黙れ……」
知ったことかと言い放って、ナタクはドラスへと向き直る。
「奴は、仲間を失っても泣き言は言わん。
人間が死んでも、仙人が死んでも、後ろを振り返ることは無かった。少なくとも俺は見たことが無い」
「黙れと、言っているッ」
声を荒げながらの、二度目の静止命令。
だが、ナタクは聞く耳を持たない。
「同じようなことを言っていながら、こいつは何だ。
仲間が死んだか知らんが、ドラスや神敬介の不意を付こうとするなど、気でも狂ったのか。
ただの雑魚だ。奴と同じことを言いながら、奴と違って目的を見定めることが出来ていないのか」
エックスの右腕が響かせていた重低音―――チャージ音が止まる。
それは即ち、フル充填完了の知らせ。
さながら日本刀のような鋭い視線を、エックスはナタクに向ける。
「嗚呼、成る程」
ナタクは何か確信を得たかのように、エックスと視線を合わせる。
「―――貴様は、抱え切れぬ程に大きすぎた目的から逃げ出したのか」
「黙れ、黙れ、黙れ黙れ、黙れ黙れ黙れ黙れ――――――ッ」
喉を削るような、甲高い絶叫。
たった一回地面を蹴っただけで、コロニーの天井付近まで到達する。
フリームーブを使い、そこで静止。
限界までエネルギーを蓄えたバスターを、ナタクへと向ける。
「最初のように、避けてくれても構わない」
ナタクだけに聞こえる程度の声量で言うと、エックスのバスターから細長いエネルギーの塊が放たれる。
貫通性に特化したファルコンアーマーの“スピアチャージショット”。
回避しようとしたナタクだったが、エックスの言葉に違和感を抱き―――気付く。
ナタクより高い地点からの射撃故に、もしも回避すれば地上にいるドラスや敬介に当たる可能性がある。
神妙な顔で話し出した彼等には、エックスの言葉は届いていない。
今から二人に忠告したところで、避け切れるかは難しい。
だからこそ、ナタクは右腕を迫るエネルギー弾に向ける。
マシンガンアームの銃弾が、エネルギー弾を削り取る。
しかし、如何せん元の火力に差がありすぎる。
僅かに小型化したものの、スピアチャージショットは必殺の威力を保ったままでナタクへと迫る。
ナタクの鼻先までエネルギー弾が到達―――だが、ナタクは微笑を浮かべたまま。
跨っていた白い犬から飛び降りて、その犬の名を呼んでやる。
「哮天犬」
瞬間、犬―――ではない。“天才道士”愛用の“宝貝”が加速する。
城壁をも食らう巨大宝貝“花狐貂”すら一撃の元に破裂させた哮天犬は、フルチャージされたエネルギーの結晶と拮抗し―――炸裂音。
スピアチャージショットは、塵となって大気中に融解する。
哮天犬の方も勢いを失うも、ナタクの動けとの命令によりすぐに宙を駆け出す。方向は下。地面に激突する前に、ナタクを掬い取る為。
目を丸くするエックスに対し、自由落下しているナタクが右腕を向ける。
そしてナタクが装着していた腕輪―――“乾坤圏”が放たれる。
風を切る音によって乾坤圏の接近を知ったエックスは、フリームーブのエネルギーをバリアとして防ごうとする。
しかし乾坤圏は見た目に反して、甚大な威力を秘めた宝貝。
一撃で以って、エネルギーの防護壁を粉砕。
幾分軽減したスピードでエックスの顔面を砕きに行くも、鈍器代わりにされたエックスのバスターに打ち据えられて落下する。
目を見開いたエックスは、視界に捉える。
スピアチャージショットを粉砕した白い犬が、再び接近してきていることに。
その背中には、落下していたナタクが跨っている。
そして犬の口には、乾坤圏が銜え込まれていた。落ちていったのをキャッチしたのだろう。
最大まで威力を上げたスピアチャージショットは消え去り、エネルギーの膜は砕かれる。
予期していなかった事態に驚愕するエックスだが、それで戦意を失くすわけではない。
接近してくるのならば迎え撃つだけだと、強い意志で宙を駆けるナタクを見据える。
エックスの元まで、ナタクは瞬く間で距離を詰めた。
瞬間、ホバリングした状態で放たれるエックスの回し蹴り。
完全にナタクを捉えるはずの蹴りは、パワーアームに変形させた右腕に軽く遮られてしまう。
受け止めたエックスの右脚を左腕で掴み、ナタクは力任せに振り回して投げつける。
俗に言うところの、ジャイアントスイング。
どこぞに衝突するのを恐れて、エックスは空中で勢いを緩めようとする。
―――然れども、それが命取り。
いっそ勢いに任せてしまえば、よかったというのに。
「遅かったな」
中途半端に減速するから、哮天犬に乗るナタクに先回りされる。
振り向くよりも早く、首元を掴まれる。吊り上げられた魚のように。
ファルコンアーマーの能力で移動しようとするが、既に加速しているのならともかく、静止状態からの移動である。
そんなもので、ナタクの腕力を逃れられる道理など無い。
エックスの取った戦術に、過ちはほぼ皆無。前述したジャイアントスイングの際くらいか。
空中を移動する術があるのなら、それを存分に使うのはセオリーである。
ただ空中における戦闘経験ならば、生まれし日より飛行宝貝“風火輪”を所持していたナタクに劣った。たったそれだけのこと。
「――――――雑魚は死ね」
ナタクはぶっきらぼうに言うと、カセットを抜き取り再び右手に装着した乾坤圏を、エックスの頭部に押し当てた。
ダメージを一定以上受けていないが為、エックスはギガアタックを放つことも出来ない。
歯噛みするエックスの瞳は、自分の不甲斐なさを痛感して湿っていた。
「待って、ナタク」
唐突に下界から浴びせられた声に、ナタクは首を下ろす。
視界に入ったのは、ドラスと―――姿を変えた神敬介だった。
◇ ◆ ◇
絶叫と共に、エックスが再び空中に舞い戻った頃。
エックスとナタクのやり取りを目の当たりにしていた敬介が、傍らのドラスに尋ねた。
「彼はエックスを殺すか?」
一瞬未満の思考時間で、ドラスは答えを導き出す。
「だろうね……今のエックスに、ナタクが慈悲をかけるとは思えない」
ドラスにも、ナタクを止める気はない。
過去のエックスがどういう人格であったかは知っているが、今のエックスは何かに縛られている。
理解しようの無い理想を抱いた様は、まるで凝り固まった思想だけで動く狂戦士。
スバル・ナカジマとは違い、明確に誰かに嵌められたというわけでもない。
ドラスはそのように考えたが、敬介は違った。
「俺は……彼を説得したい」
硬直してしまったドラスに、敬介はさらに。
「ここにいるのは、彼の言うイレギュラーだけではないと伝えたい。
一度でいい。それで戻れなければ全力で彼を倒す。それで、彼がかつて信じた力の強さを見せ付けたい」
口を開いたままだったドラスは、何度も敬介の言葉を反芻する。
エックスがナタクに放り投げられた頃、ついにドラスは敬介の言葉を理解して頬を緩ませた。
一度は悪魔となった男が、あまりにも彼の先輩である風見志郎に似ていた故に。
そして、ドラスは右手を敬介に伸ばす。
「分かった。その話、僕も乗るよ。一度ナタクに攻撃の手を緩めてもらうよう、頼んでみる」
言いようの無い感情を胸に、敬介はドラスの手を握り返した。
「時間が無いね……」
そう呟くドラスの視線の先では、エックスがナタクに掴み上げられていた。
敬介が、両腕を大きく広げる―――何も喋らずに。
そのことに疑問を抱いたドラスは、少し前に自分が敬介に言った言葉を思い出す。
先程は敬介が“言うに相応しい戦士”ではないと思っていたが、今は違う。
「言っていいんだよ。あなたは紛れも無い風見さんの後輩―――――仮面ライダーなんだから」
かけられた言葉に、敬介は思わず目を見開いてしまう。
そしてたった五つの音から構成される感謝の言葉を漏らすと、次に言い放つのは決まり文句。
「―――大変身」
洗脳から解き放たれた敬介は、名も無きサイボーグとなった。
自らを、“仮面ライダー”に相応しくないと思い込んで。
しかし、被害者は認めた。敬介は“仮面ライダー”を名乗っていいと。
ここに名も無きサイボーグは、再び名前を手に入れ―――第五の戦士は再誕する。
「仮面ライダーX!」
姿を変えた敬介は、“仮面ライダー”としての二度目の生を許してくれたドラスに再誕を宣言。
ドラスは仮面ライダーXに微笑みかけ、上空のナタクに声をかける。
◇ ◆ ◇
「待って、ナタク」
青髪の少女が、俺を掴んでいる赤髪のイレギュラーに待ったをかける。
彼女はイレギュラーではないのだろうか。
少し疑問に思うが、Xと同行しているのだ。イレギュラーと見るのが妥当だろう。
しかし、彼女の横にいるXの様子がおかしい。
俺と戦った時は、理性など無いバーサーカーのような男だったのだが。
……構わない。正気を取り戻したにせよ、あの時は確実にイレギュラーであったのだ。
その事実がある以上、排除するのに変わりは無い。
―――変わりは無いが、問題は現状をどのように打破するかだ。
赤髪のイレギュラー、ナタクの力は強い。力任せに体を動かしても、微動だにしない。
「何だ。こいつを殺してからではいかんのか?」
「エックスを説得したいんだ……」
青髪の少女の提案は、全く以って下らない事だった。
俺を説得する、か。
イレギュラーに優しさを向けた結果、何が起こるかも深く考えずに。
あまりに甘すぎて、反吐が出る。
この胃もたれするほどの甘ったるさは、もはや悲しみを生み出すイレギュラーの域に達している。
罪の意識の有無など関係無い。排除する。
決意した瞬間、何故か胸が痛む。そんな俺自身が許せない。
感情を押し殺し、一体のイレギュラーとしてイレギュラーを破壊する。
そうでなければならないのに、こんなことならば最初からイレギュラーとして生まれたほうがマシだった。
少女の甘ったるい提案のおかげで、束の間でも束縛を解除されれば―――、
「無駄だ」
断定されてしまう。
イレギュラーながら、賢明な判断だ。
「頼む、ほんの少しでいいんだ。エックスと話をさせてくれ」
今度は、Xから提案。
元イレギュラーかと思えば、この甘すぎる考え。未だイレギュラーか。
失笑ものだ。イレギュラー風情に哀れまれている俺自身も、同様に。
ナタクの返答は無い。
そこまで迷うことも無いだろうに、などと思っていれば予想外の言葉が背後から聞こえた。
「いいだろう、数分だけくれてやる」
好機到来かと思いきや、拘束は継続するらしい。
このナタクというイレギュラー、戦闘力だけでなく甘さが無いという点でも強者だ。
これまで出会ったイレギュラーの中でも、強い部類に入るだろう。
「―――、―――――――――」
「―――――――――。―――」
少女とXの口から飛び出るのは、妄言。
周りはイレギュラーばかりではないとは、笑いを取りに来ているのだろうか。
ソレを言うのが、イレギュラーであるというのに。
「―――。―――――――――」
「―――――――――、―――」
「―――、―――――――――」
「――――――。――――――」
曖昧な首肯を繰り返し、隙を伺う。
下らない音声、耳から耳へと垂れ流す―――イレギュラーである俺自身の中に迷いが生まれぬように。
イレギュラーの甘さが生んだ数分の猶予の内に、体勢を立て直さねばならない。
◇ ◆ ◇
「あの男……、何をしている」
全力で走っていたチンクは、目に入った場景に思わず吐き捨てる。
視界に入ったのは、エックスのを首根っこを掴んでいるナタク。頭部には、乾坤圏を押し付けている。
エックスは絶対に信用できるというゼロの情報、そしてよく知るナタクの好戦的な態度。
それらを参考にして、チンクの頭脳は誤りの回答を導き出す。
―――ナタクが“自ら戦ったりしないエックス”に襲い掛かったのだと。
もしも、もう少しチンクが彼等に接近していたなら、ドラスやXライダーの言葉から真実を得られただろう。
しかしそれは現実ではない、“if”の話。
エックスは被害者だと判断した刹那、チンクは肩にかけていたデイパックに手を突っ込む。
慣れない雪の上を走ったためか呼吸が乱れているが、チンクは気にも留めない。
“弟に罪を背負わせようとするナタク”を止めるために、強硬手段も辞さないと決断。
チンクは金属片を幾らか手に取ると、ナタク目掛けて投擲した。
殺意は無いとはいえ、ナタクの力を知っているチンクは、金属片がナタクに触れる寸前で爆破させようと画策。
死角である背後に現れたチンクに、エックスは気付かない。
地上で戦況を見るXライダーとドラスは、上空に視線が行っているためにエックスと同様。
ナタクは嗅覚からチンクの接近に勘付いた―――が、よもや攻撃されるとも思っておらず振り向こうとすらしない。
手を伸ばせば届く距離に、“爆破物”が肉薄しているというのに。
――――――そして、悲劇の幕が開く。
「IS」
―――善意によって齎される呪詛。
「発動」
―――其れは、まるで小鳥の囀りの様に。
「ランブル」
―――其れは、まるで喜びを詠うかの様に。
「デトネイター」
―――静かにして力強く、緩慢にしてはっきりと、爆ぜよとの術者の意思を包んで、遂に紡がれ―――
―――――――――朱い焔が、ナタクを抱き締める様に包み込んだ。
――――――――――――翅を引き千切られた蝶の如く、背を焦がしたナタクは力無く地面に引き寄せられていく。
「チンク……お姉、ちゃ……ん?」
爆発の正体に最初に気付いたのは、何度かチンクのISを見たことがあるドラス。
信じられないといった面持ちで首を動かし、ついに銀髪の姉を見つけ出してしまう。
一点を見て硬直したドラスに疑問を抱いたXライダーも、チンクに気付く。
どこか様子がおかしいと、チンクも今になって不穏な気配を感じる。
状況を理解しようとしている三人に、上空から声を投げつけられる。
「またか」
落下したナタク、その先のドラスとXライダー、エックスの背後に佇むチンク。
ゆっくりと四人を見渡すと、感情の篭っていない―――否。
感情の波を封鎖した声で、白い鎧を纏ったエックスは淡々と告げる。
「また、イレギュラーなのか」
言い終えた瞬間、表情の無かったエックスの顔面に鬼が宿る。
フリームーブを存分に行使して、エックスは宙を奔り抜ける。
背を焼かれて落下する途中、白犬に自らを掬わせたナタクの方へ―――ではない。
未だ意識を手放していないナタクと再び対峙する前に、他のイレギュラーを排除する。
自身を追い詰めたナタクを評価して、エックスはそのように判断。
Xライダーとドラスの二人は互いに近い距離にいるので、後に回すことにした。
そうなれば、残る選択肢は一つだけ。
右腕から機械音を響かせ、エックスは駆けていく―――立ち尽すチンクの方へと。
◇ ◆ ◇
欠けた箇所の無い月の光が、単に白いだけであった雪原を幻想的に彩っている。
怪しく、どこか妖艶さも醸し出しながら、照らし出される氷の結晶。
紫がかって見える雪に、少しずつ上昇する琥珀色の望月、遠くで灯り始めた街灯。
さらに雪原特有の乳白色の霧が薄く立ち込め、周囲の景色を淡く変えていく。
浮世離れした神話じみた世界で、交叉したのは―――最悪の思い違い。
ナタクと敬介が何もかもを曝け出していれば、悲劇は起こりえなかった。
微かな善意が廻り回って、混沌を巻き起こす。
然れども真なる哀しみは、その他にある。
居合わせた五人。皆が皆、心に悪意など持ち合わせていないという事実。
ただそれだけであり―――、それだけが悲劇の悲劇たる所以の全て――――――。
【D-2 雪原(南)/一日目 夜】
【エックス@ロックマンXシリーズ】
[状態]:深い悲しみ、現実への絶望と失望、鋼の心、爆風により装甲に凹み。
[装備]:ファルコンアーマー@ロックマンX5
[道具]:PDA(エックス、あ~る、バロット)、クロマティ高校の制服@魁!!クロマティ高校 グロスフスMG42(予備弾数20%)
NIKU・Q・マックス@サイボーグクロちゃん、メカ救急箱
[思考・状況]
基本思考:戦う者、戦わせる者、戦いを広げる者、戦う意志を持つ者――全てが敵だ
1:周囲のイレギュラーを殲滅する。まずはチンク。
2:左上コロニー、左下コロニー、右下コロニー、とシャトル基地を回る。
3:T-800の休戦の提案を本気にしていないが、T-800の思惑に乗ってイレギュラーどもを潰す。
4:戦っている者を、誰であろうと潰す。
5:戦わない者は基本放置。だが、戦う意志があるのなら潰す。
6:ゼロと合流。ただし、賛同を得られず、戦うことになったら潰す。
7:ロックマンの仇を討ちたい。
8:シグマは潰す。絶対に、確実に潰す。
9:全てが終わった後、自分自身を破壊する。
[備考]
※神敬介の名前をXだと思っていましたが、勘違いだったと思っています。
※ライドアーマー“イーグル”@ロックマンX4は破壊されています。
※ファルコンアーマーの制限。
1.フリームーブの時間は、本来の半分。
2.フリームーブによる特定のダメージの無効はない(ただし、威力の軽減はある)。
※他にも、ファルコンアーマーの制限はあるかどうか不明。後の書き手さんに任せます。
※ロックマンの“思い出”を知り、ロックマンについて大まかな知識を得ました。
【神敬介@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:胸部破損(大)、疲労(小)、後頭部にダメージ(中)、顔にダメージ(小)、生命の水を摂取、強い罪悪感、深い悲しみ、強い決意、回復中、両目と前髪が銀色、両腕にひび
[装備]:作業用のツナギ@現地調達品
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:『仮面ライダーX』として戦い続ける。最期の瞬間まで、全力で。
1:現状に困惑
2:エックスを止める。
3:本郷と合流。
4:風見の遺した希望を、殺し合いの転覆を目指す者達に伝える。
5:俺の体は一体どうしたんだ?
[備考]
※第一放送の内容を知りました。
※フランシーヌ人形の『生命の水』を摂取し、自己治癒力が促進されています。“しろがね”と同じようになるのか、その他の影響があるかは次の書き手様にお任せします。
※コロンビーヌの容姿(旧式)を聞きました。
※自身の体の異常(しろがね化)に気付きました。
【ドラス@仮面ライダーZO】
[状態]:全身打撲、コアにダメージ。中程度の損傷&疲労。右腕がスバルのもの。悲しみ。自分が求めていたものが『家族』と自覚。
セインを四、五歳幼くした状態に擬態。ただし、生えている
[装備]:ラトゥーニのゴスロリ服@スーパーロボット大戦OG、メカ沢の学ラン@魁クロマティ高校、オルゴール付き懐中時計@仮面ライダーZO
[道具]:支給品一式×6、PDA(ドラス、マルチ、ノーヴェ、ロボ、アラレ、シュトロハイム、城茂)
荷電磁ナイフ@マルドゥックスクランブル(D-3基地に放置。呼び出し可)
スタームルガー レッドホーク、装弾数0/6@ターミネーター2(D-3基地に放置。呼び出し可)
ぎんのいし@クロノトリガー、液体窒素入りのタンクローリー@ターミネーター2 (D-3基地に放置) タイムストッパー@ロックマン2(メカ沢の胴体部):ロボのPDA
はちゅねミクのネギ@VOCALOID2(E-3道路に放置)メッセージ大砲@ドラえもん(E-3道路に放置) 拡声器@現実(E-3道路に放置):アラレ、及びシュトロハイムのPDA。
転送可能 スモールライト@ドラえもん(残り四回)、テントロー@仮面ライダーSPIRITS:城茂のPDA
サイドマシーン@人造人間キカイダー
[思考・状況]
基本思考:二度と家族を失わない。
1:現状に困惑。
2:D-3の基地に戻り、仲間と合流。
3:チンクを守る。
4:スバルをまだ正気に戻したいが……。
5:ギンガ、凱、灰原の死にショック。
[備考]
※自分が未完成品、仮面ライダーが完成品だと勘違いしています。
※チンクを姉として強く慕っています。
※無意識の内に罪悪感が芽生えつつあります。
※志郎の言った10人ライダーの中に仮面ライダーZOがいると思い込んでいます。
【チンク@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:疲労中、全身に中ダメージ、固い決意、ノーヴェの死を悟り悲しみと憤怒、姉妹の仇を討つ決意、風見の死を知りショック
[装備]:金属の詰まった平凡なデイバッグ(中身60%消費)@ゴミ処理場
[道具]:PDA(チンク、メカ沢、灰原、ロックマン)、ナイスなグローブ×2@パワポケシリーズ、ツバメ@クロノトリガー
ゆうしゃバッジ@クロノトリガー。ガトリング砲@サイボーグクロちゃん(弾切れ)
ダンボール@メタルギアソリッド、大型スレッジハンマー@ジョジョの奇妙な冒険、五光石@封神演義、アトロポスのリボン@クロノトリガー
[思考・状況]
基本:シグマの破壊。
1:現状に困惑。
2:ドラスをつれて、ゼロの元へ戻る。
3:姉として、弟(ドラス)を守る。
4:本郷、エックスとの合流。スバル、ハカイダー、メガトロン、ボブ(T-800)は警戒。
5:殺し合いに乗った危険人物には容赦しない。
6:スティンガー、シェルコートを手に入れる。
7:日付が変わる頃、スクラップ工場へ向かう。
[備考]
※参戦時期は本編終了後です。
【ナタク@封神演義】
[状態]:全身にギンガ戦のダメージ(中)、背中に重度の火傷
[装備]:哮天犬@封神演義、アタッチメント@仮面ライダーSPIRITS、混天綾@封神演義、乾坤圏@封神演義(左腕の方は修理が必要)
[道具]:支給品一式、高性能探知機(バッテリー切れ) 、サイクロン号@仮面ライダーSPIRITS
[思考・状況]
基本思考:家族を亡くしたドラスは悲しませたくはないが、他者と馴れ合うつもりはない。強い敵と戦う。弱者に興味はない。シグマは殺す。
1:現状に困惑。
2:エックスを殺し、鎧と右腕を奪う。
3:D-3の基地に戻り、仲間と合流。
4:武器を探す(宝貝優先)。
5:城茂は殺していなかったようだが、T-800は殺す。
6:強い奴と戦いたいが、ドラスを放っておけない。
7:奪った道具は、チンクとゼロと合流出来次第返してやる。
[備考]
※仙界大戦終了後からの参戦。
※アタッチメントを右腕に装着しています。
※右腕は、修理工場の冷凍庫にて冷凍保存されてます。
*時系列順で読む
Back:[[嵐の前(後編)]] Next:[[因果は巡る]]
*投下順で読む
Back:[[嵐の前(後編)]] Next:[[因果は巡る]]
|135:[[WILL-雪融け(後編)]]|ゼロ|142:[[狂い咲く人間の証明(1)]]|
|135:[[WILL-雪融け(後編)]]|チンク|142:[[狂い咲く人間の証明(1)]]|
|135:[[WILL-雪融け(後編)]]|ドラス|142:[[狂い咲く人間の証明(1)]]|
|135:[[WILL-雪融け(後編)]]|ナタク|142:[[狂い咲く人間の証明(1)]]|
|135:[[WILL-雪融け(後編)]]|神敬介|142:[[狂い咲く人間の証明(1)]]|
|135:[[WILL-雪融け(後編)]]|ハカイダー|142:[[狂い咲く人間の証明(1)]]|
|135:[[WILL-雪融け(後編)]]|フランシーヌ|142:[[狂い咲く人間の証明(1)]]|
**バタフライエフェクト ◆8shu5JAH6I
「ここは俺が受け持つ。行け」
振り返ることなく、背後のチンクに告げるゼロ。
躊躇するチンクを急き立てるかのように、語気を強めて再度。
「ドラスを、罪に染めたくないのだろう」
血に染まった弟の姿を夢想し、僅かに俯いてチンクが走り去る。
すまんと、一言残して。
「もう一度言う、頼みがある」
数分の後に、サブローが切り出す。
完全にチンクが離れるのを待っていたサブローに、ゼロは変わらないなと胸中で一人ごちる。
「詳しく話せ。後ろに座っている女性についてもな」
ゼロの言葉通りにサブローが説明しようとするが、同時に始まった放送と声が被る。
サブローはほんの数ミリ眉を吊り上げるも、放送を無視するわけにはいかない。
放送が終わってから話そうとの提案に、ゼロも頷いた。
かくして、サブローは耳を傾ける。
自分を退けた金色の勇者に、下衆を打たんと肩を並べた紅い戦士。
其の名が呼ばれる可能性など、思考の片隅にすら置かないで――――――。
【D-3 路上(中心部)/一日目 夜(放送中)】
【ゼロ@ロックマンX】
[状態]:シグマウィルスにより回復。T-800を敵視。シグマウィルス一個に感染
[装備]:チャージキックの武器チップ@ロックマンシリーズ、カーネルのセイバー@ロックマンX4、謎の金属片(マルチの残骸から回収)
[道具]:支給品一式、PDA(ゼロ)、空っぽの平凡なデイバッグ@ゴミ処理場
[思考・状況]
基本:シグマを倒す。イレギュラーに容赦はしない。
1:放送を聞き、ハカイダーに対処。
2:ナタクとドラスを追い、北上。
2:凱を殺したボブ(T-800)を最大の敵と認識。
3:チームの立て直しのためこのまま基地へ。特にドラスは気をつける。
4:ハカイダーを更生したい。更生に失敗したなら凱の分も、自分がハカイダーを倒す。
5:ハカイダーに再会できない場合、日付の変わる頃(二日目00:00)にハカイダーと決着をつけるため、スクラップ工場に再度向かう。
6:本郷、エックスと合流。ボイルド、メガトロン、グレイ・フォックス、ボブ(T-800)は警戒。
7:シグマ、何を企んでる?
8:左上コロニーまで行き、そこから虱潰しに全エリアを巡る。
[備考]
※ノーヴェたちを生体パーツを使用したレプリロイド(のようなもの)と解釈しました。
※参戦時期はX4のED~X5開始前のようです。
※液体金属が参加者に擬態している可能性に気づきました。
※支給品にゾンダーメタルがある可能性を考えています。
※城茂を殺したのを、T-800だと思っています。
※シグマウィルスに感染しましたが、発症するのにウィルスが足りないのか、それとも潜伏期間に入ったのかは、後続にお任せします。
【ハカイダー@人造人間キカイダー】
[状態]:全身打撲。中ダメージ。エネルギー小消耗。ある程度メンテナンス終了。右肩を負傷(バイクの運転に支障は無い)、激しい憤怒と憎悪
[装備]:スズキ・GSX750S3 KATANA@仮面ライダーSPIRITS 、ゼロバスター@ロックマンX
[道具]:ハカイダーのPDA(支給品一式)、風見志郎のPDA(支給品一式)、バタフライナイフ@現地調達(左足に収納中)
[思考・状況]
基本思考:元の世界へ帰ってキカイダーと決着をつける。
1:放送を聞き、ゼロにフランシーヌを託す。
2:メガトロンとコロンビーヌを破壊し、アルレッキーノとラミアの仇を討つ。
3:エックスと遭遇し、エックスに正義の使者としての心が残っていないならその場で破壊する。
4:村雨良の遺言を仮面ライダー全員に伝えた。仮面ライダーに会い、破壊する。
5:参加者を全て破壊する(ただし、女子供、弱者には興味が薄い)
6:日付の変わる頃(二日目00:00)にゼロ、V3、凱と決着をつけため、スクラップ工場に再度向かう。
7:青い髪の女(ギンガ)は、敬介に任せる。
8:シグマを破壊する。
9:キカイダーに迫る、戦士に敬意。
※参戦時期は原作死亡後(42話「変身不能!? ハカイダー大反逆!」後)です。
※血液交換が必要のない身体に改造されています。
【フランシーヌ人形@からくりサーカス】
[状態]:全身打撲、疲労、足首負傷、ギガアタックのダメージ、右腕修復(ただし、反応と動きが鈍い)、深い悲しみ、強い無力感
[装備]:なし
[道具]:支給品一式及びPDA:未確認支給品(0~1)
[思考・状況]
基本思考:罪滅ぼしのために、主催者を倒す。
1:自分の無力さがただただ悔しい。
2:せっかく笑えたのに、歌えない。
3:本郷たちと合流。
4:私は生命の水に溶けて無くなった筈では……
5:本郷が心配。
6:本郷達に敬介やドラスのことを伝える。
※原作死亡後(25巻第32幕微笑(後編))から参戦。
※コロンビーヌやアルレッキーノと参戦時期が異なることを知りました。
※自分が笑えることに気付きました。
◇ ◆ ◇
残骸の名と侵入禁止区域を告げ、PDAの画面が通常の状態へと戻る。
歯痒い表情を見せるドラスの横手で、神敬介は神妙な面持ちで思案を巡らす。
(アルレッキーノにラミア・ラヴレス、フランシーヌの仲間が二人も……。
アルレッキーノ、君は俺が武器を奪った所為で倒れたのか……? だとしたら、俺は―――)
フランシーヌ人形に託したPDAは、アルレッキーノの手に渡ったのだろうか。
はたして誰に倒されたのか、よもや操られていた自分を救おうとしてくれた青い男ではなかろうか。
小さな軋みが重なった結果、修羅となったらしい、あの――――――。
敬介の中で疑問は肥大化するが、回答を導き出せるはずも無し。
思考の螺旋に巻き込まれていく敬介。
尋常ならぬ様子を気遣ったドラスの声で、現実に引き戻される。
「何だ?」
「いや、やけに険しい顔をしていたからね」
言葉を濁そうとする敬介の目を、ドラスは見つめる。
「アルレッキーノさんの事?」
ズバリと言い当てられ、敬介は目を白黒させる。
「―――っ、何故分かった?」
「さっき、これまでの同行を聞いていたから。……僕も、あの人には謝っときたかったんだけどね」
アルレッキーノは自分を庇おうとしてくれたというのに、ドラスはアルレッキーノを背後から撃った。
当時は何も感じなかったというのに、その過去が今になってドラスに圧し掛かっているのである。
両者沈黙のままで時計の短針が数回動き、敬介が遠くを見つめながら拳を握り締める。
「これで許されるとは思っていないが、彼の分まで俺は人を守ろう。出来るだけ多くの人を」
はっとしたように目を見開いたドラス、強い意志を込めた視線を敬介に向ける。
「……そうだね。僕も、人を――――――」
あえて口に出さず、ドラスは噛み締めるように決意を固めた。
「それにしても」
思い出したように、口を開く敬介。
「怪我人は邪魔だから治ってから来い―――とは、自分でやっておきながら」
傷が塞がりかかっているとはいえ、未だに痛覚を刺激する胸に視線を向ける。
両腕の骨折も回復途中であり、着替えたはずの服も既に血塗れだ。
しかしドラスから話を聞いていた為に、敬介に怒りの感情は無かった。
「無茶をするんだな、彼は」
軽く頬を緩ませた後、ドラスは妙に真剣な表情になって呟く。
「うん、本当にナタクはやってくれるよ。……本当にね」
◇ ◆ ◇
余計な体力消耗を阻止しようとベルトコンベアの上で佇んでいたエックス、急遽走り出す。
彼のいる場所が、立ち入り禁止区域に設定された。
実際に禁止区域となるのは一時間後だが、道中で足止めをされてしまう恐れも無きにしも在らず。
必ず平和な社会を実現させる為に、エックスは危険なルートを最短で抜けようと断を下した。
連絡通路を全速力で駆け抜けて雪原ゾーンに到達、シャトル発着場を目指す。
イレギュラーを破壊する鬼として彼が取るのは、凍て付いた機械的思考だった。
連絡通路を抜けたエックスは、南下する前に周囲を見渡す。
破壊すべきイレギュラーが潜んでいるのは、シャトル発着場だけとは限らない。
何度か首を捻った時、彼は知った者を視界に捉える。
方向は北。異なる区域とはいえ、その最北端と最南端にいるが故に、エックスの瞳に彼が知る参加者が映し出される。
「……X、何故―――」
エックスが呟いたのは自分の名前ではなく、仮面ライダーXこと神敬介。
かつてエックスは、暴走していた神敬介と死闘を演じた。
最終的に、敬介は息を引き取った―――はずだった。
ところが落命したと伝えられた敬介は、少女と談笑している。
無作為に他人に襲い掛かるイレギュラー、そしてイレギュラーと戯れる少女。
半日前は神敬介を止めるために戦ったが、今のエックスは冷え切った眼差しを敬介に向け―――、
「今更生きていたところで、何も変わらない」
気付かれぬうちに息の根を止めようと、エックスは備え付けられたバスターを構える。
エックスには、右腕がかつて敬介と戦った時よりも、遥かに軽くなっているように感じられた。
しかし、エネルギーを蓄え終え、いざ撃つという時だ。
軽い炸裂音に気付いたエックスが、両脚をバネとして雪を蹴る。
既に発射しかけていたエネルギー弾は止められず、跳躍の衝撃であらぬ方向へ。
結果、エックスが狙っていた二人―――敬介とドラスはエックスの存在を悟ってしまう。
だが、エックスは自分の行動を後悔したりはしない。
何故なら―――エックスがいた場所を、無数の銃弾が通過していったから。
状況を見定めようとするエックスだったが、落ち着きを取り戻すのを先立てて、声がかけられる。
その方向には岩があっただけなはずだと、エックスは着地するや否や首を回す。
「―――いい反応だ」
声の主は、右腕を機関銃へと転換させた蓮花の化身。
体毛を風に揺らす白い長毛犬の上で、彼もまた引き上げた赤い髪を靡かせていた。
岩陰に潜んでいたナタクは、彼の持つ嗅覚でエックスの接近に気付いたのである。
ナタクの乗る犬の巨大さに呆然とするエックスに、ナタクは話を続ける。
まるで、遊具を前にした子供のように。
しかし湧き立たせるのは、無邪気とは言い難い気配。
「ちょうどいい、俺と戦え。貴様から仕掛けてきておいて、断るとは言わさんぞ」
対する白い皮を被った青鬼、一切の返答は無い。
されどエックスの氷塊じみた視線は、十二分に応戦の意を含有したもの。
纏う“ファルコンアーマー”の持つ自在移動の名を冠する特殊技能にて、高く跳躍して空中で静止。
エックスは、右手に備え付けられた砲台にエネルギーを充填する。
目の前の光景に、ナタクは微笑を隠すことが出来ない。
チャージする様子が、“金磚”という元の世界での所持兵器に酷似していたからだ。
エックスを殺すのは既に決断済みが、それだけでは済まさない。
その後に――――――装甲と右腕を千切り取る。
さらに装備品が充実する未来に、ナタクは胸を高鳴らせる。
「消えろ、イレギュラー」
限界まで蓄えたエネルギーをエックスが解き放つも、ナタクは“哮天犬”の敏捷な動作で回避。
回避動作の隙を狙って、“フリームーブ”でにじり寄らんとしていたエックスだが、“マシンガンアーム”の乱れ撃ちに戦略的撤退を迫られる。
苦々しい表情で宙を旋回するエックス。
追随しつつ、笑みを絶やさずに釣瓶撃ちを止めようとしないナタク。
一見しただけでは、先手を打った方がどちらなのか間違えてしまいそうな―――そんな奇妙な光景だった。
「どういう……こと……」
気が抜けたように、上空で繰り広げられる空中戦を見守るドラス。
ゼロから本来のエックス像を聞いているので、エックスの不意打ちに困惑するのは尤もな事だ。
一瞬悩んだ後に、敬介は彼の知ることを話す。
修羅に堕ちたエックスを、止めようと思っていたのだ―――と。
それを聞いたドラスは、空中を駆け抜けるナタクに声を張り上げる。
「ナタク。そのエックスって人は、元は悪い人じゃないっ。何かがあって、変わってしまったらしいんだっ」
しかし返ってきた言葉は、ドラスにとって予想外な物。
「だろうな」
初めてシグマと対面した時のエックスを、ナタクは覚えていたのである。
返答しながら、ナタクはマシンガンアームから弾丸を放つ。その勢いは、例えるなら驟雨。
エックスが放った貯め無しのエネルギー弾は、全てがナタクの放った銃弾と相殺。
飛び散る薬莢を意に介さず、エックスが放つよりも遥かに多くの銃弾を、ナタクは撃ち続ける。
しかしそれらはフリームーブのエネルギーに阻まれ、エックスに届くことは無い。
第四の組織に所属する真紅の怪人の銃剣ならば、阻止されようとも弾丸は届くだろうが―――、
四番目の正義愛用の機関銃は、生憎なことにそこまでの威力は持ち合わせていなかった。
「イレギュラーは―――戦おうとする者は、全て排除する。
全てのイレギュラーを排除しなければ、平和も自由も訪れない―――そう、悟ったんだッ」
決意を改めて口にしたエックスは、双瞼を見開いてコロニーの天井を蹴り飛ばす。
作用反作用の法則に従い、蹴った威力の分だけ下方向へと急加速する。
囲まれていた弾幕から逃れて、雪を踏み締める。
一方的に攻め立てていたように見えるナタクだが、放った弾丸は一発もエックスに命中していない。
マシンガンアームの火力に舌打ちして、ナタクは再びドラスに話しかける。
「平和に自由―――か。こいつと同じことを考えている馬鹿が、俺の知り合いにいる。
人間界と仙人界の両方の平和を求めている、太公望という大馬鹿がな。
奴は確かに馬鹿だが、このエックスは間違いなく奴より弱い。こいつは奴の足元にも及ばない雑魚だ」
ナタクの暴言に、バスターにエネルギーをチャージしているエックスが吐き捨てる。
「黙れ……」
知ったことかと言い放って、ナタクはドラスへと向き直る。
「奴は、仲間を失っても泣き言は言わん。
人間が死んでも、仙人が死んでも、後ろを振り返ることは無かった。少なくとも俺は見たことが無い」
「黙れと、言っているッ」
声を荒げながらの、二度目の静止命令。
だが、ナタクは聞く耳を持たない。
「同じようなことを言っていながら、こいつは何だ。
仲間が死んだか知らんが、ドラスや神敬介の不意を付こうとするなど、気でも狂ったのか。
ただの雑魚だ。奴と同じことを言いながら、奴と違って目的を見定めることが出来ていないのか」
エックスの右腕が響かせていた重低音―――チャージ音が止まる。
それは即ち、フル充填完了の知らせ。
さながら日本刀のような鋭い視線を、エックスはナタクに向ける。
「嗚呼、成る程」
ナタクは何か確信を得たかのように、エックスと視線を合わせる。
「―――貴様は、抱え切れぬ程に大きすぎた目的から逃げ出したのか」
「黙れ、黙れ、黙れ黙れ、黙れ黙れ黙れ黙れ――――――ッ」
喉を削るような、甲高い絶叫。
たった一回地面を蹴っただけで、コロニーの天井付近まで到達する。
フリームーブを使い、そこで静止。
限界までエネルギーを蓄えたバスターを、ナタクへと向ける。
「最初のように、避けてくれても構わない」
ナタクだけに聞こえる程度の声量で言うと、エックスのバスターから細長いエネルギーの塊が放たれる。
貫通性に特化したファルコンアーマーの“スピアチャージショット”。
回避しようとしたナタクだったが、エックスの言葉に違和感を抱き―――気付く。
ナタクより高い地点からの射撃故に、もしも回避すれば地上にいるドラスや敬介に当たる可能性がある。
神妙な顔で話し出した彼等には、エックスの言葉は届いていない。
今から二人に忠告したところで、避け切れるかは難しい。
だからこそ、ナタクは右腕を迫るエネルギー弾に向ける。
マシンガンアームの銃弾が、エネルギー弾を削り取る。
しかし、如何せん元の火力に差がありすぎる。
僅かに小型化したものの、スピアチャージショットは必殺の威力を保ったままでナタクへと迫る。
ナタクの鼻先までエネルギー弾が到達―――だが、ナタクは微笑を浮かべたまま。
跨っていた白い犬から飛び降りて、その犬の名を呼んでやる。
「哮天犬」
瞬間、犬―――ではない。“天才道士”愛用の“宝貝”が加速する。
城壁をも食らう巨大宝貝“花狐貂”すら一撃の元に破裂させた哮天犬は、フルチャージされたエネルギーの結晶と拮抗し―――炸裂音。
スピアチャージショットは、塵となって大気中に融解する。
哮天犬の方も勢いを失うも、ナタクの動けとの命令によりすぐに宙を駆け出す。方向は下。地面に激突する前に、ナタクを掬い取る為。
目を丸くするエックスに対し、自由落下しているナタクが右腕を向ける。
そしてナタクが装着していた腕輪―――“乾坤圏”が放たれる。
風を切る音によって乾坤圏の接近を知ったエックスは、フリームーブのエネルギーをバリアとして防ごうとする。
しかし乾坤圏は見た目に反して、甚大な威力を秘めた宝貝。
一撃で以って、エネルギーの防護壁を粉砕。
幾分軽減したスピードでエックスの顔面を砕きに行くも、鈍器代わりにされたエックスのバスターに打ち据えられて落下する。
目を見開いたエックスは、視界に捉える。
スピアチャージショットを粉砕した白い犬が、再び接近してきていることに。
その背中には、落下していたナタクが跨っている。
そして犬の口には、乾坤圏が銜え込まれていた。落ちていったのをキャッチしたのだろう。
最大まで威力を上げたスピアチャージショットは消え去り、エネルギーの膜は砕かれる。
予期していなかった事態に驚愕するエックスだが、それで戦意を失くすわけではない。
接近してくるのならば迎え撃つだけだと、強い意志で宙を駆けるナタクを見据える。
エックスの元まで、ナタクは瞬く間で距離を詰めた。
瞬間、ホバリングした状態で放たれるエックスの回し蹴り。
完全にナタクを捉えるはずの蹴りは、パワーアームに変形させた右腕に軽く遮られてしまう。
受け止めたエックスの右脚を左腕で掴み、ナタクは力任せに振り回して投げつける。
俗に言うところの、ジャイアントスイング。
どこぞに衝突するのを恐れて、エックスは空中で勢いを緩めようとする。
―――然れども、それが命取り。
いっそ勢いに任せてしまえば、よかったというのに。
「遅かったな」
中途半端に減速するから、哮天犬に乗るナタクに先回りされる。
振り向くよりも早く、首元を掴まれる。吊り上げられた魚のように。
ファルコンアーマーの能力で移動しようとするが、既に加速しているのならともかく、静止状態からの移動である。
そんなもので、ナタクの腕力を逃れられる道理など無い。
エックスの取った戦術に、過ちはほぼ皆無。前述したジャイアントスイングの際くらいか。
空中を移動する術があるのなら、それを存分に使うのはセオリーである。
ただ空中における戦闘経験ならば、生まれし日より飛行宝貝“風火輪”を所持していたナタクに劣った。たったそれだけのこと。
「――――――雑魚は死ね」
ナタクはぶっきらぼうに言うと、カセットを抜き取り再び右手に装着した乾坤圏を、エックスの頭部に押し当てた。
ダメージを一定以上受けていないが為、エックスはギガアタックを放つことも出来ない。
歯噛みするエックスの瞳は、自分の不甲斐なさを痛感して湿っていた。
「待って、ナタク」
唐突に下界から浴びせられた声に、ナタクは首を下ろす。
視界に入ったのは、ドラスと―――姿を変えた神敬介だった。
◇ ◆ ◇
絶叫と共に、エックスが再び空中に舞い戻った頃。
エックスとナタクのやり取りを目の当たりにしていた敬介が、傍らのドラスに尋ねた。
「彼はエックスを殺すか?」
一瞬未満の思考時間で、ドラスは答えを導き出す。
「だろうね……今のエックスに、ナタクが慈悲をかけるとは思えない」
ドラスにも、ナタクを止める気はない。
過去のエックスがどういう人格であったかは知っているが、今のエックスは何かに縛られている。
理解しようの無い理想を抱いた様は、まるで凝り固まった思想だけで動く狂戦士。
スバル・ナカジマとは違い、明確に誰かに嵌められたというわけでもない。
ドラスはそのように考えたが、敬介は違った。
「俺は……彼を説得したい」
硬直してしまったドラスに、敬介はさらに。
「ここにいるのは、彼の言うイレギュラーだけではないと伝えたい。
一度でいい。それで戻れなければ全力で彼を倒す。それで、彼がかつて信じた力の強さを見せ付けたい」
口を開いたままだったドラスは、何度も敬介の言葉を反芻する。
エックスがナタクに放り投げられた頃、ついにドラスは敬介の言葉を理解して頬を緩ませた。
一度は悪魔となった男が、あまりにも彼の先輩である風見志郎に似ていた故に。
そして、ドラスは右手を敬介に伸ばす。
「分かった。その話、僕も乗るよ。一度ナタクに攻撃の手を緩めてもらうよう、頼んでみる」
言いようの無い感情を胸に、敬介はドラスの手を握り返した。
「時間が無いね……」
そう呟くドラスの視線の先では、エックスがナタクに掴み上げられていた。
敬介が、両腕を大きく広げる―――何も喋らずに。
そのことに疑問を抱いたドラスは、少し前に自分が敬介に言った言葉を思い出す。
先程は敬介が“言うに相応しい戦士”ではないと思っていたが、今は違う。
「言っていいんだよ。あなたは紛れも無い風見さんの後輩―――――仮面ライダーなんだから」
かけられた言葉に、敬介は思わず目を見開いてしまう。
そしてたった五つの音から構成される感謝の言葉を漏らすと、次に言い放つのは決まり文句。
「―――大変身」
洗脳から解き放たれた敬介は、名も無きサイボーグとなった。
自らを、“仮面ライダー”に相応しくないと思い込んで。
しかし、被害者は認めた。敬介は“仮面ライダー”を名乗っていいと。
ここに名も無きサイボーグは、再び名前を手に入れ―――第五の戦士は再誕する。
「仮面ライダーX!」
姿を変えた敬介は、“仮面ライダー”としての二度目の生を許してくれたドラスに再誕を宣言。
ドラスは仮面ライダーXに微笑みかけ、上空のナタクに声をかける。
◇ ◆ ◇
「待って、ナタク」
青髪の少女が、俺を掴んでいる赤髪のイレギュラーに待ったをかける。
彼女はイレギュラーではないのだろうか。
少し疑問に思うが、Xと同行しているのだ。イレギュラーと見るのが妥当だろう。
しかし、彼女の横にいるXの様子がおかしい。
俺と戦った時は、理性など無いバーサーカーのような男だったのだが。
……構わない。正気を取り戻したにせよ、あの時は確実にイレギュラーであったのだ。
その事実がある以上、排除するのに変わりは無い。
―――変わりは無いが、問題は現状をどのように打破するかだ。
赤髪のイレギュラー、ナタクの力は強い。力任せに体を動かしても、微動だにしない。
「何だ。こいつを殺してからではいかんのか?」
「エックスを説得したいんだ……」
青髪の少女の提案は、全く以って下らない事だった。
俺を説得する、か。
イレギュラーに優しさを向けた結果、何が起こるかも深く考えずに。
あまりに甘すぎて、反吐が出る。
この胃もたれするほどの甘ったるさは、もはや悲しみを生み出すイレギュラーの域に達している。
罪の意識の有無など関係無い。排除する。
決意した瞬間、何故か胸が痛む。そんな俺自身が許せない。
感情を押し殺し、一体のイレギュラーとしてイレギュラーを破壊する。
そうでなければならないのに、こんなことならば最初からイレギュラーとして生まれたほうがマシだった。
少女の甘ったるい提案のおかげで、束の間でも束縛を解除されれば―――、
「無駄だ」
断定されてしまう。
イレギュラーながら、賢明な判断だ。
「頼む、ほんの少しでいいんだ。エックスと話をさせてくれ」
今度は、Xから提案。
元イレギュラーかと思えば、この甘すぎる考え。未だイレギュラーか。
失笑ものだ。イレギュラー風情に哀れまれている俺自身も、同様に。
ナタクの返答は無い。
そこまで迷うことも無いだろうに、などと思っていれば予想外の言葉が背後から聞こえた。
「いいだろう、数分だけくれてやる」
好機到来かと思いきや、拘束は継続するらしい。
このナタクというイレギュラー、戦闘力だけでなく甘さが無いという点でも強者だ。
これまで出会ったイレギュラーの中でも、強い部類に入るだろう。
「―――、―――――――――」
「―――――――――。―――」
少女とXの口から飛び出るのは、妄言。
周りはイレギュラーばかりではないとは、笑いを取りに来ているのだろうか。
ソレを言うのが、イレギュラーであるというのに。
「―――。―――――――――」
「―――――――――、―――」
「―――、―――――――――」
「――――――。――――――」
曖昧な首肯を繰り返し、隙を伺う。
下らない音声、耳から耳へと垂れ流す―――イレギュラーである俺自身の中に迷いが生まれぬように。
イレギュラーの甘さが生んだ数分の猶予の内に、体勢を立て直さねばならない。
◇ ◆ ◇
「あの男……、何をしている」
全力で走っていたチンクは、目に入った場景に思わず吐き捨てる。
視界に入ったのは、エックスのを首根っこを掴んでいるナタク。頭部には、乾坤圏を押し付けている。
エックスは絶対に信用できるというゼロの情報、そしてよく知るナタクの好戦的な態度。
それらを参考にして、チンクの頭脳は誤りの回答を導き出す。
―――ナタクが“自ら戦ったりしないエックス”に襲い掛かったのだと。
もしも、もう少しチンクが彼等に接近していたなら、ドラスやXライダーの言葉から真実を得られただろう。
しかしそれは現実ではない、“if”の話。
エックスは被害者だと判断した刹那、チンクは肩にかけていたデイパックに手を突っ込む。
慣れない雪の上を走ったためか呼吸が乱れているが、チンクは気にも留めない。
“弟に罪を背負わせようとするナタク”を止めるために、強硬手段も辞さないと決断。
チンクは金属片を幾らか手に取ると、ナタク目掛けて投擲した。
殺意は無いとはいえ、ナタクの力を知っているチンクは、金属片がナタクに触れる寸前で爆破させようと画策。
死角である背後に現れたチンクに、エックスは気付かない。
地上で戦況を見るXライダーとドラスは、上空に視線が行っているためにエックスと同様。
ナタクは嗅覚からチンクの接近に勘付いた―――が、よもや攻撃されるとも思っておらず振り向こうとすらしない。
手を伸ばせば届く距離に、“爆破物”が肉薄しているというのに。
――――――そして、悲劇の幕が開く。
「IS」
―――善意によって齎される呪詛。
「発動」
―――其れは、まるで小鳥の囀りの様に。
「ランブル」
―――其れは、まるで喜びを詠うかの様に。
「デトネイター」
―――静かにして力強く、緩慢にしてはっきりと、爆ぜよとの術者の意思を包んで、遂に紡がれ―――
―――――――――朱い焔が、ナタクを抱き締める様に包み込んだ。
――――――――――――翅を引き千切られた蝶の如く、背を焦がしたナタクは力無く地面に引き寄せられていく。
「チンク……お姉、ちゃ……ん?」
爆発の正体に最初に気付いたのは、何度かチンクのISを見たことがあるドラス。
信じられないといった面持ちで首を動かし、ついに銀髪の姉を見つけ出してしまう。
一点を見て硬直したドラスに疑問を抱いたXライダーも、チンクに気付く。
どこか様子がおかしいと、チンクも今になって不穏な気配を感じる。
状況を理解しようとしている三人に、上空から声を投げつけられる。
「またか」
落下したナタク、その先のドラスとXライダー、エックスの背後に佇むチンク。
ゆっくりと四人を見渡すと、感情の篭っていない―――否。
感情の波を封鎖した声で、白い鎧を纏ったエックスは淡々と告げる。
「また、イレギュラーなのか」
言い終えた瞬間、表情の無かったエックスの顔面に鬼が宿る。
フリームーブを存分に行使して、エックスは宙を奔り抜ける。
背を焼かれて落下する途中、白犬に自らを掬わせたナタクの方へ―――ではない。
未だ意識を手放していないナタクと再び対峙する前に、他のイレギュラーを排除する。
自身を追い詰めたナタクを評価して、エックスはそのように判断。
Xライダーとドラスの二人は互いに近い距離にいるので、後に回すことにした。
そうなれば、残る選択肢は一つだけ。
右腕から機械音を響かせ、エックスは駆けていく―――立ち尽すチンクの方へと。
◇ ◆ ◇
欠けた箇所の無い月の光が、単に白いだけであった雪原を幻想的に彩っている。
怪しく、どこか妖艶さも醸し出しながら、照らし出される氷の結晶。
紫がかって見える雪に、少しずつ上昇する琥珀色の望月、遠くで灯り始めた街灯。
さらに雪原特有の乳白色の霧が薄く立ち込め、周囲の景色を淡く変えていく。
浮世離れした神話じみた世界で、交叉したのは―――最悪の思い違い。
ナタクと敬介が何もかもを曝け出していれば、悲劇は起こりえなかった。
微かな善意が廻り回って、混沌を巻き起こす。
然れども真なる哀しみは、その他にある。
居合わせた五人。皆が皆、心に悪意など持ち合わせていないという事実。
ただそれだけであり―――、それだけが悲劇の悲劇たる所以の全て――――――。
【D-2 雪原(南)/一日目 夜】
【エックス@ロックマンXシリーズ】
[状態]:深い悲しみ、現実への絶望と失望、鋼の心、爆風により装甲に凹み。
[装備]:ファルコンアーマー@ロックマンX5
[道具]:PDA(エックス、あ~る、バロット)、クロマティ高校の制服@魁!!クロマティ高校 グロスフスMG42(予備弾数20%)
NIKU・Q・マックス@サイボーグクロちゃん、メカ救急箱
[思考・状況]
基本思考:戦う者、戦わせる者、戦いを広げる者、戦う意志を持つ者――全てが敵だ
1:周囲のイレギュラーを殲滅する。まずはチンク。
2:左上コロニー、左下コロニー、右下コロニー、とシャトル基地を回る。
3:T-800の休戦の提案を本気にしていないが、T-800の思惑に乗ってイレギュラーどもを潰す。
4:戦っている者を、誰であろうと潰す。
5:戦わない者は基本放置。だが、戦う意志があるのなら潰す。
6:ゼロと合流。ただし、賛同を得られず、戦うことになったら潰す。
7:ロックマンの仇を討ちたい。
8:シグマは潰す。絶対に、確実に潰す。
9:全てが終わった後、自分自身を破壊する。
[備考]
※神敬介の名前をXだと思っていましたが、勘違いだったと思っています。
※ライドアーマー“イーグル”@ロックマンX4は破壊されています。
※ファルコンアーマーの制限。
1.フリームーブの時間は、本来の半分。
2.フリームーブによる特定のダメージの無効はない(ただし、威力の軽減はある)。
※他にも、ファルコンアーマーの制限はあるかどうか不明。後の書き手さんに任せます。
※ロックマンの“思い出”を知り、ロックマンについて大まかな知識を得ました。
【神敬介@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:胸部破損(大)、疲労(小)、後頭部にダメージ(中)、顔にダメージ(小)、生命の水を摂取、強い罪悪感、深い悲しみ、強い決意、回復中、両目と前髪が銀色、両腕にひび
[装備]:作業用のツナギ@現地調達品
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:『仮面ライダーX』として戦い続ける。最期の瞬間まで、全力で。
1:現状に困惑
2:エックスを止める。
3:本郷と合流。
4:風見の遺した希望を、殺し合いの転覆を目指す者達に伝える。
5:俺の体は一体どうしたんだ?
[備考]
※第一放送の内容を知りました。
※フランシーヌ人形の『生命の水』を摂取し、自己治癒力が促進されています。“しろがね”と同じようになるのか、その他の影響があるかは次の書き手様にお任せします。
※コロンビーヌの容姿(旧式)を聞きました。
※自身の体の異常(しろがね化)に気付きました。
【ドラス@仮面ライダーZO】
[状態]:全身打撲、コアにダメージ。中程度の損傷&疲労。右腕がスバルのもの。悲しみ。自分が求めていたものが『家族』と自覚。
セインを四、五歳幼くした状態に擬態。ただし、生えている
[装備]:ラトゥーニのゴスロリ服@スーパーロボット大戦OG、メカ沢の学ラン@魁クロマティ高校、オルゴール付き懐中時計@仮面ライダーZO
[道具]:支給品一式×6、PDA(ドラス、マルチ、ノーヴェ、ロボ、アラレ、シュトロハイム、城茂)
荷電磁ナイフ@マルドゥックスクランブル(D-3基地に放置。呼び出し可)
スタームルガー レッドホーク、装弾数0/6@ターミネーター2(D-3基地に放置。呼び出し可)
ぎんのいし@クロノトリガー、液体窒素入りのタンクローリー@ターミネーター2 (D-3基地に放置) タイムストッパー@ロックマン2(メカ沢の胴体部):ロボのPDA
はちゅねミクのネギ@VOCALOID2(E-3道路に放置)メッセージ大砲@ドラえもん(E-3道路に放置) 拡声器@現実(E-3道路に放置):アラレ、及びシュトロハイムのPDA。
転送可能 スモールライト@ドラえもん(残り四回)、テントロー@仮面ライダーSPIRITS:城茂のPDA
サイドマシーン@人造人間キカイダー
[思考・状況]
基本思考:二度と家族を失わない。
1:現状に困惑。
2:D-3の基地に戻り、仲間と合流。
3:チンクを守る。
4:スバルをまだ正気に戻したいが……。
5:ギンガ、凱、灰原の死にショック。
[備考]
※自分が未完成品、仮面ライダーが完成品だと勘違いしています。
※チンクを姉として強く慕っています。
※無意識の内に罪悪感が芽生えつつあります。
※志郎の言った10人ライダーの中に仮面ライダーZOがいると思い込んでいます。
【チンク@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:疲労中、全身に中ダメージ、固い決意、ノーヴェの死を悟り悲しみと憤怒、姉妹の仇を討つ決意、風見の死を知りショック
[装備]:金属の詰まった平凡なデイバッグ(中身60%消費)@ゴミ処理場
[道具]:PDA(チンク、メカ沢、灰原、ロックマン)、ナイスなグローブ×2@パワポケシリーズ、ツバメ@クロノトリガー
ゆうしゃバッジ@クロノトリガー。ガトリング砲@サイボーグクロちゃん(弾切れ)
ダンボール@メタルギアソリッド、大型スレッジハンマー@ジョジョの奇妙な冒険、五光石@封神演義、アトロポスのリボン@クロノトリガー
[思考・状況]
基本:シグマの破壊。
1:現状に困惑。
2:ドラスをつれて、ゼロの元へ戻る。
3:姉として、弟(ドラス)を守る。
4:本郷、エックスとの合流。スバル、ハカイダー、メガトロン、ボブ(T-800)は警戒。
5:殺し合いに乗った危険人物には容赦しない。
6:スティンガー、シェルコートを手に入れる。
7:日付が変わる頃、スクラップ工場へ向かう。
[備考]
※参戦時期は本編終了後です。
【ナタク@封神演義】
[状態]:全身にギンガ戦のダメージ(中)、背中に重度の火傷
[装備]:哮天犬@封神演義、アタッチメント@仮面ライダーSPIRITS、混天綾@封神演義、乾坤圏@封神演義(左腕の方は修理が必要)
[道具]:支給品一式、高性能探知機(バッテリー切れ) 、サイクロン号@仮面ライダーSPIRITS
[思考・状況]
基本思考:家族を亡くしたドラスは悲しませたくはないが、他者と馴れ合うつもりはない。強い敵と戦う。弱者に興味はない。シグマは殺す。
1:現状に困惑。
2:エックスを殺し、鎧と右腕を奪う。
3:D-3の基地に戻り、仲間と合流。
4:武器を探す(宝貝優先)。
5:城茂は殺していなかったようだが、T-800は殺す。
6:強い奴と戦いたいが、ドラスを放っておけない。
7:奪った道具は、チンクとゼロと合流出来次第返してやる。
[備考]
※仙界大戦終了後からの参戦。
※アタッチメントを右腕に装着しています。
※右腕は、修理工場の冷凍庫にて冷凍保存されてます。
*時系列順で読む
Back:[[嵐の前(後編)]] Next:[[因果は巡る]]
*投下順で読む
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|135:[[WILL-雪融け(後編)]]|ゼロ|142:[[狂い咲く人間の証明(1)]]|
|135:[[WILL-雪融け(後編)]]|チンク|142:[[狂い咲く人間の証明(1)]]|
|135:[[WILL-雪融け(後編)]]|ドラス|142:[[狂い咲く人間の証明(1)]]|
|135:[[WILL-雪融け(後編)]]|ナタク|142:[[狂い咲く人間の証明(1)]]|
|135:[[WILL-雪融け(後編)]]|神敬介|142:[[狂い咲く人間の証明(1)]]|
|135:[[WILL-雪融け(後編)]]|ハカイダー|142:[[狂い咲く人間の証明(1)]]|
|135:[[WILL-雪融け(後編)]]|フランシーヌ|142:[[狂い咲く人間の証明(1)]]|
|137:[[泣けない青鬼]]|エックス|142:[[狂い咲く人間の証明(1)]]|
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