「悪」(2009/10/22 (木) 22:35:47) の最新版変更点
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**悪 ◆2Y1mqYSsQ.
「う……ここは……」
「ふん、戻るところだ。話はキサマの体調が万全になってからだ。文句は言わせんぞ」
サブローの声にゼロはもう大丈夫だ、とだけ答える。サブローは構わずアクセルを捻り続けた。
ゼロは無言で目を伏せて、かつて友だった狂人の亡骸を思って振り向く。時々うめき声が漏れて、ゼロの無念をあらわしていた。
黒装束に黄色のマフラーを巻く男、サブローは背後のゼロをあえて見なかった。正義を捨てた男に、かつて友だったゼロがどう思うか。
サブローに分かりはしない。凱も風見も死んで惜しいと思うことはあれど、悲しいと感じる心などないのだから。
無言だったサブローに、ゼロが話しかけてきた。
「あいつは……エックスはいい奴だったんだ……。いい奴で……それで…………」
「そうか」
大人しく後部座席に乗るゼロに、上の空で返しながらサブローはバイクを加速させる。正義を捨てたエックスに興味はない。
もっと言えば、本来なら正義の味方にサブローは興味がないのだ。サブローが求めるものは…………
□
「私は何も知りませんでした……」
フランシーヌがとつとつと、傍らで素直に耳を傾ける少年へと語りかけていた。歌うような声の響きに、ドラスが聞きほれそうになっている。
ゼロとサブローの帰りを雪原の上で待ち、自らの罪をドラスに聞かせていたのだった。
創造主に捨てら、フランシーヌは自分が『真夜中のサーカス』の団長になり笑う方法を探して人を殺めたこと。
いつ終わると知れぬ旅に疲れ、自分を慕う自動人形を見捨てたこと。
正二とアンジェリーナを探し、エレオノールとであったこと。
エレオノールのことをうれしそうに、それでいて磨耗した心を吐き出すようにドラスへと聞かせた。
(エレオノールに会いたい……)
それは叶わぬ夢だとフランシーヌは思う。自分はあまりにも罪を重ねすぎた。
そして無力の悔しさ。力を制御していた頃には気づかなかった、守れないときの虚しさを味わっている。
エレオノールのときも、ミクのときも、バロットもラミアも、フランシーヌは力がなくて悔しい思いをしてきた。
正二に身体能力を落としてもらわなかったのなら、と考えたことも一度や二度じゃない。
敬介もドラスが姉と呼んだ少女もフランシーヌには目の前で失うのを、見届けることしか出来なかった。
フランシーヌの話がラミアとアルレッキーノの死までくると、ドラスが顔を覗き込んできた。
「お姉さんも悲しいの?」
ドラスの言葉に、フランシーヌ自身が初めて『悲しみ』という感情が宿っていることを自覚した。
同時に、遠方からバイクの排気音が聞こえてくる。サブローたちの帰りを告げる音であった。
帰ってきたゼロに、なぜか少女の格好をしているドラスという少年が近寄ってくる。仲間なのだから当然なのだろう。
降り積もる雪の上の比較的硬いところに、KATANAのスタンドを立てて放置する。
雪の上でも移動できたのは、サブローの持つエアークラフトを要所で使ってバイクを操作していたからだ。
そんなことは置いておき、ゼロはサブローに借りがある。あのドラスという少年も見たところ力があるようだ。
フランシーヌとドラスの姿に、サブローは光明寺姉弟を思い出した。だが、それだけだ。
ゼロだけでなくあのドラスという少年も力を持っている。敬介の思いを受け取ったのかどうかは知らないが、その力を正義に使うようだ。
だからといってサブローはドラスへと興味を示さない。子供はマサルを思い出す、ということもあるのだが、単純にキカイダーを重ねようがないという理由だ。
サブローにとって最終目的はキカイダーを倒すこと。だからこそ同じ志を持ち、キカイダーが重なる仮面ライダーやゼロ、凱に興味を持ったのだ。
キカイダーがキカイダーとなすものは何か? サブローには理解できないのだが、ゼロや凱、仮面ライダーは重なってドラスは重ならない。
本能的にそれが分かる。だからこそ、力と正義があろうとドラスに興味を持つことがなかった。
「どこへ行くのですか? サブロー」
「決まっている。メガトロンたちを破壊する」
「お前に話があるといったはずだ」
尋ねられたから返しただけだが、フランシーヌだけでなくゼロまで干渉してくる。幾分鬱陶しく思いながらもサブローは視線を鋭くして、どけと告げた。
ゼロはその視線を真っ向から受け止めている。そのサブローに、ドラスが近寄ってきた。
「ねえ、サブローさん。一人で向かうなんて無謀だよ」
「だからどうした。俺は奴らを許さん。それだけだ」
「そんなにアルレッキーノさんたちの死が悲しいの? でも、怒りに任せるだけじゃ相手の思うツボだよ!」
「そうです、サブロー。アルレッキーノたちがあなたの行為を喜ぶとは思えません」
ドラスとフランシーヌの言葉に、サブローは目を丸くしてドラスを見た。やがて俯いて、クックックと笑いながら肩を震わせる。
死が悲しい。奴らの仇を討つために怒りに震わせている。
女子供の考えそうなことだ。サブローは……破壊者は嘲るように笑った。
「ハカイダー……?」
「クックック……まさかフランシーヌ。キサマは俺が奴らの死を悲しんでいると思っているわけじゃないだろうな?」
「……私はあなたに心があると思います。ですから……」
「違うな。あいつらが死んだことはどうでもいい」
サブローの言葉にフランシーヌが驚きを示した。ドラスは正直に怒りの視線を向けてくる。
ゼロはサブローと戦ったおかげだろう。冷静にそうか、とだけ呟いた。
「つくづく……本郷と決闘を約束してからケチがつきっぱなしだ。奴との戦いまで手を出さないと決めたキサマは傷を負った。
本郷の仲間が死に、奴との決闘において泥が塗られた。なにより!」
サブローの身体から怒気が昇る。そうだ、それが最も許せない。
「俺にこれ以上決闘に泥を塗らせないためとはいえ、背を向けさせた奴らを……許せるはずがないッッ!!」
サブローの魂の慟哭が、雪が降りしきるコロニー地帯で響いた。
地獄の底から響く、煉獄の炎の熱さは絶対零度の冷気だろうと、凍らせることは叶わない。
サブローの誇り。それは他者の命よりも、自分の命よりも優先するもの。
それを傷つけたメガトロンとコロンビーヌだけは、八つ裂きにするつもりであった。
サブローは背を向けることも、背を向ける者も嫌いだった。だからこそ最初のZXとの戦いでは背を向けず、また背中から攻撃することはなかった。
そうまでしてフランシーヌを連れ出したのはひとえに、キカイダーを重ねた本郷との決闘に泥を塗らないため。
アルレッキーノやラミアはなぜか知らないが、自分がただフランシーヌを守るだろうと考えたらしい。
そして、フランシーヌはアルレッキーノとラミアの死を悲しみ、自分が仇を討つのだと思っていたのだろう。
虫唾が走る。
アルレッキーノが決闘を挑んで戦っても、サブローの心は燃え上がらなかった。
サブローが心を燃やす戦いはキカイダー、そしてキカイダーと重なるもののみ。
ゆえにリュートを武器として使うアルレッキーノとの戦いにおいて、ゼロバスターは使っていない。
仮面ライダーやゼロはキカイダーとの戦いに負けない充実感があった。いったいそれが何か分からないが、キカイダーと重ならないアルレッキーノとの戦いに心躍らせるはずがない。
アルレッキーノの決闘を受けたのは、本郷との決闘が延期になった八つ当たりだ。
ゆえにメガトロンたちに対する怒りは、アルレッキーノとラミアを殺されたことでは断じてない。
もちろん、アルレッキーノとの決闘を邪魔されたことでもない。
奴らへの怒りの理由は二つ。
本郷との決闘に泥を塗られた。そしてサブローへと背を向けさせた。
その二つだけは許せない。特に後者は万死に値する。
サブローの本来の名はハカイダー。破壊するもの。ハカイダーが破壊するための、絶対厳守のルールがある。
そのルールを破らせた二人はサブローに深く、なおかつ冷静な怒りをもたらせた。
鬼。
エックスとは違う、戦うためだけの鬼がいた。
「そうか、なら……」
ゼロがカーネルのセイバーの柄を向けて、サブローの正面に立つ。風が雪を連れて、ゼロの金髪を横へと流していた。
波打つ金の長髪をもつゼロを前に、サブローはニヒルな笑みを浮かべる。やがてゼロが口を開いた。
「あの時の決闘の約束、今守ってやる」
「フン。そうでないと通さないというわけか?」
「ああ、それだけじゃない。負けたら……こちらの言うことを聞いてもらうぞ」
「いいだろう、こい!」
ゼロの気迫に応え、サブローはナイフを眼前へと構えた。ドラスとフランシーヌが言葉をかけそうになるが、ゼロが視線で黙らせている。
これで邪魔は入らない。ゼロはいつか拳を交えなければならない相手。倒さねば通さない、というのなら押し通るまで。
バタフライナイフの刃が光を受けてサブローの顔を照らす。同時にカーネルのセイバーがエネルギーの刃を生み出した。
一瞬でハカイダーと変わり、地面を踏みしめ跳躍する。ゼロも同じく、雪を蹴ってハカイダーへと迫っている。
踏み蹴った大量の雪が宙に舞う中、赤と黒が交差した。
□
ハカイダーの右拳がゼロの胸板を叩き、空気を吐き出して地面へと叩きつけられる。
細やかな雪が舞う中、黒い影が拡大しながら迫ってきた。どうにか上半身を立たせ、身を捻りながらセイバーを横凪ぎに振るう。
しかし、一瞬で黒い影が消えて虚しく宙を掻いた。
「なに!?」
「どうした? 狙いが甘いぞ!」
コンマ一秒の差で刃をやり過ごしたハカイダーは、ゼロの首を掴んで締め上げた。圧迫する喉元に、ゼロは呻きながら刃の先端で突こうとする。
その一撃はハカイダーが首を捻ったため届かず、またも投げ飛ばされた。数度地面をリバウンドして、全身が痛みに悲鳴を上げる。
「ゼロさん!」
「くるな! ドラス、こいつは……一人で相手しないと意味がない!!」
そういいつつカーネルのセイバーを構えて、ゼロは驚愕していた。幸い今はハカイダーと対峙した時の体調不良は治まっている。
ほぼ怪我もなく、条件は対等といってもいい。なのに、まったくゼロの攻撃がハカイダーに通用しない。
(あの時より……強くなっている?)
ありえる話だと思った。ハカイダーは仮面ライダーや凱、それにいくつもの死線を一人で越えてきたのだろう。
更なる成長を遂げてもおかしくはない。
(勝てるのか?)
ゼロにふと、弱い考えが浮かぶが頭を振って振り払う。勝たねばならない。シグマを倒し、その本心を聞き出して始末するまでは。
それに、ハカイダーの更生は凱や風見が望んだもの。叶えなければならない。そうでなければ、
(あいつが……絶望しちまったエックスが報われない……!)
だからこそ、ゼロは足に力を込めて立ち上がる。仲間が望み、そしてエックスの時の繰り返しだけはさせない。
そうすることでしか、もうゼロにエックスへと答える術はなかった。
ゼロの刃が縦に振られ、ハカイダーは瞬時に横へと移動する。ハカイダーが踏みしめていた雪が、セイバーのエネルギーで蒸発した。
刃を振り戻せないゼロの顔面に蹴りを入れる。
「がっ!?」
十数メートルほど吹き飛んでいくゼロに対し、ハカイダーは容赦をしない。背中を向いている者を撃つのは嫌いだが、正面からなら別だ。
左手をゼロバスターに変形させて、チャージもせず放つ。ゼロは速射に対抗するよう、迫る弾を斬って相殺した。
ゼロバスターはもともとゼロの武器だ。防がれるのは予想内。ハカイダーはエネルギーをチャージしながら、ゼロの胸元へと蹴りこむ。
「ぐぅっ!」
「そうだ。ゼロ、キサマにはこの蹴りを防ぐ以外行動をとれまい」
ゼロが刃を横に構えて、ハカイダーの足裏を受け止めていた。分かっていても、取らねばならない行動。
もはやハカイダーのバスターのチャージは終わった。威力は何よりゼロが保障済み。
「ハイパーゼロブラスター!!」
赤い光弾が加速しながら防御しているゼロを巻き込んで、ハカイダーから離れていく。
サーベルのエネルギーと干渉しあって、どうにかゼロの表面を焼くのに止めているのだろう。それも時間の問題。
「ぐあああぁぁぁああぁぁぁぁぁッッ!!」
ゼロの叫び声と共に、爆発が上がる。大量の雪が蒸発して闇の中わずかな間、光が上がった。
「ゼロさぁぁぁぁぁん!!」
ドラスがゼロの心配して叫び声を上げる。フランシーヌは口元を押さえて、悲鳴をこらえた。
ハカイダーは油断せず、ゼロがいる地点へとバスターを向けた。ハカイダーはゼロが生きていることを確信している。
なぜなら、ゼロはキカイダーと同じくこの程度で終わる男ではなかったから。
「かはっ!」
ゼロはオイルの塊を吐き出して数度咳き込む。ゼロバスターは扱いの難しい武器だが、ハカイダーは使いこなしていた。
かつての自分の武器を使う相手をゼロは睨む。一筋縄でいかない相手だ。
ゼロの真下の雪がオイルで染まる。二の足を踏みしめて、ゼロはカーネルのセイバーの刃を向けた。
銃を使うのが卑怯だとゼロは思わない。こちらは剣を使っているのだ。
むしろ対等とすらいえる。それに、ゼロが始めて戦った時ハカイダーは銃を使っていた。
銃を手にした姿こそ、本気のハカイダーなのだろう。
「ハカイダー……これで終わったと思うな!」
「そうだ。簡単に死んでは楽しみがないからな」
ハカイダーの言葉に応えるように、ゼロはジグザグにダッシュを繰り返して光弾を避けて進む。
視線は一転に集中、セイバーを斬り上げた。ハカイダーの顎を狙った一撃。
神速の速さなのに、ハカイダーは反応して左頬をかすっただけ。
(かかった!)
狙い通り。ゼロはセイバーの柄を離す。上空に飛ぶ柄だけとなったカーネルのセイバー。
あいていた左拳を握って、ハカイダーの顎へと放つ。
直撃、確かな手ごたえをゼロは感じた。
「な、なに……?」
「……温いな。お前の拳がなぜ軽いか、理由が分かるか?」
ゼロは嫌な予感がして、間合いを取ろうとするが、視界を黒い拳が占領した。
ゼロの顔面に衝撃、ドラスがいるところまで地面を転がる。
「ゼロさん! お前……!」
「手を……出すなと……言っている!」
「で、でも……」
ゼロは立ち上がりながらも、なぜこうも差があるのか理解できなかった。
ゼロの拳はハカイダーに通じたのだ。ハカイダーを傷つけていたのだ。
なのに、今はまったく歯が立たない。
「その様子なら理解できていないようだな」
「なん……だと……?」
上空から落ちてきたカーネルのセイバーをハカイダーは受け止める。ハカイダーを殴り飛ばしたあと、自分が回収つもりだったのだ。
ハカイダーは興味なさそうにカーネルのセイバーをゼロへと投げつける。
「最初に言っておく。俺が強くなったのではない」
カーネルのセイバーを掴みながら、膝をつくゼロへとハカイダーが仁王立ちのまま語りかけてきた。
バスターすら向けていない、まったくの無防備。なのに、ゼロにハカイダーを攻撃できる気がしなかった。
「キサマが弱くなったのだ」
その言葉で、ゼロはハカイダーに呑まれていることに気づかされた。
「あ、圧倒的過ぎる……」
ドラスはハカイダーの戦闘力に驚愕しているのではない。
ゼロが苦戦しているのが意外だった。見たところ、ハカイダーとゼロのスペックはあまり差がない。
なのに、ただただゼロは圧倒されるばかり。これはおかしい。
ナタクの言うところ、ゼロは強い匂いがする男なのである。
過去、ハカイダーとも互角に渡り合ったと聞いている。
それなのに、今は手も足も出ない。ドラスには理解できなかった。
「あのゼロというお方……」
フランシーヌの声に、ドラスは振り向いた。もしかしたら、彼女が何かを知っているのかもしれない。
そんな淡い希望を抱いて。
「初対面ですので的外れなのかもしれませんが……うまく集中できていないような気がします」
「集中……?」
「はい。『真夜中のサーカス』の自動人形は私を笑わせるため、ありとあらゆる芸を身につけています。
彼らも人間も、芸をする時は周りの視線を意識しながら芸を変える。それほど集中しているのです。
ですが、今のゼロさんには集中力が空回りしているような気がするのですが……」
ドラスが振り向くと、ゼロはハカイダーにいいようにされていた。思い当たる節はある。
ゼロはエックスと親友だったのだ。もしもロボや(想像できないが)ナタクが似たような理由で敵対したのなら、ドラスの心はどれほど抉られるか。
その状態でゼロはハカイダーと戦っているのだ。
「止めなきゃ……」
ドラスが呟くが、時はすでに遅かった。ゼロとハカイダーの決着がついた。
「くっ!」
ゼロが苦し紛れで迫ってくるが、破れかぶれではハカイダーの目をごまかすことなど不可能だ。
ハカイダーの右手のひらでゼロの腕の軌道を逸らし、刃が地面に突き刺さる。雪が蒸発する音を耳に、ゼロの鳩尾にハカイダーは腰を落として肘を叩き込む。
くの字に折れたゼロを、ハカイダーは身体をコマのように回転させて、蹴りを放った。
またも倒れるゼロを尻目に、ハカイダーは間合いを取って着地する。
(やはり……か。キカイダー、キサマならゼロと似た立場に立たされたとき、どう動く?)
ゼロが本調子でないとはいえ、再戦を望んでいた相手。その彼の立場になってどうすれば全力を出させるのか考えるが、答えが出ない。
もっとも、ハカイダーはおのれの思考を当然だと考える。ハカイダーに心があるというならば、それは酷く偏っているからだ。
ハカイダーは友情も絆も愛も信頼も悲しみも理解しない。それは破壊に必要ないからだ。
だからこそ、ハカイダーのもつ悪魔回路には憎しみ、怒り、執着するのである。
キカイダーに次々自分たちの軍団を潰されたゆえ、プロフェッサーギルが作るよう命じた破壊専用機械。
ハカイダーに心があっても、ゼロの心の痛みが理解できないのは当然であった。
「くそっ! 落鳳破ぁ!!」
ゼロが拳を地面に突き刺し、扇状にエネルギー波を放った。ハカイダーはチャージしていたバスターで相殺。
囮だったのには気づいている。ゼロが一気に間合いを詰めてセイバーを振り下ろした。
また、迷いが見えた。
ハカイダーは出来た隙を見逃すほどお人好しではない。足を払い、倒れたゼロの腹を殴りつける。
「ぐぅ……!」
倒れたままセイバーを振るったゼロを、後方に跳躍してハカイダーは見下ろした。
ゼロが見せる迷いには見覚えがある。あれはそう、キカイダーがハカイダーの脳へと視線を向けた時と同じ迷いだった。
(分からんな。ゼロが何を迷うのか。俺は悪……倒すのに迷うなど、愚考!)
ゼロが立ち上がると同時に、チャージを終えたバスターのエネルギーを開放した。
放たれる赤い光弾が、ゼロへと直撃する。宙で三回転を終えて、ゼロが叩きつけられた。
意識は保っているが、立ち上がれるほどの力はないらしい。倒れ伏したまま、顔だけをハカイダーへと向ける。
ハカイダーは無言でバスターをゼロの眉間に合わせる。
「俺の勝ちだ」
そのハカイダーの声に、微塵も充実感がなかったのは言うまでもなかった。
「く……」
ゼロが悔しげに呻いているが、ハカイダーはどうするか思考する。本調子でないゼロと戦っても面白くなどない。
かといって、決闘時に体調を整えなかったゼロを愚かだとも思う。その愚かさを死でもって味わうことは珍しい話ではない。
ハカイダーは一つの疑問を解消するため、ゼロへと質問をする。
「ゼロ……キサマは俺と戦っている時迷いがあった。なぜだ?」
「いまさら言い訳のしようもない」
「……ゼロ、キサマは変わってしまった。一度目の戦いではキサマは迷わなかったぞ。
俺は変わらない。変わらなかったのに! 聞け、ゼロ。俺は今の今まで、仮面ライダーと戦い、キカイダーとの決闘へ心を躍らせていた。
キサマとの戦いも、仮面ライダーとの戦いに負けぬほど期待をしていた。だがなぜだ!?
なぜキサマは弱くなってしまったのだ!? 俺は……俺は変わらず強くあり続けた。変わらずキサマらを求め続けた!
兄弟を……兄であるキカイダーを殺すことにすべてを注いでいた! なのになぜだ!? ゼロッッ!!」
これが最後だと思うと、ハカイダーは無性に問いただしたくなった。もう、この引き金を引けば会うことないのだから。
最後にゼロへの疑問くらいは解消しておきたい。それがハカイダーの思考だ。
ハカイダーは気づいていないが、これがキカイダーであった場合は見逃している。
ハカイダーはキカイダーと戦うのが一番楽しい存在だ。キカイダーより強くあることを願うが、キカイダーの死は望んでいない。
そのことに無自覚なため、キカイダーとの決着を避けて戦いを求める自分の歪さを知らない。
だからこそ、ゼロがハカイダーを更生させたくて迷っていたなどと気づきはしない。
ハカイダーが更生不可能だとゼロが判断するのが遅かったのも、死んだ凱や風見を想ってのことなのだが、ハカイダーが結びつけることはなかった。
キカイダーが死ぬ時の衝撃を他人も受ける、などと考えるほどハカイダーは心について理解していない。
だからこそ、初めてのケースにハカイダーは『戸惑って』いた。
「もういい。このまま殺すのは惜しいが……ゼロ、自分の体調と心理状態を見誤ったお前の落ち度だ。死ね」
「…………くっ」
身体を震わせ、気絶したゼロにハカイダーは引き金を聞くのを決意した。
そのゼロとハカイダーの間を、神速の速さで黒い影が割って入る。
真っ直ぐハカイダーの瞳を射抜く、怒りを携えた眼。ドラスがゼロをかばって、ハカイダーに立ちふさがった。
□
「それ以上やるなら、僕が相手するよ」
「安心しろ。もう殺す気は失せた」
あっさりとハカイダーが退いて、ドラスは拍子抜けした。眼を放した隙にハカイダーはサブローへと変身を解除している。
フランシーヌがゼロを助け起こしたため、サブローに眼を離さぬようドラスはゼロの隣に立つ。
「ゼロさんは……弱くない! 本当なら……」
「知っている」
ドラスの弁護をサブローが肯定する。KATANAのスタンドを戻し、バイクのエンジンを起動させた。
「ゼロに伝えろ。次に会うまでその迷いを消しておけ。それが勝者である俺の権利だ。敗者のキサマは受け入れる以外ない、とな」
「好き勝手言って! ゼロさんは……ゼロさんは親友がああなってあんたに圧倒されたんだ。そうじゃなければ……」
「小僧、それ以上さえずるな。ゼロの株を落とす」
予想以上に真剣な言葉に、ドラスはつい息を飲む。単純なスペックなら、ドラスのほうが上のはずなのに。
気迫に押されたのが悔しく、ドラスはまだ食いかかる。一番、彼の発言で許せない単語があったのだ。
「そんなに……キカイダーが憎いなら一人で戦えばいいんだ! そんな……兄弟と殺しあうなんて……」
「キカイダーが憎い?」
サブローは珍しく、ドラスの言葉に不意を突かれたような顔をした。
その表情があまりにも幼く見え、ドラスは眉をしかめる。
「サブロー……本当にあなたは兄弟が憎いのですか?」
フランシーヌが否定して欲しいと、サブローへ問いただした。彼女のような優しい人が、サブローのような破壊者に気にかける必要はない。
ドラスはサブローの兄弟と殺しあいたいという欲求を、サブローの人格ごと否定する態度を示した。
キカイダーを憎いのか? と聞かれてサブローは疑問に思った。
悪魔回路に憎しみという負の感情は当然搭載されている。なのにキカイダーに殺意を抱くことはあっても、不思議と憎く思ったことはなかった。
ドラスに問われて始めて気づく。
(憎しみか……そういえる感情は……)
一つだけあった。アカ地雷ガマにキカイダーを殺され、何もかもなくして不安になっていたあと、おのれを殺人人形へと作った親への感情。
ギルと光明寺博士に向けたものは怒りとは違う、もっとどす黒いドロドロした感情の流れ。おそらくあれは憎しみというものだろう。
そしてサブローはその感情を、キカイダーに抱いたことはない。ゼロや凱、仮面ライダーたちにも。
メガトロンたちにすら、怒りこそあれ憎しみを抱いたことはなかった。いや、凱を殺されたと思っていたときは、憎しみを抱いたか。
「俺はキカイダーが憎いのではない」
「ならば、なぜ戦うのですか?」
「親に言われたから? それが生まれたときから義務付けられたものだから?」
「……俺も最初はそう思っていた」
「思っていた……?」
サブローは偽の星空を浮かべる空を見つめる。キカイダーを破壊する。
それが自分の宿命だからだ。そのために生まれたからだ。
そう答えるのは簡単だ。だけどそれだけでないことに、サブローは気づいている。
キカイダーはハカイダーにとって、生まれながらにしての宿命であり、指令であり、生きがいであり、
「キカイダー打倒は俺にとって最大の目標だからだ。ギルも光明寺も知ったことか。キカイダーを超えたい。
生まれながらの使命じゃない。誰でもない、俺が決めた! 俺が求めた!! ただ、それだけだ。小僧」
唯一、殺人人形である自分が孤独でないと実感できる存在であった。
□
両の手のひらが血(オイル)に染まる。足元に転がる無数の残骸がゼロの足元にいた。
そこにいたゼロは、現在のゼロとは外見が少し違っていた。肩が丸くなり、細部のデザインが変化している。
現在、ゼロが存在するところも鉄の壁に囲まれた基地内部だ。
これはゼロが何度も見た風景。だから何が起きたのか、理解した。
(また……この夢か)
何度も見てきたゼロの夢。心を持つまでに至ったレプリロイドだからこそ、できる芸当だ。
ゼロとエックスは出自が特殊である。自らが発見されるまでの記憶がないゼロは、この夢の意味を知りはしない。
本来なら。
無数の残骸の山を掻き分けて、見知った手がゼロの腕を掴む。
「ゼロ……どうして…………?」
「エックス……お前……!」
「俺は……イレギュラーを倒したいだけ……なのに……」
「違う! エックス、イレギュラーなんていなかったんだ!」
「ゼロ……俺の親友……」
そんな眼で見ないでくれ。ゼロは思わずそう叫びたかった。
無二の親友を殺したことは……いや、それ以前に狂気の道へ走るのを止められなかったことは、ゼロに多大なストレスを与えていた。
本来の能力を充分に発揮できないほどに。
『ゼロっ! わしの最高傑作!』
また現れる、謎の老人。髪の真ん中だけ禿げ上がった、白衣を着たと思わしき全身は影で見えない。
うんざりした顔でゼロはその存在へと顔を向けた。こういう状態の時で会いたくない相手だった。
いつもと同じ言葉を告げるのだろう。そうタカをくくった。くくってしまった。
『よくやった! ゼロよ。あいつを、わしの敵! わしのライバル! あいつを超えたことを!』
ゼロは見開き、手のひらで顔面を覆う。そのあいつが誰なのか、もはや疑う余地はない。
やめろ。それ以上口を開かないでくれ。願うように思うが、影は止まらない。
『よくぞエックスを殺した! わが生涯をかけた最後の■■■■ナンバー、ゼロよ!!』
もう、やめてくれ。ゼロの願いが弱くなる。
同時に赤い何かがゼロの身体を包んだ。
『だがゼロよ。お前は負けてしまった。それでは奴に思い知らせれない! 殺せ!
ハカイダーを破壊せよ! そのための力はお前にあるはずだ! 往け、ラストナンバー!!』
―― やめろ! 俺に触れるな! 入ってくるな!!
ゼロが願い、頭を振って否定する。それでも、赤き瘴気はゼロを捉えて離さない。
―― 見失ってしまう……俺が誰なのかを……
もはや友を失い、凱や風見との約束すら叶えられない。ゼロに絶望が訪れる。
不意に、ゼロの周りが暖かくなる。いつの間にか赤い瘴気も霧散していた。
ゼロが首をもたげ、瞼を開く。全身が光ってそれが何なのか確認とりようがない。
だが、ゼロが彼女が誰か間違うはずはない。
ゼロが口を開き、名前を呼ぶ。なぜか声として出てこなかった。
唇の動きを読んだのだろうか、彼女は微笑んでゼロを抱きしめた。
彼女の名は…………
□
「ここ……は……」
「ゼロさん、よかったぁ」
ドラスの安堵する顔を見て、自分が現実の世界に戻ってきたことに気づいた。
ここは外の雪原地帯ではない。どこのかのシャトル基地だろうか? 自分は運ばれたらしい。
ゼロの頭痛が酷くなる。あの悪夢において残骸を生んだところに、どことなく似ていた。
「ハカイダーは?」
「あんな奴、知ったことないよ! サイドマシーンまでもって行っちゃうし……」
ドラスが吐き捨てる姿に姿に、ゼロは呆けた。自分が気絶している間に何があったのか?
「ゼロさん、よかった……」
「フランシーヌ、ハカイダーは何を言ってきたか教えてもらえないか?」
「何でゼロさんも凱兄ちゃんもあんな奴のこと気にかけるの? あんな、兄弟と殺しあうことを望む奴を……」
ドラスがハカイダーを嫌う理由が分かった。家族を求めていたと自ら認めたドラスにとって、兄を殺すのに全力を持って挑むハカイダーは嫌悪の対象なのだろう。
無理もない。ゼロは上半身を起こし、手当てされた身体を見回した。メカ救急箱がないため、気休めでしかない。一つぐらい持ち出しておけばよかったか。
「ゼロさん、サブローから伝言があります」
「フランシーヌさん、そんなことを伝える必要は……」
「いや、聞かせてくれ。あいつが何を言ったのかを」
ゼロの頼みに、ドラスは不満そうに睨んだ。フランシーヌの鈴のように軽やかな声を耳に、ハカイダーが何を告げたかゼロは知った。
「……これですべてです。ですがサブローとてこれが本音とは限りません」
「いや、心からの言葉だろう。相変わらず手厳しいな」
「ゼロさん!」
ドラスがゼロを咎めるように、甲高く声を上げる。それをゼロは危ういと感じた。
ナタクを吸収したとのことだが、その使命感で視野が狭くなっているようにも思える。
いつか痛い目を見なければよいが。
「とはいえ、まだあいつに見放されたわけじゃない」
自分が持つ迷いを看破され、それを捨てろといわれた。ゼロが持つのはエックスへの後悔だけではない。
凱も風見も、敬介もナタクもチンクも自分が不甲斐ないせいで死んだ。
「次は勝つ……完膚なきまでにな。そして勝者の権利を俺が使う。それだけだ」
ゼロは告げて、自分の傷に手を当てる。力が欲しい。その願いと共に、感情が昂ぶって赤い瘴気が一瞬だけまとわりついたことに気づかなかった。
ドラスはゼロが意識を取り戻したことに安堵しながら、ハカイダーへは怒りしか持てなかった。
ドラスにとって姉も兄も、自分に大切ものを気づかせた存在だからだ。家族がいるのに、その家族と殺しあう。
そういうハカイダーを理解したくないし、贅沢だと思う。
それはドラスが家族に対しての愛情の示し方を、健康的な形で示す方法を知っているからだ。
だからこそ、兄への執着が歪んでいるハカイダーに嫌悪感をする。
本能でハカイダーと自分が似ていることに気づいているため、その結論を否定する。
ドラスはゼロとフランシーヌを気遣いながら、基地内部を見渡した。
「どうかしましたか?」
「フランシーヌさん。ここに……ノーヴェお姉ちゃんやメカ沢お兄ちゃん、ロボが眠っているんだ……」
「……そうですか」
ドラスはそのまま、オルゴール付き懐中時計を取り出した。鳴り響く音楽が静寂な建物に反響する。
涙が出そうだが、堪える。ナタクに言ったのだ。もう泣かないと。
―― 聴かせてよ あふれるメロディ
ドラスは透き通るような歌声に振り向いた。フランシーヌがオルゴールの曲にあわせて歌いだしたのだ。
―― 迷い子の 心の森に
淡い月光が窓から入り、スポットライトのようにフランシーヌを照らしている。まるでそこだけが特別な空間になったようだ。
―― いつの日も 汚れ知らずに
いつの間にかドラスもフランシーヌと共に歌っていた。彼女が曲に即興で当てはめた歌詞。それがとてもドラスには心地よかった。
―― 本当の愛が 微笑むまでは
今までドラスを助けてくれた人たち。彼らの鎮魂歌。ドラスは感謝を込めて、フランシーヌと共に歌い続けた。
【D-3 シャトル基地内部/一日目 真夜中】
【フランシーヌ人形@からくりサーカス】
[状態]:全身打撲、疲労、足首負傷、ギガアタックのダメージ、右腕修復(ただし、反応と動きが鈍い)、深い悲しみ、強い無力感
[装備]:なし
[道具]:支給品一式及びPDA:未確認支給品(0~1)
[思考・状況]
基本思考:罪滅ぼしのために、主催者を倒す。
1:歌を歌う。なぜかこの歌は歌える。
2:せっかく笑えたのに、今は悲しい。
3:本郷たちと合流。
4:私は生命の水に溶けて無くなった筈では……
5:本郷が心配。
6:本郷達に敬介やドラスのことを伝える。
※原作死亡後(25巻第32幕微笑(後編))から参戦。
※コロンビーヌやアルレッキーノと参戦時期が異なることを知りました。
※自分が笑えることに気付きました。
【ドラス@仮面ライダーZO】
[状態]:右腕がスバルのもの、悲しみ、自分が求めていたものが『家族』と自覚、ナタク@封神演義を吸収、疲労小
セインを四、五歳幼くした状態に擬態。ただし、生えている
[装備]:ラトゥーニのゴスロリ服@スーパーロボット大戦OG、メカ沢の学ラン@魁クロマティ高校、オルゴール付き懐中時計@仮面ライダーZO
混天綾@封神演義(マントとして)、乾坤圏@封神演義(左腕の方は修理が必要)、カセットアーム@仮面ライダーSPIRITS(体内)
金蛟剪@封神演義(体内のナタクと付属)
[道具]:PDA(ドラス、マルチ、ノーヴェ、ロボ、アラレ、シュトロハイム、城茂、エックス、あ~る、バロット、チンク、メカ沢、灰原、ロックマン)
荷電磁ナイフ@マルドゥックスクランブル(D-3基地に放置。呼び出し可)
スタームルガー レッドホーク、装弾数0/6@ターミネーター2(D-3基地に放置。呼び出し可)
ぎんのいし@クロノトリガー、液体窒素入りのタンクローリー@ターミネーター2 (D-3基地に放置) タイムストッパー@ロックマン2(メカ沢の胴体部):ロボのPDA
はちゅねミクのネギ@VOCALOID2(E-3道路に放置)メッセージ大砲@ドラえもん(E-3道路に放置) 拡声器@現実(E-3道路に放置):アラレ、及びシュトロハイムのPDA。
転送可能 スモールライト@ドラえもん(残り四回)、テントロー@仮面ライダーSPIRITS:城茂のPDA
クロマティ高校の制服@魁!!クロマティ高校 、グロスフスMG42(予備弾数20%)、 NIKU・Q・マックス@サイボーグクロちゃん、
ナイスなグローブ×2@パワポケシリーズ、ダンボール@メタルギアソリッド、
大型スレッジハンマー@ジョジョの奇妙な冒険、アトロポスのリボン@クロノトリガー、高性能探知機(バッテリー切れ)
[思考・状況]
基本思考:二度と家族を失わない。
1:歌を歌う。心地がいい。
2:スバルをまだ正気に戻したいが……。
3:仲間の死にショック……だが、泣かない。
4:家族と殺しあうハカイダーを認めない。
[備考]
※自分が未完成品、仮面ライダーが完成品だと勘違いしています。
※チンクを姉として強く慕っています。
※無意識の内に罪悪感が芽生えつつあります。
※志郎の言った10人ライダーの中に仮面ライダーZOがいると思い込んでいます。
※他人の肉体を吸収すると取り出せなくなっています。
※金蛟剪@封神演義に『使用者の資格がある』と認められましたが、龍を発現させるまでには至っていません。
※赤ドラスに変身可能になりました。
【ゼロ@ロックマンX】
[状態]:全身にダメージ大、疲労大、T-800を敵視、シグマウィルス一個に感染(進行中)、???
エックスの死亡と悪夢によって精神疲労。
[装備]:チャージキックの武器チップ@ロックマンシリーズ、カーネルのセイバー@ロックマンX4、謎の金属片(マルチの残骸から回収)
[道具]:支給品一式、PDA(ゼロ)、空っぽの平凡なデイバッグ@ゴミ処理場、サイクロン号@仮面ライダーSPIRITS
[思考・状況]
基本:シグマを倒す。イレギュラーに容赦はしない。
1:ハカイダーに再戦。勝てば勝者の権利を使う。
2:凱を殺したボブ(T-800)を最大の敵と認識。
3:チームの立て直しのためこのまま基地へ。特にドラスは気をつける。
4:本郷と合流。ボイルド、メガトロン、グレイ・フォックス、ボブ(T-800)は警戒。
5:シグマ、何を企んでる?
[備考]
※ノーヴェたちを生体パーツを使用したレプリロイド(のようなもの)と解釈しました。
※参戦時期はX4のED~X5開始前のようです。
※シグマウィルスに感染しましたが、発症するのにウィルスが足りないのか、それとも潜伏期間に入ったのかは、後続にお任せします。
□
サブローはサイドマシーンを駆りながら、次へ向かう場所を考えあぐねていた。
KATANAで出発しようとした時、ドラスがサイドマシーンで現れたことを思い出して奪ったのだ。
これも勝者の権利という奴だ。ドラスは不満そうにこちらを睨んでいたが、怪我人をとフランシーヌを抱えた身で攻撃してくるほど分別がつかないわけではない。
キカイダーのマシンがあることに疑問があるが、元の世界に帰って悔しがらせればいいか、と考えた。
当面の目的はメガトロン。自分に背中を向けさせた罪は重い。
キカイダー以外……いや、キカイダーにすら背を向けず、戦い続けたおのれの誇りを傷つけた罪、八つ裂きをもって思い知らせる。
冷静に怒りをコントロールし、サブローはメガトロンと戦ったシャトル基地へと向かうことへ決めた。
何らかの手がかりがあるだろう。そう思って。
(そして、俺はキカイダー。キサマに勝つ。それこそが俺の……)
悪の誇りだ。
サブローがもっとも重く扱うもの。それこそがすべてであった。
サブローが向かう先にはメガトロンの挑発がある。
だがサブローは怒らないだろう。なぜなら、サブローが最も大事にするのは絆でも友情でも、命でもない。
キカイダーと決着をつけようとする自分への誇り。それ以外はすべてゴミのような存在だから。
【C-4 コロニー間通路/一日目 真夜中】
【ハカイダー@人造人間キカイダー】
[状態]:全身打撲。小ダメージ。エネルギー小消耗。ある程度メンテナンス終了。右肩を負傷(バイクの運転に支障は無い)
自分に背を向けさせたメガトロンに対する冷静な怒り
[装備]:サイドマシーン@人造人間キカイダー、ゼロバスター@ロックマンX
[道具]:ハカイダーのPDA(支給品一式)、風見志郎のPDA(支給品一式)、バタフライナイフ@現地調達(左足に収納中)
スズキ・GSX750S3 KATANA@仮面ライダーSPIRITS
[思考・状況]
基本思考:元の世界へ帰ってキカイダーと決着をつける。
1:メガトロンとコロンビーヌを破壊し、背中を向けさせた罪を償わせる。
2:ゼロが万全の状態で戦う。
3:村雨良の遺言を仮面ライダー全員に伝えた。仮面ライダーに会い、破壊する。
4:参加者を全て破壊する(ただし、女子供、弱者には興味が薄い)
5:正直、アルレッキーノとラミアの死はどうでもいい。
6:凱、風見、敬介の死は惜しいが、キカイダーほどの衝撃ではない。
7:シグマを破壊する。
8:キカイダーに迫る、戦士に敬意。
※参戦時期は原作死亡後(42話「変身不能!? ハカイダー大反逆!」後)です。
※血液交換が必要のない身体に改造されています。
*時系列順で読む
Back:[[北西からの声]] Next:[[未来視達の――――]]
*投下順で読む
Back:[[メガちゃんのパーフェクト考察教室]] Next:[[未来視達の――――]]
|142:[[狂い咲く人間の証明(5)]]|ゼロ| :[[ ]]|
|142:[[狂い咲く人間の証明(5)]]|ドラス| :[[ ]]|
|142:[[狂い咲く人間の証明(5)]]|ハカイダー| :[[ ]]|
|142:[[狂い咲く人間の証明(5)]]|フランシーヌ| :[[ ]]|
**悪 ◆2Y1mqYSsQ.
「う……ここは……」
「ふん、戻るところだ。話はキサマの体調が万全になってからだ。文句は言わせんぞ」
サブローの声にゼロはもう大丈夫だ、とだけ答える。サブローは構わずアクセルを捻り続けた。
ゼロは無言で目を伏せて、かつて友だった狂人の亡骸を思って振り向く。時々うめき声が漏れて、ゼロの無念をあらわしていた。
黒装束に黄色のマフラーを巻く男、サブローは背後のゼロをあえて見なかった。正義を捨てた男に、かつて友だったゼロがどう思うか。
サブローに分かりはしない。凱も風見も死んで惜しいと思うことはあれど、悲しいと感じる心などないのだから。
無言だったサブローに、ゼロが話しかけてきた。
「あいつは……エックスはいい奴だったんだ……。いい奴で……それで…………」
「そうか」
大人しく後部座席に乗るゼロに、上の空で返しながらサブローはバイクを加速させる。正義を捨てたエックスに興味はない。
もっと言えば、本来なら正義の味方にサブローは興味がないのだ。サブローが求めるものは…………
□
「私は何も知りませんでした……」
フランシーヌがとつとつと、傍らで素直に耳を傾ける少年へと語りかけていた。歌うような声の響きに、ドラスが聞きほれそうになっている。
ゼロとサブローの帰りを雪原の上で待ち、自らの罪をドラスに聞かせていたのだった。
創造主に捨てら、フランシーヌは自分が『真夜中のサーカス』の団長になり笑う方法を探して人を殺めたこと。
いつ終わると知れぬ旅に疲れ、自分を慕う自動人形を見捨てたこと。
正二とアンジェリーナを探し、エレオノールとであったこと。
エレオノールのことをうれしそうに、それでいて磨耗した心を吐き出すようにドラスへと聞かせた。
(エレオノールに会いたい……)
それは叶わぬ夢だとフランシーヌは思う。自分はあまりにも罪を重ねすぎた。
そして無力の悔しさ。力を制御していた頃には気づかなかった、守れないときの虚しさを味わっている。
エレオノールのときも、ミクのときも、バロットもラミアも、フランシーヌは力がなくて悔しい思いをしてきた。
正二に身体能力を落としてもらわなかったのなら、と考えたことも一度や二度じゃない。
敬介もドラスが姉と呼んだ少女もフランシーヌには目の前で失うのを、見届けることしか出来なかった。
フランシーヌの話がラミアとアルレッキーノの死までくると、ドラスが顔を覗き込んできた。
「お姉さんも悲しいの?」
ドラスの言葉に、フランシーヌ自身が初めて『悲しみ』という感情が宿っていることを自覚した。
同時に、遠方からバイクの排気音が聞こえてくる。サブローたちの帰りを告げる音であった。
帰ってきたゼロに、なぜか少女の格好をしているドラスという少年が近寄ってくる。仲間なのだから当然なのだろう。
降り積もる雪の上の比較的硬いところに、KATANAのスタンドを立てて放置する。
雪の上でも移動できたのは、サブローの持つエアークラフトを要所で使ってバイクを操作していたからだ。
そんなことは置いておき、ゼロはサブローに借りがある。あのドラスという少年も見たところ力があるようだ。
フランシーヌとドラスの姿に、サブローは光明寺姉弟を思い出した。だが、それだけだ。
ゼロだけでなくあのドラスという少年も力を持っている。敬介の思いを受け取ったのかどうかは知らないが、その力を正義に使うようだ。
だからといってサブローはドラスへと興味を示さない。子供はマサルを思い出す、ということもあるのだが、単純にキカイダーを重ねようがないという理由だ。
サブローにとって最終目的はキカイダーを倒すこと。だからこそ同じ志を持ち、キカイダーが重なる仮面ライダーやゼロ、凱に興味を持ったのだ。
キカイダーがキカイダーとなすものは何か? サブローには理解できないのだが、ゼロや凱、仮面ライダーは重なってドラスは重ならない。
本能的にそれが分かる。だからこそ、力と正義があろうとドラスに興味を持つことがなかった。
「どこへ行くのですか? サブロー」
「決まっている。メガトロンたちを破壊する」
「お前に話があるといったはずだ」
尋ねられたから返しただけだが、フランシーヌだけでなくゼロまで干渉してくる。幾分鬱陶しく思いながらもサブローは視線を鋭くして、どけと告げた。
ゼロはその視線を真っ向から受け止めている。そのサブローに、ドラスが近寄ってきた。
「ねえ、サブローさん。一人で向かうなんて無謀だよ」
「だからどうした。俺は奴らを許さん。それだけだ」
「そんなにアルレッキーノさんたちの死が悲しいの? でも、怒りに任せるだけじゃ相手の思うツボだよ!」
「そうです、サブロー。アルレッキーノたちがあなたの行為を喜ぶとは思えません」
ドラスとフランシーヌの言葉に、サブローは目を丸くしてドラスを見た。やがて俯いて、クックックと笑いながら肩を震わせる。
死が悲しい。奴らの仇を討つために怒りに震わせている。
女子供の考えそうなことだ。サブローは……破壊者は嘲るように笑った。
「ハカイダー……?」
「クックック……まさかフランシーヌ。キサマは俺が奴らの死を悲しんでいると思っているわけじゃないだろうな?」
「……私はあなたに心があると思います。ですから……」
「違うな。あいつらが死んだことはどうでもいい」
サブローの言葉にフランシーヌが驚きを示した。ドラスは正直に怒りの視線を向けてくる。
ゼロはサブローと戦ったおかげだろう。冷静にそうか、とだけ呟いた。
「つくづく……本郷と決闘を約束してからケチがつきっぱなしだ。奴との戦いまで手を出さないと決めたキサマは傷を負った。
本郷の仲間が死に、奴との決闘において泥が塗られた。なにより!」
サブローの身体から怒気が昇る。そうだ、それが最も許せない。
「俺にこれ以上決闘に泥を塗らせないためとはいえ、背を向けさせた奴らを……許せるはずがないッッ!!」
サブローの魂の慟哭が、雪が降りしきるコロニー地帯で響いた。
地獄の底から響く、煉獄の炎の熱さは絶対零度の冷気だろうと、凍らせることは叶わない。
サブローの誇り。それは他者の命よりも、自分の命よりも優先するもの。
それを傷つけたメガトロンとコロンビーヌだけは、八つ裂きにするつもりであった。
サブローは背を向けることも、背を向ける者も嫌いだった。だからこそ最初のZXとの戦いでは背を向けず、また背中から攻撃することはなかった。
そうまでしてフランシーヌを連れ出したのはひとえに、キカイダーを重ねた本郷との決闘に泥を塗らないため。
アルレッキーノやラミアはなぜか知らないが、自分がただフランシーヌを守るだろうと考えたらしい。
そして、フランシーヌはアルレッキーノとラミアの死を悲しみ、自分が仇を討つのだと思っていたのだろう。
虫唾が走る。
アルレッキーノが決闘を挑んで戦っても、サブローの心は燃え上がらなかった。
サブローが心を燃やす戦いはキカイダー、そしてキカイダーと重なるもののみ。
ゆえにリュートを武器として使うアルレッキーノとの戦いにおいて、ゼロバスターは使っていない。
仮面ライダーやゼロはキカイダーとの戦いに負けない充実感があった。いったいそれが何か分からないが、キカイダーと重ならないアルレッキーノとの戦いに心躍らせるはずがない。
アルレッキーノの決闘を受けたのは、本郷との決闘が延期になった八つ当たりだ。
ゆえにメガトロンたちに対する怒りは、アルレッキーノとラミアを殺されたことでは断じてない。
もちろん、アルレッキーノとの決闘を邪魔されたことでもない。
奴らへの怒りの理由は二つ。
本郷との決闘に泥を塗られた。そしてサブローへと背を向けさせた。
その二つだけは許せない。特に後者は万死に値する。
サブローの本来の名はハカイダー。破壊するもの。ハカイダーが破壊するための、絶対厳守のルールがある。
そのルールを破らせた二人はサブローに深く、なおかつ冷静な怒りをもたらせた。
鬼。
エックスとは違う、戦うためだけの鬼がいた。
「そうか、なら……」
ゼロがカーネルのセイバーの柄を向けて、サブローの正面に立つ。風が雪を連れて、ゼロの金髪を横へと流していた。
波打つ金の長髪をもつゼロを前に、サブローはニヒルな笑みを浮かべる。やがてゼロが口を開いた。
「あの時の決闘の約束、今守ってやる」
「フン。そうでないと通さないというわけか?」
「ああ、それだけじゃない。負けたら……こちらの言うことを聞いてもらうぞ」
「いいだろう、こい!」
ゼロの気迫に応え、サブローはナイフを眼前へと構えた。ドラスとフランシーヌが言葉をかけそうになるが、ゼロが視線で黙らせている。
これで邪魔は入らない。ゼロはいつか拳を交えなければならない相手。倒さねば通さない、というのなら押し通るまで。
バタフライナイフの刃が光を受けてサブローの顔を照らす。同時にカーネルのセイバーがエネルギーの刃を生み出した。
一瞬でハカイダーと変わり、地面を踏みしめ跳躍する。ゼロも同じく、雪を蹴ってハカイダーへと迫っている。
踏み蹴った大量の雪が宙に舞う中、赤と黒が交差した。
□
ハカイダーの右拳がゼロの胸板を叩き、空気を吐き出して地面へと叩きつけられる。
細やかな雪が舞う中、黒い影が拡大しながら迫ってきた。どうにか上半身を立たせ、身を捻りながらセイバーを横凪ぎに振るう。
しかし、一瞬で黒い影が消えて虚しく宙を掻いた。
「なに!?」
「どうした? 狙いが甘いぞ!」
コンマ一秒の差で刃をやり過ごしたハカイダーは、ゼロの首を掴んで締め上げた。圧迫する喉元に、ゼロは呻きながら刃の先端で突こうとする。
その一撃はハカイダーが首を捻ったため届かず、またも投げ飛ばされた。数度地面をリバウンドして、全身が痛みに悲鳴を上げる。
「ゼロさん!」
「くるな! ドラス、こいつは……一人で相手しないと意味がない!!」
そういいつつカーネルのセイバーを構えて、ゼロは驚愕していた。幸い今はハカイダーと対峙した時の体調不良は治まっている。
ほぼ怪我もなく、条件は対等といってもいい。なのに、まったくゼロの攻撃がハカイダーに通用しない。
(あの時より……強くなっている?)
ありえる話だと思った。ハカイダーは仮面ライダーや凱、それにいくつもの死線を一人で越えてきたのだろう。
更なる成長を遂げてもおかしくはない。
(勝てるのか?)
ゼロにふと、弱い考えが浮かぶが頭を振って振り払う。勝たねばならない。シグマを倒し、その本心を聞き出して始末するまでは。
それに、ハカイダーの更生は凱や風見が望んだもの。叶えなければならない。そうでなければ、
(あいつが……絶望しちまったエックスが報われない……!)
だからこそ、ゼロは足に力を込めて立ち上がる。仲間が望み、そしてエックスの時の繰り返しだけはさせない。
そうすることでしか、もうゼロにエックスへと答える術はなかった。
ゼロの刃が縦に振られ、ハカイダーは瞬時に横へと移動する。ハカイダーが踏みしめていた雪が、セイバーのエネルギーで蒸発した。
刃を振り戻せないゼロの顔面に蹴りを入れる。
「がっ!?」
十数メートルほど吹き飛んでいくゼロに対し、ハカイダーは容赦をしない。背中を向いている者を撃つのは嫌いだが、正面からなら別だ。
左手をゼロバスターに変形させて、チャージもせず放つ。ゼロは速射に対抗するよう、迫る弾を斬って相殺した。
ゼロバスターはもともとゼロの武器だ。防がれるのは予想内。ハカイダーはエネルギーをチャージしながら、ゼロの胸元へと蹴りこむ。
「ぐぅっ!」
「そうだ。ゼロ、キサマにはこの蹴りを防ぐ以外行動をとれまい」
ゼロが刃を横に構えて、ハカイダーの足裏を受け止めていた。分かっていても、取らねばならない行動。
もはやハカイダーのバスターのチャージは終わった。威力は何よりゼロが保障済み。
「ハイパーゼロブラスター!!」
赤い光弾が加速しながら防御しているゼロを巻き込んで、ハカイダーから離れていく。
サーベルのエネルギーと干渉しあって、どうにかゼロの表面を焼くのに止めているのだろう。それも時間の問題。
「ぐあああぁぁぁああぁぁぁぁぁッッ!!」
ゼロの叫び声と共に、爆発が上がる。大量の雪が蒸発して闇の中わずかな間、光が上がった。
「ゼロさぁぁぁぁぁん!!」
ドラスがゼロの心配して叫び声を上げる。フランシーヌは口元を押さえて、悲鳴をこらえた。
ハカイダーは油断せず、ゼロがいる地点へとバスターを向けた。ハカイダーはゼロが生きていることを確信している。
なぜなら、ゼロはキカイダーと同じくこの程度で終わる男ではなかったから。
「かはっ!」
ゼロはオイルの塊を吐き出して数度咳き込む。ゼロバスターは扱いの難しい武器だが、ハカイダーは使いこなしていた。
かつての自分の武器を使う相手をゼロは睨む。一筋縄でいかない相手だ。
ゼロの真下の雪がオイルで染まる。二の足を踏みしめて、ゼロはカーネルのセイバーの刃を向けた。
銃を使うのが卑怯だとゼロは思わない。こちらは剣を使っているのだ。
むしろ対等とすらいえる。それに、ゼロが始めて戦った時ハカイダーは銃を使っていた。
銃を手にした姿こそ、本気のハカイダーなのだろう。
「ハカイダー……これで終わったと思うな!」
「そうだ。簡単に死んでは楽しみがないからな」
ハカイダーの言葉に応えるように、ゼロはジグザグにダッシュを繰り返して光弾を避けて進む。
視線は一転に集中、セイバーを斬り上げた。ハカイダーの顎を狙った一撃。
神速の速さなのに、ハカイダーは反応して左頬をかすっただけ。
(かかった!)
狙い通り。ゼロはセイバーの柄を離す。上空に飛ぶ柄だけとなったカーネルのセイバー。
あいていた左拳を握って、ハカイダーの顎へと放つ。
直撃、確かな手ごたえをゼロは感じた。
「な、なに……?」
「……温いな。お前の拳がなぜ軽いか、理由が分かるか?」
ゼロは嫌な予感がして、間合いを取ろうとするが、視界を黒い拳が占領した。
ゼロの顔面に衝撃、ドラスがいるところまで地面を転がる。
「ゼロさん! お前……!」
「手を……出すなと……言っている!」
「で、でも……」
ゼロは立ち上がりながらも、なぜこうも差があるのか理解できなかった。
ゼロの拳はハカイダーに通じたのだ。ハカイダーを傷つけていたのだ。
なのに、今はまったく歯が立たない。
「その様子なら理解できていないようだな」
「なん……だと……?」
上空から落ちてきたカーネルのセイバーをハカイダーは受け止める。ハカイダーを殴り飛ばしたあと、自分が回収つもりだったのだ。
ハカイダーは興味なさそうにカーネルのセイバーをゼロへと投げつける。
「最初に言っておく。俺が強くなったのではない」
カーネルのセイバーを掴みながら、膝をつくゼロへとハカイダーが仁王立ちのまま語りかけてきた。
バスターすら向けていない、まったくの無防備。なのに、ゼロにハカイダーを攻撃できる気がしなかった。
「キサマが弱くなったのだ」
その言葉で、ゼロはハカイダーに呑まれていることに気づかされた。
「あ、圧倒的過ぎる……」
ドラスはハカイダーの戦闘力に驚愕しているのではない。
ゼロが苦戦しているのが意外だった。見たところ、ハカイダーとゼロのスペックはあまり差がない。
なのに、ただただゼロは圧倒されるばかり。これはおかしい。
ナタクの言うところ、ゼロは強い匂いがする男なのである。
過去、ハカイダーとも互角に渡り合ったと聞いている。
それなのに、今は手も足も出ない。ドラスには理解できなかった。
「あのゼロというお方……」
フランシーヌの声に、ドラスは振り向いた。もしかしたら、彼女が何かを知っているのかもしれない。
そんな淡い希望を抱いて。
「初対面ですので的外れなのかもしれませんが……うまく集中できていないような気がします」
「集中……?」
「はい。『真夜中のサーカス』の自動人形は私を笑わせるため、ありとあらゆる芸を身につけています。
彼らも人間も、芸をする時は周りの視線を意識しながら芸を変える。それほど集中しているのです。
ですが、今のゼロさんには集中力が空回りしているような気がするのですが……」
ドラスが振り向くと、ゼロはハカイダーにいいようにされていた。思い当たる節はある。
ゼロはエックスと親友だったのだ。もしもロボや(想像できないが)ナタクが似たような理由で敵対したのなら、ドラスの心はどれほど抉られるか。
その状態でゼロはハカイダーと戦っているのだ。
「止めなきゃ……」
ドラスが呟くが、時はすでに遅かった。ゼロとハカイダーの決着がついた。
「くっ!」
ゼロが苦し紛れで迫ってくるが、破れかぶれではハカイダーの目をごまかすことなど不可能だ。
ハカイダーの右手のひらでゼロの腕の軌道を逸らし、刃が地面に突き刺さる。雪が蒸発する音を耳に、ゼロの鳩尾にハカイダーは腰を落として肘を叩き込む。
くの字に折れたゼロを、ハカイダーは身体をコマのように回転させて、蹴りを放った。
またも倒れるゼロを尻目に、ハカイダーは間合いを取って着地する。
(やはり……か。キカイダー、キサマならゼロと似た立場に立たされたとき、どう動く?)
ゼロが本調子でないとはいえ、再戦を望んでいた相手。その彼の立場になってどうすれば全力を出させるのか考えるが、答えが出ない。
もっとも、ハカイダーはおのれの思考を当然だと考える。ハカイダーに心があるというならば、それは酷く偏っているからだ。
ハカイダーは友情も絆も愛も信頼も悲しみも理解しない。それは破壊に必要ないからだ。
だからこそ、ハカイダーのもつ悪魔回路には憎しみ、怒り、執着するのである。
キカイダーに次々自分たちの軍団を潰されたゆえ、プロフェッサーギルが作るよう命じた破壊専用機械。
ハカイダーに心があっても、ゼロの心の痛みが理解できないのは当然であった。
「くそっ! 落鳳破ぁ!!」
ゼロが拳を地面に突き刺し、扇状にエネルギー波を放った。ハカイダーはチャージしていたバスターで相殺。
囮だったのには気づいている。ゼロが一気に間合いを詰めてセイバーを振り下ろした。
また、迷いが見えた。
ハカイダーは出来た隙を見逃すほどお人好しではない。足を払い、倒れたゼロの腹を殴りつける。
「ぐぅ……!」
倒れたままセイバーを振るったゼロを、後方に跳躍してハカイダーは見下ろした。
ゼロが見せる迷いには見覚えがある。あれはそう、キカイダーがハカイダーの脳へと視線を向けた時と同じ迷いだった。
(分からんな。ゼロが何を迷うのか。俺は悪……倒すのに迷うなど、愚考!)
ゼロが立ち上がると同時に、チャージを終えたバスターのエネルギーを開放した。
放たれる赤い光弾が、ゼロへと直撃する。宙で三回転を終えて、ゼロが叩きつけられた。
意識は保っているが、立ち上がれるほどの力はないらしい。倒れ伏したまま、顔だけをハカイダーへと向ける。
ハカイダーは無言でバスターをゼロの眉間に合わせる。
「俺の勝ちだ」
そのハカイダーの声に、微塵も充実感がなかったのは言うまでもなかった。
「く……」
ゼロが悔しげに呻いているが、ハカイダーはどうするか思考する。本調子でないゼロと戦っても面白くなどない。
かといって、決闘時に体調を整えなかったゼロを愚かだとも思う。その愚かさを死でもって味わうことは珍しい話ではない。
ハカイダーは一つの疑問を解消するため、ゼロへと質問をする。
「ゼロ……キサマは俺と戦っている時迷いがあった。なぜだ?」
「いまさら言い訳のしようもない」
「……ゼロ、キサマは変わってしまった。一度目の戦いではキサマは迷わなかったぞ。
俺は変わらない。変わらなかったのに! 聞け、ゼロ。俺は今の今まで、仮面ライダーと戦い、キカイダーとの決闘へ心を躍らせていた。
キサマとの戦いも、仮面ライダーとの戦いに負けぬほど期待をしていた。だがなぜだ!?
なぜキサマは弱くなってしまったのだ!? 俺は……俺は変わらず強くあり続けた。変わらずキサマらを求め続けた!
兄弟を……兄であるキカイダーを殺すことにすべてを注いでいた! なのになぜだ!? ゼロッッ!!」
これが最後だと思うと、ハカイダーは無性に問いただしたくなった。もう、この引き金を引けば会うことないのだから。
最後にゼロへの疑問くらいは解消しておきたい。それがハカイダーの思考だ。
ハカイダーは気づいていないが、これがキカイダーであった場合は見逃している。
ハカイダーはキカイダーと戦うのが一番楽しい存在だ。キカイダーより強くあることを願うが、キカイダーの死は望んでいない。
そのことに無自覚なため、キカイダーとの決着を避けて戦いを求める自分の歪さを知らない。
だからこそ、ゼロがハカイダーを更生させたくて迷っていたなどと気づきはしない。
ハカイダーが更生不可能だとゼロが判断するのが遅かったのも、死んだ凱や風見を想ってのことなのだが、ハカイダーが結びつけることはなかった。
キカイダーが死ぬ時の衝撃を他人も受ける、などと考えるほどハカイダーは心について理解していない。
だからこそ、初めてのケースにハカイダーは『戸惑って』いた。
「もういい。このまま殺すのは惜しいが……ゼロ、自分の体調と心理状態を見誤ったお前の落ち度だ。死ね」
「…………くっ」
身体を震わせ、気絶したゼロにハカイダーは引き金を聞くのを決意した。
そのゼロとハカイダーの間を、神速の速さで黒い影が割って入る。
真っ直ぐハカイダーの瞳を射抜く、怒りを携えた眼。ドラスがゼロをかばって、ハカイダーに立ちふさがった。
□
「それ以上やるなら、僕が相手するよ」
「安心しろ。もう殺す気は失せた」
あっさりとハカイダーが退いて、ドラスは拍子抜けした。眼を放した隙にハカイダーはサブローへと変身を解除している。
フランシーヌがゼロを助け起こしたため、サブローに眼を離さぬようドラスはゼロの隣に立つ。
「ゼロさんは……弱くない! 本当なら……」
「知っている」
ドラスの弁護をサブローが肯定する。KATANAのスタンドを戻し、バイクのエンジンを起動させた。
「ゼロに伝えろ。次に会うまでその迷いを消しておけ。それが勝者である俺の権利だ。敗者のキサマは受け入れる以外ない、とな」
「好き勝手言って! ゼロさんは……ゼロさんは親友がああなってあんたに圧倒されたんだ。そうじゃなければ……」
「小僧、それ以上さえずるな。ゼロの株を落とす」
予想以上に真剣な言葉に、ドラスはつい息を飲む。単純なスペックなら、ドラスのほうが上のはずなのに。
気迫に押されたのが悔しく、ドラスはまだ食いかかる。一番、彼の発言で許せない単語があったのだ。
「そんなに……キカイダーが憎いなら一人で戦えばいいんだ! そんな……兄弟と殺しあうなんて……」
「キカイダーが憎い?」
サブローは珍しく、ドラスの言葉に不意を突かれたような顔をした。
その表情があまりにも幼く見え、ドラスは眉をしかめる。
「サブロー……本当にあなたは兄弟が憎いのですか?」
フランシーヌが否定して欲しいと、サブローへ問いただした。彼女のような優しい人が、サブローのような破壊者に気にかける必要はない。
ドラスはサブローの兄弟と殺しあいたいという欲求を、サブローの人格ごと否定する態度を示した。
キカイダーを憎いのか? と聞かれてサブローは疑問に思った。
悪魔回路に憎しみという負の感情は当然搭載されている。なのにキカイダーに殺意を抱くことはあっても、不思議と憎く思ったことはなかった。
ドラスに問われて始めて気づく。
(憎しみか……そういえる感情は……)
一つだけあった。アカ地雷ガマにキカイダーを殺され、何もかもなくして不安になっていたあと、おのれを殺人人形へと作った親への感情。
ギルと光明寺博士に向けたものは怒りとは違う、もっとどす黒いドロドロした感情の流れ。おそらくあれは憎しみというものだろう。
そしてサブローはその感情を、キカイダーに抱いたことはない。ゼロや凱、仮面ライダーたちにも。
メガトロンたちにすら、怒りこそあれ憎しみを抱いたことはなかった。いや、凱を殺されたと思っていたときは、憎しみを抱いたか。
「俺はキカイダーが憎いのではない」
「ならば、なぜ戦うのですか?」
「親に言われたから? それが生まれたときから義務付けられたものだから?」
「……俺も最初はそう思っていた」
「思っていた……?」
サブローは偽の星空を浮かべる空を見つめる。キカイダーを破壊する。
それが自分の宿命だからだ。そのために生まれたからだ。
そう答えるのは簡単だ。だけどそれだけでないことに、サブローは気づいている。
キカイダーはハカイダーにとって、生まれながらにしての宿命であり、指令であり、生きがいであり、
「キカイダー打倒は俺にとって最大の目標だからだ。ギルも光明寺も知ったことか。キカイダーを超えたい。
生まれながらの使命じゃない。誰でもない、俺が決めた! 俺が求めた!! ただ、それだけだ。小僧」
唯一、殺人人形である自分が孤独でないと実感できる存在であった。
□
両の手のひらが血(オイル)に染まる。足元に転がる無数の残骸がゼロの足元にいた。
そこにいたゼロは、現在のゼロとは外見が少し違っていた。肩が丸くなり、細部のデザインが変化している。
現在、ゼロが存在するところも鉄の壁に囲まれた基地内部だ。
これはゼロが何度も見た風景。だから何が起きたのか、理解した。
(また……この夢か)
何度も見てきたゼロの夢。心を持つまでに至ったレプリロイドだからこそ、できる芸当だ。
ゼロとエックスは出自が特殊である。自らが発見されるまでの記憶がないゼロは、この夢の意味を知りはしない。
本来なら。
無数の残骸の山を掻き分けて、見知った手がゼロの腕を掴む。
「ゼロ……どうして…………?」
「エックス……お前……!」
「俺は……イレギュラーを倒したいだけ……なのに……」
「違う! エックス、イレギュラーなんていなかったんだ!」
「ゼロ……俺の親友……」
そんな眼で見ないでくれ。ゼロは思わずそう叫びたかった。
無二の親友を殺したことは……いや、それ以前に狂気の道へ走るのを止められなかったことは、ゼロに多大なストレスを与えていた。
本来の能力を充分に発揮できないほどに。
『ゼロっ! わしの最高傑作!』
また現れる、謎の老人。髪の真ん中だけ禿げ上がった、白衣を着たと思わしき全身は影で見えない。
うんざりした顔でゼロはその存在へと顔を向けた。こういう状態の時で会いたくない相手だった。
いつもと同じ言葉を告げるのだろう。そうタカをくくった。くくってしまった。
『よくやった! ゼロよ。あいつを、わしの敵! わしのライバル! あいつを超えたことを!』
ゼロは見開き、手のひらで顔面を覆う。そのあいつが誰なのか、もはや疑う余地はない。
やめろ。それ以上口を開かないでくれ。願うように思うが、影は止まらない。
『よくぞエックスを殺した! わが生涯をかけた最後の■■■■ナンバー、ゼロよ!!』
もう、やめてくれ。ゼロの願いが弱くなる。
同時に赤い何かがゼロの身体を包んだ。
『だがゼロよ。お前は負けてしまった。それでは奴に思い知らせれない! 殺せ!
ハカイダーを破壊せよ! そのための力はお前にあるはずだ! 往け、ラストナンバー!!』
―― やめろ! 俺に触れるな! 入ってくるな!!
ゼロが願い、頭を振って否定する。それでも、赤き瘴気はゼロを捉えて離さない。
―― 見失ってしまう……俺が誰なのかを……
もはや友を失い、凱や風見との約束すら叶えられない。ゼロに絶望が訪れる。
不意に、ゼロの周りが暖かくなる。いつの間にか赤い瘴気も霧散していた。
ゼロが首をもたげ、瞼を開く。全身が光ってそれが何なのか確認とりようがない。
だが、ゼロが彼女が誰か間違うはずはない。
ゼロが口を開き、名前を呼ぶ。なぜか声として出てこなかった。
唇の動きを読んだのだろうか、彼女は微笑んでゼロを抱きしめた。
彼女の名は…………
□
「ここ……は……」
「ゼロさん、よかったぁ」
ドラスの安堵する顔を見て、自分が現実の世界に戻ってきたことに気づいた。
ここは外の雪原地帯ではない。どこのかのシャトル基地だろうか? 自分は運ばれたらしい。
ゼロの頭痛が酷くなる。あの悪夢において残骸を生んだところに、どことなく似ていた。
「ハカイダーは?」
「あんな奴、知ったことないよ! サイドマシーンまでもって行っちゃうし……」
ドラスが吐き捨てる姿に姿に、ゼロは呆けた。自分が気絶している間に何があったのか?
「ゼロさん、よかった……」
「フランシーヌ、ハカイダーは何を言ってきたか教えてもらえないか?」
「何でゼロさんも凱兄ちゃんもあんな奴のこと気にかけるの? あんな、兄弟と殺しあうことを望む奴を……」
ドラスがハカイダーを嫌う理由が分かった。家族を求めていたと自ら認めたドラスにとって、兄を殺すのに全力を持って挑むハカイダーは嫌悪の対象なのだろう。
無理もない。ゼロは上半身を起こし、手当てされた身体を見回した。メカ救急箱がないため、気休めでしかない。一つぐらい持ち出しておけばよかったか。
「ゼロさん、サブローから伝言があります」
「フランシーヌさん、そんなことを伝える必要は……」
「いや、聞かせてくれ。あいつが何を言ったのかを」
ゼロの頼みに、ドラスは不満そうに睨んだ。フランシーヌの鈴のように軽やかな声を耳に、ハカイダーが何を告げたかゼロは知った。
「……これですべてです。ですがサブローとてこれが本音とは限りません」
「いや、心からの言葉だろう。相変わらず手厳しいな」
「ゼロさん!」
ドラスがゼロを咎めるように、甲高く声を上げる。それをゼロは危ういと感じた。
ナタクを吸収したとのことだが、その使命感で視野が狭くなっているようにも思える。
いつか痛い目を見なければよいが。
「とはいえ、まだあいつに見放されたわけじゃない」
自分が持つ迷いを看破され、それを捨てろといわれた。ゼロが持つのはエックスへの後悔だけではない。
凱も風見も、敬介もナタクもチンクも自分が不甲斐ないせいで死んだ。
「次は勝つ……完膚なきまでにな。そして勝者の権利を俺が使う。それだけだ」
ゼロは告げて、自分の傷に手を当てる。力が欲しい。その願いと共に、感情が昂ぶって赤い瘴気が一瞬だけまとわりついたことに気づかなかった。
ドラスはゼロが意識を取り戻したことに安堵しながら、ハカイダーへは怒りしか持てなかった。
ドラスにとって姉も兄も、自分に大切ものを気づかせた存在だからだ。家族がいるのに、その家族と殺しあう。
そういうハカイダーを理解したくないし、贅沢だと思う。
それはドラスが家族に対しての愛情の示し方を、健康的な形で示す方法を知っているからだ。
だからこそ、兄への執着が歪んでいるハカイダーに嫌悪感をする。
本能でハカイダーと自分が似ていることに気づいているため、その結論を否定する。
ドラスはゼロとフランシーヌを気遣いながら、基地内部を見渡した。
「どうかしましたか?」
「フランシーヌさん。ここに……ノーヴェお姉ちゃんやメカ沢お兄ちゃん、ロボが眠っているんだ……」
「……そうですか」
ドラスはそのまま、オルゴール付き懐中時計を取り出した。鳴り響く音楽が静寂な建物に反響する。
涙が出そうだが、堪える。ナタクに言ったのだ。もう泣かないと。
―― 聴かせてよ あふれるメロディ
ドラスは透き通るような歌声に振り向いた。フランシーヌがオルゴールの曲にあわせて歌いだしたのだ。
―― 迷い子の 心の森に
淡い月光が窓から入り、スポットライトのようにフランシーヌを照らしている。まるでそこだけが特別な空間になったようだ。
―― いつの日も 汚れ知らずに
いつの間にかドラスもフランシーヌと共に歌っていた。彼女が曲に即興で当てはめた歌詞。それがとてもドラスには心地よかった。
―― 本当の愛が 微笑むまでは
今までドラスを助けてくれた人たち。彼らの鎮魂歌。ドラスは感謝を込めて、フランシーヌと共に歌い続けた。
【D-3 シャトル基地内部/一日目 真夜中】
【フランシーヌ人形@からくりサーカス】
[状態]:全身打撲、疲労、足首負傷、ギガアタックのダメージ、右腕修復(ただし、反応と動きが鈍い)、深い悲しみ、強い無力感
[装備]:なし
[道具]:支給品一式及びPDA:未確認支給品(0~1)
[思考・状況]
基本思考:罪滅ぼしのために、主催者を倒す。
1:歌を歌う。なぜかこの歌は歌える。
2:せっかく笑えたのに、今は悲しい。
3:本郷たちと合流。
4:私は生命の水に溶けて無くなった筈では……
5:本郷が心配。
6:本郷達に敬介やドラスのことを伝える。
※原作死亡後(25巻第32幕微笑(後編))から参戦。
※コロンビーヌやアルレッキーノと参戦時期が異なることを知りました。
※自分が笑えることに気付きました。
【ドラス@仮面ライダーZO】
[状態]:右腕がスバルのもの、悲しみ、自分が求めていたものが『家族』と自覚、ナタク@封神演義を吸収、疲労小
セインを四、五歳幼くした状態に擬態。ただし、生えている
[装備]:ラトゥーニのゴスロリ服@スーパーロボット大戦OG、メカ沢の学ラン@魁クロマティ高校、オルゴール付き懐中時計@仮面ライダーZO
混天綾@封神演義(マントとして)、乾坤圏@封神演義(左腕の方は修理が必要)、カセットアーム@仮面ライダーSPIRITS(体内)
金蛟剪@封神演義(体内のナタクと付属)
[道具]:PDA(ドラス、マルチ、ノーヴェ、ロボ、アラレ、シュトロハイム、城茂、エックス、あ~る、バロット、チンク、メカ沢、灰原、ロックマン)
荷電磁ナイフ@マルドゥックスクランブル(D-3基地に放置。呼び出し可)
スタームルガー レッドホーク、装弾数0/6@ターミネーター2(D-3基地に放置。呼び出し可)
ぎんのいし@クロノトリガー、液体窒素入りのタンクローリー@ターミネーター2 (D-3基地に放置) タイムストッパー@ロックマン2(メカ沢の胴体部):ロボのPDA
はちゅねミクのネギ@VOCALOID2(E-3道路に放置)メッセージ大砲@ドラえもん(E-3道路に放置) 拡声器@現実(E-3道路に放置):アラレ、及びシュトロハイムのPDA。
転送可能 スモールライト@ドラえもん(残り四回)、テントロー@仮面ライダーSPIRITS:城茂のPDA
クロマティ高校の制服@魁!!クロマティ高校 、グロスフスMG42(予備弾数20%)、 NIKU・Q・マックス@サイボーグクロちゃん、
ナイスなグローブ×2@パワポケシリーズ、ダンボール@メタルギアソリッド、
大型スレッジハンマー@ジョジョの奇妙な冒険、アトロポスのリボン@クロノトリガー、高性能探知機(バッテリー切れ)
[思考・状況]
基本思考:二度と家族を失わない。
1:歌を歌う。心地がいい。
2:スバルをまだ正気に戻したいが……。
3:仲間の死にショック……だが、泣かない。
4:家族と殺しあうハカイダーを認めない。
[備考]
※自分が未完成品、仮面ライダーが完成品だと勘違いしています。
※チンクを姉として強く慕っています。
※無意識の内に罪悪感が芽生えつつあります。
※志郎の言った10人ライダーの中に仮面ライダーZOがいると思い込んでいます。
※他人の肉体を吸収すると取り出せなくなっています。
※金蛟剪@封神演義に『使用者の資格がある』と認められましたが、龍を発現させるまでには至っていません。
※赤ドラスに変身可能になりました。
【ゼロ@ロックマンX】
[状態]:全身にダメージ大、疲労大、T-800を敵視、シグマウィルス一個に感染(進行中)、???
エックスの死亡と悪夢によって精神疲労。
[装備]:チャージキックの武器チップ@ロックマンシリーズ、カーネルのセイバー@ロックマンX4、謎の金属片(マルチの残骸から回収)
[道具]:支給品一式、PDA(ゼロ)、空っぽの平凡なデイバッグ@ゴミ処理場、サイクロン号@仮面ライダーSPIRITS
[思考・状況]
基本:シグマを倒す。イレギュラーに容赦はしない。
1:ハカイダーに再戦。勝てば勝者の権利を使う。
2:凱を殺したボブ(T-800)を最大の敵と認識。
3:チームの立て直しのためこのまま基地へ。特にドラスは気をつける。
4:本郷と合流。ボイルド、メガトロン、グレイ・フォックス、ボブ(T-800)は警戒。
5:シグマ、何を企んでる?
[備考]
※ノーヴェたちを生体パーツを使用したレプリロイド(のようなもの)と解釈しました。
※参戦時期はX4のED~X5開始前のようです。
※シグマウィルスに感染しましたが、発症するのにウィルスが足りないのか、それとも潜伏期間に入ったのかは、後続にお任せします。
□
サブローはサイドマシーンを駆りながら、次へ向かう場所を考えあぐねていた。
KATANAで出発しようとした時、ドラスがサイドマシーンで現れたことを思い出して奪ったのだ。
これも勝者の権利という奴だ。ドラスは不満そうにこちらを睨んでいたが、怪我人をとフランシーヌを抱えた身で攻撃してくるほど分別がつかないわけではない。
キカイダーのマシンがあることに疑問があるが、元の世界に帰って悔しがらせればいいか、と考えた。
当面の目的はメガトロン。自分に背中を向けさせた罪は重い。
キカイダー以外……いや、キカイダーにすら背を向けず、戦い続けたおのれの誇りを傷つけた罪、八つ裂きをもって思い知らせる。
冷静に怒りをコントロールし、サブローはメガトロンと戦ったシャトル基地へと向かうことへ決めた。
何らかの手がかりがあるだろう。そう思って。
(そして、俺はキカイダー。キサマに勝つ。それこそが俺の……)
悪の誇りだ。
サブローがもっとも重く扱うもの。それこそがすべてであった。
サブローが向かう先にはメガトロンの挑発がある。
だがサブローは怒らないだろう。なぜなら、サブローが最も大事にするのは絆でも友情でも、命でもない。
キカイダーと決着をつけようとする自分への誇り。それ以外はすべてゴミのような存在だから。
【C-4 コロニー間通路/一日目 真夜中】
【ハカイダー@人造人間キカイダー】
[状態]:全身打撲。小ダメージ。エネルギー小消耗。ある程度メンテナンス終了。右肩を負傷(バイクの運転に支障は無い)
自分に背を向けさせたメガトロンに対する冷静な怒り
[装備]:サイドマシーン@人造人間キカイダー、ゼロバスター@ロックマンX
[道具]:ハカイダーのPDA(支給品一式)、風見志郎のPDA(支給品一式)、バタフライナイフ@現地調達(左足に収納中)
スズキ・GSX750S3 KATANA@仮面ライダーSPIRITS
[思考・状況]
基本思考:元の世界へ帰ってキカイダーと決着をつける。
1:メガトロンとコロンビーヌを破壊し、背中を向けさせた罪を償わせる。
2:ゼロが万全の状態で戦う。
3:村雨良の遺言を仮面ライダー全員に伝えた。仮面ライダーに会い、破壊する。
4:参加者を全て破壊する(ただし、女子供、弱者には興味が薄い)
5:正直、アルレッキーノとラミアの死はどうでもいい。
6:凱、風見、敬介の死は惜しいが、キカイダーほどの衝撃ではない。
7:シグマを破壊する。
8:キカイダーに迫る、戦士に敬意。
※参戦時期は原作死亡後(42話「変身不能!? ハカイダー大反逆!」後)です。
※血液交換が必要のない身体に改造されています。
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