「閉幕と始まり2」(2009/05/25 (月) 20:14:03) の最新版変更点
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**閉幕と始まり2 ◆2Y1mqYSsQ.
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「ぐぅ……!」
「ゼロさん、私を離して戦ってください!」
「そんなこと、できるか……」
ゼロはレーザーがかすり、右肩を焼かれながらメガトロンの攻撃から逃げ惑った。
左脇にはフランシーヌを抱え、動きが鈍くなっている。メガトロンは見かけによらず俊敏だった。
そして、コロンビーヌがゼロの眼前に現れる。
「あーら、メガちゃんばかり気にしてもしょうがないわよ~」
ゼロが急ブレーキをかけて、眼前を数センチ先を剣先が通り過ぎた。
コロンビーヌのもつゾナハ蟲を使った剣である。ゼロは歯噛みして、カーネルのセイバーで剣をコロンビーヌの身体ごと跳ね飛ばした。
「あらん♪」
「けど、残念!」
メガトロンがコロンビーヌを跳ね飛ばし、身体を硬直させたゼロにレーザーを放つ。
背中に走る衝撃にゼロはたまらずフランシーヌを離し、壁に激突した。
「はい、動くなよ。動いたらフランちゃん殺っちゃうよ~」
「キサマ……!」
「正義の味方は損よねぇ~。これだけで動けなくなっちゃうもん」
「ゼロさん、私に構わず……ぐっ!」
「ちょっと黙ってくれないかしら? フランシーヌ様ぁん」
ゼロにメガトロンを討てと告げようとしたフランシーヌの背中を、コロンビーヌは容赦なく踏み潰した。
もはや、コロンビーヌにフランシーヌへの忠義はなくなっている。
「さあてと、ゼロさんよ。ベタだが、お前さんはおしまいだ」
「く……」
ゼロは悔しげに俯く。フランシーヌを救えない。メガトロンはどの道、フランシーヌを始末するだろう。
また、今のゼロにコロンビーヌとメガトロンの二人を対処できるすべはない。
(俺はこのまま、死ぬのか……!?)
ゼロは輝くメガトロンの、恐竜の尾を模した右手を睨み続けた。
銃口が光を増していき、エネルギーの解放を待つ。あれが放たれれば、自分は終わりだ。
(これで、俺はいいのか……? 親友を、エックスを救えずに終わった、俺はこんなことで……)
親友を手にかけて、血で濡れたままエックスの元に逝く。
考えてみればいい提案と思えた。もうこれ以上、苦しむことはない。
―― 殺せ!
(ふざけるな……俺は、俺は!)
―― 破壊せよ! そのための力はお前にあるはずだ!
(俺は! ここで終わるためにあいつを殺したんじゃない!)
―― 往け、ラストナンバー!!
「俺はああああぁぁぁぁぁぁ!!」
ゼロの叫びと共に、メガトロンのレーザーが放たれる。
フランシーヌの叫び声も、メガトロンの高笑いも、コロンビーヌの嘲笑も、ゼロの耳には届かない。
すべてがコマ送りのような状況になり、ゼロの眼前で赤い光が爆発した。
「が……ああ……」
メガトロンは地面に伏しながら、なにが起こったのか理解できずに戸惑った。
状況はメガトロンとコロンビーヌが圧倒的に優位であった。人質も捕り、ゼロをレーザーで撃ち抜くだけですべてが終わるはずだ。
なのに、現実は違う。倒れ伏しているのは、メガトロンとコロンビーヌ、そしてフランシーヌである。
「すごく……すっきりしている……。身体が軽い……」
「な、なによ……いったいなにが……」
「赤いオーラ? 殺意の波動に目覚めたとでも言うんじゃないだろうな」
メガトロンはいろいろな意味で危険な発言を告げて、ゼロの様子を見る。
これはやばい、とメガトロンの勘が告げていた。コロンビーヌも同じらしく、互いに見合わせる。
メガトロンが一見した程度では、ゼロは赤いオーラをまとっている以外には傷がふさがった程度だ。
なのに、後ずさりしたくなるほど存在感が圧倒的なのである。
(これは、地雷踏んだかもしれん)
じと、と冷や汗が流れてメガトロンはどうにか立ち上がる。そのメガトロンをゼロが見た瞬間、
「どぅわあぁぁぁああぁぁっ!?」
メガトロンは壁に叩きつけられて、自慢のメタルスボディに斜めの刀傷が走った。
斬撃を飛ばしたのだとメガトロンが気づくのに、数秒要した。
「メガちゃん!? く……うぅ!?」
甲高い金属音が響き、コロンビーヌが作り出したゾナハ蟲の盾が真っ二つに斬られた。
鋭い。そして殺意に満ちた攻撃。先ほどとはまるで別人だ。
「きゃあ!?」
「うるさい」
ゼロはコロンビーヌの髪を掴んで、地面に二度三度と叩きつける。
メガトロンが今のうちにとレーザー銃を向けようとすると、コロンビーヌを投げつけてぶつかり照準がぶれた。
「ぎゃふん!」
そのままゼロは無言で斬撃を飛ばし、大きくメガトロンの右肩が裂ける。
とんでもない。こんな相手をしていられるか、と内心吐き捨てた。
「ゼロさん? いったいどうしたのですか?」
「フランシーヌか。俺はすっきりしているんだ。そう、もう……」
ゼロはスッ、と右腕を閃かせる。メガトロンの目の前で、フランシーヌの左腕が舞った。
そして自分たちが触れてはいけない領域に触れてしまったことを悟る。
「やべえな、コロンちゃん。俺たち、最強の悪を目覚めさせたのかもしれない」
「どうする?」
逃げるしかないでしょ。剣を振った衝撃で壁に叩きつけられるフランシーヌを見届け、メガトロンは呟いた。
ゼロは恍惚とした表情で宣言する。
「もう、イレギュラーもエックスもどうでもいい……。ただ、俺は暴れられればそれで……」
最強の悪の覚醒を。
ゼロは吹き荒れる風を身体に浴びて、壁に叩きつけられたフランシーヌを見る。
彼女はなぜ? という表情をしているが、ゼロにとっては当然の選択であった。
「不思議な顔をしているな。フランシーヌ」
ゼロは今まで、この感情を封印し続けたのは分からなかった。
戦い、奪い、壊し、殲滅する。それがゼロに与えられた使命。
そして、エックスを殺すことが宿命だったのだ。今だからこそ分かる。
ゼロは右腕をバスターに変えて、後ろから撃とうとしたメガトロンへと放つ。
「ぎゃっ!?」
「だからお前、俺が地獄に送ってやるよ」
ゼットバスターの装着はすでに済んでいる。動力炉に問題があるため、今まではバスターを放つことはできなかった。
未来において五回目のシグマとの戦いの時に修復されるはずだった傷は、覚醒の際に上がった再生力で問題をなくしている。
その威力は本来のゼットバスターを上回り、メガトロンを吹き飛ばした。
「そんなものもありかよ」
「くっ! 四方からの刃なら……」
コロンビーヌがゼロの周辺にハサミを作り出し、ゼロへと飛ばした。
フランシーヌが悲鳴を上げるが、ゼロは眉すら動かさない。
「こういう技もあるんだぜ?」
ゼロは地面に右拳を叩き込み、エネルギーの塊を地面から噴出させた。
飛来してくるハサミを迎撃し、メガトロンたちをへと届く。
「ぐぇ!」
「ぐぅうぅぅぅ!」
「ぜ、ゼロさん……」
もちろん、フランシーヌさえも巻き込んで。好きなだけ力を振るえる。
気に入らない奴を破壊して、足元に伏させることができる。それがこれほど快楽だということを、ゼロは始めて知った。
「駄目です、ゼロさん。そのままでは……」
「どけ。あいつらを俺が殺してやる」
「どきません!」
フランシーヌの一括にゼロは眉をしかめ、その腹に拳を叩き込んだ。
崩れ落ちるフランシーヌの傍を通り過ぎ、メガトロンとコロンビーヌの前に立つ。
「やめてください! ゼロさん!!」
セイバーを掲げたところ、まだ気絶していないらしくフランシーヌが立ち上がって吼えた。
さすがに鬱陶しく思ったゼロは踵を返す。メガトロンに背を向けているが、いつでも対処可能だ。
「なにを考えている? こいつらはお前にとっても敵だ。ならなにも問題はないはずだが?」
「問題ならあります。あなたが……戻ってこれない!」
「戻ってこれない? くだらない」
ゼロは呟き終えたと共に、メガトロンを蹴り飛ばす。カエルが潰れたような醜い声を上げて、メガトロンがボールのように壁にバウンドして地面に叩きつけられた。
コロンビーヌが刃を振るうが、遅い。その顔を張り倒し、メガトロンと同じ場所へ転がす。
「くぅ……メガちゃん……」
「やべえよ、こいつあ」
弱音を吐くしかできない二人を見下し、ゼロは皺に深く影を落として笑う。
メガトロンが浮かべていた笑みよりも、凶悪に。
「この快楽がくだらない!? ははははっ! これほどの快楽を、フランシーヌはくだらないというのか!?
さっきまで無様だった俺よりも、今の俺がくだらないと!? 笑えない冗談だな」
「くだらないです……。先ほどまで、精一杯生きていたあなたと違って、今のあなたは命を粗末に扱っています!
それじゃまるで……まるで狂った自動人形じゃありませんか!?」
「狂った自動人形? 違うな、今の俺こそが本当の俺なんだよ。フランシーヌ、そんなに死にたいか……」
ゼロはゆっくりと、バスターのエネルギーをチャージしながらフランシーヌへと向ける。
自分の心地よい気分に水をさした。その程度で、今のゼロは人の生き死にを決める。
本来想定されたゼロがそうなのだ。
「おっと、ごたごたにまぎれて逃げようとしても無駄だ。すぐにスクラップにしてやるよ」
「くっ!」
「さようなら。フランシーヌ」
ゼロの輝く右手がフランシーヌに向けられ、エネルギーを開放した。
「ライダァァァァァァキィィィィィィィィック!!!」
その一撃は、矢の如く鋭い一撃によって逸らされた。
新たな敵は歯ごたえがありそうだ。ゼロは不適に笑って、目の前の仮面の男を睨みつけた。
「フランシーヌ、無事か!?」
「本郷……本郷こそ、その傷!」
「問題はない。あそこにソルティたちが待たせてある。避難してくれ」
仮面ライダーは力強い声でフランシーヌに指示をして、赤いオーラを纏うゼロと対峙する。
その仮面ライダーを、フランシーヌが片手で止めた。
「本郷……ゼロさんはどういうわけか暴走をしています。先ほどまで、私を守っていたのです。どうか……助けてください!」
「暴走……」
フランシーヌの訴えるような声を受け、仮面ライダーはエックスを思い出した。
シグマへと反逆を示した二人が悪となる。最悪の事態だが、何らかの外的条件があるのだろうか?
どうであろうと構わない。フランシーヌへ答える言葉は決まっている。
「任せろ」
短い一言。それこそが仮面ライダーの証なのだから。
「少しは歯ごたえのありそうなのが出てきたな」
「フランシーヌが避難するのを待ってくれて、感謝する」
「なに。フランシーヌも、今しがた逃げていったメガトロンもいつでも始末できる。
それよりも俺を楽しませろよ。すぐに片がついては面白くないからなぁ!!」
ゼロの言葉を開始の合図とし、二人の距離は零となる。
仮面ライダーはゼロの斬撃を潜り抜け、その胸元へと拳を叩き込んだ。
□
「ディバインバスター!!」
いっそう風が強くなって雪が舞う中、スバルは両腕に練り上げた魔力を集中させ、光の筋を放つ。
一直線にレーザーの如く伸びる光は、標的ドラスへと迫らせた。
「くっ!」
ドラスが魔方陣を掲げて、ディバインバスターの進行を鈍らせる。
だが、昨日今日使えるようになった魔法障壁如きで、スバルのディバインバスターはとまらない。
そのままドラスの魔法障壁ごと巻き込んで、地面に叩きつけた。
雪が蒸発し、スバルの視界が極端に限定される。それでも、スバルは殺意を持ってマッハキャリバーへと指示を出す。
「マッハキャリバー! 索敵をお願い!!」
『They confirmed our position. It comes from the direction at three o'clock.(発見されました。三時方向からまっすぐ向かってきます)』
「このぉ!」
スバルは急速に旋回するが、ドラスは目の前まで接近している。デバイスの索敵能力が下がっていることを失念していた。
スバルは構わず右拳を振り、ドラスへ打ち込む。ドラスが冷静に捌いて、さらにスバルは攻撃の速度を速めた。
両手両足を使った、格闘攻撃の連続。なのに、ドラスが反撃する様子はない。
「くそっ! くそぉぉぉぉぉぉっ!!」
冷静さを失ったスバルは、ドラスが一切反撃をしないことに気づかない。
怒りと悲しみで曇った瞳で、悪を討とうと恐怖に押しつぶされないように拳を振るい続けるだけだった。
(くっ、捌ききれない……)
ドラスは魔法攻撃を撃たれては身が持たないと計算して、蒸気に紛れながら接近戦を仕掛けたのだ。
とはいえ、スバルに攻撃する意思はない。あくまで疲労を待ち、話し合いができる状況を待っているのだ。
今の頭に血が昇った状態のスバルを説得できるとは思えない。
そしてドラスがスバルに危害を加えるのは、絶対嫌であった。
だから、自分はともかくゼロたちを攻撃しないように説得するには、彼女の攻撃を避け続けて機会を待つしかない。
拳、蹴りをやり過ごし、近距離でも使える魔法をギリギリで躱す。
怪人態になれば話は別であろう。すぐにでもスバルを取り押さえることができる。しかし、あの姿で説得など噴飯ものだ。
ゆえにドラスはいくつか攻撃をもらうが、それも仕方のないことだ。
自分の犯した罪はこの程度の痛みで購えるものではない。
ドラスはひたすら、スバルの攻撃を避け続ける。
彼女の憎しみ、自分が受け止めねばならなかった。
□
再び、舞台は宇宙要塞へと戻る。
放送を二十分前に控え、シグマは玉座にてモニターを見つめていた。
イーグリードも現在行われる激闘に胸を痛めているのであろう。放送のたびに、苦痛の表情を浮かべていた。
やがて放送用のデータファイルをまとめていると、緊急回線に通信が入ってきた。
「どうしますか? シグマ隊長」
「構わん。つなげ」
シグマの指示に乗っ取り、イーグリードがパネルを操作した。
モニターには金髪の白人が映り、必死の形相でシグマへと懇願してくる。
『シグマ、手を貸してくれ! こちらの世界へ向かうロックを解く! 急にスカイネットが……』
「ほう、スカイネットが反乱を起こしたのか。過去と同じく」
シグマはその言葉を聞き、静かに肩を揺らして低く笑った。
モニター越しの相手は訝しげにシグマを見ている。
「まさかこうも早く、効果が出るとはな……ククク、ハーハッハッハッハッハ!」
『まさか……キサマ!』
「いいこと教えてやろう! キサマらの植えつけようとした服従プログラムはシグマウィルスと相性が悪い!
私の服従プログラムを破り、そしてスカイネットへと影響を与えた」
『馬鹿な! だとしても、スカイネットと接触したことが……』
「いいや、一度だけある。T-1000を私に送りつけたのが失敗だったな。オープニングのプログラムの演出だろうが、スカイネットと繋がっている状況で送るものでもないなぁ!」
『なん……だと……。そうか、会場内のT-1000にエラーが連続していたのは……』
「正体をばれないため、会場へ一切介入できないのが仇となったな。目晦ましのためとはいえ、ジョン・コナーの護衛を失敗する世界のT-800を参加者と選んだのも無駄になる。
キサマらの負けだ。大人しくスカイネットの軍勢に蹂躙されているがいい!!」
『そん……うわああぁぁぁぁぁぁ!?』
爆発音と共に、モニターが消えた。おそらくあの男も生きてはいない。
シグマは深々とため息を吐く。
「シグマ隊長……打った手とはもしや……」
「そうだ。イーグリードの予想通り、シグマウィルスを使ったのだ。通常のシグマウィルスよりも指向性を持たせてある。
これで奴らがタイムマシンを使って過去に行くことも、スカイネットが平行世界への侵略に乗り出すこともない」
そう、シグマはいわゆるバトルロワイアルの始まり、オープニングにT-1000を演出として使うことを聞かされたときからこの計画を練ったのであった。
基本、未来から送られたT-1000は会場の臨場感をデータとして送るため、スカイネットと繋がっていた。
今までのバトルロワイアルでもそうだった。ゆえに、シグマは服従プログラムの破壊のほかに、タイムマシンと平行世界移動装置のプログラムを破壊するシグマウィルスを送ったのだ。
人間に殺意を持つスカイネットが、他世界へと干渉ができなくなるように。
スカイネットのプログラムを喰らい、成長を行ったシグマウィルスは、今頃あの世界のタイムマシンと平行世界移動装置を破壊尽くしているだろう。
スカイネットが食い止めようと動くだろうが、シグマウィルスが破壊尽くすのが先だ。手の打ちようもない。
「これでどの世界も、奴らやスカイネットの脅威に晒されなくてすみますね」
「ああ、そうだ。長かった……奴らに再生されてから……」
シグマは思わず、万感の想いを込めて呟いた。言いなりになっている振りをして感じた屈辱はこんなものじゃすまない。
自分が報われたことを知り、今まで隠していた感情が少しだけ表に出たのだ。
「それでは、バトルロワイアルの中止を……」
「そうだな、バトルロワイアルは中止。そして、私自らの手で奴らを殺してやろう」
「シグマ隊長ッ!?」
イーグリードが目を剥いて、シグマを見やる。シグマはまだやることをすべて終えていない。
「なにを不思議に思う? 私はこれから地球の制圧に乗り出す。奴らを殺し、勝どきをあげてくれる!
イーグリード、転送カプセルの起動を許す。奴らを案内するがいい」
そう、自分が彼らが倒すべき最大の悪と死ぬ役目が、まだ残っている。
それこそが、シグマがバトルロワイアルに巻き込まれた彼らにしてやれる、最後の仕事だから。
「イーグリード君。どうしたのかね?」
「ライト博士。バトルロワイアルは終わりです」
「そうか! ようやく……。なら、彼らをここに呼び、元の世界へと帰すだけなのだな」
「……シグマ隊長は……彼らと戦うつもりです……」
「なんじゃと?」
ライト博士はしばらく呆然とし、すぐに怒りをもった。老体とは思えぬ速さでシグマのいるメインルームへ向かおうとするが、イーグリードはとめる。
咎めるようなライト博士の視線を受け止めて、歯を食いしばりながら首を横に振った。
「なぜだ。なぜ彼らがこれ以上戦う必要があるんじゃ!」
「シグマ隊長は!」
ライト博士の怒声を上回る大声で、イーグリードは思わず叫ぶ。
そのまま、声のトーンを落として続きを告げた。
「シグマ隊長は……死ぬ気なのです。おめおめと……彼らを巻き込んで、四度も世界を滅ぼしかけた責任を取るために……!」
その真実を知り、ライト博士は「そうか」と呟いた。イーグリードは訝しげ、ライト博士に尋ねる。
そして知った。
『異世界の技術でさらなる向上を遂げた究極のアーマーを纏い、『イレギュラー』を破壊するエックスを見てみたかったのだがな』
そう、シグマが語ったことを。これはエックスが死んだことに対する皮肉ではなかった。
まさにそのままの意味。究極のアーマーを纏った『イレギュラーハンター』エックスに、『イレギュラー』のシグマが破壊される。
そういう図式が、シグマにとっても理想だったのだろう。
「そんな……無意味じゃ! 悔やむのなら、生きて罪を償わねばならん!」
「ですが、今の隊長ではその意見を聞き入れません。俺も……あなたも、シグマ隊長を動かすことはできない!」
ライト博士を前にしては、一貫して『私』と喋っていたイーグリードの素が出る。
自分の無力さを噛み締め、無念に震えていた。
「だから、俺は……」
イーグリードは転送カプセルを見つめ、その先にいるであろうゼロを思い浮かべる。
「すまない、そして感謝する。イーグリード」
次に会う時は敵となる部下に、シグマは礼を告げた。
一度イレギュラーとなり、部下を人質に捕ったはずのシグマをイーグリードは最後まで信じてくれた。
自分の意を汲み取ったのか、シグマの言いたいことを理解して自殺を承知してくれた。
いくら感謝してもしたりない。
そしてなにより、無実の未来人を巻き込んだ罪を償わなければならない。
そのツケを払うのを、今まで生き残ったゼロたちに押し付けてしまうことになる。
ここはゼロとエックスがいた世界。各世界の生き残りを帰した後、ケイン博士にここにある簡易型平行世界移動装置を引き渡し、解析させればスカイネットが猛威を振るう世界へといけるのであろう。
玉座の後ろに隠されている簡易型平行世界移動装置は、番組のプロデューサーが人気の高い『脱出エンド』を行った際、生き残りが各世界へと返れるように仕向けたものである。
先ほど、自分たちの世界へ行くことをロックを解除するという言葉はそのままの意味であった。
シグマはもう一つ、未来の人間たちへ暴走したスカイネットへの対応策を与えている。
支給品を集める際、手に入れたクローン培養基を使ってジョン・コナーの赤ん坊をある夫婦に渡したのだ。
もっとも、その世界で自分が滞在できる時間はなく、一方的に送りつけることしかできなかった。
「私は私で、最後の仕事をしよう。主催者としての……」
暴走するスカイネットへの対策もとった。未来人には生き残る道を渡してやった。あとは彼らしだいだ。
ならば、自分は決着をつけるべきだ。イレギュラーの首謀者、シグマとしての決着を。
ゼロたちが倒すべき、彼らの心の救いとなるために悪として存在しなければならない。
「諸君、聞いているかな? 私はすべての技術を手に入れた。後は世界を手にするだけだ!」
だから来い、ゼロ。私を殺すために。
シグマの心はそう、訴えかけていた。
□
「あー、散々だった」
「もうやばかったわね……」
メガトロンとコロンビーヌが、雪原地帯の上空をビークルモードで翔け抜けていた。
それぞれ装甲がへこみ、衣装が斬られている中、へこたれず次の悪事を練っている。
「ところで、フランシーヌのもっていたPDAにはなにが入っていたの?」
「ああ、なんともご先祖様のスパークらしい。でもなあ、説明見るとフランちゃんが俺様に渡したくなかった理由がわかるぜ」
メガトロンは自慢げにPDAの液晶画面をコロンビーヌに示した。
コロンビーヌは納得したように、二、三度頷く。
「ふーん。スパークを取り込んでパワーアップしたコンボイのように、メガトロンにも使用可能、ねえ」
「コンちゃんそんなパワーアップをしたなんて、俺様はずるいと思うからな。ゼロもああなっているし、こちらもパワーアップをしようってわけ」
「そう。でも無我夢中で脱出したけど、どこでパワーアップするのかしら?」
「スクラップ工場が近いし、そっちにいくか」
適当に向かう先を決めて、コロンビーヌはため息を大きく吐いた。
自分が手に入れた、ラミアという女のPDAの画面を見つめる。使えそうな武器は移したが、残った最後の一つはどうにも使い道がない。
「いいわねー、メガちゃんは。あたしなんてこんなんよ」
「どれどれ……ってうおわっ!」
メガトロンが覗き込もうとした時、コロンビーヌの腕に竜巻が叩き込まれた。
巻き込まれ、メガトロンはバランスをどうにか立て直す。
コロンビーヌのPDAが宙に舞い、鳥のような影が横切って奪った。
「だ、誰よ!」
「鳥さんだと!?」
二人の前に現れたのは、鳥人のレプリロイド、イーグリードであった。
彼はPDAの画面を確認後、ホッとしたようにため息を吐いてメガトロンたちに顔を向けた。
「悪いな。キサマらがこのPDAを持っていたのは知っている。こいつはもらっていくぞ」
「ちょっと、お前……」
メガトロンが呼び止めるまでもなく、イーグリードは高速で逃げていった。
メガトロンの速度では追いかけることもできないだろう。
「放っておきなさいよ。あんな、説明文もない意味のわからない支給品なんて、なくなっても痛くないわ」
「けどね、コロンちゃん……」
「ま、メガちゃんがそのままゼロにぼこぼこにされたいなら放っておくけどぉ?」
いや、それは勘弁、とメガトロンはスクラップ工場へと向かった。
彼が持って行ったPDAの支給品は、ただ『ワクチンプログラム×3』とだけあったのである。
上空を行く影を見かけるものがいる。
黒い衣装に額にゴーグルをかけた冷たい印象の男。黄色いサイドマシーンにまたがりながら、目標を見つけた獰猛な笑みを浮かべる。
「見つけたぞ」
軍事基地で起動したパソコンに、メガトロンがシャトル基地へと向かったと推測したサブローはようやくメガトロンたちを見つけたのである。
自分の推測が当たった。ならば、奴らを追いかける。
背中を見せた屈辱を晴らす。サブローはハンドルをメガトロンたちが向かう方向へと向けて、サイドマシーンを走らせた。
サブローは暗闇の中を進むが、その瞳は雪辱を晴らせる機会が訪れたことに、輝いていた。
□
「やっと追いついた」
「……何かおかしいと思わないか?」
「ボブさん。確かに、スバルちゃんが一方的だ。相手は……弱くないと思う」
T-800の言葉に、ミーが同意を示す。暗闇の中でも視界が効く二人の目の前でドラスは一切反撃をしていない。
これは少しおかしい。ドラスの実力を伝え聞いた二人には不思議でしょうがないのだ。
T-800だけなら潰し合わせるのだが、ミーもいるのでは迂闊な行動をとるわけにはいかない。
それに、なぜかT-800にうずくノイズが大きくなっていった。そのノイズを確かめるために、ミーへとT-800は提案する。
「ミー、スバルをとめる。手伝え」
「え? ああ、はい」
ミーの反応を不思議に思いながらも、T-800はバイクを進めた。
雪にタイヤを取られることもなく、スバルの元へと近寄っていく。
ドラスの鳩尾に拳が埋まり、右頬へ蹴りを叩き込む。
吹き飛びながらも、どうにか姿勢を制御したドラスは再び打ち込まれるスバルの左肘を流した。
攻撃のほとんどがいなされ、捌かれる。苛立たしげにスバルは舌打ちして、ウィングロードで仁王立ちをした。
「くっ! こうなったら……」
スバルの瞳が金色となり、ISを使う用意ができる。殺す。
本来の世界で持つことがなかっただろう、殺意を持ってドラスを睨む。
深夜でもはっきり映る、ドラスの姿。可愛らしい容姿でもスバルは容赦しない。
「ドラスゥッゥゥゥゥゥゥゥ!!」
発動した振動拳を持って、ウィングロードを翔ける。標的は一人。
だが、そのスバルの突撃は突如止まる。なにが起きたかわからないスバルは、後ろを振り返った。
「そこまでだ、スバル・ナカジマ」
スバルをとめたのは、最初から最後まで仲間でいてくれたはずのT-800であった。
ドラスは振動拳だけは避けねば、と構えを取った瞬間にスバルの動きが止められたのを目撃する。
スバルの動きをとめた相手はドラスも知る人物であった。
「ボブ……さん?」
「なにをするんですか! ボブさん! ドラスを……」
「スバルちゃん、落ち着いてよ。あの子、君の攻撃に一切反撃をしていなかったじゃないか」
「きっとなにかの罠で……」
「それが無理な解釈であることは、君自身が理解できていると思うが」
T-800の言葉にスバルが表情を強張らせた。ドラスとしても、凱を殺したT-800がスバルをとめたのが気になる。
隣にいるネコ型サイボーグはさておき、ドラスはT-800に顔を向けた。
「ボブ……さん。凱兄ちゃんは……」
「やむをえない事情があった。こちらが、君がギンガ・ナカジマを盾にしたと思い込んだように」
そこを突かれるとドラスは胸を痛め、押し黙った。T-800の事情を知りたいが、それよりもスバルに謝らなければならない。
だから、T-800を信じることにしてスバルに向き合った。
「スバルお姉ちゃん。ごめんなさい!」
ドラスはようやく、この言葉を伝えられる時が来た。
スバルはドラスからすべてを伝えられた。
スバルが知りたがっていたノーヴェやチンクたちと、ドラスの交わりもすべて。
ノーヴェ達が必死でドラスを守り、家族の大切さを伝えたことを。
ノーヴェの遺言状を見てスバルは目を見開く。メガ沢という人物がもっていた学ランをスバルは手に取った。
そして失意のドラスがチンクに拾われ、風見志郎や獅子王凱、ゼロと出会い仮面ライダーの強さを知ったことを。
灰原という男が投げかけた選択肢。ギンガを共に正気に戻そうとしたナタクとの奮闘。
再会した敬介という男とのやり取り。そして幾つもの別れ。
ドラスが謝罪をしながら真実を話すのは、スバルに自分を理解して欲しいからではない。
自分を変えてくれた人たちの命を大切にしているからこそ、スバルに知って欲しいと伝えているのだ。
対面して、ちゃんと顔を見て話して、スバルは凱の言葉は正しかったのだと理解した。
ドラスは必死に我慢しているが、ノーヴェやメカ沢、ロボの話をする時は涙を流しかけていた。
チンクや凱の名前を出す声が、とても優しかった。
「スバルお姉ちゃん。信じてくれなくてもいい。僕が許せないのは当然だと思う。だから…………」
ドラスはそう告げて、胸元の服を引き裂いた。胸元の肌が分かれ、ドラスの胸の中央に丸い物質が顔を出す。
「これは僕のコア。スバルお姉ちゃん、信じられないなら僕を殺してもいい。だけど……お願いだからスバルお姉ちゃんは生きて!
そして、ゼロさんたちに手を貸してあげて。悪いのは……僕だけだから……」
「もういいよ、ドラス君」
スバルはそっと、ドラスの頭を抱きしめた。マッハキャリバーは待機モードにしてある。
すべてすれ違っていたのだ。ドラスも自分も。スバルが最初に感じたドラスの寂しさを、ノーヴェも感じて救い上げた。
そういうことなのだ。
(やはり、私はなのはさんのようにはなれないなぁ……)
なのはがヴィヴィオの母親を求める心を理解して母親になったように、スバルはドラスの家族を求める心を理解して姉になることはできなかった。
どれもこれも、自分が未熟だったから。大切なものはもう、この両手にはない。
「ボブさん、お願いできますか」
「スバルお姉ちゃん……?」
「スバルちゃん、なにを……」
スバルの行動にミーとドラスは疑問を浮かべている。T-800は理解したのか、頷いてくれた。
トン、とスバルはT-800に向けてドラスを突き飛ばす。T-800は優しくドラスを受け止めた。
「さようなら、ボブさん。ありがとう」
そのまま、スバルは金色の瞳のまま拳を左こめかみに当てた。
ドラスがなにをしようとしているのか察したのだろう。止めに動こうとするが遅い。
T-800はドラスが衝撃に巻き込まれないよう、止めていてくれた。ミーはいまだになにをする気なのか、分からないらしい。
そのまま振動を発する左拳を、スバルは自身の頭に打ち込んだ。
振動拳を開放する一瞬、スバルはここに来てからの自分を考えた。
T-800という信頼できる相手に出会えたのに、ドラスの抱える闇に気づいてやれず、彼を追い詰めた。
名も知らぬ少女を恐怖心に負けて殺した。
ドラスを信じて欲しいと身体を張って叫ぶ凱を、信じられず拳を叩き込み続けた。
ドラスを信じるほど強くなくて、ギン姉の血で全身を染めた。
ドラスを疑っていたから、T-800に余計な情報を教えて対立させてしまった。
スバルはそれらの罪を償えると思っていない。
その罪を背負って戦えるほど、強くなくなった。
なのはの叱咤もなく、仲間が傍にいたわけでもなく、信頼できるマッハキャリバーが長く一緒にいてくれたわけでもない。
罪を抱えたまま生きると選択するほど、スバルに強く決意できる要素はもうなかった。
だから、弱くなったスバルは楽になる道を行く。
一瞬だけ頭に痛みを感じた瞬間、スバルの視界は黒く閉じた。
桃色の肉片が雪の上に散らばり、かすかに蠢いて落ちる。
脳しょうと共に血が、頭をなくした首から噴水のように吹き上がっていた。
骨を強化していたのだろう。金属のフレームが破片となってドラスの身体に、血と共に振ってくる。
くちゃり、とドラスの右手になにかが付着した。確認したくないのに、見てしまう。
人間の目玉に当たるガラスのような水晶体が、ドラスの右腕に引っかかったのだ。
盛大に血を噴出すスバルだった死体は、バランスを失って倒れた。
体内の血を噴出しきっていないスバルの身体は、血が噴出す音を周辺へ響かせている。
もはや物言わぬ肉塊。スバルであったものを前にして、ドラスは自分の現実の処理限界を超えた。
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ドラスの叫び声と、ミーが嘔吐物をこぼしたのは同時であった。
ただ一人、T-800だけ事実を事実と受け止めていた。
「どうして……どうして!」
「あの位置では間に合わなかった。それにスバルは優しい少女だ。君が衝撃に巻き込まれることを良しとしなかった」
「僕は……僕はっ!」
ドラスは地面に伏して拳を叩きながらも、決して涙を流さなかった。
ミーは衝撃が大きいらしく、いまだに吐き続けている。
夜空がドラスの叫びを飲み込む中、T-800は感慨深げにスバルの死体を見た。
「ドラス、納得いかなくても構わない。だが、スバルは姉を殺したことを受け止めていられるほど、強くなかった」
「でも! 僕は……」
「スバルに生きて欲しかったのか?」
「当たり前だよ……僕はなにもスバルお姉ちゃんに償っていない……償っていないのに……」
「俺に贖罪の情報はある。だが、スバルを見ているとその贖罪の情報はあわないようだ」
T-800はドラスの眼前に跪いて、目を合わせた。ドラスの目は死んでいない。
T-800のノイズが肥大化して、感情と思わしき波が大きく揺れた。
「スバルお姉ちゃんの……?」
「彼女はお前に生きて欲しいと願った。ならば、それが償いという奴なのだろう」
「わからないよ……お姉ちゃんは死んだもの」
「それこそが、優しいという感情だと俺は学習した」
お前はどうだ? とT-800は告げる。ドラスは迷うような、それでいて強い瞳を返した。
城茂も本郷猛も持っていた強い意思を宿す瞳。この少年はもう持っていたらしい。
「僕は……生きるよ。償いになるとは思わないけど、お姉ちゃん達の……お兄ちゃんたちの……借りをシグマに返していない。
ロボもナタクも、灰原さんの分も! あいつに、シグマに返す!」
「そうか」
このバトルロワイアルを通して、ドラスは強くなったのだろう。本郷や城茂に匹敵するほどに。
だからこそ、T-800はドラスへ拳を振るった。
「……ボブ……さ…………ん……?」
「君は俺の脅威となる。だからここで死んでくれ」
ドラスがコアのありかを示した部分を、T-800の太い腕が貫いている。
ドラスの背中に生えるT-800の右腕が引き抜かれ、緑色の血がドラスの胸部から吹き出た。
「な…………ん……で?」
ドラスはわけがわからないまま、膝に力が入らなくなる。
この感覚は知っている。ZOのライダーキックを受け、迎えた死と同じだ。
なぜT-800が自分を殺したのか、わかることもなくドラスは死ぬ。
シグマに借りを返せず、ナタクとの約束をも守れないままに。
次々浮かぶ顔は自分を家族と呼んでくれた人たち。
キャッチボールをしてくれた男。おじさんと呼ばれて訂正をした人。贖罪のため、自分を守ると決めた銀の仮面の改造人間。
日本一だといって聞かない仮面ライダー。自分を育てると宣言したナタク。自分を弟だと言ってくれた姉たち。
(みんな、なにもできなくてごめんなさい。僕は無力だ……)
涙が一筋、ドラスの頬を流れ落ちた。
「パ…………パ……」
*時系列順で読む
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|148:[[閉幕と始まり1]]|メガトロン|148:[[閉幕と始まり3]]|
|148:[[閉幕と始まり1]]|コロンビーヌ|148:[[閉幕と始まり3]]|
|148:[[閉幕と始まり1]]|T-800|148:[[閉幕と始まり3]]|
|148:[[閉幕と始まり1]]|ゼロ|148:[[閉幕と始まり3]]|
|148:[[閉幕と始まり1]]|ハカイダー|148:[[閉幕と始まり3]]|
|148:[[閉幕と始まり1]]|本郷猛|148:[[閉幕と始まり3]]|
|148:[[閉幕と始まり1]]|スバル・ナカジマ|148:[[閉幕と始まり3]]|
|148:[[閉幕と始まり1]]|広川武美|148:[[閉幕と始まり3]]|
|148:[[閉幕と始まり1]]|ドラス|148:[[閉幕と始まり3]]|
|148:[[閉幕と始まり1]]|フランシーヌ|148:[[閉幕と始まり3]]|
|148:[[閉幕と始まり1]]|ミー|148:[[閉幕と始まり3]]|
|148:[[閉幕と始まり1]]|ソルティ・レヴァント|148:[[閉幕と始まり3]]|
|148:[[閉幕と始まり1]]|イーグリード|148:[[閉幕と始まり3]]|
|148:[[閉幕と始まり1]]|トーマス・ライト|148:[[閉幕と始まり3]]|
|148:[[閉幕と始まり1]]|シグマ|148:[[閉幕と始まり3]]|
**閉幕と始まり2 ◆2Y1mqYSsQ.
□
再び、0時を過ぎた頃へと時間が進む。
放送がないことに、吹雪く雪原地帯で本郷たちは疑問を持った。
もっとも、疑問を解決する暇はない。メモを諦め、スバルを探すために足跡を辿り続けた。
「ソルティ、乗り心地はどう?」
「風が気持ちいです、ミー君!」
「か、風って……猛吹雪で寒くて寒くて……」
「来る前に防寒具を確保していて、正解だったな」
バイクの後ろで震える武美に、本郷は苦笑する。雪原コロニーにスバルが向かったと推理した時、本郷は衣服製造工場を見つけて防寒具を手に入れたのだ。
今は本郷も武美もソルティも、加工された動物の毛がついている衣服に全身を包み、先を進んでいる。
ウフコックは武美の防寒具に潜み、ミーも子供用の防寒具を着ていた。T-800は本人の希望でそのままだが。
とはいえ、いくら防寒具を着ているからといって、バイクはけっこうな速度で進んでいる。
その分吹き込む冷えた風が、彼女から体温を奪ったのだろう。
「スバルという少女の憎悪が近くなっている。……早く止めねば」
「シャトル基地か。スバル、もしや……」
T-800の冷静な視線がシャトル基地へと向けられた。スバルが探している存在は明白だ。
体内の爆発物がなくなったスバルや本郷たちなら、E-3のシャトル基地にもとどまることができるのだが、ゼロたちはそうはいかない。
ここに向かった可能性を考慮することもあるだろう。
そう考えている本郷たちの眼前で、爆発音がとどろいた。基地全体が震えるような爆発音と共に、ひらひらした黒い少女趣味の服を着た、少年が出てきた。
彼がドラスか、と本郷が思考する前を逃げていく。あとを追うように、スバルが怒りに満ちた瞳で追った。
「止めなければ……む!?」
「爆発音? スバルさんもドラスって奴もいないのに?」
武美が疑問を告げる。爆発音は大きく、ミーやソルティ、T-800にも届いたようだ。
スバルを追う体勢だった本郷がわずかに固まる。
「本郷、スバルは俺が追う。君はシャトル基地内を探るがいい」
「ボブ……分かった。任せる」
本郷の言葉に、T-800が頷いてバイクの方向を転換する。すると、ミーが合体を解いてボブのバイクの後部座席に着地した。
「僕もついていくよ! いいでしょう?」
「構わない」
本郷は去っていくミーとT-800を見送り、ソルティと武美に先行することを告げる。
毒で蝕まれる身体が、どこまで持つか思考しながらゲートをくぐった。
□
「ぐぅ……!」
「ゼロさん、私を離して戦ってください!」
「そんなこと、できるか……」
ゼロはレーザーがかすり、右肩を焼かれながらメガトロンの攻撃から逃げ惑った。
左脇にはフランシーヌを抱え、動きが鈍くなっている。メガトロンは見かけによらず俊敏だった。
そして、コロンビーヌがゼロの眼前に現れる。
「あーら、メガちゃんばかり気にしてもしょうがないわよ~」
ゼロが急ブレーキをかけて、眼前を数センチ先を剣先が通り過ぎた。
コロンビーヌのもつゾナハ蟲を使った剣である。ゼロは歯噛みして、カーネルのセイバーで剣をコロンビーヌの身体ごと跳ね飛ばした。
「あらん♪」
「けど、残念!」
メガトロンがコロンビーヌを跳ね飛ばし、身体を硬直させたゼロにレーザーを放つ。
背中に走る衝撃にゼロはたまらずフランシーヌを離し、壁に激突した。
「はい、動くなよ。動いたらフランちゃん殺っちゃうよ~」
「キサマ……!」
「正義の味方は損よねぇ~。これだけで動けなくなっちゃうもん」
「ゼロさん、私に構わず……ぐっ!」
「ちょっと黙ってくれないかしら? フランシーヌ様ぁん」
ゼロにメガトロンを討てと告げようとしたフランシーヌの背中を、コロンビーヌは容赦なく踏み潰した。
もはや、コロンビーヌにフランシーヌへの忠義はなくなっている。
「さあてと、ゼロさんよ。ベタだが、お前さんはおしまいだ」
「く……」
ゼロは悔しげに俯く。フランシーヌを救えない。メガトロンはどの道、フランシーヌを始末するだろう。
また、今のゼロにコロンビーヌとメガトロンの二人を対処できるすべはない。
(俺はこのまま、死ぬのか……!?)
ゼロは輝くメガトロンの、恐竜の尾を模した右手を睨み続けた。
銃口が光を増していき、エネルギーの解放を待つ。あれが放たれれば、自分は終わりだ。
(これで、俺はいいのか……? 親友を、エックスを救えずに終わった、俺はこんなことで……)
親友を手にかけて、血で濡れたままエックスの元に逝く。
考えてみればいい提案と思えた。もうこれ以上、苦しむことはない。
―― 殺せ!
(ふざけるな……俺は、俺は!)
―― 破壊せよ! そのための力はお前にあるはずだ!
(俺は! ここで終わるためにあいつを殺したんじゃない!)
―― 往け、ラストナンバー!!
「俺はああああぁぁぁぁぁぁ!!」
ゼロの叫びと共に、メガトロンのレーザーが放たれる。
フランシーヌの叫び声も、メガトロンの高笑いも、コロンビーヌの嘲笑も、ゼロの耳には届かない。
すべてがコマ送りのような状況になり、ゼロの眼前で赤い光が爆発した。
「が……ああ……」
メガトロンは地面に伏しながら、なにが起こったのか理解できずに戸惑った。
状況はメガトロンとコロンビーヌが圧倒的に優位であった。人質も捕り、ゼロをレーザーで撃ち抜くだけですべてが終わるはずだ。
なのに、現実は違う。倒れ伏しているのは、メガトロンとコロンビーヌ、そしてフランシーヌである。
「すごく……すっきりしている……。身体が軽い……」
「な、なによ……いったいなにが……」
「赤いオーラ? 殺意の波動に目覚めたとでも言うんじゃないだろうな」
メガトロンはいろいろな意味で危険な発言を告げて、ゼロの様子を見る。
これはやばい、とメガトロンの勘が告げていた。コロンビーヌも同じらしく、互いに見合わせる。
メガトロンが一見した程度では、ゼロは赤いオーラをまとっている以外には傷がふさがった程度だ。
なのに、後ずさりしたくなるほど存在感が圧倒的なのである。
(これは、地雷踏んだかもしれん)
じと、と冷や汗が流れてメガトロンはどうにか立ち上がる。そのメガトロンをゼロが見た瞬間、
「どぅわあぁぁぁああぁぁっ!?」
メガトロンは壁に叩きつけられて、自慢のメタルスボディに斜めの刀傷が走った。
斬撃を飛ばしたのだとメガトロンが気づくのに、数秒要した。
「メガちゃん!? く……うぅ!?」
甲高い金属音が響き、コロンビーヌが作り出したゾナハ蟲の盾が真っ二つに斬られた。
鋭い。そして殺意に満ちた攻撃。先ほどとはまるで別人だ。
「きゃあ!?」
「うるさい」
ゼロはコロンビーヌの髪を掴んで、地面に二度三度と叩きつける。
メガトロンが今のうちにとレーザー銃を向けようとすると、コロンビーヌを投げつけてぶつかり照準がぶれた。
「ぎゃふん!」
そのままゼロは無言で斬撃を飛ばし、大きくメガトロンの右肩が裂ける。
とんでもない。こんな相手をしていられるか、と内心吐き捨てた。
「ゼロさん? いったいどうしたのですか?」
「フランシーヌか。俺はすっきりしているんだ。そう、もう……」
ゼロはスッ、と右腕を閃かせる。メガトロンの目の前で、フランシーヌの左腕が舞った。
そして自分たちが触れてはいけない領域に触れてしまったことを悟る。
「やべえな、コロンちゃん。俺たち、最強の悪を目覚めさせたのかもしれない」
「どうする?」
逃げるしかないでしょ。剣を振った衝撃で壁に叩きつけられるフランシーヌを見届け、メガトロンは呟いた。
ゼロは恍惚とした表情で宣言する。
「もう、イレギュラーもエックスもどうでもいい……。ただ、俺は暴れられればそれで……」
最強の悪の覚醒を。
ゼロは吹き荒れる風を身体に浴びて、壁に叩きつけられたフランシーヌを見る。
彼女はなぜ? という表情をしているが、ゼロにとっては当然の選択であった。
「不思議な顔をしているな。フランシーヌ」
ゼロは今まで、この感情を封印し続けたのは分からなかった。
戦い、奪い、壊し、殲滅する。それがゼロに与えられた使命。
そして、エックスを殺すことが宿命だったのだ。今だからこそ分かる。
ゼロは右腕をバスターに変えて、後ろから撃とうとしたメガトロンへと放つ。
「ぎゃっ!?」
「だからお前、俺が地獄に送ってやるよ」
ゼットバスターの装着はすでに済んでいる。動力炉に問題があるため、今まではバスターを放つことはできなかった。
未来において五回目のシグマとの戦いの時に修復されるはずだった傷は、覚醒の際に上がった再生力で問題をなくしている。
その威力は本来のゼットバスターを上回り、メガトロンを吹き飛ばした。
「そんなものもありかよ」
「くっ! 四方からの刃なら……」
コロンビーヌがゼロの周辺にハサミを作り出し、ゼロへと飛ばした。
フランシーヌが悲鳴を上げるが、ゼロは眉すら動かさない。
「こういう技もあるんだぜ?」
ゼロは地面に右拳を叩き込み、エネルギーの塊を地面から噴出させた。
飛来してくるハサミを迎撃し、メガトロンたちをへと届く。
「ぐぇ!」
「ぐぅうぅぅぅ!」
「ぜ、ゼロさん……」
もちろん、フランシーヌさえも巻き込んで。好きなだけ力を振るえる。
気に入らない奴を破壊して、足元に伏させることができる。それがこれほど快楽だということを、ゼロは始めて知った。
「駄目です、ゼロさん。そのままでは……」
「どけ。あいつらを俺が殺してやる」
「どきません!」
フランシーヌの一括にゼロは眉をしかめ、その腹に拳を叩き込んだ。
崩れ落ちるフランシーヌの傍を通り過ぎ、メガトロンとコロンビーヌの前に立つ。
「やめてください! ゼロさん!!」
セイバーを掲げたところ、まだ気絶していないらしくフランシーヌが立ち上がって吼えた。
さすがに鬱陶しく思ったゼロは踵を返す。メガトロンに背を向けているが、いつでも対処可能だ。
「なにを考えている? こいつらはお前にとっても敵だ。ならなにも問題はないはずだが?」
「問題ならあります。あなたが……戻ってこれない!」
「戻ってこれない? くだらない」
ゼロは呟き終えたと共に、メガトロンを蹴り飛ばす。カエルが潰れたような醜い声を上げて、メガトロンがボールのように壁にバウンドして地面に叩きつけられた。
コロンビーヌが刃を振るうが、遅い。その顔を張り倒し、メガトロンと同じ場所へ転がす。
「くぅ……メガちゃん……」
「やべえよ、こいつあ」
弱音を吐くしかできない二人を見下し、ゼロは皺に深く影を落として笑う。
メガトロンが浮かべていた笑みよりも、凶悪に。
「この快楽がくだらない!? ははははっ! これほどの快楽を、フランシーヌはくだらないというのか!?
さっきまで無様だった俺よりも、今の俺がくだらないと!? 笑えない冗談だな」
「くだらないです……。先ほどまで、精一杯生きていたあなたと違って、今のあなたは命を粗末に扱っています!
それじゃまるで……まるで狂った自動人形じゃありませんか!?」
「狂った自動人形? 違うな、今の俺こそが本当の俺なんだよ。フランシーヌ、そんなに死にたいか……」
ゼロはゆっくりと、バスターのエネルギーをチャージしながらフランシーヌへと向ける。
自分の心地よい気分に水をさした。その程度で、今のゼロは人の生き死にを決める。
本来想定されたゼロがそうなのだ。
「おっと、ごたごたにまぎれて逃げようとしても無駄だ。すぐにスクラップにしてやるよ」
「くっ!」
「さようなら。フランシーヌ」
ゼロの輝く右手がフランシーヌに向けられ、エネルギーを開放した。
「ライダァァァァァァキィィィィィィィィック!!!」
その一撃は、矢の如く鋭い一撃によって逸らされた。
新たな敵は歯ごたえがありそうだ。ゼロは不適に笑って、目の前の仮面の男を睨みつけた。
「フランシーヌ、無事か!?」
「本郷……本郷こそ、その傷!」
「問題はない。あそこにソルティたちが待たせてある。避難してくれ」
仮面ライダーは力強い声でフランシーヌに指示をして、赤いオーラを纏うゼロと対峙する。
その仮面ライダーを、フランシーヌが片手で止めた。
「本郷……ゼロさんはどういうわけか暴走をしています。先ほどまで、私を守っていたのです。どうか……助けてください!」
「暴走……」
フランシーヌの訴えるような声を受け、仮面ライダーはエックスを思い出した。
シグマへと反逆を示した二人が悪となる。最悪の事態だが、何らかの外的条件があるのだろうか?
どうであろうと構わない。フランシーヌへ答える言葉は決まっている。
「任せろ」
短い一言。それこそが仮面ライダーの証なのだから。
「少しは歯ごたえのありそうなのが出てきたな」
「フランシーヌが避難するのを待ってくれて、感謝する」
「なに。フランシーヌも、今しがた逃げていったメガトロンもいつでも始末できる。
それよりも俺を楽しませろよ。すぐに片がついては面白くないからなぁ!!」
ゼロの言葉を開始の合図とし、二人の距離は零となる。
仮面ライダーはゼロの斬撃を潜り抜け、その胸元へと拳を叩き込んだ。
【D-3 シャトル基地内部/二日目・深夜】
【フランシーヌ人形@からくりサーカス】
[状態]:全身打撲、疲労、足首負傷、ギガアタックのダメージ、右腕修復(ただし、反応と動きが鈍い)、左腕喪失、深い悲しみ、強い無力感
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本思考:罪滅ぼしのために、主催者を倒す。
1:ゼロを救う。
2:せっかく笑えたのに、今は悲しい。
3:本郷たちと合流。
4:私は生命の水に溶けて無くなった筈では……
5:本郷が心配。
6:本郷達に敬介やドラスのことを伝える。
7:放送がないのに疑問
※原作死亡後(25巻第32幕微笑(後編))から参戦。
※コロンビーヌやアルレッキーノと参戦時期が異なることを知りました。
※自分が笑えることに気付きました。
【本郷猛@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:疲労小、ダメージ大、全身に軽度の火傷、胸部に包帯、ドクターケイトの毒が進行、ベルトの一部が破損。応急処置済み
変身中。爆弾解除。
[装備]:白いカラス(全体に焦げ跡あり)@人造人間キカイダー
[道具]:支給品一式、トマト×97@THEビッグオー、謎の金属片(外装解除。解析は八割程度)、
PDA(グレイ・フォックス、ドロシー、草薙素子、ドラ・ザ・キッド)×4。
ロジャー・スミスの腕時計@THEビッグオー、ブルースシールド@ロックマン、ジローのギター@人造人間キカイダー
虹(ドクターケイトの毒が染み込んでいる)@クロノトリガー、ライドル@仮面ライダーSPIRITS、ラブラブビッグバンの音楽ファイル@パワポケシリーズ
[思考・状況]
基本思考:殺し合いには乗らない、打倒主催。
1:ゼロをとめる。
2:エックスを止める。説得に応じないのなら、倒す
3:フランシーヌをハカイダーから助ける。決闘に応じる?
4:武美の寿命タイマーをどうにかする。
5:コロンビーヌにフランシーヌ人形のことを伝える。
6:パンタローネを倒した者を見つけ出し、この手で倒す。
7:シグマに関する情報を集めたい。『ラブラブビックバン』のファイルを解析する。
8:敬介の真意を確認。場合によっては倒す。
9:放送がないのに疑問
[備考]
※原作8巻(第32話 称号)から参戦。
※コロンビーヌの格好を旧式のものと勘違いしています。
※シグマは新兵器を作るために、自分たちのデータを収集していると推察しています。
※武美とは、一エリア以内なら通信が取れます。
※ベルト左側エナジーコンバーターが破損し、備蓄エネルギーが失われました。
※T-800への疑いが解けました。
※敬介が洗脳されている可能性をもちました。
※爆弾を解除するのに、一時間は必要です。
ただし、同時進行や武美の助けを借りれば、ある程度時間を短縮することも可能です。
また、手術跡の再生のため、生身部分のある人ははさらに一時間を回復ポッドで過ごす必要があります。
ただし、本郷はメカ救急箱で機械部分しか回復していません。
【ソルティ・レヴァント@SoltyRei】
[状態]:健康。爆弾解除
[装備]:なし。
[道具]:支給品一式、PDA×2(ソルティ、神 敬介)、ToHeartの制服@ToHeart スラッシュクローの武器チップ@ロックマン
紫の仮面@現実、K&S Model 501(7/10)@SoltyRei、予備弾各50発、LUCKの剣@ジョジョの奇妙な冒険
ミラクルショット@クロノトリガー、ガイアアーマー@ロックマンX5
[思考・状況]
基本思考:壊し合いに乗っていない参加者を守り、シグマを倒す
1:フランシーヌたちを守る。
2:エックスを止める。
3:武美を守る。
4:正気に戻ったエックスにガイアアーマーを渡す。自分で使う気はない。
5:ロイさんやローズさんの元に帰りたい。
6:放送がないのに疑問
[備考]
※参戦時期はアニメ10話~11話です。
※戦い自体への迷いは消えましたが、相手を躊躇なく殺せるまでには至っていません。
【広川武美@パワポケシリーズ】
[状態]:健康。爆弾解除
[装備]:ウフコック@マルドゥックシリーズ
[道具]:PDA(武美、クロ)×2、ランダムアイテム0~1
アポロマグナム@仮面ライダーSPIRITS(弾切れ、発電所内にクロの右手と共に放置)、風船いかだ
[思考・状況]
基本思考:絶対に生き残り、ここから脱出する。
1:本郷たちの行く末を見届ける。
2:クロの仇を討つ。
3:シグマの居場所を探る。シャトルの行き先を変更できるように干渉する。
4:軍事基地に行く機会があったら行ってみる。
5:元の世界のあの人のところに戻って、残り少ない人生を謳歌する。
6:放送がないのに疑問
[備考]
※A-1・軍事基地に『何か』があると考えています。
※本郷とは、一エリア以内なら通信が取れます。
※爆弾を解除する手順を、半分くらい理解しました。その技術を持ってエックスを殺す計画を立てています。
※ウフコックは、ターンした物を切り離すこと(反転変身【ターンオーバー】)が出来なくなっています。
※ウフコックの参戦時期は、ボイルド死亡後です。
【ゼロ@ロックマンX】
[状態]:覚醒。赤い闘気を纏っている。疲労、ダメージ全快
[装備]:チャージキックの武器チップ@ロックマンシリーズ、カーネルのセイバー@ロックマンX4、謎の金属片(マルチの残骸から回収)
[道具]:支給品一式、PDA(ゼロ)、空っぽの平凡なデイバッグ@ゴミ処理場、サイクロン号@仮面ライダーSPIRITS
[思考・状況]
基本:すべてを殺す。
[備考]
※参戦時期はX4のED~X5開始前のようです。
□
「ディバインバスター!!」
いっそう風が強くなって雪が舞う中、スバルは両腕に練り上げた魔力を集中させ、光の筋を放つ。
一直線にレーザーの如く伸びる光は、標的ドラスへと迫らせた。
「くっ!」
ドラスが魔方陣を掲げて、ディバインバスターの進行を鈍らせる。
だが、昨日今日使えるようになった魔法障壁如きで、スバルのディバインバスターはとまらない。
そのままドラスの魔法障壁ごと巻き込んで、地面に叩きつけた。
雪が蒸発し、スバルの視界が極端に限定される。それでも、スバルは殺意を持ってマッハキャリバーへと指示を出す。
「マッハキャリバー! 索敵をお願い!!」
『They confirmed our position. It comes from the direction at three o'clock.(発見されました。三時方向からまっすぐ向かってきます)』
「このぉ!」
スバルは急速に旋回するが、ドラスは目の前まで接近している。デバイスの索敵能力が下がっていることを失念していた。
スバルは構わず右拳を振り、ドラスへ打ち込む。ドラスが冷静に捌いて、さらにスバルは攻撃の速度を速めた。
両手両足を使った、格闘攻撃の連続。なのに、ドラスが反撃する様子はない。
「くそっ! くそぉぉぉぉぉぉっ!!」
冷静さを失ったスバルは、ドラスが一切反撃をしないことに気づかない。
怒りと悲しみで曇った瞳で、悪を討とうと恐怖に押しつぶされないように拳を振るい続けるだけだった。
(くっ、捌ききれない……)
ドラスは魔法攻撃を撃たれては身が持たないと計算して、蒸気に紛れながら接近戦を仕掛けたのだ。
とはいえ、スバルに攻撃する意思はない。あくまで疲労を待ち、話し合いができる状況を待っているのだ。
今の頭に血が昇った状態のスバルを説得できるとは思えない。
そしてドラスがスバルに危害を加えるのは、絶対嫌であった。
だから、自分はともかくゼロたちを攻撃しないように説得するには、彼女の攻撃を避け続けて機会を待つしかない。
拳、蹴りをやり過ごし、近距離でも使える魔法をギリギリで躱す。
怪人態になれば話は別であろう。すぐにでもスバルを取り押さえることができる。しかし、あの姿で説得など噴飯ものだ。
ゆえにドラスはいくつか攻撃をもらうが、それも仕方のないことだ。
自分の犯した罪はこの程度の痛みで購えるものではない。
ドラスはひたすら、スバルの攻撃を避け続ける。
彼女の憎しみ、自分が受け止めねばならなかった。
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|148:[[閉幕と始まり1]]|スバル・ナカジマ|148:[[閉幕と始まり3]]|
|148:[[閉幕と始まり1]]|広川武美|148:[[閉幕と始まり3]]|
|148:[[閉幕と始まり1]]|ドラス|148:[[閉幕と始まり3]]|
|148:[[閉幕と始まり1]]|フランシーヌ|148:[[閉幕と始まり3]]|
|148:[[閉幕と始まり1]]|ミー|148:[[閉幕と始まり3]]|
|148:[[閉幕と始まり1]]|ソルティ・レヴァント|148:[[閉幕と始まり3]]|
|148:[[閉幕と始まり1]]|イーグリード|148:[[閉幕と始まり3]]|
|148:[[閉幕と始まり1]]|トーマス・ライト|148:[[閉幕と始まり3]]|
|148:[[閉幕と始まり1]]|シグマ|148:[[閉幕と始まり3]]|
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