んちゃ! メガトロンだよ! ◆c92qFeyVpE


ティラノサウルスという恐竜を知らない人はほとんどいないだろう。
人間とは比べ物にならない強靭な恐竜の中でも、最も強いと言われる恐竜である。
そのティラノサウルスが、工場のど真ん中を歩いていると言ったら何人が信じるだろうか?
加えて言うならば一般的に認識されているティラノサウルスとは大きく異なる個体のようだ、
大きさは精々長身の人間より二回りほど大きい程度、その肌の色は紫色と異色を放っている。
そして何より――

「ふん、俺様の部下もサイバトロンの連中もいないのか」

PDAを使い、人語を喋っている。

「優勝者は望みを適えると言っていたな……面白い」

この恐竜の名はメガトロン、この壊し合いの参加者であり、当然ロボットである。
彼はしばらくPDAをいじり、現在位置を把握するとゆっくりと歩き始めた。

「ナ~ビコちゃ~ん! 俺様の体に埋め込まれた爆弾ってのの解析をよろしくぅ!」

ナビコという女性人格のナビプログラムへ呼びかけ、現状で最もやっかいと思われる体内の爆弾の解析を任せる。
……が、返ってきたのはノイズ音のみ。

「ちぃ、ジャミングか……やっかいな」

忌々しげに舌打ちするが、少し考え笑みを浮かべる。

「待てよ……逆に考えるんだ、『ここならサイバトロンの邪魔は入らない』と考えるんだ」

自分の思いつきに愉快そうに笑い、今後の方針について考え始める。
いかに彼と言えども、50人近い参加者を一人で倒すことは難しい、
かといって「誰かを壊す」ことを目的としたのでは共闘を持ちかけるのも中々骨だろう。
ならばどうするか……そう考え始めたとき、前方に眼鏡をかけたまだ幼い少女の姿が見えた。

「……まずは接触してみるか」

見たところ武器も持っていないし、馬力がありそうな姿でもない、壊そうと思えばすぐに破壊できるだろう。
そう考え、メガトロンはできるだけ刺激しないように声をかける。

「やあお嬢ちゃん、君も参加者かい?」
「ほよ~! 恐竜が喋ってる~」

返ってきた言葉はまったく見当はずれなもの、思わず顔を引きつらせる。

「いや、そうでなくてだな、この壊しあいの参加者なのかと――」
「あれ~? そういえばガッちゃんどこ行っちゃったのかな?」

またも無視された形になり「もう壊しちゃおうか」などと思い始めたところで、別の可能性に思い当たる。
――まさかこいつ、今の状況を理解してないのか?
PDAを持ってることから参加者であることは間違いないだろう。
だが、先ほどからの言動を見る限り、まだAIが限りなく未成熟であるように取れる、だとしたら……

「お嬢ちゃん? 名前はなんて言うんだい?」
「ほよ、名前? んちゃ! アラレだよ!」

アラレ――先ほど見た名簿の中に「則巻アラレ」という名前があったのを思い出す。
やはり参加者なのだろう、だとしたらこんな也でも何か相手と戦う術を持っているのかもしれない。

「お嬢ちゃ――アラレ、貴様は何か戦闘能力はあるのか?」

参加者であると確定したならば敵である、わざわざあやすような口調をする必要もないだろう。
メガトロンの言葉にアラレは少し首をかしげ、唐突に地面を殴りつける。
……そう、殴りつけただけだ。

「……」
「ほよ?」

何故殴りつけただけで金属製の床が周囲数メートルに渡り陥没しているのだろうか。
そのうえアラレは「いつもより力が出ない?」などと呟いている。
常に戦場のど真ん中にいたメガトロンも、この力にはただ唖然とするしかなかった。
――しか~し、このまま唖然とするだけのメガトロン隊員ではなかった!
意味のわからないナレーションを自分でしながら、メガトロンは再びアラレへ声をかける。

「アラレよ、今がどういう状況かわかるか?」
「ん~? ガッちゃんがいなくなっちった、それで、家までの道もわからない」

予想通りの答えに内心でガッツポーズを取る。

「なるほど、ならば俺様が家に帰れる方法を教えてやろう」
「ホント?」
「ああ本当だとも、まず前提として、今アラレはゲームに参加しているのだ」
「ほえ、ゲーム?」
「そう、ゲームだ、この会場にいる他の者を全員ぶっ壊すというゲームにな。心配するな、壊れた者はすぐに直してもらえる」

言うまでもなく嘘だ、わざわざ直すならば壊させる必要などありはしない。
……最も、前半部分は間違ってはいないのだが。

「そして沢山破壊した者はご褒美がもらえる。家に帰ることだって他のことだっていいぞ」
「ご褒美!?」

うまい嘘とは真実を含ませること、メガトロンの嘘はそのセオリーを完璧に守っていた。
当然、アラレがこれに気づくことなどありはしない。

「そうだ、だからアラレはここにいるロボット共を壊して回るのだ」
「わかった!」

元気良く答え――そのままメガトロン目掛けて構えるアラレに慌てて言葉を加える。

「待て待て待て待て! 俺様を壊すんじゃない!」
「ほよ?」
「俺様はだな……そう、アラレのようにルールを聞き逃してしまった参加者にルールを教える役なんだ」
「ほほー」
「だから俺様は壊しちゃいけないわけだ……ああそれと、誰かにこのルールを誰に聞いたか聞かれても、俺様のことは話すなよ」

首をかしげるアラレに、何と言うべきか思考し――
――全国のファンのみなさーん、ごめんなさいね~。
またも意味不明なことを考えながら、思いついたその言葉を伝える。

「こう応えるんだ……『チンクという女にこう言われた。セインを生き返らせるために優勝してみせる、とも呟いていた』とな」
「よくわかんないけど、わかった!」

しっかりとした口調で答え、そのまま走り去っていく。

「キーーーーーーーーーーーーーーーン!!!」
「……ふはは! 随分とうまくいったな!」

アラレが見えなくなったのを確認し、メガトロンはその場で笑いだす。
サイバトロンのように正義などという感情を持つ参加者もいるだろう、そいつらがまず誰を目的にするかといえば、
まず妹を殺されたチンクという女を保護しようと思うはず。
その女が壊しあいに乗ったとしたらどうするだろうか?

「どうしたコンボイ、早く来ないと俺様の天下になるぞ? そうだった、お前達はここにいないんだったなぁ! ククク……ハーハッハッハ!!」

自分の勝利を信じ、高笑いをあげるメガトロンの姿は悪魔に見えた。



……その悪魔がついでに支給品も騙し取っておけばよかったことに気づくのは、この数秒後である。

【G-2 工場地帯/一日目 深夜】

【則巻アラレ@Dr.スランプ】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1~3(未確認)
[思考・状況]
基本思考:他の参加者を破壊してご褒美をもらう
1:キーーーーーーーーーーーン! ……いつもより遅いなぁ?
2:ガッちゃんどこ行っちゃったんだろう?
3:誰かに自分の知ってるルールについて聞かれたら『チンクという女にこう言われた。セインを生き返らせるために優勝する。とも呟いていた』と伝える

※メガトロンが主催の一人だと思っています。(名前は知りません)
※ルールについて正しく理解していません。

【メガトロン@ビーストウォーズ】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1~3(確認済)
[思考・状況]
基本思考:優勝しサイバトロンの抹殺。その後シグマも倒す。
0:しまったぁぁぁぁぁぁぁぁ!?
1:優勝を目指す、自身による直接戦闘はしばらく避ける
2:アラレに働いてもらうことを期待


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