怒れ鋼のサイボーグ!勇気と魂をその胸に ◆14m5Do64HQ


工場地帯全域に張り巡らされた鉛色の通路。
それらの通路を力強く踏みしめ、疾走する影が一つ。
その正体は鋭い光沢を放つ白銀の身体、胸部から両肩まで覆った金色の装甲、橙色に染まった毛髪。
限りない“勇気”を秘めた神秘の結晶、“G-ストーン”を胸に宿した男。
そして巨大ロボット、ガオガイガーとフュージョンし、闘い続けた男が走り続ける。
その男の名は獅子王凱といった。

「ちっ……いつもより身体が重い。これもあのシグマという男の仕業なのか?」

身体を左右に揺らしながら凱は悔しそうに愚痴る。
ある宇宙事故によってサイボーグの身体を手に入れた凱。
同時に彼は、新幹線と同速度を誇るマシンと併走する走力を初めとする様々な力を得た。
だが、現状ではそれらの力に対して制限が施されている。
その現実に凱は歯がゆい思いを覚えずにはいられなかった。

「だが今はそんなコトを気にしている場合じゃない! それよりも大事なコトがある!」

だが、そんな感情は振り払い、凱は走る事に意識を集中させる。
一歩でも、一歩でも多く前に踏み出す脚を増やす。
しかしいつもよりどうも疲労が溜まる速度が速い。
僅かながら息が乱れる事に凱はどうしようもなくやりきれなさを覚えた。
今後の行動を考えれば疲労を無駄に溜めておく事は得策ではないという事は凱にもわかっている。
だが、凱は決して走る事を止めようとする意志など微塵にも感じさせない。

「待っていてくれ……俺が、俺がッ!」

何故なら凱には一刻も早く急行しなければならない場所がある。
セインという少女が破壊され、現在どういう状況に陥っているのかが気懸かりであるチンク。
そんなチンクとの合流を考えながら、一先ず修理工場を目指していた凱。
だが、凱は今現在修理工場には向っていない。
その理由は至極単純。修理工場よりも優先するべき目的地が出来たからだ。
そのため数分前、修理工場に向っていた凱は方向転換を行った。

「俺がいますぐ向う! だから待っていてくれぇぇぇッ!!」

今まで歩いていた道を今もなお走り続ける凱。
わざわざ目的地である修理工場への到着を遅らしてまでの凱の行動。
その行動には一件、何もメリットなど見受けられそうにない。
だが、今の凱には逆走を行うのに十分な意義を感じる事が出来た。
何故なら凱は見てしまったから。宙に広がった赤い閃光を。
新たな目的地であるゴミ処分場は最早目の前だった。


凱が再びゴミ処分場に戻ってきた理由。
それは凱の視界に入った赤い閃光が原因だった。
凱は知る由もないが、それは仮面ライダーZXとハカイダーの常識を逸脱した激闘の刻印。
だが、凱にもその閃光がどんな事が原因で起きた事くらいかは見当がついた。
一つは誰かに支給された武器が誤って暴発した事。
そしてもう一つ、凱が最も危惧している可能性がある。

「戦闘なんてバカなコトをやってなければいいんだが……くっ!」

それは実力者同士の戦闘行為という可能性。
エリア一つ分は離れていた自分にさえ見える程の真紅に染まった閃光。
あんなものが実力者ではない者同士の戦闘で起こるハズもない。
そう。凱のライバルでもあり、仲間でもあるソルダートJ並みの実力者達でなければ不可能だ。
もしあの閃光を作り上げた者達が殺し合いに乗った危険人物だとしたら?
そんな事を考えると思わず凱の頬に嫌な汗が流れる。

「だが、放っておくわけにはいかない! うおおおおおおおぉぉぉッッッ!」

だが、凱の思考には後退という文字は存在していない。
実力者が殺し合いに乗ったというならば、自分が全力を持って倒さなければならない。
そう決意を固め、腕を振りぬく速度を上げていく。
ゴミ処分場に放棄されたゴミの山を蹴飛ばしながら、凱が突き進む。
走る事で頬に流れていく冷風の僅かな冷気に眉をひそませながら。

やがて凱は赤い閃光が確認出来たと思われる地点に辿り着く。
勿論完全には断定をする事は出来ない。
だが、なんとなくだが凱には見当がついていた。
それは理論的観測には基づいていない不確かな見当。
しかし凱には赤い閃光が起きた時、なにか熱い感情が湧き上ってきた感じを覚えた。
それは凱の溢れ出る“勇気”に対して、死に際のZXが持つ“魂”が一種の共感を示したのかもしれない。

「恐らくこの辺りのハズだが……なっ! あれは!?」

立ち止まり、辺りを見回していた凱が驚きに表情を歪ませる。
瞳孔が開いた凱の視線の先には不自然に盛り上がった土の山が一つ。
そしてその山の頂点に寂しく突き刺さった一本のナイフが凱の関心を引いた。
関心を持った途端、凱の身体が盛り上がった土に向って飛び掛る。

「ちっ!」

あのナイフはなんのために刺さっているのだろうか?
そんな事を今の凱には気に掛ける余裕などない。
いや、そもそも凱には予想がついているのだろう。
こんな場所に立派な護身用の武器となる刃物を突き立てる意味が。
その意味を知っているからこそ、凱は直ぐに両腕を使い、土を取り除く作業に取り掛かる。

「頼む……俺の思い違いであってくれ!」

ナイフを引き抜き、自分の予想が間違っている事を祈りながら凱は作業を進める。
もし自分の予想通りの状況なら、自分は許されざる事を行っている自覚は当然ある。
しかし凱の両腕の動きは一向に止まる様子はない。
それどころか凱の両腕が動く速度は上がっていく一方だ。
自分の脳裏に浮かんだ、考えたくもない現実。
そう。この小さな山が誰かの墓標であるという現実をかき消すためにも。
だが、唐突に凱の両腕の動きが止まった。

「なっ……ちくしょう……ちくしょう!」

何故なら凱の視界にある物体が入ってきたから。
盛り上がった土の山の底に埋められていた、あるものが凱の両眼を離さない。
パーマがかかった黒い髪を生やし、屈強な肉体を持った青年。
仮面ライダー10号、またの名を仮面ライダーZXへと姿を変え、ハカイダーと闘った男。
村雨良。その名を持つ男が凱の視界に入っていた。
但し、最早その両眼や身体には生気の欠片など一片も見受けられない。
そう。魂の抜け殻とでもいうべき物体が横たわっているだけだった。


村雨は決して自分の快楽のためにハカイダーと闘ったわけではない。
殺し合いに乗ったハカイダーを倒すために、村雨は仮面ライダーZXとして闘った。
だが、その事実も凱がこの状況では知る由もないのが現実。
だから凱にとっては、村雨が危険人物であったと考えてもなんら可笑しい話ではない。
危険人物である村雨が危険人物と、もしくは殺し合いに反逆する人物と闘って死んだ。
凱が村雨の死についてそう考えるのも十分有り得る話である。
だが、凱には村雨の死の真相を知る前にやる事があった。

「すまない……俺がッ! 俺が遅かったせいで……本当にすまない……!
だから今は安らかに眠ってくれ……!」

それは目の前に居る村雨の死に対して、溢れ出る感情を爆発させる事。
その感情に塗れた凱の思いは“悲しみ”という文字。
村雨が危険人物であるかどうかは凱にはわからないが、人が一人死んだ事には変わりはない。
その事実だけで凱の悲しみを揺り起こすには十分過ぎる理由を持っていた。
素性がわからずとも、人の死に対して身体や感情を震わせる事が出来る男。
それが獅子王凱。ゾンダーや原種と呼ばれる侵略者から地球を、人々を守った男だった。


「誰がこんなコトを……俺は絶対に許さないぞ! ん?これは……」

腹部に深々と空いた大穴を持った村雨の遺体に黙祷を捧げた凱。
村雨を救えなかった事、そして墓を掘り返した事についての二重の罪悪感。
これらの思いを噛み締め、村雨に手を下した人物への怒りを燃やしていた凱は、ふとあるものを見つける。
それは村雨の遺体の直ぐ傍に落ちていた一枚の古い写真。
ハカイダーことサブローによって穴に置かれた時の衝撃で、ズボンのポケットから飛び出たのだろうか?
真実はわからないが、結果として凱の視界に入る事になった写真を彼は手に取った。

「この写真は……そうか、わかったぜ! お前がどういうヤツだったかがな……!」

その写真に写っていたのは合計10人の男女の写真。
以前村雨が記憶を喪失していた時、海堂博士から手渡された八年前の思い出。
どれも凱には心当たりがない顔ぶれだったが、その中に一つ見覚えがある顔があった。
いうまでもなく、目の前に横たわっている村雨の事だ。
そして写真の中の村雨の目の前に居る、長髪の女性と村雨が凱には何か特別な関係に見えた。
そう。凱と彼の幼なじみでもあり、特別な存在でもある卯都木命の関係のように。
勿論そこに確証などあるハズはない。
だが、今の凱には村雨がとても自分から殺し合いに乗るような人物ではないと信じる事が出来た。

「こんないい笑顔が出来るお前が殺し合いに乗ったわけがないぜ! 俺の勇気に力を与えてくれる程のこの笑顔を……俺は信じるッ!!」

その理由は写真に写っていた八年前の村雨の“いい笑顔”だった。
村雨が一度失い、もう一度取り戻すと誓った大切なもの。
そして凱が勇気の力と共に守りきった大切なもの。
凱が己の身を削ってまでも守りたいと思える程の、“いい笑顔”を写真の中の村雨は浮かべていた。
それだけで凱にとって村雨を信じる理由となるには十分だった。


村雨の遺体を穴に戻し、凱は簡素な墓を元通りに修復した。
写真は後々役には立ちそうな気はしたが、凱は村雨の遺体に戻す事にした。
どう考えても村雨にとって大事な一枚の写真。
こんな代物を持っていく事は村雨への冒涜であると凱は考えたからだ。
そして決して代わりというわけではないが、凱は突き刺さっていた電磁ナイフを持っていく事に決めた。
村雨の持ち物だったのか、もしくは村雨に手を下した人物の持ち物かはわからない電磁ナイフ。
だが、この電磁ナイフがあれば村雨に手を下した人物はきっと反応を示すだろう。

「後は俺に任せろ……俺がお前の分まで最後まで闘ってみせる!
お前が浮かべたような笑顔を浮かべる事が出来る人はきっとまだ大勢居るハズだ! 俺が彼らを……全員守ってみせるぜッ!!」

勇気ある誓いを燃やし、凱が村雨の闘いを引き継ぐ決心を固める。
村雨を倒した未だ見ぬ参加者を始めとする危険人物、そしてこのふざけた殺し合いを仕組んだシグマ。
倒すべき対象への闘争心を凱は急速に昂らせる。
シグマの仕組んだ殺し合いを潰す勝利の鍵。
それは確実に凱の元へ集まっていた。
凱の持つ揺ぎ無い“勇気”、そして村雨の命の刻印ともいえる“魂”。
この二つを併せ持つ今の凱には不思議とそんな事を感じさせる事が出来た。
きっとそれは凱が勇気あるもの、“勇者”であるからなのだろう。
凱が“勇者”としてこの殺し合いを潰せるのだろうか?
その答えは現時点で知っているものは誰もいない。

【H-1 村雨良の墓の前 ゴミ処分場/一日目・黎明】
【獅子王凱@勇者王ガオガイガー】
[状態]:健康 、強い怒り、疲労(小)
[装備]:グランドリオン@クロノトリガー、電磁ナイフ@仮面ライダーSPIRITS(右腕に収納)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本思考:シグマを打ち倒しこの殺し合いを止める。
     戦う力を持たぬ者、傷ついている達を保護し、守り抜く。
1:修理工場を目指す
2:チンクと呼ばれていた人物と接触する
3:同じ目的を持った仲間を探す。
4:パーマの男(村雨)と彼を殺した人物の情報を集め、その人物を倒す。
[備考]
※Zマスター撃破直後からの参戦です。
※チンクの顔と村雨の名前は知りません。
※制限の影響により、グランとリオンは出現する事が出来ません
※凱が見た村雨の写真は原作五巻に出てきたものです



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013:勇者王新生 獅子王凱 051:衝撃的な出会い





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