なくすものがないぼくたち ◆npj8TUxVrE




コロニーとコロニーを結ぶ幹線道路を、一騎の単車が駆ける。
サイクロン号を駆るのは風見志郎、又の名を仮面ライダーV3。
後部座席には銀髪隻眼の少女を乗せて。
二人とも寡黙なせいか、必要最低限の情報を交換した後は会話はない。
周囲に目を光らせつつ、ただ、黙々と進む。
ふと、少女の視線が前方、道路の真ん中に立ち尽くす人の姿を捕らえた。

「……カザミ」

隻眼の少女、チンクが注意を促す。
志郎は無言で頷いた。
とっくに気付いていたらしい。
そのまま真っ直ぐ人影の方へ走らせる。
近付くにつれ、姿がはっきりとしてくる。
巨躯の男/灰色の短髪/のっぺりとした白い顔/右手には巨大な拳銃。
向こうも既に、近付くバイクの存在に気付いているだろう。
拳銃をこちらに向けてはいないことから、とりあえず交戦の意思は無いものと判断した志郎は、徐々にスピードを落とす。
最終的に男と十メートルほど離れた所で停車。
二人はバイクを停め降車し、距離を置いて巨躯の男と対峙した。

「……」

無言で向き合う三人。
無機質な男。
志郎とチンクの第一印象がそれだった。
無表情、と言う点では志郎のむっつり顔も似たようなものだが、目の前の男はそれに加え、恐怖をもたらす圧迫感を全身から放っている。
落ち込んだ眼窩の底で光る、恐ろしい程の虚無を抱えた眼光。
コートに包まれていてさえはっきり判る、鍛え上げられた肉体。
どれもが余りに攻撃的で、二人共警戒を緩める気にはなれそうも無かった。
こちらに銃口を向けてこそいないものの、一向に仕舞われる気配の無い拳銃を見て、チンクは懐に仕込んだナイフを意識する。

「お前達に尋ねることがある」

口火を切ったのは大男の方だった。
名乗りもせずに行き成りそれかとチンクは苛立ったが、志郎が無言で先を促す。

「ネズミを探している」
「ネズミ?」

あっけに取られる二人。
何かの比喩表現だろうかといぶかしむ。
だが、男は大真面目に頷いた。

「金色で、喋る」
「……」
「様々な武器に変身できる」
「…………」

再び、沈黙。
どうやら冗談ではないらしい。

「なあ、それはひょっとするとデズニ……」
「駄目だカザミ。良く判らないがその言葉を口にしては絶対に駄目だ」

何故か汗筋を垂らしたチンクが志郎の言葉を止める。
二人の様子から有意な情報は得られないと踏んだのか、大男は次の質問に移った。

「お前達はシグマと名乗る男について何か知っているか」
「それはこっちが聞きたいぐらいだ」

苛々しながらも質問に答えるチンク。
この様子では大男の方もシグマについては何も知らないらしい。

「では、お前達は今迄にルーン・バロッ……」
「その前にこちらの質問にも答えて貰う」

三度目の質問に移ろうとする大男を遮って、志郎は素早く会話の主導権を掏り返る。

「ノーヴェと言う少女を見なかったか? 赤い短髪でこの娘と似たような格好をしている」

チンクは志郎が最初に自分の妹を気にかけてくれた事に対して、少し驚く。
無言でかぶりを振る大男を見てすぐに落胆してしまうのだが。

「では本郷猛、城茂、神敬介、村雨良、スバル・ナカジマ、ギンガ・ナカジマ、この六人の内……」
「知らない」
「それなら、シグマと会話を交わしていたエックスと呼ばれた男と赤い男については」
「この場所に転送されて今まで、お前達以外の誰とも会っていない」

接触が徒労に終わって、二人は幾分気抜けした。

「そうか……残念ながらこちらも同じだ」

大男はそれを聞いても残念がる素振りを見せない。

「質問はそれで終わりか」
「否……一つ残っている」

握り拳を固め、志郎は禁句とも言える、だが確かめなければならない、その疑問を口にした。

「お前は、シグマの殺し合えと言う命令に従うつもりか」

ちりちりと空気が軋む。
場の緊張が、一気に膨れ上がった。
その中でも相変わらず、ボイルドは勝手に喋る。

「この事件では、"参加者"の生殺与奪の権利を奪い、強制的にサドンデス的な殺し合いに駆り立てられる。
当然参加者間の諸権利と価値観がせめぎ合い、闘争が発生する」
「俺達はそれを止める。お前も協力してくれないか」

勝手に"俺達"の中に入れるなと言いたげにチンクが志郎を睨むが、男二人はそれを黙殺。

「俺は一個の爆弾だ。俺は数多の価値を虚無へ還す。それが俺の有用性だ。
そして参加者もシグマの仲間も消え去れば、そこに事件は存在しない」
「何だと」

志郎とチンクが目を剥く。
大男はゆっくりと手にした巨大な拳銃を二人に向けた。
場を支配していた緊張感が、凍えるほどの殺意へと姿を変える。

「お前たちの支給品を確認させて貰う。拒むなら――」
「IS発動。ランブルデトネイター」

両手に一本ずつ、計二本のナイフが魔法の様にチンクの両手に現れ、彼女の声と共に刃が不可思議な燐光を纏ったかと思うと、次の瞬間には大

男に向かって放たれる。
頭に一本、心臓に一本。
全てが急所を貫く軌道だ。
必殺を期して放たれたナイフはしかし、全てが男に届く途中で、あらぬ方向へと逸れる。

「何!?」

疑問に思う間もなく、二本は空中で爆発。
膨れ上がる爆炎に大男の全身が飲み込まれる。
爆風から身を庇いながら、チンクは不敵な笑みを浮かべた。

「何故か直撃しなかったが、まあ良い。
あの爆発だ、相当な火傷は避けられまい」
「否……見ろ」

一方、志郎は警戒を崩さず、厳しい視線を前方へと向けている。
その視線の向こうで、影が揺らめいた。
響く男の声。

「お前は、俺の敵になり得るのか」

舞い上がる爆煙の向こうから、悠然と大男が歩み出てくる。

「馬鹿な……!」

全くの無傷だった。
あれだけの炎に晒されたと言うのに、コートにススすら付いていない。
チンクは狼狽しつつある自分を叱咤し、冷静にナイフを今度は六本手に取ると、まずは左手の三本を投げる。
最初から狙いを外してあるそれらは、男の頭上を飛び越えてからUターン。
上左右に分かれて三方向から後頭部と背中と脇を穿つ方向に軌道を調整。
背後からの奇襲と同時に、正面からは右手に持った三本を以前より幾分力を込めて投げ付ける。
四方向からの同時攻撃。
男は何をするわけでもなく、拳銃を携えて只佇んでいるだけだ。
しかし、襲い掛かるナイフは今度も、ことごとくその軌道を捻じ曲げられてしまう。

「ISッ!」

爆発する六本のナイフ。
先程の倍以上の勢いで衝撃波が迸る。
再び炎の中に消える男の姿。

「やったか……ッ!?」

チンクの表情が凍り付く。
炎の壁を裂いて、ぬっと無骨な拳銃が姿を現す。
銃口は、少女の額に向けられていた。
棒立ちするチンク。

「チンクッ!」

志郎がとっさに少女を突き飛ばす。
炸裂音。
チンクの頭のすぐ横を物凄いスピードを持った何かが掠める。
脳が揺さぶられる感覚。
50口径AE弾は少女の額があった空間を貫き、背後の地面に銃痕を穿った。
倒れ込みながらチンクは、視線だけでも何とか前に向ける。
徐々に晴れていく煙の向こうに浮かび上がるシルエット。
男の全身から迸る殺意が志郎とチンクを射抜く。
あれほどの爆炎に晒されたにも拘らず、ダメージを受けた形跡は無い。
正に怪物だった。

「変――――ん」

敵は只の人間ではない。
悟った志郎は左右の腕を同時に回し、左上で止める。
ダブルタイフーンの回転が風を巻き起こし、志郎は大きく飛び上がった。

「――――身っ! V3!!」

上空で回転した志郎が地に降り立った時には、すでに変身は完了している。
赤い仮面の仮面ライダーV3が緑の複眼で男を見据えた。
怪物が再び銃口をもたげる。
いまだに這い蹲るチンクを抱え上げ、V3は大きく飛び退く。

「なっ何を!」

抗議の声は黙殺。
停車してあるサイクロン号の所まで辿り着くと、チンクをひょいと持ち上げてバイクに乗せる。

「お前は逃げろ」
「何だと!」

声を荒げるチンクを見ようともせず、V3は厳しい視線を大男に向ける。

「お前は妹を守ってやれ。俺はこいつを倒してから行く。
もしバイクを返す気があるなら、次の放送までに」

言葉を継ぎつつ携帯端末を操作しマップを表示させる。
V3は地図のG-6エリアにある滝を指差した。

「次の放送までにここで待っていろ。俺は必ず行く」
「私も戦える……!」
「お前の技は奴には通用しない。足手まといだ」

チンクは歯を食いしばり、V3を睨み付けた。

「そうか、なら勝手にするが良い! 勝手に一人で戦って、勝手に死んでしまえ!
私は別に構わない。私一人の方が行動し易いしな!」

チンクはそう吐き捨てると、ぎこちない動作でサイクロン号のペダルを踏み込むと、エンジンを噴かせて去って行った。
大男は一対一の方が都合が良いと判断したのか、走り去る少女を止める素振りを見せない。
残される仮面の戦士と怪物。
V3はチンクの攻撃を尽く退けた男の不可思議な能力を警戒する。
大男もV3の身のこなしを見て、油断のならぬ相手と悟る。
一触即発の緊張感が漂う中、両者は無言で向き合った。

「俺の名は仮面ライダーV3、風見志郎。貴様の名前は?」

打算があるにせよ取り合えずチンクを見逃してくれた男に対し、V3は名乗りを上げる。
無視するかと思われたが、意外にも男は重い口を開く。

「……ディムズデイル・ボイルド」
「ボイルド。仮面ライダーの名に賭けて、殺し合いに乗った貴様を見逃す訳には行かない。
ここで斃れろ」

構えを取ってボイルドを指差すV3に、ボイルドは場違いな質問を問いかけた。

「……お前は何の為に戦う」
「何だと?」

質問の意図をいぶかしみながらも、V3は自らの信念を口にする。

「正義のため。そしてこの殺し合いに無理矢理参加させられた人々の命と自由を守るためだ」
「正義……」

何か遠くの方を見つめながら呟くボイルド。
明らかにボイルドが攻撃の意図を見せていたとは言え、先制攻撃を仕掛けたのはこちらだ。
ひょっとしたら説得が可能かもしれない、V3は淡い期待を抱く。

「お前の正義は、一体誰が保障する」
「掛け替えの無い仲間達が。九人の先輩後輩達が俺の正義を支えてくれている」
「仲間……」

即答するV3に対し、再び彼の言葉を反芻するボイルド。

「俺は戦闘機乗りだった」
「何?」

突然の自分語りに面食らいながらも、続きを促す。

「戦闘航空団に配属され、やがて大陸との戦争が始まった。
連日の夜間爆撃、緊張の連続、地上で燃え盛る自分が作り出した地獄絵図。
ストレスと疲労から僅かばかりの休養を求めた俺に支給されたのは、デキストロ・アンフェタミン――覚醒剤だ」

男には何が見えているのか。
そのときの光景が、今の男の目にはどの様に映るのか。

「加速する感覚。押し寄せる快感。疲労も恐怖も忘れた俺は、敵と思い込んで友軍に五百キロの爆薬を落とした。
そこに居たのは空挺師団……俺の友人達だった。
幸運にも死ぬ事が出来たもの以外は劣化ウランの雨に打たれ、一生消えない障害を負った」
「まさか、後戻りできないからこれ以上殺しても同じ、だとか、シグマの褒章で過去の過ちを無かった事にしたいだとか、そんなことを考えて

いるのか」

ボイルドは静かにかぶりを振った。

「薬物中毒の後遺症で、俺もまた暴力衝動、幻覚、不眠に蝕まれた。
使い物にならなくなった俺は、実験部隊に志願し……、そこで……」

言葉を区切るボイルド。
V3は男の目がほんの一瞬だけだが揺らいだのを見て驚く。
目の前の男が初めて見せる何らかの感情の鱗片。
だが、次の瞬間には、ボイルドは相変わらずの無機質さを取り戻してしまっていた。

「そこで俺は過去の失点を帳消しにすべく、あらゆる実験と改造に耐え、生まれ変わった。
終戦後、廃棄処分の危機を乗り越える為に新たな武力の正当性が必要とされる。
示された新たなキャリア。社会における有用性の証明。証人保護システム"マルドゥック・スクランブル09"。
俺は新たに得た九人の仲間と共に、都市を守る為、無力な市民の生命を守り、不正な手段で利益を得る集団に対し法を執行する為、死に物狂い

で戦った。
充実していた。
隣には信頼できる仲間が居て、時には救う事が出来た個人に感謝された。
罪の意識を抱えたまま、それに耐え、新たな軌道に乗ることが出来た」
「ならば何故殺し合いに乗った!」

マルドゥック・スクランブル、人々の命を守ることに存在意義を賭ける試み。
それは仮面ライダーと通じる理想だ。
だからこそ、かつてその理想を共にしたはずのボイルドがシグマの命令に従う理由が、V3には理解できない。

「やがて俺達の前に敵が現れる。
子供が誘拐され殺人ビデオの撮影に用いられる事件。
誘拐、拷問、暗殺、脅迫……。あらゆる悪徳を司る十二人の傭兵集団。
彼らを操る黒幕は姿を見せず、一人また一人と仲間達が消えていった。
犯され、嬲られ、殺された。
それでも俺達は進んだ。戦い続けた。道の果てに救いがあると信じて。
最後に俺と俺のパートナーだけが残され、ようやく俺は真実を知った」

男の抱える深い闇、瞳の奥の虚無が、その瞬間爆発的に広がる。

「敵は俺達が守ろうとした都市、そのものだった。
都市は俺達の技術とシステムを吸い尽くした上で、俺たちを消す心算でいた。
無力な個人すら、俺達の存在を抹消しようとしていた。
法も、最早俺たちを追い詰めるだけだった。
俺達にはその理念ごと食い尽くされるしか、選択肢が残されていなかった。
……俺は唯一残ったパートナーの存在を守る為、他の全ての存在に価値を認めることを諦めた。
俺は包囲を突破する為、守るはずだった証人を含めて全てを破壊した。
俺にはもう、何かを掛け替えの無い物だと感じ取ることが出来ない。
お前が正義や命の尊さを訴えたところで、俺の心には何も感じられない」
「……くだらない」

話を聞き終えて、結局V3はそう吐き捨てた。
守るべき人々に裏切られた経験なら、V3にもある。
それでも仮面ライダーが人々を傷付けたことは、今まで決してなかった。

「正義と人々のために命を捧げたのなら、何故最後までそれを貫かない!
俺達仮面ライダーならば、たとえ裏切られ最後の一人になろうとも、消して正義を捨てたりしない!
人々が悪に唆されていたとしても、誰かが規範として正義を貫く姿を見せれば、必ず改心させることが出来るはずだ!
貴様の軟弱な虚無感ごときでは、仮面ライダーを打ち破ることはできないと知れ!
トオッ!」

啖呵を切るや、V3は空高く舞い上がり、右足を地上のボイルドへと向ける。

「V3――――」

力を込め、眼下の敵を貫くべくV3の体が加速する。
白いマフラーが翼の如くたなびく。

「キ――――ック!!」

一本の矢の如くボイルドに迫るV3の右足。
だがボイルドに近付くにつれV3は減速し始め、ボイルドの眼前で完全に止められた。
不可視のバリアの硬さをV3は実感する。

「――ッ! チンクの攻撃を防いだのがこれか! ならば!」

V3はそのまま空中で脚を折り曲げ、反動を利用してV3キックを放った時よりも更に高く舞い上がる。
反転し再びボイルドに右足を向けて急降下。
V3キックを上回る神速でボイルドに迫る。

「V3反転キック!!」

この威力ならば防げまい。
V3のその予測はしかし、横方向への不可思議な制動を受けて打ち破られる。
V3の軌道が僅かに横にずらされ、ボイルドの胸を打ち抜くコースで放たれたはずのキックは敵の右肩を掠めるに留まった。
標的を失い、急降下の運動エネルギーを、着地の際の衝撃としてもろに脚で受ける。
コンクリートにクレーターを穿ち、衝撃で動きが遅れるV3を大型拳銃の銃口が狙う。
発砲。
とっさに身を捻り回避を試みるが、間に合わず、V3の左肩が砕ける。

「クゥッ!」

撃ち抜かれた肩を抑えてV3はボイルドに向き直る。
数多の怪人たちを屠って来た反転キックすら防がれた。
一筋縄には行かない、強敵だ。
反転キックとチンクの投げナイフを逸らした謎の力、恐らく念動力か何かだろう。
鉄壁のバリアと念動力による二段構えの防御。
攻めあぐねるV3を前に、ボイルドは再び関係のない話を語りだした。

「"悪に唆された"……そう見るのか。
だが彼らが、いつ、お前に"改心"させてくれと頼んだ」
「……悪に支配された人々に笑顔はない。
そんな状況を見過ごせるはずがないだろう」

油断なく構えながらも律儀に答えるV3。

「カトル・カール、かつて敵だった十二人の殺戮集団。
彼らを生み出したのは俺だ」
「生み出した……だと?」
「俺が落とした高性能爆薬に焼かれ、瀕死となった"犠牲者"達だ。
放射能障害で人間性を失い、薬物を投与され、機械化された、醜い生存者達。
彼らは皆微笑んでいた」

それは今迄で最もおぞましい罪の告白だった。

「彼らは、笑っていたのだ。
笑顔で俺に感謝していた。
ありがとう。
こんな体にしてくれてありがとう。
拷問技術を存分に発揮できる機会を与えてくれてありがとう、と」
「やめろッ!!」

余りのおぞましさにV3は絶叫する。
ボイルドは止まらない。

「09の流儀で考えれば誰もが不幸だった。
俺も、仲間も、俺達の敵も、皆が哀れな犠牲者だった。
誰も救われなかった。
カトル・カールの流儀で考えれば誰もが幸せだった。
彼らによって拷問にかけられた対象でさえ、彼らから見れば笑顔だった。
そこでは俺は英雄と褒め称えられ、皆が快楽に酔い痴れる事が出来た」

V3は男の言い分に怒りしか覚えなかった。
拷問が幸せをもたらすなど、正義は不幸しかもたらさないなど、考えるだけで反吐が出た。

「……人々の笑顔など、俺にとっては何の価値も無い。
お前が守る人々の笑顔と、殺人ビデオに写っていた麻薬で陶酔する子供達の笑顔に、何の違いがある。
特定の価値を守る為、他方の価値を犠牲にするのは誰しも同じ事だ」
「ふざけるなッ!」

V3の怒りが爆発した。

「貴様の言う拷問の素晴らしさなど、悪の負け惜しみに過ぎない!
子供達の明るい笑顔を、そんな下卑たものと一緒にするな!
今すぐ俺が貴様の精神を修正してやる!」

V3はボイルドへ向け一直線に駆け出すと、格闘を仕掛ける。
極近接戦闘ならバリアは張れないだろう。
V3は怒りに燃えつつも、冷静さを失ってはいなかった。

「はアッ!」

右拳がボイルドの左頬を捉える前にV3の体が浮き上がる。
ボイルドの念動力によるものだろう。
V3は拳を打ち出したままスーパーマンのような姿勢で男の頭上をすっ飛んでいく。
すれ違いざまに左キックを頭に放つが、ボイルドはしゃがんでそれを回避。
振り返りながら拳銃を向けるボイルド。
空中のV3を銃口が捕らえる。
轟音。
普通、何にも触れることが出来ない状態では、自分の体を動かすことは出来ない。
しかしダブルタイフーンが巻き起こす風のパワーが、V3に空中でも機敏に動く能力を与える。
V3はくるりと宙返りし銃弾を避けた。
華麗に着地したV3は地面すれすれの回転蹴りでボイルドの脚を狙う。
大きく跳び上がるボイルド。
距離を取らせまいと、追随してV3もジャンプ。
ボイルドは踵落しでV3を叩き伏せようとする。
V3はアッパーでボイルドを突き飛ばそうとする。
激突する踵と拳。
空中の両者の間で火花が飛ぶ。
どちらも全く退かない。
やがて、足と拳が同時に離れた。
両者の勢いは完全に相殺され、二人の体は宙を漂う。
V3はとっさにボイルドの右足をつかみ、そのまま空中で回転を始める。

「ウオオオオォォォォ――――ッ!」

錐揉みシュートよろしく、ボイルドの巨体を独楽の様に軽々と振り回すV3。
振り回されつつもボイルドが放った弾丸がV3の左腰、チンクに斬り付けられた跡を貫く。
傷口が広がり血が噴き出すが、V3は止まらない。
ひとしきり回転した後、遠心力を利用してボイルドを地面に向かって投げつける。
ボイルドの体はコンクリートに激突し、もうもうと土煙が上がる。
遅れてV3も地に降り立つ。
さしものボイルドも衝撃で暫くは身動きが取れないだろうと僅かに気を抜くV3に、煙の向こう側から音速を超える弾丸が襲い掛かる。

「クッ!」

とっさに拳を突き出して銃弾を迎え撃つ。
先程ボイルドの踵とぶつかり合ったばかりの右拳を50口径が抉る。
岩を易々と叩き割るV3の拳に弾丸がめり込み、装甲がひび割れた。
負傷した拳を押さえ一瞬たじろぐV3に、土煙を吹き飛ばしながらボイルドが猛然と襲い掛かる。
自ら格闘戦を仕掛けて来ると言う展開に虚を突かれたV3は反応が遅れる。
ボイルドの左拳がV3の頭部を掠める。
空気が焦げ、嫌な匂いが立ち込める。
V3がとっさに繰り出した左拳がボイルドの右手に握られた拳銃で真正面から止められる。
いかに頑丈な拳銃であれ、V3のパンチの前には紙屑の様に潰されてしまうはずだ。
だが、届かない。
ボイルドは念動力でV3の拳を押し返し、撃った。
ひしゃげる左拳の装甲。
苦痛を押さえ付け放ったローキックを、ボイルドは最小限の跳躍でかわす。
そのままボイルドはV3の額目掛けて銃底を振り下ろした。




自分を呼ぶ声に、風見志郎は目を覚ます。
闇に包まれた、上下の感覚が無い、不思議な空間。
志郎は声の方へ振り向く。
少し離れた所に、両親と妹がいた。

(……またこの夢か)

もう結論が出ていることだ。
失われたものは、確かにいとおしい。
だが自分には、まだ現世でやらねばならないことがある。
世界には自分を必要としている人がいる。
だから、まだそっちへは行けない。
そう答えようと、三人に近付く。

「?」

様子が変だ。
三人の姿は闇に包まれていて、ディティールが判然としない。
目を凝らしていると、突然どこからともなく光が差し込む。
浮かび上がった三人の姿に、志郎は戦慄した。
三人は、デストロン怪人に変貌していた。
三体の怪人は恍惚の笑みを浮かべていた。
三体の怪人は口々に志郎を褒め称える。
ありがとう。
デストロンの犯罪に巻き込んでくれてありがとう。
こんな体にしてくれてありがとう。
志郎は叫んだ。

「違う! 父も母も雪子も苦しんで死んだ! デストロンに感謝などするものか!
まして怪人になどされたとしても、それを嬉しいなどと思うはずがない!!」

視線を逸らすと、そこにも見知った死者たちがいた。
悪によって非業の死を遂げた人たち。無理矢理怪人にされて倒された人たち。
出来ることならば救いたかった人々。
皆醜い怪人の姿を晒していた。
そして一様に快感にのた打ち回りながら志郎を祝福していた。

ありがとう ありがとう ありがとう

亡者の大合唱が志郎を苦しめる。

「やめろ! お前達は救われてなどいない! お前達は本当は不幸なんだぞ!
俺はお前達を救うことが出来なかったんだ!
俺に……俺に感謝などするなァ!!」

もちろん現実では有り得ないことだ。
仮面ライダーが戦った悪の組織は皆人々を苦しめ、自分達以外の誰も幸せにしようとはしなかった。
しかし、もしこんなことが現実に起こったら。
殺された人々も、怪人にさせられた人々も、志郎の家族も、麻薬付けにされ、快楽と共に炸裂の時を迎える、そんなことが有り得たら。
力及ばず出してしまった犠牲者、自分の至らなさの所為で生まれた不幸。
その重みに苦しむ心が、その罪の意識が、僅かなりとも癒されるのではないか。
そんな現実を望むのが、いけないことなのか。

「こんなもの死者への侮辱でしかない!
消えろッ!」

幻を振り払う志郎。
亡者達の姿が揺らぎ、別の姿を映し出す。
両親の姿が仮面ライダー一号と二号のそれに変わる。
妹の姿がV3に変わる。
V3は一号二号を褒め称えていた。

ありがとう。
仮面ライダーにしてくれてありがとう。

志郎はおぞましい自分の姿に目を背ける。
視線を向けた先には、無理矢理怪人にされた人々が消えずに漂っている。
もう笑ってなどいない。
志郎の望んだ通り、現実と同様に、彼らは苦しんでいた。
早く殺してくれと、口々に訴えていた。
いつの間にか志郎はV3に変身している。
V3は苦しむ怪人たちを解放すべく、逆ダブルタイフーンを発動する。
巻き起こる竜巻。
エネルギーの奔流に巻き込まれ、怪人たちはバラバラに引き裂かれていく。
回転の中心で、V3はただそれを眺めている。
砕け散る怪人の一体が喋る。

「アア……ヤット、死ネル。
モウ、殺サナイデスム。

ありがとう。
殺してくれて、ありがとう」

怪人は微笑んでいた。
V3は絶叫した。




「だからこそ知って欲しい! まだ世界にはマルドゥック・スクランブルと理想を共にする仲間が存在することを!
安易な方法でなく、血の滲む苦労でしか得られない種類の幸福に、掛け替えのない価値が残っていることを!」

思い浮かぶのは、修羅の如く怒りに燃えるチンクの姿。
復讐を遂げ、シグマを過剰にいたぶり嘲り笑うチンク。
妹の存在を、それを失った悲しみもろとも忘れ、呆けた様に笑うチンク。
殺し合いでただ一人生き残り、シグマの褒美で蘇らせた妹達と喜び合うチンク。
最初以外の可能性はゼロに等しいけれど、ひょっとしたら有り得る未来。
どのチンクも笑顔だ。
しかし、仮面ライダーV3は望む。
もう一人の妹と共に生き残り、セインを失った現実を正面から受け止め、力一杯泣く。
その悲しみを胸に、生存者たちと共に前向きに生きる。
そんな未来に、いつか、見せてくれるだろう笑顔を。

「魂を取り戻せボイルド!
お前は空っぽなんかじゃない!
お前の悲しみも、お前の怒りも、この仮面ライダーV3が受け止めてやる!!」

轟然と襲い掛かるボイルド。
ボイルドの左拳がV3の頬を弾き飛ばす。
ボイルドの右膝がV3の脇腹に叩き込まれる。
ボイルドの右足がV3の顎を打ち砕く。
V3は血反吐を吐いて後ずさる。
しかし決して倒れない。
決して膝を折らない。

「どうしたボイルド! その程度では仮面ライダーは倒せないぞ!
もっと魂を込めて打ち込んで来い!」

両手を広げ挑発するV3。
何の躊躇いもなくボイルドはそれを叩き伏せた。
ボイルドの左アッパーが華麗に決まり、V3は錐揉みしながらぶっ飛ばされる。
意識が飛んでいる内に追撃すべく、ボイルドは拳銃を宙に舞うV3に向けトリガーを引いた。

「――――この瞬間を待っていた!」

頭を激しく揺さぶられたV3はしかし、気絶などしていなかった。
錐揉み状態のまま空中でバランスを取り戻すと、自身の回転をダブルタイフーンの力で加速させる。
宙返りしながら、V3とボイルドを結ぶ線を軸に、回転エネルギーを溜め込んで行く。
加速/加速/加速。

「V3スクリューキ――――ック!!」

V3の右足と50口径AE弾が激突する。
スクリューの様に回転するV3のキックは銃弾を粉々に打ち砕いた。
銃弾の持つ運動量自体は大したものではない。
V3の勢いが衰える兆しはない。

「やはりそういうことか!」

先程拳に銃弾を当てられた際、感じた違和感。
どうやらボイルドは銃を撃つ際に、銃弾を通すためにバリアーに穴を開けている様だ。
その僅かな隙間に針を通す様に、指向性の強いスクリューキックを放てば、防ぐ事はできないだろう。
V3の読みは当たっていた。
V3のキックは全くスピードを落とさず、そのままボイルドの胸に吸い込まれた。
ボイルドは堪らず吹っ飛ばされる。
二、三度地面をバウンド。
胸を押さえながらもひらりと身を翻して、膝立ち状態で止まった。
いまだ闘志を燃やす瞳で、V3を睨む。

「まだ倒れないか……ならばアレを使うしかない」

V3が走り出す。
腰のダブルタイフーンが逆方向に回転し始める。
力と技の風車から光が零れる。

「V3逆ダブルっ……タイフ――――ン!!」

V3を軸にして、膨大なエネルギーの渦が発生する。
渦は加速し竜巻となり、暴風となって当たり一面を無茶苦茶に吹き飛ばす。
更なる加速。
路面が剥がれ、粉々に砕けながら遥か上空に吹き飛ばされる。
建造物が跡形もなく粉砕され、瓦礫のつぶてとなって吹き荒れる。
地上の形あるもの全てがV3を中心にして炸裂した。
V3以外、何ものも存在を許されない。
その筈だった。

「――――ッ!」

ボイルドは立っていた。
大地に両足を着けて。
吹き荒ぶ嵐の中で、一歩も動かされることなく、微塵も揺れることなく。
相変わらずのうっそりとした眼付きで、V3を睨んでいた。

「馬鹿な……っ!」

V3の全エネルギーを載せた逆ダブルタイフーンをまともに受けて無事で済む筈がない。
V3は自ら渦中に飛び込み、渦巻く奔流に乗って空中で大きく回転し始める。
だが、遅い。
必殺の遠心キックが届く前に、銃口をもたげたボイルドの無慈悲な射撃がV3の胸を貫く。

「ぐわあァァァ――――っ!」

地面に打ち付けられ、倒れ付すV3の体。
逆ダブルタイフーンが終了し、嵐の時間は終わる。
ダブルタイフーンの回転が火花を立てて止まり、V3の変身が解除される。
うめきながら志郎が辺りを見回すと、周り一面廃墟と化していた。
まともに形を残しているものは、何もない。
ボイルドだけが立っていた。
男が呟く。

「俺の能力は無重力下での戦闘を考慮して開発されたものだ。
上下左右、どのベクトルから力を加えられても、俺は俺の軸を見失うことは無い」

志郎はようやく悟った.
ボイルドの能力は念動力などではなかった。
重力だ。
近くの物体を触れずに動かすこともできるが、それよりも自身にかかる力場を操作することに長けた能力なのだ。
V3の攻撃が当たってもそれほどダメージを受けていなかったのは、とっさにその方向に自分の体を加速して、衝撃を受け流していたからなの

だろう。
志郎は歯噛みする。
自分にとって相性が最悪な能力だ。
ストロンガーの電撃の様に、重力に作用されない攻撃手段を、V3は殆ど持ち合わせていない。
しかも、逆ダブルタイフーンの影響で、当分自分は変身できないのだ。
絶体絶命だった。
弾切れになった拳銃の弾倉を交換しつつ、ボイルドは一歩一歩志郎に近付く。
志郎もふらふらと立ち上がりながら睨み返してやるが、どうしようもない。
再装填を終えたボイルドが銃口を向けたその直後、どこからともなく飛来した棒状の物体が男の足元に突き刺さった。
赤い三角の道路標識="止まれ"。
けたたましい排気音が響き渡る。

「カザミイィィィ――――!」

おっかなびっくり、明らかに体に合っていない大きさのサイクロン号に跨って、去ったはずの隻眼の少女が猛烈な勢いでこちらに向かって来た


全くスピードを緩めずボイルド目掛けて突っ込む。
何の遠慮もなく大男を轢き飛ばすと、志郎の目の前で緊急停車。

「乗れッ!」

一瞬の躊躇。
目の前の暴走する強大な力を野放しにすることへの躊躇い。
だが変身できない現状では、ボイルドに正義を示すための力が足りない。
志郎は断腸の思いで単車の後部座席に飛び乗る。
再び発車しようとするバイクに向けられるボイルドの銃口。
チンクは左手でナイフを二本、後ろ手に投げ付ける。
ボイルドのフロート、重力能力が飛来するナイフを遠方へ弾き飛ばす。
しかし、ナイフはフェイクだ。
ボイルドとチンク達の間にある一時停止の道路標識が突然爆発。
一面に煙が充満する。
その間にチンクは再びエンジンを噴かせ、アクセルを全快にして、志郎と共に走り去った。




煙が晴れ、バイクが走り去って行く方向を確認しつつ、ボイルドは穿たれた胸を押さえる。
難攻不落のフロートによる防御、その数少ない弱点を見事に突かれた。
そしてその後の逆ダブルタイフーンもまた、少なからずボイルドにダメージを与えていた。
重量場の出力が明らかに落ちている。
そもそも本調子ならばV3を近付けることすら許していない。
恐らく修復される際に識閾値を落とされたのだろう。
痛む胸を押さえる。
ふと、V3の叫びを思い出した。

(――魂を取り戻せ!――)

ボイルドは矢張り、何も感じられない自分を自覚する。
その魂は全て、あのネズミに託してしまったのだから。
銃が必要だった。
今手にあるものよりもっと強力な銃が。
V3の拳を一撃で吹き飛ばせるものが。
V3の必殺キックに対抗できるものが。
でなければ、少なくとも弾薬が必要だった。
先の戦いでは、残弾数を気にする余り攻め手を欠いていた。
しかし補給無しでは、このままの調子で撃ち続ければじきに手詰まりになる。
ボイルドは地面に落ちているナイフを拾い上げる。
銀髪の少女が囮に投げたものだが、爆発する様子はない。
今回の収穫はこれだけだ。
しかも向こうに再転送されてしまったら意味がなくなる代物。
一方向こうには、こちらの手札を知られてしまった。
彼らが体勢を立て直し、包囲網を形成する前に、追撃する必要がある。
今すぐに、だ。
ボイルドはPDAを手に取る。
使い慣れない移動手段ではあるが、仕方がない。
ボイルドは最後の支給品を転送した。




「……何故戻った」

大型二輪を見るからに規定身長以下の少女が操り、後部に大の大人が乗せてもらっていると言う奇妙な現状。
運転を代わろうかを言いかけて、今の自分の手ではハンドルを握れないことに気付いた志郎は、代わりにそんなことを尋ねる。

「……お前には借りがあった。それを返しに来ただけだ。
お前の負ける様を見れば、何か突破口が閃くかも知れなかったしな」

つっけんどんな調子で答えるチンク。
始めからあの道路標識の様に、何か役立つものを探しに行っていただけなのではないか。
もしそうなら、まったく、素直じゃない奴だ。
そんな考えがよぎって、志郎は小さく笑う。

「何を笑っている……気持ちの悪い奴だ。
そんなことより、お前の事だ、ただ一方的にあの男にやられていたわけではないんだろう。
何か弱点は判ったのか」
「ああ、奴は重力を操る。
近くの物体だけでなく自分自身にまでその効果が及んでいた。
電気や光と言った、重力の影響が小さい手段しか通用しそうにないな。
ただ、攻撃の瞬間だけ、奴の重力の盾に穴が開く。
力学的な攻撃でなら、狙えるのはそこだけだろう」
「厄介だな……。
寝込みを襲うか、疲弊した所で不意を突くしかないか」

もっとも志郎が卑怯な手を認めるとは思えないが。
チンクにもV3にも、有効な攻め手がない相手だ。
二人は黙り込み、男に対抗するための手段を考える。
ただ、志郎の胸には、また別のやるせない思いがあった。

(奴が……ボイルドが人を殺めるのならば、俺は絶対に奴を倒さなければならない。
だが、もしできるのであれば、ボイルドには仮面ライダーになってほしい)

結城=ライダーマンの時の様な、何か仲間になってくれる切っ掛けのようなものは、おそらくない。
それでも、かつて仮面ライダーと同じ理想を持った人間を救うことを諦めるのは、志郎には耐えられない事だった。

「……なあ、カザミ」

不意に、チンクが話しかけてくる。

「どうした?」
「いや、大したことじゃないと言ったら、確かにそうなんだが……」
「?」

彼女らしくもない、曖昧な物言い。

「背筋が寒いというか、何か物凄く嫌な予感がするんだ。
後方の確認をしてくれないか。
いや、できればで良いんだが」
「バックミラーがあるじゃ……ああ、そうか」

彼女の座高では、ミラーの角度が合わず、後方確認ができない。
指摘されて若干彼女の機嫌が損なわれたような気がしたが、気のせいだろう。
志郎は痛む身を捻って後ろを振り向き――――凍り付いた。

「チンク、逃げろ」
「はあ? 何を言って……」
「奴が追って来た、逃げるんだ」
「馬鹿な、我々以外のエンジン音は聞こえないぞ。
こっちが一体時速何キロで走ってると思って……何いイイィィィ――――!!?」

苦労して運転座席から後方へと顔を捻ったチンクは、驚愕した。
ボイルドが凄まじい速度で迫っていた。
……自転車で。
どう見ても何の変哲もない、自前の動力無しの自転車が、二人乗りとは言え全速力のサイクロン号を、確実に追い上げていた。
全身から殺意を放つ怪物が、市販のスポーツ用自転車に乗って、前傾姿勢で一直線に猛追して来る。
幾多の修羅場を潜り抜けてきた二人をも震え上がらす程の、形容し難い未知なる脅威がそこにあった。

【F-4 道路/一日目・黎明】
【風見志郎@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:約三時間V3に変身不能、疲労大、両拳に重症、頭部と胸部と左肩に中程度のダメージ、
左腰から出血、全身に僅かな火傷、固い決意、やるせない思い
[装備]:なし
[道具]: 支給品一式、不明支給品0~2
[思考・状況]
基本:殺し合いを破壊し、シグマを倒す
1:ボイルドを振り切り、体勢を立て直して反撃
2:チンクと共に本郷・敬介・茂・村雨・スバル・ギンガ・ノーヴェを探し、合流する
3:殺し合いに乗った危険人物には容赦しない
4:可能ならば、ボイルドを仮面ライダーにしたい
5:シグマの真の目的を探る。そのためにエックスと呼ばれた男、赤い男(ゼロ)と接触する
6:弱者の保護
7:北東へ向い金属を集める(優先順位は低い)
[備考]
※参戦時期は大首領の門に火柱キックを仕掛ける直前です(原作13巻)。また身体とダブルタイフーンは元通り修復されています
※チンクと情報交換をしました
※なんとなくチンクを村雨、そして昔の自分に重ねている節があります

【チンク@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:小程度の疲労、両腕に僅かな痛み、固い決意
[装備]:サイクロン号(1号)@仮面ライダーSPIRITS(志郎の支給品)、ヴィルマの投げナイフ@からくりサーカス(10/30)
[道具]: 支給品一式、不明支給品0~2
[思考・状況]
基本:ノーヴェを守り、シグマを破壊する
1:ボイルドを振り切り、体勢を立て直して反撃
2:志郎と共に本郷・敬介・茂・村雨・スバル・ギンガ・ノーヴェを探し、合流する。
またノーヴェを最優先にする。
3:殺し合いに乗った危険人物には容赦しない
4:スティンガー、シェルコートを手に入れる
5:北東へ向い金属を集める(優先順位は低い)
[備考]
※参戦時期は本編終了後です
※優勝者の褒美とやらには興味がなく、信用していません
※志郎と情報交換をしました、また完全には志郎の事を信用していません


【ディムズデイル・ボイルド@マルドゥックシリーズ】
[状態]:中程度の疲労、全身に中~小程度のダメージ、胸部に中程度の打撲
[装備]:轟天号@究極超人あ~る、
    デザートイーグル(7/7)@魔法先生ネギま! 、弾倉(7/7)×1+(0/7)×1
    ※弾頭に魔法による特殊加工が施されています
[道具]:支給品一式、ネコミミとネコにゃん棒@究極超人あ~る
    ヴィルマの投げナイフ@からくりサーカス×2(チンクの支給品)
[思考・状況]
基本:ウフコックを取り戻す
1:目の前の二人を追撃
2:バロットと接触する。死んでいる場合は、死体を確認する
3:ウフコックがいないか参加者の支給品を確認する
4:充実した人生を与えてくれそうな参加者と戦う
5:もっと強力な銃を探す
[備考]
※ウフコックがこの場のどこかにいると結論付けています。


【轟天号@究極超人あ~る】
ブリヂストンサイクルのロードマンがベースのスポーツ型自転車。
R・田中一郎はこれに乗り、新幹線とほぼ同じ速度で東京―京都間を走破したが、轟天号はこの強行軍に耐えうる耐久性を持つ。

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022:赤い戦士と銀髪隻眼少女の邂逅 風見志郎  
022:赤い戦士と銀髪隻眼少女の邂逅 チンク  
029:充実した人生を ディムズデイル・ボイルド  





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