Kokoro ◆qRv35OWHJE


「どうした?」
≪ボイルド……≫
「ボイルド……知り合いか?」
≪ボイルドは……≫

バロットは語る。死んだはずの最強の悪夢。
重力を操り、何かを見失い、最期までウフコックを求めた、哀しき怪物の脅威を。
ゲジヒトはその節々で同意し、あるいは沈黙し。
徐々に、捜査のプロフェッショナル……刑事としての表情を、その顔に色濃く描き出した。

バロットがボイルドとの邂逅を説明し終わるとともに、彼は考えをまとめて、
確かめるように問いを発した。
「重力を……重力そのものを、操る?」
ゲジヒトの問いに、頷くバロット。
ゲジヒトはその真剣さに事実を読み取り、驚愕を憶えるとともに、疑問を浮かべた。
「わざわざ人体を改造して、兵器として運用すると?」
ゲジヒトの問いに、訝しげに頷くバロット。
「そして、そのような能力を持つ兵器でありながら、それでも彼は人間であると……」
もう一度頷いたバロットに、ゲジヒトは首をかしげて遠慮がちに切り出した。
「これから言うことは……私の推論だ。刑事としての習慣、妄想と言ってもいい」
バロットは少し考えて、先を促す。
ゲジヒトは納得したように頷き、その妄想……推論を披露する。
「ロボットが存在するなら、最初から兵器としてのロボットを造ればいい。それは自明のもので、面倒も少ない。
自我があれば苦痛は感じるかもしれないが、兵器として作られていない人間を『品種改良』するよりは効率的だ」
唐突な話にバロットはあからさまな疑問を浮かべて、ゲジヒトを見る。
≪それが、どういうこと?≫
バロットの問いに、ゲジヒトは数瞬考えた後、答えた。
「違う惑星……あるいは違う時間?SF物語には別の世界という概念もあるが……」

≪え?≫
何を言っているのか掴みかねて、かぶりを振るバロット。
「私は、人を兵器へと改造するのは人道主義以前に、非効率だと思う。機械化していない部分がネックとなって、
性能の限界に突き当たる。少なくとも、完全なロボットを生み出せる私の世界では考えられない―――」
≪それは、つまり≫
「我々は、互いに未知の<世界>から集められた。その<世界>が惑星単位なのか、次元すら超えているのか、
それはわからないが」
≪……≫
沈黙し、考え込むバロット。

わずかな沈黙の後、ゲジヒトの考察がもう一歩を踏み出した。
≪その理由があるとするなら≫
日常の業務として推理を行っているゲジヒトの経験が、この場の誰よりも早い考察をはじき出す。
≪効率的な技術の吸収―――≫

≪生き残る能力に長けた、あるいはパートナーを生き残らせる能力に長けた者を観察し、
そのデータを元に『最初から忠実な配下としての工作員ロボット』を作成、
それぞれの<世界>に少数送り込んで、怪しまれない程度に技術を採取する。
一つ一つはその世界での常識に過ぎないレベルの技術でも、
無数の技術体系を一つの意思の元に集められたなら……≫
≪世界征服?≫
バロットがおどけたように言い放つ。その言葉にふいを突かれたゲジヒトが、
ばつが悪そうに頭をかいた。
「そうあらためて断言されると……確かに荒唐無稽だが」
照れたように頭をかくゲジヒトと、その様子にゲジヒトの生真面目さを見て取るバロット。
そのひとときに覆い被さるように、透明な……聞いた事のない女性の声が、響き渡った。

「大変意義深い考察です」

たっぷりと間合いを取り、柱の影から姿を現したのは青い髪の女性。 
「あなた方に敵対するものではありません。
私は対グノーシス専用人型掃討兵器、シリアルN0.000000001。開発名称KP-X、
Kosmos Obey Strategical Multiple Operation Systems(秩序に従属する戦略的多目的制御体系)
略称KOS-MOS。情報収集を目的として活動中です」

既にゲジヒトは右手を構え、バロットはわずかに後へ下がって様子を見る。

多少と言うには長すぎる時間が流れた後、ゲジヒトが手を下ろして、息を吐いた。
「敵意はないようですね」
「はい。情報の交換、あるいは効率的な脱出方法の検討を希望します」
バロットはKOS-MOSを見つめた後、手招きしてKOS-MOSを近くに寄せる。
≪私はあなたに一定の信用を預ける≫
ゲジヒトにも手招きをして、言った。
≪KOS-MOSは……警戒を向けられても応戦しないだけの判断力、冷静さを持っている。
奇襲を選択しなかった時点で、素直に殺し合うほど愚かでもないと、私は考える≫
「それはその通りだが……では、信用する?」
ゲジヒトの問いに頷きを返し、バロットは二人に向けて言った。
≪大部分は私の勘。体系的な技術ではないけど、人の心を読むことにかけては自信がある≫
「私は人間ではありません」
≪心があれば、心があるように見えれば、それは既にヒト。入れ物が違うだけで心の価値が違うなんてない≫
バロットは、決まった形なんてないに等しい、世界一頼れるパートナーを思い浮かべて言った。
ゲジヒトは若干の驚きを持った目で、バロットを見る。彼の<世界>では、
ロボットをロボットとして愛する人間は多いが、ヒトであるとまで言い切る人間はそう多くなかった。

「それでは、我々は仲間です」
ゲジヒトは感情を抑え、あえて事務的な効果を狙って言い放つ。
バロットの宣誓。
≪我々は誰も殺さないし、殺されない。そして殺させない≫
「それは命令でしょうか」
バロットの宣誓に、KOS-MOSが確認のメッセージを送った。
バロットはため息を一つついて、KOS-MOSに視線を向ける。
≪KOS-MOS。我々は誰も殺さないし、殺されない。そして殺させない。≫
「ですが、そのような余裕がいつでもあるとは限りません。
私達に関係のない方々全てを、殺させないというのは手に余るのではないでしょうか」
バロットはもう一度嘆息して、KOS-MOSに話しかけた。
≪命令じゃなくて、私と円滑な関係を築く為のお願い。可能な限りでいい、これが仲間の契約だと言い換えてもいい≫
≪了解しました。私は私の能力が及ぶ限り、殺さず、殺されず、殺させません≫

三人全ての確認をもって、バロットの言う仲間の契約が開始される。
そして三人は、嘘の会話を、あえて声を上げて始めた。
「私たちは私たち以外に関しては最低限の干渉でよいということでしょうか」
「私も、身を守る為には仕方ないと考えます」
バロットは適宜頷いて、いかにも会話に参加しているフリをする。
「敵対的な行動をとられた時は、迅速に反撃すべきです」
そう言ったゲジヒトの表情は、装いが過ぎるほどの無表情。
≪ロボットと人間が殺し合うなんてことは……あってはいけない……≫
自らが機械であることを強調する、限りなく人間的な演技。
「私は大きな力を与えられましたが、守れるものはあまりにも少ない―――」
何かを噛み締めるように手のひらを見て、握りしめた。

そして―――KOS-MOSは、考える。
我々は殺さない。我々は殺されない。我々は殺させない。
それを言い出したバロット。
それに疑問を持たず、即座に同意したゲジヒト。
KOS-MOSも、基本的には同意できる。不必要な殺戮は望まない。 
しかし、状況によってはどうなるだろう。
錯乱し、誰かを壊した者でさえも万難を排して助けるべきなのか?
自らを守る為に、脱出のためにどうしても必要な犠牲は?
バロットが生まれながらに持ち、ゲジヒトや自分が手に入れた感情が、
自らの保存のためには邪魔になる場合があるのではないか。

KOS-MOSだけが、他の二人と違うものを見ていた。そのずれは、ほんの少しだけ―――。

【B-7 都庁風ビル東棟・低層階/一日目・黎明】

【KOS-MOS@ゼノサーガシリーズ】
[状態]:ダメージ(微)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、闇夜の鎌@クロノトリガー、仙桃x3@封神演義、
    FN ブローニング・ハイパワー(13/13)@攻殻機動隊、マガジン(13/13 9mmパラベラム弾)x2
[思考・状況]
基本思考:自身の「生還」を前提とし、状況に応じたその時点で「最も」適切な行動を取る。
1.他参加者と接触を試みる。
2.施設、支給品など情報を収集する。
3.我々は可能な限り殺さない。殺されない。殺させない。
[備考]
※KOS-MOSの躯体はver.4です(Ep3後半の姿)
※参戦時期は改修後からT-elosとの融合前までの間。
※各種武装(R-BLADE、G-SHOT、DRAGON-TOOTHなど)はU.M.N.ネットワークの問題で転送不可。
 少なくとも内蔵兵器であるX・BUSTERは使用可能。エンセフェロンダイブ、ヒルベルトエフェクトなども一応使用可能。
※ゲジヒトの考察を有力な仮説と認識しています。
※ゲジヒトとバロットの方針に「基本的には」賛同。

【仙桃@封神演義】
水に溶けるとその水が酒になる桃。太公望の好物。

【ゲジヒト@PLUTO】
[状態]:健康、記憶障害?
[装備]:睡眠ガス銃(左)、SAAW特殊火器『ゼロニウム弾』(右)(各一発)
[道具]:支給品一式、不明支給品1~3
[思考・状況]
1.主催者に関する調査を、他の参加者協力を得て行う。
2.主催者とプルートゥの関係を調べる。
3.自分の失われた記憶を取り戻す。
4.我々は殺さない。殺されない。殺させない。
[ゲジヒトの考察]
この壊し合いは、効率的な技術の吸収のための下準備か?

※参戦時期不明。単行本5巻までの記憶を保持。記憶が消去された可能性あり。
※ボイルドの詳細な情報を得ました。


【ルーン・バロット@マルドゥックシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品1~3
[思考・状況]
1.ボイルドが……どうして。
2.ドクターやウフコックみたいな信頼できる参加者を探し、ウフコックの元へ帰る。
3.弱体化したスナーク能力に慣れる。
4.現在はゲジヒトに協力。
5.我々は殺さない。殺されない。殺させない。

※スクランブル終了後から参戦。
※電子機器に対する干渉能力の大きさは、距離に反比例します。参加者に対しても同様。限界距離は6~8メートル。
 至近距離でも、人工心肺などの対象の生命活動にかかわるものを停止させることは不可能です。(阻害は可能)
※ゲジヒトの考察を出来のいい仮説の一つとして受け入れました。


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023:秩序と蓮花 KOS-MOS  
021:ロボット刑事と少女事件屋の巻 ルーン・バロット  
021:ロボット刑事と少女事件屋の巻 ゲジヒト  





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