塗り潰された『PLUCK』 ◆hqLsjDR84w



 改造人間、神敬介がアスファルトで覆われた道路の上を歩く。

「…………」

 少し前の戦闘で傷ついた右腕を意に介さず、ただ無言。
 その瞳に光は無く、感情をうかがうことは出来ない。
 当然だ。
 今の神敬介に感情など存在しない。存在しないものの様子をうかがうなど、出来るわけが無い。

 敬介の腰に巻かれた、金属のようなもので出来たベルト。
 そこに彼愛用の四形態に変形する万能武器であるライドルは、セットされていない。
 現在そこにはPersonal Digital Assistant、略してPDA。日本語で言えば、携帯情報端末がセットされている。
 この殺し合いが開始した時点で、何故かライドルからそれに変わっていたのだ。
 敬介がそのことに気付いたのは、ほんの少し前。


 公安九課の公式装備である思考戦車タチコマとの戦闘で、敬介は一杯くわされた。
 結果、倒せたはずのタチコマに逃げられてしまった。
 敬介は右腕に重症を負ったが、一方のタチコマはボディがへこんだだけ。命があるだけマシだが、敬介の完敗だ。
 感情は失ったが、物事を思案する力まで失ってはいない。
 敬介は排除するべき存在を探しながら、敗北の理由を考えた。
 そして見出した答え。

 ――正面からの攻撃ではなく、ライドルでのトリッキーな戦法を取っていたのなら。
 ――負けてはいなかったし、逃しもしなかったはずだ。

 そう判断し、次の戦闘に備えてライドルを取り出そうと、腰のベルトに手を伸ばした――が、そこにあったのはPDA。
 一瞬それが何か分からず捨ててしまおうしたが、ほんの少し指が画面に触れた所為で画面に表示された地図を見て、捨てるのをやめる。
 それから画面に何度か触れてみて、支給品の説明画面を表示させることに成功した。
 その説明を読んだ敬介は、一つの支給品を転送させた。
 それがいま、敬介が左手に持っている洋剣だ。
 ライドルほどのギミックは無いが、それなりのリーチを誇るそれならば、戦法の幅が広がる。そう判断したのだ。


(俺が今いる場所の南方、地図に『学校』『官庁街』と記された場所。
 そこには群れたがる人間が集まるはずだ)

 そう考え、神は歩みを進める。
 ただ、他の参加者を排除する為に。

 ――BADANの為に。

 ずるり、と。
 敬介の胸の装甲の奥で、暗闇大使の種子がほんの少しだけ蠢いた。
 それに気付くものは、まだいない。


 かつて、戦士と呼ぶに相応しい誇り高き男がいた。
 主君であるメアリ・スチュワートの為に騙され、非業の死を遂げた男。
 英雄として語り継がれたその男の名は、黒騎士ブラフォード。

 一部の人間しか知らないことだが、彼は死んでから三百年後に蘇った。
 邪悪な吸血鬼により、人の心を持たぬ屍生人として――だが。
 自らを裏切った現世への怨念という名の呪縛。屍生人となったブラフォードは、それに支配されていた。
 その呪縛からブラフォードを解き放たせたのは、黄金に輝く勇気を持った紳士、ジョナサン・ジョースター。
 彼の操る波紋は、ブラフォードから屍生人の邪悪な心を取り除き、人の心を取り戻させた。
 それブラフォードは感謝をし、ジョナサンに自らの剣とあるものを託した。
 『LUCK』と刻まれた剣に、自らの血液で一つのアルファベットを血で書き足し、『幸運と勇気を』という二つの意味を『PLUCK』という五文字のアルファベットに込めたのだ。
 その何よりも重い思いを込められたアルファベット――『P』は、神敬介の右腕の出血により塗り潰されしまっている。
 それは一体何を意味するのか、はたまたただの偶然か。

 ――かつての神敬介の心は、熱さと勇気で溢れてた。
 ――その勇気で以って、父の仇であるGOD機関を含む幾つもの悪の組織を壊滅に追いやったのだ。
 ――しかし今では心を喪い、ただ目の前の存在を排除する改造人間として歩みを進める。
 ――その左手に、塗り潰された『PLUCK』を携えて。




【C-4(中央) 路上/一日目黎明】
【神敬介@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:胸部に埋め込まれた暗闇大使の種子による洗脳状態、疲労(中)、右腕重症
[装備]:LUCKの剣@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:支給品一式、不明支給品2個(本人確認済み)
[思考・状況]
基本:他の存在を排除する。
1:人が集まりそうな学校、官庁街へと向かう。
[備考]
※ライドルは没収されています。
※地図と支給品説明以外は未読です。
※感情はありませんが、物事を思案する能力はあります。


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032:闇の中のX 神敬介 045:Take me higher!(前編)





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