真夜中のサーカス ◆qRv35OWHJE



セリオはあてもなく走っていた。
通信可能な場所、そして安全な場所を求めて走り回っていた。
そんな場所など、どこにも在りはしないのに。

ようやく建物を出て、道路に飛び出したセリオを衝撃が襲う。
道路に倒れ込み、顔を上げたセリオが見たものは、銀と青のフォルム。
未来という鋳型から形成された鉄馬に跨るは、古式ゆかしい錬金術の申し子、自動人形コロンビーヌ。

「あなたは、お人形かしら?」
「私は」

答えようとして気づいた。立ち上がれない。
いや、立ち上がれないのではない。

ないのだ。

セリオの腰部がへし折れて、下半身ははるか彼方へと吹き飛ばされていた。
「あ……あ」
「ああよかった」
コロンビーヌの顔に安堵が浮かぶ。
バイクから降りて、鉄槌を振りかぶって。
「あなたがお人形で」
鉄槌が、首の部分を粉砕した。
「人間を殺さないって、約束したもんね」
もう一度。
胸部が一撃で破砕される。
「じゃあね」
最後の一撃が、セリオの頭部を粉砕し……


その時。
それを待ち構えていたように不可視の何かが飛来し、
不可視のまま、白銀の皮膜に受け止められる。
「だあれ?」
コロンビーヌがゆっくりと顔を向けると、その方角には。
自動人形を破壊すべく、人間が、コロンビーヌに武器を向けていた。
そう。武器を。

だから。コロンビーヌは人間の知覚を超えた速さで、動いた。

鉄槌が振り下ろされる。
人間は僅かな時間を生き延びようと、その砲身で鉄槌を受け、結果。
それは、空気砲は、もはや武器ではなくなった。

コロンビーヌの速さが、観客たる人間を前にして、鈍る。
それはコロンビーヌに刻み込まれた、自動人形としての本能。

人間は彼我の戦力差を冷静に見極めたのか、逃走を図る。
後に飛び退ると同時に、携帯端末を操作して支給品を転送。
牽制のつもりか、以外に大きなその物体を、投げた。
逃がすまいと追いすがるコロンビーヌの眼に飛び込むは、
子供大はあろうかという床屋ロボット、バーバーマン。
何でもいいと放ったそれが。
ハズレだと、せめてものつぶて代わりに放ったそれが。
結果的にグレイフォックスの命を救う事になる。

「バーバーバー、バババーバー」
バーバーマンの歌声にコロンビーヌは動きを止めた。
「あなた、誰?」
歌う人形に興味を持ったコロンビーヌが、問いかける。
「床屋ロボットバーバーマンと申します」
「バーバーマン?」
コロンビーヌの期待を込めた眼差しに、バーバーマンはわずかに顔を赤らめた。
「ねえ、何ができるの?」
その問いを待っていましたとばかりに、
バーバーマンは懐からマイクを取り出して告げる。
「では、まずテーマソングから……」
バーバーマンはコロンビーヌをちらちらと見ながら、高らかに謳い上げた。
「バーバーバー、バババーバー、ババーババー、ババーババー……」
「ねえ、ちょっと」
「なんでしょう」
コロンビーヌは、バーバーマンの歌詞にあってはならない語句を聞きとがめた。
長い生の中でも、自分にそんな表現を使う奴などいなかった。
いや、今だっているはずもないのだが……
「ババーって何のこと?」
「テーマソングです」
「……ババーって誰のこと?」
「ほんのジョークです」
「……」

「自爆」

軽妙な爆発音とともに、バーバーマンははじけ飛んだ。
表情を変えられない彼の顔には、しかし、何かをやり遂げた歓びが浮かんでいたというのも、
あながち間違いではないのだろう――――

【床屋ロボットバーバーマン@Dr.スランプ 発言の責を負って自決】

バーバーマンの自爆を見届けたコロンビーヌは、
自分を攻撃してきた人間の気配がなくなっていることに気づく。
「逃げられちゃった」
バラバラになったバーバーマンの残骸から床屋セットを回収し、
自らの髪の乱れを直した。
「まあいいや」
道路の橋に吹き飛んでいた携帯端末を拾いながら、
あのお人形と、お人形みたいな人間と対峙した感覚を比べて、しばし思う。

最初の娘は人形だった。次に出会ったのは、お人形みたいな人間。
人間は殺したくない、でも。
「お人形みたいな人間は、どうしようかな」
エレオノールの命令と、マサルとの絆。
その二つが、コロンビーヌの中に大きな何かを残していたのだが……
「そうだ」
考えて、気づいた。
自分とマサルは、殺したではないか。
科学の棺桶の中で老いさばらえていた、しかし紛れもなく人間であった、「O」達を。
「お人形みたいな人間は、殺してもいいんだよね?」
答えを得たコロンビーヌはバイクに乗り、次の犠牲者を探す。
閉じられた空間で演じられる殺し合いに、懐かしさと寂しさを感じて。

「哀れな人形達が踊る殺戮の宴『真夜中のサーカス』。開演でございま~す」


【E-5 飛行場・道路/一日目・黎明】

【セリオ@ToHeart 破壊確認】
【残り44人】


【コロンビーヌ@からくりサーカス】
[状態]:健康、気分高揚
[装備]:グラーフアイゼン(ハンマーフォルム)@魔法少女リリカルなのはStrikerS
     タブバイク@ゼノサーガシリーズ
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1~4個(未確認) 、床屋セット(鋏、櫛、鏡)
[思考]
基本:殺し合いに勝ち残り、優勝者の報酬として勝の下へ戻る
1:優勝するため他の参加者を殺す。ただし危なくなったら逃走を図る
2:アルレッキーノ、パンタローネと協力する
3:もし2の二人と自分が生き残った場合、自分を優勝させてもらうように懇願する
4:やっぱり人間は殺せない。人形は壊す。お人形みたいな人間も壊す。
[備考]
※参戦時期は死亡後です(原作40巻)
※フランシーヌ人形はサハラ編時の偽者だと確信しています
※全てのゾナハ蟲(コロンビーヌらが吐き出すものも)には以下の制限が掛かっています。
また会場の全域には十分なゾナハ蟲が漂っています。
1:外部には一切の害はありません(ゾナハ病の感染や機械類のダメージなど)
2:コロンビーヌが自分の武器として使用するのには問題なく使用できます
※ゾナハ蟲の制限にはまだ気付いていません
※グラーフアイゼンはシグマによりハンマーフォルムに固定されています
※タブバイクは飛行できません、他にも色々制限されています


グレイフォックスは、自らに問うていた。

この場所で俺は、まともに戦い抜けるのか?
この場所で俺は、弱者なのではないか?
あの人形……コロンビーヌの見せた、信じられない挙動。
逃げられたのですら、僥倖に過ぎないかもしれない。
あの人形の手にした武器が、その力を与えているのだろうか。
それとも他の連中は全て、あのような能力を有しているとでも言うのか……

自分よりも絶望的なまでに強い相手と、戦う。
元の戦場ではめったに得られなかった経験。
その事実に、彼はただ、身体を震わせた。

【F-5 西部/一日目・黎明】

【グレイ・フォックス@メタルギアソリッド】
[状態]:健康
[装備]:ライドル@仮面ライダーSPIRITS
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
1:闘って兵士として死ぬ
2:コロンビーヌの能力に戸惑い

※原作死亡直後からの参戦です
※この場所において、現状の自分では正面からの戦いに耐えられないのではないかとの疑念を抱きました
※空気砲@ザ・ドラえもんズは粉砕されました



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025:たった一つの愛を夢見て コロンビーヌ LOVE DESTINY
026:電波、届いた? セリオ GAME OVER
028:灰狐は甦える グレイ・フォックス 047:人間でない者たち/されど、人間だった者たち





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