Take me higher!(後編)  ◆DNdG5hiFT6



正面からぶつかり合うXキックとゼロとノーヴェのダブルキック。
2つの力が鬩ぎ合い、巻き込まれた大気が悲鳴を上げる。

だがその均衡はほんの一瞬。
何故ならば、二つの技には致命的な違いがある。
かたや、特訓を重ね何対ものGOD怪人を屠ってきた必殺の技。
かたや、この場で初めて使う武器チップに即席のコンビネーション。
どちらに軍配が上がるかは火を見るよりも明らかであった。

「う……ああああああああっ!!?」

そして空気が薄い所に吹き込むように、最も弱いところにそのしわ寄せは来る。
行き場を失ったエネルギーはガンナックルもジェットエッジも持たないノーヴェに殺到した。
とっさにガードするものの、その余波だけで小さな身体は吹き飛ばされ、遥か地上へと落ちて行く。

「ノーヴェっ!」

だが残されたゼロも危機的状況に変わりは無い。
チャージキックは本来、水平方向に放つ武器だ。
下から上へ、しかも足場がないこの状況下においては本来の威力の半分も出せていない。
それでも瞬時に撃破されなかったのは、ゼロ自身の技量だがそれは数秒も持たない。
その程度の武器、いくら出力を上げようともXキックに敵う道理など存在しない。

(ここまで、か!?)

だがゼロが諦めかけたその時、突如として空中に足場が発生した。

「何だとっ!?」

幾何学模様をもった空中廊下……戦闘機人ノーヴェの固有能力【エアライナー】の発現である。
足場を手に入れたチャージキックは本来の威力を取り戻す。
しかし、本来の威力を持ち返したとしても、チャージキックの威力はXキックに遠く及ばない。
ゼロが僅かでも勝算があると踏んだのは、ノーヴェのパワーを計算に加えてこそなのだ。

「ぐああああああああっ……!」

脚部のアクチュエーターが悲鳴を上げ、全身を流れるオイルが熱を帯びる。
内部フレームが軋みを上げ、放たれた余波がゼロの体を傷つける。
しかしここでチャージキックをやめれば、その瞬間Xキックによってゼロは四散してしまうだろう。
だから勝てない勝負を承知の上で、エネルギーが尽きるまでチャージキックを撃ち続けるしかない。

だがその時、ゼロの聴覚ソナーは確かに足音を聞いた。
天に伸びる回廊を必死に駆け上がってくる少女の足音を。

ノーヴェのISの名は『破壊する突撃者(ブレイクライナー)』。
二種の固有武装と固有能力・エアライナーを組み合わせた限定空戦能力。
だがここには牽制射撃を放てるガンナックルも、高速移動を可能とするジェットエッジも無い。
故にブレイクライナーはその本来の力を発揮し得ない。
――だが彼女はその戦い方しか知らない。教えられていない。
だからこの状況下でも彼女は自身の持つ力の名に従う。
即ち、突撃(ゴーアヘッド)! 突撃(ゴーアヘッド)! 突撃(ゴーアヘッド)!

「くらええええええっ!!」

ノーヴェは渾身の力を込め、無防備な上半身めがけて回し蹴りを放つ!
空中の敵に対するスライディングと回し蹴り。
キックを極めた彼ら『仮面ライダー』でさえ成しえない、あまりにも歪で変則的なダブルキック。
だが、だからこそライダーの隙を突くことが出来る!

「う、おおおおおおおおおおっ!!」

――だが仮面ライダーXはGOD機関の怪人を相手に戦い抜いた百戦錬磨の改造人間である。
無理な体勢から半壊した右腕を振り上げ、ノーヴェの一撃をガードする。
痛みを感じないかのような捨て身の防御。
グシャリ、という生々しい音が響き、右腕がありえない方向へと曲がる。
その光景にかつてスバルに負わされた怪我を思い出し、ノーヴェが僅かに怯む。

Xライダーはその隙を見逃さない。
そのまま空中で身を捻り、無事な左手でノーヴェを捕獲。
更に、チャージキックの反動を利用して、

「真空……地獄車!」

そう叫びながら、そのまま空高く舞い上がった。
ノーヴェを抱えたまま飛び上がったXライダーの目的をゼロは瞬時に理解する。

(地面に頭から叩きつける気か!)

単純、だが確実な必殺の技。
あのままではノーヴェは地面に叩きつけられ、血液を、脳漿をぶちまけながら砕け散るだろう。
無残に、粉々に。今まで自分倒してきたイレギュラーのように。

「させるかっ!」

止めるために腕を伸ばすが、その手は届かない。
ただただ空しく宙を切るだけだった。

ゼロの脳裏に絶望の影がよぎる。
この手は戦友を斬り、そして心を通わせたその妹までも破壊した手だ。
この血塗られた手を伸ばしても、結局誰も救えないのか?
これが己の運命なのか? 破壊者として生み出された自分の宿命なのか?

――ふざけるな

だが、ゼロはそれを否定する。
どんな目的があろうと決めるのは自分自身。
カーネルの死も、アイリスの死も、すべては自分の意志の結果だ。
運命のせいにするのは、倒してきたものの意思を踏みにじる行為に他ならない。
ならばここでノーヴェを助けるのも自分の意志だ。
瞬時に体勢を立て直し、エアライナーで出来た大地を踏みしめ跳躍。
さらに空円舞を使いもう一度跳躍し、再び2人に向かって手を伸ばす。

「届けぇえええええええええっ!」

――果たして、その願いは叶えられた。
伸ばされたゼロの手は、今度こそXライダーのブーツをしっかりとつかんでいた。
文字通り足を引っ張られたXライダーはバランスを崩し、その反動でノーヴェも拘束から開放される。

だが、その勢いは止まらない。
慣性の法則に従って三人はそれぞれ空中へ放り出される。
特に投げられるところだったノーヴェは強烈なGによって平衡感覚を狂わされていた。

どっちが上だ? どっちが下だ? 落ちているのか浮いているのかすら分からない。
一つだけ分かっているのは、このままだと地面に叩きつけられて死ぬと言うこと。
だがその焦りがますます冷静さを奪っていく。
しかし、パニックを起こしかけたその時、耳に届いたのは自分を叱咤する男の声を確かに聞いた。

「ノーヴェ、どの口が姉を守ると言った!?
 その程度の強さで誰かを守れると思うな!
 お前の想いは……その程度か!」

――そうだ……あたしがチンク姉を守るんだ……!

その瞬間、ノーヴェの意識はクリアになる。
最優先事項を思い出したことによって、他の思考が一時的にシャットダウンされ、再起動する。
リブートのかかった意識は一瞬で現在の位置関係を把握する。
自分とゼロ、そしてその中間にいる仮面の男の3次元的な位置を。

ここに至り、本来なら交わるはずのない0(ゼロ)と9(ノーヴェ)の思考はシンクロした。
共に限定空戦を得意とする二人は、視線を交わしただけで互いの意図を理解する。
ゼロは空中で再度加速し、Xライダーに肉薄する。

「これが……最後だっ!!」

最後のエネルギーを振り絞り、放たれたチャージキック。
だがXライダーは1度見た技は通用しないとでも言うかのように、
左腕でそれを受け止めると体の受け流しだけで後ろへ飛び、威力を完全に殺した。

「悪いな――計画通りだ」

だが、それを見てゼロは笑った。
その視線の先、ライダーの背後、やや上空には――天井に張り付くような角度でエアライナーを足下に構成したノーヴェの姿がある。
ゼロの一撃は注意をひきつけ、そして彼女の待つ方向へXライダーを誘導すること。

「一撃、必倒……!」

知らず知らずのうちに、ノーヴェはもう1人の姉妹機であるスバルの口癖を真似る。
自分は彼女の持つディバインバスターのような『必殺技』を持たない。
そして戦術の幅だって決して広いとはいえない。
でも戦い方を一つしか知らないのなら、それをぶつけるしかない。
そうだ、お前が“Xキック”なら、あたしの蹴りの名は――

「ブレイク……!」

エネルギーの足場を蹴り、Xライダーに向かって跳躍。

「ライナァァァァ……!」

空中で体を半回転させ、勢いを殺さぬままに足の裏を標的に向ける。

「キィイイイイイイイック!!」

そして放たれるは渾身の一撃。
その姿はさながら闇夜を切り裂く蒼い流星。
ノーヴェのドロップキックがXライダーの無防備な背中に炸裂した。

「が……っ」

チャージキックによって吹き飛ばされた相対速度のエネルギー、
そしてノーヴェ自身の慣性エネルギーを一身に受けたXライダーは苦悶の息を吐き出しながら、猛スピードで地上へと墜落していく。
そして落下地点――校庭隅の体育倉庫へと屋根を突き破り、叩き込まれた。

――ここに勝敗は決した。
コロニー内壁に映し出される偽りの夜空に佇む勝利者は二人。
性別は男と少女。
シルエットは赤と青。
その名は10進数における最小と最大。
何もかもが真逆の2人は、限定空戦を得意とすると言う唯一の共通項をもって、
銀色の魔人を下すことに成功した。


   *   *    *


エアライナーを解除し、地面に降りる二人。
ノーヴェは落ち着かない様子で隣のゼロの方をちらちらと見ている。

空中での叱咤。
あの一言が無ければ今頃自分は頭から叩き付けられていただろう。

――礼を言わないと。
更生プログラムの初歩の初歩。何かをしてもらったら感謝する。
それは正しいことなのだが、面と向かって言うのは何故か恥ずかしい。
だが言わねばならない。言わなければ教育係のチンク姉の能力が疑われる。
先ほどまで使った勇気とはまた別種の勇気を奮い立たせ、口を開く。

「あ、ありが……」

だが、それは頭に載せられた手によって中断させられた。

「……前言撤回だな」
「え?」
「銃でのサポートといい、さっきといい、お前がいなければやられていた。
 お前は足手まといなんかじゃない。礼を言うぞノーヴェ」

そう言って、微笑むのだ。
一瞬の間をおいて、その言葉の意味を理解したノーヴェはとっさに俯く。
頬が燃えるように熱い。ゼロの目を見ていられない。
照れくささが思考回路を支配し、自分の考えとは関係なく口が動く。

「……べっ、別にお前のためにやったんじゃないからな!」
「? 変な奴だな。それよりもここから離れるぞ」
「……あいつがどうなったか確認しなくてもいいのか?」
「あのダメージで起きあがれるならそれこそお手上げだ。
 それよりもこの状態で誰かから追撃を受けるのが一番まずい。
 一刻も早くここから離れないと――」

だがそう言って一歩を踏み出したゼロは膝から崩れ落ちる。

「ぐっ……!」
「お、おい!」
「ちっ……流石に無理をしすぎたな」

短時間でのチャージキックの連発にXキックとの撃ち合い、
さらに多段ジャンプや空中ダッシュの連発によってゼロの足は限界を超えていた。
特に酷使した左膝は目に見えて分かるぐらいのダメージを負っている。

「……大丈夫なのか?」
「問題ない……と言いたい所だが、左膝のアクチュエーター自体にダメージが来ている。
 それにさっきのキックの撃ち過ぎでエネルギーも心許ない」

そこまで言った所でノーヴェが不安そうにこちらを見ていることに気付き苦笑し、言葉を続ける。

「あれの直撃を食らってスクラップにならなかっただけマシだ。
 とりあえず簡易でもいいから修理施設がある場所を目指そう。何か移動手段があればいいんだが……」
「……それならあたしの支給品がある!」

ノーヴェはPDAを操作し、転送する。
そして転送されたものを見てゼロは驚く。
そこに現れたのは銀色の巨体……巨大なタンクローリーであったからだ。

「これは……また目立つな」
「……じゃあ使わないのか?」
「いや、いざとなれば再転送は可能だし、何にせよ移動手段があると言うのは正直ありがたい」
 早速乗り込もう……と、すまないが肩を貸してくれ」
「あ、ああ……」

ノーヴェの肩を借りながら助手席に乗り込む。
本来ならゼロが運転すべきだろうが、ここは助手席で応急処置――といっても成功して歩ける程度だろうが――
に専念すべきだと判断する。
視線を横にやると、運転席に乗り込んだノーヴェはPDAをまるで宿敵のように睨み付けている。

「アクセルがこれで、ブレーキがこれだよな……」
「……おい、本当に運転できるのか?」
「馬鹿にするな! 説明書もこれのなかに入ってるから何とかできる! ……多分」
「……まぁ間違ってれば、その都度教えていけばいい、か。
 じゃあ出発するか」

そうして、2人を乗せた銀色の巨体は出発した。
……多少、動きがぎこちないのは仕方のないことだろう。
震動する車内で応急処置は慎重に行おう、と決意するゼロ。
――ああ、そういえば最中に気になっていたことを聞かないと。

「ところでノーヴェ」
「何だよ?」
「“ブレイクライナーキック”って……何だ?」
「……! う、うるさい! そのことはさっさと忘れろ!」

【C-4下 道路/一日目 黎明】
【ノーヴェ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:疲労(中)
[装備]:スタームルガー レッドホーク、装弾数4/6@ターミネーター2
[道具]:支給品一式、不明支給品0~1(未確認) 、液体窒素入りのタンクローリー@ターミネーター2
[思考・状況]
基本:チンク姉を守る、シグマを倒す
1:一先ずゼロと共に修理場所を探す
2:チンクを探して合流……まぁ、スバルとギンガも見つけたらな、見つけたら……
  後ついでにエックスって人も探してやる
3:自分の武器を取り戻したい
※本編終了後の参戦です。
※ゼロからゼロの世界及びシグマに関する知識を得ました

【ゼロ@ロックマンX】
[状態]:左膝を破損、エネルギー消費(大)、全身のアーマーに細かい傷、疲労(中)
[装備]:野太刀「夕凪」@魔法先生ネギま! 、チャージキックの武器チップ@ロックマンシリーズ
[道具]:支給品一式 不明支給品0~1(未確認)
[思考・状況]
基本:シグマを倒す
1:膝を修理するための場所を探す
2:エックス、チンク、スバル、ギンガを探す
3:シグマ、何を企んでる?

※ノーヴェたちを生体パーツを使用したレプリロイド(のようなもの)と解釈しました。
※ノーヴェから時空管理局と平行世界に関する知識を得ました。
※参戦時期はX4のED~X5開始前のようです

【チャージキックの武器チップ@ロックマンシリーズ】
ロックマン5のボス・チャージマンの武器チップ。
衝撃波をまとったスライディングが出来るようになる。

【液体窒素のタンクローリー@ターミネーター2】
T-1000に強烈なダメージを与えた、液体窒素入りのタンクローリー。
タンクを破損してしまった場合、周囲に大量の液体窒素を撒き散らす。
下手に浴びてしまえば、全身が凍り付いてしまう可能性在り。
かなりの重車両なので、これで色んな相手を轢き飛ばしにかかりましょう。

 *     *     *

水圧とは身近にあり、強力な力の一つである。
したがって深海で行動する潜水艇などはかなり強靱に制作されている。
そしてそれは深海用サイボーグ・カイゾーグも例外ではない。
1万メートルの深海の重圧に耐えうるほどの強靭なボディを持つ。

故に、Xライダーは、神敬介は生きていた。
下が体育倉庫だったのも助かった一因だろう。
着地の衝撃でボロボロになったマットを背にして、神敬介は眠る。
果たして彼にとってこの結末が剣に示されたとおりLUCK――幸運であるのか。
それが明らかになるのは、次に目覚めたときだろう。

【C-4 学校/一日目 黎明】
【神敬介@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:胸部に埋め込まれた暗闇大使の種子による洗脳状態、疲労(中)、右腕破壊、全身にダメージ(大)
[装備]:LUCKの剣@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:支給品一式、不明支給品2個(本人確認済み)
[思考・状況]
基本:他の存在を排除する。
1:????
[備考]
※ライドルは没収されています。
※地図と支給品説明以外は未読です。
※感情はありませんが、物事を思案する能力はあります。


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045:Take me higher!(前編) ゼロ 054:想い人は復讐者?
045:Take me higher!(前編) ノーヴェ 054:想い人は復讐者?
045:Take me higher!(前編) 神敬介 061:未知数の邂逅





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