それは唐突な出会いだった ◆ga/ayzh9y.





「……」

薄暗い廃鉱山の中。
その男―――T-800は、己が置かれている状況を冷静に整理していた。
彼はつい数十分ほど前に、ある指令を受けた。

『過去へと飛び、人類の未来を救う存在であるジョン=コナーを守りぬけ』

T-800がいた世界は、荒廃した未来の地球。
スカイネットと呼ばれるコンピューターが、人類に反逆を起こした事が全ての発端だった。
人類の発展を願って作られたスカイネットが、皮肉にも世界を滅ぼす悪魔となったのである。
その後、生き残った人類達はレジスタンスを結成。
自らの生き残りをかけ、スカイネットへと戦いを挑んだ。
やがて、人類と機械との全てを賭けた最終決戦において、スカイネットはついに壊滅の危機に晒された。
それを成し遂げた人物こそが、レジスタンスのリーダーであるジョン=コナーである。
しかし、自らの死期を悟ったスカイネットは、ここで起死回生の一手を打った。
スカイネットは、過去の地球へと殺人兵器ターミネーターを送り込んだのだ。
過去でジョンが死ねば、未来は変わり人類の勝機は消える。
それを知ったジョンは、過去の自分自身を守るため、同じく一人の戦士を過去の世界へと送り込んだ。
人類の味方となるようにプログラムされ、ジョンを守り抜くという使命を与えられたもう一人のターミネーター……T-800。
T-800は未来を守るべく、ジョンとその母サラの手によって、過去の地球へと飛ばされた……筈だった。
しかし……彼が目を覚ました時、そこは過去の地球ではなかった。
見知らぬ場所、見知らぬ機械達。
時空を越える際にミスが生じ、どこか別の時間軸に飛ばされてしまったのだろうか。
最初は、そう考えたが……彼は、思わぬ存在をそこで目にした。
自分と同じく、過去の世界に飛ばされていたはずの、スカイネットが送り込んだターミネーター―――T-1000。
T-1000は、シグマと名乗るロボットに協力していた。
つまり……シグマも、スカイネットの忠実な部下である可能性は高い。
ならばこの事態は、自分を過去へと飛ばせないための妨害行動ではないだろうか。

何かしらの力で時空間転移に干渉して、自分をここへと呼び寄せた。
現状、それが最も考えられる事態である。
ならば、成すべき事は一つ……この殺し合いを破壊し、本来の任務へと移る事のみ。
早速、T-800は動き出す事にした。
目的達成の為にも、まず真っ先になさねばならないこと。
それは……

「……衣服のある場所か」

衣服の調達である。
今の彼は、一糸纏っていない……完全な全裸状態なのだ。
生命体以外はタイムスリップできないという性質から、彼は一切を身に着けていなかった。
厳密に言えば、金属骨格を生きた細胞組織で覆っている為、一切というわけではないが。
これは、T-800の前に過去の地球へと飛んだ戦士、カイル=リースも同様であった。
別にT-800には、羞恥心なんてものは一切無いのだが、このままの姿では他者との接触に何かと不自由が生じる。
すぐさま彼は、いつの間にか手元にあった携帯端末を操作。
衣服を調達できる場所がないかと、マップを表示させようとするが……ここで彼の目に、支給品という文字が飛び込んできた。
衣服があるのではないかと、早速確認に移ると……予感は的中した。
彼は端末を操作し、それを転送させる。
一着のライダースーツと、髑髏の模様が描かれたヘルメット。

『滝和也のライダースーツ』

仮面ライダーと呼ばれた戦士達と共に戦う、熱き魂を秘めた一人の戦士が身に着けていたものである。
T-800は、それが唯のライダースーツではない事を一目で見抜く。
防御性は勿論、言うまでも無く。
脚部に装備された強力なスタンガンに、腰のベルトに着けられた特注品のナックルと、攻撃面でも優れているのだ。
早速、T-800はそれを着始める。




「許さない、絶対に……!!」

スバル・ナカジマは、強い覚悟を固めていた。
あのシグマと名乗る戦闘機人らしき男は、目の前で一人の戦闘機人を爆殺した。
彼女―――セインは、姉のギンガが教育係に当たっていた戦闘機人の一人。
その彼女が、見せしめの様に殺されたのだ。
怒りを覚えるなという方が無理である。
必ず、この殺し合いを止める。
そう強く心に誓い、スバルは早速相棒の名を呼ぶ。

「マッハ・キャリバー!!」

しかし、何も起こらない。
一体どうしてと思ったが、すぐさま彼女は、相棒のデバイスが手元に無い事に気付いた。
何故、マッハ・キャリバーが無くなっているのか。
とっさにスバルは、ポケットの中に手を入れてみると……そこに何かが入っているのに気付く。

「これって……携帯端末?」

ポケットに入っていたのは、携帯端末だった。
早速起動させてみると、そこにはこの殺し合いに関する情報が載せられていた。
地図、参加者名簿、そして支給品。
ここでスバルは、ようやくマッハ・キャリバーが無い理由に気付いた。
戦力差を公平にするために、どうやら没収されたようである。
仕方が無い、そう思いながらスバルは、参加者名簿を確認する。
するとそこには、自分が知っている名前が三つもあった。

「ギン姉、チンク、ノーヴェ!!」

思わずスバルは、大きな声を出してしまった。
ギンガ=ナカジマ、チンク、ノーヴェ。
自らの姉に、彼女が教育している二人の戦闘機人。
まさか、彼女達まで殺し合いに参加させられていようとは、思ってもみなかったのだ。
とっさにスバルは、念話を試みるが……繋がらない。
どうやら、念話を妨害されているようである。

「……兎に角、皆と合流しないと」

スバルはマップを表示させ、現在地を確認する。
B-3、廃鉱山内。
南下していけば、先に大きな街がある。
そこに行けば、誰かしら人が見つかるかもしれない。
そう考え、早速スバルは廃鉱山の外に出ようとする……が。
十秒ほど歩いた後、彼女は足を止めた。
何か、布を擦るような音が聞こえてきた……誰か人がいる。
スバルは慎重に、通路から顔を覗かせてみる。
すると……彼女がそこで目にしたのは、想像を遥かに超えた光景であった。

「えっ……?」
「……」

スバルが見たもの。
それは、下半身丸出しの半裸状態のT-800だった。
不運にも彼女は、着替え中の彼と遭遇してしまった。
そして、見てしまったのだ……男性ならば、必ず付いているアレを。
どこからともなく、パオーンという幻聴が聞こえてくる。
スバルは完全に硬直してしまい……しばしして、顔を赤らめ反対方向へと振り向いた。

「し、しししし、失礼しました!!
私、何も見てませんから!!」

もしも相手が殺し合いに乗っている人物ならば、背を向けるというのは危険な行為に他ならない。
しかし、今のスバルにはそう考える余裕は全く無かった。
余りの事態に、ただただ動揺するしかなかったのだ。
一方のT-800はと言うと、スバルを警戒して動きを止めるが……彼女に敵意が無いのを察すると、再び黙々と着替え始めた。
そして、数秒程した後。
着替えを終えたT-800は、スバルへと声をかけた。

「おい」
「えっ……あの、はい」
「お前は、この壊し合いには乗ってないんだな?」
「あ……はい。
あなたもですか?」
「ああ。
状況を把握したい、そちらの知っている情報を教えて欲しい」
「分かりました……私は、スバル・ナカジマです。
あなたは?」
「サイバーダインシステムズ・モデル101シリーズT-800。
俺の型式番号だ」
「え……その、名前はないんですか?
そういう、番号とかじゃなくて……」
「ああ」

T-800には名前は無い。
だから彼は、己の型番を答えた。
スバルもこれには、流石に参らされた。
彼の事をどう呼べばいいか、分からないからだ。
これでは、何かとやり取りが不便である。

「……だったら、私が名前をつけてもいいですか?
このままじゃ、呼びにくいし……」
「分かった」
「じゃあ、そうだなぁ……ボブさんでどうですか?」
「問題ない」

とりあえずスバルは、T-800の事をボブと呼ぶことにした。
何故かは分からないが、何となくその名前が浮かんだのだ。
その後、二人は互いの情報を交換する。
未来の地球、スカイネット、ターミネーター、時空管理局、戦闘機人、魔法。
互いにとって、俄かには信じがたい事ばかりであった。
特にT-800からすれば、異世界の存在なんてありえないものであった。
だが、スバルが嘘を言っているような様子には見えないことから、彼はそれを真実と判断する。

「じゃあ、あの液体みたいな奴……T-1000が、要注意なんですよね?」
「ああ、奴は厄介な相手だ。
戦闘能力が高いだけじゃなく、さっき見たとおりに他人に変身する機能を備えている。
背丈の違う、例えば子供の様な相手。
爆弾や拳銃の様な、複雑な構造を持ったものに変形する事は不可能だが、剣の様な原始的な武器にはなれる。
奴が混乱を招くのは確実だ、早急に撃破する必要がある」
「はい……!!」

二人の共通思想として、T-1000は第一に撃破すべき相手というのがあった。
確実に殺し合いに乗っているのは、最初の光景からして明らか。
それに、T-1000には他人に変身できるという機能がある……混乱を招くのは確実である。
そして何より。
T-800からすれば、彼はスカイネットの手先。
スバルからすれば、セインの仇。
二人にとって、絶対に打ち倒さなければならない、言うなれば宿敵の様な存在なのだ。

「そういえば……なんでさっき、着替えてたんですか?」
「俺の支給品の一つが、このスーツだった。
お前は確認したのか?」
「あ、そういえば……今、確認しますね」

すぐさまスバルは、自分の支給品を確認する。
彼女に支給されたのは、見知らぬ二つの道具。
サブタンクと、テキオー灯。
説明によると、サブタンクはエネルギーを貯蓄したタンク。
テキオー灯は、照射される光を体に浴びることで、どんな環境でも活動できるようになるという未知の道具であった。
サブタンクは兎も角、このテキオー灯には二人は驚かざるを得ない。
注意書きによると、効果があるのは一時間だけ。
一度使った者には24時間経過しなければ使用不可能とあるが……これを使えば、水中だろうと宇宙だろうと活動が可能になるわけである。

「これ、下手したらロストロギアに分類出来るんじゃないかな……?」
「……だが、武器はないようだな」
「そうですね……」
「……お前は、格闘技が専門だとさっき言ったな」
「はい、そうですけど……」
「ならこれを使え」

T-800は、ライダースーツに取り付けられていたナックルをスバルへと手渡した。
スバルは驚き、もらっていいのかと尋ねる。
しかしT-800は、その方が安全だからと、彼女に受け取るよう言った。
これはスバルの身を案じてというのではなく、そうした方が戦力的にバランスが取れるからと判断した為である。
まだこのライダースーツには、脚部のスタンガンがあるし、ターミネーターは肉弾戦でも十分に戦える。
それに何より、もう一つの支給品の存在がある。

「ボブさん、ありがとうございます!!」
「問題は無い。
 俺にはこいつもある」

T-800はそう言うと、もう一つの支給品をスバルに見せた。
コルト・シングル・アクション・アーミー、通称コルトS.A.A。
リボルバー・オセロットが、好んで使っていた愛銃。
威力的には少々心もとないが、それでも無いよりかは大分マシである。

「それで、これからだが何か考えはあるか?」
「えっと、とりあえず南下して街に行ってみたいと思ってます。
大きな街なら、誰かがいるかもしれないし……」
「了解した」

二人は廃鉱山を出て、街へと南下を始める。
ターミネーターと戦闘機人。
打倒シグマを目指す、一つのタッグがここに誕生した。



【B-3 廃鉱山前/一日目・深夜】
【T-800@ターミネーター2】
[状態]:健康
[装備]:滝和也のライダースーツ@仮面ライダーSPIRITS、コルトS.A.A(6/6)
[道具]:支給品一式、コルトS.A.Aの弾丸(30/30発)
[思考・状況]
基本思考:シグマを打ち倒して殺し合いを破壊し、本来の任務に戻る。
     その為に仲間を集める、殺し合いに乗る者には容赦しない。
1:街を目指して南下する。
2:スバルの仲間(ギンガ、チンク、ノーヴェ)を見つけ、合流する
3:T-1000の破壊

※本編開始直後からの参加です。
※スバルに、ボブと呼ばれています。
※ライダースーツのナックルとその弾丸は、スバルに手渡されました。
※スバルの住む世界、魔法、ギンガ、チンク、ノーヴェに関する情報を得ました。
※シグマの背後にはスカイネットがいて、スカイネットの妨害行為によって
自分はこの場に連れてこられたのではと考えられています。

【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:健康
[装備]:滝和也のナックル@仮面ライダーSPIRITS
[道具]:支給品一式、サブタンク(満タン)@ロックマンX、テキオー灯@ザ・ドラえもんズ
    ナックルの弾薬(30/30発)@仮面ライダーSPIRITS
[思考・状況]
基本思考:シグマを打ち倒して殺し合いを壊す、その為の仲間を集める
1:街を目指して南下する。
2:ギンガ、チンク、ノーヴェを見つけ、合流する
3:T-1000の破壊

※本編開終了後からの参加です。
※サブタンクは満タン状態です、使えばエネルギーの回復が可能です。
※テキオー灯は、一時間のみ効力持続。
 一度使った者には、24時間経過しなければ使用不可能と制限されています。
※T-800の住む世界、スカイネット、T-1000に関する情報を得ました。
※T-800のことを、ボブと呼んでいます。
※T-800からの情報より、シグマの背後にはスカイネットがいるのではと考えています。



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GAME START T-800 034:善意と悪意の行方
GAME START スバル・ナカジマ 034:善意と悪意の行方





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