認めるということ ◆vPecc.HKxU


「ハァッ……ハァッ…………っ」

どこまでも続く暗黒の天と地の狭間。
無明の世界をエックスはただひたすらに走る。

エックスの足に硬いものが当たる。
それらは散らばっているは破壊された、哀れなレプリロイド達の残骸。
機械片が、動力炉が、一つ一つのレプリロイドを形作っていたもの達が転がっている。

そんな世界を、終わることなき道を走りどこへ行こうというのか。
それはゼロにもシグマにも、駆けるエックスにすら分からない。

当てもなく、果てもなく。
ただ走るエックスの前に立ちはだかる巨大な影が現れる。


「エッ……クス………!!」
「……ッ! マグマード・ドラグーン !?」

暗黒色の水の中から姿を見せる、マグマように赤い、
竜の姿を基調としたレプリロイドがエックスの前に手をつく。
エックスの記憶に残るその姿は雄雄しく力強い拳の持ち主であった彼の姿。

だが、突き出たパーツ、断面から覗く細かいコードなど、
それは今は見る影もないまでに酷い有り様であった。

続いて同じように壊れた何かがエックスの周囲に現れる。

「ックス………」
                    「……エッ…くス……」
        「エックス……!」

「クリスター・マイマイン…、ストーム・イーグリード、スプリット・マシュラーム………」

エックスが口にする名前の数々。
それはどういった形であれ、エックスの目の前で散っていったレプリロイド達であった。
ドラグーンと同じく無残に破壊されたイレギュラー。

それらは5…10…20…と次第に増えてゆき、とうとうエックスの周囲全てを覆った。

「みんな………俺は…っ…俺はっ…!」

エックスはそれら全てを覚えている。
誰もが誰も、ただ破壊だけを目論む者達ではなかった。
話し合えれば、分かり合えれば、今も共に戦う友であれたかもしれないその者達。

彼らの存在をエックスは決して忘れない。
それ故にエックスは苦しみ、悩む。
彼らがエックスを取り囲む中、レプリロイド達の影からある1人の姿が浮かび上がる。

「…………」
「!? お前は……!?」

それは白と赤のスーツを身にまとい、額から2本のアンテナを伸ばしていた。
大仰なベルトを腰に巻き、手にはエックスが見たことのないはずの棒状の武器を構える。

その男の名を、エックスはこう呼んだ。

「…X………」

己と同じ名を持っていると思わせるその男の目から血がたらり、と垂れた。
それはXの足元に落ちて弾ける。
そしていくつもの血の雫が垂れては落ち、漆黒の空間を赤く色づけてゆく。

「……………エックス」

エックスもまたXの名を呼ぶ。
だが、2人の言葉は同じであれど、発音も語感もまるで違う。

「!?」

スチャ、とXが手に持つ棒状の武器を剣状に変える。
エックスはそれを見てXから距離を置こうとする。
だが、その足には無数のイレギュラー達の残骸がまとわりつき、身動きが取れない。
亡者達に引きずり込まれる感触―
死の予感を確かにエックスは感じた。

(ゼロ…ソルティ……X………俺は……)

Xがその剣を振りかざす。
エックスはかろうじて構えたバスターをXのその胸に………



 ◇  ◆  ◇



「……………スさん! エックスさん!」
「………………ぅ」

自分の名前を呼ぶ誰かの声でエックスはおもむろに目を開ける。
視界がボヤけていて誰なのかよくわからない。
ただ、目の前の人物は緑色の髪の…………

「……ソルティ、かい?」
「よかった…気がついたんですね。うなされているみたいだったので…」

エックスの視点が定まったときには、安堵するソルティの姿がそこにあった。
なぜソルティがここにいるのか。
エックスはそれに対し大方の推察をし、言うべき言葉を捜しつつ問う。

「ここは…?」
「あっ、えっと、ここです」

そう言い、ソルティは手持ちのPDAに地図を表示させ、指差す。
それを見てエックスは自分がXと闘った学校付近からシャトル発着場へ運ばれたことに気付いた。
随分と長い距離を移動している。

エックスは辺りを見回すが、室内にソルティ以外の姿はない。
あの後、どうなったのだろう?
当然ながらの疑問がメモリーに浮かぶが、
それよりも先にソルティに言うべきことがある、とエックスは思った。

「あの後いやな予感がして、すぐ引き返したんです。
 そうしたらアルレッキーノさんと会って、エックスさんが倒れてて…」


「…どうしてテレビ局に向かわなかった?」
「………っ」

思いがけない静かで厳しい口調。
ソルティが小動物のようにびくりと体を震わせ、胸に拳を当て縮こまる。

「確かにあの時は言わなかったから危険だと分からなかったかもしれない。
 けど、俺が信じられなかったのか?」

ソルティの行動結果など全く気にしていないと言わんばかりの言いよう。
当然それらは八つ当たりなどではない。
自ら進んで危険へと飛び込もうとしたことへの叱責。

「俺をここまで運んでくれたことは感謝してる。けど、ソルティがしたことは…」

無謀だ、とはっきりと言い放つ。
涙目になるソルティを見て、エックスはこれでいい、思った

結果としてアルレッキーノと共に負傷したエックスのもとへ駆けつけることができたとはいえ、
エックスを信じることができなかったのは事実。
もしこれで少しでも行動を自重してくれるのなら多少恨まれてもいい。

対するソルティは、怒られるのは好きな性分ではない。
エックスのその厳格な――ロイに似た目線を逸らせるものならば逸らしたい。

だが、敢えてそこから逃げるような真似はしなかった。
―したくなかった。

「私もエックスさんと同じです。助けられる人は助けたい。
 悪い人でも死なせたくない。そう、思いましたから」

たおやかに、それでいて力強くソルティは言い放つ。
失いたくないから。取り零したくないから。
その言葉の意味するところは単純にして明快。
裏打ちを持たない理由だけにそれは強い。
そしてそれはエックスが志すそれと相違なかった。

エックスが気絶する以前とは何かが違った。
その正体は分からないが、この娘はきっと意思を曲げないだろう。
それならば、とエックスはそれ以上に追求しなかった。

「そうか……厳しく当たって悪かった」

その後に続いて「すまない」とひと言。
そのままエックスは黙って再び閉じる。

ソルティが例え不安定ながらも自分の意思をしっかり持ってくれたことへの嬉しさ。
また戦いに向かわなくてもよい者が戦場へ招かれてしまうことへの無情さ。
それが自分の力不足が招いたということへの嫌悪。
そして全ての元凶であるシグマへの怒り。

見た目だけでは分からない、様々な感情が彼の中に渦巻いていた。

それらを整理すると、エックスはしっかりとその記憶をメモリーに焼き付ける。
過去に散ったもの達の記憶と共に。
再び目を開けたエックスは凛とした表情でソルティに向かう。

「現状が確認したい。俺が気絶していたときのことを話してくれないか?」



 ◇  ◆  ◇


「……―放送はそれで終わりです」

ソルティの話した死亡者の内容にメモすると、エックスはPDAの画面を閉じる。

10名。
その中にゼロはいなかった。
だが、それだけの想いがシグマの目論見のために消えていった。
そして、エックスはそれを止めることができなかった。

中でも気になったはXのその後の顛末。
エックスは、ソルティが自分と共に倒れているXを危険人物と判断し、
自分だけをここまで連れてきたのかと思っていた。

だが、真相はソルティと共に駆けつけたアルレッキーノという者によってトドメを刺された、という。
死んだ10名の中にXの名はなかったが、恐らく推測は外れていたのだ、とエックスは思う

ソルティづてに聞いたアルレッキーノの言葉は確かに正しかった。
恐らく自分よりも優秀なイレギュラーハンターなら、ゼロならばそうしただろう。
だが

(また、俺は無力だったのか……)

エックスの言う力。
それは敵を打ち倒す物理的なパワー――イレギュラーでも、イレギュラーハンターでも持っているものとは違う。

救える者を救う力。
それが自分にはなかった、とエックスは思っていた。

アルレッキーノの行動は、力無きもののための無力な行動。
夢の中でエックスが放とうとしたバスターと同じなのだ、と。
結果としてXは死に、止めることはできなかった。

打ちひしがれるエックスに、ソルティは戸惑う。
エックスは強い意志の持ち主だ。
恐らくソルティがその場に居ずともいずれは立ち直ることだろう。

だが、ソルティは自分にできることを探す。
言葉でも、行動でも、できる何かを。


そして

「………………~~……~…♪」
「……?」

鼻歌。と言うには無粋か。
ソルティの口元から、微かなメロディーが漏れる。

それを聞き、エックスが一瞬驚いたような顔をしたのを見て、ソルティは歌を止める。
だが、エックスの「そのまま続けてくれ」と言うような頷き見て続けた。

ひと言で表現するならば、それは「優しい」歌だった。
歌詞を知らないであろうソルティが一生懸命に奏でるメロディー。
それは、ソルティが完全な機械である、ということを忘れさせてくれるものであった。


そのうち、ソルティの歌が終わる。

「その歌は?」
「ローズさんって言う私のお友達が歌ってたんです。
 この歌を聞くとなんか落ち着くんだー、って。だからエックスさんにも…って」

「?」

おっかなびっくりにソルティが問う。
ソルティ自身少し空気が読めてなかったと思ったのかもしれない。

「ダメでしたか?」

おっかなびっくりにソルティが問う。
ソルティ自身少し空気が読めてなかったと思ったのかもしれない。


「いや、ありがとう。確かに、落ち着いたよ」

だが、そんな不安を拭うようにエックスは笑顔で答えてみせる。
そんな何気ない行動が自分のパワーだ、とでも言うように。
実際にそうなのかもしれないが、その真相は製作者でなくば分かるまい。
いや、或いは製作者ですら分からない未知の"何か"かもしれないが。

「ソルティ。俺と一緒に戦ってくれるかい?」
「……はい!」

エックスは確かに感じた。ソルティから「救う」力を。



【D-5 シャトル発着所内/1日目・午前】
【エックス@ロックマンXシリーズ】
[状態]:疲労大、全身に大きなダメージ
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、クロマティ高校の制服@魁!!クロマティ高校  赤い仮面@現実
[思考・状況]
基本思考:壊し合いに乗っていない参加者を守り、シグマを倒す
1:シャトル発着場を捜索。
2:ソルティと共に戦うがギリギリまで無茶はさせない。
3:X……本当に死んでしまったのか?
4:ゼロと合流(ゼロは簡単には死なないと思ってるので優先順位は低い)
[備考]
※神敬介の名前を、Xだと思っていましたが、勘違いだったと思っています。
 また、神敬介が死んでしまっていると考えています。

【ソルティ・レヴァント@SoltyRei】
[状態]:健康 強い決意
[装備]:ミラクルショット@クロノトリガー マッハキャリバー(待機状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:支給品一式、ToHeartの制服@ToHeart スラッシュクローの武器チップ@ロックマン  紫の仮面@現実  K&S Model 501(7/10)@SoltyRei、予備弾各50発 PDA×2(ソルティ、神 敬介) LUCKの剣@ジョジョの奇妙な冒険
[思考・状況]
基本思考:壊し合いに乗っていない参加者を守り、シグマを倒す
1:シャトル発着場を捜索。 茶々丸と言う人物が着たら合流したい。
2:ロイさんやローズさんの元に帰りたい
3:ミラクルショットはエックスがOKというまで出来る限り撃たない。
[備考]
※スラッシュクローの武器チップの事をエックスに言い忘れています。
※マッハキャリバーをただの首飾りと思っています。仮に詳細を知った場合、操れるかどうかは不明です。
※参戦時期はアニメ10話~11話です。
※戦い自体への迷いは消えましたが、相手を躊躇なく殺せるまでには至っていません。
※神敬介が死んでしまっていると考えています。

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077:Strays in the dawn ソルティ 105:鬼【イレギュラー】(前編)
077:Strays in the dawn エックス 105:鬼【イレギュラー】(前編)





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