Rock And Call ◆1eZNmJGbgM



現在地、F-5とG-5の境界線。そこでは参加者の一人、ロックマンが東へと向かい懸命に走り続けている。
目指すはH-5、この場で出会ったかけがえのない友、ドラ・ザ・キッドの元へ。

「待っていてキッド、今君の元へ駆けつけるから……!」

そう呟き、走るスピードをさらに上げる。彼の中ではキッドはいまだ存命中であり、新たな敵に遭遇し
交戦中。そのためにブルースシールドを転送した。
これが彼の、ロックの中での真実。いや、そう信じたいがための都合のよい妄想であることに
ロックも心のどこかで気付いているのかもしれないが、感情がそれを許さない。

だがしかし、現実は非情である。夢ばかり見ていれば、現実に打ちのめされる時が必ず訪れる。
そこには人間だろうが機械だろうが一切の区別はない。ただ平等に、あらゆる可能性、妄想を打ち砕き、現実へと引き戻す。

『――インフォメーションメッセージ』

そしてユメから醒める時が訪れた。




『06:00時点における本プログラムからの脱落者をお知らせします』

(な……)

足元の小枝がパキリと割れる。
まずそこでロックの足が止まる。そして恐る恐る手の平にPDAを手繰り寄せる。
その手は恐れからなのか、怒りからなのか、分からないが小刻みに震えている。
そんな動揺する気持ちを落ち着ける暇も与えず、無慈悲に放送は続く。

『No50 王ドラ』

(確か、キッドが友達だと言っていた……)

真っ先に名前を告げられたのはキッドの刎頚の友である王ドラ。しかしロックはまずキッドの名前が
呼ばれなかったことに一瞬安堵したが、すぐにそのことを悔やむ。

(なんで安心しているんだ、僕は! キッドの友達が呼ばれたのに……!)

王ドラ。
キッドから聞いた話だとカンフーの達人との事だったが、もはや確認する術は無い。
そして自分の浅ましさを叱責し、王ドラに対して心の中で詫びる。改めてキッドの心境に思いを
馳せるが、その間にも幾人もの名前が読み上げられていき、それがさらにロックの表情を曇らせる。

そしてついにその名が宣告された。

『No28 ドラ・ザ・キッド』

(え……?)

最初、何を言っているのか分からなかった。

「いや、だって、キッドには自己修復装置が、それに、戦うために、ブルース、大丈夫って言って……」

現実を思い知らされて、気が動転するロック。
しかしその優秀すぎる頭脳は冷静に事実のみを取捨選択していく。
最後まで残されていた、この放送自体が虚偽であるという可能性も次の名前で消えた。

『No36 パンタローネ』
『No21 009(島村ジョー)』

(ああ……キッドの後にパンタローネの名前が呼ばれたってことは、破壊された順番って事なのかな…
という事は…009とは、パンタローネと一緒に倒れていた人、キッドに致命傷を与えた人……! でも、
あれがわざとだったのか、もう答えを聞くことも出来ない…………遅いなあ、僕は、何もかもが!)

動揺が収まってきたのか、今度は徐々に怒りの表情を浮かべ、放送を聞くロック。
その怒りの矛先はこの壊し合いの主催者シグマに向けた憤怒というよりも、自分自身に対する憤りか。
今度のパキリという音は足元からではなく手元から。
その間にもどこか遠くの世界で起きた事故のニュースの様に、他人事の様に放送は進んでいく。

『なお、進入禁止エリアは【C-2】、【H-8】の2ブロックとなります』

演奏会場はPDAの独白から枝葉の擦れ合う音へと音楽が変わり、聴衆はその余韻に浸る。




「あの時、キッドが言っていた自己修復装置の話、多分嘘だったんだろうな…僕に心配を
かけないように、無理をして、自分の体の事よりパンタローネを止めるために……!」

しばしの後、ロックの中に湧き上がってきた感情は怒り。それも自分に対する怒りだった。
その優秀な頭脳によって動揺は掻き消え、悲しみは一時的に隅に押しやられる。
キッドやパンタローネ、そして009といった、この会場で自分が出会った人物全ての死亡が今の放送で確認された。
なぜキッドの嘘を見破れなかったのか。
なぜ無理を押して修理工場へ向かわなかったのか。
今の彼には自責の念、それしかなかった。

ドラ・ザ・キッド。この最悪の会場の中で唯一の光明だった、かけがえのない友達。
パンタローネ。“最古の四人(レ・キャトル・ピオネール)”の一人と名乗った、危険人物。
009。キッドを破壊した青年。今となっては偶然なのか故意なのか確かめる術は無い。
その三体の最後、どれもに自分は間に合わなかった。
キッドや009が誰に殺されたのか、それの判断もつけようがない。
参加者の内、現状で理解している事はそう多くない。
確実なことはたった二つ。

「最古の四人……パンタローネはそう名乗った。四人ということは他にも、パンタローネの様な危険人物が最悪三人はいるって事だね」

最古の四人。それがパンタローネの製作者がつけたシリーズ名である可能性は高い。
そうでなければ自分の名を名乗る時にわざわざ喋りはしない。
そしてシリーズならば、ほぼ同等の性能を有している可能性も又高い。
つまりパンタローネと互角、またはそれ以上の戦闘力を誇る危険人物が最悪三人もいる。

しかし今のロックにとって一番重要なのは最古の四人についてではない。

「ブルースシールドを持っている人……その人に僕は会わなければならない。キッドの最後が
どんなものであったか知らなければならない。それに…ブルースシールドを持つことにふさわしい人
なのかどうかも、知らなければならない!」

その意志は己の光弾よりも輝き。
その決意はかの盾よりも硬く。

しかしそんな彼の思いは物騒な音で打ち切られる。

ガササッという音に続いて、ズズウゥンという音。そう遠くない場所で木が何本か倒れたようだ。
それはすなわち闘争の狼煙。決闘の号砲。
それを聞いたロックの行動は唯一つ。

「キッド……君ならまたこう言うだろうね。『大丈夫だ! 緊急時に自動的に遺言を記録するシステムが
働くから!』……そうだよね、僕は君と約束した。この壊し合いを必ず止めるって。だから見守って
いてね。そこには君の友達、王ドラ君もいるんだろ? 二人分の応援があれば僕は負けないから!!」

そしてロックは音のした方向へ走り出す。
そこでは凄腕の剣士と最強の傭兵が相見えている。
乱入するは最高の調停者。
この化学反応のもたらす結果がどうなるか……それはだれにも分からない。

【F‐5 森/一日目・朝】



【ロックマン@ロックマン】
[状態]:全身にダメージ、右脇腹に打撲(痛みは引いている)、強い決意
[装備]:ガトリング砲@サイボーグクロちゃん(弾薬三十~四十パーセント消費)
[道具]:支給品一式、ダンボール@メタルギアソリッド、大型スレッジハンマー@ジョジョの奇妙な冒険 五光石@封神演義
[思考・状況]
基本思考:自分は壊しあいには絶対にのらない。
1:音のした方向へ向かう。
2:キッドの遺体と対面したい。
3:ブルースシールドの持ち主に会う。
4:エックスと赤いヘルメットのロボット(ゼロ)を捜して、シグマについて聞く
5:壊しあいを止めるための仲間を集める
6:ロボット同士の壊しあいを止める
[備考]
※キッドの死を確認しました。
※自分達がタイムマシンのようなもので連れてこられたと推測しています。
※最古の四人をかなりの実力をもった危険人物であると考えました。
※ロックの聞いた音は74話、真剣勝負で灰原が放ったかまいたちで木が切り倒された音です。


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062:アナタノナキガラヲ… ロックマン 096:リアリスト





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