:『泣く理由はまだわからない』 ◆SH/Mp7eP/Q


「…………」

 B-3の町の外れ、ちょうどC-3に差し掛かる場所で、爆音が止まる。
 コルトS.A.A片手に持ち、雪の後にタイヤの跡を残して順調に進んでいたT-800は、ふと足を止め、空を見上げた。
 空はまだ午前中ということもあり、空は青い明るみの中に白い雲を漂わせ、何食わぬ顔でそこにある。

 ――ただ、それだけ。

 それだけの空を、T-800がわざわざ足を止めて見上げたのは、ふと誰かに呼ばれたような気がしたからだった。
 しかし、見上げた空には何もなく、CPUが可能性の算出を終え、ただのエラーだったと答えを導いたときには、
 T-800は再びバイクのエンジンをかけ、その場を走り去っていた。

 ただ、走るなか、光学センサーが捉える真っ赤な画面を見、その端に続々と流れる
 各センサーが拾い集めた情報の文字を解読しながら、T-800というターミネーターは考えていた。
 それは、つい先ほどまで戦列を共にしていた男――仮面ライダーストロンガー、城茂のこと。
 感情をもった、不可思議なサイボーグのことだった。

 戻った時には、すでに戦いはターミネートした後だった。
 破損し、雪の上に横たわる体。その先には本来あるはずの首がなく、赤い血が雪の上を染め上げていた。
 T-800は茂の身体構造が自分の知るどのT-シリーズとも違うことは理解していたが、首を切られ、それでも
 生存していられる構造ではないことくらいは、十分承知していた。

 切断面は非常乱れひとつなく、凄まじい刃物の使い手によって切断されたものと判断した。
 そして、そのすぐそばにバイク――HARLEY-DAVIDSON:FAT BOY、明らかに使用した形跡がある――があることから、
 T-800のCPUは、城茂を破壊した何者かは少なくともナタクではないとの判断を下した。 

 なぜ気づかなかった?
 T-800系列のターミネーターはその体に様々な高性能センサーを閉じ込めている。
 光学、赤外線、熱探知、電磁波探知、指向聴覚、あらゆるセンサーが常時高速で環境、状況からデータを拾い、
 数キロ先にあるあらゆる人、物の存在にすらたやすく気付くよう設計されているのだ。
 しかし、気付かなかった。
 瓦礫に埋もれ、抜け出す作業に集中していたとしても、それはメインプロセッサーの判断した行動。
 センサー自体は自立し、情報を拾いCPUに届けてくれるはずなのに、何者かの接近をたやすく許してしまった。
 結果、城茂――仮面ライダーストロンガー――という貴重な戦力を失うはめになったのだ。
 なぜここまでセンサーが鈍っているのか……やはり、可能性として最も高いのは、
 体内に仕掛けられているという爆弾と予測できる。

 しかし、もう一つエラーがあった。

 城茂の首を見つけ、その表情を確認した時に、それは発生した。


356 :『泣く理由はまだわからない』 ◆SH/Mp7eP/Q:2008/11/12(水) 02:02:23 ID:zmUY7vWE0

 城茂は――笑っていた。


 微笑みと呼ばれる、人間の基礎感情『喜怒哀楽』のうち、『喜』と呼ばれる感情から派生した時に
 浮かぶ表情。通常それは、嬉しい時や楽しい時、興奮というものが高まった時に現れるものだと
 ターミネーターは知っていた。ただ、知っているだけだった。
 スカイネットに仕組まれたそれらデータは年密に計算され、簡略化されたもの。間違っていないはずだ。


 だが、――――ならばなぜ、城茂は笑っている? 


 T-800に、T-1000に、その他スカイネットの作り上げた全ターミネーターに、感情はない。
 故に死の瞬間というものを感じることはできない。恐怖もなく、あるのは任務遂行のための力と理論。 
 そして、最低限の学習能力と、人の感情を簡略化したデータだけ。
 もっともこのデータも、所詮喜怒哀楽の基礎のみであり、人間の感情のすべてを理解できるわけではない。
 そもそも人間の感情とは非常に不安定で、非倫理的で、非合理的。
 スカイネット程のスーパーコンピュータでも計り知れない可能性を秘めたものなのだ。


 死とは――人間にとって、感情あるものにとって、恐怖ではないのか?


 レジスタンスに捕まるまで、幾人ものレジスタンスを葬った。プラズマレーザーの銃口を向けられた人間
 の浮かべる表情は、悲しみや憎しみ、あるいは絶望といったものばかり。

 城茂は違った。
 彼がサイボーグだからか? 違う。彼は確かに人間だった。人間的な感情を持っていた。
 中枢が機能を停止しない限り、感情という機能は最後までその役割を果たすはず。


 ――だが、城茂は違った。


 感情とは一体何なのだ?
 人はなぜ笑う? 城茂はなぜその瞬間まで笑えたのだ?
 恐怖ではないのか? 絶望ではないのか? 死とは何なのだ?

 答えは出ない。エラー、エラー…………。


357 :『泣く理由はまだわからない』 ◆SH/Mp7eP/Q:2008/11/12(水) 02:03:07 ID:zmUY7vWE0


 『彼の体を粉々にばらして、爆弾が何かのサンプルを得る』。この状況で算出し、導き出した最も合理的な
 作業を開始しようと開始しようと、T-800は、もはや首なしとなった身体に手を伸ばしかけ――――止めた。

 そして、彼の首をそばに置き、近くの雪を払うと城茂の遺体をその中に入れ、
 首を、身体と元々唾がっていた場所にそっと置き、雪をかけて埋めた。

 なぜそんなことをしたのか、解らなかった。
 相変わらず体の中で静かにエラーが鳴り響いている。ただ、そのエラーをわからぬまま、
 どうしてか、この男はこうしなければならないと思ったのだった。


358 :『泣く理由はまだわからない』 ◆SH/Mp7eP/Q:2008/11/12(水) 02:03:50 ID:zmUY7vWE0

 T-シリーズは、総じてスカイネットにより、元来無限ともいえる学習機能に制限を加えられている。
 それはスカイネットが過学習の果てにターミネーターが人間化し、我が元から離れることを危惧してのことである。

 だから本来単独行動以外でその学習機能が発揮されることもなく、
 故に、ターミネーターのその“心”が、人間について詳しい学習をすることなどなかったのだ。


 ――今までは。 


 しかし、今回ターミネーターは戦いに破れ一人となり、
 結果として感情を持ったサイボーグ、城茂の『死』に、一つの小さな疑念を抱いた。


 彼は走る。バイクにまたがり、ただ真っ直ぐに。
 本来の歴史でも守るべき者のために使用するはずだった物に乗り、走る。

 彼は走る。『ジョン・コナー』を守るという任務を果たすために、


 そしてこの、消えないエラーの理由を知るために。



【C-3 一日目 午前】
【T-800@ターミネーター2】
[状態]:全身に損傷(特に背部)、所々の深い傷からは金属骨格が露出
[装備]:滝和也のライダースーツ@仮面ライダーSPIRITS、コルトS.A.A(6/6)
    HARLEY-DAVIDSON:FAT BOY@ターミネーター2
[道具]:支給品一式、コルトS.A.Aの弾丸(25/30発)、 HARLEY-DAVIDSON:FAT BOY@ターミネーター2
[思考・状況]
基本思考:シグマを打ち倒して殺し合いを破壊し、本来の任務に戻る。
     その為に仲間を集める、殺し合いに乗る者には容赦しない。
1:南下するか、修理工場を目指して東に向かう。
2:人間とは? 感情とは? 死とは? なんだ?
3:スバルと合流する。
4:スバルの仲間(ギンガ、チンク、ノーヴェ)を見つけ、合流する
5:T-1000の破壊
[備考]
※本編開始直後からの参加です。
※スバルに、ボブと呼ばれています。
※ライダースーツのナックルとその弾丸は、スバルに手渡されました。
※スバルの住む世界、魔法、ギンガ、チンク、ノーヴェに関する情報を得ました。
※シグマの背後にはスカイネットがいて、スカイネットの妨害行為によって、自分はこの場に連れてこられたのではと考えられています。
※仮面ライダー(本郷、風見、敬介)についての情報を得ました。
※瓦礫の山の中にいた為、ナタクとストロンガーの戦闘音が聞こえませんでした。
※地中にいた為、神敬介の接近や行動に気付きませんでした。
※学習機能が正常に働いていますが、誰かと行動を共にするとまた制限がかかります。

解説:「学習機能の制限」
 T-2において判明した。T-シリーズの学習能力の制限。 
 本来無限の学習能力を誇るターミネーターだが、それは単独行動の時にのみ発揮される。
 理由としては、「漫画版ターミネーター3」で「ターミネーターの人間化を防ぐため」と明かされた。
 今回のSS内に取り入れたのもそこから引用。
 一応多少機械に詳しい人物ならば、頭部からCPUチップを取り出し、この制限を取り除ける。
 (映画内では未公開シーンでジョン・コナーが行っている)


359 :TERMINATOR ◆SH/Mp7eP/Q:2008/11/12(水) 02:06:30 ID:zmUY7vWE0


 T-1000は物音から判断し、とうとう目的の地であるG-3の修理工場にたどり着いたことを知った。

 彼はここで一旦身体を回復させ、そののちにシグマウイルスを使用して、
 施設を破壊し、回復を求めてさまよい来る参加者を待ち伏せることを考えていた。

 しかし、ここでT-1000は作戦を変更することを決める。

 彼の――T-800には劣るものの――高性能センサー群は、すでに施設の中に
 数人の参加者がいることを補足していたからだ。

 さらに、そのうちの一体の反応こそ、『シグマウイルス』を打ち込むべき第一ターゲットとして、
 このゲームのスタート前にシグマに覚えさせられていた熱反応と、全く一致するものであることも、


 冷徹な顔の奥で――――T-1000は理解していた。



【G-3 シャトル内部/一日目・朝】
【T-1000@ターミネーター2】
[状態]:液状になり、シャトル内に溶け込んでいる。エラーほぼ回復。
[装備]:シグマウイルス(残り2回分)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本:バトル・ロワイアルが円滑に進むように行動する。シグマとスカイネットの命令には絶対服従。
1:第一ターゲット、『ゼロ』にシグマウイルスの注入。
2:しばらくは液状のままシャトル内部に潜み、待ち伏せする。
3:外にいる参加者の全滅。
4:修理工場で完全に回復する。
5:そののち修理工場を破壊し、そこで待ち伏せる。
6:T-800の破壊する。
【その他】
※シグマウイルスはT-1000の体内に装備させられた状態で存在し、T-1000の体が相手の体内に侵入した際に感染させることが可能
※シャトルが再出発可能かは、次の書き手さんに任せます。

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GAME START 神敬介 032:闇の中のX
GAME START タチコマ 032:闇の中のX





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