究極の虚無をもたらす者 ◆hqLsjDR84w



 しつこく鳴り響いていた黒電話のコール音は、七度目から先がなかった/諦めた/ブチギレた。
 ボイルドが冷却時間を認識してから十分経過、擬似重力の展開を試みる――不可能。冷却時間は未だ続いている。
 以降十分経過ごとに、擬似重力の展開を試みる――三度の失敗を経た末に成功。
 張り巡らされる強固な殻。周囲の瓦礫、その影響を受ける/あらぬ方向へ。
 擬似重力の展開を行ってみて不可能だと理解してから、再度ボイルドが展開を試みるまでの時間は十分/五回とも同じ。
 すなわち、展開を試みる限り冷却されないというワケではない。
 理解したボイルド、展開に成功した擬似重力を最大出力=逆ダブルタイフーン/ハカイダーショット/タチコマの最期の攻撃を受けた時と同程度に。
 四分を回った時点で加速度的に落ちていく出力、五分を前にして消失。
 最大出力での擬似重力継続展開=冷却時間を早める/命取り。あまりにも短時間、されどボイルドは無感動/ある程度は予想済み。
 ただ自身の中にリミットを正確に刻み込み、冷却時間の経過を待つ。

 四十分が経過、擬似重力の展開を試みる――やはり不可能。冷却時間は、未だ続いている。
 以降一分経過ごとに、擬似重力の展開を試みる――八度目にしてやっと成功。
 擬似重力の殻が、ボイルドを包み込む。
 冷却時間の長さ――四十七分から四十八分の間と、ボイルドは把握。
 ボイルドの認識――可能ならば秒単位まで細かく知っておきたいところだが、ここまで掴んでおけば十分。
 張り巡らされた擬似重力の殻を最硬の状態にする。
 その状態を一分間保ってから、擬似重力を解除。それを繰り返す。
 展開――解除、展開――解除、展開……――――――八セット終えたところで、ボイルドはその行為を打ち切る。
 最大出力のまま維持した場合の限界=四分と五分の間を越える時間、最大出力で殻を張り巡らしていたがリミットは訪れない。
 ボイルドの結論、擬似重力を使用して一定時間休息のペースを極力保つ。
 ボイルドの疑問、最大出力でない場合に可能な展開維持期間。
 これまでの戦闘を思い返す。
 仮面ライダーV3との戦闘――制限に気付き、展開と解除を繰り返していた=参考になりえない。
 ドラス、スバル、タチコマとの戦闘――常時展開していたが、最大出力を維持できるリミットよりも短時間=参考になりえない。
 タチコマとの戦闘――対V3の時と同じ=参考になりえない。
 この地に来てから半日足らず、その間の経験からボイルドはサンプルを捜し求め――そして、見つけ出す。
 自転車でサイクロン号を追跡していた時――常時、擬似重力を展開していた=絶好のサンプル。
 幾つものエリアを跨いだ追走劇を、ボイルドは思い返す。
 あれに費やした時間は、少なく見積もっても三十分を下回りはしないだろう。
 となれば、間隔を空けて飛来するナイフを反らし、自転車の体勢を持ち直す程度の擬似重力ならば、三十分以上は連続展開可能。
 展開と解除を繰り返していた場合は、いつリミットが訪れるのか――――展開する際の出力により変化すると考えられるため、見極め不可。
 とはいっても、ここまでかけられた制限を見極めることが出来た。これだけの情報があれば、ある程度は思い切った/引き際を心得た戦闘も可能となる。
 そう、ボイルドは判断する。

 ボイルドは、これからどうするかを考える。
 かつての最優先――十代後半の少女、十代前半の少女、多脚戦車の追跡。
 理由は、武器の回収。
 だが、それはもはや現在の最優先ではない。
 彼女等のチームは仲違いして、両者ともどこかへと消えた。
 残された痕跡を発見してからかなりの時間が経ってしまい、もはや居所の推測もできない/行方知らず。
 そうなれば、かつて痕跡を見つけたエリアE-1へと戻る意味もない。
 となってしまえば、ボイルドに特に行く当てなどありはしない。
 クロがいるという場所に向かってもいいが、結構な距離がある上にあんな辺鄙な所に長居するとも考えにくい。
 記憶に残してあるこの地のマップを思い浮かべて、ボイルドはその中から目的地を選考する。
 北か東――現在地が既にコロニーの端に近い/向かう意味がほぼ皆無/却下。
 こうなれば、残りは二方向である。つまるところ、南か西。
 西――どちらにせよマップの最北端ということに変わりはなく、軍事基地以外に目ぼしい施設はない上に、その軍事基地もかなりの遠方。
 いや、スクラップ工場もあるにはあるが、参加者が群がるところは少し想像できない。潜むにしても、雪原などという目立つ場所を選ぶとは思えない。
 となれば、南ということになる。
 修理工場――肉体を損傷した者が集う。自然公園――潜むのに最適。
 つまるところ、南下するのが最も賢いだろう。

 歩みを進めるボイルド、そのスピードは決して速くはない。
 しかし、確かに……そして力強く足を前後させていた。この壊し合いを虚無に返すために。

 ――――放送まで、あと数刻。



【G-2 路上/一日目 昼(放送寸前)】
【ディムズデイル・ボイルド@マルドゥックシリーズ】
[状態]:中程度の疲労、全身に中~小程度のダメージ、胸部に中程度の打撲
[装備]:デザートイーグル(5/7)@魔法先生ネギま! 、弾倉(7/7)×1+(0/7)×1 (弾頭に魔法による特殊加工が施されています)
    ハカイダーショット@人造人間キカイダー(11発消費)
[道具]:支給品一式、ネコミミとネコにゃん棒@究極超人あ~る
    ヴィルマの投げナイフ@からくりサーカス×2(チンクの支給品)
    ドラスの腕、PDA×2(ボイルド、タチコマ)
[思考・状況]
基本:ウフコックを取り戻す
1:南下。
2:ウフコックを濫用させないため、参加者をすべて殺す。
3:バロットと接触する。死んでいる場合は、死体を確認する。
4:ウフコックがいないか参加者の支給品を確認する。
5:充実した人生を与えてくれそうな参加者と戦う。
6:クロとミーのコンビに興味あり。

[備考]
※ウフコックがこの場のどこかにいると結論付けています。
※ドラスの腕を武器として使うことを検討中
※“擬似重力(フロート)”を最大出力で展開し続けると、ある時急激に出力が落ち出し、一定時間使用が出来なくなります。
※上記の制限を認識しました。
※ミーへの伝言を預かりました。「さっさと帰らないと剛が飢え死ぬぞ」です。
※制限に関してある程度把握しました。



時系列順で読む


投下順で読む



101:クロ電話――劇的皮肉 ボイルド 121:ヴェロ





| 新しいページ | 編集 | 差分 | 編集履歴 | ページ名変更 | アップロード | 検索 | ページ一覧 | タグ | RSS | ご利用ガイド | 管理者に問合せ |
@wiki - 無料レンタルウィキサービス | プライバシーポリシー