ターミネーター、手がかりあり ◆2Y1mqYSsQ.



 T-800は首と胴の分かれた城茂の死体から離れていく。このままこの場にいるのは、茂を殺した相手の格好の的だからだ。
 城茂の戦闘力は跳びぬけており、生きておればシグマやスカイネット、T-1000に対する戦力となりえた。
 有効な戦力が減ったことを自覚しながら、T-800は傍に放置されている大型バイクHARLEY-DAVIDSONのIDをPDAで読み込んだ。
 そのまま歩いて場を離れる。周りは一面雪景色。ここでバイクに乗るのは自殺行為だ。
 テントローのような超性能バイクを失ったのは痛手だ。雪でも問題なく走破できる。
 あるいは、バイクの運転技術が異常に優れているか。T-800には雪の中でバイクを乗りこなせる、仮面ライダーのような操作技術はない。
 時間はかかるが、歩いて移動するほか手のとりようがなかった。


 途中、基地によったのは放送を聞き逃さないためである。
 雪に足をとられたのは、重量ゆえ仕方のないことだ。放送までに剥き出しの金属部分を覆うため、人工皮膚を縫いつける。
 次に出会う人物に警戒されないためには、有効な手口だ。外見は整えて損はない。
 T-800は無表情に基地内部を見回す。かなり大きな規模の基地のようだ。
 内部の大型トラックも通ることが可能なほどの広さの通路を歩き、戦闘の痕跡を発見する。
 壁や床が衝撃でへこんでおり、爆発すらも想定している基地の内部に加えられた衝撃の大きさを推定する。
 並みの衝撃ではないだろう。頑丈が売りのT-800でも一際大きな衝撃を、三度耐え切れる可能性は低い。
 ナタクや城茂に実力で匹敵する参加者が、殺し合いに乗っている。重要な情報だ。
 ドラム缶のようなロボットの頭を発見するが、T-800はただ無言で腰を落ち着ける部屋を探した。


 情報処理専用室であるだろう。デスクトップ型パソコンの並ぶ部屋へと、T-800はたどり着く。
 ちょっとしたオフィスのような部屋で、T-800はただ黙々と作業を続けた。
 しばらくして、時計の針が並ぶ。PDAの液晶が光り、定時放送を開始する。
 禁止エリアは、前回選ばれたコロニーとは別のコロニーのエリアを指定していた。
 同じコロニーで禁止エリアを増やさないのは、壊しあいを円滑に進めるためだろう。
 壊しあいを効率に勧めるには、参加者同士の出会いを促す必要がある。禁止エリアの設定は、そのための物だ。
 だが、禁止されたエリアが多ければ多いほど、参加者はそこを迂回して進まねばならない。
 参加者の位置を把握しているだろうシグマは、効率よく参加者同士が殺しあうように禁止エリアを誘導しているはずだ。
 前回は発電所の一部と雪原コロニーの真ん中。そこに何人かが移動を考えず固まっていたとT-800は推測する。
 ならば、市街地コロニーか工業コロニーに今は人が集まっている。金属がむき出しになった身体は、僅かな時間でほころびを覆うのは無理だ。
 修理工場にて人工皮膚のパーツがあるか確認するのもいいだろう。
 そして、スバルたちの中で死亡者はタチコマ。僅かな時間とはいえ交戦したため、実力はある程度わかる。
 タチコマが死んだということは、戦闘力の保持者との激突があったのだろう。ドラスと名乗った少女がT-1000であったのなら、裏切りの発生の可能性が高くなるのだが。
 今現在、T-800の持っている判断材料は少ない。一旦、スバルたちの存在を保留する。
 城茂の語った『仮面ライダー』は全員無事だ。茂の言葉どおりだとすれば、全員が茂に匹敵する実力者。
 シグマに対抗できる戦力。合流するために移動する必要がある。T-800は次にどこに向かうのが効率的か、計算を始めた。


 T-800は修理工場へと向かうことに決めて、次にデスクトップ型のパソコンの電源をつけた。
 シグマがここに情報を残すということに期待するのは、愚かであろう。罠がないかの確認。
 T-800の認識はその程度であった。デスクトップに表示された二つのファイル。中身はテキストファイルにシャトルの説明が書かれていた。
 また、もう一つのファイルを開いて中身を確認する。音楽ファイルが一つ。
 T-800はそのファイルを凝視して、センサーでパソコンに異変がないか調べる。
 結果は白。あとはこのファイルを開き、中身を確認するだけ。中身はウィルスか、それとも何らかのメッセージか。
 T-800は淡々と音楽ファイルを起動させた。液晶モニターに感情の宿らない視線が向けられる。
 やがて、パソコンに付属されているスピーカーに大音量の音が流れた。

『ラブ♪ ラブ♪ ビッグバン♪♪』

 T-800の聴覚センサーに、甘ったるい女性の歌声が届いた。


 部屋を揺るがすほどの大音量がリピート再生する中、T-800は冷静にこの音楽ファイルの価値を計っていた。
 何らかの罠かと疑ったものの、部屋も基地内部も特に異変を感知しない。
 ならばこの音楽ファイルにいったい何の価値があるのか、考える必要がある。
(ラブ、ラブ、ビッグバン……ビッグバンを愛している……爆発を愛している?)
 くだらない言葉遊びだ。しかし、この殺し合いが何度も行なわれていると考えるならどうだろうか?
 短時間でこのコロニーを用意できるとは考えにくい。シグマが何らかの実験で、何回もの壊しあいを行なっていたと仮定する。
 冷静に考えると、この壊しあいが第一回だと考えるには疑わしいところはあった。
 この基地もそうだが、茂を介抱した小屋にも年季を刻んだような跡があった。築何年も立っている雰囲気が、T-800が遭遇した建物には感じられているのだ。
 壊しあい――仮にバトルロワイヤルと名づけるとする――は何度も開催されている。そう考えるのが自然だろう。
 そして、何回目かの参加者の中に体内の爆発物の消去が出来る方法を見つけたとする。
 あからさまなメッセージなど、シグマは残しては置かないだろう。ならば何らかのメッセージを歌詞としてこの音楽ファイルに残したとすれば、おかしくはない。
 おかしなメロディと歌詞はシグマをかく乱するためのカモフラージュだ。
 T-800は流れていく歌詞に意識を向けた。隠されたメッセージだと考えると、声色にどこか必死さが見て取れる気がした。
(確率としては10%未満だが……切り捨てるにしては惜しい数字か。
あなたのことが待ちきれない夜……つまり、夜において何らかのヒントか、爆発物を除去できる可能性があるということか?
ドキドキしているハート……人間でいう心臓部分。確かに爆発物は心臓部分に埋め込まれている。セインという娘は、心臓部近くが爆破した。
ガラスの心……爆発物はガラスに関連した材質か? いや、あまりにもそのまますぎる。
抱きしめられたら……何を、何が抱きしめる必要がある? お月様……ここはコロニーだ。何らかの暗喩と見るのが普通だな。
ジンジンダーリン……一番意味がわからない単語。つまり暗号と思わしきワードだ。このワードを解読できる参加者がいるか、確認を取るか。
……やはり情報が不足している。次の参加者へと接触を第一目標に変更。この歌詞を解読できるものを探す。
最終目的……シグマ及びT-1000の破壊。そして、本来の任務へと復帰。
そのために修理のついで、工業地帯コロニーへと移動)
 T-800は目的を定め、PDAへと『ラブラブビックバン』の音楽ファイルを移し始めた。
 全ての作業が終了したのを見届け、T-800は淡々とした動作で立ち上がり、力強く歩む。途中で見た死体も意に介さない。
 耳に流れた、不思議な音楽すらも。



【D-3 基地/一日目 日中】

【T-800@ターミネーター2】
[状態]:全身に損傷(特に背部)、所々の深い傷からは金属骨格が露出
[装備]:滝和也のライダースーツ@仮面ライダーSPIRITS、コルトS.A.A(6/6)
    HARLEY-DAVIDSON:FAT BOY@ターミネーター2
[道具]:PDA(T-800:ラブラブビッグバンの音楽ファイル入り)、コルトS.A.Aの弾丸(25/30発)
[思考・状況]
基本思考:シグマを打ち倒して殺し合いを破壊し、本来の任務に戻る。
     その為に仲間を集める、殺し合いに乗る者には容赦しない。
1:状況の把握。
2:修理工場を目指して東に向かう。
3:スバルと合流する。
4:スバルの仲間(ギンガ、チンク)を見つけ、合流する
5:T-1000の破壊
6:発見した音楽ファイルに秘められたメッセージを解読
[備考]
※本編開始直後からの参加です。
※スバルに、ボブと呼ばれています。
※スバルの住む世界、魔法、ギンガ、チンク、ノーヴェに関する情報を得ました。
※仮面ライダー(本郷、風見、敬介)についての情報を得ました。
※地中にいた為、神敬介の接近や行動に気付きませんでした。


【支給品?紹介】

【ラブラブビッグバン@パワプロクンポケットシリーズ】
パワポケ8の彼女候補の一人、星影ヒヨリが歌う歌。
いわゆる電波ソング。
詳しくは→http://www.nicovideo.jp/watch/sm2429457参照



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