高みからの声-Climax Jump ◆hqLsjDR84w
小さな電子音を鳴らし、PDAの画面がデジタル時計へと移り変わる。
三度目となる放送の開始時間を表示すると、またしてもPDAに異変。
その存在を主張するかのようにディスプレイを明滅させ、マイクから音声を流し始める。
三度目となる放送の開始時間を表示すると、またしてもPDAに異変。
その存在を主張するかのようにディスプレイを明滅させ、マイクから音声を流し始める。
『――インフォメーションメッセージ』
そして告げられるは、この六時間で破壊された参加者達の名。
それ等がどのような経緯で破壊に至ったのかは、関係がない。
意地を見せ付けて散ったのだろうと、醜態を晒した挙句に倒れたのだろうと、気付かぬうちに粉砕されていようと。
共通するのは、もう二度と動き出すことのない――――残骸(ジャンク)になってしまったということ。
生前の行動など関係なく、淡々と残骸となった順に告げていく。
黄金色に輝く勇気を秘めた勇者も、ただ命令に従っていただけの木偶も、扱いは同等。
それ等がどのような経緯で破壊に至ったのかは、関係がない。
意地を見せ付けて散ったのだろうと、醜態を晒した挙句に倒れたのだろうと、気付かぬうちに粉砕されていようと。
共通するのは、もう二度と動き出すことのない――――残骸(ジャンク)になってしまったということ。
生前の行動など関係なく、淡々と残骸となった順に告げていく。
黄金色に輝く勇気を秘めた勇者も、ただ命令に従っていただけの木偶も、扱いは同等。
『18:00時点における本プログラムからの脱落者をお知らせします。
No08 草薙素子
No10 クロ
No33 灰原
No14 獅子王凱
No26 T-1000
No27 ディムズデイル・ボイルド
No07 ギンガ・ナカジマ
No05 風見志郎
No09 グレイ・フォックス
No45 ラミア・ラヴレス
No03 アルレッキーノ
No10 クロ
No33 灰原
No14 獅子王凱
No26 T-1000
No27 ディムズデイル・ボイルド
No07 ギンガ・ナカジマ
No05 風見志郎
No09 グレイ・フォックス
No45 ラミア・ラヴレス
No03 アルレッキーノ
なお、進入禁止エリアは19:00をもってして【E-3】、【F-4】の2ブロックとなります』
PDAが最後に伝えたのは、新たに設置される危険区域。
時が経つにつれ、壊し合いの舞台はどんどんと狭くなっていく。
それを参加者に再確認させ、PDAは心の篭っていない声を流すのをやめた。
時が経つにつれ、壊し合いの舞台はどんどんと狭くなっていく。
それを参加者に再確認させ、PDAは心の篭っていない声を流すのをやめた。
■
放送のデータを送信し終えたシグマは、手前のディスプレイに目を向ける。
映し出されているのは、スカイネットからの注文。
参加者に知る手段はないが、今回の放送が告げた禁止エリアはスカイネットが定めたものであったのだ。
映し出されているのは、スカイネットからの注文。
参加者に知る手段はないが、今回の放送が告げた禁止エリアはスカイネットが定めたものであったのだ。
「分割ファイルの存在を、あの『マーダーチーム』に独占させるのが目的か」
毛が一切生えていない頭を手で押さえ、呟くシグマ。
くっくと静かに喉を鳴らし、強面の顔をさらに歪める。
くっくと静かに喉を鳴らし、強面の顔をさらに歪める。
「『バトル・ロワイアル』開始後、やっと口を出してきたと思えば……下らんな」
侮蔑するように吐き捨てるシグマ。
不快感を隠そうともせずに、スカイネットから届いたテキストファイルのウインドゥを閉じる。
そんなシグマの背後で、鷲を模したレプリロイド――イーグリードが口を挟む。
不快感を隠そうともせずに、スカイネットから届いたテキストファイルのウインドゥを閉じる。
そんなシグマの背後で、鷲を模したレプリロイド――イーグリードが口を挟む。
「開始前の時点で最多得票数参加者の一体でありながら、あまりにもあっさりと倒された彼等の刺客。
そのザマを見ていて、今になって危機感を持ったのではないでしょうか?」
「ふん、本命から大穴へと転がっていくのは滑稽でしかなかったな」
そのザマを見ていて、今になって危機感を持ったのではないでしょうか?」
「ふん、本命から大穴へと転がっていくのは滑稽でしかなかったな」
その言葉に返答はなく、暫しが経過する。
イーグリードの方を振り向かずに、シグマは重々しい声色を作る。
イーグリードの方を振り向かずに、シグマは重々しい声色を作る。
「イーグリード、私はお前に全てを話したな」
「……はい」
「ならば、『バトル・ロワイアル』続行に全力を注げ」
「はッ」
「……はい」
「ならば、『バトル・ロワイアル』続行に全力を注げ」
「はッ」
シグマに一礼して、イーグリードは部屋を出て行く。
扉はすぐに閉じてしまったが、ほんの少しだけの時間。
イーグリードが扉を開けた際に、無骨な金属がシグマの視界に入った。
その存在を確認して、シグマの口角が微かに吊り上がる。
大きな掌で口元を隠しながら、誰もいなくなった部屋でシグマは呟いた。
扉はすぐに閉じてしまったが、ほんの少しだけの時間。
イーグリードが扉を開けた際に、無骨な金属がシグマの視界に入った。
その存在を確認して、シグマの口角が微かに吊り上がる。
大きな掌で口元を隠しながら、誰もいなくなった部屋でシグマは呟いた。
「――――そろそろクライマックス、といったところか」