そして終焉【フィナーレ】へ…… 後編  ◆9DPBcJuJ5Q



 本郷は予想よりも早く、先行していたゼロとイーグリード、そしてミーと水色の髪の少女にしか見えない容貌の少年――ドラスと合流することが出来た。
 ソルティの容態を気遣い全力とは程遠い速さで走っていたのだが、彼らが合流して話し込んでいたのが幸いしたようだ。
 そこから始まった情報交換で真っ先に確かめたのは、ドラスが危険人物であるか否かということだった。
 この疑惑に対して、ドラスは「最初はそうだったが、今は違う」と先程ゼロが言ったのと同じ事を言い、その内容を詳しく話してくれた。
 聞かされたのは、彼が得た家族のこと。支えてくれた仲間たちのこと。
 途中、ドラスは感情が昂ぶり言葉が途絶えてしまうところもあったが、その時はゼロが言葉を挟み、間を繋いでくれた。
 その話の中で特に本郷が驚いたのは、ドラスが変わる切っ掛けを作った敬介と、ドラスが立ち直る切っ掛けを作った風見のことだった。
 風見志郎。絶望と恐怖に沈んでいたドラスを、荒療治で立ち直らせたという。その後はウフコックが話していた強敵・ボイルドを撃破し、そして火柱キックの超威力の勢いのまま要塞に突入し、シグマと対峙していたとは思いもしなかった。
 その風見が遺し、敬介が伝えたという希望の灯。それが嘘偽りの無いものであると信じられる。
 神敬介。まさか、自分とは異なる時間軸から連れてこられ――バダンによって洗脳された状態だったとは、思いもしなかった。
 その敬介を暗闇の呪縛から救ってくれたのが、ハカイダーとフランシーヌ――奇しくも、先程の激闘で命を落とした2人だったという。
 彼らに敬介を救ってくれた礼を言えなかったことが、今更ながら悔やまれる。
 そして、ほんの数時間前に彼らが死闘を繰り広げたエックスの話になると、武美とウフコック、ミーも顔を強張らせていた。
 エックスとの死闘により、チンクと敬介は死亡し、ナタクという男もドラスを救いエックスを倒す為に命を懸けたという。
「……エックスの最期は、どんなだったの?」
 武美が神妙な面持ちで問うと、ゼロは顔を俯けた。
 そして、数秒の沈黙の後、答えてくれた。
「…………救いようの無い、大バカ野郎だったよ」
 恐らくエックスは、親友にさえも容赦なく銃口を向けたのだろう。
 まるで血を吐くようなゼロの言葉に、武美もミーもウフコックも、それ以上は何も言わなかった。
 代わりに、本郷はソルティがエックスの仲間だったことを告げた。それを聞いたゼロは、自分からソルティにエックスのことを伝える役を引き受けてくれた。
 エックスの親友であり、エックスを討ち取った本人であり、エックスの最期を看取ったゼロ以外に、適任者はいないだろう。
 本郷はゼロの申し出を受け入れ、彼の心中を察して、せめて深々と頭を下げて礼を言った。
 そして、話が先程までのスバルとの戦いに及ぶと、ミーとイーグリードも口を挟み、ドラスの言い分を援護してきた。
 スバルが懐いていた敵対心の原因は、確かにドラスにあった。そして、スバルの姉であるギンガが、スバルの攻撃からドラスを庇って死んだことがそれに拍車をかけ、強迫観念にまでしていたのだ。
 しかし、その誤解も解け、彼らは分かり合えた……はず、だった。
「スバルが自殺しただと!?」
 寸毫も予想していなかった突然の訃報に、ウフコックが声を荒げる。それに対して、イーグリードは静かに頷くのみ。
 恐らくスバルは、姉を殺してしまった良心の呵責と絶望を、ドラスへの憤怒と憎悪で何とか抑え込んでいたのだろう。
 だが、ドラスとの和解により、今まで自分を支えていた憎悪と憤怒が消失し、絶望に耐えられなくなってしまった……。
 スバルの精神が、そこまで追い詰められていたとは……察してやれなかった自分が情けない。
 見ると、スバルの訃報に武美やウフコックだけでなく、ドラスやミーも沈んでいる。
 ……誰かの死を悲しめる者が、邪悪なものであるはずが無い。
 なにより、今まで彼が語った言葉の数々に込められた、多くの想い。それが分からないようでは、仮面ライダーは勤まらない。
「本郷。これで、話は全部だ。……お前は、ドラスをどう思う?」
 ゼロからの問い掛けに、全員の視線が本郷へと集中する。その中でもとりわけ、ゼロからの視線は厳しい。
 自分の一言が、ドラスの立場を左右することは本郷も十二分に理解している。武美もウフコックもミーも、本郷を強く信頼してくれている。だからこそ、本郷の判断に大きな影響を受けて考えるだろう。
 ここで本郷が信じられないと言ってしまえば、最悪、それだけでゼロとドラスとの対決が避けられなくなってしまいかねない。
 尤も、それは本郷が自分を戒める為にした仮定でしかありえないのだが。
 本郷はゼロの言葉に頷くと、ドラスへと歩み寄り、彼の両肩に手を置いた。
 それに反応して視線を上げたドラスの目を、本郷は真っ直ぐに見つめた。
 純粋で綺麗な、そして力強さを秘めた瞳。
 その瞳の輝きは、どこか、復讐を棄てて正義を選んだ男達に似ていた。
「ドラス、よく頑張ったな。そして、敬介のこと……俺からも礼を言わせてくれ」
「お、お礼って……?」
「敬介を許してくれて――敬介を、仮面ライダーXと認めてくれて、本当にありがとう」
 戸惑うドラスに、本郷はすぐさま答えを返した。
 敬介は暗闇に操られていたとはいえ、守るべき者達を、そして茂をも殺してしまった。その大き過ぎる罪に、仮面ライダーが決して犯してはいけなかった過ちに、敬介は打ちのめされていたはずだ。
 その敬介を、家族を奪われた悲しみと憎しみを越えて――ドラスとチンクは許した。
 もしもドラスとチンクに許されなかったら、敬介は最後まで仮面ライダーとしての誇りと信念を取り戻せなかっただろう。
 戦うことにしか活かせない、鋼の仮面と機械の身体。
 だが、だからこそ、戦いの中で得られた思い出や絆がある。仮面ライダーとしての誇りがある。
 敬介がそれらを取り戻せたことが、本郷には嬉しかった。
 だからこそ、それを成してくれたドラスに礼を言い、彼を認めたのだ。
「じゃ、じゃあ! 僕も……本郷さんと一緒に戦ってもいいですか!?」
 すると、緊張しながらも、どこか喜色が混ざった表情でドラスはそのようなことを問うて来た。
 正直、彼の今の身形からは高い戦闘能力を連想することは出来ないのだが……。
「ドラスの戦闘力はなかなかのものだぞ。それに、覚悟も決意も並じゃないさ。でなければ、ここにこうして立っていない」
 すると、本郷の心情を察してか、ゼロがそのようなことを言ってきた。
 そのように言われては、本郷も頷くしかない。
 それに、ドラスは風見と敬介、2人の後輩が導いた戦士なのだ。蔑ろにすることは、彼らに対しても失礼だろう。
「こちらこそ、よろしく頼む。ドラス」
 言うと同時に、ドラスの肩に置いていた手を離し、そのまま右手を差し出す。
「はい、本郷さん!」
 本郷が差し出した右手を、ドラスは嬉しそうに、そして誇らしげに握り返してくれた。
 ドラスとの握手を終えて、本郷は武美とウフコックとミーに振り返った。
 3人とも本郷の判断に異論は無いらしく、黙って頷いてくれた。
「自己紹介が遅れちゃったね。私は広川武美。こっちはソルティ。よろしくね、ドラスくん」
 そう言って、武美はドラスに歩み寄って握手をした。
 慎重で疑り深いところもある武美が、先程まで疑惑を懐いていた相手に積極的に接してくれることは、少し意外だった。
 復讐を乗り越えたというドラスに、思うところがあるのかもしれない。
「委任担当捜査官、ウフコック・ペンティーノだ。……これまでの誤解を詫びたい」
 武美の肩に乗ったウフコックは自己紹介に謝罪を重ねる。それに対してドラスは、それぐらいは当然の報いだと言ってくれた。
 強い子だ。ここまで強くなれたのは、風見やゼロの影響だろうか。
「僕はミーくん。見ての通りの猫のサイボーグさ!」
 ミーもまた、ドラスと握手を交わす。
「仮面ライダー1号、本郷猛だ」
 本郷も改めて、人間として、そして仮面ライダーとして名乗る。
「今更だが、そういえば碌に挨拶もしていなかったよな。俺はイレギュラーハンター第0機動部隊隊長、ゼロだ。厚かましいかもしれないが、よろしく頼む」
 暴走していたことをまだ引き摺っているのだろう。少しバツが悪そうに、ゼロも改めて名乗った。
 武美が即座に応じると、小声で礼を言っていた。
「僕はドラスです! みんな、よろしく!」
 元気の良いドラスの挨拶が辺りに響く。
 こうして見ると、外見は完全に少女だが……変えられる姿を変えようとしないのは、初めの思惑はどうあれ、この姿で積み重ねてきたものを大切に思えばこそだろう。
 そして、最後の1人が徐に口を開いた。
「俺は、元イレギュラーハンター第7空挺部隊隊長……そして、シグマ隊長の直属の部下、ストーム・イーグリードだ」
 イーグリードの言葉に、全員に緊張が走る。
 シグマの直属の部下であると明確に告げられれば、彼の人となりを知っていてもやはり警戒してしまう。
「話したいことは数多くある。だが、今は敵対勢力の情報把握こそ肝要だ」
 本郷達からの暗黙のプレッシャーにも動じず、イーグリードは口を開いた。
 ゼロは黙ったまま、視線だけでイーグリードに先を促した。それに頷き、イーグリードは話を進める。
「今残っている参加者は、ここにいるメンバーを除いて3人。その3人が全員、勝ち残りを目指す危険人物であり、屈指の戦闘能力を有している」
「え? ゼロさん、フランシーヌさんとハカイダーは?」
「そうだよ。他は3人だけじゃないんじゃないの?」
 『残り3人』というイーグリードの発言に、事情を知らないドラスとミーが疑問を口にする。
 ゼロはその問いに即答できず、苦虫を噛み潰したような表情になる。
「……そのことも含めて、まだ話し合うべきだな。イーグリード、続けてくれ」
 ゼロの心中を察してだろう、ウフコックがそのように言ってイーグリードに先を促した。
 頷き、イーグリードは話を再開した。
「メガトロン、コロンビーヌ、T-800。それが、残る危険人物の名だ」





 先ず、ゼロの暴走の現場に居合わせていなかったドラスとミーに、本郷とウフコックとゼロが事の顛末を伝えた。
 シグマウィルスによるゼロの暴走、フランシーヌとハカイダーの奮戦と彼らの死。
 2人のお陰で正気に戻れた、とゼロが告げると、ドラスは何かに納得したように、静かに頷いた。
 ミーはアルレッキーノが大切に想っていたフランシーヌと、一度は助けられたハカイダーの死を悼んだ。
 それを見届けると、イーグリードはすぐに残る3人の危険人物について伝えた。
 ここまで数少ない戦いだけで着実に生き残ってきた、智謀と実力、何より運を併せ持つ難敵――メガトロンとコロンビーヌの2人組み。
 本郷はコロンビーヌがフランシーヌを裏切ったという事実に強い衝撃を受けていたが、すぐに立ち直り、戦士の顔に戻った。
 厄介なのは、あの2人が所持している支給品の中にパワーアップアイテムがあることだ。やはり、彼らの悪運は相当なものだ。
 イーグリードは主催者側として把握していた2人の性格と戦力、ここに来てからの戦法を正確にゼロ達に伝えた。

 奇しくもこの時こそが、ドラゴンメガトロンがギギの腕輪とガガの腕輪を装着しグラーフアイゼンを振り被るコロンビーヌに必死の弁解をしている、その瞬間であった。

 そして、次に伝えたのがT-800のことだ。
 T-800の経歴は全参加者の中でも特殊であり、そのこともイーグリードは仔細に説明した。
「つまり、だ。T-800は人類掃討の為に作られたレプリロイドだが、人類側に捕まって服従プログラムを書き込まれ、人類側の戦力になった。
だが、シグマウィルスによってそのプログラムが破壊され、現在は元通り、人類掃討のために動いている……ということだな?」
 ゼロが話した内容を簡潔に纏めて、イーグリードに確認した。
 冷静な分析力と判断力は相変わらずだと考えながら、首肯する。
「そうだ。元々の設計思想がイレギュラーそのものだからこそ、シグマウィルスによる影響も服従プログラムの破壊のみに留まっているようだ」
 まさか、シグマ隊長をイレギュラーから正気に戻した機能が、一方では嘗てのイレギュラーを目覚めさせてしまうとは……皮肉、だな。
「……ボブは本当に、この殺し合いに乗っているのか?」
「獅子王凱を殺したのはヤツだ。無論、獅子王凱はシグマウィルスには感染していなかった」
「そう、か……」
 仲間と信じていた者の本性を聞かされ、本郷は悔しそうに呟いた。だが、それでも多少の疑念はあったのだろう。
 そうでなければ、出会ったばかりのイーグリードの言葉だけでT-800が敵だと認めることはなかったはずだ。
「さて。どうする、本郷。T-800への対処を優先するか? それとも、イーグリードから更に話しを聞くか」
 最初からT-800を敵だと判断していたゼロは躊躇うことなく、未だに沈黙している本郷にこれからの方針を問うた。
 どうやら、ゼロは本郷を試しているようだ。
「ふむ…………ウフコック、武美、ミー、ドラス。君達の意見は?」
 暫時思考すると、本郷はゼロ以外の仲間4人の意見を尋ねた。
 先程は率先して意見したが、こういう場面では全員の意見を尊重する。リーダーとして申し分ない判断能力だといえるだろう。
 仮面ライダーのリーダー格は、やはり伊達ではないということか。
「俺は、T-800への発言に対する信憑性を確かめるためにも、イーグリードから話を聞くことを優先すべきだと考える」
「私も賛成。嘘で私達を罠に嵌めようとしているのかも知れないし」
 ウフコックと武美は、戦場を共にした相手とは雖も、イーグリードへの警戒を緩めずにそのように言った。
 この判断は妥当であり適確だろう。同時に、イーグリードが信頼を得られていないことの証左でもあるのだが、致し方あるまい。
「僕も2人に賛成。……正直、ボブさんと戦うにしても、どうしても迷っちゃいそうだし」
「うん、僕もミーくんと同じだよ。……けど、もしもスバルお姉ちゃんのことが嘘だったら、容赦しないよ」
 ミーとドラスは、自分の気持ちに正直にそう言った。特に、ドラスの睨みには肝を冷やす。
 自分の感情に素直なところが、この2人の美点であると同時に欠点といったところか。
 しかし、その姿は……まるで、あの頃の――――。
「俺も皆に賛成だ。……それに、今の俺ではボブ――T-800を倒せるのか怪しい」
「安心しろ、本郷。ヤツは俺が殺してやる」
 珍しく弱気な発言をした本郷に、ゼロが言葉を重ねる。
 その表情に一切の迷いも疑いも無い。唯一ゼロだけが、イーグリードに全幅の信頼を寄せてくれている。
 そのことに感謝しつつ、イーグリードはゆっくりと口を動かした。
「分かった。それでは、君達に伝えよう。この殺し合い……バトルロワイアルの真実を。そして、シグマ隊長の真意を」
 伝えるべきことはあまりにも多く……そして、重い。




 静寂とは違った、沈黙。
 イーグリードから伝えられた『真実』。それによって、この雪原の空気が更に下がり、肌に感じるほど重くなった――そんな錯覚を、武美は感じていた。
 それは恐らく他のみんなもほぼ同様なのだろう……が、生憎と、今の武美にそんなことを気に懸けられる余裕は無い。
 真実を告げられた直後は、そのあまりにも突拍子の無い内容に理解が追いつかず、混乱してしまった。
 その間にも、本郷やゼロ、ウフコックはイーグリードと話を続けて――やがて聞いているだけだった武美やミーやドラスにも、イーグリードが伝えた言葉が、本当に“真実”なのだと理解できた。
 本郷達の話についていこうとしてオーバーヒート寸前だった頭を、深呼吸して冷たい空気を取り込むことで強制的に冷却した――が、すぐに別の理由で、頭がカッとなった。
 そして、その湧き上がった熱を内に留めることなどできず、口から外へと思い切りぶちまけた。
「ふっ――――っざけないでよ!!」
 武美の叫びが、周囲の静謐とした空気を震わせる。
 そして、それに呼応するようにして、他の皆も口を開いた。
「この殺し合いが、平和によって堕落した人間によって仕組まれた――茶番、だったというのか……!」
「酷過ぎるよ、こんなの……こんなのって、無いよ……!」
「くそっ、胸糞悪ぃ……!」
 イーグリードが告げた真実とは、この殺し合い――バトルロワイアルの実態だった。
 嘗て、シグマが風見志郎に告げたのと同様の内容を、イーグリードは話したのだ。
 曰く、日常から非日常に放り込まれた者が変わり果てていく過程を眺めるのが好きだ。
 曰く、単純に殺し合いを観るのが、股座がいきり立つほど好きだ。
 曰く、善良な者が邪悪な者に堕ちていく姿が好きだ。
 曰く、高潔な信念や理想が、クソみたいな現実に蹂躙されて砕け散る瞬間が好きだ。
 ――そんな、邪でどうしようもなく下らない欲求や趣味を持った暇人達が、持て余していた暇を埋めるために用意した『娯楽』。
 それが、この殺し合いの正体だったのだ。
 はっきり言って、反吐が出る。
 世界征服やら企業利益のためやら、そんな野望の為だった方が億倍マシだった。
 なんの野心も理念も持ち合わせない暇人達を、ただ満足させる為だけに、自分達はゲームの駒のような役割を強制され、つい先程まで掌の上で踊らされていた。
 ……ああ、本当に、反吐が出る。
 エックスに懐いた憎悪と憤怒をも上回る激情が、武美の内に沸々と、際限無く湧き上がっていた。
「奴らは、長らくロボットの軍団と戦争状態にあった。その歴史が、俺達のような存在に対する差別と偏見を生み出したらしいな」
 イーグリードもまた、自分で言っていて胸糞悪くなっているのだろう。このバトルロワイアルを開いた人間たちの事情を、吐き棄てるように言った。
 しかしそんな程度で、今の武美は溜飲を下げることなど出来ない。
「クロちゃんも、草薙さんも、みんな、精一杯生きてた! 本郷さんも、ソルティも、ミーくんも、ウフコックも……ゼロさんやドラスくん、それに私だって、頑張って生きようとしている!! そんな私達の命を見世物にして、自分達の暇潰しにするなんて……絶対に許さない!!」
 心の内に湧き上がった激情を、言葉として吐き出す。
 その鬼気迫る形相と口吻の激しさに、ウフコックやイーグリードでさえも驚いていた。
 だが、こんな程度では納まりが付かない。納まるはずがない。
 怒りは雪原の冷たい外気でさえも埒外のものとして、身体を、頭を赤熱させ、呼吸を乱し、肩を、腕を、握った拳を小刻みに間断なく震えさせる。
 そして、武美の表情もまた、醜く歪んだものになっていた。

 ――武美本人も、ゼロ達も知る由も無いが、その表情は……
 ……ロックマンの亡骸の前で慟哭した、エックスの表情に酷似していた――

「武美さん、落ち着いて」
 すると、突然声を掛けられた。
 声の主は、見せしめに殺された少女と瓜二つの容姿の少年――ドラスだ。
 ドラスは武美とは打って変わって、憤るでも恨み言を言うでもなく、ただ武美のことを心配そうに見ていた。
 その態度が、何だか今の武美には癪に障ってしまう。
「ドラスくん……。あなたは、憎くないの? 私達を道具か玩具みたいに扱ったヤツラが……!」
 上から威圧するような、暗に同意を強制するような物言い。
 平素とは違う武美の様子に、ウフコックも何も言わずとも心配そうに鼻を動かしている。
 ドラスは武美の言葉を聞くと、悲しみに顔を顰めて、数秒の間を置いてから答えた。
「僕だって、あいつらは許せないよ。……それでも、憎しみに身を任せちゃいけないんだって、そう思う」
 その言葉は、如何なるものに裏付けられたものなのか。
 単なる強がりでも、口先だけの言葉でもないことは、ドラスの目を見れば分かる。
 その華奢な容姿には似合わない、強い意志を感じさせる瞳。
 ドラスは家族を奪われた憎しみを越えて、その下手人である男――神敬介を許した。たとえ彼が洗脳されていたとしても、彼が殺したという事実に変わりないのに。
 もしも武美がドラスの立場で、敬介ではなくエックスに許しを請われても、決して許さなかっただろう。
 それどころか、無抵抗なのをいいことに、存分にクロと草薙の仇討ちを――復讐を遂げていたことだろう。
 そんな武美を、ドラスが諭す。
 憎しみよりも、もっと大切なものを見るべきなのだと。

「武美、そこにいろ。いいもん見せてやる」

 そこで唐突に、あの言葉が聞こえてきた。あの時の光景を思い出した。
 クロがあの時に言った言葉と、ボロボロの体でニヤリと不敵に浮かべた笑みを。
 あの時クロが見せてくれたものは、破壊のプリンスと呼ばれたクロの生き様と戦う姿。
 クロはあの時、どうして戦っていた? どうして、死に掛けの身体で、他人の――武美の為に命を懸けてくれたのだ?
 その理由を、今はまだ理解できない。だけど、これだけは分かる。
 あの時クロは、憎しみで戦っていなかった。
 そうでなければ、あんな風に笑えるはずが無い。
「ドラスの言うとおりだ。武美、憎しみに翻弄さてはいけない。そして、怒るなとまでは言わないが、怒り過ぎるな。過ぎたるは及ばざるが如し、と言うだろう?」
「過剰な怒りは判断を誤らせ、足りない怒りは決断を鈍らせる。そういうことだ」
 本郷とウフコックもまた、武美を穏やかに、そして優しく諭した。
 その言葉も、今なら武美の耳に届き、心に響いた。
「そう……だね。ありがとう、本郷さん、ウフコック、ドラスくん」
 武美は素直にお礼を言った。この時、照れくさそうにドラスが笑ったのが印象的だった
 今までこういうリアクションをする仲間が、ネコのミーやクロしかいなかったからだろう。
「……それで、シグマは何か手を打ったのか? イーグリード」
 武美が落ち着きを取り戻したのを見計らって、ゼロがイーグリードにそのようなことを問うた。
 これは重要な質問だ。武美も返答を聞き逃すわけにはいかないと、視線をイーグリードへと向けた。
 その途中に目に入った、何故かバツが悪そうにしているミーの姿が、武美には不思議だった。
「シグマ隊長は既にスカイネットをシグマウィルスに感染させ、ロボットによる反乱を再び起こした。もう、奴らに並行世界が脅かされることも……このような殺し合いが起こるようなことも、ない」
 その言葉に、イーグリード以外の全員が驚きを露にした。
 まさか、シグマがそこまで大胆な手を打っているとは考えてもみなかったのだ。
 しかし、その中で唯一、本郷だけが驚愕の中に悔恨と悲哀を覗かせていた。
 どうしてそんな表情をするのか気になったが、何となく安易に触れてはいけないことだと思えて、この場は流すことにした。
 それから暫く、ゼロとイーグリードを中心にシグマについて話し合われた。
「……まさか、シグマが正気に戻っていたとは、な」
 イーグリードとの問答を終えると、ゼロはそう言って深く溜息を吐いた。
 確かに、絶対的な敵だと思っていた相手が実は善人であり味方とも言える存在だったというのは、武美としても意外であり驚きだった。
 この殺し合いの真実のショックが大き過ぎて、そちらのことをすっかり忘れてしまっていた。
「シグマは全ての業を背負って……俺達に倒されることによって、最後の清算をするつもりか」
 鋭い目付きで、本郷はそのようなことを言った。
 最初、武美にはその意味が分からなかったが、やがて理解できた。
 主催者達の片棒を担いできたことと、この殺し合いの運営を実行していたこと。
 シグマがイーグリードの言う通り本郷のような善人であったなら、その葛藤や良心の呵責は凄まじいものだったろう。……自殺してしまったという、スバルのように。
 だから、シグマがこの殺し合いの最後の罪を背負って死に場所を求めるのも、ある意味当然のことなのだろう。
「そうだ。……ここからは、俺の身勝手な頼みでしかない。どうか、聞いて欲しい」
 頷くと、イーグリードは神妙な面持ちで全員の顔を見回して――突然、頭を下げた。
「頼む! どうか……シグマ隊長を救ってくれ! バトルロワイアルを生き抜いたお前達以外に、シグマ隊長を救える者はいないんだ!」
 聞けば、元々シグマはイーグリードとゼロ、そしてエックスの上官であり、彼らに『牙無き者の剣となれ』と教えを説いた高潔漢だったという。
 敬愛する隊長が、イレギュラー化と言う不治の病を奇跡的に克服して戻って来たというのに、絶望と罪の意識に囚われたまま死んで逝くのはあんまりだと、イーグリードは血を吐くように叫んだ。
 数分間、場を静寂が支配する。
 そして、武美達の視線が瞑目して黙考しているゼロと本郷に集まると、2人はほぼ同時に目を開いた。
「救えるかどうかは別として、シグマとは決着を付けるさ。本郷、お前はどうする?……いや、その前に。お前は、戦えるのか?」
 あやふやな希望は口にしない、容赦の無い戦士の決意の言葉。だが、完全否定をしていないことから、ゼロにも思うところがあるのだろう。
 だが、後半の部分の言葉の意味が、武美にはさっぱり分からなかった。
「何言ってるんだよ、ゼロさん。本郷さんの強さはよく知ってるでしょ?」
 ミーの反論にも、ゼロはすぐに首を横に振る。
「そういう意味じゃない。仮面ライダーは人類の自由と平和を信じて戦う正義の戦士だと、風見は言っていた。……仮面ライダー1号、本郷猛。お前は、今でもその正義の為に戦えるのか?」
 その言葉を聞いて、武美は自分の迂闊さを思い知らされた。
 本郷はいつも口にしていたではないか。ゼロが語った言葉、そのままの正義を。
 未来の人類の醜い悪意によって起こされた、このバトルロワイアルという悪辣で醜悪な殺し合い。
 人類の為に戦うと誓った本郷の正義が、打ち砕かれてもおかしくは無いのだ。
 武美はミーと共に、心配そうに本郷を見る。だが、ドラスとウフコックはそんな2人に「大丈夫だ」と声を掛けた。
 それが聞こえたのか、本郷は力強く頷いて、答えを口にした。
「ああ、戦える。詭弁かも知れないが、この殺し合いを開いた“未来の人類”と、俺達が信じている“人類の未来”は、きっと違うものだ」
 本郷の揺るぎの無い力強い言葉。
 その声にも横顔にも、寸毫の迷いも躊躇いも無い。
 本人は詭弁かもしれないと言っていたが、武美はそうは思わなかった。
 寧ろ、それでこそ仮面ライダー、本郷猛だと拍手喝采を贈りたかった。
「……懐かしい未来、か」
 すると、ゼロは本郷の答えに満足してか、小さく笑みを浮かべながらそんなことを言った。
「懐かしい未来?」
 文法的に支離滅裂な言葉だが、不思議と綺麗で温かい響きの言葉だと、武美にはそんな風に感じられた。
「誰でも一度は夢見るものだろう? 本当の平和、ってやつをな」
 ゼロはそう言いながら、どこか遠くを見つめていた。




「イーグリード。君の他に、シグマ側の戦力はいないのか?」
 話も纏まったところで、本郷はイーグリードにそのようなことを問い質した。
 未だに敵対勢力が健在である現状、味方となりうる戦力の把握は重要だろう。それに、あの要塞にいるのが3人だけということもあるまい。
「実は、俺の他にも7人、各世界から集められた精鋭がいたんだが……」
「が?」
 先程までとは違って歯切れの悪いイーグリードの話し方に、首を傾げながらドラスが言葉尻を取って先を促した。
 それを見て溜息をついてから、イーグリードは重い口を動かした。
「V3の火柱キックで、既に目覚めていた俺以外の全員が重傷を負ってしまったんだ。少なくとも5人はライト博士でも修理できないほどの深手を負い、やむを得ず自分達の世界に帰還した。後の2人も、もしかしたら戻っているかも知れんな……」
 その言葉に、全員が瞠目した。風見の先輩である本郷でさえも、だ。
 コロニーを突き破って要塞に突入しただけでも途轍もない偉業だと言うのに、まさかそれほどのことを成し遂げていようとは。
 威力が制限された状態でそれほどの威力だったのならば、制限が無かったのならどうなっていたのだろうか。
 ……もしかしたら、あの要塞は宇宙の塵になっていたかもしれない。
 本郷は本気で、そんなことを考えていた。
 それも偏に、V3の改造手術を施した本人であることと、風見志郎の高い実力を知るが故の冷静な判断に基づくものなのだから末恐ろしい。
「凄いや、風見さん……!」
 ドラスは驚き半分、憧れ半分で赤い仮面の男の名を呼んだ。
 それを聞いたミーと武美も、確かに凄い、と頷いている。
「元の世界に戻る装置が要塞内にあるのか?」
 仮面ライダーV3の意外な功績はともかくとして、ウフコックはイーグリードの言葉の中にあった重要な単語を聞き逃さず、それをすかさず確かめた。
 イーグリードもすぐに、それに頷いた。
「ああ。シグマ隊長の待つ玉座の間――お前達が最初に集められた場所に隠されている」
 それはつまり、シグマを無視して帰還することは決してできない、ということだ。
 改めて、全員がシグマとの決着を覚悟する。
「さて。本郷、どうする? 勝ち残りを狙っている連中とシグマ……どちらと先に決着をつける?」
 もうイーグリードから聞く事はないと、ゼロは本郷に今後の方針を問うた。
 迷わず真っ先に本命を攻めるか、後顧の憂いを先に絶つか。
「……シグマと決着をつけよう。イーグリード、要塞へ案内してくれ。ソルティの容態も気懸かりだしな」
 本郷は、シグマとの決着を優先した。それには誰も異論を挟まない。
 この決断は、仲間と信じていたT-800との対決を先延ばしにしたものではない。
 バトルロワイアルの打破のために陰ながら戦っていた、同志とも言える存在であるシグマを一刻も早く救いたいという、本郷の愚直のまでの正義感によるものだった。
「分かった。最寄りのシャトル基地に行くぞ。そこにも要塞への転送装置がある」
 イーグリードの言葉に頷き、全員がシャトル基地に移動すべく準備を始めた。
 この時、ドラスが体内に爆弾があっては要塞には行けないのではないかと疑問を口にした。しかし、イーグリードは問題無いと即答した。
 参加者の体内に仕掛けられた爆弾は禁止エリアに接触しなければ爆発せず、除去も容易。また、ドラスならばコロニーから出て制限さえ無くなれば自力で体外に排出できるだろう、とのことだった。
 出発の準備をする中、ドラスはスバルの亡骸を確かめられないことを悔いたが、今はそんな場合ではないと、後ろ髪を引かれる想いを必死に振り払った。




 全員が着々と移動の準備を進めている中、1人だけ離れた場所にいるミーに気付き、ウフコックは武美と本郷に断りを入れてからミーの下へと向かった。
 本郷は現在、イーグリードとゼロと最後の打ち合わせ中。武美もドラスと会話しながら、未だ意識の戻らないソルティを看ている。また、ドラスもイーグリードから受け取ったサブタンクというアイテムによって傷を治している最中だ。
 ならばこの状況で彼と接触するのは自分こそが適任だと、ウフコックは判断した。
「ミー、どうした? 浮かない顔をしているようだが」
 離れた場所に座り込んでいるミーの足元に近付き、話しかける。
 しかし、この顔の造りでどうしてこんなにもミーは感情表現が豊かなのだろうか。彼を改造したという剛博士の技術力は驚くべきものだ。
「ウフコック。どうしたんだよ、君の方からボクに絡んでくるなんて珍しいじゃないか」
「ああ。お前から、僅かながら孤独を感じたのでな」
 ミーの声にはやはり元気や覇気というものが、今までに比べて少ないように感じられた。
 加えて、出会ったばかりの頃のバロットを髣髴とさせるような、孤独と、僅かながらの虚無。ここに絶望感が無いのは、この状況で幸いだ。
「……御自慢の鼻かい?」
「いや。経験による推察だ」
 何も嗅覚とターンだけがウフコックの全てではない。経験し、思考し、時には直感することだってある。
 ミーもその言葉に納得してくれたようで、すぐに元気の無い理由を話してくれた。
「そっか。……実はさ、この殺し合い、バトルロワイアルだっけ? それの真実って言うか、理由を聞いてもさ、あんまりショックじゃなかったんだよ」
「なに?」
 ウフコックはミーの言葉が信じられず、思わず聞き返してしまった。
 あのような下劣な動機を聞かされて、さほどのショックを受けなかったというのは、どういうことなのだろうか。ウフコックでさえも聞いた直後は激情で思考が埋め尽くされたというのに。
 だが、それならば、ミーの感じているであろう孤独も理解できる。
「ボクは元々野良猫で、ボクを改造してくれた剛くんも変人扱いされていた。だからってわけでもないけど、人間の嫌な部分はよく知っているんだよ」
 どうやら、ミーはその『原因』を語ろうとしているようだ。
 或いは、情報を共有することで孤独や罪悪感が和らげるのではないかと考えているのだろうか。
 それならば望むところだ。ウフコックという個人が独力で誰かの力になれるのなら、それも悪くない。
「剛くんが川原に家を作って勝手に住み着いて、捨てられていた子猫を拾っては面倒を見ていた時期があったんだ。そしたら近くに住んでいる連中はさ、迷惑だからどっか行けって、毎日毎日言い寄ってきた。……ボクらに、行く当てなんか無いのにさ」
 恐らくは、所謂ホームレスのような暮らしだったのだろう。
 それにしても、ミーのようなサイボーグを作る技術を持った科学者の有用性を認めずに変人扱いするとは。武美の件といい、別世界の事情には良くも悪くも驚かされてばかりだ。
「で、ある日、剛くんと用事から帰ってきたら……家が燃やされてた。『我々は再三警告したのだ』……ってさ」
「それは」
 相手は行く当ても無く、その場に留まる事しか出来ない弱者。それに対する嫌がらせならば、分からなくも無い。
 だが、焼き討ちとはどういうことだ。あまりにも苛烈で、あまりにも過剰な仕打ちではないか。
 ミーの善良な人となりを知ればこそ、その人間たちの行動がウフコックには信じられなかった。
「剛くんは家に残っていた子猫達を助ける為に火の中に飛び込んで、ボクもそれに続いた。……あの時、それを見ていた人間たちの目が、忘れられないんだよ。…………あの、ゴミか何かを見るような目が、さ」
 人を人として扱わず、生命を生命として見ず、ただ、己の衝動と欲望のままに行動するその姿は――今回の殺し合いを開いた連中と、根源の部分が同一ではないだろうか。
 ウフコックはここで、ミーの言わんとしていることを察することが出来た。
 つまりミーは、とっくの昔に人間を見限っていたのだ。
「人間って言うのは、利己的で傲慢で残酷で、自分達の為なら自分達以外のものをどうしようと、どうなろうと感心を持たない最悪な生き物だって、その時思ったんだ。
勿論、剛くんやクロんトコのじーさんとばーさん、本郷さんや武美みたいな一部の例外を除いてね」
 あまりにも饒舌な言語と人間的な思考と感情に忘れがちだったが、ミーは猫。人間でも、人間を模して造られたロボットでもないのだ。
 人間に対する見方、人間から受けた仕打ち、人間からの見られ方。それらに人間である、若しくは人間的である本郷達と大きな違いが生じるのは、当然のことだったのだ。
「だから、かな……。ボク、『暇人達が娯楽の為に殺し合わせてた』って言われても、『ああ、そんなもんなのか』って、あっさり納得できたんだよ。……なんだかそのことがさ、みんなにすっっっごく申し訳なくてさ~」
 それでも。人間を絶望や諦観とも違った感情によって見限っておきながら、個人を個人として見られるのは、ミーの美徳か。 或いは、剛博士を始めとした、様々なモノ達との交流で培った絆【ボンド】によるものか。
 なんにせよ、ミーらしい悩みであったと、ウフコックは安心した。
 感じられた微かな虚無も、恐らくは過去の残滓。 ウフコックが気に懸けずとも、ミーならば自力で解決できるだろう。
「感性は人であれ猫であれ、それぞれのものだろう。そのことで、お前が罪悪感や孤独感から孤立してしまうような必要性は無い」
「そう、かな」
「少なくとも、俺はそう思う」
 弱々しく聞き返してきたミーに、ウフコックは即座に頷く。
「……ありがとう、ウフコック。ちょっと、元気が出てきたよ」
 先程までの浮かない顔が、今では引き締められたものになっていると分かる。
 ……まったく。猫という全く別の生物とのコミュニケーションを確立し、人間的感情表現まで実現させた剛博士の技術力には驚くばかりだ。
「そうだ! ドラスにも言ったじゃないか、ボクらに落ち込んでる暇はないって! よぉし、頑張っていくぞー!!」
 そう自分自身に言い聞かせ、ミーはいつもの調子を取り戻した。
 やはり、ミーには明るいムードメーカーの姿が似合う。
 私見ではあるが、これで内憂は払われた。
 本郷も、ゼロも、ドラスも、ミーも、武美も、そしてウフコックも、己の内にあった憂いを互いに支え合うことで打ち払った。
 これで、残る問題は外患のみ。
 シグマとの決着、和解は不可能と考えられる3人の危険人物、そして未知のイレギュラー要素。
 この殺し合いの終わりがどうなるかは分からない。
 だが、終幕【フィナーレ】に近付いているのは確かだろう。




 ミーとウフコックの話が終わると、早速、移動を開始することになった。
 本郷はゼロから渡された己が愛車にして半身とも言えるサイクロン号に跨り、後ろには武美とウフコックを乗せる。
 ゼロはサイクロン号と交換に受け取った、ハカイダーの愛車である白いカラスに単身跨る。
 ドラスはミーと共に、仮面ライダーストロンガーのパートナーであったという電波人間タックルの愛車に、格別の因縁と感慨を感じつつ足をかける。
 イーグリードは未だ気絶しているソルティを、壊れ物を扱うように丁寧に抱きかかえている。
「行こう」
 本郷からの号令に応じて、彼らは“終わり”へと向けて一斉に走り出した。




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152:そして終焉【フィナーレ】へ…… ゼロ 152:そして終焉【フィナーレ】へ…… 状態表
152:そして終焉【フィナーレ】へ…… 本郷猛 152:そして終焉【フィナーレ】へ…… 状態表
152:そして終焉【フィナーレ】へ…… 広川武美 152:そして終焉【フィナーレ】へ…… 状態表
152:そして終焉【フィナーレ】へ…… ソルティ・レヴァント 152:そして終焉【フィナーレ】へ…… 状態表
152:そして終焉【フィナーレ】へ…… イーグリード 152:そして終焉【フィナーレ】へ…… 状態表
152:そして終焉【フィナーレ】へ…… ドラス 152:そして終焉【フィナーレ】へ…… 状態表
152:そして終焉【フィナーレ】へ…… ミー 152:そして終焉【フィナーレ】へ…… 状態表
152:そして終焉【フィナーレ】へ…… トーマス・ライト 152:そして終焉【フィナーレ】へ…… 状態表





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