『』(2) ◆2Y1mqYSsQ.




 炎が踊り狂い、ゼロへと迫る。普段ならこの程度の火球など楽に避けれるはずなのに、怪我した身体ではそれも叶わない。
 ゼロはΣブレードで火弾を真っ二つに切り裂き、メガトロンの巨躯へと突進した。
 壁に炎が届き、赤く熱したのと同時にメガトロンとゼロが刃を交差させて離れる。
 メガトロンは竜の牙を、ゼロはΣブレードをそれぞれ相手へと向けながら睨んだ。
「ハッ! 随分動けるじゃねーか」
「お前に負けるわけにはいかないからな!」
「いい子ちゃんぶりやがってよ!」
 メガトロンは竜の頭を模した右手から冷凍光線を吐き出し、避けるゼロへとしつこく放ち続ける。
 オイルが漏れているゼロを動かして、体力を消耗させるつもりなのだろう。
 そうはいかない。
 ゼロは神速の速度で地面を蹴りだし、メガトロンへ迫る。メガトロンが炎を吐き出すが、斬って道を開いた。
「しゃらくせえ!」
 メガトロンが炎を何度も噴出すが、ゼロはただ突進するのみ。斬って払うこともやめ、身体を炎が焼くが構わず進む。
 どうせ終わるこの命。いつ失っても怖くない。
 だからメガトロンは、メガトロンたちだけはこの世に残してやらない。
 炎を潜り抜け、メガトロンの懐にゼロはたどり着く。メガトロンが驚愕の表情を浮かべている。
 いい気味だ、と平時のゼロなら思っただろう。そんな余裕はすでに失っている。
 集中しきったゼロはただ本能に従って左手を閃かせ、メガトロンの胸部を逆袈裟に切り裂いた。
「チッ!」
「あ、あぶねえ……」
 悔やみの呻きはゼロの口から漏れる。メガトロンは切り裂かれた装甲を撫でながら、ゼロと距離をとった。
 後一歩踏み込んでいれば両断していたものを、とゼロは痛む傷を抑えながら歯噛みする。
「たくっ、とっととお前さん潰してシュワちゃんに助けに入るか、皆殺しにしてやろうと思ったのによ」
「随分余裕だな。俺の仲間が今頃、コロニー落しの阻止を計画しているさ。思う存分、戦ってやる!」
 ゼロはΣブレードを正眼に構えて宣言する。
 その様子を見ていたメガトロンは表情を引き締めた。
 なのに、一瞬でメガトロンの表情は崩壊、噴出して笑いをこらえている。
 なにがおかしいのかとゼロが問うが、メガトロンの笑い声は大きくなるだけだ。
「クーックックック……アハハハハハッッ!! 駄目だ、我慢できねー!!」
「キサマ……」
「ゼロ、キサマは俺様がのんびりと相手しているのに、疑問を抱かないのかなー?」
 ゼロのハッとなり、自分が迂闊だったことに気づいた。
 メガトロンはゼロが理解するのを待っていたのだろう。誇示するようにゆっくりと喋りかけてきた。


 武美は制御プログラムを漁って内容を把握していく。バーニア噴射の制御プログラムはそう難しい内容ではない。
 どこの噴射をやめさせれば軌道を変えれるかの計算も実行させて手に入れる。
 あとは武美が動かすだけだ。
 中空に浮かぶパネルに武美は触れ、軌道変更を命令する。すると、警告音が空間に響いた。
「武美、これは……」
「!? ウフコック、危ない! 先に帰って」
 武美は異変に気づいて、ウフコックを強制ログアウトさせる。
 ウフコックも勘付いたのか、武美へと手を伸ばした。
「駄目だ、武美。君も一緒に……」
 うだうだいうウフコックを強制退去した瞬間、武美の電子空間でのイメージ体が黒いなにかに浸食された。
 ここ、電子世界での武美の身体やウフコックの身体はデータで表せたものである。
 その分、ここでの負傷や死は現実世界の脳へ影響を与える。
 風来坊がワクチンソフトなどに触れたとき、消えてしまうと警告したのは武美だ。
 その武美がウィルスソフトに侵され、存在を消されそうになっている。
「しまった……罠…………か……」
 通りでメガトロンは自分の存在を知りながら焦っていなかったわけだ。
 電子空間に慣れ、警戒していた武美が気づかないほど隠密性のあるウィルスを持っていたのだ。放置するはずである。
 武美は死の恐怖が間近に迫る。風来坊の名を呟き、武美の意識は遮断した。


「ここのコンピューターは、取り出したシャトルのコンピューターの拡大版ともいえるべき構造でね。
俺様はこういう電子機器をいじるのは得意なんだ。つまり…………」
「罠を仕掛けたのか! メガトロン!!」
 ゼロは怒りに任せてΣブレードを縦に振る。ゼロは数合メガトロンの牙と切り結び、攻め落とせない事実に焦りを覚えた。
 メガトロンは変わらず、煽ってくる。ゼロの奥歯がギリッと鳴った。
「今頃は俺様のウィルスが発動するころだろうな。ハッハッハッハ!!」
「メガトロォォォォォォォォン!!」
 ゼロの怒りはおのれ自身へと向けられる。
 力さえあれば。そう思いながらも、剣を振る姿はどこか哀れであった。


「武美! 武美! しっかりしろ、武美!!」
「武美さん!?」
 ウフコックが眠っている武美を揺らすが、反応がない。
 冷たい床に投げ出された武美の肢体を抱き上げ、ソルティは頬を叩いて名前を呼ぶ。
「ケーブルは……くそ! 外していいか俺では判断が出来ない……!」
「そんな……武美さんが……嘘……」
 ソルティの声色が絶望に染まる。
 エックスが人を殺したときのように。あ~るが目の前で死んだときのように。フランシーヌが暴走したゼロに襲われたときのように。
 血が逆流するような錯覚が起きて、目の前で人が死ぬ恐怖がソルティに訪れた。
 すると、ソルティの右隣の壁が砕け、全身に傷を負うイーグリードが飛び出してきた。
 ウフコックと共に、武美を抱きながらソルティは振り向くと筋骨隆々の男がいた。
 敵になったことは聞いている男の名を、ソルティは呟く。
「ボブ……さん」
「念のためにここに来たが、その必要はなかったようだな」
「ソルティ、逃げろ!!」
 T-800が電磁ナイフを投げ、一直線に武美に迫らせる。確実にしとめるためだろう。
 ソルティが庇おうとするが、ケーブルが視界に入り武美を動かすのを躊躇った。ナイフは速く、その一瞬の躊躇いが逃げる隙を奪う。
「ぐわっ!!」
「ウフコックさん!?」
 しかし、苦悶の叫びはソルティではなく、変身【ターン】する暇も与えられなかったウフコックからでる。
 ソルティの反応は、優しさを知ったために遅くなってしまっていた。


 風がそよぎ草が揺れる。聞きなれた川のせせらぎに、川原で無断で建てられたテント。
 見覚えのある光景は武美がよく知っているものだ。
 同時に、鼻をつく偽者の匂いも。
「夢くらい帰ってきたというロマンがあってもいいのにねー……」
 自分の脳みそを恨めしく思いながら、武美は自分が終わったのだと自覚した。
 死は一瞬で来ると思っていたのが、そうではないのだろうか。
 この走馬灯をみせてくれるのなら、粋なはからいだと思う。
「いや、まだ死んではいない」
 声をかけられ武美がその方向へと顔を向けると、テンガロハットにボロボロのマントを着た風来坊がそこにいた。
 武美が会いたかった、元の世界に帰りたい理由だ。
「風来坊さん……? やっぱりここは……」
「夢とも限らないぜ」
「どういうこと?」
「なに。詳しくはいえないが、そのほうがロマンだろ?」
「……それあたしの台詞の気がするんだけど、風来坊さん」
 テンガロハットの下で穏やかに微笑みながら、風来坊は釣竿を動かす。
 釣り糸は反応はないが、いつものことなので武美は無視して話しかける。
「風来坊さん、なにをしに来たの?」
「そうだな、君には二つの選択肢がある」
 風来坊が隣を示し、武美はキョトンとした顔でその仕草を見つめた。
「ここで穏やかに過ごすか。それとも……」
「戻るか?」
 風来坊は言い当てられても武美に向ける表情は変わらない。
 キザな性格は変わらないらしい。
 風来坊は選択肢は二つあるといっているが、武美が死ぬのはどちらにしろ変わらないだろう。
 穏やかに死ぬか、それとも戻って最後に足掻いて死ぬか。その二択であろう。
 正直ここで風来坊と穏やかに死を迎えるのも悪くはない。
 死ぬのは嫌だが、どうせ死ぬなら誰だって恐怖も絶望もなく死にたいはずである。
 武美だってそうだ。なのに、
「戻るよ。風来坊さん」
 武美はどうしても戻りたかった。
「辛いぞ」
「分かっている」
「戻っても足手まといになるだけだぞ」
「うん、それでもあたしは戻りたい」
 武美自身驚くような言葉であった。たとえ迷惑かけても、戻りたい。
 その欲求の元はなんだろうか? もった疑問も、武美はすぐに解消する。
「だってさ、友達が頑張っているんだ。その友達に……せめてありがとうって伝えたい」
「あのネズミの彼も言っていたが、無理する必要はないんだ。武美が武美であるだけで、皆は救われていた」
「だけど、風来坊さんを好きなあたしはあたしであるために、ここで戻るの」
 二人の間を風が通る。髪が揺れて、武美は後ろを振り返った。
 その眼には罪悪感も迷いもない。
「だから風来坊さん。またね」
「ああ、まただ」
 武美は清々しい気持ちで、その場を離れた。


(俺はこれまでなのか……?)
 ウフコックは自らが重体であることを自覚しながら、無念に身体を震わせていた。
 武美を守ることも、ソルティの精神状態を戻すことも出来ず、無残に死ぬ。
 クロの願いも無碍にして、一矢報いることなく消滅していく。
(ふざけるなッ!)
 それではウフコックの有用性などないも同然ではないか。
 否定されるために生まれたのではない。なにもなせず死ぬためではない。
 ウフコックは誰かの力になり、困難を乗り越えさせるために生きたのだ。
 最後の最後に誰の力にもなれず死ぬなど、ウフコックの信条に反する。
(俺は……)
「ウフコ――――ック!! お願い、ケーブルになって!!」
 奇跡が起きた。ウフコックは武美の声を耳に、ケーブルになる意図を正確に掴んだ。
 ウフコックは最後の力を振り絞り、アダプターと延長ケーブルをつなげた物体へと変身【ターン】する。

「イーグリード、抑えてくれ!」
「……うおおおぉぉぉぉぉぉ!」

 ウフコックが吼えた瞬間、倒れていたイーグリードが起き上がってT-800へタックルをする。
 バランスを崩したT-800がソルティへの狙いをイーグリードへと変えるが、遅い。
 ウフコックの端子は、ターミネーターの残骸で見つけた接続口と同じ箇所へと装着される。
 後は武美の仕事だ。ウフコックは武美が自分の端に、自分のケーブルを接続する姿を確認してニヤリと笑みを浮かべた。


「武美さん!?」
 嬉しそうなソルティを安心させてやる暇はない。
 すまなく思いながらも、武美はウフコックが変身【ターン】したケーブルを手に取る。
 接続されたT-800は訳が分からないだろう。それでいい。悟られると面倒だ。
「動けなくなれ!」
 武美の言葉でようやくイーグリードたちも含めて、意図が分かったのだろう。
 T-800が外そうとするが手遅れだ。
 武美がプログラムを実行して、T-800はマネキン人形のように動きが固まった。
 最初で最後、武美が戦闘で役にたった瞬間だ。
「ざまあみろ……」
 ターミネーターを足止めできるのは一瞬だ。
 相手が戦い慣れているボブであることは武美には分かった。そのボブがプログラムも防御したのだ。
 一瞬だけでは効果が薄いかもしれない。
 それでもソルティ、後お願いと、呟いた後の武美の勝ち誇った笑顔がとても輝いていた。


 ソルティは武美をそっと降ろして、T-800を見つめる。
 殺したくない。壊したくない。それでも、ぶつからなければならない相手がいる。
 ならば。
「はああああ……」
 ソルティの全身が金色に光り、拳だけでなく足も身体も振動をする。
 巨大なビーム兵器すら曲げる全力全開の姿。それをすべてT-800へ叩き込むべく接近する。
「そうは……させん!!」
 T-800はギギ、と少しだけ動いた。その執念にソルティは戦慄を覚えながらも、直進をやめない。
 振るう拳の重さは、武美の命だ。ソルティが友の想いをこめた拳を振るう。
 キィン、と金属を砕く甲高い音が響いた。
「えっ!?」
 ソルティが驚きの声を上げる。どうにか動いたT-800は、腕を動かした。
 それでも間に合わないはずである。ソルティの拳が先に叩き込まれるはずであった。
 だが、T-800はカーチェイスでも壊れない、未来の技術で強化されたPDAを盾にした。
 さすがにPDAは粉砕され、衝撃でT-800は宙を舞っている。
 ソルティは追い討ちをかけようと構えるが、それを止めるイーグリードの手があった。


 T-800は宙を浮きながらも、自分が非常に幸運であることを自覚した。
 たまたまPDAをもつ手が空き、たまたま盾にすることが間に合った。
 その上、T-800は出入り口へと吹き飛ばされている。全身の麻痺さえ解ければ打神鞭を掴んで、風に乗って距離をとることも可能だ。
 相手を侮りすぎた。万全を期した状態で相手をせねばなるまい。
 あくまで冷静に思考するT-800が地面へと着地を失敗した。
「なんだとっ!?」
 T-800が愕然と下を見下ろす。いきなり床が外れて、溶鉱炉が煮えたぎる穴が開いた。
 なぜここでトラップが? と疑問に思うとイーグリードがサブコンピューターのパネルを押している。
 迂闊だった。情報という武器をイーグリードは持っていたのだ。
 T-800は淵へと手を伸ばす。しかし、手には力が入らない。
(打神鞭のせいか!?)
 宝貝のもたらす疲労によって、T-800にはもう自分の体重を維持する力は腕には残っていない。
 因果が巡った瞬間だった。
「地獄に落ちろ、クソ野郎」
 イーグリードが口汚く罵る様を見届け、虚しく穴へとT-800は落ちていった。


「武美さん……」
「やったね……ソル……ティ……。大丈夫……コロニーは……本郷さんに……どこを壊せば……止めれる……か……手に入れた情……報は……伝えたから」
 武美は考えがまとまらない中、ソルティやウフコックに伝えることがあることがあったのを思い出す。
 このような報告は武美が伝えたい言葉じゃない。コロニーに関しては本郷に託した。彼なら大丈夫だ。
 友達に感謝するために穏やかな死を捨ててここまで来た。
 早く伝えなければ。唇を動かそうとするが、鉛のように重い。
(そういえばウフコックは無事かな……無事だといいけど……)
 もはや武美の眼にはなにも映らない。
 耳も聞こえず、世界に自分一人しかいないような錯覚すら覚える。
 これが死なのだろう。意外と怖くはない。
(風来坊さんに生きて会いたかったな……)
 無念はある。悔しくもある。
 それらを超越して、ただ一言のために現れた。
 だから言おう。
「ソルティ……ウフコック……みんな……ありが……とう」
 一気に伝えて、ただ喋るだけなのに体力を根こそぎ奪われた。
 ようやく終りだと思うと、素直に瞼を閉じれる。
 そういえば、素直じゃないあの黒猫ならなんといってくるだろうか?
(ああ、やっと伝えれた。あたし頑張ったよ、クロちゃん……)
 武美の死に救いがあるかは分からない。
 ただその最期は、暖かい感情があった。それは事実だった。


「武美さん! 武美さん! 武美……」
「もうよせ」
 武美を揺さぶるソルティをイーグリードは止める。
 ソルティが顔を勢いよく上げ、涙を湛えた眼でイーグリードを見つめた。
 その意味を正確に悟ったイーグリードは首を振る。イーグリードは左手のウフコックを丁寧に扱い、その身が生きていないことを示した。
「そんな……そんな……!?」
 ソルティの無念の言葉がサブコンピュータールームで響く。
 彼らはソルティと長く共に戦ってきた。その二人が死んだ事実は、無垢な少女の心をどれだけ傷つけるのだろうか。
 泣き声が耳朶を打ち、イーグリードの心は痛んだ。


 またもここに戻ってしまったか、と武美は青空が広がる川原の光景を見て素直な感想を持った。
 前と違うのはウフコックがいることだろうか。
「ウフコックがここにいるということは……」
「俺は重傷だった。そういうことだろうな」
 案外あっさりとしているウフコックに武美は拍子抜けする。
 このネズミは最後まで冷静だ。
 またね、と伝えた風来坊はどこにいるのだろう、と武美が周囲を見渡したとき黒猫が横切る。
 いや、この猫は…………
「クロちゃん!?」
「よう、武美。ウフコック」
 見覚えある意地悪な笑顔を浮かべた、捻くれものの猫だ。彼は軽い調子で声をかけてくる。
「武美、お前さんを待っている奴は向こうにいる」
「そうなんだ。ありがとう、クロちゃん」
「ああ、いってこい。その前に……」
 クロは手を伸ばしてウフコックを掴む。クロに抗議するするウフコックだが、武美は感謝した。
 土手を走り、息が切れたころに見慣れたテントが視界に入る。
 ここには彼がいて、カンタや奈津姫が武美と共にあり、商店街の野球チームが勝てないとぼやく。
 武美にとって一番幸せな日々だ。
 そして、テンガロハットにボロボロのマントを纏った男が釣りをしていた。
 武美はその彼に、満面の笑顔を向けて名前を呼んだ。


「クロ、酷いじゃないか」
「世の中には野暮ってものがあるものさ。お前さんは頭がいいが、その辺鈍いからな」
 大きなお世話だ、といいたいところだがクロの言い分もウフコックは否定できなかった。
 武美の嬉しそうな顔は自分たち以上に会いたい人に会えるからだろう。
 それはとてもいいことに思える。どういった感情かは、万能兵器存在であるウフコックには知り得ないが。
「ふて腐れるなよ。お前さんにも会いに来ている人がいる」
 誰だ、とはウフコックは言わない。自分に会いたがる相手など右手で数え足りる。
 クロのことだ。ボイルドをつれてくるような真似は絶対にしない。
「バロット、すまない」
≪謝る必要はない≫
 電子音による合成音声の声が嫌に懐かしく感じる。
 振り向かなくて、あどけない顔立ちの肩まで伸ばした黒髪ストレートの少女がいることは分かった。
 バロット。彼女は軽く唇の端を持ち上げて、ウフコックを迎えた。
≪ウフコック、大丈夫?≫
「心配してくれているのか。大丈夫だ、バロット。ここで終わるのは悔しいが…………」
 ウフコックは笑顔を浮かべて、残っている仲間たちを思い返す。
 本郷やイーグリード、ゼロがいるならメガトロンの計画は止められるはずだ。
 ソルティにも立ち直って欲しいが、本郷たちに後を託すしかない。
 それでも、どうにかなりそうだ。ウフコックにしては楽観的な考えだが、そう確信している。
「俺の有用性を託した相手がいる。だから大丈夫だ」
 ウフコックは自分に思いを託したクロを見て、そしてバロットへと視線を戻した。
 彼女はウフコックを肯定するように、静かに微笑んだ。


「武美…………」
 仮面ライダーはシャトルのドアの前で、最後の通信を送ってきた女性の名前を呟く。
『本郷さん。コロニーの……右側のバーニアを破壊すれば……軌道を外せる!』
 その通信を受け取り、武美と交信が取れなくなってしまった。
 ウフコックともそうだ。彼女たちの身になにかあったのだろうか。
(またも……取りこぼすのか……)
 仮面ライダーの拳が力強く握られる。ショッカー、それに続く秘密組織との戦いで仮面ライダーが救えなかった人々は多い。
 このバトルロワイアルもそうだ。五十人もの巻き込まれて人々で、救えるのは僅かな人だけだ。
 それでも、仮面ライダーは止まらない。力を込めた拳をドアに叩きつける。
「ライダ――――パンチ!!」
 シャトルのドアが吹き飛び、サイクロンと仮面ライダーが星の海へと飛び出す。眼前には地球へ向かうコロニーがあった。
 脳波でコントロールして、仮面ライダーはジェット噴射するサイクロン号の上で立つ。
 蹴りをする際に足場になるのは、今はここくらいしかない。
 全身が内部の空気圧で破裂しようとギシギシ言う。水中用酸素を吸っているが、長くはもたない。冷たさに身体が凍りそうになる。
 仮面ライダー1号はスーパー1と違い、宇宙には対応できるように開発されていない。
 ここで長居すれば命が散るのは確実だ。だが、仮面ライダーには死ぬ前にやることがある。
 サイクロン号のパーツを得て、ライダーパワーも使えるのだが正直コロニーにダメージを与えるほどの力などない。
(ならば……!)
 シャトルから流れる空気が風車を回す。仮面ライダーは蓄えられたエネルギーを全身にみなぎらせた。
 デストロンの原爆を内蔵している怪人、カメバズーカを怯ませて一度のジャンプで太平洋まで運んだ力だ。
 仮面ライダーの内部エネルギーが高まり、体温が上昇して体表の氷が融解する。

「全エネルギー開放!!」

 本来なら仮面ライダー2号と共に解放するそのエネルギーを、1号はたった一人で行う。
 たとえ孤独でも、やらなければ多くの無垢な人間が死んでしまう。
 そんな理不尽は許せない。絶対止めてみせる。
 仮面ライダーはサイクロン号の上で身をかがめ、蹴りのために力を溜める。
 狙いを定め、身体に走るエネルギーをただ一点に固定した。

「電光ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 叫ぶと同時に、仮面ライダーはサイクロン号を蹴って飛び出す。
 反動でサイクロン号が粉砕されるが、パーツを修復に使い耐久性能が下がっている状態では仕方ない。
 内心サイクロン号に礼を告げながら、仮面ライダーの右足の照準はシャトルへと向けられた。

「ライダァァァァァァァァ――――キィィィィィィィィィックッッ!!」

 トカゲロンの殺人シュートを返したように、シャトルをコロニーへと蹴り飛ばした。


 仮面ライダーの蹴撃のエネルギーを得たシャトルはミサイルのように右部分のバーニアに直撃して、爆発が起こる。
 起きる衝撃が仮面ライダーに届き、うめき声を上げながら仮面ライダーはコロニーを見る。
 確かにバーニアはいくつかは破壊されているが、軌道を逸らすに至っていない。
 地球は破壊される運命である。なのに、仮面ライダーの赤い複眼に絶望の二文字は映っていなかった。
(よし、計算通り)
 仮面ライダーはふわりと、岩肌の地面へと降り立った。
 衛星が群れを成す暗礁空間へ、爆発の反動でたどり着いた。
 もとより、シャトルを使っての爆破はここにたどり着くための布石だ。
 仮面ライダーの原爆すら耐えるエネルギーが、オーラのように全身から立ち上った。

「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 仮面ライダーが叫び、ベルトのタイフーンが唸りをあげてひたすら回る。
 空気のない宇宙が、仮面ライダーの叫びに震えた錯覚を起こした。
 刹那、仮面ライダーが衛星を蹴って加速した。目指すは別の衛星だ。
 衛星にたどり着いた瞬間、仮面ライダーは反動のベクトルを変えてさらに別の衛星を跳ぶ。
 ライダーキックのパワーを溜めるため、反転キックの要領で何度も蓄えて衛星を飛び移り続けた。
 仮面ライダーがいくらエネルギーを全開にしても一人ではコロニーを破壊は出来ない。
 ならば、もちえる技を駆使して必殺の一撃を放つ。
 衛星から衛星へとジグザグに跳ねる姿は、まるで稲妻の模様のようであった。
 一つ、衛星を蹴るとこのバトルロワイアルで死んでいった後輩たちの顔が浮かぶ。
 最初の一人は、癖のある黒髪をオールバックにした、一番後輩の男だ。
(村雨……仮面ライダーを決意してすぐに命を散らす……。無念だっただろう)
 次に浮かぶのは、名も知らない少女に墓を立てて、命を散らした無頼漢の後輩。
 言葉は乱暴だが、仮面ライダーとしての心優しさを忘れない仲間思いの男だ。
(茂……少女の仇も、お前の仇も討ってはやれない。だが、俺はそれでいいと思う)
 仮面ライダーは人類の自由と平和のために戦う。
 茂には言うまでもないのだろう。
 そして、このバトルロワイアルで血塗れた道を行かざるを得なかった後輩を思う。
 ドラスの言葉から、彼を闇から救えなかったことを先輩である仮面ライダーは自分を責めていた。
 そして、彼を救った人々への感謝の気持ちを忘れない。
(敬介、止めてやれずにすまなかった。だが、俺もこの身を人類に捧げる!)
 衛星を十数個破壊しながらも、仮面ライダーはさらに加速する。
 まだ足りない。コロニーを破壊するのに、まだ充分ではない。
 たった一人でコロニーを粉砕できる後輩とは違うのだ。
(風見、お前はこんなときにV3火柱キックの使いどこを見つけたのだろう。俺にはそのような武器はない。
だが、お前たちに示す俺の信念と技がある。見ていろ、これが本郷猛、仮面ライダー1号の正真正銘……)
 最後に大きく衛星を蹴り上げ、仮面ライダーはコロニーへと突進する。
 反動で球場ホールほどの大きさの衛星が砕けた。威力は充分だ。
 仮面ライダーの目が鋭くコロニーを睨みつける。人を苦しめる元凶。
 そんな存在に、多くの後輩へ仮面ライダーとして戦い続ける地獄をみせた仮面ライダーがくじけるわけにはいかなかった。
 仮面ライダーが全身を伸ばし叫ぶ。

「最後の蹴りだ!! ライダァァァァァ――! 稲妻ぁぁぁぁぁっ! キィィィィィィィィィィックッッ!!!」

 仮面ライダーの蹴りが一筋の矢となり、シャトルが激突した面を砕き貫く。
 絶大な衝撃が仮面ライダーを中心にコロニーを左右へと割っていた。
 全長二十キロメートルのコロニーを突き抜けるまで、長く感じるがその必要はないことを仮面ライダーは知る。
 コロニーが爆発を起こして、自らを粉々へと砕いていったからだ。
 仮面ライダーは仮面の下で微笑む。これでこの世界の人類を危機から救えるのだと。
(一文字……後は任せた)
 これから生まれる後輩も、今後のことも頼れる相棒へと託す。
 本郷は死ぬまで、仮面ライダーであり続けた。


 爆発が仮面ライダーの装甲を砕き、肌を露にさせる。
 その状況の中で、半分砕けた仮面の下で本郷は目を見張った。
 光の向こうに見えた、多くの知ってるライダー。知らないライダー。
 彼らすべてが、巨悪に向かって右足を向けている光景だ。
 本郷はフッと微笑を浮かべる。
 仮面ライダーに希望をもたらせた光の向こうの光景。
 それがなにか、本郷には知るよしもない。
 しかし、本郷は確信している。
 時代が望む限り、仮面ライダーは不滅なのだと。


「ガハッ!」
 ゼロは身体をしたたかに壁へ打ち付け、力なく落ちる。
 メガトロンが眼前にいるため、すぐに立ち上がったがΣブレードを握る手に感覚がない。
 右手を失った分のバランスをとりつつ、すり足でメガトロンと距離を維持する。
「いやー、健気だね」
「黙……れ……」
 ゼロは息も荒く、周囲を確認する。空は満天の星が広がり、自分の故郷である地球とそこへ向かうコロニーがあった。
 天井は全天周モニターという奴だろうか。周囲には草木が生えており、おそらく宇宙船用のリラクゼーションルームなのだろうと推察した。
 中規模の公園を一室に納めたような部屋で、竜を模した巨躯の敵とゼロは対峙していた。
 状況は不利だ。ゼロの体力ももう少ない。
 対してメガトロンはゼロの攻撃をうまく捌いてほぼ無傷だ。
 ハカイダーの技を借りているのに、なんて様だろうか。
「無駄無駄。お前さんがどれだけ頑張ろうとも、コロニーは落ちる。お前さんたちは全滅する。
なにせ破壊大帝メガトロンに喧嘩を売ったからな。往生せいやあ!」
 メガトロンが天井に映るコロニーを指差して、大口を開けて笑う。
 不快な笑い声でゼロが奥歯を噛み締めたと同時に、コロニーが爆発した。
「ハーッハッハ…………ハアァ!?」
 メガトロンが笑い声を中断して、食い入るように天井のモニターを見つめる。
 ゼロからもコロニーが爆散しているのが見えた。破片すら地球からずれている。
 たとえ地球へ落ちたとしても、燃え尽きてしまう程度の大きさだ。
 ゼロはニヤリと勝利を確信する。
「残念だったな、メガトロン。コロニー落しは失敗だ」
「な、なななななんですとぉ!? お前らコロニー一個完全に破壊って、どんなトンでも兵器を隠していたんだよ!?
コロニー一つ落とすのに機動戦士さんがどれだけ苦労したと思ってんだ! そのことが呆れるわ!」
 ゼロはしっかりと足を踏みしめ、意識が遠のきつつもメガトロンを見据える。
 武美たちがやってくれた。ならば自分がめげるわけにはいかない。
 しかし、メガトロンはコロニー落しが失敗したことをぼやきながらも、悲痛感がない。
(なんだ? こいつ……作戦が失敗したのにあっけらかんとしすぎている)
 いくらメガトロンがふざけた性格をしているからといっても、失敗直後のこの態度はおかしい。
 ゼロが訝しげに首を捻っていると、ガクンと地面が揺れた。
 地震など宇宙要塞であるこの場所にあるわけがない。
(要塞が動いているだと? いったいなんのため……)
 ゼロはそこまで思考して、ハッと勘付いた。メガトロンに問うために正面を向いた瞬間、メガトロンの左拳が胸を強打した。
 呆気にとられたのと、傷で動きが鈍くなったことが重なって直撃してしまう。
 それでもゼロは、メガトロンへ確認の言葉を向けた。
「お前……この要塞も落とす気か……?」
「まあ、その手は使いたくなかったんだけどね。俺様たちも危ないし」
 悪びれもなく告げるメガトロンへ、怒りの咆哮と共にゼロは地面を駆けた。


 ゼロの突進を目の前に、いい加減決着を着けたくなったメガトロンは一計を案じる。
 通路に誘いだろう。あそこにいけば、ゼロを楽に始末できる。
 それに、時間を稼ぐ意味でも優秀な策だ。要はこの要塞が地球に落ちる時間を稼げばいいのだから。
 そして自分は平行世界移動装置で逃げる。なんで自分も巻き込むような策をとったのか? といわれればゼロたちが気に食わないから、と返すだろう。
 奴らに嫌がらせるなら、多少の危険は乗り越える覚悟がなくてはいけない。
 あくどい作戦を立てるメガトロンが常に心がけていることだった。
 そしてメガトロンは思考をゼロへと移す。不意打ちも重ねてゼロの体力はつきかけている。
 今必死で抵抗しているのは、燃え尽きる蝋燭がいっそう激しく燃え上がるのと一緒だ。
 時間切れまであしらうのも策の一つだが面白くない。
 今のゼロは扱いやすい。自分の故郷が危機に晒され、冷静さを失っているのだから。
(もう少し冷静な奴だと思っていたが)
 ぞんがい中身は熱い男のようである。コンボイたちをさぞ気が合うことだろう。
 いや、あのバナナ好きなゴリラとノリが合うのかは不明だが。
(まあ、その分扱いやすいしよしとするか)
 アドリブなしで真剣にっちゃうよ~ん、と誰にか分からない呟きを内心だけでとどめる。
 ゼロを誘うため、通路へとでた。


 ソルティのすすり泣きが狭い室内で木霊する。イーグリードには手のとりようもなかった。
 大切な人が亡くなった悲しみはイーグリードはよく知っている。
 彼女は友達を二人も亡くし、涙という悲しみの海へと心を沈めていた。
 サブコンピューターを操り、外の様子を見るとコロニーが破壊される光景が映っていた。
 本郷がやったのだろう。イーグリードは感謝を込めて心の中で礼を告げるが、同時に本郷の生存は厳しいと見る。
 イーグリードもここでぐずぐずしていられない。ソルティにここで安全にしているように告げて、ゼロに加勢に向かおう。
 イーグリードがそう思考した瞬間、要塞が揺れた。すぐにイーグリードはサブコンピューターで様子を探る。
「これは……」
 イーグリードが呟き、声色に焦りが混じった。予想外の事態である。
「イーグリードさん、要塞が……地球へ向かっているのですね」
 モニターを覗き込み、事態を把握したソルティが話しかけてくる。
 自分の名前を知っているということは、ウフコックからすべての事情を聞いていたのだろう。
 イーグリードは思わず、彼女を心配して声をかけてしまう。
「ソルティ……君は……」
「大丈夫、もう平気です」
 とても平気には見えないのだが、イーグリードは触れずにそうか、とだけ呟いた。
 彼女がモニターを見て察したように、この要塞が地球へと落とされそうになっているのである。
 イーグリードは驚いていた。ある種捨て身のような真似を、メガトロンのような男が取るのは想定外なのである。
(同時に厄介だ)
 要塞を止めるためだけに下手に破壊すればゼロやソルティも巻き込んでしまう。もともとそれほどの大規模な火力は用意されていないが。
 ならば上手に、もてる火力で機関部だけを吹き飛ばすしかない。
 イーグリードはパネルを操作しながら、ソルティへ説明する。
「イーグリードさん、止める方法は?」
「この要塞には機関部がある。ここに進み、ターミネーターたちの水素電池を爆破させよう。三個もあれば充分破壊できるはずだ」
「はい」
 気合を入れるソルティに向かって、イーグリードは微笑みながら首を振る。
 キョトンとするソルティに、ゼロがいるだろう場所を示す。
「この任務は危険だ。下手をすれば爆発に巻き込まれる。君はゼロをサポートに向かって欲しい」
「いいえ、イーグリードさんがゼロさんを助けに向かってください。こちらは私が行います」
 イーグリードは眼を剥いてソルティを見る。彼女の表情になんら気負いもない。
 どういう意図なのだろうか。
「なぜだ? 爆発から逃れるなら、速い俺のほうが向いている。君では……」
「羽根に傷を負った状態で、全速力を出せるのですか?」
 ソルティの言葉に、イーグリードは言葉を詰まらせる。T-800は戦いのプロであった。
 戦争が長らくなかった未来のターミネーターたちとは違い、冷静にイーグリードを追い詰めていたのだった。
 その彼はイーグリードの素早さが厄介だと思ったため、打神鞭で不意を突きながら羽根を執拗に狙っていたのだ。
 ソルティはそのイーグリードの状態を人目で見抜いていた。
 事前情報からは想像できない鋭い洞察力にイーグリードは舌を巻く。
 だが、彼女をどうにか生かして帰すことがイーグリードの任務だ。
 もうここに来た武美、ウフコック、ドラス、そしてコロニーに残った本郷とおそらくミーも命を落としたのだ。
 最後に生き残った彼女だけはどうにか帰してやりたい。ゆえにイーグリードは危険である推進装置の破壊へ向かわせるのに躊躇った。
 どう説得しようか迷うイーグリードの腕が、むんずと掴まれる。
「ソルティ?」
「イーグリードさん、すいません」
 ソルティは謝ると同時にイーグリードを信じられない怪力で振り回した。
 抵抗しようとするが、時すでに遅し。イーグリードはあっさりと通路まで連れて行かれ、えい、と可愛らしいソルティのかけ声と共に投げ飛ばされた。
 イーグリードは羽根を広げて、姿勢を制御する。空中で停止して、ソルティへと振り向いたときにはシャッターを力尽くでおろす姿が眼に入った。
 イーグリードはソルティへと飛ぶが、一歩遅かった。閉めきったシャッター叩き、イーグリードは叫ぶ。
「どういうつもりだ! ソルティ!!」
「…………武美さんやウフコックさんは命を懸けてコロニー落としを阻止しました。今度は私の番です」
「……ッ! 待つんだ、君が……」
「お願いです。私にさせてください。友達が食い止めたことを、無駄にしたくないんです」
「だが……俺は……!」
 イーグリードの胸に罪悪感が沸いた。イーグリードは彼女たちをバトルロワイアルに巻き込んだ原因の一人だ。
 その自分がのうのうと命拾いをして、ここまで生きてきたことに。誰一人救えないことに、理不尽な罪悪感が浮かんで消えない。
 そんなイーグリードの心情を汲み取ったのだろうか。ソルティが穏やかに告げる。
「イーグリードさん。今なら私のほうがイーグリードさんより速いですし、なにより私は死ぬ気がありません」
 ソルティはそこで言葉を切って、間を空ける。続けて出た声色は、イーグリードがつい眼を丸くするほど年頃の娘のものであった。

「だって私は、まだロイさんをお父さんって呼んでいませんから」

 イーグリードの耳に、ソルティが走る足音が聞こえてきた。
 迂回路を使っては時間がかかり、要塞を阻止できないかもしれない。おまけに、ゼロは重症人で援護が必要だ。
 彼女は止まらないだろう。ならばイーグリードに出来ることは、彼女が生きて帰ってくると信じて後を託すことだ。
 イーグリードは後ろ髪をひかれる思いで、ゼロを援護するために離れた。


 誰もいないサブコンピュータールームに、トラップ用の穴が無言で鎮座する。
 T-800が落とされ、活動を終えたはずの穴は不気味な雰囲気を放っていた。
 ガシッ、と穴の淵に黒ずんだメタルフレームの手が現れる。
 力を込めて全身を見せたその影は……。



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156:最終回(1) ゼロ 156:最終回(3)
156:最終回(1) メガトロン 156:最終回(3)
156:最終回(1) ソルティ・レヴァント 156:最終回(3)
156:最終回(1) 広川武美 GAME OVER
156:最終回(1) イーグリード 156:最終回(3)
156:最終回(1) T-800 156:最終回(3)
156:最終回(1) 本郷猛 GAME OVER





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