ギンガ幻影 ◆4I.TA6RRCU



深い森の中、王ドラはその心の中に怒りが渦巻いていた。
シグマと名乗り殺し合いを強制したあの男、そしてその男に殺された女性を助けられなかった自分への怒り。
おそらく、あの場で自分ができることなど何もなかったであろうし、何かしたところで女性の様に殺されたであろうから動かなくて正解だった。
しかし、それは結果論であって、あの時何もできなかった言い訳に過ぎない。
そんなことを考える自分にますます苛立っていく。
そして怒りが臨界点に達した時、王ドラの右拳が大樹に叩きつけられた。


この行為が功を奏したのか王ドラは次第に冷静さを取り戻していく。
「怒りに身を任せてしまうとは、私もまだまだ修行が足りませんね……。
 今は怒る時ではなく自分が何をできるか考えるときのはずです!」
そして、王ドラが初めにしたのはいつのまにかポケットに入っていた謎の子機の解析であった。

「ふむ、なるほど……。これがこうで、あれがそうなのですね」

調べること数十分。
この子機の機能の大体を把握した。
そして、その中でも最も重要だったのは仲間の存在ムムドラ・ザ・キッドの存在であった。
いささか不謹慎ではあるが、このような場での親友の存在に王ドラは安堵した。

自分一人では分からないがキッドがいるならば……!
具体的に何が出来るかわからないが、その様な思いに至らせるにはキッドの存在は充分であった。

「方針は決まりました。キッドを探しつつ、道中で怯え得ていたり襲われていたりする者は保護、そして暴れている者は成敗する。そして最後にシグマを倒します!」

決意を固め、最初の一歩を踏み出そうとした時だった、何かが近づいて来ている音に気付いたのは。


王ドラは音のする方を注意しながら、自分の軽率な行動を反省する。
(木を殴った時の音は思った以上に大きかったですからね。それを聞いた者が来たのかも……)

そして、王ドラの50m程前方の木の陰から現れたのは紫の髪が印象的な女性の姿だった。
女性の苦手な王ドラは心の中の動揺を抑えつつ、女性に呼びかける。
「わ、私は王ドラと申します。もちろん殺し合いになど参加する気はありません!」

しかし、女性からの応答は無い。
もう一度、と思ったところで王ドラは一つ不自然なことに気付く。
それは女性が王ドラ目掛けてスピードを落とす素振りもなく近づいていることである。
そして、王ドラと女性が重なった瞬間、二人の拳が交わった。

「もう一度言います!私はこの様な殺し合いに乗る気はありません!
ですから、あなたも手を引いてください!」
だが、相変わらず女性からの返答は無い。
それどころか、王ドラに対する攻撃は益々苛烈になっていった。

女性とはいえ、その繰り出す攻撃は洗練されており、王ドラも本気を出さねばならない相手であった。


何度目かの攻防が終わった後、二人の間合いは最初の様に開かれていた。
間合いが開かれたことによって、今まで見えて来なかったことが見えるようになってくる。
そして、王ドラはあることに気付いてしまう。
それは女性の服装であった。
(あれは最初に殺された女性のもの……!)
そう、王ドラの目の前に居る女性と最初にシグマに殺された女性の格好がうり二つなのである。
そこから瞬時に一つの仮説が王ドラの頭を支配した。
(もしかしたら、この女性は最初の女性の縁者で、あの女性を生き返らせようとしているのかも……。馬鹿な!あの様な男が約束など守るわけがないのに!)

しかし、一度頭に浮かんだ考えははすぐに消えるわけがなく、王ドラは明らかに動揺していた。
そして、目の前の女性ムムギンガ・ナカジマはそれを見逃すほど甘くなかった。

王ドラの一瞬の隙をつき、ギンガは王ドラに向かって踏み込む。
虚をつかれた王ドラは為す術もなく左ハイキックをくらい、ゴムまりのように体が吹っ飛んだ。


ここで、王ドラが為す術もなくギンガの攻撃をくらったのには二つの理由が有る。
一つは前述のように王ドラに一瞬の心の隙ができたこと。
そして、もう一つはギンガの脚に装備されたフットパーツのためである。
心に隙が出来たこととフットパーツによる今までより数段早い踏み込みが王ドラの虚をつくことに成功したのだ。


王ドラは受け身をとりつつ、バク転をすることで何とか体勢を立て直すが、無防備に近い形で受けたダメージは思いのほか深かった。
意識は朦朧とし、視線は定まらない。
王ドラにとっては絶体絶命の危機であり、ギンガにとっては正に好機であった。


しかし、ギンガの追撃はなかった。
王ドラは不信に思いつつも意識の回復に全力をかける。
そして、すぐに何故ギンガが攻撃を続けなかったかが分かった。

意識を回復した王ドラの前には相変わらずギンガがいたが、先ほどとは一つ違う箇所があった。
それは両腕に女性が身につけるには不釣り合いな腕輪が装備されていたことだ。

(あれを装備するために追撃が無かったのでしょうね……)
そう結論付け王ドラは再び闘いの構えをとる。
逃げる、という選択肢も有ったが王ドラの正義心がそれを許さなかった。
(ここで逃げても彼女が他の参加者を襲うのは明白……!
ならば、私が彼女を止めるしかありません!)

先に攻撃を仕掛けたのはまたしてもギンガだった。
フットパーツを使用しての高速移動。
しかし、王ドラは先ほどと違い動揺もなく、フットパーツによる攻撃も一度見ているため迎え撃つ準備は万全だった。

しかし、ここで再び王ドラの予想外のことが起こった。
女性の装備していた腕輪が飛んできたのである。
腕輪を接近戦の武器だと予想していた王ドラは対応に若干遅れたものの、左にステップすることで何とかこれを回避する。
だが、攻撃はこれで終わりではなかった。
王ドラが避けるのを見越したかのように、もう一つの腕輪が彼目掛けて飛んでいたのである。
避けるのを不可能と感じた王ドラは咄嗟にガードをするが、衝撃を完全には吸収できず、背後の木にその身をたたき付けた。

そこで、王ドラの意識は一瞬ブラックアウトした。

王ドラが気付いたときにはギンガの再接近を許しており、左腕に着けられた腕輪ムム乾坤圏が王ドラに発射されていた。



乾坤圏が自分に発射されるのを見て、王ドラは自らの命が終わるの悟った。
遠距離であの威力なのである。この距離で発射されたら自分の身体がどうなるのか容易に想像ができた。

乾坤圏が自分の頭部を貫く一瞬が王ドラには永遠に感じられた。
(これが走馬燈というものなのですね。まさかロボットである私が体験できるとは思ってもいませんでしたよ……)
王ドラの頭の中に今までの記憶が蘇っては消えていった。
ロボット工場で生まれた日のこと、学校の入学式、7人で友情テレカを手にした日のこと、学校七不思議事件……。
どれもこれも素晴らしい思いでだと感じていた。
そして、最後に思ったのは唯一体この場によばれた親友のこと。
(キッド、すいません……。私はここで脱落のようです。
あなたの力になれなくて申し訳ありません……。けど、信じていますよ。
あなたなら一人でもこの殺し合いを止めることができると……!)



グシャ

乾坤圏が王ドラの頭部を貫いた。



ギンガは王ドラだったものからこぼれ落ちたであろうPDAを拾う。
そこには感情などなく、ただただ事務的であった。

それもそのはず、今の彼女は時空管理局所属のギンガ・ナカジマではなく、ナンバーズのNo13なのだから。

【王ドラ@ザ・ドラえもんズ 死亡確認】

【F-8 森林/一日目・深夜】
【ギンガ・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】健康 中程度の疲労
【装備】フットパーツ@ロックマンエックス、乾坤圏@封神演義
【道具】支給品一式×2(ギンガ、王ドラ)、不明支給品1~4
【思考・状況】
基本思考:敵(ナンバーズ以外)の破壊
1、敵を探し、破壊する

※ギンガは本編17~19話の間からの参加です。そのため、スカリエッティの改造を受けています






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