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雪の町に集う者達 プロローグ

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rocnove

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風の吹く荒野。
辺りには乾いた土が広がり、時々萎びた雑草が見える。
日は西に傾き、もうすぐ夜が近い。
風によって乾いた砂が巻き上げられ、辺りは砂埃で覆われている。
だが、この何も無い荒野で、剣を交える二人の人物がいた。


両者とも白いアーマーとヘルメットをつけ、右腕にはビームサーベルを握っている。
一方のアーマーは所々が傷つき、色褪せている部分もある。
もう一方はそれとは対照的に、アーマーもヘルメットも新品の様に輝いている。
両者の剣は交わり、振られ、避けられ、また交わった。
だが、傷ついている方の動きは次第に鈍っていった。
そして、その男は一旦後ろに下がり、剣を構えなおした。
それに対し、もう一人の男は言った。
「お前はもう…終わりだ」
その言葉を聞き、男は溜め息を一つついて、言った。
「最後に戦うのがお前とは…皮肉だな」
相手の言葉を聞きながら、男は剣を向けた。
そして、静かに言った。
「何故ヘブンを裏切った」
その問いに、傷を負っている方は笑みを浮かべ、言った。
「…お前には分からないよ」
その言葉を最後に、二人は黙った。
しばらく、荒野に静寂が訪れた。
二人とも剣を構え、大地に足を踏みしめた。
だが、この静寂は、片方の男の叫びで唐突に終わりを告げた。
「これで…終わりだ!!」
その言葉を合図に、二人の男は大地を蹴り、走り出した。
この数秒後、再び荒野は静寂を取り戻した。
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