ロクノベ小説保管庫 第2章~争いの序曲~

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1時間近い説教(訊問)の末、フレッドはようやく自分の部屋に戻る事を許された。
(「転んだだけだってば」という声が、この1時間の間に何度も聞こえていた)
いつもだったらもの凄い速さで1段とばししていく階段も、この日はゆっくりと上って行くしかなかった。


「・・・フレッド」
部屋に入った瞬間、フレッドは背筋が凍り付くかと思った。
ジュノの視線が、恐ろしい程にフレッドに突き刺さる。
今まで見たことも無い程恐かった。
「ジュ・・・」
「さぁ、話してもらいますよ!普通、転んだだけでこんな傷は負いません!何があったの か、全て話してもらいますからね!」
ビシッとフレッドを指さす。さながら、探偵が犯人を言い当てる時のようだ。

「・・・で、何があったんです?」
2段ベットの下段に座りつつ、ジュノが訊いた。
フレッドは、顔をうつむけたまま、静かに話し出した。
「・・・町で奴らに遭ったんだ。奴ら、言いがかりをつけてきて、裏路地に僕を・・・」
「奴ら?誰のことです?」
声量を落として訊く。話を始めたばかりだが、外に漏れると困る話なのは分かっていた。
フレッドも、さらに声量を落とした。
「・・・このあたりを仕切ってる不良グループ。その中心角の3人だよ。 ガフムス、ジェイスフォン、ガルドレイド・・・。 奴ら、『ぶつかってきた』って言って殴ってきたんだ。それから、財布も取ろうとして きて・・・」
「それに抵抗したら、余計に殴られたわけですね。・・・分かりました。もういいですよ」
フレッドの声が震え始めたのを、ジュノは聞き逃さなかった。
これ以上聞き出すのは、フレッドに悪い。そうジュノは思った。

「今日はもう遅いですから、明日にしましょう」
そう言うとジュノは、2段ベットの上段を出し、はしごで上っていった。
明かりが消え、部屋は闇の中に沈んだ。

「・・・ジュノ、起きてる?」
「・・・ええ、起きてますよ」
フレッドの声に、ジュノはウトウトしながら、何となく返事をした。
「・・・明日、気晴らしにディグアウトに行こうと思うんだ。ジュノも来てくれる?」
「・・・ええ、いいですよ」
何となく返事をしたジュノは、深い眠りに落ちた。

この後、恐ろしい惨劇が始まることなど、気付きもせずに・・・

翌朝早く、ゴソゴソと下で何かやっている音にジュノは起こされた。
眠い目をこすりつつ、ベットからしたに目をやる。
フレッドが赤いアーマーを半分程着けていた。
フレッドの小型アーマーは赤に白のストライプ。関節部分は黒いボールが入っている。
派手なジャケットをそのまま鋼鉄に替えたような感じがする。
右手には、ディグアウターの必需品である小型のバスターが装着されていた。

「・・・あ、ごめん。起こしちゃった?」
ベットの上にいるジュノに気付いたフレッドは、昨日とはまるで別人のようだった。
昨日はあんなに落ち込んでいたのに、今はかなり明るい。
「昨日のあの落ち込みようは、一体何だったんですか?」とでも聞けそうだった。

「私のアーマー・・・ですか」
ジュノはフレッドの大きな机の上に並べられた、あの白いアーマーに気付いた。
ジュノが助けられた時、近くに流れ着いていたアーマーだ。
その素材は、外装も緩衝材も、まったくわけが分からなかった。
フレッドはジョンが丹念に調べてくれたらしいのだが、結局分からず終いだったそうだ。

ジュノはベットから飛び降り、白いアーマーに手を伸ばした。
カチャカチャとジョイントを外し、自分の体に合わせる。
そのアーマーは、驚く程しっくりと、ジュノの身体に馴染んだ。
ジュノのアーマーには、バスターがついていなかった。
その代わり、両手の平に半円形の赤いクリスタルがついていた。
それはまるで、リーバードの瞳のようだった・・・

「ジュノ、着けるの速いね」
後ろからフレッドの声が聞こえてきた。
振り向いてみると、フレッドはまだアーマーを7割程着けただけだった。


AM9:00
フレッドとジュノは、近くの遺跡へと向かった。
空は青く高く、すがすがしい限りだった。
あたりには草木が生い茂り、蝶が舞い、鳥が空を飛び回る。
そんな、大自然を満喫できるようなところに、遺跡の入り口はあった。

紺色の卵を横に半分に割ったような形のその入り口は、複雑な幾何学模様が刻まれていた。
その幾何学模様の終わりに、暗いオレンジ色の扉があった。
上に、リーバードの瞳のような赤いクリスタルがついている。侵入者を監視しているようだ。

「さぁ、行こうか。ジュノ」
フレッドは、ジュノと共に遺跡の中へと入っていった。
この遺跡に何があるのか、夢にも思わず・・・