ロクノベ小説保管庫 第5章~Mind & Lost Memory~(2)

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真っ暗で、何もない空間。
音も明かりも触れる物もない、空っぽの空間。
ただあるのは、「寒さ」と「失望」と「孤独」。
今彼はそれらだけに包まれ、目を伏せていた。

自分の名前すら覚えていない彼の目の前に、記憶の断片が現れては、闇の中へ消えて行く。

3人組にいじめられる。
3人組の率いる集団にボコボコにされる。

止めろと言っても聞かない。
相談しようにも、誰にも相談できない。
相談しても、自分の周りが危険になるだけ。
相談しても、悪化するだけ。

自分一人で、全て片付けなければ・・・

『・・・憎い相手がおるのだな?・・・』

…うん・・・

『・・・自分が受けた痛みを、返してやろうと思うのだな?・・・』

…うん・・・

『・・・殺してしまおうとさえ、思った事があるのだな?・・・』

…いや、それは・・・

『・・・邪魔者は全て消してしまえば良かろう。そうすれば、楽になるであろう?・・・』

…うん・・・

『・・・私も手伝おう。この腕を持て・・・』

…こう?・・・

『・・・そうだ。そしてこの腕をはめろ・・・』

…こう?・・・

『・・・そうだ。これで私はお主と同体。お主を手伝える・・・』

…これで・・・

『・・・手始めに、簡単な消し方を教えてしんぜよう・・・』

…うん、ありがとう・・・

『・・・礼には及ばぬ。私とて、お主に助けを乞うた・・・』

……

『・・・さて、行くとするか。抹消は夜闇に紛れて行おうと思う・・・』

…じゃぁ、夜を待とう・・・

今でもはっきりと思い出せる、あの時の会話。
何もかも見透かされているようで、少し怖かった。

だけど、僕は手をさしのべた。目の前にある黒い手に。

苦しみから逃れようとして・・・
痛みから逃れようとして・・・
自分から逃れようとして・・・

「いい加減目を覚ましなさい!!・・・」

…聞き覚えのある声。だけど、誰だろう?・・・

「あなたはそのままそのプログラムに身体を渡すつもりですか?!
 あなたはそのまま仲間を殺し続けるつもりですか?!」

…仲間・・・

「それでは、自ら死を選び、死神となったも同然です!
 あなたはそんな事を望むような人だったのですか?!」

…この声は・・・

「 いい加減目を覚ましなさい!!フレッド・アルビスキー!!!」

…ジュノ!・・・


空間が揺らめく。
音が、光が甦ってくる。
戦いの音が、月明かりが、白いアーマーが、どんどん甦ってくる。

目の前に、月明かりに浮かぶ野原と、片手・片足を失った白いアーマーが見えた!
冷たい風の音と、その白いアーマーの声が聞こえた!
「フレッドォォォォォォッ!!!」
「ジュノォ!!」


バキャァンッ・・・!!!

鋭い金属音と共に、ピンロックが外れていく。
意識がはっきりしてくる。
「寒さ」も「孤独」も「失望」も、どんどん離れて消えて行く。
目の前に、紺色のマントを着、同色のフードをかぶった青年を捉えた!

もの凄い速さでその青年に近づく!
そのままその青年に飛びかかった!


「僕の身体を・・・返せぇぇぇぇぇぇッ!!!」


『グッ・・・』
一瞬うめくような声を上げ、胸部に食いついている狼の背中を蹴って離れるジャギュア。
着地と同時に、胸の辺りをおさえて膝を落とした。
狼達も、ジュノの身体のパーツを吐き捨て、その場に崩れ落ちた。
『お・・・のれ・・・ロックを・・・解きお・・・』
途切れ途切れに発せられる多重音声。
その奥に、ジュノは1つの声を聞いた。

「・・・身体を・・・返せぇぇぇぇぇぇッ!!!」
「(・・フレ・・ド・・・)」
背中・右手・左足・胸部の激痛。
傷口から流れ出る、大量の体液。
限界を超えた体力。
急速に遠退く意識。

それらの中で、ジュノはフレッドを見た。
必死に自分の身体を取り返そうとする、いつもの明るいフレッドを・・・

「・・・様子がおかしいですね」
ガフムスが口を開いた。
3体のカルムナバッシュがパーツをはき出し、ジャギュアが膝をつく姿は、ここからでもよく見えた。
「なんか・・・苦しんでるみたい・・・」
ジェイスフォンも同調する。
あの仕草は、どう見ても苦痛を伴っているようにしか見えない。

「・・・フレッドがジャギュアと戦っているんだ。あの様子じゃ、フレッドが優勢だな」
不意に、3人組の背後で聞き慣れない声がした。驚いて振り返る。
そこには、見慣れない青年の姿があった。

年の頃25歳前後。黒革のコートに銀色の長髪。灰色の瞳が印象的なその顔は、整った面
立ちをしている。
右手には、足首まで届く、大型で機械チックな銀色のハンドパーツを着けていた。

「あ、あなたは?」
慌てて立ち上がり、どっかの3文小説に出てきそうなセリフを口走るガフムス。
その青年は、軽く咳払いして答えた。
「俺の名はジェノ・ウィグウィ。通りがかりのディグアウター兼メカニックだ。
 なんだか外が騒がしいんでね。見物に来たんだよ」
「ディグアウター兼メカニック?」
その一言に、ガルドは鋭く反応した。
「メカニックなら、こいつを直せるよな?」
そう言って、ジェノの前に自分のハーレーを引っ張ってくるガルド。
ジェノはそのハーレーを眺め、一言言った。
「・・・3分位、だな」

銀色に光る右手を軽く一回しし、ハーレーの前に差し出す。
そのまま、ジェノは右手に向かって指示を下した。
「ガイドアーム。シスト許可。ドライバーとペンチとフリッパーとアーク。それに、研磨 とバーナーとリストボックスをセット。ドライバーとフリッパーをジャックしろ」
「ガイドアーム」と呼ばれた銀色の腕が低くうなり声を上げ、指先から、+ドライバーと
小型のフリッパーが出てくる。
ジェノはそれをハーレーにあてて言った。
「向こうにも手を貸さなきゃならないな。・・・少し急いで、2分で動かしてやる」

『!何をする!放さぬか!!』
「放すもんか!さっさと僕の身体を返せぇ!!」
暗い空間で、紺色のマントを着た青年に飛びかかるフレッド。
青年も、必死になってフレッドを振り落とそうとする。
だが、フレッドはなかなか放さない。
耳元で叫び、頭を叩き、脇を蹴り、しまいには・・・

ガブリッ!
『イギャァァァァァァッ!!』

右腕に噛み付いていた。

『馬鹿者!!放せ!!放さぬかッ!!!』
「はらふほんらッ!(訳:放すもんかッ!)」
必死に振り落とそうとする青年。
しかし、腕を振れば振る程、フレッドも必死になって歯に力を入れる。
『ええいっ!止めないかッ!!』
「やへるやすはほほにいるんらおッ!(訳:止める奴がどこにいるんだよっ!)」
訳無しでは意味もわからない言葉を発しながらも食らい付くフレッド。
青年の右腕がフレッドを持ち上げた瞬間、青年の右腕を鉄棒のように使って逆上がりし、フードに隠された青年の顔面に、フレッドの会心の一蹴りが決まった!

ドゴァ!
『ギァッ!』

黒い筒のような物を手放し、暗い空間に倒れ込む青年。
フレッドは空中でクルッと一回転し、黒い筒のような物の近くに降りた。
「これ・・・何?」
疑問符を浮かべつつ黒い筒のような物を手に取る。
途端、黒い筒が白い筒になり、暗い空間に明かりが差し込んできた。
フレッドの意志が、ますますはっきりしてくる。
『うわっ・・・まぶし・・・』
青年が右手で眼をかばう。
フレッドは「しめた!」とばかりに駆け寄り、跳躍した。
「この身体から・・・出ていけぇぇぇぇッ!!」
フレッドの飛び膝蹴りが、青年をはじき飛ばした。


『ぐおおあああぁぁぁッ!!』
多重音声の絶叫と共にフレッドの身体から青白い光の塊が撃ち出された。
一同が見守る中、青白い光はジュノとフレッドの間に落ち、人の形へと変わっていく。

紺色のマントに茶色い肌。緑色の髪にルビーのように赤く澄んだ瞳。額には、青い半球形のクリスタルがついている。年齢は、だいたい18歳と言ったところか。
『お・・・のれ・・・』
「・・・!ジュノ!」
睨み付ける赤い瞳を無視し、血の池に浮かぶジュノに駆け寄るフレッド。
白いアーマーはほとんど原型をとどめておらず、赤い体液にまみれて赤く染まっていた。
右腕・左足とも身体から引きちぎられ、意識も無い。
「そんな・・・」
フレッドは愕然とした。
『・・・あのままおとなしくしておれば良いものを。お主が内部で暴れなければ、このよ うな結果には至らなかったであろうな・・・』
ジャギュアの言葉が氷の刃のようにフレッドに突き刺さる。
フレッドは絶望の淵に立たされたまま、何も言い返せなかった。

だが、奇跡とはこういう時に起こる物である・・・

「・・・その前に、あなたがフレッドを乗っ取らなければ良かったでしょう。 そうすれば、こんな事をしなくてすんだんですから・・・」
灰色の瞳を見開き、そう言いながら起き上がるジュノ。
左手の甲から伸びた赤い光が右腕と左足を包んだかと思うと、それらはもうジュノの身体に、元通りに取り付けられていた。
血の池もなくなり、アーマーも元通り。
その光景を見たフレッドとジャギュアは、言葉を失った。


「・・・3等司政官ロックマン・ジュノ。権利行使資格8677及び自己防衛資格308 に基づき、プロトナンバーズ・ジャギュアをイレギュラーとして認定、処理します」
静かにそう言い、右手を前に差し出すジュノ。
途端、赤い光が触手のように伸び、ジャギュアの身体を締め付けた。
『ぐっ・・・がっ・・・ぁ・・・』
うめき、もがき苦しむジャギュア。
触手はどんどん力を増し、ジャギュアの身体をきしませる。
それを楽しむように見つめる、灰色の瞳・・・
ジュノの唇が、微かに動いた。
「・・・さようなら、ジャギュア」
『!!』

パリィィィンッ・・・!!

ガラスが砕け散るような音と共に、ジャギュアの身体は光の粉となった。
草原を滑る風が、光の粉をどこかへと持ち去って行った。

「・・・なんだ、メモリーを取り戻したのか?ジュノ」
不意に、ジュノの背後で聞き慣れない声がした。
ゆっくりと振り向く。見慣れない黒革のコートの青年を、視界に捉えた。
「あの・・・あなたは?」
赤い光の触手をクリスタルの中にしまい、静かに問うジュノ。
すると黒革のコートの青年は、微かに笑みを浮かべて言った。
「・・・俺だ。ジェノ・ウィグウィだ。覚えてないのか?ジャギュアは覚えていたのに?」
少々驚いたように言う青年・ジェノ。
ジュノは首を横に振った。
「・・・そうか・・・記憶の再構成は、まだ完璧ではないのだな。 まぁ、クラスタ系攻撃とバイオクロックが使えるのであれば、さほど困らんだろう。 身分証明も問題ないし・・・後は消し飛んだメモリーさえ回収すれば・・・」
「あなたは・・・私の事を知っているんですね?」
向き直り、再び問うジュノ。
黒革のコートの青年は、また微かに笑みを浮かべて言った。

「・・・その答えは、とりあえずこいつらを処理してからにしてもらえるかな?ジュノ」

次の瞬間、青年の背後から赤いカルムナバッシュが飛びかかってきた。
反射的に飛び退くジュノとフレッド。
青年はその場から動かず、右手でカルムナバッシュを投げ飛ばした。
カルムナバッシュも慣れたもので、空中でクルッと一回転し、ジェノの目の前に着地する。
銀色の長髪が風に靡き、月の光を浴びて薄い光の輪郭を得る。
銀色に光る右腕は、低くうなるような音を発していた。

「・・・ジャギュアオリジナルのカスタム・カルムナバッシュ。 軽装備にすることで攻撃力を犠牲にする代わりに、移動速度を格段に高めている。 制御主のジャギュアがいなくなって暴走しているのか・・・」
自分に言い聞かせるように、一人で解説するジェノ。
赤いカルムナバッシュが低く身構えた。

一瞬の刹那。
赤いカルムナバッシュが宙を舞い、ジェノに飛びかかる。
ジェノは右腕のガイドアームでそれを弾き返し、手の平を赤カルムナバッシュにかざした。
「バラクター・ホールド」
ジェノの声と共に、一筋の青緑色の光が、手のひらの中心から瞬時に伸びていく。
それは赤いカルムナバッシュの手前で止まると、一瞬のうちにカルムナバッシュを青緑色の光球の中に閉じこめ、ガイドアームと繋いだ。
雄叫びを上げ、鋼鉄の爪で光球を破ろうと必死になる赤狼。
それを冷めた目で見つめるジェノ。
「そう暴れるなよ・・・スパーク」
緑色の光球が一瞬電気を帯びたような音を立てたかと思うと、無数の雷撃が光球内の赤狼に襲いかかった。
赤狼の絶叫が、辺りにこだまする。
その絶叫の中に、微かにジュノの声が聞こえた。

「・・・ジェノさん!後ろ!」
ガゥッ!!

ジェノの背後で狼のうなるような声がしたのは、それとほぼ同時だった。
そして、妙に鈍い音がしたのは、その直後・・・
慌てて振り向くジェノ。
赤いハーレーに乗ったガルドと、倒れ込んだ青いカルムナバッシュを視界に捉えた。
「・・・お前、実は仮○ライダーか?!」
「おう!○面ライダー・ガルドって呼んでくれ!」
ジェノのふざけた問いに、親指を立てて答えるガルド。
しかし、こんな所にいても役に立たないぞ、そこの仮○ライダー・・・
(ほら、冗談言ってないで!後の二人はどうしたんだ?)
「・・・あっ!」
天からの邪魔な声(だから邪魔って言うな!)に指摘され、後ろを振り向くガルド。
遙か彼方から、ガフムスとジェイスフォンが、息を切らして走って来るのが見えた。
「・・・仲間を忘れるなよ、○面ライダー」
「た、たまにはこういう事もあるさ。ハハハハ・・・(^^;」
無理に笑ってごまかそうとするが、効果の程は・・・


ゴオオォォォォッ!!

突然、ガルドの笑いが消えたかと思うと、目の前の闇を紅蓮の炎が切り裂いた。
炎の奥に、青いカルムナバッシュが見え隠れする。こっちも暴走していたらしい。
「・・・ったく、暑いのは嫌いなんだよ!!」
そう言うが早いか、ガイドアームを横にスライドさせるように振り、青狼に向けた。
すると、青緑色の光球(赤狼入り)が鎖付き鉄球のように軌道に沿って・・・ぶつかる!

ドグオァッ!!

もの凄い音を立ててぶつかり合う2匹のカルムナバッシュ。
青緑色の光球が、衝撃に耐えきれずガラスのように砕け散る。
その緑色のガラスの間をすり抜け、青白い光の触手が2体を天高く弾き飛ばした。
わずかに欠けた満月の光を浴び、美しい光の輪郭をとる2体。
その2体目掛け、右手に赤い光をまとったジュノが飛躍した。

「ゲイザァ・スパイラルッ!!」

ジュノの拳が炸裂し、断末魔をあげる暇もなく、2体のカルムナバッシュは鉄屑と化す。
地上10m近い上空にあがった爆炎は、巨大な弔いの花のように、夜空に咲いた。
「・・・以前よりも出力があがってる・・・」
爆炎の中から降りてくるジュノを見て、ジェノは呟いた。

「・・・強くなったんだな、ジュノ」
「フレッドのバックアップがあったからですよ。1人だけでは、まず無理でしたね」
軽く笑うようにジェノに答えるジュノ。
ちょうどその時、フレッドが血相変えて走って来た。
「?どうしたんです?」
「いないんだ!あの灰色のカルムナバッシュが!」
「・・・何だと」
フレッドの言葉に驚きを隠せないジェノ。
ガフムスが何かを言いかけた、その時!

ドッゴォォォォンッ・・・!!

地面を揺さぶるような爆発音と共に、町の近くで火柱が立った。
「・・・やはり、無防備な町の人達を襲いに行ったようですね。 この時間帯なら寝ている人がほとんど。それほど苦労しないでしょう。 先程の2体は、いわば囮だったというわけです。 今の爆発でどれくらいの被害が出たかわかりませんが、急がないと確実に死者が出ます。 これ以上暴れさせるのは、正直言って危険ですよ」
ここでも冷静に状況を分析する黒いインテリ少年・ガフムス。
それを聞くなり、ガルドはジュノの手を引いて言った。「俺がこいつを町に送る!とばせば5分もかかんねぇ!」
強引にジュノを後ろに乗せると、エンジンをふかすガルド。
ジェノに修理&整備してもらったおかげで、マシンの調子は絶好調。
軽快なエンジン音が夜闇に響いた。
「とばすぜぇ!!」
タイヤが悲鳴を上げ、ハーレーは野原から町に続く道を猛スピードで駆け抜けて行った。


ガルドが行った直後、郊外・住宅地・商店街・中心地と、立て続けに火柱が立つ。
その光景を見て、ジェノは顔を青くした。
「・・・俺達も行くぞ。どうやら、相手はあの1体だけじゃないらしい」
そう言うなり、ジェノは走り出した。
慌ててフレッド、ガフムス、ジェイスフォンが後に続く。
野原の真ん中辺りまで来た時、また一つ火柱が立った。
「ここから走っても無理です!町までは10km以上あるんですよ! どんなに走っても、1時間はッ!」
ガフムスが走りながら叫ぶ。
ジェノは「チッ!」と舌打ちし、ガイドアームに向かって言った。
「来い、メビウス!」

バシュゥゥゥゥッ・・・!

直後、どこからともなく銀色の何かが飛んできて、ジェノを乗せ、空へと舞い上がった。
月明かりに照らされ銀色に光る、背びれ・胸びれのついた流線型のボディ。
そのボディの両側には、手を連想させるような、間接のついた翼がある。
肩の辺りにはなにやらレーザー砲のような物が1対あり、尾はボディの倍以上の長さ。
顔には、紫色に光るリーバードの瞳を3つ持っていた。
(わかりにくい方は、紫色の瞳のガガを想像して下さい)


「おっと、あいつらも連れて行かんとな。メビウス、高度を下げろ!」
「了解。高度2.3フィートまで降下します」
背びれに掴まりつつ、自分を乗せている機体に話しかけるジェノ。
メビウスと呼ばれた銀色の機体は、地面スレスレまで高度を落とし、ガフムス達の方に進路をとった。
思わず立ち止まる一行。ジェノはあらん限りの声を張り上げて叫んだ。
「飛べ!」

バッ!

メビウスの上を飛び越すように思い切って飛び上がる。
それを空いた左手でキャッチし、背びれに掴まらせた。
「しっかり掴まってろ。メビウス、町に向かえ!」
「了解。方位02、高度30フィート、バルク州ビーノタウンに向かいます」
そう答えると、メビウスは火柱が何本も立つ町に向かった。