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今…昔…そして…

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rocnove

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俺は昔、トリッガーと、こんな話をしたことがある。
どこでだったかは覚えてないが、その部屋の白さだけは鮮明だ。
「なぁジーク、なんでマスターはあんなにデコイにこだわるんだと思う?」
突然の質問だったが、たいして時間はかけずに答えられた・・・確か。
「そうだな・・・
 たぶん、ここに住んでいるからじゃねえか?
 デコイたちは、俺たち「ヘブン」の者が持っていない物を、
 いくつも持っているからな・・・
 ・・・苦労、労働の喜び、そして死・・・
 どれも、ここにはない物だ。
 俺もそーゆうとこは結構好きだな。」
しかし、トリッガーは、あまり納得していないようだった。
だが俺は、気にせず続けた。
「そんでもって、向こうには、ここみたいな暮らしに憧れているヤツがいたりしてな。」
ここでトリッガー、多少呆れる。
「そんなモノかぁ・・・?」                           
「そうだろ。
 そういうお前は、どう考えているんだ?」
トリッガーは俺よりも考えてる様子で、十秒ほどしてから答えた。
この辺の記憶もあまり定かではない・・・ 
「正直言って、よくわからないんだ・・・
 マスターの気持ちも、デコイたちが本当に大切なモノなのかも・・・」
(マジで悩んでるのか?意外にも。)
「ま、そんなに考え込む事じゃ無いだろ。」
そう言って、俺は立ち上がった。

わずかに覚えているのも、ここまでだ。
つくづく自分の記憶力の程度を思い知る。
だが、この様な会話を思い出すと、自分に対して疑問が生じてくる。
何故親友であったトリッガーと対立し、システム側に付いたのか。
トリッガーはデコイ達やマスターとの約束を守るために戦っている。
ならば俺は、何のために戦っているのだろうか。
トリッガーのように何かを守るためというのならば・・・はっきりしている。
―――――セラ様だ。――――――



ロックは今、ヘブンに向かっている。
だんだん地球が小さくなっていくのを、不思議な気分で眺めていた。
(妙な感じだ・・・
 これを逆回ししたような光景を、
 僕は本当に見たことがあるのだろうか・・・)
マスターとの思い出。
あれが自分の記憶だという、実感のない、不安定な記憶・・・

「トリッガー、どうかした?」
ロックは、ハッとした。
白い船内。シャトルの中。
ロールのお母さんの身体をした人。マザー・ユーナ。
巨大な砲身をして、いくつもの銃口がある武器。ロールが作ってくれた、
急造の「ガトリングレーザー」。
「さっきから黙ってるから・・・」
ロックは、ため息をついて、
「僕に、システムが止められるんでしょうか・・・」                    
ユーナも、つられたようにため息をついて、
「はぁ・・・
 だから言ったでしょ?
 物事はあまり考えるモノじゃないって・・・
 たぶん大丈夫よ。
 やらなきゃいけないんじゃないの?
 確かにあのコの戦闘端末は強いけど、きっと勝てるわよ!
 そのために、あのロールってコがそれを作ってくれたんだから!」
ユーナは、ロックの傍らにある、「ガトリングレーザー」を指して言った。
レーザーを射出する武器。
しかし、レンズ部分は間に合わせの物で作ったため、あまり無茶は出来ないという。
連射型の「ガトリングモード」と、
単発型の「パワードモード」になり、切り替えがきく。
「はい・・・
そうですよね・・・
 でも、何か他にも何かありそうな気がするんです。
 何でだろう・・・」
「そうねぇ・・あっ、あのコ!
 ロックマン・ジーク!」
  


ロックは記憶の底の方にこびりついていたその名前を思い出した。
(そうだ・・・
 始めてのディグアウトで会ったあいつは、ジークって名乗っていた!
 あいつの話の中でも、「セラ様」とかいう名前がでていたし、
 ヘブンの人だったんだ・・・)
「あいつは一体なんなんですか?」
ユーナは、驚いた様子で、
「え?あなた、彼のことも思い出したの?」
そこでロックは、昔のディグアウトのことを話した。
「ふ~ん・・・そんなことがあったの・・」
急に、ガガが口を挟んだ。
「確かにジーク様は、セラ様に忠実でしたから、今来ても不自然ではありません」
「そうですか・・・でも、なんで僕はその時にやられなかったんでしょうか」
「そうねぇ・・」
ユーナの悩み方は、「なぜか」というよりも、
「言うべきか、言わぬべきか」で悩んでいるような感じである。
だがやがて、決心したように、
「たぶんそれは、あなたの、というより、トリッガーの機能ね」
「機能?」
ロックがオウム返しに聞いたが、ユーナは気にせずに続ける。
話を要約すると、こんな感じである。
 
トリッガーはリセットしたが、そのデータが、多少残っているらしい。
そして、リセット後の活動中に、身体的な危険が迫ると、データの内、
戦闘能力の部分だけを再生し、本人の意識とは別に、危機を脱するのだという。
ただ、本人の意識とは別とはいっても、あくまでも自分の身体なので、
意識して自我を保っていれば、発動しないとのこと。

「でね、ここからが大切なんだけど、この時の意識は、誰の物でもないの。
 トリッガーでも、もちろんあなたの物でも・・・
 それで、もしかしたら・・・元に戻れなくなるかも知れないの・・・」
「!」
ロックは心底驚いた。
当たり前である。
自分が元に戻れなくなるかも知れないのだから。
「だから使わないように心がけなきゃいけないの。
 あのロールってコを悲しませちゃいけないもの」
ロックの答えはもちろん、
「わかりました。
 自分の意識を保って戦うようにします・・・」
この話題は、ここで一段落した。  



ガガはここで、もっともなことを言った。
「ところでユーナ様、なんでジーク様は今まで、
 トリッガー様と戦いに来たり、
 セラ様の封印を自分で解いたりしなかったんでしょうか。」
そういえばそうである。
プログラムを実行したければ、そのようなことをすれば良かったのだ。
ユーナは、気付いたように、
「そういえばそうね・・・
 もしかしたら、管理人かも・・・」
「管理人?」
またもやオウム返しである。
だが、今度は返事が返った。
「そう、管理人。
 ロックマンシリーズの管理人よ」
ガガが驚いた様子で、
「なっ・・・
 あれは、実在していたんですか?」
「わからないわ。
 でも、他には考えにくいのよ」
二人の話を聞いても、ロックは何もわからない。
「あの・・・どういうことなんですか?」
ユーナは、今度は本当にどう説明したらいいのか迷っているようだ。
そんなユーナに、考えようによっては、「助け」とも取れる出来事が起こった。
「ん~・・管理人ってのはね・・・
 ロックマンシリーズに対して、絶対的な権限を・・・」
ここまで言って、
「ユーナ様!
 マスタールーム近くに高エネルギー反応!
 ロックオンされてます!!」
「なんですって!?」
その直後、シャトルを閃光がかすった!

衝撃。

「ディフレクター破損!
 ホロン機関停止!!
 制御不能、落ちます!!!」
こんな時だというのにユーナは喜々とした様子で、
「ガーちゃん、居住区に落ちて!
 手間が省けるわ!!」
「は、はい!」
声が裏返っている。
数秒後、ロックは、シャトルと、昔の人間の家の断末魔の叫びを聞けた。

ドグァシャァァアァァァア!!!!!!!


蒼い目を持った彼は落ちていくシャトルを見ていた。
(あれならばまだ死にはしないな。
 すぐにここに来るだろう。
 システムを・・あの忌まわしいシステムを破壊しに・・・)
シャトルが地平線の陰に隠れたのを確認して彼は、
マスタールームへと入っていった・・・



(ん~~・・・
 なんか凄い音がして・・・
 そういえば管理人ってなんだろう・・・
 そんなことより何が起こったんだろう・・・
 もしかして死んだのかな・・・
 システムも破壊してないのに・・・
 こんな中途半端な状態で・・・
 そういえばユーナさんは・・・?)

ロックは思い切って目を開けた。
すると・・・
「あらトリッガー、起きたの」
「あ・・・ここは、天国ですか?」
それを聞いたユーナは、しばらく考えてから笑いをこらえて、
「そうかもね。
 ヘブン(天国)だし!」
とりあえずロックは、生きていることがわかった。

無惨な様である。
シャトルは見事に(とは言ってもほとんど原形をとどめてないが)地面に突き刺さり、
昔人間の民家まで巻き添えにしていた。
もっとも、巻き添えにしなければ、更に下まで落ちていただろうが・・・
ロックが苦労してシャトルの破片から、ガトリングレーザーを引っ張り出しているときに、
「これではもう再生は不可能でしょうね」
最も大きな「シャトルの破片」・・いや、ガガは言った。
「そう言わないの、ガーちゃん。
 生きていた上に、近道まで出来たんだから儲けモンよ」
「はぁ・・・
 でも、あの攻撃はやはりジーク様なんでしょうか」
「たぶんね」
ロックはロックで、ユーナに質問がある。
「あの・・・さっき言ってた・・・」
だが、聞こえない振りをされ、
「はいトリッガー、ヘブンについたわ。
 早くマスタールームに向かいなさい。
 そのゲートを適当に行けばいいわ! 
 その武器を早く装備して!」
早口でまくし立てられ、為す術もなく追い出されて、
15分後には、マスタールームに入ることが出来た。



ユーナは一つの仮説を考えている。
もちろん、管理人についてである。
ロックを送り出したのは、一人で考えるためだ。

(おそらく、ジークを止めていたのは管理人。
 でも、ジークは、何も理由も無く止められているのを納得しないでしょうね。
 となるとトリッガーは、
 デコイの「ロック・ヴォルナット」として認識されていたのかしら・・・
 「初期化」又は「再生」以外でデコイを殺すと、
 「虐殺」と見なされ、何らかの処分を受ける事になるわ。
 ジークがそこまで危険を冒してまでトリッガーを倒そうとするとは思えない。
 でも管理人は、なんでそうまでしてトリッガーを守るんだろう・・・
 まぁ、管理人を知らないから、これ以上は憶測の域を出ないわね・・・)

ここでユーナは、もう一つの疑問に気付いた。

(でも、セラの封印を解くのなら、管理人が邪魔をするはずはないわ。
 なのに、なんでジークは封印を解かなかったのかしら・・・
 封印がどこにあるのか知らなかったから?
 いや、違うわ。
 調べようと思えば出来ない事じゃないもの。
 となるとジークは、自分の意志で封印を解いてないないのかも・・・
 そうかも知れない・・・
 トリッガーが発見しなかったら、システムに対抗する者は現れなかった。
 ジークは、迷っているのかしら。
 システムに反する心と、マザー・セラに従う気持ちの間で・・・)



ロックはマスタールームのただ長い道を進んでいった。
下へ下へ・・・
デジャビュ(既視感)が続いている。
もっともこれは、実際に来たことがあるからのだが。
やがて、最も下の階だと思われるところについた。
そこは、何か今までと雰囲気が違っている。
何か、哀しいような・・・
長い通路を進んでいくと、見覚えのある人物がいた。
(なぜだろう・・・懐かしいような気がする・・・)
ロックマン・ジーク・・・


「来たか・・・トリッガー」
ロックは驚いていた。
ジークは、昔見たときと、全然変わっていたのだ。
姿の面では、大きな刀を背負っていたりするがほとんど違いはない。
そういうことでは無く、「感じ」が変わっている。
まるで、機械のように・・・
これがあの、感情的なジークなのだろうか・・・
「イレギュラー、ロックマン・トリッガー確認。
 これより、バトルスペースに移行する」

その瞬間、ジークを中心に波紋が広がっていった。
いや、部屋が現れたのだ。
先ほどの通路とは全く違う、白い、広い部屋・・・
その中で、ロックの青いアーマーが浮かんで見える。
ジークも白とはほど遠いが、こちらは不思議ととけ込んでいる。

「排除・・・開始!」

ジークの左手の、独特の形をしたバスターから、
さっきシャトルを落とした一条の光が放たれた。
「くっ・・」
ロックがとっさに側転で避ける。
光はロックの後ろにあった壁に当たったが、壁には傷一つ付いていない。
「反応はいいな・・・だが!」
ジークが、左肩に付いている八つの遠隔レーザーユニットの内、四つを射出する。
ロックを、四つの銃口が狙う。
(避けきれない!)
そう判断したロックは、右手のガトリングレーザーの引き金を引いた。
連続して発射されるレーザーを受けて、レーザーユニットは沈黙した。三つだけ。
残った一つが放ったレーザーをロックは、伏せてかわそうとする。
が、左肩のアーマーにかすり、わずかな傷が付いた。
かまわずロックは、ガトリングレーザーによって残りの一つを破壊した。
ロックは引き金を引いたまま、本体であるジークに銃口を向ける。
しかし既に、そこには誰もいず、ロックが狙った相手は・・・
「甘い・・・」
ジークはロックの後ろにまわり、
背負っていた「インフィニティ・ブレード」を振り下ろそうとしていた・・



ジークは、何のためらいもなく、巨大な刀「インフィニティ・ブレード」を、
片手で振り下ろす。
ロックはそれを、ガトリングレーザーのシールド部で受け止める。

───キィン───

巨大な銃身の側面には、装甲が厚くなっている部分があるのだ。
ロールはこう言っていた。

「この武器は大きいから、ロックの機動力が落ちると思うの。
 だからその分、防御力を高くしておくから、覚えておいてね」

この武器を作ったロールはロックに、
「生き残って帰ってきて欲しい欲しい」と思っている。
ロックも、それを知ってか知らずか、「ロック」として自分を保ちつつ、
「生き残って帰る」ために必死である。
   
だからこそロックは、こうやって守りにまわりながら、
反撃のチャンスを待っているのだ。
しかし、いまはそう慎重にと言ってられる場合ではない。
そこでロックは少し、攻めにまわってみることにした。

ダダダダダダダ─────────
           
シールドで身を守りながら、バスターを連射した。
「ちぃっ!」
二人とも右手がふさがっているため、接近戦になると、
左手のバスターの銃身が長いジークの方が不利になる。
そこでジークは、間を取り直すために、後ろに飛んだ。
その時、時間の間が生じる。
ロックは、バスターを撃ちながら、横っ飛びに移動する。
その先は、部屋の隅。
逃げ場がないため、不利に思われる。
「血迷ったか?」
ジークは残った四つのレーザーユニットを射出し、バスターのチャージを始めた。
が、それよりも早くロックは、ガトリングレーザーのモードを切り替え、フルチャージに
すべくトリガーを押し込んだ・・・           



四つのレーザーユニットが、火を噴いた。
しかしそれは、突然の光に飲み込まれる!
ガトリングレーザー「パワーモード」のフルチャージショットを、ロックが撃ったのだ。
部屋の隅にいれば、前方の目標に集中できる。
四本の銃口から同時に、高出力のレーザーが発射される!

───────キィィィィィィィィィ──────────

ジークはバスターを撃ったが、チャージが間に合わず、30%程の出力で打ち負ける。
避けようとしたが、左手のバスターが巻き込まれた。
「くっ・・・」
バスターが破壊された。
「よしっ!」
ロックはガトリングレーザーを「ガトリングモード」にし、またトリガーを引く。
ジークの身体を、連続的に衝撃が襲う。
だが、それでもひるまずに、インフィニティ・ブレードを構えた。
「インフィニティ・ブレード、スピア!」
とたんに刀が、強烈な光を放った。瞬きするほどの時間だけ。
次の瞬間、刀は槍の形を取っていた。
ジークがロックへと槍を突きだした
「でぇい!!」
部屋の隅にいるロックにはかわせない。
体をひねって直撃は免れたが・・・
――ドシュ!!――
無数の刃が現れ、ロックにダメージを与える。
ロックはその場に膝をついた・・・

ロックは満身創痍だった。
ジークは冷静さを欠いている。

ジークはスピアを捨て、ロックに右手をかざした。
前に戦ったときも、こんな展開だった・・・もっとも、前は逆の立場だった。
ジークの手を赤紫色の光が包む。
ロックマン・トリッガーを封印するため・・・
「イレギュラー、・・ロックマン・トリッガーを・・・」
(・・・封印する・・・)
その言葉の途中で、ロックがジークに話しかけた。
「僕には・・君の記憶はないけど・・君なら・・・・」
ジークは反応しない。
「君なら、わかってくれそうな気がする・・・
 僕たちがこんな事をしなくても・・戦いを終わらせるにはもっと良いやり方があるって・・!」
ジークはわずかに目を細めた。
(そうさ・・・
 俺は失いたくないんだ・・・主も・・友も・・・
 だが今は・・・・)
ジークは右手に力を入れる、
「イレギュラー、ロックマン・トリッガーを・・封印する・・・」
が、ジークの背中に何かが飛び込んできた。
その瞬間、白い部屋が消え、元の通路に戻った。全ての傷はそのままで。
ジークの、背の部分から声が聞こえる。
「トリッガー様、遅れてすいません!
 早くライブラリにっ!」
「ガガさん?」
「くっ・・・
 ガガ、はなせぇぇ・・・!」
「ここは頼みます!」
ロックはライブラリへと足を踏み出した。



ロックとセラの戦いは、予想以上に激しいものだった。
ロックとセラの戦闘能力ではセラが大きく勝っている。
だが、ロックの傷には、特に深いものが無かったこと、
ロックは「生き残る」ために戦っているのに対し、
セラは「迷いながらも」戦っているということが、戦いに大きく影響していた。

そしてその戦いも終局を迎えようとしていた・・・

それは、「闇」と言うよりも、「黒い光」と言う感じだった。
重力場。
ブラックホールである。
足を止められたロックは覚悟を決めた。
双方が自らの最強の武装のチャージを始める。
「これで、終わりだ・・・」
セラが空虚な、しかし力強い様な声を出した。
二本の光が放たれる───
そのまま行けば、その莫大なエネルギーによって大爆発が起こるだろう・・・
しかし、その間に、ジークが割り込んできた・・・
かれは轟音の中、叫んでいた。
「無駄な戦いはやめろ!
 これ以上マスターを悲しませるつもりか!!」  



ジークは無事だった。
とは言っても、数日間は動けないような状態だった。
しかしこの程度で済んだのは、
ジークがロックとの戦いでは使用しなかった「バリアフィールド」を張っていたからである。
これをロックとの戦闘で使っていれば、
ガトリングレーザーのパワードモード以外の攻撃ならほとんど防げたはずだ。
それを使用しなかったのは、いくらジークでも、気まぐれとは考えにくい。
これは、本人にしかわかりはしないだろう。
もう一つの理由は、ロックとセラの二人が、自らの武器の発射を途中で止めたことである。
セラのレーザーは体の一部となっているため、比較的難しくはない。
しかしロックのガトリングレーザーは、急造であるため不安定で、無理矢理止めようとすれば暴発する。
ロックはそれをやったため、ガトリングレーザーが修復不可能なほどに分解し、
ロックの右半身も大ダメージを受けた。
しかしロックは、自分よりもジークの心配を先にしていた・・・
このことからもロックは、ジークの記憶が無くとも心の隅では、
ジークが友人だと言うことがわかっていたのではないかと思われる。
まぁこれも、ロックは基本的に相手が誰だろうとも心配する性格なので、正しいかどうかはわからない。


ジークが現れる十数秒前の会話。

「くぅ・・・
 死なせるものか・・・
 誰もしなせるものかぁぁ・・・」
「ジーク様?」
「だから離せ!ガガ !!
 俺はあの二人を止める!
 死なせたくはないんだ!!」
その言葉を聞いて、ガガはジークの身体から抜け出した。
ジークは拍子抜けした声で、
「どうした?」
「誰も死なずに済むのなら・・・行って下さい!」
「ほう・・・
 素直じゃねぇか・・・
 じゃなっ」
ジークは、ワープを開始した・・・

ガガに入り込まれたジークがあの戦場に行けたのには、こんな背景があった。



ロール・キャスケットとトロン・ボーン、数名のコブンが、
完成したロケットに搭乗して迎えに来るまでに、三ヶ月あまりかかった・・・
ここからは、皆のその後を伝えることにする。
ロックマン・トリッガー――――彼は今、ロック・ヴォルナットとして、以前の様な生活をしている。
しかしそもそもの目的であったロールの両親探しは、母親と父親がバラバラになっており、
手がかりであった「大いなる遺産」も手がかりとしての意味が薄れてしまったため、難しいかもしれない・・・
ロール・キャスケット―――――彼女もまた、以前の様な生活をすることだろう。
やっと巡り会った母親とは、しばらくの間喜び合うことができたが、
マチルダは数日後、「時間を失っていた分、やりたいことがある」と、夫を捜す旅に出た。
彼女は、娘のロールにこう告げてた。
「ロール・・・
 人というのは、やりたいことをやるようにできているの・・・
 たとえその結果がどうなっても。
 だから私は、あの人を見つけたときに、何かの形で絶望を感じるかもしれないけど、そ れが自分のやったことの結果なら、
 可能な限り、受け止めるつもり。
 またしばらく会えなくなるのは寂しいけど、あなたも自分のやりたいことをやっておく のよ・・・
 まだ若いんだし!」
こうしてロールはまた、ロックのサポートを続けることになった・・・
ボーン一家――――――――――空賊を続けていると思われる。詳細は不明。
マザー・セラ、マザー・ユーナ―ヘブンに残り、事後処理を続けている。
二人とも元の端末に戻れた様子。
セラには「感情」が戻ってきている。
ロックマン・ジーク――――――しばらくはヘブンでマザーを手伝っていたが、
途中で飽き、今は地球で気ままに生活をしていると思われる。
把握不可能。

彼らの中には、大きな物を失った人物もいる。
しかし彼らは皆、未来へと向かって進むことができるのだ・・・
その向こうに何があろうとも・・・
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