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【1】

ふー・・・
やれやれ、最近は疲れてダメだ。
何だか知らんが昼寝して起きたらいつの間にかMy鏡がぶっ壊されていたり、
バーゲンセールで激安の鶏肉を取ろうとしたらいつの間にか吹っ飛ばされたり・・・

って主夫か。俺は。

冗談を言っている場合じゃない。俺の鏡が壊されたのはただ事じゃねぇぞ。
アレがなければ光の魔獣を召喚する事も出来ないし、
光の矢だって撃てないしで色々致命的なんだ。
んー・・・誰がブチ壊しやがったんだろうか・・・

「そら、災難やなぁ~」

そんな俺のグチを聞いているのはカーマだった。
今時、蝶ネクタイにハリセン(鋼鉄だけどな)という古い芸人のような風貌をしているコイツは、
煎茶をずずーっとすすりながらぼんやり俺のグチを聞いているようだった。
コノヤロウ。聞く気あんのか。

「でもなぁー・・・問題はどうやって直すか、やろ?」

そりゃそうだ。
直らなきゃ俺はただの人(?)だし、いざとなったら闘えない。

「アンタ、元々そんな役立ってへんかったやん」

「黙れ」

コノヤロウ・・・言いたい放題言ってくれるじゃねぇか・・・
だからと言って、『黙れ』以上の事は言わなかった。
コイツは男勝りの馬鹿力で、歯向かうと何をされるか分かった物じゃない。

「どうやって直すか、くそぉ~・・・」

俺が頭を抱えていると、

「ん。やってみるか?」

とカーマ。

「何をだよ」

「修理や、修理」

「・・・はい?」

「だーかーらーぁ、修理やゆーてるやん」

「・・・って出来んのかよ!?」

カーマはかっかっか、と笑って、

「馬鹿にすんなや。ウチの財閥に本気ださせたら魔具の修理だってほんの2、3ヶ月や」

「あ・・・やっぱそれくらいかかるんだな・・・」

「ウチのハリセンやったらくれてやっても構わんで?いつでもスペアがあるし」

いらん。俺はお前みたいに豪快な奴じゃなくて、
もっとスマートな武器だったんだよ。

「へぇ~・・・ま、ええわ。とりあえずそのゴミの破片よこしぃ」

「ゴミじゃねぇ!このゴルデル様の大事な鏡だっつーの!」

「かっかっか。ま、任しときぃな」



【2】

「しかし・・・2、3ヶ月ってなぁ・・・」

困ったな・・・あの鏡があるとないとじゃ生活もガラリと変わるんだが。
例えばだな、光の乗り物とか光のバリアとかな・・・
ええい、もういい。言うとなんつーか、恋しくなる。
もうアレは俺の体の一部同然だったんだ。
くっそ・・・誰がぶっ壊したんだよ・・・
人の物粉々にするなんてな、器物破損だっつーの!

「・・・言ってもしゃーねーか」

失った物はしょうがない。カーマの財閥さんとやらがさっさと修理してくれることを祈る。
とりあえずする事も無いので家に向かっていた。その時だ。

「ニャア」

「ん?」

猫?・・・猫だな。俺の見た先には猫がいた。
ちっこい段ボール箱の中に、まさしく箱入り娘と呼べそうな感じで収まっていた。
うむ、上手い事言ったな俺。

「拾ってください、って事か?・・・フン、生憎俺はペットを飼うほど余裕はないんだ」

誰も拾えとか言ってないのに、何故か一人でそんな事を呟いてその場を立ち去ろうとした―――が。

ポツリ。

「ん?」

まさか・・・雨?俺のその予感は的中し、最初は小規模だった雨の野郎もどんどん規模を大きくし、次第に豪雨となった。

「くっ、天気予報の馬鹿野郎!」

言っても意味のない事を言いつつ、俺は走り出し―――

「フニャアアア!」

「ぬわっ!?」

振り返ると、先程の猫が何故か苦しそうに泣き声を上げた。
おいおい、どうしたってんだ!?
よく見ると、猫はとても寒そうに震えていた。

「・・・ったく」

俺は段ボール箱ごと猫を抱えて、走り出したのだった。


【3】

「うわー、びしょびしょだねー。大丈夫だった?」

「この姿が大丈夫に見えるのか?」

大雨のせいでびしょびしょになった俺は、近くにあった海の家へと辿り着いていた。
海という奴は、何が好きなのか知らんが古い海賊船の下っ端のような、妙な帽子を被っている、やはり妙な奴だった。

「むー。今タオル持ってくるから」

そう言って海は家の奥へと走っていった。

「ふぅ・・・」

しかし。困ったな・・・
俺は脇に抱えた猫を見て、こいつをどうしたらいいのかと思案していた。
正直、猫なんか飼うのは面倒だ。海にでも渡しちまうか?

「お待たせー」

ぼやぼや考えているうちに、海がバスタオルを持ってやってきた。
俺は海からバスタオルを借りて、濡れてしまった体を拭いた。

「・・・なぁ、海」

「なーにー?」

「猫、飼ってみないか」

俺は海の目の前に拾った猫を抱き上げてやった。
海は目を丸くしたが、

「興味ないなー」

コノヤロウ・・・俺だって興味ねぇよ。
どうしようか。また元の場所へと捨ててくるのは何か嫌だしなぁ・・・

「ところで・・・その子、お腹空いてたりしないのかな?」

海に言われて、俺は猫を見た。そういや、さっきからニャアニャアうっさいな。

「ん、そうだな・・・どうやら飯がいるようだ」

「じゃ、牛乳でも入れてきてあげるからちょっと待ってて・・・」

「待て」

「え?」

俺は反射的に海を引き止めた。

「牛乳なんかじゃ腹壊しちまう。ちゃんと猫用のミルクでも用意してやらんとダメだ」

「そ、そうなの?」

「そうだ。後な、もう一枚バスタオル持ってこい。このままじゃ猫の体温が下がりすぎる」

「う、うん」

海は俺に言われるがままに動いてくれた。
って・・なんか自分が悲しくなってくるぞ・・・
なんでこっち方向の事に詳しくなっちまったんだろう?



【4】

「ふぅ・・・これで落ち着いたな」

俺が猫に世話してやると、猫はたちまち元気になったようだ。
なんだかんだいって、海も結構猫に興味があるようでその猫をじっと眺めていた。

「飼うか?」

「飼わない」

チッ。とにかく、雨も上がったようだしな・・・捨てるか?やっぱ。
…ダメか。罪悪感が半端ない。今更捨てるわけにはいかんだろう・・・

「あー・・・ま、いい。とりあえず俺は帰るよ。ありがとな、海」

「うん」

俺はぶんぶん手を振って見送ってくれている海を後にして、猫入り段ボールを抱えて帰路へとついた。
さーて・・・どうしようか。名前でもつけるべきだろうか。
こんなのどうだ?『マインド』とか・・・

「何か嫌やっちゅーねん!」

バキッ、という痛い音が俺の頭頂部で聞こえて、それ以降の記憶は失せた。
くそ・・・やりすぎだカーマ・・・




「ん・・・うん?」

「お、目が覚めたか」

俺は自分の部屋のベッドに横たわっているようで、横にはカーマがいた。

「くそ・・・やりすぎだ、カーマ」

「かっかっか、すまんすまん」

おい・・・お前は殺人未遂を犯しそうにだな、

「やかましーっちゅーねん!大体お前人やないや・・」

「馬鹿!んな事言うんじゃねーよ!」

最後まで言い切る前に止めた・・・コノヤロウ・・・
…ってあれ?そういえば・・・

「なぁ。猫、知らねぇか?そいつの名前の付け方で俺は昇天されかけたんだぞ」

「んあ?ああ、あの猫か・・・今ウチのシェフがコトコトと」

「黙れ。さっさと教えろ」

カーマは苦笑して、そっと向こうを向いた。
カーマが見た方を見ると、あの猫はケージの中に入れられていた。

「ふー・・・マインドが料理されるなんてなありえねぇとは思ったんだ」

「なんやー?何かハリセンが疼くんやけど」

「すいませんでした」

何だよ。同じボケをまた拾う気かよ・・・


【5】

それから数日経った。
俺は、結局マインドと名づけた猫を飼っていた。
最初は面倒なものだと思っていたが、飼っているうちに可愛く思えてきてしまった。
不覚だったぜ・・・
マインドは暇になると、すぐ俺の所へと来て纏わりついてくる。これがまた最高に可愛くて、もうなんか目に入れても痛くないっていうか、

「うわぁー・・・典型的な親馬鹿やん・・・」

「ぬおおおおおおお!」

俺は激しく後ずさりしてしまった。
畜生め、何でカーマ!お前が居るんだ!
ここは俺のプライベートルーム、つまりはマイホームだぞ!
不法侵入で訴えるぞ!

「何回もインターホン押したで・・・アンタ、相当痛い奴に見えるわ」

「うるせー!」

俺がギャイギャイと騒いでいると、

ピンポーン

またインターホンが鳴った。

「ん?なんだ今日は客が多いな・・・?」

俺は客を待たせないようにと小走りで玄関へと向かい、応答した。

「はい?」

俺が扉を開けると、目の前にはそれなりに可愛い女の子が立っていた。
なんだ、いったい?

「あの・・・少しお話をしたいのですが」

「はぁ。なんでしょうかね」

やれやれ。早くしてくれよ。カーマの目の前にマインドを放置したままなのは嫌なんだが・・・

「えっと、最近猫を拾いませんでしたか?」

「ええ、それが何か?」

「真に申し訳ないのですが・・・あの子を・・・シャミを返してくれませんか?」

…え?それってつまり・・・

「ええ。私はあの子の飼い主なんです」


【6】

その日の夕方。
俺は、窓の外で空に浮かぶ夕日をただぼんやりと眺めていた。
俺の家にはもう、マインドの姿はなかった。
今日来た、あの飼い主の言い分はこうだった。

『ある日、あの子が突然居なくなったんです。それで、どこへいったのかと必死になって探していたんです。そしたら、近所の方が「ゴルデルが拾っていたよ」と言うので・・・』

これは予想だが、海の事に違いない。

『それで・・・貴方の所へ来たんです。』

なんだよ。そりゃありかよ。こっちはあいつをようやく受け入れてやる所だったのに。
ああ、確かに最初は嫌がっていたさ。でも・・・何故こんな気持ちなんだろうな。

「フン・・・」

後ろを振り向くと、カーマが居た。って、なんでまだ俺の家に居るんだよ。

「ま、ええやないか。でなぁ、ゴルデル。もういい加減あの猫の事は忘れや」

んな事言ったって、すぐに忘れられるかよ。

「あー・・・いつまでも済んだ事を引きずる男なんて見とうないわ。大体、アンタあの猫飼うの嫌がってたやん」

んー・・・そりゃそうだg

バキィ!

「どはぁ!」

コノヤロウ!また叩きやがったな!そのハリセンで!痛いだろうが!

「やかましいっちゅーねん!お前がそんなにズルッズルやからアカンねん!」

「何だよズルッズルって!」

「やーかーまーしーいっ!」

カーマと口論になりつつも、俺は思っていた。


俺は、マインドに何かを教えてくれたような気がする。
それは―――

愛・・とかなんだろうか。

END


あとがき

えー・・・記念すべき一発目の小説。
意味分かんないですね・・・
特にオチがねー・・・あーあ!(ぇ

とりあえず、次は頑張ります!(待