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現在地:[[トップページ]]>[[漢詩大会の漢詩全文]]>七子(徐幹・陳琳・劉楨)作品の出典リスト
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*徐幹
[[維基文庫 徐幹作品の項>http://zh.wikisource.org/wiki/作者:徐幹]]
[[劉楨、曹植の二人から漢詩を贈られている。>http://zh.wikisource.org/wiki/%E8%B4%88%E5%BE%90%E5%B9%B9]]
**室思(雑詩)其三
浮雲何洋洋 願因通我詞。飄飄不可寄 徒倚徒相思
人離皆復会 君独無返期。自君之出矣 明鏡暗不治
思君如流水 有何窮已期
***訳 室思(雑詩)
浮雲の何と洋々たる 願わくば因りて我が台詞を通じん
飄々として寄る事もできず あてなき思いだけがすれ違う
人は離れても皆また会うのに 君独り帰る期も無い
君の出立よりこのかた 明鏡も暗いまま治らず
君を思うこと流水の如し 何ぞ窮まり已む期がある
>雲が気持ちよさそーに漂ってるので、言葉を託してみようとしたものの、形も行き先も決まっていない雲に寄せても意味が無く、思いだけがすれ違う。
>再会しようにも、君はいつ帰るのか。君が旅立ってからは、鏡にうつる私の顔も暗いまま。君への思いだけが流れる水のようにたゆたい、留まるところを知らない。
【洋洋】一面に満ちている
【飄飄】風が吹く、風にひるがえる 【徒倚】あてもなく 【徒】いたずらに
【期】時期
【窮已】極まり已む。極限にいたる
>詩は6章あるが、この6章を一つの作品とみなしている本、「雑詩」5首と「室思詩」1首を別々の作品とみなす本とあり、どれがどの作品が統一されていない。
>詳細は維基文庫徐幹作品の項、室思参照。
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*陳琳
[[維基文庫 陳琳作品の項>http://zh.wikisource.org/wiki/作者:陳琳]]
**飲馬長城窟行
飲馬長城窟、水寒傷馬骨。往謂長城吏、「慎莫稽留太原卒」
「官作自有程、舉築諧汝聲」「男兒甯當格闘死、何能怫鬱築長城」
長城何連連、連連三千里。邊城多健少、内舍多寡婦。
作書與内舍、「便嫁莫留住。善事新姑章、時時念我故夫子」
報書往邊地、「君今出語一何鄙」
「身在禍難中、何為稽留他家子。
生男慎勿舉、生女哺用脯。君獨不見長城下、死人骸骨相撐拄」
「結髮行事君、慊慊心意關。明知邊地苦、賤妾何能久自全」
***訳 飲馬長城窟行
万里の長城の岩窟で馬に水を飲ませた。水や大気は寒く、馬の骨髄もいたむほど
見れば役卒が、長城の官吏に謂うている。「どうか太原出身の兵卒を引き留めないでください」
「官には工事期限がある。皆と声を揃えて築城の仕事に励め」
「男児たるものまさに戦で死ぬべきだ。なぜ築城で朽ち果てねばならぬのか」
長城は連なる連なる。連なって連なって三千里
辺城には健康を失ったものが多く、内地には寡婦が多い
役卒は手紙を妻に送る。「再婚して我が家にとどまるな
新たな嫁ぎ先の舅姑に善くし、時おり俺と俺の子を思い出してくれ」
夫への返事が届いた。「貴方は何をとっぴな事をおっしゃるのか」
「わが身は災難の中にある。なにゆえ他家の娘子をとどめるのか
男児が生まれたら、取り上げるを慎め。女児を生んだら、乳を与え大切に育てよ
君にこの長城の下が見えるか。死者や骸骨が互いを支えるように重なり合っている」
「結髪よりこのかた旦那さまにお仕えし、満ちたりた生を過ごし心を開いております
辺地の苦しみは明らかに知っております。私ひとりで何を勝手なことができるでしょうか」
>「おらぁもうダメだ、別の家で幸せになってくれ(つД`)」
>「何勝手な事を言ってんだい、あたいの旦那はアンタ一人だよヽ(`Д´)ノ」
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*劉楨
[[維基文庫 劉楨作品の項>http://zh.wikisource.org/wiki/作者:劉楨]]
犬養毅首相による直筆の「贈従弟」書があるらしい。
**贈従弟 三首
一
汎汎東流水 磷磷水中石。瀕藻生其涯 華葉紛擾溺
采之薦宗廟 可以羞嘉客。豈無園中葵 懿此出深澤
二
亭亭山上松 瑟瑟谷中風。風聲一何盛 松枝一何勁
冰霜正慘悽 終歳常端正。豈不羅凝寒 松栢有本性
三
鳳凰集南嶽 徘徊孤竹根。於心有不厭 奮翅凌紫気
豈不常勤苦 羞與黄雀群。何時當来儀 將須聖明君
***訳 贈従弟
水は浮かぶように動き流れ。石は明浄な水底で麟のように煌く。
浮き草ゆらぐ水辺と重なりあう岸辺。花が咲き乱れ風に流れるさまの、なんと賑やかなこと。
採って宗廟にささげよう。賓客にも献上せねばなるまい。
どうして草木茂る園中に葵の薬草だけが無いと言えるのか。深くも水きらめく泉に生えているではないか。
山奥にどっしりと構える松。秋気を運ぶ谷中の風。
風声が谷から溢れんばかりに震わせる、その中で揺るがぬ松枝のなんと頑丈なこと。
秋冬の始まりを告げる氷霜に痛めつけられながら。四季の終わりまで端正である。
どうして松が凍てつき枯れると言えるのか。松柏の根元にこそ生き様がある。
西域の溺水に棲む鳳凰は時に南獄に集い。孤竹の根であちこちに移動する。
その心にそれを厭う気持ちは無く。翼を振るえば凶気を払う。
どうして仕事は辛いだけだと言えようか。黄雀の群れと共にあることを恥じよ。
今こそ宮城に来るときではないか。まさに聖明の君に天下泰平を告げるべし。
【汎汎】満ち満ちて流れる、水に浮かび漂う
【東】説文解字等「動」と解釈するケースあり
【磷磷】岩石の形容。明るく清い水底で、麟のように煌き見える様
【瀕藻】古詩類苑「萍藻」詩紀「蘋藻」瀕はせまる、萍と蘋が水面の浮草、藻が水中の水草
【紛】入りまじってわからなくなる 【擾溺】入り乱れる
【宗廟】氏族が先祖に対する祭祀を行う廟 【嘉客】賓客
【葵】薬にするらしいが、博物誌では冬葵を食べると狗になる?ため食べないみたいな記述があった気がする。冬以外を指す季語かしら。
【冰霜】一部「氷霜」
【慘悽】凄惨、厳しい 【終歳】年の終り
【栢】柏(かしわ)の旧字
【鳳凰】五彩の鳥や鳳凰は、帝舜の地上での友。
【南嶽】百三名家「南岳」会稽山?南嶽衡山?山海経を見る限り、時代によってあやふや。いずれにせよ聖地のこと
【紫氛】紫は北の色、氛は陰気、凶気という説有り。「紫気」は紫色の雲気。聖なる兆し。
【羞與黄雀群】古詩源(国会)では其一「可以羞嘉客」の羞を「すすめる」、其三「羞與黄雀群」を「羞(は)じる」と読み下している。三国志正史では両方とも使用例があるため、単純に文意にそって訳した。
【黄雀】スズメによく似た別の鳥を指す。つぐみ・ウグイス等の黄鳥を指す説有り
【群】詩紀「羣」
|出典|所蔵|No|分類|タイトル|||
|||||汎汎東流水|亭亭山上松|鳳凰集南嶽|
|漢魏六朝|国会|2551357|巻27-28劉公幹集-|贈従弟三首|贈従弟三首|贈従弟三首|
|漢魏六朝|国公|361-0051|巻21劉公幹集-|贈従弟三首|贈従弟三首|贈従弟三首|
|古詩源|国会|958952|巻6魏詩-劉偵|贈従弟三首|贈従弟三首|贈従弟三首|
|古詩類苑|国公|319-0017|巻49-56人部-兄弟|贈従弟三首|贈従弟三首|贈従弟三首|
|詩紀|国公|319-0023|魏第六-劉偵|贈従弟三首|贈従弟三首|贈従弟三首|
>維基文庫と近代デジタルライブラリとで語句が違う(華紛何擾溺と華葉紛擾溺、葵と蔡(大亀))ため一時期[[デジタルライブラリ>http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/895908/5]]版を掲載していたが、国立公文書館資料の比較検討の結果、旧字はともかく、蔡→葵、気→氛などは修正。
>どの漢字か判らず訳も微妙なところがあるのは直ってない。出典調査や従弟さんとのやりとりなど細かい考証もしてない。
>
>1章:草花が入り乱れる清浄な水辺にあるものはある
>2章:松の生命力は凄い。見習え
>3章:鳳凰なら黄雀の群れの中に居ないで、鳳凰の群れに混じって、聖君のもとで励めや
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