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現在地:[[トップページ]]>[[漢詩大会の漢詩全文]]>その他の漢詩全文/三国時代の有名人>今ココ ----- #contents(fromhere=true) *原文(繆襲) 出典:晋書楽志樂下/四時祠祀(曹毗)・・・タイトル・コメントのみ 宋書楽志(本文) 楽府詩集・・・晋書コメント+本文 **1、楚之平 ''《晉書‧樂志》'' 改朱鷺為楚之平,言魏也。 「漢の《朱鷺》をベースにしたもの。魏を言うもの」 ''《宋書・楽志》'' 序: 漢第一曲朱鷺,今第一曲初之平, 言魏也。 ・本文 初之平,義兵征。神武奮,金鼓鳴。邁式德,揚洪名。 漢室微,社稷傾。皇道失,桓與靈。閹宦熾,羣雄爭。 邊韓起,亂金城。中國擾,無紀經。赫武皇,起旗旌。 麾天下,天下平。濟九州,九州寧。創武功,武功成。 越五帝,邈三王。興禮樂,定紀綱。普日月,齊暉光。 ・''訳'' 世を平定せんと、義兵が往く。神武を振るえ、金鼓を鳴らせ。武帝の示す道を往けよ、名を轟かせよ。 漢の気は尽き、社稷は傾く。皇帝は道を失い、桓帝や霊帝を出す。宦官は世を乱し、群雄争う。 辺章と韓遂が蜂起し、金城の地は乱れる。中国は騒擾し、古の聖なる教えは忘れられた。武皇赫き,旗旌を起てる。 天下なびき,天下は平らか。九州済りて,九州安寧。武功を作りて,武功成る。 いにしえ五帝を超え、三王をもとおく。礼楽おこりて,紀綱定まる。あまねく日月,輝光を行き渡らせる。 **2、戦栄陽 ''《晉書‧樂志》'' 改「思悲翁」為戰滎陽,言曹公也。 「漢の《思悲翁》をベースにしたものである、曹公を言うものなり」 ''《宋書・楽志》'' 序: 漢第二曲思悲翁,今第二曲戰滎陽,言曹公也。 ・本文 戰栄陽,汴水陂。戎士憤怒,貫甲馳。陳未成,退徐栄, 二萬騎,斬壘平。戎馬傷,六軍驚,勢不集,眾幾傾。 白日沒,時晦冥,顧中牟,心屏營。同盟疑,計無成, 賴我武皇,萬國寧。 ・''訳'' 戦うは栄陽、汴水の堤。兵士らは憤怒し、甲を身につけ馳せり。陣いまだ成らず、徐栄を前に退いた。 二万騎ありて、堀を壁を平らにするも。軍馬傷つき、六軍驚き慌て、軍勢集わず、隊列は幾度となく傾く。 白日沒して、時は晦冥、中牟の地を顧み,心は營に息をひそめる。同盟を疑い、計は未だ成らず。 我らが武皇に頼って、萬國を寧す。 >長安遷都の際に董卓を追撃し、徐栄に敗北したときの話。 **3、獲呂布 ''《晉書‧樂志》'' 改艾如張為獲呂布,言曹公東圍臨淮,擒呂布也。 「漢の《艾如張》をベースにしたものである、曹公東圍臨淮において、呂布を生きて捕らえたるなり」 ''《宋書・楽志》'' 序: 漢第三曲艾如張,今第三曲獲呂布,言曹公東圍臨淮,生擒呂布也。 ・本文 獲呂布,戮陳宮。芟夷鯨鯢,驅騁羣雄。囊括天下,運掌中。 ・''訳'' 呂布獲った、陳宮斬った、大悪人の首を草のように刈り、群雄駈け馳せる。天下統一して、掌中に運ぶ。 **4、克官渡 ''《晉書‧樂志》'' 改上之回為克官渡,言曹公與袁紹戰,破之於官渡也。 「漢の《上之回》をベースにした。曹公、袁紹と戦い、官渡の地でこれを破る」 ''《宋書・楽志》'' 序: 漢第四曲上之回,今第四曲克官渡,言曹公與袁紹戰,破之於官渡也。 ・本文 克紹官渡,由白馬。僵屍流血,被原野。賊衆如犬羊,王師尚寡。 沙塠傍,風飛揚。轉戰不利,士卒傷。今日不勝,後何望。 土山地道,不可當。卒勝大捷,震冀方。屠城破邑,神武遂章。 ・''訳''  袁紹を官渡に破る、白馬を由とす。屍は硬直し血は流れ原野をおおう。賊はむれること犬羊のごとし、王師は尚寡(すく)なし。  黄砂は丘のごとく積もり、風に飛び揚がる。転戦すれば不利で、士卒は傷つく。今日勝たずんば、後に何を望む。  袁紹軍の掘った土山地道、われ等を破ることはできず。ついには勝って勢いを駆り、冀州を震わせ。城をほふり邑を破る,神武は遂に章らかならん。 **5、舊邦 ''《晉書‧樂志》'' 改雍離為舊邦,言曹公勝袁紹於官渡,還譙收藏死亡士卒也。 「漢の《雍離》をベースにした。曹公、袁紹と戦い官渡の地で破った後、譙に帰り、死んだ兵士を埋葬するものなり」 ''《宋書・楽志》'' 序: 漢第五曲翁離,今第五曲舊邦,言曹公勝袁紹於官渡,還譙收藏士卒死亡也。 ・本文 舊邦蕭條,心傷悲。孤魂翩翩,當何依。游士戀故,涕如摧。 兵起事大,令願違。博求親戚,在者誰。立廟置後,魂來歸。 ・''訳''  古き国は寂しく静かに、心傷つき悲しみ。孤独な魂彷徨いて、またいずこに依るのか。遊士は故里を恋し、涙は砕くが如し。  兵は起ち戦に対するも,令願を違え。親戚に伝え求む、在りし者は誰ぞ。廟を立て後に置き,魂は帰り来る。 //仁王護国般若波羅蜜経 護国品第五 「生老病死、事と願与(とを)違す」 **6、定武功 ''《晉書‧樂志》'' 改戰城南為定武功,言曹公初破鄴,武功之定始乎此也。 「漢の《戦城南》をベースにした。曹公、初めて鄴を落とす、武功の定、ここに始まるなり」 ''《宋書・楽志》'' 序: 漢第六曲戰城南,今第六曲定武功,言曹公初破鄴,武功之定,始乎此也。 ・本文 定武功,濟黃河。河水湯湯,旦莫有橫流波。 袁氏欲衰,兄弟尋干戈。 決漳水,水流滂沱。嗟城中如流魚,誰能復顧室家。 計窮慮盡,求來連和。 和不時,心中憂戚。賊眾内潰,君臣奔北。 拔鄴城,奄有魏國。王業艱難,覽觀古今,可為長歎。 ・''訳'' 武功を定めんと、黄河を渡る。河水は湯湯、旦つ暮れれば橫に流波あり。 袁氏は衰を欲するも,兄弟は干戈を尋ねる(戦を求める)。 ゆえに漳水を決(決壊)させれば、水は滂沱と流れ、ああ城中は魚の流るるが如し、誰がよくまた室家を顧みんか。 計は窮まり慮は尽き,連和を求め来る。 されど和する時にあらず,心中愁い悲しむ。賊衆は内から潰れ,君臣は北に出奔す。 鄴城を抜き,魏國を所有す。王業の艱難なること,古今を観覧すれば,長嘆するべし。 **7、屠柳城 ''《晉書‧樂志》'' 改巫山高為屠柳城,言曹公越北塞,歷白檀,破三郡烏桓於柳城也。 「漢の《巫山高》をベースにした。曹公、北塞を越え、白檀をへて、三郡を破り烏桓を柳城において破る也」 ''《宋書・楽志》'' 序: 漢第七曲巫山高,今第七曲屠柳城,言曹公越北塞,歷白檀,破三郡烏桓於柳城也。 ・本文 屠柳城,功誠難。越度隴塞,路漫漫。北踰岡平,但聞悲風正酸。 蹋頓授首,遂登白狼山。神武慹海外,永無北顧患。 ・''訳'' 柳城を屠り,功誠は難し。隴塞を越えしとき,路は漫漫たり。北は岡平を越え,ただ悲風正酸たるを聞く。 蹋頓の首を授け,遂には白狼山に登る。神武海外を不動のものとして,永く北に患を顧みることなからん。 **8、平南荊 ''《晉書‧樂志》'' 改上陵為平南荊,言曹公平荊州也。 「漢の《上陵》をベースにした。曹公、荊州を平定する也」 ''《宋書・楽志》'' 序: 漢第八曲上陵,今第八曲平南荊,言曹公南平荊州也。 ・本文 南荊何遼遼,江漢濁不清。青茅久不貢,王師赫南征。劉琮據襄陽,賊備屯樊城。 六軍廬新野,金鼓震天庭。劉子面縛至,武皇許其成。許與其成,撫其民。 陶陶江漢間,普為大魏臣。大魏臣,向風思自新。 思自新,齊功古人。在昔虞與唐,大魏得與均。 多選忠義士,為喉脣。天下一定,萬世無風塵。 ・''訳'' 南荊の何ぞ遼遼たる,江漢は濁りて清まず。菁茅は久しく貢がず,王師は赫く南征す。劉琮は襄陽に拠り,賊たる劉備は樊城に駐屯す。 六軍は新野を廬(いおり)とす,金鼓は天庭を震わせ。劉子面縛して至らしむ,武皇其の成を許す。許して與其は成り,其の民を撫す。 江漢の間は平和を楽しみ,普ねく大魏臣となる。大魏臣,風に向かいて思うところ新たなり。 自ずと新と思えば,功のとどくこと古人にひとし。昔虞(帝舜)與唐(帝堯)あり,大魏の得ること與に均し。 多く忠義の士を選び,喉唇と為す。天下は一定し,万世までも風塵無し。 **9、平関中 ''《晉書‧樂志》'' 改將進酒為平關中,言曹公征馬超,定關中也。 「漢の《將進酒》をベースにした。曹公、馬超を征服し、関中を平定する也」 ''《宋書・楽志》'' 序: 漢第九曲將進酒,今第九曲平關中,言曹公征馬超,定關中也。 ・本文 平關中,路向潼。濟濁水,立高墉。鬭韓馬,離羣凶。選驍騎,縱兩翼,虜崩潰,級萬億。 ・''訳'' 関中を平し,路を潼関に向かう。濁水を渡り,高山に起つ。韓遂馬超と戦えば、群凶は離れ。驍騎を選び、両翼たてれば,虜は崩潰し、挙げた級は万億たり。 **10、應帝期 ''《晉書‧樂志》'' 改有所思為應帝期,言文帝以聖德受命,應運期也。 「漢の《有所思》をベースにした。文帝、聖德をもって天命を受け、天行に応じる也」 ''《宋書・楽志》'' 序: 漢第十曲有所思,今第十曲應帝期,言曹文帝以聖德受命,應運期也。 ・本文 應帝期,於昭我文皇,曆數承天序,龍飛自許昌。聰明昭四表,思德動遐方。 星辰為垂燿,日月為重光。河洛吐符瑞,草木挺嘉祥。麒麟步郊野,黄龍游津梁。 白虎依山林,鳳凰鳴高岡。考圖定篇籍,功配上古羲皇。羲皇無遺文,仁聖相因循。 期運三千歲,一生聖明君。堯授舜萬國,萬國皆附親。四門為穆穆,教化常如神。 大魏興盛,與之為鄰。 ・''訳'' 帝期に応じ,ついに昭らかなり我が文皇,暦を數き天序を継承す,龍は許昌より飛びたち。聡明なること四表に昭かなり,恩德は遐方を動じ。 星辰は垂耀となり,日月為に光を重ねる。河、洛は符瑞を吐き,草木は嘉祥を挺す。麒麟は郊野を歩き,黄龍は津梁に遊ぶ。 白虎は山林に依り,鳳皇は高岡に鳴く。図を考え篇籍を定め,功は上古羲皇に配す。羲皇に遺文無し,仁聖相因りて循り。 期運三千歳,一生聖明君。堯は舜に萬國を授け,萬國は皆附き親しむ。四門は穆穆と為り,教化すること常に神の如し。 大魏は興盛し,辺国こぞって隣国と成す。 >司馬懿の漢詩([[讌飲詩>http://www39.atwiki.jp/sangokushi7/pages/66.html#id_4555c400]])があるが、この10と同じ文句が出る。 **11、邕熙 ''《晉書‧樂志》'' 改芳樹為邕熙,言魏氏臨其國,君臣邕穆,庶績咸熙也。 「漢の《芳樹》をベースにした。魏氏が国を望めば、君臣はうやうやしく従い、諸々の成果は国の隅々まで染み渡るなり」 ''《宋書・楽志》'' 序: 漢第十一曲芳樹,今第十一曲邕熙,言魏氏臨其國,君臣邕穆,庶績咸熙也。 ・本文 邕熙,君臣合德,天下治。隆帝道,獲瑞寶,頌聲並作,洋洋浩浩。 吉日臨高堂,置酒列名倡。歌聲一何紆餘,雜笙簧。八音諧,有紀綱。 子孫永建萬國,壽考樂無央。 ・''訳'' 和して光行き渡り,君臣德を念じ,天下治まる。帝道を登り,瑞寶を獲る,頌聲並びて作りなし,洋洋浩浩たり。 吉日高堂に臨みて,置酒して名倡ならぶ。歌聲一に何ぞ紆余たる,笙簧いりまじる。八音諧に、紀綱有り。 子孫永く万國を建て,壽考(長寿)樂しむに央(おわり)無し。 >文帝の[[大牆上蒿行]]を簡潔にした内容か。 **12、太和 ''《晉書‧樂志》'' 改上邪為太和,言明帝繼體承統,太和改元,德澤流布也。 「漢代の《上邪》を改め、《太和》と為す。明帝の継體承統を言う。太和改元、徳澤は流布される也」 ''《宋書・楽志》'' 序: 漢第十二曲上邪,今第十二曲太和,言魏明帝繼體承統,太和改元,德澤流布。 ・本文 惟太和元年,皇帝踐阼,聖且仁,德澤為流布。災蝗一時為絕息,上天時雨露。 五穀溢田疇,四民相率遵軌度。事務澂清,天下獄訟察以情。 元首明,魏家如此,那得不太平? ・''訳'' 惟太和元年,皇帝を践祚す,聖にして且つ仁,德の澤は流布と為る。災蝗は一時絶息し,上天は時に雨露を降らす。 五穀は田疇に溢れ,四民相率いて軌度に従う。その事務は信にして清、天下の獄訟を情を以って察す。 元首は明たり,魏家此の如し,どうして太平にならないものか。 ----- *コメント  魏の軍隊が外に出撃したとき、出先で鼓楽隊によりドンドコ、ブンガブンガと演奏された楽曲。  当初、繆襲が曹操の命によって作ったという話もあり、「魏国による魏志」という面もある。  しかし見てのとおり、三国志演技やゲームでは物語の始まりを示す「黄巾の乱」や、魏武の強を示す「青州兵」が出てこない。  民への哀れみも、自分の敗北も書いているわりに、なぜ黄巾関係が出てこないのか? 呉も出てこないだけに、なおさら違和感がある。  名士への配慮か。  黄巾賊や青州兵の存在が、禅譲を受けた後の魏にも影響していたのか。  当時と後世の視点の違いによるものなのか。  曹操にとって、魏にとって、黄巾の兵とは何だったのか?  いずれにせよ、このへんの重点の置き方というのは、考えさせられるものがある。 ----- →[[漢詩大会の漢詩全文]]トップへ戻る -----
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