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原文(韋昭)

出典:晋書楽志樂下/四時祠祀(曹毗)・・・タイトル・コメントのみ
宋書楽志(本文)
楽府詩集・・・晋書コメント+本文

1、楚之平

《宋書・楽志》
序:
炎精缺者。言漢室衰。武烈皇帝奮迅猛志。念在匡救。然而王迹始乎此也。漢曲有朱鷺。此篇當之。第一。
「漢の衰微を言う。武烈皇帝は奮迅し志を猛しくする。悪を正し危難から救う。しかるに王の軌跡はここから始まった。漢の《朱鷺》をベースにしたもの。云々」

  • 本文
炎精缺。漢道微。皇綱弛。政德違。
衆姦熾。民罔依。赫武烈。越龍飛。
陟天衢。燿靈威。鳴雷鼓。抗電麾。
撫乾衡。鎮地機。厲虎旅。騁熊羆。
發神聽。吐英奇。張角破。邊韓覊。
宛潁平。南土綏。神武章。渥澤施。
金聲震。仁風馳。顯高門。啓皇基。
統罔極。垂將来。

五行の炎気が欠け。漢道は衰える。皇帝の権威はゆるみ。政治は徳からはずれた。
衆には不満がくすぶり。民は暗き黄巾に集まった。武烈あかるく。龍の飛翔を越え。
天衡を渡り。霊威を輝かせ。雷鼓を鳴らし。いなづまをまとわせ。
地角をつかみ。地気の流れを鎮め。宮廷兵たる虎旅を研磨し。熊のような勇者が馳せる。
神聴を発し。智慧ある言葉を吐き出す。張角を破り。辺章と韓遂を制圧し。
宛や潁川を平定し。南土を開放した。神武あきらか。あつい徳を施し。
(敵は退却のしるしの)金声をふるわせ。仁風は馳せ。高門を築き。皇基をひらく。
罔極を統べ。将来を示す。

2、漢之季

《宋書・楽志》
序:
漢之季者。武烈皇帝悼漢之微。痛卓之亂。興兵奮擊。功蓋海内也。漢曲有思悲翁。此篇當之。第二。
「武烈帝は漢の衰えを悼み董卓の乱を痛み兵を興して奮い攻撃し。功績は海内を覆う也云々」
  • 本文
漢之季。董卓亂。桓桓武烈。應時運。
義兵興。雲旗建。厲六師。羅八陳。
飛鳴鏑。接白刃。輕騎發。介士奮。
醜虜震。使衆散。劫漢主。遷西館。
雄豪怒。元悪僨。赫赫皇祖。功名聞。

漢のとき。董卓の乱に。武勇優れたる武烈帝は。時運に応じ。
義兵をおこし。雲旗を建てる。六師を鍛え。八陳を羅し。
かぶら矢をならし。白刃を接する。軽騎を発し。介士重装兵は奮いたつ。
醜虜は震え。使衆は散じる。漢の主を。西館へ遷す。
雄豪は怒り。元凶に憤る。皇祖あきらか。功名を聞く。

3、攄武師

《宋書・楽志》
序:
攄武師者。言大皇帝卒武烈之業而奮征也。漢曲有艾如張。此篇當之。第三。
「大皇帝が。死んだ武烈の偉業に奮いたって、制圧したことを言う。以下略」
  • 本文
攄武師。斬黄祖。肅夷凶族。
革平西夏。炎炎大烈。震天下。
武軍を述べよう。黄祖を斬り。凶賊の攘夷に成功し。西夏を平らに改めた事を。
炎炎たる大烈。天下を震わせる。

4、伐烏林

《宋書・楽志》
序:
烏林者。言曹操既破荊州。従流東下。欲来爭鋒。
大皇帝命將周瑜逆撀之於烏林而破走也。漢曲有上之回。此篇當之。第四。
「曹操は既に荊を破り。流れにしたがい東下しては。来りて鉾を争わんと欲した。
 大皇帝は将軍周瑜に命じて。これを烏林で迎え撃たせ。逃走させた。」
  • 本文
曹操北伐。拔柳城。乘勝席卷。遂南征。
劉氏不睦。八郡震驚。衆既降。操屠荊。
舟車十萬。揚風聲。議者狐疑。慮無成。
賴我大皇。發聖明。虎臣雄烈。周與程。
破操烏林。顯章功名。

(台湾)註:按後漢荊州所屬七郡。南陽。南郡。江夏。零陵。桂陽。武陵。長沙。
劉表據荊州。又分南郡枝江以西立臨江郡。故此曰八郡。 
曹操は北伐し。柳城を抜く。勝ちに乗じて席巻し。ついに南征する。
劉氏は我々と和睦せず。八郡震え驚く。衆はすでに投降。曹操は荊をほふる。
船車十万。風の声をあげる。議者はそれぞれ狐のように疑い。慮は成らず。
我が大皇に頼めば。聖明を発し。虎臣らは雄烈。周瑜と程普は。曹操を烏林に破る。
かの功名まさに称えるべし。

5、秋風

《宋書・楽志》
序:
秋風者。言大皇帝說以使民。民忘其死。漢曲有擁離。此篇當之。第五。
「秋風は大皇帝が言説をもって民を使い。民は死を忘れ働いた。イカry」
  • 本文
秋風揚沙塵。寒露霑衣裳。角弓持弦急。鳩鳥化為鷹。
邊来飛羽檄。寇賊侵界疆。跨馬披介冑。慷慨懷悲傷。
辭親向長路。安知存與亡。窮達固有分。志士思立功。
邀之戰場。身逸獲高賞。身沒有遺封。

秋風は砂塵を揚げ。寒露は上着を濡らす。
弦の響きは角から急へ。鳩鳥は変化して鷹となり。辺地に舞っては緊急をつげる羽檄を飛ばす。
寇賊は境界を侵す。馬にまたがり甲胃を披き。慷慨しては悲傷を懐く。
親戚の前を辞し長路を向かい。どうして知りうるのか興亡を。
困窮栄達に分け目あり。志士は立功を思い立功を思う。
いざ戦の場に向き合えば。身をたて高貴をえて。身の没しては遺封あり。

6、克皖城

《宋書・楽志》
序:
克皖城者。言曹操志圖幷兼。而令朱光為廬江太守。
上親征光。破之於皖城也。漢曲有戰城南。此篇當之。第六。
「曹操の雄図は併合にあり。朱光を廬江太守に命じた。主上は親征して光を皖城において被る。」
  • 本文
克滅皖城。遏寇賊。惡此凶孽。阻姦慝。
王師赫征。衆傾覆。除穢去暴。戢兵革。
民得就農。邊境息。誅君弔臣。昭至德。

戦に勝ち皖城を取り戻し。寇賊を足止めする。反逆者はこれ悪なり。隠れた姦悪を阻む。
王師かがやかしく出征し。敵衆をひっくり返す。穢れを除け暴は去る。
戦兵は装いをあらため。民は農業に就くことを得て。辺境もひと息をつく。
君に誅して臣を弔う。至徳あきらかなり。

7、關背德

《宋書・楽志》
序:
關背德者。言蜀將關羽背棄吳德。心懷不軌。大皇帝引師。浮江而禽之也。
漢曲有巫山高。此篇當之。第七。
「蜀将関羽が背き。呉の徳を棄て。心は正道から外れんとした。大皇帝は軍をひきいて長江に浮かび。これを破る。」
  • 本文
關背德。作鴟張。割我邑城。圖不祥。
稱兵北伐。圍樊襄陽。嗟臂大於股。將受其殃。
魏夫吳聖主。叡德與玄通。與玄通。親任呂蒙。
泛舟洪氾池。泝涉長江。神武一何桓桓。聲烈正與風翔。
歷撫江安城。大據郢邦。虜羽授首。百蠻咸来同。盛哉三比隆。

【嗟臂大於股】臂は腕、大は天地人の大とも、股は脚の意味で問題ないと思う。こういう言い回しがあるのか?
【魏夫】巍巍とも
【三比隆】無比隆とも

関は徳に背き。鴟張を成す。我がむら我が城を割り。不祥をはかる。
兵の北伐を称して。樊城襄陽を囲む。嗟臂大於股。まさに其のわざわいを受けた。
偉大なるかな呉の聖主。叡徳は玄に通じる。玄に通じては。呂蒙に親任し。
船を洪氾池にうかべ。ゆうゆうと長江を渡る。神武ひとえに強くたけき事。声の烈しさは鳳風の翔るごとく。
めぐっては江安城を撫し。大いに郢邦(楚の都か)による。関羽は捕虜となり首をうたれた。
百蛮がことごとく来て貢ぎ。盛んなる哉、三代の繁栄を迎える。

8、通荊門

《宋書・楽志》
序:
通荊門者。言大皇帝與蜀交好齊盟。中有關羽自失之愆。戎蠻樂亂。
生變作患。蜀疑其眩。吳惡其詐。乃大治兵。終復初好也。
漢曲有上陵。此篇當之。第八。
「大皇帝は蜀と好をまじえ同盟をもたらしたが。関羽は自失によるあやまち有り。蛮族は乱を楽しみ。
変事を生じ患いをなし。蜀その眩を疑う。呉は其の詐称をにくみ。おおいに兵をおさめ。しまいには最初の頃のよしみを復する。
  • 本文
荊門限巫山。高峻與雲連。蠻夷阻其險。歷世懷不賓。
漢王據蜀郡。崇好結和親。乖微中情疑。讒夫亂其間。
大皇赫斯怒。虎臣勇氣震。蕩滌幽藪。討不恭。
觀兵揚炎燿。厲鋒整封疆。整封疆。闡揚威武容。
功赫戲。洪烈炳章。邈矣帝皇世。聖吳同厥風。
荒裔望清化。化恢弘。煌煌大吳。延祚永未央。

【乖微】申微とも
【蕩滌】洗いすすぐ。きれいにする
【幽藪】霧のなかのやぶみたいなニュアンスか

荊門は巫山を限りとし。高く峻しく。雲が連なる。
蛮夷はその険しさに阻まれ。歴史のなか一度も我が地を冒したことはない。
漢王は蜀郡に拠り。よしみを尊重し和親を結ぼうとした。
ひれくれた態度?疑いの情あり。讒夫、其の間を乱す。
大皇の怒りははげしく。虎臣は勇気を震わせる。
山地を流し清めよ。従わない者たちを討て。
閲兵すれば闘志は燃え上がるばかり。幅広の矛は整い辺境を封ずる。整い辺境を封ずる。ひらけば武威をかがやかす。
功績かがやかしく。洪烈のしるし明らかに。遥かなる哉皇帝の治世。聖呉は風もて同じくし。
荒れたるものども清化を望む。偉業を果てまで広めよ。煌煌たり大呉。その祭祀は永く終わりなし。

9、章洪德

《宋書・楽志》
序:
章洪德者。言大皇帝章其大德。而遠方来附也。漢曲有將進酒。此篇當之。第九。
「大皇帝がその徳をあきらかにし。徳に惹かれたものたちが遠方から来る。」
  • 本文
章洪德。邁威神。感殊風。懷遠鄰。
平南裔。齊海濱。越裳貢。扶南臣。
珍貨充庭。所見日新。

溢れる徳をあきらかにし。威神の道を邁(ゆ)く。さまざまな風に感じては。遠き近きを懐かしむ。南裔を平定し。
海濱をひとしくする。越は朝貢におとずれ。扶南は臣従する。珍貨が庭に満ち。見るところ日に新たなり。

10、従暦數

《宋書・楽志》
序:
従暦數者。言大皇帝従籙圖之符。而建大號也。漢曲有有所思。此篇當之。第十。
「大皇帝が籙圖の符に従い大号を建てる。」
  • 本文
従暦數。於穆我皇帝。聖哲受之天。神明表奇異。
建號剏皇基。聰叡協神恩。德澤浸及昆蟲。浩蕩越前代。
三光顯精燿。陰陽稱至治。肉角歩郊畛。鳳凰棲靈囿。
神龜游沼池。圖讖摹文字。黄龍覿鱗。符祥日月記。
覽往以察今。我皇多噲事。上欽昊天象。下副萬姓意。
光被彌蒼生。家戶蒙惠賚。風教肅以平。頌聲章嘉喜。
大吳興隆。綽有餘裕。

【肉角】麒麟の別名。文選李善注「肉角、麟也」
【昊天】尚書尭典「昊天。暦象日月星辰」
【三光】日月星

暦数に従い。柔たり我が皇帝。聖哲を天より受ける。神明は奇異をあらわし。
号を建て皇基はじまる。叡智を聴き神恩と協和する。徳の染み渡ること昆虫にまで及び。広々とした清い流れは前代を越える。
三光は活気の輝きをあらわす。陰陽は至治をたたえ。麒麟は郊外を歩き。鳳風は霊園に棲み。
神亀は沼地に遊ぶ。圖讖は文字をかたどり。黄龍は鱗と会う。符祥は日月に記され。
往き見ては天の命令を察し。わが皇帝は多くの事柄を呑みこむ。上に昊天を欽(うやま)い。下に万姓の意に副(そ)い。
光はいよいよ人民にかぶさり。家戸は恵みや賜り物を蒙り。風の教えは太平をもたらし。祖神への頌(かぐらうた)声は喜びを嘉す。
大呉は興隆して。余裕綽綽である。

11、承天命

《宋書・楽志》
序:
承天命者。言上以聖德踐位。道化至盛也。漢曲有芳樹。此篇當之。第十一。
「主上は聖徳をもって位につき。道は至徳と化し盛んなり」
  • 本文
承天命。於昭聖德。三精垂象。符靈表德。
巨石立。九穗植。龍金其鱗。烏赤其色。
輿人歌。億夫歎息。超龍升。襲帝服。
躬淳懿。體玄默。夙興臨朝。勞謙日昃。
易簡以崇仁。放遠讒與慝。舉賢才。親近有德。
均田疇。茂稼穡。審法令。定品式。考功能。明黜陟。
人思自盡。惟心與力。家國治。王道直。
思我帝皇。壽萬億。長保天祿。祚無極。

【玄喋】喋はだまる
【労謙】地道に働く。易経など

天命を継承し。おいて聖徳あきらかなり。三精は光をたれ。符霊は徳を表す。
巨石を立て。九穂を植え。龍その鱗は金たり。烏その色赤たり。
輿人は歌い。億夫は嘆息する。龍昇を超え。帝服を襲う。
身は威光あつく。天つ果ての深遠を体現する。つとに朝議に臨み。黙々と働けば日が暮れる。
易簡もって仁を崇め。賢才をあげ。近づいては親しむ徳あり。
田うねを耕し。種まき収穫。法令を審査し。品式を定める。功能を考え。功績の評価を明らかにする。
人は我欲を殺し。熱意もて力を興す。家も国も治まり。王道をただす。
我が帝王を思えば。寿命は万億たり。長く天禄を保ち。聖域に極まりなし。

12、玄化

《宋書・楽志》
序:
玄化者。言上脩文訓武。則天而行。仁澤流洽。天下喜樂也。漢曲有上邪。此篇當之。第十二。
「文をおさめ武を訓ずる。天にもとづきおこなう。陛下の仁徳は風や河のように流れ、天下は喜び愉しむ。」
  • 本文
玄化象以天。陛下聖真。張皇綱。率道以安民。
惠澤宣流而雲布。上下睦親。君臣酣宴樂。激發弦歌揚妙新。
脩文籌廟勝。須時備駕巡洛津。康哉泰。四海歡忻。越與三五鄰。
玄化もって天にかたどり。陛下は聖真にあらせられる。皇網を張りなおし。道を率いて民を安堵させる。
恵み雲のごとく流れ。上下はむつみ親しむ。君臣の宴楽たけなわ。激しく弦歌を発しては妙にして新たな音をあげる。
文をおさめ廟に勝算をはかり。須時備え駕を洛津に廻らせる。康なる哉泰平の世。四海は歓喜し。馬車は四方八方の隣を越えていく?。

【康哉】康哉歌がある


コメント


 孫策については記述がない。
 武烈帝(孫堅)から大皇帝(孫権)への正統性を保障するため、孫策が呉の名士に恨まれているため臣下を纏めるのに不都合などの理由が考えられるか。


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最終更新:2019年01月31日 05:56