曹丕が自分の著作で、孔融・陳琳・徐幹・王粲・応瑒(王+陽の右側の字)・劉楨・阮瑀(王+禹)の七人を、この時代でもっとも優れた詩人として挙げたことから。
三曹とこの七子をあわせた「建安の三曹七子」は、漢詩の歴史を語る上で、必ず名前が出てくると言っていい。
実は、全員ゲームに登場する。
うち、孔融、王粲、陳琳が、いわゆる一般武将としてプレイ可能。
他の四人は顔絵まであるのに、漢詩大会の審査員としてのみ登場。たまに自分の漢詩を、自分でこき下ろしたりする。
王粲
→
漢詩大会の漢詩全文/王粲・阮籍・孔融
蔡文姫の父蔡ユウから蔵書を預かり、卓越した記憶力を持つ。曹植とも親交があった。
六十編に近い詩・賦・論・議を著した。代表作として「登楼賦」「七哀詩」。
また中国で最初に「英雄」を定義したという歴史書『英雄記』も編纂している。
高楼を重い足どりでうろうろと周れば、太陽はまさに西に沈み隠れようとしている。
荊州以降の作。
楼にのぼり四方を望めば、江陵荊山といった景勝とともに、曲がりくねった道、乱世の苦しみが見え、私の心を惑わせる。日月は一日一日と過去のものとなり、黄河の水が澄むのはいつの日か。大道に仕え才を発揮するべき日に備えているのに、日輪は沈み無人の荒野は侘びしいままで、私は失意を抱きつつ楼を降りて帰るのだ。
出典:「七哀詩 一」
西京は乱れてかたちなく、豺虎はさらなる患いを狙っている。また中国を棄てて去り……
長安から逃げ出したときを描写した、苦労と哀しみの篭った詩。
阮籍(建安七子の一人、元ウの子)
出典:「詠懐詩」
(其の一首)
夜中に眠れず、起きて座り、琴を弾き鳴らす。薄い帷が名月に照り一…
(其の六首)
お灸もやりすぎれば熱く、財も多すぎると害になる。布衣ひとつで一生を終えるべし。
(其の三十三首)
日が昇っては沈み、沈んではまた昇る。顔色は移り変わり、心は損傷する。
五言八十二首からなる長編。
薄帷は床の四方を覆う、蚊帳みたいな幕。
孔融
出典:「臨終詩」
言葉が多ければ事を成功させることはできないし、底の抜けた穴からは中身が抜けてしまう。河は小さなアリの巣がもとで崩壊し……
涓涓たる小川が集まれば長江漢水のような流れとなり 天窓の光は死者の眠る冥室まで通じるのに、讒言、邪言のたぐいが公正を害し……
心から忠告したはずが忠誠を示すことなく、花が繁るように沢山咲いても何の実も残せずに終わった。
生きていれば慮(おもんばか)る所多く、ながい眠りにつけばよろずの事がおわる。
題名通り、死の間際を詠んだもの。
自分では誠心誠意努力したつもりでも、うわべだけの華やかさで結果を残すことができなかった。信念に生きる事は難しく、周辺の悪意がより私をまどわせる。生きている限り悩みが尽きないならば、今は永遠の眠りにつこうか、それですべてが終わる。
出典:「孔融伝(後漢書-列伝-鄭孔荀列伝)」
坐上、客に恆ち満ち、樽中の酒は空かない。
文字通り、後漢書の孔融伝から引用したもの。本人の作った詩じゃねぇぞゴラァ、という突っ込みは無しよ。
徐幹
出典:「雑詩」
浮雲は何と広々と空を漂うことか。願わくば浮雲に私の言葉をのせて、あの人と意思を通じたい。しかし雲は風にひるがえり、寄せ捕まえることも出来ない。
# 「行雲流水」を詠んだ漢詩。
陳琳
出典:「飲馬長城窟行」
馬が長城の泉の水を飲むと、あまりの水の寒さに馬の骨も傷む。長城の工事監督である役人のところに行って懇願する、
役所仕事には期限というものがある。皆と声を揃えて築城の仕事にとりかかれ!」「男たるもの戦って死ぬべきだ、
長城は連なる連なる、連なって連なって三千里。辺地の城には不健康なものが多く……
夫の手紙にたいする返事が、辺地に届いた。あなたは何をとっぴな事をおっしゃるのですか、……
上の詩句、ゲーム内では、「夫子。報書往邊地、君今出語一何鄙」という範囲で読み下している。
男児が生まれたら取り上げるを慎みなさい。女児を生んだら乳を与え大切に育てなさい。
生むなら女を産め。成長しても長城建築の作業に従事させることになるなら、男の子など産まないほうがいい。
結髪よりこのかた旦那さまにお仕えし、満ちたりた生を過ごし?心を開いております。辺地の苦しみは明らかに知っております。
「慊慊」は飽き足りない、逆に飽き足りると二つの意味がある。前後の流れから、ここでは後者をとった。
万里の長城で修復工事に従属している工事人夫らと妻の苦労を描写したもの。
劉楨
出典:「贈従弟」
高くとおき山上の松、瑟琴のように響く谷中の風。風の声はただの一吹きに、なんと多くが盛りこまれていることか。
最終更新:2019年01月31日 05:56