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原文

出典:《古詩源(近デジ)》
百一詩序に曰く、時に曹爽に対して曰く、「今公巍々の稱を聞けり、いずくんぞ百慮に一失有ると知らんや」と。
百一の名は此にとる。
璩が詩百余編、おおむね時事を風刺せり。

下流不可處。君子慎厥初。名高不宿著。易用受侵誣。
前者隳官去。有人適我閭。田家無所有。酌醴焚枯魚。
問我何功徳。三入承明廬。所占於此土。是謂仁智居。
文章不経国。筐篋無尺書。用等稱才学。往往見歎誉。
避席跪自陳。賤子実空虚。宋人遭周客。慙愧靡如所。

てけとーな日本語

下流は居るべきではない。君子は、その初めを慎重に行うもの。名高くとも、早くに出世しなければ。もって侵誣を受け易い。
かくて官を捨てて、郷里に隠居すれば。我が門を叩く物好きがいる。田家には有るべき所も無く。醴を酌んで枯魚を焚く。
客人が私に問う、「貴方は何の功徳があるというのか。三たび承明廬に入り。人は『貴方が居るこの場所は。仁智の居だ』と噂する。
しかし貴方の作品は経国の力もなく、書籍に記すべき知識も持たない。どうして才学を称賛せられ。往往にして誉れを賛嘆されるのか」。
座席をわきに避けて、床にひざまづき自ら述べる。「賤しき私は実に空虚である。宋人周客に遭い。慙愧してしたがう所なし」。


単語解説

百一詩のタイトルには諸説あり。百一詩序に従う。

【下流】世俗に安住しがたい

【宿め著れずば】平素より長く世間に知られていれば。世間に信用されていれば

【醴を酌んで枯魚を焚】あま酒を飲みかわし、魚の干ぼしを進める

【承明廬】陛下の命令を受ける。
漢代、承明殿の隣に臣下用の事務所を作り、承明廬と称した。
魏文帝は、洛陽では北宮に居し、建始殿で群臣と朝会を行い、その門は承明門という。
明帝の時代になると大極殿など、増築が行われている。

【仁智の居】《論語-雍也》「知者楽水。仁者楽山(知者は水が留まることなく流れるように、物事を処理する。仁者は動かざること山のように、静謐を楽しむ)」。
徳人の住処。転じて山水の趣ある家。

【文章不経国】曹丕の典論「文章経国大業、不朽之盛事」による。

【宋人周客に遭う】
宋の愚人が石を玉と誤認して珍しいぞと保管したが、周人に笑われたために、かえってますます石に固執し保管を厳重にした逸話


コメントという名の抄訳


権力闘争に疲れて隠居してみれば、わざわざ田舎に来てまで、私に文句を言っていく人が要る。
仕方ないので「すみません、私ゃバカなんで」と土下座してみた。

建安文学が終わると、権力から距離を置いた作品が登場するようになる。



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最終更新:2018年12月25日 17:18