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中日辞典案内


(1)『中日辞典(第二版)』商務印書館・小学館共編(小学館 2003年)

 

 中型の中日辞典としては、もはや代表的な存在でしょう。中国語の学習をはじめた人が中日辞典を何か一冊買うとしたら、これがもっとも無難だと思います。収録語数も、親字1万3,500、語数10万、用例9万と比較的多いですし、語法や同・反義語の説明にも紙幅を割いています。

 

 特に、語法部分の説明は、呂叔湘『現代漢語八百詞』(旧版)の日本語訳を含んでいます。同書は、語法(正確には、虚詞というべきかも知れません)の辞書・参考書としては、大変定評があるものですから、その点だけを考えても、この辞書はお薦めできます。

 

 この辞書は、各社から販売されている電子辞書にも収録さ れています。ただし、これら電子版の小学館『中日辞典』は全て、1992年出版の第一版に基づいていることに注意してください(2005年現在)。第一版と第二版とでは、特に例文に少なからぬ変更・異同が見られます。電子辞書を使っている学生諸君は、第一版だけをひいて満足することなく、できれば第二版も確認してほしいと思います。

 

※補足:最近(2007年以降あたり)の電子辞書には、第二版が収録されています。

 

 

 また、高電社(http://www.kodensha.jp/が販売している中国語入力ソフトであるChinese Writer 9付属の「中国語デジタルマルチ大辞典」にも、この辞書が収録されています。この辞書ソフトは、後述する(6)『中日大辞典』も収録されていますし、串刺し検索や例文検索も可能であるなど、検索機能も大変秀逸です。PCで中国語辞書を検索したい方は、現時点ではこのソフトを使うのがよいと思います。

 

 なお、(1)CD-ROM版も発売されていますが、こちらはあまり使いやすくはないので、お勧めはしません。

 

 

(2)『白水社中国語辞典』伊地知善継編(白水社 2002年)

 

(1)と同じく中型の中日辞典です。親字1万1千、見出し6万5千、用例11万。(1)に比べて文法解説やコラムが乏しいので、その意味では、いわゆる「読んで楽しい辞書」ではありません。


 しかし、よく使われる“搭配(現代中国語で、「ダーペイ」と発音します。二語以上の単語の組み合わせのことをいいます)”の意味グループを提示してくれたり、語の持つニュアンスの説明や、語釈・例文の訳などが素晴らしかったりという、他の辞書には見られない長所もあります。

 とくに後者の長所は、翻訳の際にものすごく威力を発揮します。実際私も、一つのことばのニュアンスに徹底的にこだわらなければならない現代中国語の文献(例えば美学なんかがそうですね)を翻訳するときは、この辞書に御世話になりっぱなしです。上級の段階にある学習者は、ぜひこの辞書も使ってみてください。

 

 オムロンソフトウェア(http://www.omronsoft.co.jp/から発売されている中国語統合ソフト「楽々中国語 V5」には、この辞書の電子版が収録されています。書籍の辞書は検索が面倒だという方には、こちらがおすすめです。なお、2008年10月現在、この辞書の電子版はこのソフトにしか収録されていないようです。

 

※補足:ただし2009年5月31日現在、このソフトは販売終了となっています。

 

 

(3)『講談社中日辞典』相原茂編(講談社 1998年)/2002年第二版/2010年第三版

 

 中型辞典です。すべての例文の一字一句にピンインがふられているなど、親切な設計に特徴があります。ただしその分、収録語彙数は親字1万3000字、語数8万4000(第三版)、用例8万5000と、(1)(2)に比べて特に語数/用例数がやや少ない印象です。その意味で、初・中級段階の学習者向けと言えるでしょう。「中国語は大学の二年間しか勉強しない!」という意志の固い(?)学生さん向けかも知れませんね。


 学習用辞典という性格が強いからでしょうか、文法事項や類義語・反義語に関するコラムも、ほかの中型辞典に比べてそれなりに充実しています。

 でも、単純に初学者向けかというと、そうでもありません。たとえばこの辞書、重要な親字については、語義の派生関係を図示する「派生ツリー」が収録されています。この「派生ツリー」は、編者である相原氏がかねてからその重要性を主張していました。実際見ていて興味深いですし、また機能的でもあります。これなどは、上級者向けのシステムかも知れません。また、単語の品詞表示をしているのも、同様の意味で意義深いですね。

 

 また、第三版になって、以下の特徴が加わりました。

 

1、付録のCD-ROM版辞典を用いればPCでも検索可能に。2012年末まで辞書内容がアップデートされる。

2、新語・慣用語を7500語増補した。

3、「類義語」弁別コラムが330項目から417項目に増加。さらに、類義語の区別に重要なコロケーション(語の結びつき)の違いを表で示した。

4、巻末に日中の固有名詞小辞典(5000項目)がついた。人名、地名、作品名(含アニメ・漫画)、企業・ブランド名などを検索可能。

5、二色刷になり図版も変更・追加され、より「見て楽しい」辞書に。

 

これによって、より特色のある辞書に成長したといえるでしょう。

 

 なお、この辞書も現在は電子化されており、電子辞書(Canon製品など)に収録されています(ただし2010年9月現在、電子辞書には第二版が搭載)。

 

 同じく電子辞書に収録されている(1)小学館『中日辞典』とどちらが良いかは判断に苦しむところですが、少なくとも第二版同士で比較すれば、(1)の方が学習用の辞書としてはややすぐれていると私は思います。どちらか迷ったら、小学館が収録されている方を選んだほうがよいでしょう。

 

※補足:

 

ただし、CanonG90V903は別格です。この2機種に収録されている中日辞典は講談社のものですが、それに加えて、愛知大学の(5)『中日大辞典』(大修館)『現代漢語詞典』(商務印書館)も収録されているからです。V903およびその他の電子辞書に関する詳細については、当WEBサイトの「オススメ!中国語電子辞書案内」もご参照ください。 

 

 

(4)『東方中国語辞典』相原茂ほか主編(東方書店 '04)

 

 中型辞典です。東方書店と中国の商務印書館の共同で編集されています。これは、両者が協力して今までにない中国語辞典を作成しようというプロジェクトを立ち上げたからだそうで、本書は、その日本側からの具体的な成果ということになるようです。

 

※補足:ちなみに、商務印書館側の成果としては、『応用漢語詞典』(商務印書館 2001年8月)があるそうです。こちらも、現代漢語の規範辞典として、なかなか高く評価できると思います。

 

 収録語彙数は親字訳1万1000、見出し語(熟語など)4万2000です。中型辞典としては、見出し語の数はやや少ないと言えます。

 

 しかし、雑誌『東方』に連載されていた類義語に関する記事「類義語のニュアンス」、および、それをもとに編集された単行本である『中国語類義語のニュアンス』(相原茂ら編 東方書店 1995年)『どうちがう?中国語類義語のニュアンス2』(同上 東方書店 2000年)の成果が存分に取り入れられており、類・反義語解説が非常に充実しており、この点がこの辞書の最大の特徴と言えます。
 

 また、1つの語について、必ず2、3の用例を掲載するよう努めたとのことで、用例の豊富さも特徴的です。特に、離合詞については、どのように「離れる」のかという事例を具体的に示したとのことです。

 

 

(5)古川裕ほか 編 『超級クラウン中日辞典』 (三省堂 2008年02月)

 

 最近出版された中型辞典です。コメントはもう少し待ってください……。

 

 

(6)『中日大辞典』愛知大学中日大辞典編纂処(燎原書店 '68)/修訂重印 大修館書店 '86

 

 いわゆる大型辞典です。収録語彙数は親字数1万3千、見出し語14万と(1)に比べて多いので、その点は便利です。ただし、語法の説明が(1)よりも乏しい(というより、ほとんど無いに等しい)のが残念です。ですから、専門的な中国語文献を読む時や、(1)には載っていない語彙を調べる時に利用しましょう。上級者向けですね。


 なお、大型といっても他の大型辞典に比べればコンパクトなので、頑張れば持ち運べないことはありません。筆者が学部生の頃は、この辞書をもって大学へ通ったものですが…、でもまあやっぱり重いです。

 最近は、この辞書もデジタル化され、CASIOやCANONの電子辞書に収録されるようになりました。また、前述のように、高電社Chinese Writer 9付属の辞書ソフトにも収録されています。専門的な文献を読む必要がある人は、電子辞書やPC用辞書を購入するならこれらの製品にするべきでしょう。

 

 

(7)『中国語大辞典』(全2冊)大東文化大学中国語大辞典編纂室(角川書店 '94)

 

 (6)よりも更に大型の辞書です。親字1万5千、見出し語26万と語彙数も多く、特に白話語彙を多く収録するところが特徴です。白話小説や戯曲を読む時には、ぜひ参照すべき辞書です。中国文学(とくに古典小説・戯曲)専攻の学生向けですね。


 また、語釈に関しても、(2)に匹敵するくらい(あるいはそれ以上に)よくできていると思います。適当な訳語思いつかず、悩みに悩んでいるときにふとこの辞書を引いてみると、見事なまでに適切な訳語が載っていて大助かりすることが何度もあります。特に美学など、抽象語が多出する文献を翻訳する際には、価値の高さを実感しますね。

 ただしこの辞書、2005年現在は絶版になっているようで、新刊本は入手できません。古本ならば入手可能のようですが、とにかく大部の辞書なので、値段もウン万円とかなり高価です。学生が簡単に買えるものではないですよね。そこで、(8)を紹介しておきます。

 

 

(8)『現代漢日辞海』(全2冊)大東文化大学中国語大辞典編纂室(北京大学出版社 北京 '99)

 

 (7)の大陸における重印本で、内容はまったく同じです。(7)に比べて薄い紙を使っているので、軽くて使いやすく、また値段も(7)よりは安価です。それでも3万円以上しちゃいますけどね…。中文(文学専攻)の院生は、頑張って買いましょう。


 その他の中日辞典としては、次のものがあります。コメントは、もう少し待ってください…。

 

 

『現代中国語辞典』香坂順一(光生館 '82)


『岩波中国語辞典』(簡体字版)倉石武四郎(岩波書店 '90)