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中中辞典(古代漢語)案内

 

 

 以下に、古代漢語の中中辞典について説明します。でもその前に、“古代漢語(古漢語ともいいます)”ということばについて説明しておかなければなりません。

 

 “古代漢語”なんて、あまり耳なれないことばかも知れませんね。それもそのはず、これは実は中国語で、日本ではあまり使われない言い方です。

 

 古代漢語をひとことで定義するのは難しいのですが、誤解をおそれず簡単に言ってしまえば、「昔の中国語(漢語)」のことです。

 

 現代の中国人(漢族)が使うことばを“現代漢語”と呼ぶのに対して、古い時代(だいたい清朝以前だと思ってください)の中国人(漢族)が使っていたことばをこのように言うのです。

 

 日本語の「現代国語」と「古文」の関係に似ているといえば、わかりやすいでしょうか。

 

 このように説明すると、「ああ、高校の時に習った漢文のことね」と思う人もいるかも知れませんね。

 

 そのように理解しても構わないといえば構わないのですが、しかし、この二つは全くのイコールではありません。

 

 たとえば、古代漢語は文言(書き言葉のこと)と白話(「ハクワ」。口語のこと)の両者を含む概念ですが、漢文とは一般に文言のみを指します。それ以外にもいくつかの点で、両者には違いがあります。
 

※補足:中国語の“古代漢語”の“古代”は、日本語の「古代」とは意味が異なります。日本語の「古代」は、古代・中世・近代という時の古代の意味ですが、中国語で“古代”というと、「近代より以前」という意味になることがほとんどなのです。

 

 つまり、中国語で“古代文学”といえば、「中世以前の古代(上古)の文学」ではなく、「近代以前の文学」のことを指すのです。中国語にかなり詳しい人でも、これを誤解している人は多いので、注意してください。

 

 なお、ここでいう「近代以前」とは、多くは「アヘン戦争または辛亥革命以前」を指します。

 

 

(1)『漢語大詞典』(全12巻附録・索引1巻)漢語大詞典編輯委員会・漢語大詞典編纂処編纂(上海辞書出版社 上海 '94)/その後、漢語大詞典出版社より出版

 

 大型(超大型というべきかもしれません)の中中辞典です。現代語も収録していますが、特に古典を読む上で現時点で最も有用な辞書と断言できます。

 

 『大漢和辞典』に比べると、収録語彙数はやや少ないのですが、逆に収録範囲は『大漢和』ほど偏っていません。

 

 

 『大漢和』ではほとんど注意が払われていない口語的語彙や仏教語なども、多く収録しています。語釈・例文も的確で、間違いも少ないですね。

 

 古典を読んでいて真っ先のこの辞書に当たるようになれば、一人前への第一歩を踏み出したと言えるでしょう。

 

 中国の文学や思想、歴史を専攻する大学院に進学した学生は、貯金をはたいてでも(いや、借金をしてでも)買いましょう。
 

 CD-ROM版(現在は第三版)もあります。書籍版に比べるて検索がはるかに楽です。特に第二版以降は、引用も収録されているので大変有用です。

 

 第二版は台湾版(Big5)Windowsが必要になりますが、日本版(JIS)でも動作しないわけではありません。詳しいやり方については、中唐文学会のブログを参照してください。

 

 ただし、慶應大学の千田大介先生の調査によれば、CD-ROM版第二版は文字コードの関係上、収録熟語数が書籍版に比べて一万ほど少ないそうです。要注意ですね。

 

 最新版である第三版は、日本語 Windows でも普通にインストール&動作が可能です。

 

※補足:私自身は第三版を使っていないので、実際の動作やインターフェイス、機能等について詳しいことはわかりませんが、これから購入する方は第三版にしておいた方がよいかもしれません。

 

 

(2)『多功能漢語大詞典索引』中国漢語大詞典編纂所・(日本)禅文化研究所編纂(漢語大詞典出版社 上海 '97)

 

 『漢語大詞典』の語彙索引です。『大詞典』に収録されている二字以上の熟語を、掲載頁と共に示しています。

 

 『大詞典』は、親字については部首及び画数順配列、熟語については二字目の字の画数順に配列されています。

 

 これはこれで、伝統的に意味のある配列なのですが、引くのに手間がかかるのも事実です。漢字を見て、すぐにその字の画数がわかる人は、世の中にあまりいませんからね。

 そんな人でも、これを使えばそれほど苦労することなく『大詞典』を引く事ができるので、便利です。

 

 実はこの本、『漢語大詞典』を検索するための索引という用途以外にも利用方法があります。

 

 手稿本(手書きの本のこと。中国古典で言えば、敦煌文書や小説の原稿などが相当します)を読む際、虫食いや穴あき等で字が欠けて読めないことが結構ありますが、そんな時にこの索引が大変有用なのです。

 

 書けて読めない字が熟語の一部である場合は、この索引を使って欠けた文字を類推することが可能だからです。

 

 また、言語学(特に語彙論)の資料としても、一級の価値を持っていると思います。

 

(3)『漢語大詞典詞目音序索引』漢語大詞典編纂所編(漢語大詞典出版社 上海 '03)

 

 これも『漢語大詞典』の語彙索引です。(2)と同じく、『漢語大詞典』の二字以上の熟語と掲載頁を収録しています。

 

 両者の相違点を説明します。

 

 (2)は、熟語が親字の画数順に配列されています。

 

 従って検索する場合は、「親字の掲載頁を調べる」→「その親字に属する熟語の『大詞典』における掲載頁を調べる」と二動作が必要になります。

 

 一方(3)はピンイン順の配列です。

 

 従って、熟語のピンインさえわかっていれば、一動作で熟語の掲載頁を知ることができるわけです。とても便利ですね。

 

 この索引のおかげで、『大詞典』を検索するのが本当に楽になりました。もっとも、CD-ROM版の便利さには及びませんけどね。

 

 

(4)『漢語大詞典拾補』王宣武(貴州人民出版社 貴陽 '99)

 

 『漢語大詞典』を訂補したもの。特に引用についての補足・訂正を中心としています。

 

 

(5)『辞源(修訂本)』(全4巻)広東・広西・湖南・河南辞源修訂組・商務印書館編集部(商務印書館 北京 '79~'84)

 

 (5)は(1)が出版されて以降、引かれる事が少なくなってしまいましたが、実は(1)は(5)を基礎とした上で編纂されています。

 

 ですから、(1)には収録されていない語彙が、こちらに収録されている事も間々あります。特に、固有名詞にその傾向が強いですね。(1)と共に参照すべき辞書です。

 

 なお、『辞源』には解放前(中華人民共和国設立以前)に編纂された版もあり、内容が解放後の版と相当に異なっています。注意してください。

 

 

(6)『辞源修訂本索引(四巻本・四角号碼)』安凱平・胡純華(商務印書館 北京 '91)

 

 (5)の語彙索引です。(2)と同様、(5)に収録されている熟語を掲載頁と共に列挙しています。こちらは四角号碼順の配列なので、四角号碼が使える人には役に立ちます。

 

 

(7)許少鋒 編 『近代漢語大詞典』(全2冊)(中華書局 2008年08月)

  

 元雑劇と明人小説及び唐代から清代までの戯曲・小説・仏教徒語録・敦煌変文・宋儒講学録・使臣談判実録・元代散曲・白話碑校・刑部案例及び他の古代俗文学作品に現れた、いわゆる「近代漢語」の語彙約5万条を収載しています。

 

 古漢語詞典や現代漢語詞典の収録範囲から漏れた語彙が数多く含まれていますので、実用性が高いといえます。

 

 

(8)陸澹安 編 『小説詞語匯釈』(上海錦繍出版社 2009年03月)

  

 本書は、古典小説に関係する語彙を収録している辞典です。古典小説を専門としようとする方にとっては、必須の辞書といえます。

 

 

(9)陸澹安 編 『戯曲詞語匯釈』(上海錦繍出版社 2009年03月)

  

 (8)と同じく、陸澹安氏が編纂した辞典です。陸澹安(1894~1980)は、古典戯曲・古典小説・書道・金石・碑版など様々な分野で高い業績をあげた高名な学者です。

 

 (8)が中国の古典小説を読む際の必携の辞書であるのに対し、本書は古典戯曲を読む上での必携書といえます。