アーヴ

アーヴ



概要


遺伝子操作によって、宇宙空間の生活に適応した人類の子孫。
ここでは階級としての意味ではなく、人種としてのアーヴについて説明を行う。


外見


髪は緑から紫と幅があるが、青系統の色の髪を持ち、一般的に ―― ただ、稀に美的感覚が標準と著しく異なる場合がある ―― 美形である。

さらに、氏族の外見的特徴である「家徴(ワリート)」が、遺伝子レベルで刻み込まれている。
先の尖った「アブリアルの耳(ヌイ・アブリアルサル)」、紅玉のような「スポールの紅瞳(キレーフ・ピアナ・スポル)」などが有名な家徴として知られている。


空識覚


額にあるフローシュ(空識覚器官)は、彼らに空間把握の特殊能力を与えている。

生体器官としては、額にある菱形で真珠色の器官「空識覚器官(フローシュ)」と、額の奥、脳の前頭葉に位置する「航法野(リルビドー)」と呼ばれる領域で構成される。
ただし、これらの生体器官だけではほとんど用をなさず、空間情報を収集し空識覚器官に送り込むための人工器具である「頭環(アルファ)」を必要とする。

空識覚器官は、1億以上の微細な眼の集合体で構成された感覚受容器官であり、本人用に調整された頭環がとらえた周囲の空間の情報を受け取り、それを航法野に伝える。

航法野は、空識覚器官から送られた情報を受容・再構成し、周囲の空間を把握する。また、宇宙船操縦のための運動も司るものとされている。

この能力のため、頭環を装着したアーヴ種族に対しては、後方や上方からであっても、気付かれないように近付いたり尾行するのは非常に困難である。

空識覚は、艦艇の操縦の際に、最もその役割を発揮する。小型艦艇の艦長や大型艦の航法士といった艦艇を直接操縦する者は、頭環の側部に付属する鎖状の器具である「接続纓(キセーグ)」先端の菱形の部分を操縦席の接続スリットに挿入することで、艦艇周囲の空間の状況を空識覚で直接認識することができる(艦外空識覚と呼ぶ)。
操縦者自身が艦艇の生体レーダーと全方位カメラになるようなものであり、艦外の状況に応じた迅速な操艦を可能とするが、戦闘などにより艦艇が損傷した場合は、その被害を航法野で直接知覚することになり、意識が遠のくほどのショックを受けることがある。

なお、空識覚以外の一般人と同じ5感についても、聴覚においては絶対音感を持ち、その他の感覚も鋭敏に調整されている。


宿命遺伝子


アーヴには皇帝に対する絶対的な心服や忠誠という概念が無く、しばしば皇帝や皇族は揶揄の対象となる。
ある皇帝が不敬罪を作ったが、実際に運用するとアーヴ貴族の大半を逮捕しなければならなくなるため死文化しているというエピソードもある。

その一方で組織・帝国への反抗が起きたことも無く、これはアーヴに植え付けられた宿命遺伝子によるものである。このためアーヴの歴史に(地上人主体の地上軍による反乱を除き)内乱はない。
また、皇族同士での血生臭い権力闘争や、有力貴族による簒奪・クーデターが試みられた例もない。


生誕と寿命


アーヴの生殖は主に人工授精によって行われ、その後、親の手による遺伝子調整がなされ、人工子宮で育てられる。
なお、基本的には愛する異性に遺伝子を提供してもらって子供を作るが、他のパターンも存在する。アーヴ社会には結婚制度はなく、親と呼ぶ相手は1人だけである。

もちろん、遺伝病などの不都合は、遺伝子調整の時点で全て排除される。
特に、地上人と生物学的なアーヴとの間では、通常の受精だけでは深刻な遺伝病がかなりの確率で発生するため、遺伝子調整は必須である。(アーヴ同士であれば、全く遺伝子調整をしなかった例もある。ラフィールなど)


身体


誕生後、しばらくはホモ・サピエンスと同様の成長をするが、青年期に達した後は肉体的に老化することはなく、若々しい姿を保つ。
寿命は平均230年から250年である(脳細胞に限界が来たら呼吸が止まるよう遺伝子操作されている)。

アーヴの先祖はワムリア(重力制御機関)がなかったため、高加速でも無重力でも生活できるように身体を造った。
その遺伝子は、今もアーヴの受け継がれている。
酒を飲んでも、遺伝的に泥酔できない。
ほろ酔いぐらいならなる。


アーヴの地獄


アーヴは人に究極の苦痛を与えるために科学の粋を集めた施設、アーヴの地獄を持っており、アーヴに不当な危害を加えた者に復讐する目的でこれを用いている。
第11代皇帝ドゥグナーの命令によって建設された。

復讐は必ず果すとの悪評と復讐の残忍性こそがアーヴの安全を守るための抑止力となると考えられており、復讐は彼らの存在理由の1つともなっている。

もっとも、建設を命じられた技術者が名前を記録に残さないことを条件として作った、あるいは実際にどのような苦痛が与えられるのかは不明という事もあり、単なるブラフである可能性も示唆されている。


性格


生物学的なアーヴは、自らを「星たちの眷属(カルサール・グリューラク)」と呼び、星を渡る交易と戦闘を最大の生きがいとしている(モンゴル帝国と類似している)。

ダーズ(宇宙空間)を住まいとすることを誇りとし、ヴォーダ(諸侯)であってもガリューシュ(軌道城館)から、めったにナヘーヌ(地上世界)におりないのがアーヴの常。
むしろ、地上世界を恐れてすらいる。
代官に業務を任せきりにし、軌道城館すら留守がちな諸侯も多い。

また、性格は「アーヴ、その性、傲慢にして無謀」と地上世界や他の国々に広く知れ渡っている。
アーヴの間でも、「例の評判」というだけで通るほど有名な言葉。
そのように評されるアーヴだが、むこうみずな行動に出るときは、それなりの理由がある。
逃げることが可能なのに、あえて勝てない相手に挑むのは、ラブール(星界軍)ではそれなりの理由があると見なさない。

ただし、戦術的な後退はともかく、戦略単位では大きく違う。
戦いにさいして、アーヴは情け容赦なく、限度を知らない。
敗北が予想されてる状況でも傲然と戦端を開き、ひとたび戦端を開くと妥協はありえず、敵国の星間航行能力を奪い、解体して星系単位でフリューバルに編入するまでは鉾をおさめないのを常とする。

アーヴに人質は通用しない。
たとえスピュネージュ(皇帝)その人を人質にとり、ごくささやかな要求を出したところで、フリューバル(帝国)が要求を呑むことはありえない。
その卑劣さに見合った報復を受けるだけのこととなる。