NMMS-Y21GN アヘッドⅢ

NMMS-Y21GN アヘッドⅢ

概要

NMMS-X16GN  アヘッドⅡをベースに統合整備計画への対応と最新技術の導入を行う事アヘッドシリーズの性能向上を図った試作MS。

  • GNハイブリッドフレームの導入とナイトロシステムの採用による操縦性の向上
  • 統合整備計画に対応した共通マニュピレーターによる各種武装の共通化
  • GNコンデンサー及びリバーススラスターを兼ねた多機能追加装甲『シュルツェン』の装備
  • 二基の太陽炉を装備した事による総出力の増加
  • バックアップ換装による多用途機化

などの改修がされており、GNX-803T ジンクスIVATTSF-01A 心神に匹敵、一部性能は凌駕する高性能MSとなったが、改修費用の増大に従うコストパフォーマンスの悪化によって10機ほどが先行量産されるに留まっている。先行量産された内の一部が第13独立義勇師団『アインザッツグルッペ』に配備され、司令部付小隊小隊長 結城レド大尉の専用機として運用されている。

カラーリングはアヘッドレッドとも呼ばれる深紅色。増加装甲部分は黒色となっている。

機体構造

機体フレームの大半は従来と同様のGNカーボンと軽量カーボンフレームの併用式であるが、コクピット周りと一部駆動系にGNハイブリッドフレームを採用している。また機動性の向上に従う慣性モーメントの増大に備えて関節部分にPS装甲を用いたフェイルセーフ機構を搭載しているのも特徴である。サイコフレームによる剛性もあいまって機体剛性は極めて高く、多少無理な機動も難なくこなす事ができる。

関節駆動システムには『粒子圧縮駆動システム』と呼ばれる最新の物が用いられている。これは装甲内部に貯蔵されたGN粒子を用いた駆動機構。表面に展開した格子状の粒子フィールドによる加圧・減圧によってシリンダーを稼働させる、所謂粒子版油圧式駆動である。高出力ながら機器の小型化・軽量化が可能であり、なおかつ装甲による防御が難しい関節部表面にGNフィールドを展開している事で一定の防御力の付与が可能となっている。 ただし、信頼性を重視して一部駆動系にはサイコフレームを編み込んだ繊維式関節駆動システムが併用されており、瞬間的な出力においては同時期の高性能機を凌駕している。

装甲は同時期に開発された機動兵器と同様に粒子充填型発泡金属素材と粒子蓄層型耐弾装甲の併用式を用いているが、増加装甲『シュルツェン』の貯蔵粒子を併用する事で従来のそれよりも高濃度の粒子フィールドを生成、装甲とする事が出来る。本機の強化型粒子蓄層型耐弾装甲が後のプライアルアーマーの原型となっている。

両肩にはATTSF-Y02A ノスフェラトゥ Nosferatuの物と同様に開放型粒子加速帯展開機能を持った回転式ターレットノズルを搭載しており、フィールド・バレルによって粒子の解放ベクトルを自在に偏向する事で高い運動性を発揮する事ができる。また、膝部にも制動用のリバーススラスターが装備されている。

換装機能

本機はバックパックの換装が可能となっており、作戦目的に応じてバックパックの換装と各部アタッチメントに追加装備を搭載する事で多様な任務に対応する事が可能である。計画では砲撃戦仕様や簡易可変機構を実装したバリエーションが予定されていたが、先行量産仕様に存在するのは最もオーソドックスな高機動型のみとなっている。

高機動型はバックパックが試作型高機動ユニット『シュトルム・ブースター』に換装されたモデルである。これはバックパック左右に配置された2基の可動式スラスターポッドと後部の大容量プロペラントタンクを兼ねたテールブースターで構成された高機動型装備である。スラスターポッドはバックパックと接続されるサイコフレーム内蔵の可動フレームによって自身の脳波・思考と連動して自在に推力方向を変化させることが可能で、ポッド自体の質量移動を活かしたAMBACシステムとしての機能も有する。その鋭角的かつトリッキーな挙動は極めて良好な成績を示しているが、シュツルム・ブースターは、その長大さゆえユニット重心と機体重心が大きくかけ離れてしまい、特に横移動の際に発生する余剰モーメントの存在によってアヘッド系列としては極めて扱いがビーキーな機体となってしまっている。

コクピット

データが直接投影される球型全周囲モニターが備えられ、コクピットモジュールは全球型となっている。モジュールそのものは腹部に搭載され、緊急時の脱出ユニットとして機能する。

本機のコクピットは360度回転式リニアシートという方式になっている。これはコックピットの構造がリニアシートを含めた内殻と、それを包むようにしてある外殻とに完全に分かれているタイプのコックピットである。通常のタイプでも過剰な遠心力防止のために上下左右にいくらか可動出来るよう内殻と外殻が分離されているものだがこの場合は必要に応じて内殻部分が外殻と干渉せずに360度回転が出来るようになっている。極端な例を挙げれば、機体がどんなに回転したり向きを変えたりしてもパイロットの乗るコックピットは微動だにしないようにでき、空間失調を防ぐ事ができる。 また、内殻と外殻の間の空洞はGN粒子を充満させる事で慣性を制御、衛士にかかる負荷を大きく軽減している。

内殻と外郭が完全に分離されて回転する為に普通にコード類でその間を繋ぐことは出来ず、人間の神経細胞に見られるシナプスのシステムを参考にした送信機と受信機間の情報伝達とそれによる電位変化を機体内の電子センサーが感知して情報伝達を行うというシステムを採用している。

太陽炉

本機の太陽炉は粒子再変換式過給器付きの物を採用。本来胸部の一基のみが採用されていた太陽炉は大型化したリアスカートアーマー内に追加で一基外付けされており、太陽炉を二基装備する高出力機となっている。

アビオニクス

従来の専用機や一部最新鋭量産機に搭載されていた補助制御システム『IPSCS(Integreted Phycomu Suppert Contorol System)』はあくまで機体全ての制御ではなく、よりシステマチックな補助制御を行うものであり、ターゲットの補足や指定、火器の発射、粒子フィールドの展開などを脳波制御によって行うという物であった。しかし、本機はGNハイブリッドフレームを搭載する事でサイコフレームを用いたより完全な脳波制御による思考操作が可能となっている。

しかし、サイコフレームの性能を最大限引き出す為には相応の適正が必要である。そこで開発されたのが『ナイトロシステム』である。主に機動兵器に用いられるサイコフレームによる制御、ないし『サイコミュ』の原理は人間の出す脳波を機械によって検知し、それを脳波パターンに応じた機械語に翻訳することによって機体やファンネルやドラグーンシステムといった機動砲台を操作するという物である。当然検知するには一定水準以上の脳波でなくてはあらず、詰まるところNTというのは『一定以上の脳波を持つ人間』に過ぎない。勿論厳密に言えばそれに付随してNTには驚異的な直感能力や感応力を有するという特徴があるが、単純にサイコフレームやサイコミュを作動するには一定以上の脳波さえあればNTである必要はない事となる。

ナイトロシステムとはその発想から生み出された一種の脳波増幅装置である。強化装備に新たに付け加えられたヘッドセット内に増幅装置を取り付け、脳波を増幅させる事でサイコフレームに検知させ、例え一般的な兵士であってもまるでNTが操るかのようにサイコミュないしサイコフレーム搭載機を操る事が可能となる。同様にサイコフレーム内蔵型の銃火器や機動砲台もスペック通りの性能をフルに活用する事が可能である。

多機能追加装甲『シュルツェン』

GNコンデンサー及びリバーススラスターを兼ねた多機能追加装甲。GNカーボン製の追加装甲にGNフィールドを内部で生成する為の中空構造を用いた装甲であり、コクピット付近の胴体部と両肩、膝部、腰部などに装備することで耐弾性能を大きく向上させている。表面にスリットが設けられ、このスリットから高濃度圧縮粒子を噴射する事でリバーススラスターとしても機能させる事が可能となっている。

腰部の追加装甲は突撃銃の予備弾倉を兼ねているのも特徴。

武装

AMWS-G12 試製次世代多目的突撃銃

AMWS-G11 先進型多目的突撃銃に代わる制式装備として開発された突撃銃。UPW仕様に沿った36mm電磁加速式機関砲が搭載されている事や各部にオプションを後付けする為ピカティニー・レールやスモール・レールが各部に装備している点など多くはAMWS-G11と変わらない。

特徴は120mm滑腔砲の代わりにF.B.Lが装備される事でビーム兵器との統合が図られ、さらに標準装備されていた銃剣が放熱板を兼ねられる様になった事である。F.B.Lはモジュール化されており、120mm滑腔砲への換装や他の装備へ換装する事は容易であり、多様な任務へ対応することができる。

もう一つ、最大の特徴は銃身にGNハイブリッドフレームを採用した事で脳波連動による高精度予測照準が可能となっている事である。各種センサーで得た空間情報を直接パイロットに伝達、脳波を照準に反映させる事で正確な照準が可能となっているが、本機はさらにそれを補助する為に独立型火器管制システムを標準で装備。これによってスナイパーライフル並みの命中精度を標準的に備えている。

本機の場合は非使用時は腰部サイドスカートアーマーにマウントされる。アーマーにマウントされたままでも射撃は可能である。

GNビームバルカン

頭部に装備された近距離用ビーム兵器。速射性能に極めて優れており、一撃辺りの出力は低いものの、その速射性能によって高い牽制・迎撃性能を持つ。パイロットの脳波を感知して自動制御で発射されるのが特徴。さらに銃身内に装備された小型ビーム偏向器によって頭部を動かさずとも、ある程度射線を偏向させる事ができる。射線の偏向は網膜連動型の照準装置と連動して行われる。

多目的追加装甲

戦艦用の複合装甲と同一素材で構成される盾。下部に刺突用のカーボンブレードを装備すると同時にリアクティブアーマーを後付けできる為、防御用装備のみならず近接兵装としても利用ができる。戦術機用のそれと比較すると取り回しを優先して小型となっており、強襲用ブースターとしての機能も持たない為に限定的な性能しか持たない。その代わり、裏面にパンツァーファウストをマウント可能となっている。

MA-M99 フランベルジュ

マティウス・アーセナリー社製の新型ビームサーベル。ビームサーベル本体を全てGNカーボンで構成しており、さらに超小型粒子再変換式過給器を内蔵した事で本体の粒子生成量に関係なく、長時間に渡って高出力ビーム刃を展開可能となっている。さらにF.B.Lを応用した開放型粒子加速帯を展開する事で一時的なビーム刃のさらなる高出力化が可能となっており、従来の品をはるかに上回る切れ味を発揮する事ができる。
非使用時は肩部アーマー内に収納している。

装備一覧

コンフォーマルアレイレーダー
粒子蓄層型対弾装甲
粒子圧縮駆動システム
繊維型関節駆動システム
GNカーボン
液体窒素充填型軽量カーボンフレーム
第三世代型搭乗者保護システム
統合戦術情報伝達データリンクシステム
OBLシステム(オペレーション・バイ・ライトシステム)
バイオコンピューター搭載型教育式OS
作戦行動予測システム
ナイトロシステム
GNハイブリッドフレーム

機体バリエーション


NMMS-Y21GN アヘッドⅢ(レプリカント・ファースト仕様)


戦闘時のデータ収集を目的にアインザッツグルッペ司令部付小隊ブルート小隊に派遣されたレプリカント・ファーストに用意された機体。
アーヴと同じ身体を持つ彼女のために艦外空識覚が用意されており、空間把握能力は抜群に高い。
対G耐性の高さも生かすために、Gリミッタを制限解除している。
それ以外にも改修を行うことが検討されていたが、機体の素性の良さと目的がデータ収集であることから、見送られている。
最終更新:2013年05月15日 00:26