題名:箱庭キットの危険性 登場キャラ:ルシア、ミルカ、ユーノ、パンドラ、バルト、パフ 場所:箱庭キットの中、および船長室 概要:薬草を植える計画を立て、箱庭キットに入ったルシアたち。一方、バルトがルシアを探し出し・・・ ユーノ「へえ、これが箱庭キットの中ですか。本当、よく出来てますねえ」 ルシア「でしょ?畑まであって、ちゃんと作物を育てられるんですよ。ほら、これが前教えてもらった、アルボスの苗木」 ユーノ「わあ、もうこんなに大きくなってるんですね」 ミルカ「す、すごいです。こ、これなら、薬草もたくさん、う、植えられますね」 ルシア「そうなんですよ。ただ私、ライフセージ以外、育てたことなくて・・・。そこで、出来ればミルカさんとユーノさんにお手伝いしてもらえると、助かるんですけど・・・」 ユーノ「お安い御用です。どんどん植えましょう」 ミルカ「わ、私も。こ、今度種とか、た、たくさんもってきますね」 ルシア「本当?ありがとうございます」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・同時刻、船長室内、箱庭キットの外・・・・・・・・・・・・・・・ バルト「バウッバウッ」 パンドラ「お、バルト。自分、ドア開けられたんか?」 バルト「ハッハッ」 パンドラ「そないか。元から、ちゃんと閉まっとらんかったんやな」 バルト「バウッ」 パンドラ「ルシア嬢ちゃん?今はその箱庭キットん中や・・・。わ、こら!机の上乗ったらあかん!」 バルト「クンクンクンクン・・・」 パンドラ「バルト、降りて来。匂い嗅いだって、嬢ちゃん出て来ぃひん!」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・同時刻、箱庭キット内・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ユーノ「あれ?何か、急に暗くなりましたね?」 ルシア「そうですね・・・」 ミルカ「きゃああああああああ」 ルシア「な、何?ミルカさん・・・って、わあああああ!」 ユーノ「な、何ですか!?あの、巨大な獣?」 ルシア「わ、わ!こっち向いてる!」 外からパンドラの声「嬢ちゃん、嬢ちゃん、聞こえるかぁ!?」 ルシア「この声・・・パンドラ!?」 パンドラ「今、バルトがキットの匂い嗅いどんねん!聞こえとったら、早う逃げ!」 ルシア「あ、あ、あれ、バルトなの!?」 パンドラ「あ、あかん!めっちゃ尻尾振っとる!早よ逃げ!今じゃれつかれたら、潰れてまうで!」 ルシア「んなこと言ったって!バルト、出口の方にいるし!」 ユーノ「ルシアさん、こっち!家の中!」 ルシア「そ、そうね、とりあえず中入りましょう!ミルカさんも早く」 ミルカ「は、は、はい」 だだだだだっ、バタン ルシア「ふう、とりあえずはこれで、安全ね・・・」 ミルカ「で、でも、どうやって、こ、ここから出るんですか?」 ルシア「そうねぇ・・・」 ユーノ「バルトくんが飽きるのを待つしかないんでしょうか・・・」 ルシア「飽きてくれればいいけど・・・」 ミルカ「そ、外にいるパンドラさんに、な、何とかしてもらえないでしょうか?」 ルシア「それを期待したいですけど・・・。さっきの様子じゃ、私達の声は向こうに聞こえてないみたいだし・・・」 ユーノ「困りましたね・・・」 ミルカ「ううう・・・」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・同時刻、箱庭キットの外・・・・・・・・・・・・・・・・ パンドラ「バルト、バルト!ええかげん降りて来。自分がそこおったら、嬢ちゃんたち出て来れへん」 バルト「ハッハッハッハッ・・・・」 パンドラ「あかん、聞く耳持たずや・・・。せや!パフ、パフ!」 パフ「ピィ?」 パンドラ「ちょっと手伝ってくれへんか?バルトに机から降りるよう、説得してほしいねん」 パフ「ピィ、ピィー」 パンドラ「お、やってくれるか」 パフ「ピィー、ピィー」 バルト「ハッハッハッハッ」 パフ「ピィー、ピィー」 バルト「バウッ」 パフ「ピィ?ピィー!」 パンドラ「え、ちょっ、何自分、丸め込まれとんねん!一緒なってじゃれたら、あかんやろ!」 パフ「ピィー、ピィー」 バルト「バウッ、バウッ」 パンドラ「あかん!そない突っついたら、キット落ちる!落ちるがな!って、あああああ!」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・同時刻、箱庭キット内・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ルシア「ちょっ、何この揺れ?二人とも、何かにつかまって!って、きゃあああああ」 ユーノ「わああああああああ」 ミルカ「きゃあああああああ」 ガシャーン ルシア「いたたたたた・・・ミルカさん、ユーノさん、大丈夫?」 ミルカ「な、何とか・・・け、怪我とかはないみたいです」 ユーノ「私も大丈夫です。けど、この状況・・・」 ミルカ「うう、ゆ、床が、す、垂直に・・・」 ルシア「・・・ものの見事に、横倒しになっちゃってますね・・・」 ユーノ「・・・家具が落ちてこないのは、不幸中の幸いでしたね・・・」 ルシア「と、とりあえず、こっちの窓から外の状況を見てみましょう・・・って、ぎゃあああああ!」 ユーノ「ど、どうしたんですか?」 ルシア「目玉!巨大な目玉が、窓の外に!」 ミルカ「ル、ルシアさん、お、落ち着いて・・・」 ルシア「しかも血管走ってて、脈打ってる!怖ぁあああああ!」 パンドラ「その声、ルシア嬢ちゃんか?」 ルシア「あ、あんたパンドラ!?って、こっち向くな、怖い!」 パンドラ「堪忍してや」 ルシア「あ、あんた、今、私の声、聞こえてるの?」 パンドラ「流石にすぐ近くやからな。今、キットがわいの体ん中、はまり込んどんねん」 ルシア「うわ!気持ち悪っ」 パンドラ「あんまりや・・・」 ルシア「あ、ごめん。・・・あんた、よくその状態で流暢に喋れるわね?」 パンドラ「そら、口のつくりが嬢ちゃんたちとは違うさかい。問題ないわ」 ルシア「そうなんだ。・・・とにかく、何とか外に出てみるわね」 パンドラ「ま、待ち!そらあかん!あかんて!」 ルシア「え、どうしてよ?」 パンドラ「今外出られたら、嬢ちゃん、わいの中で大きなるがな!わい、破裂するがな!」 ルシア「それは・・・確かに嫌ね・・・。でも、どうするの?」 パンドラ「一旦キットを外出すわ。揺れるやろうから、何かに掴まっててくれへんか?」 ルシア「分かったわ。ミルカさんとユーノさんも・・・」 ユーノ「もう掴まってますよ」 ミルカ「わ、私も・・・」 ルシア「なら大丈夫ね。パンドラ、お願い」 パンドラ「分かったわ。んぐ、んぐぐぐぐぐ・・・。あかん、がっちりはまり込んでて動かへん。バルト、パフ、ちょっと手伝ってくれへんか?」 遠くからバルトの声「バウッ、バウッ」 遠くからパフの声「ピィー、ピィー」 ぐぐぐぐぐ・・・すぽっ 遠くからパンドラの声「ふう、やっと抜けたわ、って・・・バルト、あかん!」 ルシア「きゃあああああ!な、なによこの揺れ!」 ユーノ「わ、わ!」 ミルカ「きゃああああああ」 遠くからパンドラの声「嬢ちゃん、聞こえるかあああ!?」 ルシア「パ、パンドラ!?」 遠くからパンドラの声「今、バルトとパフが、キットの取り合いっこしとんねん!」 ルシア「な、なんですとぉ!?」 遠くからパフの声「ピィー」 遠くからパンドラの声「あ、今パフが取った!」 ユーノ「わ、わ、わ!」 遠くからパンドラの声「パフ、あかん!咥えたまんま旋回飛行したらあかん!」 ルシア「うわああああ!遠心力、遠心力がああ!」 ミルカ「ル、ルシアさあああん」 ルシア「うわああ!ミルカさん飛ばされそう!しっかり、しっかり掴まって!」 ミルカ「うううううう」 遠くからバルトの声「バウッ、バウッ」 遠くからパンドラの声「パフ、パフ!ええ子やから一旦床降り!な?」 パフ(咥えたまま)「キュウウ?」 遠くからパンドラの声「せや、せや。ええ子や。そのままキット離し。せや、ええ子や・・・。って、バルト!」 ルシア「あああああ!また揺れがああああああ!」 遠くからパフの声「ピィー、ピィー」 遠くからパンドラの声「大人しゅう、大人しゅうしい!ああ、もう、『ジョーカーデス』!」 遠くからパフの声「ピィ!?キュウウン」 バルト(咥えたまま)「クゥン」 遠くからパンドラの声「ふう、何とか落ち着いたわ。パフ、バルト、堪忍な。回復してもらえるよう、後で嬢ちゃんらに頼んどくさかい。嬢ちゃん、もう大丈夫やで」 ルシア「・・・うう、ひどい目に遭った。二人とも、怪我はないですか?」 ユーノ「何とか」 ミルカ「わ、私も、だ、大丈夫です」 ユーノ「とにかく、これでようやく外に出られますね」 ルシア「そうですね・・・」 遠くからパンドラの声「あ、あかん!」 ルシア「?」 ミルカ「ど、どうしたんでしょう?」 ユーノ「さ、さあ?」 ルシア「何か、嫌な予感がする・・・」 遠くからパンドラの声「キットの出口、バルトの口ん中や!これじゃ嬢ちゃんら、出られへん」 ルシア「んなっ!?」 ユーノ「そ、そんな・・・」 ミルカ「うううう・・・・」 END