作題:スナイパーと私 作:なかさとあきら 場所:飛行船内(ウォルソンの部屋、工房、デッキ) 登場キャラ:エイミィ、ウォルソン、ルシア、メアリー、コリオ、ノイン 概要:人間と対峙すると、躊躇いが出てしまうエイミィ。そんな彼女にウォルソンが与えたアドバイスとは・・・ エイミィ「ウォ、ウォルソンさん!」 ウォルソン「うん?」 エイミィ「わ、わ、私に、人の殺し方を教えてください!」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ウォルソン「・・・エイミィ、何があったか知らんが、早まったことをするもんじゃないぜ。人の血で汚しちまうには、嬢ちゃんの手は綺麗過ぎる・・・」 エイミィ「え、いや、あの、ち、違う、違うんですぅぅ」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ウォルソン「・・・で、話を要約すると、人間相手に矢を撃つとき躊躇いが出ちまうから、それを克服したいと・・・」 エイミィ「はぃぃ、そうなんですぅ。わ、私、悪い人相手にはしっかりしなきゃ、って思うんですけどぉ」 ウォルソン「頭で分かっていても、手は動いてくれない、か・・・」 エイミィ「はぃぃ。ご、ごめんなさいぃ。私はだめな子なんですぅぅ」 ウォルソン「そう嘆くもんじゃないぜ。人が人を殺せないのは当たり前。平気でそれが出来んのは、何か大切なもんを失くしちまってる証拠さ」 エイミィ「で、でもぉ、この間、私がもたもたしていたせいで、ルシアさんがピンチになっちゃってぇぇ」 ウォルソン「・・・ま、どうしてもってんなら、リルス流の訓練をつけてもいいが・・・」 エイミィ「お、お願いしますぅ!私を、鍛えてくださいぃ!」 ウォルソン「・・・分かった。それじゃ、ちょっとルシア連れて、工房に来てくれ」 エイミィ「は、はいぃ!」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・工房・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ルシア「ウォルソンさん?何か用ですか?」 ウォルソン「おう、来てくれたか。悪いが、もうちょっと待っててくれないか?こっちの準備がまだ終わってなくてな」 エイミィ「そ、それなら私も手伝いますぅ」 ルシア「あ、私も手伝いますよ。何の準備してるんです?」 ウォルソン「ちょっと、訓練用の矢をな・・・」 ルシア「訓練用・・・矢尻をこっちに付け替えれば良いんですね?わ、なんですかこれ?随分ぶよぶよ・・・」 メアリー「それはゴムという素材よ」 ルシア「あ、メアリー。・・・ゴム?」 メアリー「そう。矢尻を外すだけじゃ、まだ危ないからね。軟らかいもので覆って、威力を減らすの」 ルシア「威力を減らす?・・・エイミィ、あなた一体、どういう訓練するつもりなの?」 エイミィ「そ、それがぁ、私も聞いてなくって・・・ウォルソンさん、どういう訓練なんですかぁ?」 ウォルソン「ん、まあ、準備が出来次第、話してやるさ」 エイミィ「?」 ルシア「どんなんだろう・・・?」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・10分後・・・・・・・・・・・・・・・・・ ルシア「出来た!こっちの分、終了よ。ふうぅ〜、肩こったぁ〜」 エイミィ「私もですぅ。すみませんルシアさん、手伝ってもらっちゃってぇ」 ウォルソン「こっちもだ。これだけあれば十分だな」 ルシア「ウォルソンさん、それで、どういった訓練なんですか?」 ウォルソン「ああ、簡単さ。エイミィは今、人間を撃つ度胸を見に付けたいと思っている。そうだな?」 エイミィ「は、はいぃ」 ウォルソン「それにはな、慣れが必要だ。魔物や動物を百年撃ち続けたって、そんな度胸は付きやしない」 エイミィ「は、はあ」 ウォルソン「だからといって、実際に人間を撃つわけにも行かない。訓練のために人を殺すなんざ、本末転倒だ。そこで、この矢の登場というわけさ」 ルシア「・・・要約すると、この訓練用の矢で人を狙う、って事ですか・・・?」 エイミィ「そ、そんな!そんなの、無理ですぅ!」 ウォルソン「無理じゃあない。この矢なら、当たっても怪我はしない。そうだろ?メアリー」 メアリー「・・・そうね。至近距離でも、痣が残るかどうかでしょうね」 エイミィ「で、でも・・・相手は誰なんですかぁ?」 ウォルソン「ルシアだ」 ルシア「いっっっっっ!?」 ウォルソン「この訓練のターゲット役にはな、バランスの取れた身体能力が要求される。その点、ルシアはうってつけだ」 エイミィ「で、でもぉ、ルシアさんを撃つなんてぇ・・・」 ウォルソン「だが、実践で躊躇しないようになりたいんだろう?」 エイミィ「そ、それはぁ・・・」 ウォルソン「どの道この矢なら、怪我をすることはない。それでも出来ないってんなら、実践には出ないほうがいい」 エイミィ「うう・・・」 ウォルソン「足手まといになるだけ。邪魔だ」 ルシア「ちょ、ちょっとウォルソンさん!そこまで言うことないんじゃないですか?」 ウォルソン「そんなら、お前さんはこの特訓に付き合ってやれるんだな?」 ルシア「え?そ、それは・・・」 ウォルソン「出来ないか?戦闘時に非情になれないことがどれだけ危険か、知らないわけじゃないだろう?」 ルシア「そ、それはそうですけど・・・」 ウォルソン「どうせこの矢じゃ、大した怪我はしない。それを恐れてまで、エイミィを危険に晒したいと言うんだな?」 エイミィ「ル、ルシアさぁん・・・」 ルシア「わ、分かりました!やればいいんでしょ?やれば」 ウォルソン「よく言った」 ルシア(・・・なんか、上手く言いくるめられてるような気がするけど・・・) ウォルソン「エイミィ、お前さんはどうする?」 エイミィ「うう・・・こ、怖いけど、やりますぅ」 ウォルソン「・・・よし、ならこの矢を持って、デッキで待機しててくれ。周りの乗員には避難するように、あらかじめ伝えてある」 エイミィ「はいぃ」 ウォルソン「ルシアは反対側で待機。後で合図を送る」 ルシア「・・・はぁ、分かりました。どの道、当たってもあまり痛くないんですよね」 メアリー「あ、ルシア、そのことなんだけどね」 ルシア「・・・な、何か、あるの・・・?」 メアリー「あの矢ね、本当は、当たり所が悪いと骨折するくらいの威力があるから」 ルシア「な、なんですとおっ!?」 メアリー「出来る限り軟らかくしたんだけどね。ほら、弓って結構、力強いから」 ルシア「そういうことじゃなくって!じゃあ何でさっき、怪我しないって言ったのよ!?」 メアリー「ああ言わないとエイミィはやんないから。ね?ウォルソンさん」 ウォルソン「ああ」 ルシア「ちょっとウォルソンさん!?それ、ひどいんじゃないですか?」 ウォルソン「大丈夫だ。万が一のために、コリオを呼んであるからな」 コリオ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・こく」 ルシア「コ、コリオ王子!?」 ウォルソン「仮に怪我をしても、すぐに治療できる。安全だ」 ルシア「そういうの安全って言いませんよ!」 コリオ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・がんばってね、お姉ちゃん」 ルシア「ちょ、ちょっと王子!?これ、いじめじゃないですか!?やめさせて下さいよ」 ウォルソン「コリオ、分かってくれ。訓練で痛い思いをした分、実践では危険がなくなるんだ」 ルシア「王子!」 コリオ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 コリオ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 コリオ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・がんばってね、お姉ちゃん」 ルシア「丸め込まれてるっ!!」 ウォルソン「それじゃ、そろそろ始めるか。エイミィ、もう始めていいぞ!」 エイミィ(遠くから)「はいいぃ、行きますぅ」 ルシア「うわ!ホントに撃ってきた!うわ、うわああああ!」 ウォルソン「・・・まあ、順調な滑り出しだな」 メアリー「ルシア、必死に逃げてるわねぇ」 コリオ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10分後・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ノイン「あれ?ねえウォルソンさん、何で姉ちゃんがルシア姉ちゃんを追い回してんの?」 ウォルソン「ん?ああ、実はな・・・」 かくかくしかじか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ノイン「訓練で人を撃つ?・・・そんな話を真に受けたんだ。姉ちゃんらしいね」 ウォルソン「ああ、全くだ」 ルシア「!?ちょっと待て!それ、どういうこと!?ウォルソンさん?」 ノイン「あ、やべ、聞こえてた」 ルシア「ねえエイミィ、さっきの聞こえてたでしょ!?一旦止めて!」 エイミィ(遠くから)「ええー?聞こえませんでしたぁ。一旦止めて、どうするんですかぁ?」 ウォルソン「矢を本物に変えるんだ!」 ルシア「え、ちょっ、な?」 エイミィ(遠くから)「ええ!?そんな、大丈夫なんですかぁ?」 ノイン「大丈夫!ルシア姉ちゃんなら避けられる!」 ルシア「ちょっと!ノインまで何言って・・・」 エイミィ(遠くから)「あ!ノンちゃあん!分かった。じゃあ、やってみるねえぇ!」 ルシア「やってみるねえ、じゃなーい!」 エイミィ(遠くから)「行きますよぉ、ルシアさあん!」 ルシア「ちょっ、待・・・」 バスッ、ビィィィィィン・・・・・・ ルシア「あ、あ、あ・・・・うわあああ!ほんとに、本物の矢ぁ撃ってきたああああ!!」 ノイン「ルシア姉ちゃん、早く逃げないと危ないよ」 コリオ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・がんばってね、お姉ちゃん」 ルシア「あとで苛めてやるうううっっっ!!」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ エイミィは特技『マーダーアロー』を習得できるようになった!(カスタマイズ画面で習得できます。もちろんウソです、ごめんなさい)。 END