エメラルド&ミルカ+エスタシア エメラルド 「はぁ〜・・・。なんか、とんでもないことになっちゃったよね・・・」 ミルカ 「そう、ですね・・・」 エメラルド 「全部終わったと思ってたけど・・・こんなことになっちゃうなんてね。村の皆、大丈夫かな・・・」 ミルカ 「はい・・・」 エメラルド 「・・・怖い?」 ミルカ 「え?」 エメラルド 「震えてるよ、少しだけど」 ミルカ 「あ・・・」 ミルカ 「ご、ごめんなさい、私・・・」 エメラルド 「謝らなくても良いよ。怖くて、当然だし。私だって、怖いもん。皆・・・怖いに決まってると思うよ」 ミルカ 「エメラルドさん・・・」 エメラルド 「ただ、辛いなら無理しなくていいと思うよ。待ってたって、誰も文句なんていわない。当たり前だもん」 ミルカ 「・・・(ふるふる)」 エメラルド 「?」 ミルカ 「・・・大丈夫、です。私も、戦えます。いえ・・・ルシアさんと一緒に、戦いたいん、です」 エメラルド 「宝珠、取り返したいから?」 ミルカ 「・・・それも、あります。でも、それだけじゃ、なくて・・・」 ミルカ 「私・・・ルシアさんに、いっぱい助けてもらいました。ルシアさんがいたから、いろんなことがわかって、いろんなことが見れて・・・ルシアさんと一緒に旅に出れて、すごくよかったって、思うんです」 ミルカ 「でも、私・・・ルシアさんに、まだ、何も返せて、ないから・・・。だから・・・一緒に帰るための、お手伝いが・・・したいんです」 エメラルド 「・・・そっか」 エメラルド 「そうだね・・・。私も、ルシアにはいっぱい助けられたからなぁ。私の村のことも、そうだけどさ。その気持ち、分かるな」 ミルカ 「エメラルドさん・・・」 エメラルド 「ルシアは、お金よりも大切なことも、教えてくれたしね。こんなところで、傷ついて欲しくないし、いなくなって欲しくなんて、ないよね」 ミルカ 「・・・そう、ですね」 エメラルド 「でもさ、不思議だよね」 ミルカ 「え?」 エメラルド 「だって、私たちってほんの少し前まで・・・顔も名前も知らなかったわけでしょ?ルシアも、ハンガーですらなかったのにさ」 ミルカ 「あ・・・」 エメラルド 「あの日・・・ルシアがレスタリアに来てなかったら。もしも・・・もしもアンナちゃんが病気じゃなかったら、あの出会いは、なかったんだよね」 ミルカ 「そうかも、しれません・・・ルシアさんだから、私が緑の宝珠を捜しに行くこと、には・・・ついてきてくださった、かもしれませんが・・・」 ??? 「でも、どこかの誰かさんが素直にトレマーズの懸賞金を支払ってたら、どっちにしろ出会えなかったかもしれないのよね」 エメラルド・ミルカ 「エ、エスタシア様!」 エスタシア 「そう考えると・・・むしろコルピオルに感謝するべきなのかしらね?」 エメラルド 「いつからそこに・・・?」 エスタシア 「ルシアにいなくなって欲しくない、ってところくらいからかしら」 エスタシア 「その気持ちは、私も同じよ。本当なら、私も最後まで一緒に行きたいくらいだもの」 ミルカ 「で、でも、それは・・・」 エスタシア 「分かってるわ。それはできない。私じゃ足手まといになるでしょうし、ね」 ミルカ 「そ、そんなこと・・・」 エスタシア 「気を使わなくて良いのよ。自分のことは自分が一番良く分かってるわ」 エスタシア 「だからせめて・・・無事に帰ってきたら、私にもてなさせて」 エメラルド 「え?」 エスタシア 「無事に帰ってきたら・・・ルシアと、私たち4人で・・・出会ったあの日の話でも、しましょう?約束よ」 ミルカ 「あ・・・」 エメラルド 「は、はい!絶対!!」 エリオス+ライ エリオス 「ライ殿」 ライ 「?」 ライ 「あ、えっと・・・」 エリオス 「エリオスといいます」 ライ 「あぁ・・・悪い、名前をまだ覚えてなくて・・・」 エリオス 「構いませんよ。お話しする機会も、なかったですしね」 ライ 「・・・で、俺に何か?」 エリオス 「えぇ。・・・ルシアくんのところに行かれるんですか?」 ライ 「え・・・」 エリオス 「隠さなくても良いですよ。あなたがルシアくんのことをとても大切に思ってらっしゃるのは、見ていればわかりますから」 ライ 「・・・・・・」 エリオス 「やっぱり、彼女を守る騎士は、あなたですね」 ライ 「え?」 エリオス 「ライ殿」 ライ 「・・・?」 エリオス 「ルシアくんを、守ってあげてください」 ライ 「え・・・?」 エリオス 「ルシアくんが一番必要としているのは、他の誰でもない、あなただと思いますから。だから・・・あなたが、ルシアくんを守ってあげてください。仮初の騎士の役目は、もう終わりですから」 ライ 「あんた・・・?」 ライ 「・・・もしかして、ルシアのこと・・・?」 エリオス 「さぁ、どうなんでしょうね?」 エリオス 「ただ、彼女には幸せになってもらいたい。彼女は、誰よりも幸せにならなければならない。そう、心から思っています。それだけは、間違いありません」 エリオス 「では、失礼します。引き止めてしまって、申し訳ありませんでした」 ライ 「あ、あぁ・・・」 ライ 「・・・・・・」 ライ 「あいつは・・・やっぱり、人を惹きつけるんだな・・・」 ライ 「だからこそ、こんな危険な戦いを・・・生き抜くことができたんだな」 ライ 「・・・守るさ、絶対に。あいつは、絶対に失わない」 ライ 「そのために・・・ずっと、戦ってきたんだ」 ジャック+イルラヤ&アリス ジャック 「・・・・・・」 アリス 「どないしたんや、ジャック。暗い顔して」 ジャック 「あ、アリス姉、イルラヤ姉」 アリス 「もしかして、怖いんか?まぁ、そう思ってもしゃあないかもしれんけどな」 ジャック 「っそ、そんなんじゃ・・・!」 イルラヤ 「じゃあ何くらい顔してるのよ。見てるこっちが辛気臭くなるわ」 ジャック 「う・・・」 アリス 「なんか思うところがあるんやったら、うちらに言うてみ?なんか溜め込んでるよりずっとええで?」 ジャック 「・・・」 ジャック 「俺・・・役に立てないなって、思って」 アリス 「?」 ジャック 「だって、ルシア姉ちゃんたちは、これからすごく危険なところに行くんだろ?すごく危険な、戦いをするんだろ?でも、俺はついていけないから・・・」 イルラヤ 「そんなの当然じゃない。ついてこられても足手まといよ」 アリス 「イルラヤ・・・そんな言い方ないやろ?ジャック、ジャックも役に立たないなんてことないて。この船の一番の見張りは、ジャックやろ?明日の戦いに向かうそのときには、ジャックが必要なんやで?」 ジャック 「でも・・・向こうに着いたら、後は待ってることしかできないし・・・」 アリス 「それはそうかもしれんけどやな・・・」 イルラヤ 「・・・あぁ、もう!くだらないことでぐちぐちと・・・」 ジャック 「う・・・」 イルラヤ 「じゃあ、なに?あんた、明日私たちについてきたいわけ?それで足手まといになって、皆を死なせたいの?」 ジャック 「ち、ちが・・・!」 アリス 「イルラヤ!」 イルラヤ 「あんた、自分がこれから出てくるような相手と戦えるような人間じゃないって分かってるでしょ?あの時だって、あんたは何もできずに、ルシアと一緒に捕まるところだったんだから」 ジャック 「っ・・・!」 イルラヤ 「あんたにできるのは、ルシアやあたしたちを無事に向こうに送り届けて、帰りも無事にこっちまで連れて帰ってくること!それだけなの。・・・でもね、それは私たちにはできないことなの」 ジャック 「イルラヤ姉・・・?」 イルラヤ 「私たちには私たちの、あんたにはあんたの役目があるの。それ以外の領域に手を出したって、邪魔になるだけなの!わかった!?」 ジャック 「う、うん・・・。あ、ありがとう、イルラヤ姉」 イルラヤ 「まったく・・・」 アリス 「・・・イルラヤ、だいぶ変わったんとちゃうか?」 イルラヤ 「は?何言ってんのよ。私は何も変わってないわ」 アリス 「イルラヤがそう思うんやったら別にええけどな。でも、うちは今のイルラヤ、いいと思うで」 イルラヤ 「・・・」 リーフェン+ティナ ティナ 「あ、お兄ちゃん!」 リーフェン 「・・・・・・なんだ?」 ティナ 「お兄ちゃん、明日、お姉ちゃんと一緒に行くの?」 リーフェン 「あぁ」 ティナ 「お姉ちゃんのこと、助けてくれる?」 リーフェン 「共に戦うつもりではいるが、彼女が助けを必要とするかどうかは別だ」 ティナ 「?」 リーフェン 「・・・必要があれば助ける。そうでなければ己の敵に集中する。それだけだ」 ティナ 「えっと、お姉ちゃんのこと、助けてくれるんだよね?」 リーフェン 「・・・そう受け取っても問題はない」 ティナ 「良かった!ティナ、お姉ちゃんと一緒に行けないから・・・」 ティナ 「でも、お兄ちゃんも強いし、お姉ちゃん、大丈夫だよね!」 リーフェン 「・・・」 ティナ 「あ、そうだ!」 リーフェン 「?」 ティナ 「これ、お兄ちゃんにあげる!」 リーフェン 「・・・?」 ティナ 「役に立つかはわからないけど、でも、ティナはこれくらいしかできないから・・・」 マイア 「ティナ!」 ティナ 「あ、ママ!」 マイア 「もう、ティナったら・・・お兄ちゃんを困らせたらダメでしょう?」 ティナ 「困らせてなんてないよ!ティナは・・・」 マイア 「ほら、ティナ。お兄ちゃんも忙しいんだから、ママと行きましょ?」 ティナ 「・・・は〜い・・・」 リーフェン 「・・・・・・」 ティナ 「え?」 リーフェン 「ありがたく、もらっておく」 ティナ 「っ・・・うん!」 カーマイン+ランス カーマイン 「や、どうもです」 ランス 「・・・なんだ?」 カーマイン 「あんさんも、明日はいくんやろ?」 ランス 「・・・あぁ。あいつらだけに背負わせるつもりはないさ」 カーマイン 「さよか。ワイみたいなのは戦いじゃ役に立たんからな。悪いけど、あんさんたちが帰ってくるの、待たせてもらいまっせ」 ランス 「あぁ」 カーマイン 「それで、あんさんに渡しときたいもんがあったんや」 ランス 「俺にか?」 カーマイン 「あぁ。ルシアでも良かったんやけど、いろいろ忙しいやろうしな」 カーマイン 「これや。わいが前に仕入れてたとっておきのアイテム」 ランス 「・・・これをいくらで買えって?」 カーマイン 「おいおい、渡す、言うたやんか。金なんかとらへん。あんさんたちにあげるために持ってきたんや」 ランス 「いいのか?」 カーマイン 「出し惜しみしてもしゃあないやろ。この戦いであんさんたちが勝ってきてくれなかったら、どっちにしろその商品を売ることかて出来なくなってしまうんやから」 カーマイン 「それはただであげるさかい、代わりに条件があるんや」 ランス 「条件?・・・それって、ただなのか?」 カーマイン 「そんな難しいこと言わんて。ただ・・・生きて帰って来てほしいんや。あんさんたち、全員な」 ランス 「・・・」 カーマイン 「あんさんたちは、特にルシアやけど・・・もう、わいの一番のお得意様やからな。簡単には失いたくないんや。生きて帰って来て、またワイの仕入れた商品買ってえな。例のエルウィンの村かて、これから先もいろいろ必要となるやろ?そんときには、特別価格で仕入れたるさかい。絶対、生きて帰ってきてな。それが条件や」 ランス 「・・・ふっ」 ランス 「あぁ、約束する。必ず、帰ってくるさ」 ランス 「じゃ、これはありがたくもらっていくぜ」 カーマイン 「あぁ」 ユーノ+テュリラ テュリラ 「明日か〜・・・。明日で、全部終わるんだよね〜」 ユーノ 「そう、ですね。テュリラさんは、ルシアさんと一緒に行かれるんですか?」 テュリラ 「・・・うん、いくよ。私がどこまで役に立てるかはわからないけどね。でもできることもあると思うから。ルシアと一緒に、最後まで戦うよ」 ユーノ 「そうですか・・・」 テュリラ 「ユーノさんは?」 ユーノ 「僕は・・・待っています。戦いになれば、僕は役に立てませんから・・・むしろ、足手まといになってしまいますし」 テュリラ 「・・・そっか」 ユーノ 「・・・シグマの代わりに、ルシアさんを守りたいと思うのに、肝心な時に何もできない自分が、何だか・・・情けないですね」 テュリラ 「そんなこと・・・!」 ユーノ 「もしもここにいるのがシグマなら・・・きっと、ルシアさんを守れたんでしょうね。僕のように、ただ待っているのではなく、その手で・・・」 テュリラ 「ユーノさん・・・」 ユーノ 「・・・テュリラさん」 テュリラ 「なに?」 ユーノ 「良かったら、これ、持って行って下さい」 テュリラ 「え?」 ユーノ 「僕の育てた薬草で調合した薬です。多分、薬は多くあった方がいいと思って・・・」 テュリラ 「え、もらっていいの?」 ユーノ 「はい。僕にはこんなことしかできませんから・・・」 テュリラ 「・・・ありがとう。大切に使うね」 テュリラ 「でも、ユーノさん。待ってることしかできない、っていうのは違うと思うよ」 ユーノ 「え?」 テュリラ 「待ってる人がいるから、帰ってこようって思えるんだよ。ルシアだって、それはきっと同じ。ユーノさんたちが信じて待っててくれてるって思えば、絶対生きて帰ろうって思える。だから、待っているって言うのもすごく大事な役目なんだよ」 ユーノ 「テュリラさん・・・」 ユーノ 「・・・この戦いが終わったら」 テュリラ 「え?」 ユーノ 「良かったら、僕の背中に乗ってみますか?」 テュリラ 「え!?」 ユーノ 「ユニコーンに、会いたかったんですよね?僕でよければ・・・ですが?」 テュリラ 「え、え?い、いいの!?」 ユーノ 「はい。その代わり、必ず帰ってきてください。帰ってきてくださったら、その時に・・・」 テュリラ 「うん!もちろん!」 テュリラ 「その時は、ルシアも一緒にね!」 ユーノ 「そうですね。ルシアさんも、一緒に・・・」