おやすみ前の秘めやかな遊戯

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おやすみ前の秘めやかな遊戯」(2008/04/05 (土) 23:35:26) の最新版変更点

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負けるな比呂美たんっ! 応援SS第11弾 『おやすみ前の秘めやかな遊戯』  今夜もまた訪れてしまった彼の部屋  こんなに頻繁に訪れるのは乙女のたしなみとしていかがなものかとの不安を禁じえない。  パジャマ姿のまま上からカーディガンを羽織っただけの格好というのも問題かもしれない。  かといってこんな時間にきちんとした格好で訪れるというのも違和感がありそうだ。  だが、時折寄せられる彼の視線は好ましい印象を与えている事を証明しているようでもあった。  こんな私を彼はどう思っているだろう。  しかし、今夜も繰り返されるであろう遊戯の甘美な誘惑に抗うすべを私は知らない。   コンコン  彼の部屋の戸を叩く  「はい」  「眞一郎くん?」  「比呂美?」  部屋の戸が開き彼が姿を現す。  彼はいささかも驚いた様子はない。  私の来訪を当然のことと捉えているに違いない。  彼は今日も一日中、私の胸のうちを知りながら、何食わぬ顔をしていたに違いないのだ。  全て見透かされているかのよう、胸の高鳴りが速まってゆく。  「ごめんね、また来ちゃった」  「うん、まあ もうちょっと待っても来てくれなかったら、俺が行くとこだった」  「ふふっ、またそんな事言って」  「見つからなかったか」  「うん、大丈夫みたい」  「はいって」  「おじゃまします」  昨夜も訪れた彼の部屋、記憶がよみがえり体の芯を熱くする。  あの無上の喜びを初めて彼に教えられてから5日間、私の心が休まるときはない。  私の日常はその殆んどが彼と同じ空間で営まれる。家人を前にしての食事時、学校の彼と同じ教室で、  彼の姿を見、声を聞き、視線を絡ませあう度に繰り返し繰り返し、これから始まるであろう遊戯を期待させられた。   この期待は私の心身の奥深くまで到達し、私を解放してくれることは無い。  「じゃ、しよっか?」  「もう?」  「嫌?」  「ううん、じゃ、はじめましょうか」  何をしにきたのか、とは問われなかった。  やはり彼は私の訪問理由を確信していたのだ。  彼が慣れた手つきで準備を始める。  手伝った方が良いかとも思ったが彼に任せる事にした。  「比呂美が先でいい?」  「うん じゃあ よろしくお願いします」  彼はいつも私から先に始めさせる。  教えられた基本に沿って動きを開始する。  「最初に比べればずいぶん巧くなってきた。才能があるんだよ。上達が速い」  思わず頬の赤みが広がるのを止められない。  この言葉による責めも彼のテクニックなのだろうか。  この密室に二人きりでいる間は彼以外の人目を気にする必要がない。  私がこの遊戯に没頭している間、私に向けられる彼の視線を感じる。  私もまた彼が遊戯に没頭している間、彼に視線を注ぐ。彼は気付いているだろうか。  始まって数分後 彼が私の隙をついて責めてきた。  「あっ! そんなところ ダメッ!」  「だーめ、それ、それ、それ、それ、それ」  彼の指先が一定のリズムで私の色を彼の色に染め替える。  「あっ あっ あっ あっ ああっ」  はしたないと自覚しつつも彼のリズムに合わせて思わず口から声が漏れてしまう。  「どう?」  「まだ、大丈夫…」  「がんばるね」  このままではいけない。  彼のペースに押されながらも何とか抵抗を試みる。  戸惑いをはらんだ私の指先が彼の弱点を衝いてゆく  「さっきのお返しね」  「ちょ そこ待った!」  「ダメ 許してあげない」  「待て!」  「えい、えい、えい、えい、えい、こっちも、えい、えい、えい 」  「比呂美… 容赦ないんだ」  昨日までと違い、こちらから積極的に彼を責めたてる。  本で得た知識を動員した。  早く彼と対等になり、少しでも楽しんで欲しい。  彼の動きと私の動きが複雑に絡み合い、予測不能な結果をもたらす。  二人だけの世界、他者の入り込む余地はない、無上の喜び。  「いつの間にそんなテクニックを」  「えへへ 本で勉強したの」  「比呂美が本気出したらすごい事になりそうだな」  「そ そんなこと ないんだから」  胸の内の想いを覗かれたみたいで心拍が一段と高鳴る。  そうこうするうち彼が私の急所を衝いてきた。  彼の事だ、切り札として残しておいたに違いない。  「おねがい そこ 許して」  「比呂美の困った顔 かわいいね」  「…いじわる…」  静かな室内に彼のリズムが響き渡る。   パチン パチン パチン …  彼は容赦なく私を追い詰め、逃げ道を奪い、蹂躙する。  私は抗う事も出来ずに彼の思いのままにされてしまう。  「あっ ひどい そんな…」  「…」  「ハァ もう ダメ…」  「ごめんな 比呂美 少し加減しようか?」  「ううん 早く慣れないと… 眞一郎くんに楽しんでもらえないから…」  「この間が最初だったんだからしょうがないよ」  遊戯を終えいつも通り彼の言葉に慰められる。    気を取り直し昨日と同じ願いを口にする。  「もう1回 ね いいでしょう?」  「でも、そういって 昨日も結局何回もしちゃって おかげで寝不足で…」  彼は少し困ったように答える。だが本気の拒絶ではない。  私が甘声でお願いすると、彼は基本的には受け入れてくれる。  そんな彼の態度を確かめたくて、罪のない範囲で少しはしたなくお願いを口にする。  「だって 眞一郎くんばっかり ずるいよ 私 全然…」  「ずるいって言われてもなぁ」  「私とするの つまらないんだ」  「い いや 楽しいひと時を過ごさせてもらってます」  「じゃあ もう1回だけ しよ?」  「うん 分かったよ」  「やったあ♪」  少し大げさに喜んで魅せる。  今夜も彼は私の願いを受け入れてくれた、あと何回大丈夫だろうか?  明日の時間割を思い出しつつ過度の負担にならない頃合を計算する。  だが、朝の食卓で、同じ教室で、二人そろって寝不足の体を晒していては、  そのうちいつか誰かに気付かれてしまうかもしれない。  そんな事になれば、彼はどうするだろうか? 私はどうするだろうか?  今このとき確かめてみたい新たなる誘惑が待ち構えていることを発見した。  2回目の準備をしながら彼は言った。  「やれやれ 比呂美がこんなにオセロに夢中になるなんて…」  私を夢中にさせているのはゲームとそれに何より彼自身なのに、  これはもう一生をかけて後悔してもらうことにしよう。  そう改めて決意した。 了
負けるな比呂美たんっ! 応援SS第11弾 『おやすみ前の秘めやかな遊戯』  今夜もまた訪れてしまった彼の部屋  こんなに頻繁に訪れるのは乙女のたしなみとしていかがなものかとの不安を禁じえない。  パジャマ姿のまま上からカーディガンを羽織っただけの格好というのも問題かもしれない。  かといってこんな時間にきちんとした格好で訪れるというのも違和感がありそうだ。  だが、時折寄せられる彼の視線は好ましい印象を与えている事を証明しているようでもあった。  こんな私を彼はどう思っているだろう。  しかし、今夜も繰り返されるであろう遊戯の甘美な誘惑に抗うすべを私は知らない。   コンコン  彼の部屋の戸を叩く  「はい」  「眞一郎くん?」  「比呂美?」  部屋の戸が開き彼が姿を現す。  彼はいささかも驚いた様子はない。  私の来訪を当然のことと捉えているに違いない。  彼は今日も一日中、私の胸のうちを知りながら、何食わぬ顔をしていたに違いないのだ。  全て見透かされているかのよう、胸の高鳴りが速まってゆく。  「ごめんね、また来ちゃった」  「うん、まあ もうちょっと待っても来てくれなかったら、俺が行くとこだった」  「ふふっ、またそんな事言って」  「見つからなかったか」  「うん、大丈夫みたい」  「はいって」  「おじゃまします」  昨夜も訪れた彼の部屋、記憶がよみがえり体の芯を熱くする。  あの無上の喜びを初めて彼に教えられてから5日間、私の心が休まるときはない。  私の日常はその殆んどが彼と同じ空間で営まれる。家人を前にしての食事時、学校の彼と同じ教室で、  彼の姿を見、声を聞き、視線を絡ませあう度に繰り返し繰り返し、これから始まるであろう遊戯を期待させられた。   この期待は私の心身の奥深くまで到達し、私を解放してくれることは無い。  「じゃ、しよっか?」  「もう?」  「嫌?」  「ううん、じゃ、はじめましょうか」  何をしにきたのか、とは問われなかった。  やはり彼は私の訪問理由を確信していたのだ。  彼が慣れた手つきで準備を始める。  手伝った方が良いかとも思ったが彼に任せる事にした。  「比呂美が先でいい?」  「うん じゃあ よろしくお願いします」  彼はいつも私から先に始めさせる。  教えられた基本に沿って動きを開始する。  「最初に比べればずいぶん巧くなってきた。才能があるんだよ。上達が速い」  思わず頬の赤みが広がるのを止められない。  この言葉による責めも彼のテクニックなのだろうか。  この密室に二人きりでいる間は彼以外の人目を気にする必要がない。  私がこの遊戯に没頭している間、私に向けられる彼の視線を感じる。  私もまた彼が遊戯に没頭している間、彼に視線を注ぐ。彼は気付いているだろうか。  始まって数分後 彼が私の隙をついて責めてきた。  「あっ! そんなところ ダメッ!」  「だーめ、それ、それ、それ、それ、それ」  彼の指先が一定のリズムで私の色を彼の色に染め替える。  「あっ あっ あっ あっ ああっ」  はしたないと自覚しつつも彼のリズムに合わせて思わず口から声が漏れてしまう。  「どう?」  「まだ、大丈夫…」  「がんばるね」  このままではいけない。  彼のペースに押されながらも何とか抵抗を試みる。  戸惑いをはらんだ私の指先が彼の弱点を衝いてゆく  「さっきのお返しね」  「ちょ そこ待った!」  「ダメ 許してあげない」  「待て!」  「えい、えい、えい、えい、えい、こっちも、えい、えい、えい 」  「比呂美… 容赦ないんだ」  昨日までと違い、こちらから積極的に彼を責めたてる。  本で得た知識を動員した。  早く彼と対等になり、少しでも楽しんで欲しい。  彼の動きと私の動きが複雑に絡み合い、予測不能な結果をもたらす。  二人だけの世界、他者の入り込む余地はない、無上の喜び。  「いつの間にそんなテクニックを」  「えへへ 本で勉強したの」  「比呂美が本気出したらすごい事になりそうだな」  「そ そんなこと ないんだから」  胸の内の想いを覗かれたみたいで心拍が一段と高鳴る。  そうこうするうち彼が私の急所を衝いてきた。  彼の事だ、切り札として残しておいたに違いない。  「おねがい そこ 許して」  「比呂美の困った顔 かわいいね」  「…いじわる…」  静かな室内に彼のリズムが響き渡る。   パチン パチン パチン …  彼は容赦なく私を追い詰め、逃げ道を奪い、蹂躙する。  私は抗う事も出来ずに彼の思いのままにされてしまう。  「あっ ひどい そんな…」  「…」  「ハァ もう ダメ…」  「ごめんな 比呂美 少し加減しようか?」  「ううん 早く慣れないと… 眞一郎くんに楽しんでもらえないから…」  「この間が最初だったんだからしょうがないよ」  遊戯を終えいつも通り彼の言葉に慰められる。    気を取り直し昨日と同じ願いを口にする。  「もう1回 ね いいでしょう?」  「でも、そういって 昨日も結局何回もしちゃって おかげで寝不足で…」  彼は少し困ったように答える。だが本気の拒絶ではない。  私が甘声でお願いすると、彼は基本的には受け入れてくれる。  そんな彼の態度を確かめたくて、罪のない範囲で少しはしたなくお願いを口にする。  「だって 眞一郎くんばっかり ずるいよ 私 全然…」  「ずるいって言われてもなぁ」  「私とするの つまらないんだ?」  「い いや 楽しいひと時を過ごさせてもらってます」  「じゃあ もう1回だけ しよ?」  「うん 分かったよ」  「やったあ♪」  少し大げさに喜んで魅せる。  今夜も彼は私の願いを受け入れてくれた、あと何回大丈夫だろうか?  明日の時間割を思い出しつつ過度の負担にならない頃合を計算する。  だが、朝の食卓で、同じ教室で、二人そろって寝不足の体を晒していては、  そのうちいつか誰かに気付かれてしまうかもしれない。  そんな事になれば、彼はどうするだろうか? 私はどうするだろうか?  今このとき確かめてみたい新たなる誘惑が待ち構えていることを発見した。  2回目の準備をしながら彼は言った。  「やれやれ 比呂美がこんなにオセロに夢中になるなんて…」  私を夢中にさせているのはゲームとそれに何より彼自身なのに、  これはもう一生をかけて後悔してもらうことにしよう。  そう改めて決意した。 了 ●あとからあとがき 5話まで視聴済み 4話で『夜這いだ』などと心無い中傷を受けているので逆手にとってみました。

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